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【発明の名称】 切り花の鮮度保持剤及びその調製方法、切り花の鮮度保持方法及び該方法で処理する切り花
【発明者】 【氏名】山崎 誠彦

【要約】 【課題】切り花の花持ちを著しく延長することができる切り花の鮮度保持剤及びその調製方法、切り花の鮮度保持方法及び該方法で処理する切り花の提供。

【解決手段】一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物、銀化合物及びポリカチオンを含むことを特徴とする切り花の鮮度保持剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物、銀化合物及びポリカチオンを含むことを特徴とする切り花の鮮度保持剤。
一般式(I)
1−S−R2(R1、R2は1価の有機基を表す)
【請求項2】 前記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物、銀化合物及びポリカチオンを含む水溶液に切り花の切り口を浸漬することを特徴とする切り花の鮮度保持方法。
【請求項3】 請求項1に記載の切り花の鮮度保持剤又は請求項2に記載の鮮度保持方法で処理されることを特徴とする切り花。
【請求項4】 前記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物、銀化合物及びポリカチオンとを混合することを特徴とする切り花の鮮度保持剤の調製方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切り花の鮮度保持剤及びその調製方法、切り花の鮮度保持方法及び該方法で処理する切り花に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、切り花は観賞用として広く使用されてきており、これに応じて切り花の鮮度を保持し花持ちを延長したいという要望が強くなっている。従来より、切り花の花持ちを延長するためには、様々な方法が提案されている。たとえば、水を頻繁に取り替えたり、茎を水中で切ったり、切り口を焼いたりする方法があり、また、切り花の切り口をある種の薬剤を含む液中に浸漬する方法がある。浸漬する溶液としては、8−ヒドロキシキノリンやしょ糖を含有する水溶液、チオ硫酸銀錯体を含有する水溶液などが知られている。
【0003】しかしながら、これらの従来の方法はいずれも満足すべきものとはいえない。
【0004】切り花の種類によっても効果が無い場合があり、たとえばチオ硫酸銀錯体はカーネーション、スイトピー、カスミ草などエチレン感受性の高い花に対しては有効があるが、バラやキクなどエチレン感受性の低い花に対しては効果が見られない。バラ切り花に対しては、銀化合物とアミノ酸の混合物や反応生成物(特開平6−321701号)や銀化合物と第一級アミン及び/又は核酸関連物質との混合物や反応生成物(WO93/08,685)が報告されているが、いまだ満足な効果を得ることはできていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、切り花の花持ちを著しく延長することができる切り花の鮮度保持剤及びその調製方法、切り花の鮮度保持方法及び該方法で処理する切り花を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
【0007】1.下記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物、銀化合物及びポリカチオンを含むことを特徴とする切り花の鮮度保持剤。
【0008】一般式(I)
1−S−R2(R1、R2は1価の有機基を表す)
2.前記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物、銀化合物及びポリカチオンを含む水溶液に切り花の切り口を浸漬することを特徴とする切り花の鮮度保持方法。
【0009】3.前記1に記載の切り花の鮮度保持剤又は前記2に記載の鮮度保持方法で処理されることを特徴とする切り花。
【0010】4.前記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物、銀化合物及びポリカチオンとを混合することを特徴とする切り花の鮮度保持剤の調製方法。
【0011】以下、本発明を更に詳細に述べる。
【0012】先ず、前記一般式(I)で表される有機化合物について説明する。
【0013】一般式(I)において、R1、R2は1価の有機基を表し、一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物の例としては、例えばスルフィドやチオカルボン酸やチオ炭酸のS−エステルが挙げられる。特に好ましいのはスルフィドである。
【0014】スルフィドの具体的化合物例としては、例えば2,2′−チオジグリコール酸、2,2′−チオジエタノール、3,3′−チオジプロピオン酸などのチオジ化合物や、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのポリアルキレンチオグリコール等が挙げられる。
【0015】チオカルボン酸のS−エステルとしては、例えばカルボチオ酸S−エステル、カルボジチオ酸エステルやチオ炭酸のS−エステル、例えばチオ炭酸S−エステル、ジチオ炭酸S−エステル、トリチオ炭酸エステルなどが挙げられる。
【0016】本発明の銀化合物としては1価の銀の化合物が挙げられ、銀塩が好ましく、それらの例としては、硝酸銀、炭酸銀、酢酸銀、硫酸銀、塩化銀、臭化銀などが挙げられる。
【0017】本発明の切り花の鮮度保持剤(以下単に鮮度保持剤ともいう)は、前記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物、銀化合物及びポリカチオンから調製することができる。
【0018】本発明の鮮度保持剤の形態は特に限定されず、溶液状、固体状、粉体であってもよいが好ましい形態は水溶液であり、さらに好ましい形態は濃縮水溶液である。
【0019】本発明のポリカチオンとしては、ポリアルキレンイミンが挙げられる。具体的には、例えばエチレンイミンのオリゴマーであるジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンやさらに分子量の大きなポリエチレンイミンが挙げられる。これらの分子量は特に限定されないが、1000以下が好ましい。
【0020】本発明の鮮度保持剤は、好ましくは前記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物の水溶液、銀化合物の水溶液及びポリカチオンを混合することにより調製される。
【0021】本発明の鮮度保持剤を使用する際の鮮度保持剤中の銀の濃度は、特に限定されないが、0.001mM〜5mMであることが好ましく、特に0.005mM〜1mMが好ましい。銀と前記一般式(I)の構造を有し硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物のモル比は、1/100〜1000が好ましく、1〜30が特に好ましい。
【0022】本発明の鮮度保持剤を使用する際のポリカチオンの濃度は、カチオン単位と銀とのモル比が0.1〜10が好ましく、0.3〜3が特に好ましい。
【0023】本発明の鮮度保持剤のpHは3〜11が好ましい。本発明の鮮度保持剤にはpHを調整するため、必要に応じて緩衝剤や酸やアルカリを含有することもできる。1価の酸が好ましく、酢酸、グリコール酸、グルコン酸などが例として挙げられる。
【0024】さらに、必要に応じて、添加剤として、しょ糖やグルコースのような糖類、8−ヒドロキシキノリンのような抗菌剤、界面活性剤などを含有することもできる。また、亜硫酸塩の様な安定化剤も含有できる。
【0025】本発明の鮮度保持剤を用い切り花の花持ちを延長させるには、切り花の切り口を鮮度保持剤の溶液に浸漬させればよい。その際鮮度保持剤が濃縮液の場合は、上記の適当な銀濃度になるように水等の溶液で希釈すればよい。
【0026】浸漬する時間、温度は特に限定されないが、例えば前処理剤として使用する場合は、20〜25℃の室温であれば1〜12時間、2〜10℃の冷蔵下であれば4〜48時間が望ましい。
【0027】本発明の鮮度保持剤は、生産者が切り花を採花後に出荷に先立ち水揚げも兼ねて使用する前処理剤としても使用できるし、市場や花屋などの流通機関や一般消費者が切り花を浸漬する後処理剤としても使用できる。
【0028】本発明の鮮度保持剤を使用できる切り花については、特に限定されないが、たとえば、バラ、キク、カーネーション、ブバルディア、カスミソウ、スイトピー、などに有効である。特に、バラに有効である。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるもではない。
【0030】実施例11)鮮度保持剤の調製2,2′−チオジグリコール酸を純水に溶解し、0.1%(W/V)の水溶液を調製した。この水溶液と10mMの硝酸銀水溶液とを純水に適当量混和した後、ポリカチオンを混和し、酢酸にてpHを5.0に調整することで、本発明の鮮度保持剤の試験液を調製した。なお、各鮮度保持剤の2,2′−チオジグリコール酸の最終濃度は0.01%(W/V)、銀の最終濃度は0.03mMとした。比較として2,2′−チオジグリコール酸及び/又は銀を含まないもの、ポリカチオンを含まないもの及び純水のみの試験液を調製した。
【0031】2)鮮度保持効果の評価やや開花し始めた状態のバラ(ローテローゼ)を採花後に長さを40cmに切り、10本を1群として、1)で調製した試験液に切り口を浸漬した。20℃で4時間処理した後、試験液より取り出し新聞紙に包んで20℃で24時間保存した。その後、水道水に移し換え、以後20℃で毎日花の状態を観察した。
【0032】結果を表1に示す。表中の鑑賞日数は、しおれ、首折れ、露芯で鑑賞価値を失った日までの日数の平均である。また、開花率は、鑑賞価値を失うことなく完全に開花に至った花の数の百分率である。
【0033】
【表1】

【0034】実施例21)鮮度保持剤の調製3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールを純水に溶解し、0.1%(W/V)の水溶液を調製した。この水溶液と、10mMの硝酸銀水溶液を純水に適当量混和した後、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを加え、次いでポリカチオンを混和し、グルコン酸にてpHを5.0に調整することで、本発明の鮮度保持剤の試験液を調製した。なお、各鮮度保持剤の3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールの最終濃度は0.018%(W/V)、銀の最終濃度は0.06mM、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの最終濃度は0.001%(W/V)とした。比較として3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール及び銀を含まないもの、ポリカチオンを含まないもの及び純水のみの試験液を調製した。
【0035】2)鮮度保持効果の評価実施例1の2)と同様に行った。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】実施例31)鮮度保持剤の調製硫黄原子を介して銀と水溶性の錯体を形成する有機化合物の0.5%(W/V)水溶液と、10mMの硝酸銀水溶液及びポリカチオンを純水に適当量混和し、グリコール酸にてpHを5.0に調整することで、有機化合物の濃度が0.06(W/V)%、銀の濃度が0.2mMとなる本発明の鮮度保持剤の試験液を調製した。なお、比較として、ポリカチオンを含まないもの及び純水のみを調製した。
【0038】2)鮮度保持効果の評価カーネーション(フランシスコ)を採花後に長さを30cmに切り、5本を1群として、試験液に切り口を浸漬した。20℃で4時間処理した後、水道水に移し換え以後20℃で毎日花の状態を観察した。
【0039】結果を表3に示す。表中の鑑賞日数は、花弁の萎縮、しおれ、首折れで鑑賞価値を失った日までの日数の平均である。
【0040】
【表3】

【0041】
【発明の効果】実施例で実証した如く、本発明による切り花の鮮度保持剤及びその調製方法、切り花の鮮度保持方法及び該方法で処理する切り花は、切り花の花持ちを著しく延長することができ優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月28日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−217302
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−15713