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【発明の名称】 導水路内面の水中生物の付着抑制方法
【発明者】 【氏名】若松 雅佳

【氏名】三ッ井 達也

【要約】 【課題】従来の人的手段による抑制方法では、人手を要すること、迅速性に欠けること、又は作業に危険を伴うこと、等の課題が考えられる。また列挙した文献は、組成物の内容よりして、コスト高となること、及び施工コンクリートへの付設に十分対応できないこと、等の課題がある。

【解決手段】本発明は、水力発電所の導水路の内面に付着、又は導水路を流れる水中生物を効率的に抑制することを意図する。構成は、水力発電所の導水路の内面に水中生物忌避用の銅又は塩基性炭酸銅粉末を添加したマグネライン組成物によりマグネライン組成膜を設け、当該マグネライン組成膜から析出される忌避成分により水中生物の付着を抑制する導水路内面の水中生物の付着抑制方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水力発電所の導水路の内面に水中生物忌避用のマグネライン組成膜を設け、当該マグネライン組成膜から析出される忌避成分により水中生物の付着を抑制する導水路内面の水中生物の付着抑制方法。
【請求項2】 上記の水中生物忌避用のマグネライン組成物は、マグネラインに銅を添加混合して生成された混合組成物である請求項1に記載の導水路内面の水中生物の付着抑制方法。
【請求項3】 上記の水中生物忌避用のマグネライン組成物は、マグネラインに銅及び塩基性炭酸銅粉末を添加混合して生成された混合組成物である請求項1に記載の導水路内面の水中生物の付着抑制方法。
【請求項4】 上記の銅又は塩基性炭酸銅粉末の混合比は、マグネラインに対して20%重量比である請求項2又は請求項3に記載の導水路内面の水中生物の付着抑制方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導水路内面の水中生物の付着抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一部の地域において、水力発電所導水路コンクリート内面に水虫の発生がみられ、発電所の発電出力に影響を及ぼしている。この水中生物の一例としては、通常ウルマシマトビケラが挙げられている。このウルマシマトビケラの幼虫体は、静水および緩流水では幼虫体は沈下し、螺旋流中では幼虫は平均1.5m/sec以上で円運動し、外側へ移行されることにより、壁面への取り付き機会を多く与えられると論じられており、前記導水路の内面に多く付着する状況となっている。このウルマシマトビケラを初めとした水中生物を排除する方法としては、発電停止期間中に人力を頼りとして排除する原始的な方法が採用されている。
【0003】尚、コンクリート系の防菌剤としては、特開平8-268823号の防菌剤がある。この発明は、水に不溶性であり、硫酸に可溶性の金属粉末及び/又は金属化合物粉末の表面に増粘剤を付着させてなるイオウ酸化細菌及びイオウ酸化鉄酸化細菌を防菌する防菌剤であって、コンクリート中に遠心成形法を利用して配合する構成である。そして、防菌剤原料粉末として銅等の金属酸化物を使用することが開示されている。また乳化型エマルジョンを採用する微生物の駆除・繁殖防止を意図する抗菌剤としては、特開平4-364102号の乳化型抗菌コーティング剤がある。この発明は、親油性の抗菌剤パラクロロメタキシレノールを殺菌性の高い溶剤メシチレンに溶解して、ここへ乳化剤としてノニオン界面活性剤を加えて乳化可能な抗菌剤溶液とし、これを酢酸ビニル・アクリル酸エステル類共重合エマルジョンに乳化配合した構成である。目的は、親油性抗菌剤を乳化させた状態で塗布でき、その抗菌性が非常に高く、しかも塗布性、保持性のすぐれた乳化型抗菌コーティング剤を得ることにある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記、従来の人的手段による排除方法では、人手を要すること、迅速性に欠けること、又は作業に危険を伴うこと、等の課題が考えられる。
【0005】一方、前記、文献(1)の発明は、コンクリート面の抗菌を図る構成であり、本発明のコンクリート製導水路内面の水中生物の付着抑制を図る構成と対象物において類似性はある。しかし、本発明とは目的が異なる。即ち、(1)の発明は、コンクリート構造物の石膏化防止であり、そのためにコンクリートに付着するイオン酸化細菌を排除することにある。之に対して本発明は、導水路内面への水中生物の付着抑制を目的とする。従って、前記の如く、両者の目的及び課題が相違するものである。また(1)の発明は、コンクリート自体に防菌剤原料粉末を均等に分散させる構成であることから、コスト高となること、及び施工コンクリートへの付設に十分対応できないこと、等の課題がある。
【0006】尚、前記、文献(2)の発明は、親油性抗菌剤を乳化させた状態で塗布できる乳化型コーティング剤であり、本発明のマグネライン組成物中のマグネラインエマルジョンに幾分類似する。しかし、本発明とは目的が異なる。即ち(2)の発明は、油物に吸着され易い微生物の駆除や繁殖防止を意図する。之に対して本発明は、前処理と吹き付け等により、主として、水中生物の付着抑制を目的とする。従って、前記の如く、両者の目的及び課題が相違するものである。また(2)の発明は、細菌類、真菌類による微生物の駆除、繁殖防止であり本発明の水中生物の付着を抑制への適応には、有効性が疑問視される。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、水力発電所の導水路の内面への付着抑制、又は導水路を流れる水中生物の付着を効率的に抑制することを意図する。
【0008】即ち、請求項1で、その構成は、水力発電所の導水路の内面に水中生物忌避用のマグネライン組成膜を設け、当該マグネライン組成膜から析出される忌避成分により水中生物の付着を抑制する導水路内面の水中生物の付着抑制方法である。
【0009】本発明は、銅の金属イオン効果を発揮し、水中生物を効率的に排除することを意図する。
【0010】即ち、請求項2で、その構成は、水中生物忌避用のマグネライン組成物は、マグネラインに銅を添加混合して生成された混合組成物である導水路内面の水中生物の付着抑制方法である。
【0011】本発明は、銅及び塩基性炭酸銅粉末の金属イオン効果を発揮し、水中生物を効率的に排除することを意図する。
【0012】即ち、請求項3で、その構成は、水中生物忌避用のマグネライン組成物は、マグネラインに銅及び塩基性炭酸銅粉末を添加混合して生成された混合組成物である導水路内面の水中生物の付着抑制方法である。
【0013】また本発明は、銅と塩基性炭酸銅粉末を効率的に配合することを意図する。
【0014】即ち、請求項4で、その構成は、銅又は塩基性炭酸銅粉末の混合比は、マグネラインに対して20%重量比である導水路内面の水中生物の付着抑制方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】一部地域において、水力発電所の導水路コンクリートの内面に水虫の発生がみられ、発電所の発電出力に影響を及ぼしている。そこで、導水路の内面に事前に水虫対応策を施しておくことにより、水虫の発生そのものを抑制することを目的とする工法について、共用中の水路に試験的に施工する。以下に実験内容を概説する。
【0016】尚、本発明は、銅又は塩基性炭酸銅粉末を混合したマグネラインにより、水中生物の付着を抑制する構成である。従って、その施工方法の基本は、(1)既に付着している水中生物に銅又は塩基性炭酸銅粉末を塗っても、水中生物は死にますが、壁面から剥がれ落ちることなく、その場で残ってしまうことから、予め、このような状況を無くすこと、(2)当該銅又は塩基性炭酸銅粉末を混合したマグネラインの付着性をアップし、効率的に水中生物の付着を抑制する目的で、この銅又は塩基性炭酸銅粉末を混合したマグネライン塗布前に、既設構造物の施工面のケレン(高圧洗滌、ブラシ剥離、サンドブラスト等)をすることにある。
【0017】記■実験概要別途実施されている実験やその報告により、いくつかの材料が、菌類、藻類の発生抑制や水中生物の付着抑制効果を持つことが知られている。今回の実験では、これら材料のうち、導水路への適応性(施工性、経済性、水質への影響等)が高いと考えられるものについて、導水路壁面に吹き付けて効果を測定する方法で実施する。尚、既設構造物の施工面のケレンをする。
【0018】試験に使用する材料および試料は以下による。
【0019】(銅又は塩基性炭酸銅粉末“塩基性炭酸銅混合物”の配合割合は、マグネラインに対しての20%重量比とする。)
主 材:マグネライン〔樹脂モルタル、E:C=1:3.5〕
添加材1:銅〔3種:a)電解粉、b)粉砕粉、c)アトマイズ粉〕
添加材2:塩基性炭酸銅粉末〔1種:d)粉末材〕
資料■:マグネライン単体資料■:マグネライン+銅a資料■:マグネライン+銅b資料■:マグネライン+銅c資料■:マグネライン+塩基性炭酸銅粉末d【0020】
【表1】

【0021】■施工方法(資料■〜■は)マグネライン混合物をリシンガンにより吹き付ける(t=0.5mm)。
【0022】■計測方法一定区画(1m2程度)内の水虫棲息固体数を定期的に記録する。
【0023】■施工区分図1に示す如く、導水路の半分について行うものとし、上流側から順に資料■〜資料■を各延長10m施工し、2回繰り返す。これにより、全体の施工延長は100mとなり、かつ施工面積は40m2×5×2であり400m2となる。
【0024】尚、実験データーは後日、物件提出書で提出します。
【0025】
【実施例】マグネライン組成物の材料成分の一例を表示すると、次のようになる。
【0026】:マグネライン(吹き付けタイプ)は、 ■マグネエマルジョン 成 分 重量比 規格 ポリアクリル酸エステル 19.0 % ポリスチレン 13.0 % 図形分 32.0 ±2.0% 特殊添加剤 P H 8.0 ±1.0 68.0 % 粘 度 6.6 ±2.0 H2O 比 重 1.02 ±0.02kgf/cm3 外 観 乳白色 ■マグネコンパウンド 成 分 重量比 規格 白セメント 40.0 % ±2.0% (重量比) 6号けい砂 60.0 % ±2.0% (重量比) 特殊添加剤 微 量 ± 比 重 2.7 ±0.2:塩基性炭酸銅粉末は、CuCO3・Cu(OH)2又は2CuCO3・Cu(OH)2等の物質を粉末状にしたものであり、銅の酸化物の一種である酸化第一銅(Cu2O)を主体とする皮膜形成部材である。従って、この塩基性炭酸銅粉末は、菌類、藻類の発生抑制や水中生物の付着抑制に役立ち、かつコンクリートの劣化防止に役立つ本発明の構成要素となる。
【0027】以上の材料成分で生成されたマグネライン組成物Aを前記「発明の実施の形態」での■施工区分において、説明した如く、前処理(高圧洗滌、例えば、約45kg/cm2)を行った後、導水路1の内面100の一方側に吹き付け又はハケ塗り(説明せず)等の手段を利用して設け、マグネライン組成膜A1を形成する。一例として、図1の如く、導水路1の内面100の水路側壁部100a(高さ=2.0m)と水路底部100b(底面の幅=2.0m)に、マグネライン組成膜A1を形成する。このマグネライン組成膜A1より析出される忌避成分A2により、内面100への水中生物の付着を抑制すること、又は導水路1の水中Bに浮遊する水中生物の付着の抑制(水中生物の付着の防止)に役立つ特徴がある。
【0028】
【発明の効果】本発明は、水力発電所の導水路の内面に水中生物忌避用のマグネライン組成膜を設ける構成である。従って、当該導水路の内面に付着、又は導水路を流れる水中生物の付着を効率的に抑制することができる特徴がある。
【0029】本発明は、マグネライン組成物中に銅を添加混合する構成である。従って、銅の金属イオン効果を発揮し、水中生物の付着を効率的に抑制することができる特徴がある。
【0030】また本発明は、マグネライン組成物中に銅及び塩基性炭酸銅粉末を添加混合する構成である。従って、相乗効果による銅の金属イオン効能を最大限に発揮し、水中生物の付着を効率的に抑制できる特徴がある。
【出願人】 【識別番号】596027357
【氏名又は名称】徳倉建設株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
【公開番号】 特開平11−92318
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平9−259007