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【発明の名称】 抗菌剤組成物
【発明者】 【氏名】伊藤 純稔

【氏名】松本 清

【氏名】山崎 由博

【要約】 【課題】抗菌活性が高く、しかも刺激性が少ない抗菌剤組成物の提供。

【解決手段】下記の一般式で表されるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩(I)とセリン-N,N- ジ酢酸(II)とを含有する抗菌剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a) 下記一般式(I)で表されるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩【化1】

(式中、R1は炭素数12〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、X-は陰イオンを示す。)(b) 下記一般式(II)で表されるセリン-N,N- ジ酢酸又はその塩【化2】

(式中、M はH 又は陽イオンを示す。)を含有することを特徴とする抗菌剤組成物。
【請求項2】 (a) 成分と(b)成分との配合割合が、モル比で(b)/(a)=0.5〜5である請求項1記載の抗菌剤組成物。
【請求項3】 組成物中の(a) 成分の配合量が0.1 〜40重量%である請求項1又は2記載の抗菌剤組成物。
【請求項4】 一般式(I)において、X-がハロゲンイオン又はモノヘキサデシルリン酸エステルイオンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌剤組成物。
【請求項5】 一般式(II)において、M がH, Na, K又はNH4 である請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌剤組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌剤組成物に関し、詳しくは抗菌活性が高く、しかも刺激性が少ない抗菌剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来からアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩(ベンザルコニウム塩とも言う)は優れた殺菌力を示すことから広く手指の消毒等に用いられてきた。しかしながら、ベンザルコニウム塩は目や皮膚に対し一定濃度以上では刺激性を示すため、その使用濃度や使用頻度は限られていた。
【0003】従って、本発明の目的は、抗菌性を低下させずにベンザルコニウム塩の濃度を低減させ、刺激性の少ない抗菌剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる現状において本発明者らは、鋭意検討を行った結果、それ自体抗菌性を示さないセリン-N,N- ジ酢酸が、ベンザルコニウム塩の刺激性を増大させることなく、抗菌性を増大させることができ、ベンザルコニウム塩の使用濃度を低減できることを見出し本発明を完成するに到った。
【0005】即ち、本発明は、(a) 下記一般式(I)で表されるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩【0006】
【化3】

【0007】(式中、R1は炭素数12〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、X-は陰イオンを示す。)
(b) 下記一般式(II)で表されるセリン-N,N- ジ酢酸【0008】
【化4】

【0009】(式中、M はH 又は陽イオンを示す。)を含有することを特徴とする抗菌剤組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】本発明においては、(a) 成分として前記一般式(I)で表されるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩(ベンザルコニウム塩)が用いられる。一般式(I)において、R1は炭素数12〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示すが、直鎖アルキル基が好ましい。またX-は陰イオンを示すが、具体的にはハロゲンイオン、モノヘキサデシルリン酸エステルイオン等が挙げられ、特に塩素イオンが好ましい。
【0012】本発明においては、(b) 成分として前記一般式(II)で表されるセリン-N,N-ジ酢酸が用いられる。一般式(II)において、M はH 又は陽イオンを示すが、陽イオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等が挙げられる。M として好ましいものは、H, Na, K, NH4 であり、特にH, Na, Kが好ましい。
【0013】この一般式(II)で表されるセリン-N,N- ジ酢酸の中では部分中和されたものが抗菌活性の向上効果が高く好ましいが、完全に中和されたものも充分な抗菌活性の向上効果を示す。
【0014】本発明の組成物中の上記(a) 成分と(b) 成分の配合割合は、充分な抗菌活性の向上効果を得るために、モル比で (b)/(a) =0.5以上が好ましく、更に0.5〜5、特に1〜2が好ましい。
【0015】また、本発明の組成物中の(a) 成分の配合量は、好ましい抗菌活性を付与するという面から、0.1 〜40重量%が好ましく、2〜20重量%が更に好ましい。本発明の組成物中の(b) 成分の配合量は、好ましい抗菌活性の向上効果を付与するという面から、0.05〜30重量%が好ましく、1〜15重量%が更に好ましい。
【0016】本発明の抗菌剤組成物には上記必須成分の他に、洗浄性能を付与させる目的で非イオン界面活性剤を配合することができる。非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグリセリンエーテル等が挙げられる。
【0017】また、本発明の抗菌剤組成物にはpHを調整する目的でpH調整剤を配合することができる。pH調整剤としては、適宜のアルカリ剤が使用され、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリや炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸アルカリ塩や炭酸水素アルカリ塩等が挙げられる。
【0018】更に、本発明の抗菌剤組成物には必要に応じて他の添加剤、例えば塩類、増粘剤、他の殺菌剤、減粘剤、エタノール、プロピレングリコール等の溶剤、香料、着色料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0019】本発明の抗菌剤組成物は、通常の方法により、例えば各成分を混合攪拌等することにより製造することができ、水溶液、固形剤、水性分散液等の各種剤型とすることができる。
【0020】本発明の抗菌剤組成物を使用するに際しては、(a) 成分のベンザルコニウム塩の濃度として 0.005〜0.5 重量%、好ましくは0.01〜0.1 重量%となるように必要に応じ適宜の溶媒、例えば水で希釈して殺菌・抗菌の対象物に接触せしめる。
【0021】本発明の抗菌剤組成物は、繊維、床、壁等の種々の対象物に使用できる。例えば繊維用抗菌剤として本発明の抗菌剤組成物は、綿、ポリエステル/綿、ポリエステル、アクリル、ナイロン等のあらゆる繊維に一般的方法で適用される。すなわち、攪拌処理でも、浸漬処理でも、スプレー処理でも都合の良い方法を選択できる。本発明の抗菌剤組成物の好適な使用濃度範囲は、(a) 成分のベンザルコニウム塩の濃度として被処理繊維に対して 0.005〜0.5 重量%owf 、好ましくは0.01〜0.3 重量%owf である。これ以下の濃度では実用性に欠け、またこれ以上の濃度では抗菌活性は充分に達成されるが、濃度を上げて処理する意味がない。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、上記(a) 成分と(b) 成分とを組み合わせて用いることにより抗菌活性が高く、しかも刺激性の少ない抗菌剤組成物を得ることができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれ等の実施例に限定されるものではない。尚、例中の%は特記しない限り重量%である。
【0024】実施例1〜2及び比較例1〜2表1に示す組成を有する各種抗菌剤組成物を調製し、下記方法によりそれぞれの繊維に対する抗菌活性をハロー試験に従って評価した。
【0025】<抗菌活性評価方法>(1) 抗菌剤処理木綿ブロード(原反、未染着布)を10cm×24cmの布片に裁断し、これを抗菌剤処理布として用いた。表1に示した組成の抗菌剤組成物(0.78g)を水道水(100ml)に溶かした水溶液(抗菌剤組成物濃度=0.78重量%ows ;ベンザルコニウム塩濃度= 0.028重量%ows)に処理布約10枚(25g;浴比=1/4)を室温で10分間浸漬処理した(処理布に対するベンザルコニウム塩濃度=0.11重量%owf)。次いで1分間遠心脱水した後、 140℃で30秒間プレス乾燥した処理布をハロー試験の供試試料とした。
【0026】(2) ハロー試験供試試料(20mm×20mm)を黄色ブドウ球菌を植種した寒天培地上に置き、37℃で24時間、菌の培養を行い、試料周辺の黄色ブドウ球菌の生育の有無により、すなわち試料周辺に形成されるハロー幅(mm数)で抗菌活性を評価した。ハロー幅の数値の大きい方が抗菌活性が大であることを意味し、ブランクの場合は0である。
【0027】
【表1】

【0028】注)
*1:一般式(I)において、R1=C12H25/C14H29、X-Cl- の化合物(平均分子量354 )
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外3名)
【公開番号】 特開平11−116406
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−272632