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【発明の名称】 カット野菜の鮮度保持法
【発明者】 【氏名】高木 雅行

【要約】 【課題】カット野菜を低コスト、低リスクで保鮮期間を10〜20日間の長期間にわたり確保する保鮮技術を確立し、カット野菜のニーズを満足させる。

【解決手段】カット野菜を洗浄し、保鮮液に浸漬して所定時間後、取り出し、4〜10℃の保冷温度に保たれた保鮮ガス中で冷蔵するか、保鮮ガスと共に包装し、のち4〜10℃の温度に保冷する。具体的にはカット野菜を洗浄し、まず塩化カルシウム溶液に浸漬し、次いで所定時間後、取り出して炭酸ガスを主成分とする保鮮ガスと共に包装し、密封して後、4〜10℃の温度下に保冷する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カット野菜を洗浄し、保鮮液に浸漬して所定時間後に取り出し、のち4〜10℃に保たれた保鮮ガス雰囲気下で冷蔵することを特徴とするカット野菜の鮮度保持法。
【請求項2】 カット野菜を洗浄し、保鮮液に浸漬して所定時間後に取り出し、次いで保鮮ガスと共に包装し、のち、4〜10℃の温度下で保冷することを特徴とするカット野菜の鮮度保持法。
【請求項3】 カット野菜を洗浄し、切割面の変性を抑制しつつ非切割部分よりのガス発生を抑制するため、まず塩化カルシウム溶液に浸漬し、次いで所定時間後、取り出して炭酸ガスを主成分とする保鮮ガスと共に包装し、密封して後、4〜10℃の温度下に保冷することを特徴とするカット野菜の鮮度保持法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特にカット野菜の鮮度を保持するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】野菜を予め適当な大きさ、形状にカットしてラップ包装により包装し、販売することが行われているが、このカット野菜は不必要な部分を除去してあるので、流通コストが割安であり、カット作業の人件費が不要であり、ユーザーとして生ゴミをださなくて済むという長所をもつ反面、生野菜に比べ鮮度が早く落ちるという短所をもっている。
【0003】そこで、従来、この種カット野菜の鮮度を保持するため、カット野菜を収納した袋・箱内のガス組成、主に酸素と炭酸ガスの分圧比と、湿度とを調整するCA(Contorolled Atmosphere)法、またはMA(Modified Atmosphere)法を採用しつつ、吸水ポリマーを共存させることによる浸出液の除去、更に、銀、銅、亜鉛等を用いた腐敗防止効果を加味し、全体を低温保存することにより、10℃で鮮度を3日程度保持することを可能にするなどの方法が試みられている。(特開平6−100045号公報参照)
【0004】一方、2〜3日の腐敗防止を目的とするだけなら、エチルアルコールの噴霧またはオゾン水浸漬による殺菌の後に、包装・低温保存する方法が常識的に採用されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】国内で処理し国内に供給するのが目的ならば、上記従来法のように保鮮期間が3日であっても十分その保鮮技術は採用価値があると思われる。しかし国外処理、輸入・国内販売を目指すには、微妙なガス組成調整や温度コントロール(例えば0〜−0.2℃内に保つ)を全システムに負荷するにはコストやリスクがかかりすぎるので実際上、採用不可能な上に、さらに保鮮期間が3日程度では足らず、10〜20日間であることが要求される。
【0006】本発明は上述の如き実状に対処し、特に保鮮液、保鮮ガスの適切な利用を見出すことにより、上記国外処理や輸入における至難な条件をクリアーし、低コスト、低リスクで保鮮期間を10〜20日間の長期間にわたり確保する保鮮技術を確立し、カット野菜のニーズを満足させることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合する本発明の方法はカット野菜を洗浄し、保鮮液に浸漬して所定時間後、取り出し、4〜10℃の保冷温度に保たれた保鮮ガス中で冷蔵するか、保鮮ガスと共に包装し、のち4〜10℃の温度に保冷することにある。
【0008】請求項3は上記本発明を具体化した態様であり、カット野菜を洗浄し、切割面の変性を抑制しつつ非切割部分よりのガス発生を抑制するために、まず塩化カルシウム溶液に浸漬し、所定時間後、取り出して炭酸ガスを主成分とする保鮮ガスと共に包装し、その後4〜10℃の保冷下に保冷することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】上記本発明を更に具体的態様につき詳述すると、本発明方法は生野菜そのものの保鮮とは異なり、予め適度の大きさ、形状にカット処理した、いわゆるカット野菜の鮮度を保持できる方法である。ここで、カット野菜としては、カットキャベツ、カットピーマン、皮むきカット玉ねぎ、種抜きカットかぼちゃ、カットさつまいも、カット人参などが挙げられ、これらは通常、ラップ包装の中に混合して含まれている。
【0010】そして、本発明は、上記カット野菜をラップ包装するに先立ってその鮮度を保持させるために先ず、カット野菜を洗浄すると同時に切割面の保護、特に細胞膜イオン透過性の抑制および酸化による変性の抑制を行いつつ、非切割部分の呼吸を押さえてエチレンガスなどの発生を抑制することに加え、活力の消耗を極度に低減することを目的として、保鮮液に浸漬し、所定時間後、取り出し、保鮮ガス雰囲気で保鮮ガスと共にラップ包装し、のち保冷温度4〜10℃下に保冷し、カット野菜を滅菌状態で鮮度を10〜20日以上保持出来るようにする。この場合、カット野菜を保鮮ガス中でラップ包装するには保冷温度ではなく常温でもよい。なお、保鮮液より取り出したカット野菜を包装することなく、そのまま4〜10℃に保たれた保鮮ガス雰囲気の室内で冷蔵せしめ保存せしめても十分、鮮度保持の効果が期待できる。
【0011】保鮮液としては通常、塩化カルシウム(Cacl2 )溶液が用いられる。塩化カルシウム溶液は塩化カルシウムを1リットル当り略15g程度含む1〜2%、好ましくは1.5%溶液として使用するのが好適である。
【0012】保鮮液への浸漬時間は、カット野菜の種類、量に応じて必らずしも一定ではないが、通常20〜40分程度浸漬し、脱水後、発泡スチロールのトレイに1人前宛セットする。このトレイにセットしたカット野菜は次いで保鮮ガス中においてラップ包装を行って保鮮ガスと共に包装し4〜10℃で冷蔵する。保鮮ガス中のラップ包装が常温でよいことは前述の通りである。また、保鮮ガスとしては炭酸ガスまたは該炭酸ガスに窒素ガス、水素ガスを少量混合した混合ガスが効果的であり、後者の場合、各ガスの混合比率は炭酸ガス約80〜100%、窒素ガス約0〜20%、水素ガス約0〜4%が好適である。
【0013】以下、更に本発明の実施例を説明する。
【0014】
【実施例】バーベキューセットとして、カットキャベツ、カットピーマン、皮むきカット玉葱、種ぬきカットカボチャ、カットさつまいも、カット人参、ホール椎茸を用いた。これらのカット野菜(椎茸は除く)を塩化カルシウム1.5%溶液に30分間浸漬し、脱水後、発泡スチロールのトレイに1人前分をセットし(椎茸はビニール袋に入れてからセットし)常温下、窒素ガス10%含む炭酸ガス中でラップ包装を行った。 これらを4〜10℃で低温保存し、3週間以上にわたって、切り口などの褐変・萎凋・菌増殖などを調べ、図1に示す結果を得た。
【0015】一方、比較のため、上記カット野菜(椎茸は除く)を塩化カルシウム1.5%溶液に30分間浸漬し、脱水後、発泡スチロールのトレイに前記と同様に1人前分セットし、空気中でラップ包装を行った比較例と、上記カット野菜を従来法に従い、オゾン殺菌処理を行って空気中でラップ包装を行った比較例とを作成した。 そして、これら各比較例についても、これを夫々4〜10℃で低温保存し、3週間以上にわたっで切り口などの褐変、萎凋、菌増殖などを調べた。その結果を前記本発明の場合と共に図1に示す。
【0016】なお、図1においてグラフの縦軸の”鮮度”は、カット直後の状態を100とし、商品として十分通用する程度を80、注意してみると褐変などが認められるものの菌数が十分低く商品として提供できるものを60、褐変がはっきり認められ切り口が少々萎凋し菌数も幾分増えているものをその程度に応じ40〜0ポイントとして示している。図中○印は保鮮液処理・保鮮ガス充填の本発明方法によるもの、△印は保鮮液処理・空気充填の比較例、●印はオゾン殺菌処理・空気充填の比較例の各成績を表す。図1に示す実験の結果より、本発明方法によるものは、カット野菜の鮮度を3週間以上も保持することに成功しており、各比較例に比し鮮度保持効果が著しく優れていることがわかる。
【0017】
【発明の効果】本発明は以上のようにカット野菜を保鮮液に浸漬し、所定時間後に取り出し保鮮ガス中で冷蔵するか、保鮮ガス中でガスと共に包装し、保冷する方法であり、従来の保鮮手段が精々3日程度しか鮮度を保持し得なかったのに対し、滅菌状態で10〜20日以上、即ち略3週間以上にわたり鮮度の保持を可能にし、国外処理、輸入・国内販売を容易にして素材価格や人件費コストを低減し、カット野菜の供給普及に極めて顕著な効果を有する。
【出願人】 【識別番号】593006629
【氏名又は名称】神戸ヤマリ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 泰一
【公開番号】 特開平11−103
【公開日】 平成11年(1999)1月6日
【出願番号】 特願平9−172947