| 【発明の名称】 |
塊根・塊茎肥大促進剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】広瀬 克利
【氏名】広瀬 正幸
【氏名】平田 直則
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| 【要約】 |
【課題】野菜類(作物)や花卉類等の植物が有する塊根(球根・宿根)や塊茎(地下茎)の肥大を促進させるのに好適に用いることができる、安全性に優れかつ大量生産可能な塊根・塊茎肥大促進剤を提供する。
【解決手段】塊根・塊茎肥大促進剤は、例えば、一般式(1) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式(1) 【化1】
(式中、Xは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表し、R1 は、−CHO基、−CH2 CHO基、−CH2 CN基、−COOR2 基、−CH2 COOR2 基、−CH2 CH2 COOR2 基、−CH (CH3)COOR2 基、−CH2CH2 CH2 COOR2 基、−CH (CH3)CH2 COOR2 基、−CH (CH3)CH2 CH2 COOR2 基、または−CH2 COCOOR2 基を表し、かつ、上記R2 は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、炭素数1〜4のアルキル基、単糖の配糖体またはオリゴ糖の配糖体を表す)で示されるインドール骨格含有化合物、一般式(2) 【化2】
(式中、R3 は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、炭素数1〜4のアルキル基、単糖の配糖体またはオリゴ糖の配糖体を表し、R4 は、水素原子、塩素原子、メチル基またはヒドロキシメチル基を表す)で示されるベンゼン骨格含有化合物、および、一般式(3) 【化3】
(式中、R5 は、ヒドロキシル基またはアミノ基を表す)で示されるナフタレン骨格含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴とする塊根・塊茎肥大促進剤。 【請求項2】上記化合物がインドール骨格含有化合物であることを特徴とする請求項1記載の塊根・塊茎肥大促進剤。 【請求項3】上記インドール骨格含有化合物が天然化合物であることを特徴とする請求項2記載の塊根・塊茎肥大促進剤。 【請求項4】上記インドール骨格含有化合物が4−クロロインドール−3−酢酸および/またはそのエステルであることを特徴とする請求項2または3記載の塊根・塊茎肥大促進剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、野菜類(作物)や花卉類等の植物が有する塊根(球根・宿根)や塊茎(地下茎)の肥大を促進させるのに好適に用いられる塊根・塊茎肥大促進剤に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、野菜類(作物)が有する塊根(球根・宿根)や塊茎(地下茎)を肥大させて収量を増加させるべく(即ち、食料を増産すべく)、種々提案がなされている。例えば、インドール骨格含有化合物の一種である5,6−ジクロロインドール−3−酢酸に、ジャガイモの塊茎(地下茎)の肥大を促進させる生理活性(作用)があることは知られている(特公平6−62563号公報)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インドール環の5,6位に置換基を有する上記5,6−ジクロロインドール−3−酢酸を合成する反応は複雑であり、このため、該化合物を大量生産することは困難である。また、該化合物は合成化合物であって天然には存在しないので、例えばジャガイモ等の野菜類(作物)に残留した場合には、安全性に優れているとは言い難い。 【0004】それゆえ、野菜類が有する塊根や塊茎を肥大させて収量を増加させることができる、安全性に優れかつ大量生産可能な塊根・塊茎肥大促進剤が求められている。また、花卉類が有する例えば球根を肥大させることができる、安全性に優れかつ大量生産可能な塊根・塊茎肥大促進剤も求められている。 【0005】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、野菜類や花卉類等の植物が有する塊根や塊茎の肥大を促進させるのに好適に用いることができる、安全性に優れかつ大量生産可能な塊根・塊茎肥大促進剤を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の目的を達成すべく、塊根・塊茎肥大促進剤について鋭意検討した。その結果、特定の分子構造を有する化合物、つまり、特定の分子構造を有するインドール骨格含有化合物やベンゼン骨格含有化合物、ナフタレン骨格含有化合物に、野菜類(作物)や花卉類等の植物が有する塊根(球根・宿根)や塊茎(地下茎)の肥大を促進させる生理活性があること、並びに、該化合物が安全性に優れかつ大量生産することができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。 【0007】尚、既知のインドール骨格含有化合物は、例えば塩素原子の置換位置並びに個数によって、植物に対する生理活性が全く異なる。従って、分子構造が類似していても、既知の類似化合物から未知の化合物の生理活性を予測することは、全く不可能である。 【0008】即ち、請求項1記載の発明の塊根・塊茎肥大促進剤は、上記の課題を解決するために、一般式(1) 【0009】 【化4】
【0010】(式中、Xは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表し、R1 は、−CHO基、−CH2 CHO基、−CH2 CN基、−COOR2 基、−CH2 COOR2 基、−CH2 CH2 COOR2 基、−CH (CH3)COOR2 基、−CH2CH2 CH2 COOR2 基、−CH (CH3)CH2 COOR2 基、−CH (CH3)CH2 CH2 COOR2 基、または−CH2 COCOOR2 基を表し、かつ、上記R2 は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、炭素数1〜4のアルキル基、単糖の配糖体またはオリゴ糖の配糖体を表す)で示されるインドール骨格含有化合物、一般式(2) 【0011】 【化5】
【0012】(式中、R3 は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、炭素数1〜4のアルキル基、単糖の配糖体またはオリゴ糖の配糖体を表し、R4 は、水素原子、塩素原子、メチル基またはヒドロキシメチル基を表す)で示されるベンゼン骨格含有化合物、および、一般式(3) 【0013】 【化6】
【0014】(式中、R5 は、ヒドロキシル基またはアミノ基を表す)で示されるナフタレン骨格含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含むことを特徴としている。 【0015】また、請求項2記載の発明の塊根・塊茎肥大促進剤は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の塊根・塊茎肥大促進剤において、上記化合物がインドール骨格含有化合物であることを特徴としている。 【0016】上記特定の分子構造を有するインドール骨格含有化合物やベンゼン骨格含有化合物、ナフタレン骨格含有化合物は、野菜類や花卉類等の植物が有する塊根や塊茎の肥大を促進させる生理活性を有している。これら化合物は、安全性に優れかつ大量生産することができる。例えばインドール環の4位に置換基を有する上記インドール骨格含有化合物を合成する反応は、比較的簡単である。従って、上記の構成によれば、野菜類や花卉類等の植物が有する塊根や塊茎の肥大を促進させるのに好適に用いることができる、安全性に優れかつ大量生産可能な塊根・塊茎肥大促進剤を提供することができる。 【0017】さらに、請求項3記載の発明の塊根・塊茎肥大促進剤は、上記の課題を解決するために、請求項2記載の塊根・塊茎肥大促進剤において、上記インドール骨格含有化合物が天然化合物であることを特徴としている。 【0018】また、請求項4記載の発明の塊根・塊茎肥大促進剤は、上記の課題を解決するために、請求項2または3記載の塊根・塊茎肥大促進剤において、上記インドール骨格含有化合物が4−クロロインドール−3−酢酸および/またはそのエステルであることを特徴としている。 【0019】上記の構成によれば、該化合物が天然化合物であるので、例えば植物に残留した場合においても、安全性により一層優れた塊根・塊茎肥大促進剤を提供することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、前記一般式(1)で示されるインドール骨格含有化合物、前記一般式(2)で示されるベンゼン骨格含有化合物、および、前記一般式(3)で示されるナフタレン骨格含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含んでいる。つまり、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、有効成分として上記化合物を含んでいる。尚、これら化合物が塊根・塊茎の肥大を促進させる生理活性を備えていることは、全く予期できないことである。 【0021】前記一般式(1)で示されるインドール骨格含有化合物としては、具体的には、例えば、インドール−3−カルボン酸、4−クロロインドール−3−カルボン酸、4−メトキシインドール−3−カルボン酸、インドール−3−酢酸(3−インドリル酢酸)、4−クロロインドール−3−酢酸、4−メトキシインドール−3−酢酸、インドール−3−プロピオン酸、4−クロロインドール−3−プロピオン酸、4−メトキシインドール−3−プロピオン酸、インドール−3−酪酸、4−クロロインドール−3−酪酸、4−メトキシインドール−3−酪酸、並びに、これら化合物のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、エステル、或いは、これら化合物が単糖またはオリゴ糖と結合してなる配糖体等が挙げられる。 【0022】そして、R1 (およびR2 )で表される置換基にエステル結合を有している化合物、つまり、エステル結合を有しているインドール骨格含有化合物は、植物により一層吸収され易い。尚、エステル結合を有しているインドール骨格含有化合物は、植物に吸収された後、該エステルが加水分解されてカルボキシル基(カルボン酸)に変化することにより、生理活性を示す。 【0023】また、前記一般式(1)中、R2 で表される置換基がアルカリ金属またはアルカリ土類金属である化合物、つまり、塩を形成しているインドール骨格含有化合物は、より一層安定であるので、貯蔵・保存等に優れている。該アルカリ金属としては、具体的には、例えば、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、具体的には、例えば、カルシウム等が挙げられる。 【0024】前記一般式(1)で示されるインドール骨格含有化合物のうち、Xで表される置換基が水素原子である場合には、R1 (およびR2 )で表される置換基が−CHO基、−CH2 CHO基、−CH2 CN基、−COOH基、−CH2 COOH基、−CH2 COOCH3 基、−CH2 CH2 COOH基、−CH2 CH2 CH2 COOH基、および、R2 が単糖の配糖体またはオリゴ糖の配糖体である−CH2 COOR2 基である化合物が天然化合物であり、また、Xで表される置換基が塩素原子である場合には、R1 (およびR2 )で表される置換基が−CH2 COOH基、および、−CH2 COOCH3 基である化合物が天然化合物であり、さらに、Xで表される置換基がメトキシ基である場合には、R1 で表される置換基が−CH2 CN基である化合物が天然化合物である。尚、これら天然化合物が塊根・塊茎の肥大を促進させる生理活性を備えていることは、全く予期できないことである。 【0025】そして、天然化合物であるインドール骨格含有化合物としては、例えば、Xで表される置換基が水素原子であり、R1 で表される置換基が−CH2 COOH基であるインドール−3−酢酸、Xで表される置換基が塩素原子であり、R1 で表される置換基が−CH2 COOH基である4−クロロインドール−3−酢酸、Xで表される置換基が塩素原子であり、R1 で表される置換基が−CH2 COOCH3 基であるメチル−4−クロロインドール−3−アセテート、Xで表される置換基が水素原子であり、R1 で表される置換基が−CH2 CH2 COOH基であるインドール−3−プロピオン酸、Xで表される置換基が水素原子であり、R1で表される置換基が−CH2 CH2 CH2 COOH基であるインドール−3−酪酸等が挙げられる。例えば、4−クロロインドール−3−酢酸やそのメチルエステルは、例えば食用に供されるエンドウの未熟種子等に含まれており、該未熟種子等から取り出すことができる。また、4−クロロインドール−3−酢酸やそのメチルエステルは、合成によって大量生産することが比較的容易である。 【0026】前記一般式(2)で示されるベンゼン骨格含有化合物としては、具体的には、例えば、p−クロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、4−クロロ−2−メチルフェノキシ酢酸、並びに、これら化合物のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、エステル、或いは、これら化合物が単糖またはオリゴ糖と結合してなる配糖体等が挙げられる。 【0027】前記一般式(3)で示されるナフタレン骨格含有化合物としては、具体的には、1−ナフチル酢酸(ナフタレン−1−酢酸)、1−ナフチルアセトアミドが挙げられる。 【0028】これらインドール骨格含有化合物、ベンゼン骨格含有化合物、および、ナフタレン骨格含有化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。上記例示の化合物のうち、インドール骨格含有化合物がより好ましい。また、インドール骨格含有化合物が天然化合物であることがさらに好ましく、インドール骨格含有化合物が4−クロロインドール−3−酢酸および/またはそのエステルであることが特に好ましい。 【0029】上記化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、植物から一般的手法を用いて取り出す方法、或いは、合成によって製造する方法等を採用することができ、比較的容易に大量生産することができる。インドール環の4位に置換基を有する上記インドール骨格含有化合物を合成する反応や、ベンゼン骨格含有化合物を合成する反応、ナフタレン骨格含有化合物を合成する反応は、比較的簡単であり、公知の手法を採用することができる。 【0030】本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、有効成分として上記化合物を含んでいる。上記化合物は、そのまま使用することができるが、必要に応じて、その効果を助長若しくは安定化させるために、例えば、農薬に用いられる補助剤等の各種補助剤と混合して、液剤、粉剤、粒剤、顆粒剤、水和剤、フロアブル剤、乳剤、ペースト剤等の種々の製剤形態で以て使用することもできる。つまり、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、必要に応じて上記の補助剤を含んでいてもよく、従って、該塊根・塊茎肥大促進剤は、上記種々の製剤形態を採ることができる。 【0031】上記の補助剤としては、例えば、溶剤(希釈剤)、乳化剤、分散剤、各種担体、各種基材、展着剤、湿展剤、固着剤、崩壊剤等が挙げられる。そして、塊根・塊茎肥大促進剤である上記各種製剤は、そのまま使用することができるが、必要に応じて、水で所定の濃度に希釈して使用することもできる。尚、上記化合物が塩を形成する等して水溶性を備えている場合には、上記溶剤を用いなくとも、塊根・塊茎肥大促進剤を水で所定の濃度に希釈することができる。 【0032】液剤やフロアブル剤、乳剤(エマルション)を調製するのに好適な溶剤としては、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;シクロヘキサン、テトラヒドロナフタレン、メチルナフタレン;動植物油、脂肪酸、脂肪酸エステル;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら溶剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。 【0033】乳化剤または分散剤としては、各種界面活性剤を用いることができる。該界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩等の陰イオン系界面活性剤、四級アンモニウム塩等の陽イオン系界面活性剤、ベタイン型等の両性界面活性剤、エーテル型等の非イオン系界面活性剤(ノニオン系界面活性剤)等が挙げられる。界面活性剤を用いることにより、上記化合物が植物により一層吸収され易くなる。 【0034】上記化合物を担持するのに好適な担体としては、具体的には、例えば、クレー、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ベントナイト(モンモリロナイト)、長石、石英、おが屑等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら担体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。 【0035】上記化合物をペースト状(剤)にするのに好適な基材としては、具体的には、例えば、ワセリン、ラノリン、合成樹脂、ゴム等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら基材は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。 【0036】本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を適用することができる植物は、塊根(球根・宿根)や塊茎(地下茎)を有する植物である。該植物としては、具体的には、例えば、メークインや男爵、出島等のジャガイモ(馬鈴薯)、サツマイモ(甘藷)、サトイモ、ヤマイモ、タロイモ、キャッサバ、ニンジン、朝鮮ニンジン、ダイコン、二十日ダイコン、カブ、テンサイ、ゴボウ、ワサビ、食用ユリ、タマネギ、ニンニク、レンコン、ラッカセイ等の野菜類(作物);テッポウユリ等のユリ、チューリップ、フリージア、グラジオラス、ヒヤシンス、球根ベゴニア、チグリシア、ダリア、カラー、アネモネ、ムスカリ、ラナンキュラス、クロッカス、コルチカム、スイセン、アイリス、アリュウム、カタクリ、オーニソガラム、ハブランサス、グロッパ、リコリス、ネリネ、チオノドクサ、トキソウ、雲南トキソウ、ギボウシ、アカプルコ、チューベローズ等の花卉類;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。 【0037】塊根・塊茎肥大促進剤の使用方法、即ち、塊根・塊茎肥大促進剤を用いた植物の処理方法としては、具体的には、例えば、茎葉処理、土壌処理、浸漬処理、粉剤(粉末)処理、注入処理等を採用することができるが、特に限定されるものではない。つまり、塊根・塊茎肥大促進剤の植物に対する使用部位としては、茎葉(地下茎を含む)、根(球根・宿根を含む)、種子、花、果実等が挙げられるが、特に限定されるものではない。塊根・塊茎肥大促進剤の使用形態としては、植物に吸収されることによって該植物に対して生理活性を発揮させることができる手段であればよく、具体的には、例えば、撒布、浸漬、接触、注入等が挙げられる。要するに、対象とする植物の種類や使用時期(使用目的)等に応じて、該植物に最も吸収され易い使用形態を選択すればよい。 【0038】塊根・塊茎肥大促進剤の使用時期は、特に限定されるものではないが、植物が野菜類(作物)である場合には、塊根または塊茎が肥大し始める時期がより好ましい。植物が花卉類である場合には、花が咲いた後、球根等が肥大し始める時期がより好ましい。また、例えば花卉類の球根が分球する前に塊根・塊茎肥大促進剤を使用すると、本球の肥大を促進することができる一方、花卉類の球根が分球した後に塊根・塊茎肥大促進剤を使用すると、分球の肥大を促進することができる。 【0039】有効成分である上記化合物の使用量は、該化合物の組成、塊根・塊茎肥大促進剤の製剤形態、対象とする植物の種類、処理方法、使用時期(使用目的)等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、1アール当たり、10-7g〜5gの範囲内がより好ましい。より具体的には、塊根・塊茎肥大促進剤を水溶液にして茎葉処理に用いる場合には、該促進剤を上記化合物の濃度が0.001ppm〜500ppm程度となるように希釈した水溶液を、1アール当たり、0.1L〜20Lの範囲内で撒布することがより好ましい。また、塊根・塊茎肥大促進剤を水溶液にして浸漬処理に用いる場合には、上記濃度の水溶液に植物を一定時間浸漬することがより好ましい。 【0040】本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を使用することによって、植物における塊根(球根・宿根)や塊茎(地下茎)にデンプンを蓄える機能が向上されるので、これら塊根や塊茎を、使用しない場合と比較して重量比で1.5倍以上、より好ましくは2倍以上に肥大させることができる。即ち、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、作物増収剤としての機能を備えている。 【0041】以上のように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、前記一般式(1)で示されるインドール骨格含有化合物、前記一般式(2)で示されるベンゼン骨格含有化合物、および、前記一般式(3)で示されるナフタレン骨格含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む構成である。上記化合物は、野菜類や花卉類等の植物が有する塊根や塊茎の肥大を促進させる生理活性を有しており、しかも、安全性に優れかつ大量生産することができる。従って、上記の構成によれば、塊根や塊茎の肥大を促進させるのに好適に用いることができる、安全性に優れかつ大量生産可能な塊根・塊茎肥大促進剤を提供することができる。 【0042】また、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、上記インドール骨格含有化合物が天然化合物である構成である。さらに、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、上記インドール骨格含有化合物が4−クロロインドール−3−酢酸および/またはそのエステルである構成である。上記の構成によれば、該化合物が天然化合物であるので、例えば植物に残留した場合においても、安全性により一層優れた塊根・塊茎肥大促進剤を提供することができる。 【0043】尚、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤は、必要に応じて、各種の植物生長調節剤、肥料(糖類、アミノ酸、有機酸、各種ミネラル等)、除草剤、殺黴剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、農園芸用殺菌剤、土壌殺菌剤、土壌改良剤等と併用することもできる。 【0044】 【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。 【0045】〔実施例1〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてサツマイモの処理を行った。先ず、互いに生長状態がほぼ揃っている市販のサツマイモのつる(複数本)を選択し、先端部から5枚の葉が茎に残るようにして水切りした。次いで、これら先端部分を、根元側の3葉分の茎が土壌に埋まるようにして畑に植え付けた。上記先端部分同士の植え付け間隔は、約60cmとした。 【0046】そして、2か月間経過後、畑に植え付けた上記サツマイモ(複数株)に、塊根・塊茎肥大促進剤である4−クロロインドール−3−酢酸の水溶液、メチル−4−クロロインドール−3−アセテートの水溶液、インドール−3−酢酸の水溶液、1−ナフチルアセトアミドの水溶液、または、p−クロロフェノキシ酢酸の水溶液を、各水溶液ごとに4株づつ所定量撒布することにより、茎葉処理を行った。4−クロロインドール−3−酢酸水溶液の濃度は、1×10-4モル/L、3×10-5モル/L、1×10-5モル/L、および、1×10-6モル/Lの4種類とした。また、メチル−4−クロロインドール−3−アセテート水溶液、インドール−3−酢酸水溶液、1−ナフチルアセトアミド水溶液、および、p−クロロフェノキシ酢酸水溶液の濃度は、1×10-5モル/Lとした。また、上記水溶液の代わりに水を所定量撒布したサツマイモ(4株)を、比較の対象とした(以下、処理を行わない植物をコントロールと記す)。 【0047】茎葉処理を行ってから3か月間経過後、全てのサツマイモを掘り出して、収穫量、即ち、芋(塊根)の重量を測定し、1個当たりのサツマイモの平均重量(表1で1個重量と記す)、1株当たりのサツマイモの平均重量(同、1株重量と記す)、および、1株当たりのサツマイモのコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表1にまとめた。 【0048】 【表1】
【0049】表1の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてサツマイモの茎葉処理を行うことにより、該サツマイモの芋の肥大が促進されること、つまり、収穫量が増加することが判った。 【0050】〔実施例2〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いて花卉類の処理を行った。先ず、トキソウを鉢植え(複数鉢)した。次いで、互いに生長状態がほぼ揃っているトキソウを選択し、該トキソウに、濃度が3×10-5モル/Lおよび1×10-5モル/Lである2種類の4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を、各水溶液ごとに1鉢づつ所定量撒布することにより、茎葉処理を行った。また、上記水溶液の代わりに水を所定量撒布したトキソウをコントロールとした。 【0051】茎葉処理を行ってから2か月間経過後、トキソウの球根(塊根)を掘り出してその重量(表2で重量と記す)を測定すると共に、コントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。また、トキソウの代わりに、雲南トキソウ、キボウシ、およびユリを用いて、同様の茎葉処理並びに測定等を行った。 【0052】さらに、ユリについては、4−クロロインドール−3−酢酸水溶液の代わりに、塊根・塊茎肥大促進剤である、濃度が3×10-5モル/Lであるインドール−3−プロピオン酸およびインドール−3−酪酸を用いて、同様の茎葉処理並びに測定等を行った。これら結果を表2にまとめた。 【0053】 【表2】
【0054】表2の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてトキソウや雲南トキソウ、キボウシ、ユリの茎葉処理を行うことにより、これら花卉類の球根や宿根の肥大が促進されることが判った。 【0055】〔実施例3〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてアカプルコ(ユリ科)の処理を行った。先ず、5月に落花した後、互いに生長状態がほぼ揃っているアカプルコを選択し、9月上旬に、該アカプルコ(複数株)に、濃度が3×10-5モル/L、1×10-5モル/Lおよび1×10-6モル/Lである3種類の4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を、各水溶液ごとに3株づつ所定量撒布することにより、土壌処理を行った。また、上記水溶液の代わりに水を所定量撒布したアカプルコ(3株)をコントロールとした。 【0056】10月下旬にアカプルコの球根(塊根)を掘り出して、その重量(表3で重量と記す)並びに球根周囲の長さ(同、周囲長と記す)を測定した。そして、球根の平均重量(同、平均重量と記す)およびコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)、並びに、球根の平均周囲長(同、平均周囲長と記す)およびコントロールに対する長さ比(同、長さ比と記す)を算出した。これら結果を表3にまとめた。 【0057】 【表3】
【0058】表3の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてアカプルコの土壌処理を行うことにより、該アカプルコの球根の肥大が促進されることが判った。 【0059】〔実施例4〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてチューベローズの処理を行った。先ず、チューベローズの球根を圃場に植え付けた。次いで、互いに生長状態がほぼ揃っているチューベローズを選択して摘花を行った後、該チューベローズ3本に、濃度が3×10-5モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を所定量撒布することにより、茎葉処理を行った。また、上記水溶液の代わりに水を所定量撒布したチューベローズ3本をコントロールとした。 【0060】茎葉処理を行ってから2か月間経過後、チューベローズの球根(塊根)を掘り出してその重量を測定し、平均重量(同、平均重量と記す)およびコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表4にまとめた。 【0061】 【表4】
【0062】表4の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてチューベローズの茎葉処理を行うことにより、該チューベローズの球根の肥大が促進されることが判った。 【0063】〔実施例5〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてサトイモの処理を行った。先ず、互いにほぼ等しい重量を有するサトイモの種芋(塊茎)を2個用意し、一方の種芋を濃度が3×10-5モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液に3時間浸漬することにより、浸漬処理を行った。他方の種芋には上記処理を行わなかった。次いで、これら種芋を圃場に植え付けた。両者の植え付け間隔は、約60cmとした。 【0064】そして、2か月間経過後、圃場に植え付けた種芋のうち、浸漬処理を行った種芋に、濃度が3×10-5モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を所定量撒布することにより、茎葉処理を行った。浸漬処理を行わなかった種芋には、茎葉処理を行わなかった。 【0065】茎葉処理を行ってから3か月間経過後、全てのサトイモを掘り出して、収穫量、即ち、芋(塊茎)の重量を測定し、サトイモの全重量(表5で、全重量と記す)、および、コントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表5にまとめた。 【0066】 【表5】
【0067】表5の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてサトイモの浸漬処理および茎葉処理を行うことにより、該サトイモの芋の肥大が促進されること、つまり、収穫量が増加することが判った。 【0068】〔実施例6〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いて二十日ダイコンの処理を行った。先ず、11月28日に二十日ダイコンの種(多数)を34cm×68cmの大きさのプランター2つにまばらに播き、室温で育成した。2か月間経過後、プランター1つ当たりの二十日ダイコンの本数が約40本となるように、間引きを行った。そして、2月12日に、二十日ダイコンの根茎が、発達する直前の状態となったので、一方のプランターに植えられている二十日ダイコンに対して、以下の処理を行うと共に、他方のプランターに植えられている二十日ダイコンをコントロールとした。 【0069】即ち、一方のプランターの二十日ダイコンに、濃度が3×10-5モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を800ml(1本当たり20ml)撒布することにより、茎葉処理を行った。その翌日、茎葉処理を行った二十日ダイコンのうちの5本に対して、該二十日ダイコンの茎に、濃度が2×10-2モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を、シリンジを用いて10μlづつ注入することにより、注入処理を行った。また、茎葉処理を行った二十日ダイコンのうちの他の5本に対して、該二十日ダイコンの葉の先端を約1cm切断した後、該切断部を濃度が5×10-5モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った。 【0070】3月6日に全ての二十日ダイコンを掘り出して、プランターごとの二十日ダイコンの全重量(表6で全体重量と記す)、並びに、根(塊根)の全重量(同、全大根重量と記す)を測定した。そして、二十日ダイコン1本当たりの根の重量(同、平均重量と記す)、およびコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。これら結果を表6にまとめた。 【0071】 【表6】
【0072】表6の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いて二十日ダイコンの茎葉処理や注入処理、浸漬処理を行うことにより、該二十日ダイコンの根の肥大が促進されることが判った。また、茎葉処理と、注入処理または浸漬処理とを併用することにより、二十日ダイコンの根の肥大がより一層促進されることが判った。 【0073】〔実施例7〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いて春作のジャガイモ(メークイン)の処理を行った。先ず、ノニオン系界面活性剤(米国,Valent社製、商品名:X−77)を20ppmの割合で含む、濃度が3×10-5モル/Lであるインドール−3−酪酸水溶液を調製した。次に、互いにほぼ等しい大きさのジャガイモを複数個用意し、該ジャガイモのうちの半分を上記水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った。残りのジャガイモには上記処理を行わなかった。次いで、これらジャガイモを2つに切った(2等分した)後、処理を行った方を10株(個)、処理を行わなかった方を15株(個)、3月8日に圃場に植え付けた。畝幅は1m、植え付け間隔は40cmとした。 【0074】そして、凡そ3か月間経過後(6月上旬)、全てのジャガイモを掘り出して、収穫量、即ち、ジャガイモ(塊茎)の重量を測定し、1株当たりのジャガイモの平均個数(表7で1株個数と記す)、1株当たりのジャガイモの平均重量(同、1株重量と記す)、および、1株当たりのジャガイモのコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表7にまとめた。 【0075】 【表7】
【0076】表7の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてジャガイモ(メークイン)の浸漬処理を行うことにより、該ジャガイモの塊茎の肥大が促進されること、つまり、収穫量が38%増加することが判った。 【0077】〔実施例8〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いて秋作のジャガイモ(出島)の処理を行った。先ず、互いにほぼ等しい大きさのジャガイモを複数個用意し、該ジャガイモのうちの半分を実施例7と同一組成の水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った。残りのジャガイモには上記処理を行わなかった。次いで、これらジャガイモを切らずに15株(個)ずつ、8月28日に圃場に植え付けた。畝幅は1m、植え付け間隔は40cmとした。 【0078】そして、凡そ3か月間経過後(12月上旬)、全てのジャガイモを掘り出して、収穫量、即ち、ジャガイモ(塊茎)の重量を測定し、1株当たりのジャガイモの平均個数(表8で1株個数と記す)、1株当たりのジャガイモの平均重量(同、1株重量と記す)、および、1株当たりのジャガイモのコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表8にまとめた。 【0079】 【表8】
【0080】表8の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてジャガイモ(出島)の浸漬処理を行うことにより、該ジャガイモの塊茎の肥大が促進されること、つまり、収穫量が49%増加することが判った。 【0081】〔実施例9〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いて秋作のジャガイモ(男爵)の処理を行った。先ず、互いにほぼ等しい大きさのジャガイモを複数個用意し、6つのグループに分けた。 【0082】そして、第1のグループのジャガイモは、2つに切った(2等分した)後、実施例7と同一組成の水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った。第2のグループのジャガイモは、ノニオン系界面活性剤(X−77)を20ppmの割合で含む、濃度が5×10-6モル/Lであるインドール−3−酪酸水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った後、2つに切った(2等分した)。第3のグループのジャガイモは、界面活性剤(東邦化学工業株式会社製、商品名:Sorpol 7157)を1ppmの割合で含む、濃度が3×10-5モル/Lであるインドール−3−酪酸水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った後、2つに切った(2等分した)。第4のグループのジャガイモは、界面活性剤(Sorpol 7157)を10ppmの割合で含む、濃度が3×10-5モル/Lであるインドール−3−酪酸水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った後、2つに切った(2等分した)。第5および第6のグループのジャガイモは、2つに切った(2等分した)。次いで、これら6つのグループのジャガイモを、8月28日に圃場に植え付けた。畝幅は1m、植え付け間隔は40cmとした。 【0083】そして、上記第5のグループのジャガイモに対しては、地上部が10葉程度に生長した段階(9月29日)で、ノニオン系界面活性剤(X−77)を20ppmの割合で含む、濃度が5×10-5モル/Lであるインドール−3−酪酸水溶液を120ml/m2 の撒布量で以て撒布することにより、茎葉処理を行った。尚、第6のジャガイモには上記浸漬処理および茎葉処理を行わなかった。 【0084】そして、植え付けてから凡そ3か月間経過後(12月上旬)、全てのジャガイモを掘り出して、収穫量、即ち、ジャガイモ(塊茎)の重量を測定し、1株当たりのジャガイモの平均個数(表9で1株個数と記す)、1株当たりのジャガイモの平均重量(同、1株重量と記す)、および、1株当たりのジャガイモのコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表9にまとめた。 【0085】 【表9】
【0086】表9の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてジャガイモ(男爵)の浸漬処理や茎葉処理を行うことにより、該ジャガイモの塊茎の肥大が促進されること、つまり、収穫量が増加することが判った。 【0087】〔実施例10〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてダイコンの処理を行った。先ず、4月10日にダイコン(品種:おしん)の種子(多数)を、30cm間隔で播種して育成した。そして、地上部が10cm程度の高さに生長した段階(18日後)で、該ダイコンのうちの半分に、ノニオン系界面活性剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:Tween 80)を500ppmの割合で含む、濃度が5×10-5モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を85ml/m2の撒布量で以て撒布することにより、茎葉処理を行った。また、上記水溶液の代わりに水を所定量撒布した残りのダイコンをコントロールとした。 【0088】そして、播種してから凡そ2か月間経過後、全てのダイコンを引き抜いて、収穫量、即ち、ダイコンの地上部(茎葉)および地下部(塊根)の重量を測定し、1本当たりのダイコンの地上部平均重量(表10で地上部重量と記す)、1本当たりのダイコンの地下部平均重量(同、地下部重量と記す)、並びに、1本当たりのダイコンのコントロールに対する地上部および地下部の重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表10にまとめた。 【0089】 【表10】
【0090】表10の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてダイコンの茎葉処理を行うことにより、該ダイコンの塊根の肥大が促進されること、つまり、収穫量が地下部で62%増加することが判った。 【0091】〔実施例11〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてテッポウユリの処理を行った。先ず、9月中旬に、凡そ300個の球根(球根周囲長6cm〜7cm)を、幅1.1m、長さ5mの畝(2本)に植え付けた。そして、地上部が8cm程度の高さで15〜25葉程度に生長した段階(1月9日)で、該テッポウユリのうちの半分(一方の畝)に、ノニオン系界面活性剤(X−77)を20ppmの割合で含む、濃度が5×10-5モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を0.9L/m2 の撒布量で以て撒布することにより、茎葉処理を行った。また、上記水溶液の代わりに水を所定量撒布した残りのテッポウユリ(他方の畝)をコントロールとした。 【0092】そして、7月3日に、全ての球根を掘り出して、収穫量、即ち、テッポウユリの球根(塊根)の総重量を測定し、100個当たりの球根の重量(表11で100個重量と記す)、および、該球根のコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表11にまとめた。 【0093】 【表11】
【0094】表11の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてテッポウユリの茎葉処理を行うことにより、該テッポウユリの球根(塊根)の肥大が促進されること、つまり、収穫量が23%増加することが判った。 【0095】〔実施例12〕本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてチューリップの処理を行った。先ず、10月18日に、凡そ800個の球根(品種:オックスフォード(赤花)、球根周囲長10cm)を、5cm間隔で植え付けた。そして、地上部が10cm程度の高さで2〜3葉程度に生長した段階(4月上旬)で、該チューリップのうちの半分に、ノニオン系界面活性剤(Tween 80)を500ppmの割合で含む、濃度が5×10-5モル/Lである4−クロロインドール−3−酢酸水溶液を400ml/m2 の撒布量で以て撒布することにより、茎葉処理を行った。また、上記水溶液の代わりに水を所定量撒布した残りのチューリップをコントロールとした。 【0096】そして、8月上旬に、全ての球根(塊根)を掘り出して、該チューリップの球根の周囲長を測定し、大きさ毎に集計した。結果を表12にまとめた。 【0097】 【表12】
【0098】表12の結果から明らかなように、本発明にかかる塊根・塊茎肥大促進剤を用いてチューリップの茎葉処理を行うことにより、該チューリップの球根(塊根)の肥大が促進されること、つまり、周囲長が13cm以上の球根の個数が増加することが判った。 【0099】〔実施例13〕実施例7と同様にして春作のジャガイモ(メークイン)の処理を行った。先ず、ノニオン系界面活性剤(X−77)を20ppmの割合で含む、濃度が3×10-5モル/Lであるインドール−3−酢酸水溶液を調製した。次に、互いにほぼ等しい大きさのジャガイモを複数個用意し、該ジャガイモのうちの半分を上記水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った。残りのジャガイモには上記処理を行わなかった。次いで、これらジャガイモを2つに切った(2等分した)後、処理を行った方を10株(個)、処理を行わなかった方を12株(個)、3月上旬に圃場に植え付けた。畝幅は1m、植え付け間隔は40cmとした。 【0100】そして、凡そ3か月間経過後(6月上旬)、全てのジャガイモを掘り出して、収穫量、即ち、ジャガイモ(塊茎)の重量を測定し、1株当たりのジャガイモの平均個数(表13で1株個数と記す)、1株当たりのジャガイモの平均重量(同、1株重量と記す)、および、1株当たりのジャガイモのコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表13にまとめた。ジャガイモ(メークイン)の収穫量は、29%増加した。 【0101】 【表13】
【0102】〔実施例14〕実施例7と同様にしてサトイモの処理を行った。先ず、ノニオン系界面活性剤(X−77)を20ppmの割合で含む、濃度が5×10-5モル/Lであるインドール−3−酢酸水溶液を調製した。次に、互いにほぼ等しい大きさのサトイモを複数個用意し、該サトイモのうちの半分を上記水溶液に2時間浸漬することにより、浸漬処理を行った。残りのサトイモには上記処理を行わなかった。次いで、処理を行ったサトイモを12株(個)、処理を行わなかったサトイモを11株(個)、4月上旬に圃場に植え付けた。畝幅は1m、植え付け間隔は30cmとした。 【0103】そして、凡そ7か月間経過後(11月上旬)、全てのサトイモを掘り出して、収穫量、即ち、芋(塊茎)の重量を測定し、1株当たりのサトイモの平均個数(表14で1株個数と記す)、1株当たりのサトイモの平均重量(同、1株重量と記す)、および、1株当たりのサトイモのコントロールに対する重量比(同、重量比と記す)を算出した。結果を表14にまとめた。サトイモの収穫量は、22%増加した。 【0104】 【表14】
【0105】 【発明の効果】本発明の請求項1記載の塊根・塊茎肥大促進剤は、以上のように、一般式(1) 【0106】 【化7】
【0107】(式中、Xは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表し、R1 は、−CHO基、−CH2 CHO基、−CH2 CN基、−COOR2 基、−CH2 COOR2 基、−CH2 CH2 COOR2 基、−CH (CH3)COOR2 基、−CH2CH2 CH2 COOR2 基、−CH (CH3)CH2 COOR2 基、−CH (CH3)CH2 CH2 COOR2 基、または−CH2 COCOOR2 基を表し、かつ、上記R2 は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、炭素数1〜4のアルキル基、単糖の配糖体またはオリゴ糖の配糖体を表す)で示されるインドール骨格含有化合物、一般式(2) 【0108】 【化8】
【0109】(式中、R3 は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、炭素数1〜4のアルキル基、単糖の配糖体またはオリゴ糖の配糖体を表し、R4 は、水素原子、塩素原子、メチル基またはヒドロキシメチル基を表す)で示されるベンゼン骨格含有化合物、および、一般式(3) 【0110】 【化9】
【0111】(式中、R5 は、ヒドロキシル基またはアミノ基を表す)で示されるナフタレン骨格含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む構成である。 【0112】本発明の請求項2記載の塊根・塊茎肥大促進剤は、以上のように、上記化合物がインドール骨格含有化合物である構成である。 【0113】これにより、野菜類や花卉類等の植物が有する塊根や塊茎の肥大を促進させるのに好適に用いることができる、安全性に優れかつ大量生産可能な塊根・塊茎肥大促進剤を提供することができるという効果を奏する。 【0114】本発明の請求項3記載の塊根・塊茎肥大促進剤は、以上のように、上記インドール骨格含有化合物が天然化合物である構成である。 【0115】本発明の請求項4記載の塊根・塊茎肥大促進剤は、以上のように、上記インドール骨格含有化合物が4−クロロインドール−3−酢酸および/またはそのエステルである構成である。 【0116】これにより、例えば植物に残留した場合においても、安全性により一層優れた塊根・塊茎肥大促進剤を提供することができるという効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598041795 【氏名又は名称】神戸天然物化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年(1999)3月24日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】原 謙三
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| 【公開番号】 |
特開平11−343205 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)12月14日 |
| 【出願番号】 |
特願平11−79983 |
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