| 【発明の名称】 |
乾燥植物標本の製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】井室 昭夫
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| 【要約】 |
【課題】原形原色を保持した乾燥植物が変形を生じることなく、また、長期間に亘って変色することなく原色を保持して、通常の室内で長く保存することができる乾燥植物標本の製造法を提供する。
【解決手段】漆中の水可溶性物質を溶剤により沈殿させた上澄液とイソシアネートからなる液に、原形原色を保持した乾燥植物を浸漬した後、引き上げて硬化させる乾燥植物標本の製造法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 漆に漆中の水可溶性物質を沈殿させる溶剤およびイソシアネ−トを加え、生じた沈殿を除去した上澄液に原形原色を保持した乾燥植物を浸漬した後、引き上げて硬化させることを特徴とする乾燥植物標本の製造法。 【請求項2】 漆に漆中の水可溶性物質を沈殿させる溶剤を加え、生じた沈殿を除去した上澄液にイソシアネ−トを加え、これに原形原色を保持した乾燥植物を浸漬した後、引き上げて硬化させることを特徴とする乾燥植物標本の製造法。 【請求項3】 請求項1または2記載の乾燥植物標本の製造法において、引き上げて硬化させた後、前記上澄液にアクリルポリオールおよび/またはシリカ微粉末を加えた液で上塗りを施した後、硬化させることを特徴とする乾燥植物標本の製造法。 【請求項4】 溶剤がアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブまたはセロソルブアセテートである請求項1ないし3のいずれかに記載の乾燥植物標本の製造法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原形原色を保持した乾燥植物が変形を生じることなく、また、長期間に亘って変色することなく原色を保持できるようにした乾燥植物標本を、作業性良く製造できるようにした乾燥植物標本の製造法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、乾燥植物標本の製造法としては、原形原色を保持するように、凍結乾燥、有機溶剤置換脱水乾燥、急速乾燥などの手段により乾燥した乾燥植物に、ウレタン樹脂を塗布して固めることが行われている。この方法によれば、ある程度の効果は認められるが、原色が時と共に褪せてくる欠点がある。さらに、その他の欠点として、夏期の気温の変化によりウレタン樹脂が軟化して変形を生じることがある。 【0003】通常の合成樹脂塗料は、植物組織に侵入しにくいものであって、ウレタン樹脂で固めた乾燥植物標本は、ウレタン樹脂が単に植物体の表面に固着しているにすぎなく、植物体の組織内にはほんの僅かしか染み込んでいない。そして、植物体の表面に形成されたウレタン樹脂被膜は、空気の遮断性が不十分である上に、ピンホールのできやすい樹脂であることが、植物の原色を長く保つことができない原因である。ウレタン樹脂以外の透明樹脂、例えば、ポリエステルなどは空気遮断性は良好であるが、植物体への固着に難があり、満足する結果を得ることはできない。また、その他の樹脂、例えば、アクリル樹脂などは空気遮断性も密着性もウレタン樹脂に劣る。 【0004】合成樹脂で植物組織内に十分浸透させることができれば、乾燥植物の原色保存の性能が良くなると推定されるが、モノマーに近いほどの分子量の小さいものでなければ、浸透は不可能で実際的ではない。原形原色を保持した乾燥植物は、木材などと違い表層の組織がほとんど痛んでおらず、その本来の機能として、外からの異物の侵入を防ぐので、合成樹脂の浸透を許さない。そのような乾燥植物体に合成樹脂を浸透させるためには、乾燥植物体をホルマリンなどで十分に固定すれば可能となるが、このような処理をすれば、乾燥植物の原色は失われてしまい意味がないことになる。 【0005】ウレタン樹脂被覆の上にポリエステル樹脂被覆することが一部行われているが、これは、樹脂被膜を厚くしてミリメートル単位以上の厚みを持たせれば、乾燥植物の原形原色を保持する効果があることから行われているもので、このようにすると、乾燥植物体は水飴でくるんだような外観となり、原植物の雰囲気を損なってしまうものである。したがって、従来の樹脂被覆による方法では、原植物の雰囲気を考慮した場合には、原形原色を保持する効果のある乾燥植物標本の製造方法はないということができる。一般の漆塗装が、瓢箪、ホオズキなどにおいて行われているが、これは、放置しておいても変形変色を起こさないものに限られている。また、色も原色を残すことを目的とはしているものではない。そして、原形原色を保持した乾燥植物への漆塗装の応用は皆無である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の欠点を改良して、原形原色を保持した乾燥植物が変形を生じることなく、また、長期間に亘って変色することなく原色を保持して、通常の室内で長く保存することができる乾燥植物標本の製造法を提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、漆中の水可溶性物質を沈澱除去した上澄液とイソシアネートからなる混合液が、前記従来の欠点を改良するのに極めて好適であることを知り、本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明は、漆に漆中の水可溶性物質を沈澱させる溶剤およびイソシアネートを加え、生じた沈澱を除去した上澄液に原形原色を保持した乾燥植物を浸漬した後、引き上げて硬化させることを特徴とする乾燥植物標本の製造法である。また、本発明は、漆に漆中の水可溶性物質を沈澱させる溶剤を加え、生じた沈澱を除去した上澄液にイソシアネートを加え、これに原形原色を保持した乾燥植物を浸漬した後、引き上げて硬化させることを特徴とする乾燥植物標本の製造法である。さらに、本発明は、上記の両方法において、引き上げて硬化させた後に、前記上澄液にポリオールおよび/またはシリカ粉末を加えた液で上塗りを施した後、硬化させることを特徴とする乾燥植物標本の製造法である。 【0008】漆は粘弾性の数値が良いため、気候の変化に耐えて変形を防ぎ、ピンホールがほとんどなく強固で空気遮断性のよい被膜を作り、硬化前の漆液は乾燥植物体組織によく浸透するなどの利点がある反面、その硬化が著しく遅く、かつ、硬化に湿気が必要であるなど、天然の植物体の花や葉の原形原色を残すための素材としては決定的な欠陥がある。 【0009】植物の色素は不安定なものが多く、乾燥状態では原色を保持することができても、吸湿をするようなことがあればたちまち褪色してしまう。そのため、硬化が遅く、しかも、加熱によっても反応を早くすることができない上に、硬化させるのに湿気が必要な漆は、完成したときの被膜が空気遮断にどれほど良い性質を持っていても、また、乾燥植物体組織に浸透しやすくて、硬化完了後には植物体を強く固めるのに有利であっても、原形原色を保持した乾燥植物標本を作ることはできない。さらに、漆は硬化被膜が茶褐色に強く着色する。 【0010】原形原色を保持した乾燥植物の標本を製造するに当たり、長期間の保存が可能なものを得るためには、(1)原形原色を保持した植物に浸透した後、硬化して乾燥植物内部の吸湿酸化を防ぐ。 (2)表面にピンホールの少ない気体透過の少ない被膜を作る。 (3)硬化時間が短く、その間に乾燥植物体が変色などを起こす恐れが少ない。 (4)50〜60℃に加温して硬化促進することができる。それにより作業中の防湿になる。 (5)無色透明である。 (6)気温によって剛性率が変化することが少なく、夏季の高温時に変化を起こさない。 以上の性質を有する樹脂を使用することである。 【0011】ところで、漆は上記(1)、(2)、(6)の性質は十分に満足するので、上記(3)、(4)、(5)の改善ができればよいことになる。(1)については、急速乾燥をして緑色のよく残った木の葉について試験し、葉の片面に生漆の一滴を載せ、裏面より浸透を見たところ、いずれも5〜20分で表面部への浸透を認めた。ことに、「なやし」「くろめ」の操作を経ない生漆は、これらの操作をした精製漆より浸透が早い。(2)および(6)については、漆本来の性質であるからなんら問題はない。 【0012】そこで、改善を必要とする(3)、(4)および(5)に対する手段について試験を重ねたところ、次のような事実が認められた。漆に漆中の水可溶性物質を沈澱させる溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブあるいはセロソルブアセテートを加えて、生じた沈澱を除くと、着色のない上澄液が得られ、これにイソシアネートを加えたものに、原形原色を保持した乾燥植物を浸漬した後、取り出して60℃に加熱すると硬化し、数時間後に乾燥するので、再び同様に浸漬して取り出し加熱すると、処理された乾燥植物は、ほとんど原色のままであり、漆とイソシアネートの混液は、乾燥植物体によく染み込み、さらに、乾燥植物体の表面に被膜を形成して、乾燥植物体を強固に固める。 【0013】この際、漆とイソシアネートの混液は、粘着性が少なく作業性が極めて良い利点がある。ウレタン樹脂などの場合は、作業中に誤って乾燥植物同士が触れ合ったり、あるいは乾燥植物と加工に必要な「やとい」とが触れ合ったりすると、互いに粘着し合ってしまい、乾燥植物体は極めて脆弱なものであるから、無理に剥がすと壊れてしまうことになるが、漆とイソシアネートの混液においては、互いに粘着し合うことがないので、作業性が極めて良好となる。 【0014】本発明について具体的に説明すると、本発明において使用する漆は、「なやし」「くろめ」の操作を経ない生漆と、この操作をした精製漆であるが、生漆の方が乾燥植物体への浸透が早いので、精製漆よりも好ましい。上記漆に漆中の水可溶性物質を沈殿させる溶剤およびイソシアネートを加え、生じた沈殿を除去する。あるいは漆に漆中の水可溶性物質を沈殿させる溶剤を加え、生じた沈殿を除去した上澄液にイソシアネートを加える。 【0015】漆中の水可溶性物質を除去しないと、漆色の茶褐色が残り、乾燥植物の原色を損ない目的を達成することはできない。したがって、溶剤は漆中の水可溶性物質を沈殿させることができる溶剤が使用されるが、その溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブ、セロソルブアセテートなどが挙げられる。漆中の水可溶性物質を除去した上澄液とイソシアネートが混合された溶液を使用することによって、初めて本発明の目的を達成することができる。この際、漆、溶剤およびイソシアネートの使用量は、漆1に対して、溶剤0.3〜3、イソシアネート0.5〜4程度である。漆の使用量がこの範囲を外れると効果が期待できなくなる。また、溶剤の使用量は、漆中の水可溶性物質が十分に沈殿するに必要な量であるが、あまり多くなると無駄になるので好ましくない。 【0016】上記のようにして、漆中の水可溶性物質を沈殿除去して、イソシアネートを含有する上澄液に、原形原色を保持した乾燥植物を浸漬するのであるが、本発明における原形原色を保持した乾燥植物としては、従来法によって得られる花類、葉類、茸類、海草類など広い範囲の植物に亘って使用することができる。その乾燥植物の製造法としては、凍結乾燥法、有機溶剤置換脱水乾燥法、急速乾燥法などがある。上記の凍結乾燥法は、生植物体を凍結させて真空下に置き、昇華によって水分を除去する乾燥法である。生植物体の自己分解酵素は、通常の細胞と異なる細胞に含まれ、乾燥に際して細胞間の水分の移動につれて互いの間を移動し、そのために生植物体が変色するのであるから、上記凍結乾燥法によれば、細胞間の水分の移動が起きないので、黒変は防止されることになる。 【0017】有機溶剤置換脱水乾燥法は、生植物体の水分を有機溶剤により置換脱水して乾燥する方法であり、凍結状態で行う場合も、常温で行う場合もあるが、前者は上記凍結乾燥と同じ効果を持ち、後者も置換は単純乾燥と比べれば急速であるから、黒変させる時間は極めて短時間で済む上、使用する溶媒にアルコールやアセトンを使用すれば、それ自身が酵素活動の阻害剤であるから、その効果によって黒変を防止することができる。また、溶媒がブタノールのように阻害作用を持たないものを利用する時は、阻害剤を溶解して使用することも可能である。急速乾燥法は、酵素活動の起こる時間を短くして、黒変などが起こる程度をできるだけ少なくする乾燥法である。 【0018】原形原色を保持した乾燥植物を前記上澄液に浸漬する時間は、植物の種類によって異なり、例えば、クリタケ、椎茸、ワカメなどは数十秒でよく、コンブ、タンバノリ、アラメなどは10分ないし数10分を必要とする。したがって、植物の種類によりそれぞれ適した時間を選定して浸漬処理を行う。上記のように浸漬処理した乾燥植物は、引き上げて自然硬化あるいは加熱硬化させるが、加熱硬化を行えば、硬化が促進されると共に、作業中の防湿にもなるので、自然硬化よりも好ましい。加熱硬化を行う場合は、50〜60℃の温度で1〜数時間行うのが好ましい。また、硬化乾燥したものを、再び上澄液に浸漬して引き上げて硬化させる処理を繰り返し行えば、漆とイソシアネートの混合液は乾燥植物の原形原色を保持して植物体によく染み込み、植物体表面に被膜を形成して強固に固まる。 【0019】この際、上澄液に浸漬して、これを硬化させる処理をあまり繰り返すと、次第に茶褐色を帯びてくるようになるので、強度上被膜の厚みを必要とする乾燥植物の種類によっては、上記のように硬化させる処理を繰り返す代わりに、前記の上澄液にアクリルポリオールおよび/またはシリカ粉末を加えた液で上塗りを施した後、硬化させるのが好ましい。アクリルポリオールを加えた液で上塗りを施すと、アクリルポリオールは肉ノリを良くし、無色透明を害することなく、強度を出すのに必要とする厚みが一回で得られので有利であり、また、シリカ粉末を加えた液で上塗りを施すと、シリカが艶消し作用をして、乾燥植物の自然の色を損なわないようにするので好ましい。勿論、アクリルポリオールとシリカ粉末の両者を加えた液を使用すれば、両者の効果が得られる。 【0020】 【発明の実施の形態】次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。 【実施例1】トロロコンブを−15℃で凍結し、真空乾燥により水分を除き、これを生漆1部、酢酸エチル1部、イソシアネート1部を混合して沈殿を除いた上澄液に浸漬し、5〜10分後に取り出し、60℃で加熱乾燥する。乾燥後、同様の操作を再度繰り返してから、残液にシリカ微粉末を液量の10%程度加えたものを塗布し、60℃で加熱乾燥して製品とする。 【0021】 【実施例2】新鮮なホンダワラを−10℃で凍結し、直ちに真空乾燥する。別に、生漆1部にメチルエチルケトン3部を加え、生じた沈殿を除去した後、イソシアネート1部を加えた液を用意し、これに乾燥が終了したホンダワラを浸漬する。5〜10分後に取り出し、60℃で加熱乾燥する。乾燥後、同様の操作を再度繰り返してから、残液にシリカ微粉末を液量の10%程度加えたものを塗布し、60℃で加熱乾燥して製品とする。 【0022】 【実施例3】ベニタケを−15℃で凍結し、直ちに真空乾燥する。別に、生漆1部にセロソルブアセテート2部を加え、生じた沈殿を除去した後、イソシアネート1部を加えた液を用意し、これに乾燥が終了したベニタケを浸漬し、引き上げた後、滴下する余分な液を除去して50℃で乾燥する。さらに、生漆1部、酢酸エチル4部、イソシアネート2部およびアクリルポリオール2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液にシリカ微粉末1部を混合したものを、乾燥が終了したベニタケに塗布し、加熱乾燥して製品とする。 【0023】 【実施例4】ホコリタケを−15℃で凍結し、直ちに真空乾燥する。別に、生漆1部、酢酸ブチル1部およびイソシアネート0.5部を混合し、生じた沈殿を除去した液を用意し、これに乾燥が終了したホコリタケを浸漬し、引き上げた後、滴下する余分な液を除去して50℃で乾燥する。さらに、生漆1部、酢酸ブチル4部、イソシアネート2部およびアクリルポリオール2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液にシリカ微粉末1部を混合したものを、乾燥が終了したホコリタケに塗布し、加熱乾燥して製品とする。 【0024】 【実施例5】カトレアの花を真空乾燥する。自らの蒸発潜熱によって、花は真空容器内で凍り、その末に乾燥するに至る。別に、生漆1部にセロソルブ2部を加え、生じた沈殿を除去した後、イソシアネート2部を加えた液を用意し、これに乾燥が終了したカトレアの花を浸漬し、引き上げた後、滴下する余分な液を除去して50℃で乾燥する。さらに、生漆1部、セロソルブ4部、イソシアネート2部およびアクリルポリオール2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液にシリカ微粉末1部を混合したものを、乾燥が終了したカトレアの花に塗布し、加熱乾燥して製品とする。 【0025】 【実施例6】モミジ(イロハモミジの紅葉)を−15℃で凍結し、直ちに真空乾燥する。別に、生漆1部に酢酸エチル1部を加え、生じた沈殿を除去した後、イソシアネート2部を加えた液を用意し、これに乾燥が終了したモミジを浸漬し、引き上げた後、滴下する余分な液を除去して50℃で乾燥する。さらに、生漆1部、酢酸エチル4部、イソシアネート2部およびアクリルポリオール2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液にシリカ微粉末1部を混合したものを、乾燥が終了したモミジに塗布し、加熱乾燥して製品とする。 【0026】 【実施例7】オオイソバナを常温より直ちに真空乾燥し、乾燥が終了した後、これを生漆1部、アセトン2部、イソシアネート1部を混合して沈殿を除去した上澄液に浸漬し、5〜10分後に取り出し、60℃で加熱乾燥する。乾燥後、同様の操作を再度繰り返してから、残液にシリカ微粉末を液量の10%程度加えたものを塗布し、60℃で加熱乾燥して製品とする。 【0027】 【実施例8】バラ(ムーランルージュ)をターシャリーブタノールで脱水した後、これを精製漆1部、酢酸エチル1部、イソシアネート2部を混合して生じた沈殿を除去した上澄液に浸漬し、数分後に引き上げて60℃で加熱乾燥する。別に、精製漆1部、酢酸エチル4部およびイソシアネート2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液に、シリカ微粉末1部を加えた液を用意し、これを乾燥が終了したバラにスプレー塗布し、乾燥して製品とする。 【0028】 【実施例9】スズランを常温でイソプロピルアルコールにより脱水した後、これを精製漆1部、セロソルブアセテート2部、イソシアネート2部を混合して生じた沈殿を除去した上澄液に浸漬し、数分後に引き上げて60℃で加熱乾燥する。別に、精製漆1部、セロソルブアセテート4部およびイソシアネート2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液に、シリカ微粉末1部を加えた液を用意し、これを乾燥が終了したスズランにスプレー塗布し、乾燥して製品とする。 【0029】 【実施例10】ドクツルダケを−15℃のアセトンで脱水する。別に、生漆1部に酢酸ブチル2部を加え、生じた沈殿を除去した後、イソシアネート1部を加えた液を用意し、これに乾燥が終了したドクツルダケを浸漬し、引き上げた後、滴下する余分な液を除去して50℃で乾燥する。さらに、生漆1部、酢酸エチル4部、イソシアネート2部およびアクリルポリオール2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液にシリカ微粉末1部を混合したものを、乾燥が終了したドクツルダケに塗布し、加熱乾燥して製品とする。 【0030】 【実施例11】スカシユリ(ハマユリ)の全草を砂に埋め、これに乾燥空気を通風すると、1〜2日で乾燥する。別に、生漆1部に酢酸エチル2部を加え、生じた沈殿を除去した後、イソシアネート2部を加えた液を用意し、これに乾燥が終了したスカシユリの全草を浸漬し、引き上げた後、滴下する余分な液を除去して50℃で乾燥する。さらに、生漆1部、酢酸エチル4部、イソシアネート2部およびアクリルポリオール2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液にシリカ微粉末1部を混合したものを、乾燥が終了したスカシユリの全草に塗布し、加熱乾燥して製品とする。 【0031】 【実施例12】スギの枝をデシケーター内で乾燥させると、ほぼ原形原色のまま乾燥する。別に、精製漆1部、メチルエチルケトン2部およびイソシアネート2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液を用意し、これに乾燥が終了したスギの枝を半日間浸漬し、引き上げた後、滴下する余分な液を除去して50℃で乾燥する。さらに、精製漆1部、酢酸エチル4部、イソシアネート2部およびアクリルポリオール2部を混合し、生じた沈殿を除去した上澄液にシリカ微粉末1部を混合したものを、乾燥が終了したスギの枝に塗布し、加熱乾燥して製品とする。 【0032】 【発明の効果】本発明によれば、漆に漆中の水可溶性物質を沈殿させる溶剤およびイソシアネートを加え、生じた沈殿を除去した上澄液を用いることにより、これが原形原色を保持した乾燥植物に浸透した後、硬化して乾燥植物内部の吸湿酸化を防止し、表面にピンホールの少ない被膜を作ると共に、気温によって剛性率が変化することが少ないので、原形原色を保持した乾燥植物が変形を生じることなく、また、長期間に亘って変色することなく原色を保持する乾燥植物標本を提供することができる。さらに、漆とイソシアネートの混液は、粘着性が少なく極めて作業性が良好である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591180727 【氏名又は名称】井室 昭夫
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)2月23日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】清水 猛 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−240801 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月7日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−55715 |
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