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【発明の名称】 農薬製剤
【発明者】 【氏名】廣川 隆志

【氏名】清野 亨治

【氏名】鈴木 郁夫

【要約】 【課題】本発明が解決しようとする課題は、取り扱いにくい農薬成分に使用者が直接触れることなく、また混合製剤化が困難な、複数の農薬成分を用いる場合であっても、散布する農薬成分の計量も容易、且つ正確に行える農薬製剤を提供することにある。

【解決手段】農薬成分を樹脂と溶剤に溶解又は分散し、これを水溶性フィルムに印刷し、該水溶性フィルムに農薬成分を担持させてなる農薬製剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 農薬成分を樹脂と溶剤に溶解又は分散し、これを水溶性フィルムに印刷し、該水溶性フィルムに農薬成分を担持させてなる農薬製剤。
【請求項2】 水溶性フィルムがポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールを主成分として成ることを特徴とする請求項1に記載の農薬製剤。
【請求項3】 印刷がスクリーン印刷で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の農薬製剤。
【請求項4】 農薬成分を樹脂と溶剤に溶解又は均一に分散し、次いで、これを水溶性フィルムに印刷することを特徴とする農薬成分担持水溶性フィルムの製造方法。
【請求項5】 水溶性フィルムがポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールを主成分として成ることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】 印刷をスクリーン印刷で行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農薬成分を樹脂と溶剤に溶解又は分散し、これを水溶性フィルムに印刷して、該水溶性フィルムに農薬成分を担持させてなる農薬製剤、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、農薬は種々の剤型、例えば粒剤、水和剤等に製剤され散布されている。しかし、最近では、農薬散布の省力化、作業者への安全性、汚染廃容器の削減等を目的として、粒剤等の農薬製剤を水溶性フィルムにより包装した物や、農薬成分を水溶性樹脂や水溶紙等に含浸又は塗布した農薬製剤、例えば、【0003】■ プルラン系樹脂に農薬成分を含浸させ、フィルム状、シート状等に成形した農薬製剤(特開昭59−204101号公報)、■ 繊維状カルボキシメチルセルロースに農薬成分を含浸又は塗布した農薬製剤(特開平1−19002号公報)、【0004】■ 繊維状カルボキシメチルセルロースよりなる水溶紙、又は当該水溶紙と製紙用繊維との混合物よりなる水溶紙に農薬成分を含浸又は塗布した農薬製剤(特開平5−97603号公報)等が知られている。
【0005】これら■〜■の農薬製剤は、農薬散布の省力化、作業者への安全性、汚染廃容器の削減等を改善してはいるが、例えば、フィルム単位面積当たりに、農薬成分を均一に含浸又は塗布させることが困難なために、フィルムを切って少量使用したい場合には、正確な農薬成分の計量がしにくい問題点がある。
【0006】またこれらの使用に際しては、製剤中の農薬に使用者が全く接触しないですむ訳ではなく、更に、■や■の農薬製剤は、水和剤のようにスプレー散布する施用法には適用できないという施用上の問題も有している。このように従来の含浸又は塗布して得られる農薬製剤は、農薬施用における省力化を、十分満足させるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、取り扱いにくい農薬成分に使用者が直接触れることなく、また混合製剤化が困難な、複数の農薬成分を用いる場合であっても、散布する農薬成分の計量も容易、且つ正確に行える農薬製剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、農薬成分を樹脂と溶剤に溶解又は分散し、これを水溶性フィルムに印刷して、当該フィルムに農薬成分を担持させてなる農薬製剤が、従来賞用されてきた省力性能に加え、農薬施用時における正確な農薬成分の計量、散布等の作業性を改善できる農薬製剤であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、(1)農薬成分を樹脂と溶剤に溶解又は分散し、これを水溶性フィルムに印刷し、該水溶性フィルムに農薬成分を担持させてなる農薬製剤、(2)水溶性フィルムがポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールを主成分として成ることを特徴とする(1)に記載の農薬製剤、【0010】(3)印刷がスクリーン印刷で行うことを特徴とする(1)又は(2)に記載の農薬製剤、(4)農薬成分を樹脂と溶剤に溶解又は均一に分散し、次いで、これを水溶性フィルムに印刷することを特徴とする農薬成分担持水溶性フィルムの製造方法、【0011】(5)水溶性フィルムがポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールを主成分として成ることを特徴とする(4)に記載の製造方法、及び、(6)印刷をスクリーン印刷で行うことを特徴とする(4)又は(5)に記載の製造方法を含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で農薬成分と共に用いられる、即ち、インキバインダーとして使用される樹脂は、水に溶解する性質と水以外の溶剤にも溶解する性質を兼備する樹脂が適している。即ち、本発明では、水溶性フィルム上に農薬成分を印刷するため、印刷するときに水溶性フィルムが溶解しない溶剤に樹脂を溶かして使用する必要があり、また印刷された樹脂は最終的に水に溶解することが好ましいため、水に対する溶解性も備えていることが好ましい。
【0013】本発明に用いられる、水に溶解する性質と水以外の溶剤にも溶解する性質を兼備する樹脂としては、具体的には、部分ケン化ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、ローカストビーム等の多糖類、【0014】ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、水溶性ポリエーテル(ポリエチレンオキシド、ポリアルキレングリコールとモノメチルエーテルとグリシジルメタクリラートからなる重合物、脂肪族ヒドロキシル基含有物とアルキレンオキシドとグリシドールからなる重合物等)水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミド(ε-カプロラクタム、ナイロン66塩、イソフタル酸ジメチルエステル、【0015】5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、ヘキサメチレンジアミンからなる重合物、N,N’-ジ(γ-アミノプロピル)ピペラジンアジパート、ε-カプロラクタム、n-ブチルアミンからなる重合物、6.6-ビス(N,N’-ジメチルアミノ)メチル-4,8-ジオキサ-1,11ウンデカンジアミンとアジピン酸からなる重合物等)、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0016】これらの樹脂は、水溶性でかつ特定の溶剤に溶解するので、本発明の印刷用インクのバインダー樹脂として用いるのに適している。これらの樹脂を単独又は混合して使用することにより、水溶性や粘度等の特性を調整できる。樹脂の形状としては、液状、粉状、粒状等のものを使用することができる。上記の樹脂以外に、必要により粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、無機物、界面活性剤、安定剤、香料等の添加剤を適宣用いることができる。
【0017】本発明で農薬成分を樹脂と溶剤に溶解又は分散させる際に用いられる溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類、セルソルブアセタート、ブチルセルソルブアセタート等のセルソルブ類等が挙げられ、水も水溶性フィルムとインクバインダーとの接着性を向上させる目的で、水溶性フィルムが溶解しない範囲で添加することができる。
【0018】本発明で使用される農薬成分としては、除草性化合物、殺虫性化合物、殺菌性化合物、植物調節剤等、従来の公知慣用の製剤で施用することのできるものなら、特に制限無く使用することができる。農薬成分の粒径としては、平均1μm〜50μmであり、印刷に用いられる溶剤に溶解又は分散させる。
【0019】例えば、除草性化合物としては、ピリブチカルブ、MCP、MCPB、CNP、フェノチオール、クロメプロップ、クロメトキシニル、ビフェノックス、MCC、ベンチオカーブ、エスプロカルブ、モリネート、DCPA、ブタクロール、プレチクラクロール、メフェナセット、ダイムロン、プロメトリン、ピラゾレート、トリフラリン、ACN等が、殺虫性化合物としては、MPP、MEP、ダイアジノン、ビフェントリン、クロルピリホスメチル、マラソン、PAP、ジメトエート、PMP、BRP、EPN、NAC、MTMC、BPMC、XMC、ベンフラカルブ、チオジカルブ、エトフェンプロックス、ベンスルタップ等が挙げられる。
【0020】殺菌化合物としては、イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、塩基性塩化銅、キャプタン、TPN、フサライド、IBP、チオファネートメチル、イプロジオン、フルトラニル、メタキシル、トリフミゾール、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、MAF、MAFE、プロペナゾール、ピロキオン等が、植物調節剤としては、イナベンフィド、オキシエチレンドコサノール、ニコチン酸アミド、ベンジルアミノプリン等が挙げられる。
【0021】本発明に用いる農薬成分を含む印刷インキの成分組成比は、用いるバインダー樹脂や溶剤の種類、農薬成分によっても異なるが、一般にバインダー樹脂100重量部(以下、単に部という。)に対して、農薬成分0.1〜1000部、好ましくは5〜800部、各種の添加剤0〜20部、好ましくは0.3〜15部である。本発明に係る農薬製剤としては、最終的に農薬成分0.1〜90部、水溶性フィルム10〜95部からなる組成が好ましい。
【0022】溶剤量は、使用するバインダー樹脂の種類、農薬成分の種類やその添加量によってインキ組成物の性状が異なること、印刷しようとする単位面積当たりの製剤の農薬成分量の多少によっても異なることなど一概に特定することはできないが、バインダー樹脂100部に対して、一般に25〜900部、好ましくは60〜550部である。900部以上の溶剤を使用しても品質にそれほど影響はないが、溶剤が増えただけ不経済となる。また25部以下の使用量では、インキの乾燥が早すぎるために刷板の目詰まりを生じやすくなり、作業性が悪くなる。
【0023】本発明の農薬成分を含有する水溶性フィルムの単位面積当たりの農薬成分量は、インキ中の農薬成分濃度と、印刷するインキの厚みによって調整することができる。1回の印刷で得られるインキ厚みは、通常0.005〜1.5mm、好ましくは0.01〜1mmである。インキ厚みが0.005mm以下では膜厚コントロールが難しく、満足できる均一な厚みが得られない。1.5mm以上ではインキの乾燥が極端に遅くなり量産性に乏しい。
【0024】本発明で用いられる水溶性フィルムの素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、プルラン等が挙げられ、中でも冷水に容易に溶解するポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルムが好ましい。また、これらの水溶性フィルムにグリセリン、エチレングリコール等の可塑剤を添加したものを用いても良い。
【0025】ポリビニルアルコール系樹脂からなる水溶性フィルムである市販のソルブロンKA#40、ソルブロンKB#40、ソルブロンKC#40(アイセロ化学株式会社製)、ハイセロンS−400、ハイセロンC−200(日合フィルム株式会社製)、トスロンET−20(東セロ株式会社製)等の水溶性フィルムをそのまま使用することもできる。水溶性フィルムの膜厚は、10μm〜500μmが可能であるが、製造法及び使用時の冷水への溶解性等を考慮すると、使用する水溶性フィルムの膜厚は20μm〜100μm程度が好ましい。
【0026】農薬成分の水溶性フィルムへの印刷には、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等の公知慣用の印刷法を使用することができるが、■ 印刷されたインキの厚み調整が容易であること、■ スクリーンのオープニングを通過するものであればどのようなものでも印刷できること、■ 2剤以上の農薬製剤を各農薬製剤が接触することなく、同一フィルム上へ別々に印刷できること、等から特にスクリーン印刷が好ましい。
【0027】スクリーン印刷用の印刷版の膜厚としては、10μm〜500μmが好ましく、またスクリーンメッシュとしては、50〜300メッシュが好ましい。使用者が、農薬成分を印刷担持した水溶性フィルムのインキ部分を直接手で触れることを防止するために、更に印刷を施していない水溶性フィルムで農薬成分を印刷担持した水溶性フィルムをラミネートすることも可能である。
【0028】更に異なる2成分以上の農薬成分を同時に施用したいときには、異なる農薬成分を印刷した水溶性フィルムを必要な種類だけラミネートすることも可能である。このときはポリビルニアルコール系樹脂からなる水溶性フィルムに限らず、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、水溶紙等も適宜利用できる。
【0029】本発明に係る農薬製剤の施用方法は、特に限定されないが、例えば面積10アールの水田に施用する場合、その面積に必要な有効成分量を担持した当該農薬製剤を5〜30枚程度に分割して投入すれば、水田内に均一に農薬有効成分をゆきわたらせることができるので、簡単な施用法で十分な効果をあげることができる。
【0030】また、水に希釈して施用する場合は、例えば10m2の面積に薬剤を散布する場合、散布タンクの10リットルの水に当該農薬製剤1〜20枚程度を投入するだけで、作業者が安全で簡単に散布液が調製でき、果樹、野菜等に充分な効果をあげることができる。
【0031】本発明に係わる農薬製剤は、複数の薬剤を混合することにより、各薬剤の安定性が懸念される薬剤等の、混合製剤化が困難な、複数の農薬成分を用いる場合であっても、各農薬成分を同一フィルムの異なる場所に印刷するか、又は各農薬成分を印刷した水溶性フィルムを複数重ねて使用することで容易に対応することができる。
【0032】また、農薬成分を担持させたフィルムの上に、更にフィルムを重ねることにより、人体に好ましくない、もしくは取り扱いにくい農薬成分をフィルムで保護することにより、使用者が直接触れず取り扱うことができる。更に使用に際して、フィルムをハサミ等で切断することにより、容易に任意の農薬成分量を調整できる等の利点を有する。次に、本発明を実施例及び試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】(実施例1)水溶性ポリアミド(A−90:東レ株式会社製)40部を水40部に溶解し、ブチルセルソルブ5部を添加した。更に脂肪酸アミド系粘度調整剤として(フローノンSH−290:共栄社油脂化学工業株式会社製)を3部添加、混合してスクリーン印刷インキを調製した。当該インキに、平均粒径3μmのピリブチカルブをインキ固形分に対して11部添加し、撹拌混合し農薬成分含有インキを調製した。
【0034】刷版として、150メッシュのポリエステル紗を張ったスクリーン枠に膜厚20μmのベタ柄の印刷版を作成した。次いで、ポリビニルアルコール系樹脂(ソルブロンKB#40:アイセロ化学株式会社製)水溶液をポリエステルフィルム上に塗布、乾燥して40μmのフィルムを形成し、その上に上記インキをスクリーン版を用いて印刷し、60℃の乾燥機で10分間乾燥した。
【0035】印刷したフイルムを乾燥した後、印刷されたインキの厚みを測定したところ30μmであり、ピリブチカルブの含有量は11.3%であった。これを5cm角に切り取り、ポリエステルフィルムをはがして20℃の水1リットル中に投入したところ、20秒で分散し始め、50秒で完全に溶解した。
【0036】(実施例2)水溶性ポリエーテル(アルコックスR-15:明成化学工業株式会社製)50部をイソプロピルアルコール60部とトルエン20部との混合溶剤に溶解し、特殊シリコーン系レベリング剤(ポリフローKL−245:共栄社油脂化学工業株式会社)2部、消泡剤として(フローレンAC−202:共栄社油脂化学工業株式会社製)0.5部を添加し、平均粒径10μmのベンスルフロンメチルを3部添加し、撹拌混合し農薬成分含有インキを調製した。
【0037】刷版として、80メッシュのポリエステル紗を張ったスクリーン枠に膜厚50μmのベタ柄の印刷版を作成した。次いで、実施例1と同様にして調整したポリビニルアルコール系樹脂(ソルブロンKB#40:アイセロ化学株式会社製)の40μmのフィルム上に、上記インキをスクリーン版を用いて印刷し、60℃の乾燥機で10分間乾燥した。フィルムを乾燥した後、印刷されたインキの厚みを測定したところ60μmであり、ベンスルフロンメチルの含有量は2.19%であった。これを5cm角に切り取り、20℃の水1リットル中に投入したところ、40秒で分散し始め、90秒で完全に溶解した。
【0038】(実施例3)ポリビニルピロリドン(ルビスコールVA:BASF社製)140部をイソプロピルアルコール70部とブチルセルソルブ10部との混合溶剤に溶解し、イミノクタジン酢酸塩をインキ固形分に対して35部添加し、撹拌混合し農薬成分含有インキを調製した。刷版として、150メッシュのポリエステル紗を張ったスクリーン枠に膜厚30μmのベタ柄の印刷版を作成した。次いで、実施例1と同様に調整したポリビニルアルコール系樹脂(ソルブロンKB#40:アイセロ化学株式会社製)の40μmのフィルム上に、上記インキとスクリーン版を用いて印刷し、60℃の乾燥機で10分間乾燥した。
【0039】フィルムを乾燥した後、印刷されたインキの厚みを測定したところ30μmであり、イミノクタジン酢酸塩の含有量は12.38%であった。農薬成分を印刷担時した水溶性フィルムのインキ部分を使用者が直接手で触れることを防止するため、印刷されたインキの粘着性を利用してポリビニルアルコール系水溶性フィルム(ソルブロンKL:アイセロ化学株式会社製)を貼り合わせた。これを5cm角に切り取り、20℃の水1リットル中に投入したところ、40秒で分散し始め、95秒で完全に溶解した。
【0040】(実施例4)ポリビニルメチルエーテル(ルトナールM−40:BASF社製エタノール70%溶液)160部をイソプロピルアルコール20部とブチルセルソルブ10部との混合溶剤に溶解し、イミノクタジンアルベシル酸塩を20部添加し、撹拌混合し農薬成分含有インキを調製した。刷版として、150メッシュのポリエステル紗を張ったスクリーン枠に膜厚30μmのベタ柄の印刷版を作成した。
【0041】次いで、実施例1と同様にして調整したポリビニルアルコール系樹脂(ソルブロンKB#40:アイセロ化学株式会社製)の40μmのフィルム上に、上記インキとスクリーン版を用いて印刷し、60℃の乾燥機で10分間乾燥した。フィルムを乾燥した後、印刷されたインキの厚みを測定したところ、30μmであり、イミノクタジンアルベシル酸塩の含有量は10.56%であった。これを5cm角に切り取り、20℃の水1リットル中に投入したところ、40秒で分散し始め、95秒で完全に溶解した。
【0042】(実施例5)刷版として、150メッシュのポリエステル紗を張ったスクリーン枠に、膜厚20μmで図1の市松模様を作成し、実施例1で作成した農薬成分含有の印刷インキを実施例1と同様にして調整したポリビニルアルコール系樹脂(ソルブロンKB#40:アイセロ化学株式会社製)40μmのフィルム上に印刷し、乾燥した。図中、白い部分はインキが印刷される部分であり、各白い部分の1辺が各々1cmの正方形である。
【0043】次に100メッシュのポリエステル紗を張ったスクリーン枠に、膜厚40μmの図2の市松模様を作成し、実施例2で作成した農薬成分含有の印刷インキを用いて印刷し乾燥した。フィルムを乾燥した後、それぞれの乾燥後の厚みは30μmと50μmであり、ピリブチカルブの含有量が6.0%、ベンスルフロンメチルの含有量が2.74%であった。これらの二つの農薬製剤は、互いに接触することなく印刷できた。最終的に2剤の農薬成分含有の印刷インキを印刷したフィルムを図3に示す。
【0044】(比較例1)プルラン(分子量10万)の10%水溶液30部に、25%イミノクタジン酢酸塩水溶液3部を分散させた水溶液をガラス板に流し、乾燥させたが、フィルム状の組成物は得られなかった。
【0045】(比較例2)プルラン(分子量10万)の10%水溶液30部に、47%ピリブチカルブ水和剤1部を分散させた流延溶液をガラス板に流し、乾燥させたが、フィルム状の組成物は得られなかった。
【0046】(比較例3)25%イミノクタジン酢酸塩水溶液10gをメタノール10ccに溶解して、イミノクタジン酢酸塩として2.5gを30cm×30cmのセルロース系水溶紙(ディゾルボ:三島製紙株式会社)に噴霧した。乾燥後、イミノクタジン酢酸塩を含浸させた水溶紙製剤を得た。
【0047】(比較例4)60%イミノクタジンアルベシル酸塩メタノール溶液5gをメタノール10ccに溶解して、イミノクタジン酢酸塩として2.5gを30cm×30cmのセルロース系水溶紙(ディゾルボ:三島製紙株式会社)に噴霧した。乾燥後、イミノクタジン酢酸塩を含浸させた水溶紙製剤を得た。
【0048】(比較例5)12%ピリブチカルブフロアブル剤(一振田助フロアブル:大日本インキ化学工業株式会社製)15ccを30cm×30cmのセルロース系水溶紙(ディゾルボ:三島製紙株式会社)に刷毛をもちいて塗布した。乾燥後、ピリブチカルブ10.38%を含浸させた水溶紙製剤を得た。
【0049】(比較例6)40%イミノクタジンアルベシル酸塩水和剤(ベルクート水和剤:大日本インキ化学工業株式会社製)1gを5ccの水に分散させて、30cm×30cmのセルロース系水溶紙(ディゾルボ:三島製紙株式会社)に刷毛をもちいて塗布した。乾燥後、ピリブチカルブフロアブルを含浸させた水溶紙製剤を得た。
【0050】(試験例1)実施例1〜4にて作成した製剤品と比較例4〜6にて作成した製剤品を10cm×10cmに切り取り、それぞれ5点づつを分析したところ、本発明の製剤品が均一性において優れていた。分析結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】(試験例2)散布試験実施例1〜6までの製剤品1gと比較例3〜6にて作成した製剤品1gをそれぞれ100ccの水に溶解して、4.7、8.6、18及び30メッシュの各種ふるいでろ過し、目詰まりの有無を調査した。通常、散布機のストレーナーは9〜20メッシュであり、9メッシュ以下で目詰まりを起こせば、散布機を使用した薬剤散布は不可能である。試験結果を表2に示す。表2の結果から、比較例のサンプルを用いた散布機での薬剤散布は不可能であることが判る。
【0053】評価結果は下記の3段階で評価した。
○:目詰まりなくふるいを通過した。
△:ふるいを通過するが、ろ過残物が残った。
×:目詰まりしてろ過ができなかった。
【0054】
【表2】

【0055】(試験例3)
ピリブチカルブの水田雑草に対する防除効果及び薬害試験水田圃場に1区10m2の大きさの試験区を作り、代かきを行った後、ノビエの種子を播種し、水稲(品種:日本晴)を移植した。30cm角に切り取った実施例1の農薬製剤を畦畔より4枚、投入した。施用30日後に、除草効果及び水稲の薬害について、下記の基準で評価した。尚、試験は、1処理区当たり2連制で行い、その平均値を求めた。その結果を表3に示す。表3から、本発明の農薬製剤は、十分な除草効果を発現し、また薬害のないことがわかる。
【0056】除草効果(A:残草率)
5:04:0<A≦103:10<A≦202:20<A≦401:40<A≦600:60<A【0057】水稲薬害0:薬害なし1:薬害小2:薬害中3:薬害大【0058】
【表3】

【0059】
【発明の効果】本発明に係る農薬製剤を用いることにより、■溶剤に難溶性の農薬成分についても簡便に水溶性フィルムに担持できる。
■農薬成分を容易に薄いフィルムに担持させることができることから、得られた農薬製剤の水溶解性が高くなる。このため、散布する際の散布液調製が容易になる。
■農薬成分を均一にフィルムに担持させることができる。このため、得られた農薬製剤の品質が向上し、また散布時の計量も正確にできる。
■混合製剤化が困難な、複数の農薬成分を用いる場合であっても、各農薬成分を同一フィルムの異なる場所に印刷するか、又は各農薬成分を印刷した水溶性フィルムを重ねて使用することで解決できる。
■農薬成分を担持させたフィルムの上に、更にフィルムを重ねることにより、取り扱いにくい農薬成分に使用者が触れずにすむ製剤が提供できる。
■使用に際して、フィルムをハサミ等で切断することにより、容易に任意の農薬成分量を調整できる。
【出願人】 【識別番号】000002886
【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
【識別番号】000100849
【氏名又は名称】アイセロ化学株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勝利
【公開番号】 特開平11−240806
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−41944