トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 船舶または水浸構造物の防汚方法及び防汚用帯状体
【発明者】 【氏名】久保田 伸彦

【氏名】綾部 統夫

【氏名】田中 瑞乃

【氏名】根目沢 礼和

【要約】 【課題】船舶または海洋構造物等の吃水線近傍の防汚を簡単に行ない、防汚効果を長時間に亘って持続させ、防汚作業性を向上させて労力を低減するとともに、環境汚染を防止する。

【解決手段】船舶または水浸構造物における強磁性体よりなる被防汚表面に、TiO2 体を表面に露出状態に担持させた防汚用帯状体を、マグネットまたはマグネット帯状体の磁着力を利用して磁着させ、自然光または人工光の照射時におけるTiO2 体の光触媒反応により、被防汚表面に対する汚損物の付着を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 TiO2 体(2c)を表面に担持させた防汚用帯状体(2)を、磁着力により船体(1)の被防汚表面(1a)に磁着させ、TiO2 体の光触媒反応により、被防汚表面に対する汚損物の付着を防止することを特徴とする船舶の防汚方法。
【請求項2】 マグネット帯状体(2a)を被防汚表面(1a)に磁着させることを特徴とする請求項1記載の船舶の防汚方法。
【請求項3】 ロール状防汚用帯状体(R)を被防汚表面(1a)に沿って転動させて巻き戻しながら磁着させることを特徴とする請求項1または2記載の船舶の防汚方法。
【請求項4】 防汚用帯状体(2)を水浸構造物(3)の被防汚表面(3a)に螺旋状に巻き付けて、防汚用帯状体の表面に担持させたTiO2 体(2c)の光触媒反応により、被防汚表面に対する汚損物の付着を防止することを特徴とする水浸構造物の防汚方法。
【請求項5】 強磁性体よりなる被防汚表面(1a,3a)の表面に磁着させるためのマグネット帯状体(2a)と、該マグネット帯状体の表面に担持状態に配され光触媒反応を発生させるためのTiO2 体(2c)とを具備することを特徴とする防汚用帯状体。
【請求項6】 マグネット帯状体(2a)の両面にTiO2 体(2c)が配されることを特徴とする請求項5記載の防汚用帯状体。
【請求項7】 マグネット帯状体(2a)が導電性を有していることを特徴とする請求項5または6記載の防汚用帯状体。
【請求項8】 ロール状に巻回されているとともに、巻き戻しながら磁着させることを特徴とする請求項5、6または7記載の防汚用帯状体。
【請求項9】 幅方向に間隔を空けた複数のマグネット帯状体(2a)の間に、TiO2 体(2c)を表面に担持させた状態の防汚ネット(2d)を配した防汚用帯状体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶または水浸構造物の防汚方法及び防汚用帯状体に係わり、特に、所望箇所で光触媒反応を生じさせて防汚効果を高めるものである。
【0002】
【従来の技術】船舶の防汚方法として、例えば、有機スズ系塗料を船体に塗布し、海洋生物が船体に付着することを妨げる技術が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機スズ等の重金属は、防汚剤として有効であるものの、生物体に対する毒性が強く、かつ自然分解し難い特性を有しているため、海洋に流出して底泥に堆積する等の環境汚染の大きな要因となる。また、防汚塗料が剥がれた場合には、船舶等の表面に対する再塗装作業時の労力が多大なものとなる。
【0004】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成するものである。
■ 停泊状態の船舶または海洋構造物等の吃水線近傍の防汚を簡単に行うこと。
■ 防汚効果を長時間に亘って持続させること。
■ 防汚作業性を向上させ、労力を低減すること。
■ 防汚作業に使用した機材の撤去を容易にすること。
■ 海洋の環境汚染を防止すること。
■ 防汚対象物の大きさや形状に対する融通性を持たせること。
【0005】
【課題を解決するための手段】船舶または水浸構造物における強磁性体よりなる被防汚表面に、TiO2 体を表面に露出状態に担持させた防汚用帯状体を、マグネットまたはマグネット帯状体の磁着力を利用して磁着させ、自然光または人工光の照射時におけるTiO2体の光触媒反応により、被防汚表面に対する汚損物の付着を防止する技術が採用される。被防汚表面は、船体または水浸構造物における水浸表面または吃水線上方の露出表面とされる。防汚用帯状体を被防汚表面に磁着させる手段として、防汚用帯状体をロール状に巻回してなるロール状防汚用帯状体を適用し、ロール状防汚用帯状体を被防汚表面に沿って任意方向に転動させながら広げて磁着させる方法が採用される。水浸構造物の場合には、防汚用帯状体を水浸構造物の表面に螺旋状に巻き付けて取り付ける方法が採用される。この場合には、防汚用帯状体を密に巻回する以外に、開放螺旋巻きする方法も有効である。防汚用帯状体は、その両面にTiO2 体が配される技術や、導電性を付与しておく技術も採用される。磁着力を有しているマグネット帯状体を幅方向に間隔を空けて磁着させるとともに、マグネット帯状体の間に、TiO2 体を表面に担持させた状態の防汚ネットを配して支持させる技術も採用される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る防汚技術の第1実施形態について、図1ないし図3を参照して説明する。
【0007】図中、符号1は船舶(船体)、2は防汚用帯状体(ロール状防汚用帯状体)、Lは吃水線である。
【0008】前記船舶(船体)1の外板が、鋼材等の強磁性体により作製されている場合において、防汚用帯状体2がマグネットの磁着力を利用して被防汚表面1aの所望範囲に磁着される。
【0009】図1例では、防汚用帯状体2をロール状に巻回したロール状防汚用帯状体Rを使用して、例えば被防汚表面1aの吃水線Lに沿って転動させながら広げて、磁着させる方法が採用される。
【0010】前記防汚用帯状体2は、図2に示す第1例では、鋼材等の強磁性体に対して磁着力を有するマグネット帯状体(マグネットゴム)2aの表面に、例えばn型TiO2 からなるTiO2 膜2bを一体に形成して、TiO2 体(TiO2 粒子)2cが表面に露出するようにしたものである。また、防汚用帯状体2は、図3に示す第2例では、マグネット帯状体2aの表面近傍にTiO2 体2cを混入して担持させたものとして、TiO2 体2cの少なくとも一部が表面に露出するようにしたものである。
【0011】このように、強磁性体よりなる被防汚表面1aに、防汚用帯状体2を磁着させる技術であると、停泊状態の船舶(船体)1の被防汚表面1aに、マグネット帯状体2aを容易に磁着させることができるとともに、自然光である太陽光または人工光の照射により、TiO2 体2cの部分に光触媒反応を発生させて、その際の強力な酸化力に基づき、被防汚表面1a及び防汚用帯状体2の付近に浮遊あるいは遊泳する微生物等の殺菌,滅菌,繁殖防止を行なうとともに、被防汚表面1aに対する汚損物の付着を防止することが可能となる。
【0012】図4及び図5は、防汚用帯状体2の第3例を示している。該第3例では、防汚用帯状体2の部分が、図4に示すように、幅方向に間隔を空けて配される複数本のマグネット帯状体2aと、該マグネット帯状体2aに対して一体にまたは解体可能に配されTiO2 体2cを表面に担持させた状態の防汚ネット2dと、必要に応じて防汚ネット2dを押さえるように被防汚表面1aに磁着されるマグネット2eとを有するものとされる。
【0013】第3例の防汚用帯状体2で被防汚表面1aの任意箇所を覆う場合も、防汚ネット2dを有する防汚用帯状体2をロール状に巻回しておいて、巻き戻しながら広げて、マグネット帯状体2aを被防汚表面1aに磁着させることにより取り付けるか、または、図5に示すように、マグネット帯状体2aを個々のマグネット2eの磁着により固定しながら、取り付ける方法等が採用される。
【0014】さらに、図4及び図5に示す防汚ネット2dにあっては、TiO2 体2cを表面に露出するように担持させているために、TiO2 体2cが被防汚表面1aに対して直接接触させた状態に配されるとともに、網目を経由した光線が被防汚表面1aの近傍のTiO2 体2cまで到達して、防汚用帯状体2の全層で光触媒反応が生じて、酸化力に基づく水生生物の実質的な付着妨害作用と、付着有機物の分解による清浄作用とが期待でき、防汚効果が増大する。なお、光触媒反応に基づく酸化力は、防汚ネット2dの網目の空間部分にも及ぶため、得られる照射光の強さ及び酸化力を勘案して網目の大きさが設定される。
【0015】図6は、本発明の第2実施形態を示しており、防汚対象物が、港湾施設や石油掘削施設等の水浸構造物3とされている。水浸構造物3の被防汚表面3aが、円筒面状や角筒面状である場合には、被防汚表面3aに防汚用帯状体2を螺旋状に巻き付けて取り付ける技術が採用される。この場合には、防汚用帯状体を密に巻回する以外に、開放螺旋巻きする方法も有効であり、かつ、被防汚表面1aが強磁性体により形成されている場合には、マグネット帯状体2aを適用することにより、巻回作業性を向上させることができる。
【0016】〔他の実施の形態〕本発明にあっては、以下の技術も包含するものである。
a)防汚用帯状体2の両面にTiO2 体2cを配して被防汚表面1a,3aに接触させ、被防汚表面1a,3aの腐食電位を低下させることにより被防汚表面1a,3aの防食を行なうこと。
b)防汚用帯状体2に導電性を付与しておき、電位を加えることにより防食作用を発生させること。
c)被防汚表面1a,3aが水浸表面と吃水線Lよりも上方となる大気露出表面を含むこと。
d)紫外線ランプによる紫外線照射を適用または併用して、光触媒反応の発生を促進させること。
e)被防汚表面1a,3aまたは防汚対象物の大きさや形状に対応して、マグネット帯状体2aの形状を合わせる技術や、マグネット帯状体2aを切り貼りして被防汚表面1a,3aの所望部分を覆うようにすること。
f)防汚用帯状体2を引き剥がして撤去するとともに、その再利用を行なうこと。
【0017】
【発明の効果】本発明に係る船舶または水浸構造物の防汚方法及び防汚用帯状体によれば、以下の効果を奏する。
(1) 強磁性体よりなる被防汚表面に、防汚用帯状体を磁着力を利用して磁着させ、自然光または人工光の照射時におけるTiO2 体の光触媒反応により、被防汚表面に対する汚損物の付着を防止するものであるから、停泊状態の船舶または海洋構造物等の吃水線近傍の防汚を簡単に行なうことができる。
(2) TiO2 体を表面に露出状態に担持させた防汚用帯状体を使用することにより、TiO2 体の光触媒反応を半永久的に生じさせることができ、防汚効果を長期間に亘って持続させることができる。
(3) マグネットまたはマグネット帯状体の磁着力を利用して磁着させるものであるため、防汚作業の実施を容易にし、かつ防汚用帯状体の撤去を引き剥がすことによりなし得るため、防汚塗装を施す場合と比較して、作業労力を著しく低減することができる。
(4) 防汚用帯状体の表面にTiO2 体を担持させたものであるために、公害物質が含まれず、かつ磁着箇所を引き剥がして撤去することにより、海洋等の環境汚染を防止することができる。
(5) 防汚用帯状体を被防汚表面に磁着させ、必要に応じて巻回して取り付ける等の応用性があるために、防汚対象物の大きさや形状に左右されることが少なく、防汚作業時の融通性を高めることができる。
(6) TiO2 体を表面に担持させた状態の防汚ネットを使用することにより、広範囲の被防汚表面を速やかに効率よく防汚することができる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開平11−92315
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平9−253932