| 【発明の名称】 |
船舶の防汚方法およびその防汚用ネット |
| 【発明者】 |
【氏名】久保田 伸彦
【氏名】綾部 統夫
【氏名】田中 瑞乃
【氏名】根目沢 礼和
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| 【要約】 |
【課題】停泊時の船体全体の防汚,防食、作業性を高め、機器類の設置および撤去,船体の引き込みや離脱等の作業を容易にするとともに、船体の大きさや形状に対する融通性を高める。また、防汚作業実施時における環境汚染を防止する。
【解決手段】船舶の停泊予定域にTiO2 ネットを水平に広げて沈めておき、TiO2 ネット上に船体を誘導して、船舶誘導後にTiO2 ネットを引き上げて、船体の回りをTiO2 ネットにより包み込んだ状態にして光触媒反応を発生させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 船舶(1)の停泊予定域にTiO2 ネット(21)を水平に広げて沈めておく工程と、TiO2 ネット上に船体を誘導する工程と、船舶誘導後にTiO2 ネットを引き上げる工程と、引き上げたTiO2 ネットを船体の回りに包み込んだ状態に固定する工程と、TiO2 ネットに光触媒反応を発生させる工程とを有することを特徴とする船舶の防汚方法。 【請求項2】 左右の岸壁(X)の間の水路(S)に船舶(1)を誘導する工程と、岸壁のクレーン(3)によってTiO2 ネット(21)を吊持する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の船舶の防汚方法。 【請求項3】 フロート(4)によりTiO2 ネット(21)を水中に吊持しておく工程と、船舶(1)の誘導後にTiO2 ネットをさらに引き上げる工程とを有することを特徴とする請求項1または2記載の船舶の防汚方法。 【請求項4】 TiO2 ネット(21)の一方を岸壁(X)に吊持しておく工程と、TiO2 ネットの他方をフロート(4)に吊持しておく工程とを有することを特徴とする請求項1記載の船舶の防汚方法。 【請求項5】 引き上げたTiO2 ネット(21)を、船舶(1)の両舷に固定することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の船舶の防汚方法。 【請求項6】 TiO2 ネット(21)に紫外線を照射して、TiO2 ネット近傍に浮遊または遊泳する微生物等の殺菌,滅菌,繁殖防止を行うことを特徴とする請求項1記載の船舶の防汚方法。 【請求項7】 船舶(1)の停泊予定域に水平に広げて沈められるTiO2ネット(21)と、該TiO2 ネットに接続されこれを海面付近で吊持するフロート(3)とを具備することを特徴とする防汚用ネット。 【請求項8】 TiO2 ネット(21)と、該TiO2 ネットを海中または海底に沈めるおもり(22)と、TiO2 ネットの縁部に配されTiO2 ネットを吊持する被吊持具(24)とを具備することを特徴とする防汚用ネット。 【請求項9】 TiO2 ネット(21)が、TiO2 繊維集合体(F11)を撚り合わせて作製された線条体(F1)によって形成されることを特徴とする請求項7または8記載の防汚用ネット。 【請求項10】 線条体(F2)が、TiO2 微粉末(P)を練り込んで作製されたTiO2 繊維集合体(F21)によって形成されることを特徴とする請求項7または8記載の防汚用ネット。 【請求項11】 線条体(F3)が、素線(F21)の表面に、TiO2 コーティング層(F22)を形成して作製されることを特徴とする請求項7または8記載の防汚用ネット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、船舶の防汚方法およびその装置に係わり、光触媒反応を利用して船体の防汚効果を高めるものである。 【0002】 【従来の技術】船舶の防汚方法として、例えば、有機スズを含む船体塗料を船体に塗布し、海洋生物が船体に付着することを妨げる技術が採用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機スズ等の重金属は、防汚剤として有効であるものの、生物体に対する毒性が強く、かつ自然分解し難い特性を有しているため、海洋に流出して底泥に堆積する等の環境汚染の大きな要因となる。このため、底泥生物をはじめとする他の有益な生物への体内濃縮が進み、殺虫成分の生体へ及ぼす影響を考慮すると、防汚剤として適しているとはいえない。また、船舶には、タンカー等の大型船舶からスポーツ,レジャー船のような小型船舶まであり、そのいずれにあっても防汚処理が必要とされる。このため、防汚処理にあっては、船体の大小,形状にかかわらず作業機器の設置や撤去、あるいは船体の引き込みや離脱等の作業が容易に行い得るものであることが望ましい。また、作業従事者にあっては、長期間、防汚剤雰囲気中に曝されることとなるため、人体に対する安全性を配慮しなけれならない。 【0004】本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成するものである。 ■ 停泊時の船体全体の防汚,防食を行うこと。 ■ 船体の大きさや形状に対する融通性をもたせること。 ■ 作業機器の設置および撤去作業を容易にすること。 ■ 船体の引き込みや離脱を容易にすること。 ■ 海洋の環境汚染を防止すること。 【0005】 【課題を解決するための手段】船舶の停泊予定域に、TiO2 ネットをおもり等を利用して海中あるいは海底に水平に広げて沈めておき、TiO2 ネット上に船舶を誘導し、誘導後にTiO2 ネットを引き上げて船体の回りを包み、TiO2 ネットに光触媒反応を発生させて船舶の防汚を行う技術が採用される。船体の回りを包む第1の手段として、左右岸壁の間の水路に船舶を誘導し、左右に配されたクレーンによってTiO2 ネットを吊持し、船体の回りを包み込むようにする技術が採用される。船体の回りを包む第2の手段として、フロートによりTiO2 ネットを水中に吊持しておき、そこに船舶を誘導し、誘導後にネットをさらに引き上げて船体の回りを包み込むようにする技術が採用される。船体の回りを包む第3の技術として、TiO2 ネットの一方を岸壁に吊持しておくとともに、他方をフロートに吊持しておき、そこに船舶を誘導して船体の回りを包み込むようにする技術が採用される。上述したTiO2 ネットにあっては、第1〜第3手段のいずれの技術を採用する場合にも、クレーンあるいはフロートから、船上に配されるウィンチに掛け代えて、船舶の両舷に吊持状態に固定することが望ましい。船体の回りを包み込んだTiO2 ネットにあっては、強制的に紫外線を照射することにより船体近傍の光触媒効果を高め、TiO2 の酸化力を強化することによって、TiO2 ネット近傍に浮遊または遊泳する微生物等の殺菌,滅菌,繁殖防止および船体の防食を行うようにする。なお、TiO2 ネットにあっては、編み目を形成するための線条体に光触媒反応特性を有するTiO2 を担持させたものが採用され、例えば繊維状に加工されたTiO2 繊維集合体を寄り合わせるなどして所望の径まで太くした線条体や、TiO2 微粉末を練り込んで作製されたTiO2 繊維集合体からなる線条体、あるいは素線の表面にTiO2 コーティング層を形成してなる線条体が採用される。いずれの場合も、TiO2 が表面に露出するように作製することが必要となる。TiO2 ネットの照射光源としては、主に太陽光が利用されるが、自然条件(天候不順)あるいは船舶停泊域の設置条件等に影響されないように、紫外線照射灯を海中あるいは吃水線付近に設置して、強制的な紫外線照射により、安定した光触媒反応を生じさせるようにしてもよい。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る船舶の防汚方法およびその防汚用ネットの第1実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。 【0007】図中、符号1は船舶、2は防汚用ネット、3はクレーン、4はフロート、Xは岸壁、Lは吃水線、Sは水路である。 【0008】前記船舶1は、例えば大型のタンカーであり、図1の矢印が示すようにドッグ等の停泊予定地に予め沈めておいた防汚用ネットの上に誘導される。 【0009】前記防汚用ネット2は、例えば漁網のように可撓性を有するネットに、TiO2 を担持させるとともに、TiO2 が表面に露出するように加工されたものが採用され、図1に示すように、海中あるいは海底に水平に広げた状態に設置されるTiO2 ネット21と、TiO2 ネット21の任意箇所に配され該TiO2 ネット21を海中あるいは海底に沈めるためのおもり22と、TiO2 ネット21の周縁部に配され該TiO2 ネット21を引き上げるワイヤー23と、該ワイヤー23の上端部に配される被吊持具24とから構成されている。 【0010】前記クレーン3は、図2に示すように、水路Sを形成する両岸壁(X)に対をなすように一対または複数対配され、ワイヤー31により吊り下げられているフック32に、防汚用ネット2の被吊持具24を引っ掛けて、TiO2 ネット21を吊持するものである。 【0011】具体的には、船舶1の誘導前に、クレーン3により防汚用ネット2を吊り降ろし、TiO2 ネット21の部分を沈めて停泊予定域の海中あるいは海底に水平に広げておく。TiO2 ネット21の設置後に、船舶1を誘導してTiO2 ネット21の直上位置に停泊させる。船舶1の誘導後、クレーン3によりTiO2 ネット21を引き上げ、図2に示すように、TiO2 ネット21で船体を包み込んだ状態とするとともに、TiO2 ネット21の縁部を船体に引き寄せ、船上に複数配したウィンチ11により被吊持具24を吊り上げ、両舷にTiO2 ネット21を固定する。こうすることによって、図3に示すように、防汚用ネット2が、吃水線Lを含む船腹および船底の表面全体に張り巡らされる。 【0012】この場合、防汚用ネット2は、船体の表面に近接した状態に配されており、太陽光あるいは紫外線照射により、TiO2 ネット21に光触媒反応を発生させることができる。つまり、太陽光あるいは水路Sに配した紫外線ランプによる紫外線照射により、TiO2 ネット21に光触媒反応を生じさせて、強力な酸化力に基づき船体付近に浮遊あるいは遊泳する微生物等の殺菌,滅菌,繁殖防止を行うことが可能となる。同時に、光触媒反応の発生に基づく船体表面の腐食電位の低下により、船体に対する防食効果を期待することができる。 【0013】次に、船舶の防汚方法およびその防汚用ネットの第2実施形態について、図4を参照して説明する。 【0014】該第2実施形態にあっては、図4に示すように、岸壁Xのクレーン3とフロート4を用いて、防汚用ネット2を水中に吊持するものである。この場合、TiO2 ネット21の一方を岸壁Xのクレーン3により吊持しておくとともに、TiO2 ネット21の他方を停泊予定域の水面に浮かせたフロート4により吊持し、防汚用ネット2を停泊予定域の海中あるいは海底に設置する。船舶1の誘導後に、岸壁Xのクレーン3および船上のウィンチ11を作動して、被吊持具24およびワイヤー23により、TiO2 ネット21を例えば船体にたぐり寄せるようにして引き上げ、前述した第1実施形態と同様に両舷に固定する。以上により防汚用ネット2の設置が完了する。 【0015】船舶の防汚方法およびその防汚用ネットの第3実施形態について図5を参照して説明する。 【0016】該第3実施形態にあっては、図5に示すように、左右両側に対をなすようにフロート4を例えば複数対配して防汚用ネット2を吊持し、海中あるいは海底に設置するものである。船舶1の誘導後に、TiO2 ネット21を、船上のウィンチ11により船体にたぐり寄せて引き上げ、防汚用ネット2を固定する。 【0017】図6ないし図8はTiO2 ネット21の編み目を形成するための線条体(F1,F2,F3)の構造例を示している。図6の第1例は、2本のTiO2 繊維集合体F11を撚り合わせてロープ状としたものであり、該TiO2 繊維集合体11が、プラスチック等の繊維素線aとTiO2 素線bとを多数集合させて構成されている。図7の第2例は、2本のTiO2 繊維集合体F21を撚り合わせてロープ状とするとともに、該TiO2 繊維集合体F21が、繊維素線aの中に、TiO2 微粉末Pを練り込んで、繊維素線aの表面にもTiO2 を担持させた状態としたものである。図8の第3例は、ナイロンやアルミ線等の糸状または針金状の素線F31の表面に、TiO2 コーティング層32を形成したものである。いずれの場合にあっても、線条体F1,F2,F3の表面に、TiO2 が露出状態となるように担持させたものを使用して、網状のTiO2 ネット21が作製される。 【0018】 【発明の効果】本発明に係る船舶の防汚方法およびその防汚用ネットによれば、以下の効果を奏する。 (1) TiO2 を露出状態に担持させた防汚用ネットを用いて船体全体を包み込み、光触媒反応を発生させて船体近傍に強い酸化力を付与させることにより、船体全体の防汚,防食を行うことができる。 (2) 可撓性を有する防汚用ネットを用いることによって、船体の大きさや形状に対する融通性を持たせることができる。 (3) 防汚用ネットの可撓性に基づく取り扱い性と、クレーン,フロートあるいはウィンチ等による単純な吊持とにより、防汚作業用機器の設置および撤去作業を容易に行うことができる。 (4) 防汚用ネットの船体への装着時に、TiO2 ネットを水平に広げて船舶を誘導し、TiO2 ネットを引き上げて船体の表面を囲むことにより、単純な構造とあいまって船体に対して容易に脱着することが可能となり、船体の引き込みや離脱を容易にすることができる。 (5) TiO2 に光触媒反応を生じさせ、強い酸化力により、船体近傍に浮遊あるいは遊泳する微生物等の殺菌,滅菌,繁殖防止を行うことにより防汚効果を高めるとともに、従来技術と比較して有害物質を含有する防汚剤の使用を不要とし、海洋汚染を防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000099 【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月18日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−92316 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−253933 |
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