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【発明の名称】 抗菌性材料
【発明者】 【氏名】立花 一弘

【要約】 【課題】耐久性、抗菌性に優れた抗菌性材料を提供する。

【解決手段】繊維表面にスルフォン基を付与し抗菌性を有する塩基とイオン結合させたことを特徴とする抗菌性材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 芳香族を含む繊維をスルホン化剤にてスルホン化して酸性基を付与し、この酸性基とイオン結合しうる塩基との構成よりなる抗菌性を有する不織布を主体にした抗菌性材料。
【請求項2】 スルホン基とイオン結合しうる塩基として第4級アンモニウム塩である塩である請求項1記載の抗菌性材料。
【請求項3】 スルホン基とイオン結合しうる塩基としてホスホニュウム塩化合物である請求項2記載の抗菌材料。
【請求項4】 芳香族を含む繊維として、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、スチレンブタジエン共重合物、エチレンスチレン共重合物、プロピレンスチレン共重合物等である請求項1、2、および3記載の抗菌性材料。
【請求項5】 スルホン化剤として無水硫酸(SO3)、発煙硫酸、濃硫酸、クロル硫酸でスルホン化して酸性基を付与し、この酸性基とイオン結合する塩基との構成よりなる繊維である請求項1、2、3、および4記載の抗菌性材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性材料に関するものであり、更に詳しくは酸性基としてスルホン基とイオン結合している塩基を有する抗菌成分を繊維表面に含有することを特徴とする抗菌性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、繊維製品を着用すると、汗、皮脂、あかなどの代謝老廃物が付着して、そこへ生活環境中のさまざまな細菌やかびにより腐敗現象を起こし、悪臭物質を発生する。従ってより清潔で、悪臭を漂わすことがなく、快適で安全な繊維製品の開発が望まれています。最近の抗菌防臭加工法は後処理加工法と原糸改良加工法に分けることができる。そのうち抗菌防臭加工としては後処理加工法が主である。(a)繊維を抗菌剤で処理する際、繊維と抗菌成分を架橋結合させ、反応樹脂で繊維表面に抗菌剤を熱固定させる方法、(b)抗菌剤を繊維表面に吸着固定させる方法、(c)有機シリコン系第4級アンモニウム塩を繊維表面の官能基とトリメトキシル基との共有結合により固定化させる方法(d)銀系の抗菌剤をバインダーによって繊維表面に固着させる方法等が挙げられる。しかしながら、いずれも次のような欠点を有している(a)の方法では反応樹脂で固着させるため繊維の風合いを著しく損ねたり、目標とする抗菌効果が得られていない。(b)の吸着法は洗濯性や耐ドライクリーニング性がなかったり、皮膚に障害をもたらしたりするという欠点を有している(c)は綿以外では発水性があり、吸水性を阻害する欠点を有している。(d)は繊維の風合いを損ねたり、耐洗濯性が劣り銀系粒子の脱落や変色が問題となっている。原糸加工法でも抗菌効果を満足に発揮できる物は未だできておらない。高い抗菌率と長時間の耐久性、低毒性と低刺激性であり、しかも、使用法が簡単であることが求められて要る。これらを全て満足できる抗菌繊維は未だ開発されていないのが現状である。
【0003】これらの要求特性のうちで、特に耐久性と毒性に関して問題があることが多い。これは一般にモノマー型抗菌剤は水や有機溶剤に対して溶解性が高く使用中に溶出して失活して耐久性を無くしたり、溶出した抗菌成分が皮膚に刺激を与えることになって要る。これらの改良として、ポリマーの主鎖又は側鎖に抗菌剤を固定化する試みが広く行われている。特開昭61−245378、特開平5−310820で公知となっている。しかしながら、これらの物は、抗菌効果の面で問題を残している。
【0004】高分子材料自体を抗菌性にする方法としては特開昭56−34203や特開昭61−245378さらに特開平5−310820ではポリエステル繊維を合成する際に抗菌成分と反応する酸性基を有するモノマー成分を第三成分として含むことを特徴としていることが開示されている。酸性基を有するモノマーとしては例えばスルホイソフタール酸、スルホテレフタール酸、スルホフタール酸、4−スルホナフタレンー2、7−ジカルボン等が挙げられている。
【0005】しかしながら、このようにして得られたポリエステル繊維は期待したような抗菌効果が得られていない。即ち抗菌性成分を繊維表面に存在させることで目的を達成することにあるが、抗菌成分と結合する酸性基を繊維表面に、抗菌性を十分発揮するに必要な量存在させることが事実上できていない。これは実用上酸性基を有するモノマーをポリエステル形成酸性成分中 10モル%以上必要であり、50モル%程度にすると樹脂特性が著しく変わってしまうことにある。
【0006】従来知られているような、抗菌剤モノマーを繊維原料に練り込み等で添加した場合では、抗菌剤が容易に溶出し、抗菌効果が短期間に消失したり、急激な抗菌剤の溶出で、皮膚障害が起こったりし未だ満足できる抗菌性が得られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は抗菌性が良好なことは勿論の事、その効果が長時間維持され、安全性も高く、更に繊維の風合いを損なう事の少ない抗菌材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段としては、繊維表面に抗菌性組成物が効果良く存在することを特徴とする抗菌材料である。繊維表面に抗菌組成物が存在するために、スルホン化剤にてスルホン化して繊維表面に酸性基を付与することを特徴とする。上記繊維組成物として芳香族を含む合成高分子であり、ポリスチレン、ポリエステル、スチレン共重合物、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンであり、これらを2種類以上併用することもできることを特徴とする。また、上記芳香族を含む合成高分子と芳香族を含まない高分子からなる繊維と複合化した繊維をスルホン化剤でスルホン化して繊維表面に酸性基を付与し抗菌性を有する塩基とイオン結合させたことを特徴とする。
【0009】本発明でいう抗菌成分は酸性基と反応し得る抗菌性化合物であればいずれでも良く、従来から知られた抗菌剤の中から適宜選択することができる。酸性基と反応して抗菌性を有する塩基として代表的なものとして挙げることが出来る例として、アミジン塩基、グアニジン塩基、第4級アンモニュウム塩、第4級ホスホニュウム塩等がある。アミジン基を含有する化合物としては、 スチルバミジンイソチオン酸塩、グアニジン基を含有する化合物としてクロールヘキシジンなどを、第4級アンモニュウム塩としては、ベンザルコニウムクロライド、ジメチルジミリスチルアンモニュウムブロマイドなど、第4級ホスホニュウム塩としては、テトラブチルホスホニュウムクロライド、トリブチルオクチルホスホニュウムブロマイドなどをそれぞれ挙げる事が出来るが、これらの化合物は1例であり、上記以外の化合物、誘導体も適用でる ことは言うまでもない。これらの化合物の中から安全性が高く、且つ抗菌性の高いものを目的に応じて選択すれば良い。
【0010】本発明で使用される不織布はポリスチレン系合成樹脂繊維を含むシート状物である。例えば前述したポリスチレン系合成樹脂繊維からなる不織布、同繊維からなる織布もしくはこれら不織布および織布で複合化された複合シートを挙げることが出来る。前期不織布は、例えば乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等によって作成される。このような方法のうち、スパンボンド法、メルトブロー法は繊維径の細い不織布を作成することが出来るため、表面積が多くなり後のスルホン化で多くの酸性基を付与することが出来、それに相当する塩基と結合することが出来、抗菌効果を容易に発現することが出来ることより好ましい。
【0011】ポリスチレン系合成樹脂繊維と複合化される合成樹脂繊維としてはポリオレフィン系合成樹脂繊維を挙げることが出来る。前期ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることが出来る。
【0012】前記シート状物が抗菌材料として効果を示すのは表面に存在する抗菌剤の量で決まってくる。抗菌効果を発揮する塩基とイオン結合する表面にある酸性基を面積当たりのイオン交換当量として表すのが適正である。酸性基を形成するスルホン基の程度を表すのにカリウムイオン交換量で1〜50meq/m2であることが好ましい。前記イオン交換量を1meq/m2未満にすると、抗菌性を発揮するに必要な塩基が結合する酸性基が不足することになり抗菌効果が低下する恐れがある。50meq/m2を越えると、前記シート状物の強度を低下させたり、著しく着色する恐れがある。
【0013】カリウムイオン交換量は以下に説明する滴定により求められる。先ずシート状物約1gを広口瓶に取り、0.1N−KOH溶液を10mlを加え、蒸留水を100mlで希釈した後60℃の恒温槽に1時間攪拌しながら保存する。シート上物試料を取り出し、室温になるまで放冷する。放冷後の試験溶液を、フェノールフタレインを指示薬として、0.1N−HCL溶液で中和滴定する。また、ブランク試験溶液も同様に操作して滴定する。このような滴定によりカリウムイオン交換量を下記数1に示す式により算出する。
【数1】

a;0.1NのHCLの力価b;SO3Hを中和するに要した滴定量W;シート状物の乾燥重量(g)
面積当たりのカリウムイオン交換量(meq/m2)=meq/g×目付(g/m2
【0014】
【発明の実施の形態】このようにして本発明の抗菌性材料が得られる。抗菌性を発現する抗菌性組成物を繊維表面に存在させることで十分な抗菌性を発揮すると同時に、抗菌材の溶出も抑制されるため、安全性や持続性の点でも、優れた抗菌材料を得ることができる。
【0015】優れた抗菌性、安全性という特長を生かして、生活の身の回りの抗菌性が要求される分野に利用できる。これらの具体的な抗菌材料としての用途は、例えば、家屋の壁材、天井材や包装材、衣料材、寝具さらにオムツ、ガーゼ、マスク、等の衛生用品、クリーンルームのフィルターが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。実施例中、部とあるのはすべて重量部を表す。
<不織布の製作>本発明に使われる不織布は次のようにして製作した。ポリスチレンとポリプロピレンとを重量で1:1の比で混合して熔融し、この熔融物より直径が約10ミクロンメーターの繊維からなる不織布を製作した。この不織布は目付重量が60g/m2であり、厚さが0.20mmであった。この不織布を濃硫酸と反応させて、ポリスチレンの芳香環にスルフォン化処理を行った。反応後この不織布を水洗しKOHかNaOHで中和して乾燥した。このようにして不織布の表面に酸性基を付与した。その量はイオン交換当量で表すことができる。
【0017】(実施例1)予めN,N−ジメチルN,N−ジミリスチルアンモニュウムブロマイドの2%水溶液を製作しておき、前記のようにしてスルフォン化したイオン交換量の異なる不織布を浸漬して反応させた。反応終了後水洗し乾燥して抗菌性材料とした。
【0018】(実施例2)実施例1と同様にして予め作った、トリーエチルオクタデシルホスホニュウムブロマイドの2%水溶液に前記と同様にして製作したイオン交換量の異なる不織布を浸漬し反応させた。反応終了後水洗して乾燥し抗菌材料を得た。
【0019】(比較例1)ポリプロピレンよりなる繊維で直径が約10ミクロンメーターで目付重量が60g/m2であり、厚さ0.20mmの不織布を用意した。
【0020】(比較例2)比較例1で用意した不織布を2%N、N−ジメチルN、Nージミリスチルアンモニュウムブロマイド水溶液に浸漬した後、水洗し、乾燥して 比較例2を得た。
【0021】
【発明の効果】本発明の抗菌材料は良好な抗菌性を示し、さらにその効果が長時間の溶出操作後でも維持することができ安全性の点でも優れていた。本発明に係わる抗菌材料は、病院や食品工場の壁材や天井材、クリーンルームのフィルターとしてや、マスク、オムツガーゼ等の衛生用品、衣料品の分野で抗菌効果を得ることが出来る。
【0022】
【表1】

*-1:NN-ジメチルNN-ジミリスチルアンモニュムウムブロマイド*-2:トリエチルオクタデシルホスホニュムブロマイド○:発育阻止帯がある△: 発育阻止帯があるが、かなり不透明の部分がある×:菌の発育阻止帯がない抗菌性(ハローテスト):黄色ブドウ球菌1×108個/mlの濃度のものをトリプトソイヤー寒天100mlに0.1mlの比で混合したものを用意する。次に、ペトリ皿に10mlを入れて薄層培地を作り、その上に3cm×3cmの大きさの試験片を置き、37℃の孵卵器に24時間入れ培養する。菌の発育を観察し、抗菌性の判定を行った。
評価方法:a,洗濯法家庭用電気洗濯機を用い、アタック(花王(株)製)2g/l,20℃、浴比1:50で5分間洗濯し、その後脱液、脱水後、オーバーフォローさせながら5分間すすぎをする。これを洗濯回数1回とする。今回のテストでは5回行った。
b,ドライクリーニング回転式ドライクリーニング機を用い、パークレン3.7l,常温、浴比1:12で、15分間行う。その後脱液し、ドラフト内で風乾する。これをドライクリーニング1回とする。今回のテストでは5回行った。
【出願人】 【識別番号】598031763
【氏名又は名称】立花 一弘
【出願日】 平成10年(1998)2月23日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−240807
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−57439