| 【発明の名称】 |
害虫忌避剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡辺 敬介
【氏名】前原 晃
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| 【要約】 |
【課題】優れた害虫忌避剤を提供すること。
【解決手段】6、7−ジヒドロ−6、7−ミルセンジオ−ルを有効成分として含有する害虫忌避剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】式 化1【化1】
で示される6、7−ジヒドロ−6、7−ミルセンジオ−ルを有効成分として含有することを特徴とする害虫忌避剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は害虫忌避剤に関する。 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来、蚊類、ハエ類等の吸血害虫からヒト及び動物の身を守る為に皮膚に直接塗布する忌避剤が用いられている。たとえばN,N−ジエチル−3−トルアミド(以下DEETと称する)やP−メンタン−3,8−ジオ−ル等がスプレ−、ロ−ション、クリ−ム等の形態で使用されてきた。しかし、これらの化合物は残効性等の点で害虫忌避剤の有効成分としては必ずしも充分とは言えない。 【0002】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた害虫忌避剤を見出すべく鋭意検討した結果、式 化2【化2】
で示される6、7−ジヒドロ−6、7−ミルセンジオ−ルに強い忌避活性を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は上記式 化2で示される6、7−ジヒドロ−6、7−ミルセンジオ−ル(以下、本化合物と称す)を有効成分とする害虫忌避剤を提供するものである。 【0003】 【発明の実施の形態】本化合物は、キク科植物であるBidens graveolensから単離され、その存在が知られている(Phytochemistry, vol.22,p1281,1983)。また、本化合物は、マツ科等の植物に含有されるβ−ミルセンを酸化して得られるβ−ミルセンエポキシドを、酸ないしアルカリ処理することによって合成することもできる。本化合物には1個の不斉炭素原子に由来する光学異性体が存在するが、本発明には光学活性体及びラセミ体が含まれる。本発明の害虫忌避剤が有効な害虫としては、たとえばハマダラカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のAedes類、アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ブユ、サシバエ、サンドフライ、ヌカカ等の双翅目吸血害虫のみならずチャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等の網翅目害虫、イエバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類等の双翅目害虫、コクゾウムシ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、シバンムシ類、ヒラタキクイムシ類、アオバアリガタハネカクシ等の鞘翅目害虫、アリ類、アリガタバチ類等の膜翅目害虫、ネコノミ、ヒトノミ等の隠翅目害虫、ヒトジラミ、ケジラミ等のシラミ目害虫、ヤマトシロアリ、イエシロアリ等の等翅目害虫、コナダニ類、チリダニ類、ツメダニ類等の室内塵性ダニ類、オウシマダニ等のマダニ類、イエダニ類等のダニ類などの害虫をあげることができる。 【0004】本発明の害虫忌避剤は、代表的には有効成分としての本化合物そのものを皮膚に塗布するか、または適当な担体に配合した組成物として用いることができ、たとえばロ−ション、エアゾ−ル等の液剤やクリ−ム剤等の種々の剤形に調製して皮膚に塗布することにより用いられる。液剤を調製する際に用いられる担体としては、たとえば水、エタノ−ル、グリセリン、ポリエチレングリコ−ル等のアルコ−ル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル類、へキサン、ケロシン、パラフィン、石油ベンジン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類があげられる。液剤には、さらに通常の乳化剤または分散剤、展着・湿潤剤、懸濁化剤、保存剤、噴射剤等の製剤用補助剤等を添加配合することもでき、さらに通常の塗膜形成剤を配合することもできる。具体的には、たとえば石鹸類、ポリオキシエチレンオレイルエ−テル等のポリオキシエチレン脂肪酸アルコ−ルエ−テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエ−テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、高級アルコ−ルの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ソ−ダ等のアルキルアリ−ルスルホン酸塩等の乳化剤;グリセリン、ポリエチレングリコ−ル等の展着・湿潤剤;カゼイン、ゼラチン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロ−ス、アラビアガム、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ベントナイト等の懸濁化剤;パラオキシ安息香酸メチル、パラチオン安息香酸エチル、パラチオン安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等の保存剤;ジメチルエ−テル、クロロフルオロカ−ボン類、炭酸ガス等の噴射剤;ニトロセルロ−ス、アセチルセルロ−ス、アセチルブチリルセルロ−ス、メチルセルロ−ス等のセルロ−ス誘導体、酢酸ビニル樹脂等のビニル系樹脂、ポリビニルアルコ−ル等の各種塗膜形成剤をあげることができる。また、クリ−ム剤を調製する際に用いられる担体としては、たとえば流動パラフィン、ワセリン、パラフィン等の炭化水素類、ジメチルシロキサン、コロイド状シリカ、ベントナイト等のシリコン類、エタノ−ル、ステアリルアルコ−ル、ラウリルアルコ−ル等の1価のアルコ−ル類ポリエチレングリコ−ル、エチレングリコ−ル、グリセリン等の多価アルコ−ル、ラウリン酸、ステアリン酸等のカルボン酸類、蜜蝋、ラノリン等のエステル類等があげられる。さらに、上記液剤と同様の製剤用補助剤を添加配合することもできる。さらにまた、マイクロカプセル化した形態に調製して、ロ−ション、エアゾ−ル等に製剤して用いることもできる。 【0005】本発明組成物には他の害虫忌避剤、共力剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺虫剤その他の色素、顔料等の添加剤等を配合することもできる。配合可能な害虫忌避剤としては、カラン−3、4−ジオ−ル、DEET、p−メンタン−3、8−ジオ−ル、2、3、4、5、−ビス(△2−ブチレン)テトラヒドロフルフラ−ル、ジ−n−プロピルイソシンコロネ−ト、ジ−n−ブチルサクシネ−ト、2−ヒドロキシオクチルスルフィド、(N−カルボ−sec−ブチロキシ)−2−(2’−ヒドロキシエチル−ピペリディン等があげられ、共力剤としては例えばN−(2−エチルヘキシル)−8、9、10−トリノルボルン−5−エン−2、3−ジカルボキシイミド(MGK−264)等があげられ、酸化防止剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソ−ル、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロ−ル、γ−オリザノ−ル等があげられ、また、殺虫剤としてはエンペントリン{1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル d−シス、トランス−クリサンセメ−ト(シス:トランス比=2:8)}、1−エチニル−2−フルオロ−2−ペンテニル−d−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラ−ト、トランスフルスリン等を例示できる。 【0006】上記のようにして調製された本発明組成物は、直接皮膚等に処理することができ、また予めシ−ト状、フィルム状、網目状、帯状等の適当な基材に塗布、含浸、混練、滴下等の処理をしておき、該基材で皮膚の露出部または衣服の上を被覆する等の方法で使用することもできる。また本発明組成物中、有効成分である本化合物をロ−ション、エアゾ−ル等の液剤あるいはクリ−ム剤等で用いる場合または基剤に含有させて用いる場合には有効成分量は0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。また、本発明組成物の処理量は、通常、皮膚の面積1cm2当たり、有効成分化合物を0.01〜5mg、好ましくは0.1〜1mg含有する量であり、これらの量は有効成分化合物を単独で処理する場合にも用いられる量である。上述の処理量は製剤の種類、対象の害虫種、その密度、使用時刻、気象条件または使用する人の年齢等によって異なり、上記の範囲にかかわることなく、増加させたり減少させたりすることができる。また、本発明の害虫忌避剤は、これを合成樹脂に含有させて害虫侵入防止用樹脂成形体として用いることもできる。かかる成形体の基材としての合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレ−ト共重合体、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メチル(メタ)アクリレ−ト共重合体等のエチレンと極性基を有する単量体との共重合体、およびポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含塩素合成樹脂等をあげることができる。なかでも、本化合物の吸収性、拡散性、安定性、熱成形性(低温加工性)等の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびエチレン−メチルメタクリレ−ト共重合体が好ましい。本化合物を合成樹脂に含有させる方法としては、本化合物をそのまま、またはアセトン等の適当な溶剤に溶解させたものを基材となる合成樹脂に含浸させてもよいし、あるいは本化合物と合成樹脂とを溶融混練して得ることもできる。この場合、あらかじめ高濃度の本化合物と合成樹脂とを溶融混練したマスタ−ペレットを作製しておき、該マスタ−ペレットを、直接または基材合成樹脂で希釈して目的の含有量として、通常の熱可塑性樹脂の成形に用いられる射出成形、インフレ−ション成形、紡糸等の溶融成形法によりフィルム、シ−ト、ネット等、所望の成形品に加工することができる。また、害虫侵入防止効果の持続時間をコントロ−ルする等、その使用目的に応じて適宜、多層成形、複合紡糸とすることができる。なお、本発明組成物において、本化合物の合成樹脂への含有量は、基材となる合成樹脂に対して、1〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。1重量%より少ないと害虫侵入防止効果が顕著ではなく、また40重量%より多いと本化合物が成形面の表面にブリ−ドしてべたつきを生じることがあるので好ましくない。網目状の基材を用いる場合、網目は細かいほど好ましいが一般には16メッシュ以下程度であれば充分に有効である。 【0007】本化合物は、β−ミルセンをm−クロロ過安息香酸、過酢酸等の酸化剤でエポキシ化した後、得られたβ−ミルセンエポキシドに酸を作用させ開環反応を行うか、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液中で、開環反応を行い、その後カラムクロマトグラフィ−等の手段で精製することにより得ることができる。該開環反応は溶媒中もしくは無溶媒で行われ、酸処理の場合の反応温度範囲は0〜50℃で、アルカリ処理の場合は反応温度範囲は160〜200℃で、反応圧の範囲は10〜18Kg/cm2である。また反応溶媒としては、酸処理の場合は水を、アルカリ処理の場合は含水エタノ−ル、含水2−プロパノ−ルを用いることが望ましい。酸処理の場合には、用いる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等があげられ、1〜10%濃度とすることが望ましい。アルカリ処理の場合、エタノ−ルまたは2−プロパノ−ルは反応溶媒系の10〜50%となるように加えるのが望ましく、アルカリ水は50〜90%とするのが望ましい。またアルカリ水におけるアルカリ濃度は1〜10%とするのが望ましい。 【0008】 【実施例】次に、合成例、製剤例及び試験例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。まず、本発明化合物の合成例を示す。 合成例200mlのガラス製反応容器にミルセン40.9g(0.3モル)及び無水酢酸ナトリウム13.5g(0.15モル)を入れ、攪拌下、15〜31℃にて38%過酢酸溶液66.1g(0.33モル)を1.7時間かけて滴下した。その後15〜21℃にて4時間保温・攪拌した。この反応溶液を、500mlガラス製反応容器中の20%NaOH水139.9g(0.7モル)に0.4時間かけて滴下した後、20%NaOH水10gを追加して、pHを10以上に調整した。反応溶液を室温にて約1時間保温・攪拌の後、分液し、さらに油層(上層)を水洗することにより粗ミルセンエポキシド43.2g(収率95%)を得た。かくして得られた粗ミルセンエポキシド2g(0.013モル)と1.5%硫酸水8g(0.0012モル)を30mlガラス製反応容器に入れ、室温にて3時間攪拌した。その後、10%酢酸ナトリウム水溶液10gを加えて、t−ブチルメチルエ−テルで有機層を抽出し、分液後に溶媒を留去することにより、粗6、7−ジヒドロ−6、7−ミルセンジオ−ル1.87g(収率84%、GC面百値75%)を得た。これを、100gのシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィ−(展開溶媒:へキサン−酢酸エチル系溶媒)に付し、下記の物性を有する本発明化合物1gを得た。 1H−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm) 6.38(1H,dd,J=17.0,10.5Hz),5.27(1H,d,J=17.0Hz),5.07(1H,d,J=10.5Hz),5.04(2H,br.s.),3.39(1H,d,J=,0.5Hz),2.53(1H,m),2.25(1H,m),1.67(1H,m),1.49(1H,m),1.20(3H,s),1.15(3H,s).13C−NMR(CDCl3,TMS)δ(ppm) 146.1(s),138.6(d),115.9(t),113.4,(t)78.1(d),73.1(s),30.1(t),28.4(t),26.4(q)23.1(q).質量スペクトル152(M+−H2O)、137(M+−H2O−CH3)、119、94、79、71、68、59(base peak)、43【0009】次に製剤例を示す。尚、部はすべて重量部を表わす。 製剤例1本化合物10部をエタノ−ルに溶解して全体を35部とし、エアゾ−ル容器に充填する。ついでバルブを付けた後、該バルブ部分を通じて、フロン11および12の1:1の混合物(噴射剤)65部を加圧充填しエアゾ−ルを得る。 製剤例2本化合物10部にステアリン酸10部、セチルアルアルコ−ル2部、ラノリン1部、流動パラフィン2部および水62部を加え、加熱して溶融混和し、これに、さらに加熱したグリセリン13部を注入し、よく攪拌してクリ−ム剤を得る。 製剤例3本化合物6部にラノリン0.5部およびTween60(ICI社製ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ−ト)6部からなる混合物を80℃に加熱し、これを水75部とサリチル酸2.5部との混合物中に注加し、迅速に攪拌しながら、本化合物10部を添加してロ−ションを得る。 製剤例4本化合物30部とエチレン−メチルメタクリレ−ト共重合体(住友化学工業(株)製アクリフトWH202)70部を密閉式加圧ニ−ダ−で約15分間混練し、これをペレット化したものをマスタ−ペレットとした。このマスタ−ペレット100部にマトリクス樹脂であるエチレン−メチルメタクリレ−ト共重合体200部とをを密閉式加圧ニ−ダ−で再び15分間混練し、押出し機に供給し押し出しながらホットカットを行い、本化合物含量10重量%のペレットを得、該ペレットを用いてTダイ押し出し機で厚さ1mmのシ−トを得る。 【0010】次に、本発明組成物が害虫忌避剤の有効成分として有用であることを試験例により示す。なお、該試験で用い本化合物は前記合成例の方法により取得したものである。 試験例羽化後約3週令のネッタイシマカ(Aedes aegypti)成虫500頭(雌雄はぼ同数)を放飼したステンレス製の枠とナイロンゴ−ス製のケ−ジ(22×22×30cm)を準備した。腹部の毛をバリカンで除去したヒヨコを、腹部の皮膚が2.5×4cmだけ露出するようにして、7×15cmの木製の板上に固定し、本化合物のエタノ−ル溶液90μlを該露出部に塗布し(塗布薬量:3g/m2)、上記ケ−ジ上に、上記のヒヨコを処理面が下になるようにして置いた。処理直後及び1時間後に誘引された蚊の数を観察した。さらに、薬剤を塗布していないヒヨコを同一ケ−ジ上に置いて同じ手順で観察を行った。試験は2ケ−ジを用いて行った。結果を表1に示す。尚、忌避率は下記の式により求めた。 【数1】
【表1】
【0011】 【発明の効果】本発明組成物は優れた害虫忌避効果を示す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002093 【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】久保山 隆 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−124304 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月11日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−285576 |
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