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【発明の名称】 低タンパク質・高カロリークッキー類
【発明者】 【氏名】長山 公紀
【氏名】久能 昌朗
【課題】砂糖不使用で、低タンパク質・高カロリーでありながら、焼成時に生地がダレることなく、また、焼成後の食感もサクサクとした軽いものであるクッキー類を提供すること。

【解決手段】マルトオリゴ糖、リン酸架橋澱粉、親油性化工澱粉を含有し、かつ、100g当たりタンパク質含量4.5g以下、カロリー500kcal以上であり、砂糖不使用である低タンパク質・高カロリークッキー類。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マルトオリゴ糖、リン酸架橋澱粉、親油性化工澱粉を含有し、かつ、100g当りタンパク質4.5g含量以下、カロリー500kcal以上であり、砂糖不使用である低タンパク質・高カロリークッキー類。
【請求項2】 リン酸架橋澱粉7.5〜15.0%、親油性化工澱粉1.0〜5.0%を含有する請求項1記載の低タンパク質・高カロリークッキー類。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低タンパク質・高カロリークッキー類に関する。
【0002】
【従来の技術】腎臓病患者の食事療法の基本は、「低タンパク質で、かつ、摂取カロリーを不足させないこと」である。そこで、この食事療法を円滑に行うために、従来より低タンパク質・高カロリー製品が流通している。例えばクッキー類は、低タンパク質の小麦粉を用い、油脂を増量することにより低タンパク質・高カロリーとするのが一般的である。
【0003】ところで、本来クッキー類は、タンパク質を主とする網目構造や砂糖の結晶化によりその骨格を形成している。一方、前述のような低タンパク質・高カロリークッキー類は、タンパク質を極力減らしてタンパク質の骨格形成能を阻害しやすい油脂を増量しているため、骨格の形成は砂糖の結晶化にたよらざるを得なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、糖尿病患者が腎臓病を併発することが問題となってきている。このような患者の場合、「低タンパク質・高カロリー」に加え、「血糖値の急激な上昇を抑えること」も必要となってくる。砂糖のように分子量の小さい糖質は血糖値を急激に上げやすいためできるだけ控えることが望ましく、代わりにデキストリンやマルトオリゴ糖のように分子量の大きい糖質を使用することが望ましい。糖質は分子量が大きい程甘味度が低くなり、甘味を気にせず多量に食品中に配合することができるため、カロリー補給の点からも分子量の大きい糖質の使用は望ましい。
【0005】ところが、分子量の大きい糖質は結晶化し難い。そのため、骨格形成の補強ができず、焼成時に生地がダレてしまい、また、焼成後の食感もサクサクとした軽いものにはならないという問題があった。
【0006】したがって、本発明の目的は、砂糖不使用で、低タンパク質・高カロリーでありながら、焼成時に生地がダレることなく、また、焼成後の食感もサクサクとした軽いものであるクッキー類を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために種々検討した結果本発明に到達した。すなわち本発明は、(1)マルトオリゴ糖、リン酸架橋澱粉、親油性化工澱粉を含有し、かつ、100g当りタンパク質4.5g含量以下、カロリー500kcal以上であり、砂糖不使用である低タンパク質・高カロリークッキー類、(2)リン酸架橋澱粉7.5〜15.0%、親油性化工澱粉1.0〜5.0%を含有する(1)記載の低タンパク質・高カロリークッキー類、である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の低タンパク質・高カロリークッキー類を詳細に説明する。尚、本発明において「%」とはすべて「重量%」を意味する。まず、本発明において低タンパク質・高カロリーとは100g当りタンパク質含量4.5g以下、カロリー500kcal以上であるものをいう。タンパク質含量は少ないほど好ましいが、少なすぎても骨格の形成が難しくなるので、100g当たり2.0g程度は必要である。また、タンパク質含量を低くするためには、クッキーの原料として必須である小麦粉は市販されている低タンパク質の小麦粉を用いることが好ましい。
【0009】カロリーは高いほど好ましいが、油脂や糖質を増量しすぎると焼成時に生地のダレが生じ易く、食感・風味にも影響が出易いため、それらを考慮すると600kcal程度までがよい。
【0010】本発明においてマルトオリゴ糖とは、澱粉を原料として得られるオリゴ糖で糖の重合度は3〜10である。例えば、マルトトリオース(重合度3)、マルトテトラオース(重合度4)、マルトペンタオース(重合度5)、マルトヘキサオース(重合度6)などがあげられ、純品、混合物、それらを主成分とするものなど通常流通しているものを使用することができる。これらは甘味度が低く血糖値も急激に上げ難いため、糖質によるカロリー補給にも適している。配合割合は、クッキー中に5〜15%程度とする。これは、5%未満であると小麦粉や油脂の配合割合が高くなり風味が悪くなり、15%を越えると焼成時に生地がダレ易くなるためである。
【0011】本発明においてリン酸架橋澱粉とは、リン酸により澱粉を架橋構造にしたもので、加熱しても糊化が起こり難いものである。よって、クッキー類の骨格をなしている網目構造の隙間に澱粉粒のまま存在して骨格を補強することにより、焼成時の生地のダレを防ぐのではないかと推察される。配合割合は全体の7.5〜15.0%程度がよい。これは、7.5%未満であると生地がダレ易く、15.0%を越えると食感が粉っぽくなり易いからである。
【0012】本発明において親油性化工澱粉とは、澱粉粒の表面を多孔質にして水酸基を脂肪酸基に置換したもので、油脂を吸着し易い。よって、クッキー中の油脂を吸着し、焼成後の食感を油っぽくないものにすることができる。配合割合は1.0〜5.0%程度がよい。これは1.0%未満であると食感が油っぽくねとつき易く、5.0%を越えるともろくなりパサパサし易いからである。
【0013】尚、本発明の目的を損なわない限り、任意の原料・成分を配合してもさしつかえない。例えば、香料、食物繊維、ビタミン、ミネラル、高甘味度甘味料、ベーキングパウダー等があげられる。
【0014】次に、本発明の低タンパク質・高カロリークッキー類の製造方法を実施例及び試験例によって述べるが、本発明は特にこれに限定されるものではない。
【実施例】実施例1まず、ショートニングをミキサー(キッチンエイド9KSM5CB、FMIコーポレーション製)に入れ3分間程度攪拌して軟らかくした。次いで、その他の原料を入れ、全体が均一になるまで5分間程度攪拌した。1個10gに成形し、アルミホイルを敷いた天板上に並べ、オーブンにより170℃で20分間焼成し、本発明の低タンパク質・高カロリークッキーとした。
【0015】このようにして得られたクッキーは、焼成時に生地がダレることなく、焼成後の食感もサクサクとした軽いものであった(100g当りタンパク質2.4g、カロリー580kcal)。
【0016】

【0017】注1)低タンパク質小麦粉タンパク質含量が約5.5%であるもの。
【0018】注2)マルトオリゴ糖マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースを主成分とするもの。
【0019】注3)化工澱粉Aリン酸により架橋構造にした澱粉。
【0020】注4)化工澱粉B澱粉粒の表面を多孔質にして、水酸基を脂肪酸基に置換した親油性の澱粉。
【0021】実施例2下記配合に基づき実施例1と同様に低タンパク質・高カロリークッキー類を製造した。このようにして得られたクッキーは、焼成時に生地がダレることなく、焼成後の食感もサクサクとした軽いものであった(100g当りタンパク質3.0g、カロリー575kcal)。
【0022】

【0023】
【試験例】試験例1試験方法化工澱粉A(リン酸架橋澱粉)の配合割合を表1に示すようにしたほかは、実施例1と同様にして低タンパク質・高カロリークッキーを製造した。化工澱粉と小麦粉との合計は全体の50%になるように小麦粉を増減して調製した。それぞれ、焼成時の生地のダレ、焼成後の食感を調べた。
【0024】試験結果表1に示すとおりである。すなわち表より、本発明品は二種類の化工澱粉を用いることにより焼成時のダレを防止し、焼成後の食感がサクサクとした軽いものになっていることが理解できる。また、リン酸架橋澱粉が7.5〜15.0%とすると焼成時のダレや食感をより改良ができることが理解できる。
【0025】
【表1】

【0026】試験例2試験方法化工澱粉B(親油性化工澱粉)の配合割合を表1に示すようにしたほかは,実施例1と同様にして低タンパク質・高カロリークッキーを製造した。化工澱粉と小麦粉との合計は全体の50%になるように小麦粉を増減して調製した。それぞれ、焼成時の生地のダレ、焼成後の食感を調べた。
【0027】試験結果表2に示すとおりである。すなわち表より、本発明品は二種類の化工澱粉を用いることにより焼成時のダレを防止し、焼成後の食感がサクサクとした軽いものになっていることが理解できる。また、親油性澱粉1.0〜5.0%とすると焼成時のダレや食感をより改良ができることが理解できる。
【0028】
【表2】

【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の低タンパク質・高カロリークッキー類は、焼成時の生地のダレがなく製造しやすく外観も良好である。また焼成後の食感もサクサクとした軽いものになっており、無理なく継続的に食することができ、腎臓病患者等のカロリー補給に適している。
【出願人】 【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月24日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−235147
【公開日】 平成11年(1999)8月31日
【出願番号】 特願平10−42313