| 【発明の名称】 |
水田用殺菌剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】小川 雅雄
【氏名】大坪 敏朗
【氏名】津田 重典
【氏名】水口 敦雄
【氏名】高野 仁孝
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| 【要約】 |
【課題】湛水下水田での拡散性に優れ、種々の省力施用方法を行うことができる有用な殺菌剤を提供する。
【解決手段】農園芸用殺菌活性成分、界面活性剤、炭酸塩および水溶性固体酸を含有し、その炭酸塩および水溶性固体酸の合計重量が全重量に対して20〜85%であり、かつ、炭酸塩と水溶性固体酸との重量比が1:5 〜5:1 の範囲である水田用殺菌剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】農園芸用殺菌活性成分、界面活性剤、炭酸塩、水溶性固体酸、含水ケイ酸ならびに水溶性担体および水溶性高分子から選ばれる少なくとも1種からなり、該炭酸塩および該水溶性固体酸の合計重量が全重量に対して20〜85%であり、かつ、該炭酸塩と該水溶性固体酸との重量比が1:5 〜5:1の範囲である水田用殺菌剤。 【請求項2】農園芸用殺菌活性成分、界面活性剤、炭酸塩および水溶性固体酸を含有し、該炭酸塩および該水溶性固体酸の合計重量が全重量に対して20〜85%であり、該炭酸塩と該水溶性固体酸との重量比が1:5 〜5:1の範囲である水田用殺菌錠剤であって、該錠剤の直径が7〜60mm、厚さが1〜40mmおよび1錠当りの重量が0.3〜100gである水田用殺菌錠剤。 【請求項3】1錠当りの重量が1〜50gである請求項2に記載の水田用殺菌錠剤。 【請求項4】請求項1に記載の殺菌剤または請求項2もしくは3に記載の殺菌錠剤を10アール当り50〜2000g水田に投入することを特徴とする水田作物の殺菌方法。 【請求項5】10アール当りの施用量が500〜1000gである請求項4に記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、水田用発泡性殺菌剤に関するものである。 【0002】 【従来の技術】水田用発泡性製剤としては、特公昭47-27930号公報等に記載されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に記載の製剤は除草剤に関するものであり、また、拡散性が不充分であり、水田に施用した場合効力不足になる等の課題を抱えている。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような状況に鑑み、検討した結果、より有用な水田用殺菌剤を見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、農園芸用殺菌活性成分、界面活性剤、炭酸塩および水溶性固体酸を含有し、その炭酸塩および水溶性固体酸の合計重量が全重量に対して20〜85%であり、かつ、炭酸塩と水溶性固体酸との重量比が1:5 〜5:1 の範囲である水田用殺菌剤(以下、本発明殺菌剤と記す。)に関するものである。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明殺菌剤において、炭酸塩および水溶性固体酸の合計重量は全重量に対して40〜70%である方が好ましく、また、炭酸塩と水溶性固体酸との重量比は1:3〜3:1の範囲であるのが好ましい。 【0006】本発明殺菌剤に用いられる農園芸用殺菌活性成分は特に限定されないが、浸透移行性の高い化合物が好ましく、例えば次のような化合物があげられる。 (1) N-(1,1,3-トリメチル-2-オキサ-4-インダニル)-5-クロロ-1,3-ジメチルピラゾール-4-カルボキサミド(2) α,α,α-トリフルオロ-3-イソプロポキシ-o-トルアニリド(3) ジイソプロピル 1,3-ジチオラン-2-イリデンマロネート(4) 1,2,5,6-テトラヒドロピロロ[3,2,1-i,j]キノリン-4-オン(5) 3-アリルオキシ-1,2-ベンゾイソチアゾール-1,1-ジオキシド(6) O,O-ジイソプロピル-S-ベンジル チオホスフェート(7) 5-メチル-1,2,4-トリアゾロ[3,4-b]ベンゾチアゾール【0007】これらの園芸用殺菌活性成分を製剤化するに際して、フェニルキシリルエタン等の芳香族炭化水素、ケトン類、グリコールエーテル類およびそのアセテート等の高沸点溶媒を添加することもできる。上記の農園芸用殺菌活性成分は、必要に応じて一種だけ単独で、あるいは二種以上混合して用いられ、混合する場合、配合比は任意に選択することができる。これらの農園芸用殺菌活性成分の量は、活性成分の種類によって異なるが、一般的には全重量に対して0.1〜60%の範囲であり、好ましくは2〜50%である。 【0008】本発明殺菌剤に用いられる界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン酸縮合物、リグニンスルホン酸ナトリウム等のリグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、マレイン酸およびイソブチレンの共重合体のナトリウム塩等のカルボキシル基を有する共重合体のアルカリ金属塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤等をあげることができる。また、必要に応じてカチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等を用いてもよい。これらの界面活性剤は一種単独で、あるいは二種以上を任意の割合に混合して用いられる。本発明殺菌剤に用いられる界面活性剤の量は、通常、全重量に対して1〜40%、好ましくは3 〜20%である。 【0009】本発明殺菌剤に用いられる炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、セスキ炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素アンモニウム等があげられるが、特に炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが好ましい。上記炭酸塩は、単独または2種以上を任意の割合に組み合わせて用いられる。 【0010】また、本発明殺菌剤において用いられる水溶性固体酸としては、例えばクエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、アジピン酸、ホウ酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等があげられるが、特にマレイン酸が好ましい。これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を任意の割合に組み合わせて用いられる。 【0011】本発明殺菌剤には、必要に応じて乳糖、平均分子量6000〜20000のポリエチレングリコール粉末等の粉末状の水溶性担体、およびアラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、可溶性デンプン等の水溶性高分子を添加することもできる。 【0012】本発明殺菌剤は、農園芸用殺菌活性成分が固体の場合、農園芸用殺菌活性成分のみまたは界面活性剤、炭酸塩、水溶性固体酸のいずれかあるいはすべてと混合した後、ジェットマイザー、ピンミル、ハンマーミル等の乾式粉砕機で粉砕し、次に残りの成分を混合して製造することができる。農園芸用殺菌活性成分が液体であるか、もしくは溶媒を添加して液状になっている場合には、農園芸用殺菌活性成分を含水ケイ酸等の粉末状吸油性担体に吸油させた後、上記と同様の方法で製造すればよい。 【0013】このようにして得られる粉末状の本発明殺菌剤をそのまま使用しても構わないが、取り扱い面、安全面、環境面等から顆粒剤あるいは錠剤とすることが好ましい。ここでいう顆粒剤とは、粉末状の殺菌組成物を顆粒状に造粒したものであり、その形状は造粒法により異なり、円柱、球状を呈するものから不定形のものまで種々存在する。また、錠剤とは殺菌組成物を一定の形に圧縮して製造したものであり、形状は円盤型でふちどりのないもの、隅角、隅丸のもの、レンズ形でその曲率が浅いものから深いものまで、ピロー形、アーモンド形、フィンガー形、三角形、四角形、五角形、カプセル状のもの等種々存在する。 【0014】顆粒剤は、上記粉末状本発明殺菌剤をローラーコンパクター、ブリケッティングマシン等の乾式造粒機またはスラッグマシンを用いてシート状、ピロー状造粒物またはスラッグとし、これを整粒機等で解砕または破壊して得ることができる。乾式造粒機を使用するとき、回転ロール間に粉末組成物を入れ、30kg/cm2 以上、好ましくは50kg/cm2 以上の圧力をかける。この方法は水を使用しないので、製造過程で炭酸ガスの発生がなく、顆粒剤を水田に施用した時充分な発泡が見られる。上記顆粒剤の粒径は、約10000〜100μm、好ましくは約4000〜250μmの範囲である。 【0015】錠剤は、前記粉末組成物を一定重量ずつ臼に入れて打錠することにより得られるが、工業的には上記顆粒剤を使用してタブレッティングマシンまたはブリケッティングマシン等で打錠することにより一定重量の錠剤を連続的に得ることができる。錠剤の大きさは施用方法により異なるが、通常、直径約7〜60mm、厚さ1〜40mmの範囲であり、1錠当りの重量は約0.3〜100g、より好ましくは約1〜50gの範囲である。 【0016】本発明殺菌剤は湛水下水田に施用される。本発明殺菌剤の施用量は各有効成分の種類に依存し特に制限されるものではないが、通常10アール当り約50〜2000g、好ましくは約500〜1000gの範囲である。本発明殺菌剤は、なんら特殊な器具を使用することなく容易に施用することができる。例えば、施用者が水田に入り、均一にあるいは水田の1ヵ所以上の地点に本発明殺菌剤を施用したり、水田に入ることなく畦の辺や水田の水口に施用したり、畦から投入することにより有効成分を水田全体にいきわたせることができる。また、ヘリコプター、飛行機、ラジコンの飛行機等を用いて本発明殺菌剤を空中から散布することもできる。 【0017】本発明殺菌剤は、湛水下水田に施用した時炭酸ガスを発生して移動し、農園芸用殺菌活性成分が水田中、速やかにかつ均一に拡散するので水田の雑草に対して充分な殺菌効果を発揮し、また薬害も少ない優れた水田用殺菌剤である。また、本発明殺菌剤は従来の施用量(例えば粒剤の場合、10アール当り3000〜4000g)に比べて施用量を大幅に低減化できるため、製品の製造、輸送、保管および省力散布の面からも利用価値の高いものである。 【0018】 【実施例】次に、製剤例、比較例および試験例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、製剤例および比較例中の部は重量部を表わす。次に、製剤例を示す。 製剤例1化合物(1)6部、REAX 85A(Westvaco社製リグニンスルホン酸ナトリウム)27.5部、REAX 88B(Westvaco社製リグニンスルホン酸ナトリウム)1.5部、GEROPON SC-211(ローヌ・プーラン社製カルボキシ基を有する共重合体のナトリウム塩)5部、炭酸ナトリウム30部およびマレイン酸30部をジュースミキサーで良く混合した後、遠心粉砕機で粉砕した。次に、これをローラーコンパクターF-MINI型(フロイント産業(株)製乾式造粒機)を用いて50kg/cm2の圧力でシート状造粒物とした後、乳鉢と乳棒を用いて解砕し粒径が1000〜297 μmになるように整粒して顆粒剤を得た。 【0019】製剤例2製剤例1と同一の組成、同様の操作を行い、粒径が1680〜1000μmの顆粒剤を得た。 【0020】製剤例3化合物(2)28部、MOWET D425(DESOTO社製ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン酸縮合物)6部、Sorpol 5060(東邦化学株式会社製ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと粉末含水珪酸が1:1のスプレイドライ品)6部、炭酸ナトリウム30部およびフマル酸30部を用いて製剤例1と同様の操作を行い、粒径が1000〜297μmの顆粒剤を得た。 【0021】製剤例4製剤例1で得られた顆粒剤3gを直径30mmの打錠成型器に入れ、500kg/cm2の圧力で打錠して錠剤を得た。 【0022】次に比較例を示す。 比較例1化合物(1)1.5部、トクシールGU−N 0.3部、ベントナイト30部、カオリンクレー64.2部をジュースミキサーで良く混合した後、遠心粉砕機で粉砕した。その後、この混合物に水15部を加えて乳鉢と乳棒を用いて練合し、0.9mmΦのスクリーンの付いた押し出し造粒機で造粒し、整粒した後、60℃、10分間乾燥して1680〜297μmの粒剤を得た。 【0023】比較例2化合物(1)6部、トクシールGU−N 1.2部、Sorpol 5060 4部、ベントナイト30部、カオリンクレー58.8部をジュースミキサーで良く混合した後、遠心粉砕機で粉砕した。その後、この混合物に水15部を加えて乳鉢と乳棒を用いて練合し、0.9mmΦのスクリーンの付いた押し出し造粒機で造粒し、整粒した後、60℃、10分間乾燥して1680〜297μmの粒剤を得た。 【0024】試験例1第1図に示される様に、たて35cm、よこ53cmのアルミバットに3枚の仕切り板を入れ、このバットにイオン交換水7リットルを入れた。次に、製剤例1、2および比較例1、2で得られた組成物を有効成分量が1.2g/10アール相当になるように投入し、製剤例3で得られた組成物については有効成分量が210g/10アール相当になるように投入し、供試物の移動距離を以下の評価基準で目視で観察した。また、投入24時間後、投入位置から0cm、87cmおよび174cmであり、かつアルミバットの底から約0.5cmの地点の液25mlをホールピペットで採取し、水を蒸発させた後、ガスクロマトグラフィー(検出器:ECD)により有効成分量を求めた。その結果を表1に示す。
【0025】 【表1】
【0026】表1より、本発明殺菌剤は、比較例で示される鉱物質担体を用いた従来の粒剤等に比べて拡散性が優れていることは明らかである。 【0027】試験例21区19m2の水田で、出穂50日前の草丈約30cmの水稲の各株元にイネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani AG-1)の菌核を接種した。次いで、出穂2週間前に製剤例1の組成物を製剤量で1kg/10a相当になるように水面施用した。薬剤処理後36日目と47日目に30株の株内最高病班高を測定し、下記の指数を与えて発病度を計算し、さらに、防除価を下記の式にて計算した。なお、試験は3反復行った。その結果を表3に示す。 【表2】
発病度(%)=(実際の指数の合計)×100/(最高の指数(6)×調査本数(30)) 次いで、下記の式により防除価を算出した。 防除価(%)=(無処理区の発病度−薬剤処理区の発病度)×100/(無処理区の発病度) 【表3】
上記の結果より、本発明殺菌剤は製剤量で1kg/10a相当と省力散布を行なった場合でも良好な効力を示し、有用であることが明らかとなった。 試験例3製剤例1において製剤された顆粒剤を遠心粉砕機で粉砕し、その3gを直径30mmの打錠成型器に入れ、50kg/cm2の圧力で打錠して錠剤を得た。この錠剤を接触角計(協和界面化学(株)製CA-A型)の資料台の上にのせ、イオン交換水の液滴を落として滴下直後および60秒後の液滴の状態をカメラで撮影し、接触角を測定した。結果を表4に示す。尚、表4中、θ0は滴下直後の接触角を、θ60は60秒後の接触角を表わす。 【表4】
θ0が130°以下、θ60/θ0が0.9以下であることが好ましく、上記の製剤例で得られた顆粒剤は表4に示されるように良好な性質を示している。 【発明の効果】本発明殺菌剤は、従来の製剤に比べて湛水下水田での拡散性に優れており、種々の省力施用法を行うことができる有用な水田用殺菌剤である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002093 【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成2年(1990)11月2日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−240803 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月7日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−330982 |
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