| 【発明の名称】 |
生分解性ポリマーの散布方法及びその利用 |
| 【発明者】 |
【氏名】関 正行
【氏名】石原 二郎
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| 【要約】 |
【課題】従来の農業用マルチに代わって、実施時の敷設の労力と使用後の回収の労力が省力化されると共に、廃棄物処理の問題もない農業用又は環境保全用資材としての生分解性ポリマーの利用法を提供する。
【解決手段】生分解性ポリマー(生分解性脂肪族ポリエステル、例えばポリ乳酸)を溶融状態又は溶解状態で散布する。必要に応じて、動物の忌避剤、殺虫剤、除草剤、肥料、土壌改良剤等の農業用及び/又は環境保全用薬剤を、生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液に含有させて散布する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性ポリマーを溶融状態又は溶解状態で散布する方法。 【請求項2】 農業用及び/又は環境保全用薬剤を含む生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液を散布する、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 農業用及び/又は環境保全用薬剤が、動物の忌避剤、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、肥料、植物活力剤、植物成長調整剤、土壌改良剤、有用微生物、有用菌及び着色・染色剤のうちから選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の方法。 【請求項4】 植物種子を含む生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液を散布する、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の方法。 【請求項5】 生分解性ポリマーが、生分解性脂肪族ポリエステルである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の方法。 【請求項6】 生分解性脂肪族ポリエステルが、乳酸を主成分とするポリエステルである、請求項5に記載の方法。 【請求項7】 生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液を得るに際して、可塑剤を添加する、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の方法。 【請求項8】 生分解性ポリマーを溶融状態又は溶解状態で散布することによる、農業用又は環境保全用資材としての生分解性ポリマーの利用。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性ポリマーの散布方法、及びこの散布方法による生分解性ポリマーの農業用又は環境保全用資材としての利用に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、農業用途に種々のプラスチックフィルムが多用されている。例えば、水田の周辺に設けられた畦畔の表面を覆い、水田の冠水時の漏水を防止する目的で用いられる畦畔シートとしては、硬質ポリ塩化ビニルフィルムやポリエチレンフィルムが用いられている(平成7年度農業資材年鑑p259〜261)。 【0003】また、畑地に敷いて表面を覆って、雑草の発芽防止又は雑草の成育抑制、保温・保水効果、及び害虫による被害防止のために、農業用ポリシート(例えば、積水化学工業(株)製の農ポリなど)が利用されている。 【0004】しかしながら、これら農業用マルチは、実施時の敷設の労力と使用後の回収の労力が必要であり、特に農業従事者の高年齢化が進んでいる現状において、手作業によるフィルム回収撤去作業は著しく重労働である。 【0005】また、フィルムを回収しても、回収フィルムの再生処理は技術的に困難であり、回収フィルムは廃棄物として処理される。そのため、一般のプラスチックと同様にフィルムの廃棄物処理が問題となる。すなわち、現状のプラスチック廃棄物処理は焼却処分や埋設処理であるが、ポリエチレンを焼却処分すると、その燃焼カロリーが高いため、焼却炉を傷め寿命を縮める。また、ポリ塩化ビニルを焼却処分すると、有害ガスが発生する。一方、プラスチック製品を埋設処理するには処分場が不足している。また、プラスチックが自然環境中に廃棄された場合、これらの化学的安定性が極めて高く、生物学的にも微生物などによる分解がほとんど起こらず、ほぼ半永久的に残存することになり、景観を損なう等生活環境を汚染する問題を引き起こす。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、従来の農業用マルチに代わって、実施時の敷設の労力と使用後の回収の労力が省力化されると共に、廃棄物処理の問題もない農業用又は環境保全用資材としての生分解性ポリマーの利用法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討した結果、生分解性ポリマー、特にポリ乳酸を溶融状態又は溶解状態で散布することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0008】すなわち、本発明の散布方法は、生分解性ポリマーを溶融状態又は溶解状態で散布する方法である。この方法において、農業用及び/又は環境保全用薬剤を含む生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液を散布することも可能であり、また、植物種子を含む生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液を散布することも可能である。 【0009】生分解性ポリマーは、生分解性脂肪族ポリエステルであることが好ましく、乳酸を主成分とするポリエステル、すなわちポリ乳酸であることがより好ましい。本発明においてポリ乳酸とは、乳酸ホモポリマーの他、乳酸コポリマーをも含む。 【0010】また、本発明は、生分解性ポリマーを溶融状態又は溶解状態で散布することによる、農業用又は環境保全用資材としての生分解性ポリマーの利用にも関する。 【0011】以下、本発明について詳しく説明する。本発明における生分解性ポリマーとしては、多糖類(デンプン、酢酸セルロースなど)、ポリエチレングリコール/プロピレングリコール等のポリエーテル;ポリヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネート; ポリγ−メチルL−グルタメート等のポリアミド; 脂肪族ポリエステル等が挙げられる。 【0012】これらの内でも脂肪族ポリエステルが好ましく、脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸等のポリ(α−ヒドロキシ酸); ポリ−β−ヒドロキシ酪酸等のポリ(β−ヒドロキシアルカノエート); ポリ−ε−カプロラクトン等のポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート); ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等のポリアルキレンアルカノエート等が挙げられる。これら脂肪族ポリエステルは、特に限定されないが一般に、結晶性の場合は融点60〜200℃、重量平均分子量5万〜50万、好ましくは10万〜30万程度のものである。 【0013】これらはいずれも生分解性であるので、本方法により溶融状態又は溶解状態で散布すれば、経時により自然分解するので、使用後の回収作業が必要でなく且つ廃棄物処理の問題もない。 【0014】これら各種の生分解性ポリマーのうち、ポリ乳酸が以下の観点からより好ましい。すなわち、ポリ乳酸は、生分解特性に優れ、生体安全性が高く、しかも分解物である乳酸が生体内で吸収され、中間分解生成物である乳酸の2量体やオリゴマーが植物生育活性作用を有する(Plant Cell Regulation 9, 137-146, 1990)点、価格が安価である点、透明である点、着色性が良い点等で好ましい。例えば、ポリL乳酸の生分解特性は、コンポスト中の44日間の生分解性テストで、セルロースが73%の分解性であるのに対し、93%の分解性を示し非常に優れている。 【0015】本発明においてポリ乳酸としては、特に限定されないが一般に、重量平均分子量5万〜50万、好ましくは10万〜30万のものを用いることができる。重量平均分子量が小さくなると、ポリ乳酸の分解速度が速くなるので、散布する用途によって適宜分子量を調節すると良い。また、結晶性の場合のポリ乳酸の融点は160〜200℃程度である。非結晶性のポリ乳酸も存在する。 【0016】ポリ乳酸におけるL乳酸単位、D乳酸単位の構成モル比L/Dは100/0〜0/100のいずれであっても良いが、光学純度の低いものが柔らかくなり、溶融状態又は溶解状態で散布し易くなるので好ましい。このような観点から、乳酸単位全体におけるL乳酸単位又はD乳酸単位の含有率が80%以下のものが好ましく、70%以下のものがより好ましい。 【0017】また、乳酸コポリマーは、乳酸モノマー又はラクチドと共重合可能な他の成分が共重合されたものである。このような他の成分としては、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられる。 【0018】ジカルボン酸としては、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させたものなどの芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、その他特開平6−184417号公報に記載されているもの等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。 【0019】乳酸コポリマーの加水分解性は、コポリマーにおける乳酸単位の含量により影響される。このため、乳酸コポリマー中の乳酸単位の含量は、用いる共重合成分にもよるが、一般に50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。乳酸単位の含量や共重合成分によって、散布後の乳酸コポリマーの生分解性を調節することが可能である。また、ポリ乳酸と他の生分解性脂肪族ポリエステルを単にブレンドしても良い。 【0020】ポリ乳酸は従来公知の方法で合成することができる。すなわち、特開平7−33861号公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予稿集44巻、3198-3199 頁に記載のような乳酸からの直接脱水縮合、または乳酸環状二量体ラクチドの開環重合によって合成することができる。 【0021】直接脱水縮合を行なう場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物のいずれの乳酸を用いても良い。また、開環重合を行なう場合においても、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、メソ−ラクチド又はこれらの混合物のいずれのラクチドを用いても良い。 【0022】ラクチドの合成、精製及び重合操作は、例えば米国特許4057537号明細書、公開欧州特許出願第261572号明細書、Polymer Bulletin, 14, 491-495 (1985)、及び Makromol Chem., 187, 1611-1628 (1986) 等の文献に様々に記載されている。 【0023】この重合反応に用いる触媒は特に限定されるものではないが、公知の乳酸重合用触媒を用いることができる。例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等の有機スズ系化合物、粉末スズ、酸化スズ; 亜鉛末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物; テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物; ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコニウム系化合物; 三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物; 酸化ビスマス(III) 等のビスマス系化合物; 酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム化合物等を挙げることができる。これらの中でも、スズまたはスズ化合物からなる触媒が活性の点から特に好ましい。これら触媒の使用量は、一般にラクチドに対して0.001〜5重量%程度である。 【0024】重合反応は、上記触媒の存在下、触媒種によって異なるが通常100℃〜200℃の温度で行うことができる。また、特開平7−247345号公報に記載のような2段階重合を行うことも好ましい。 【0025】本発明においては、上述した生分解性ポリマーを溶融状態又は溶解状態で散布する。溶融状態にするには、生分解性ポリマーを溶融温度以上に加熱すれば良いし、溶解状態にするには任意の適当な溶媒に溶解させれば良い。このような溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジオキサン等が挙げられる。また、乳酸の光学異性体を20%以上含むポリDL乳酸は、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン等の溶剤にも可溶となるので、用途に応じてポリ乳酸のDL含有率を制御すると良い。 【0026】生分解性ポリマーを農業用資材として利用する場合には、溶融状態又は溶解状態の生分解性ポリマーを、農耕地、畦道、休耕地等に散布することができる。(面積当たりの)散布量にもよるが、散布地に生分解性ポリマーの薄い被膜が形成される(散布量が少ない場合には、被膜に近い状態のものが形成されるであろう。)。このようにして、生分解性ポリマーを従来の農業用マルチの代わりとして用いることができる。従来の農業用マルチの敷設に比べて、省力化がもたらされる。 【0027】散布により形成された生分解性ポリマー被膜は、被膜の厚さ等にもよるが所定期間経過後に分解する。従って、使用目的に応じて生分解性ポリマーの散布量を適宜選択すればよい。このように、生分解性ポリマー被膜は自然環境中で分解されるので、従来のように使用後の回収撤去作業が不要であると共に、廃棄物処理の問題もない。 【0028】また、生分解性ポリマーを環境保全用資材として利用する場合には、同様に溶融状態又は溶解状態の生分解性ポリマーを、道路・鉄道・堤防など、及びそれらの法面・側道、道路の中央分離帯等に散布することができる。このような所に生分解性ポリマーを散布し生分解性ポリマー被膜を形成させることによって、一定期間、雑草の生育を抑制すること等が可能となる。 【0029】生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液を散布するに際しては、農業用及び/又は環境保全用薬剤を溶融液又は溶解液に含ませて散布しても良い。農業用及び/又は環境保全用薬剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、動物の忌避剤、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、肥料、植物活力剤、植物成長調整剤、土壌改良剤、有用微生物、有用菌、着色・染色剤等が挙げられる。 【0030】動物の忌避剤としては、モグラ、ネズミ、ザリガニ、昆虫類、ねこ等の動物を忌避できる薬剤、例えばモグラット(商品名、三東物産社製)、タケダのねずみにげる(商品名、タケダ園芸社製)等が挙げられる。忌避すべき動物の種類に応じて、それぞれの忌避剤を配合すれば良い。忌避剤の配合量は適宜定めることができるが、例えばモグラットの場合、一般に散布後の単位面積あたり1〜3ml/m2 程度になるようにすれば良い。 【0031】殺虫剤としては、植物の害虫用のオルトラン(商品名、タケダ園芸社製)等;殺菌剤としては、植物の病原菌、うどんこ病等用のベンレート(商品名、デュポン社製)、サンボルドー(商品名、タケダ園芸社製)等; 除草剤としては、クサノン(商品名、タケダ園芸社製)等; 肥料としては、ハイポネックス(商品名、ハイポネックス社製)等; 植物成長調整剤としては、スリトーン(商品名、タケダ園芸社製)等が挙げられる。 【0032】土壌改良剤、着色・染色剤としては、例えば黒色に着色する場合、通常用いられるカーボンブラック、あるいは酸化鉄等が挙げられ、これらを生分解性ポリマーに対して0.2〜1重量部程度配合すれば良い。また、活性炭(黒色の着色効果、土壌改良効果)を用いることもできる。その他、一般の着色・染色剤を用いれば、球技場のライン用資材としても利用可能である。 【0033】これらはいずれも例示であり、使用目的に応じて、任意の一種又は複数種の農業用及び/又は環境保全用薬剤を適宜選択し、適量を溶融液又は溶解液に含ませて散布することができる。このように、農業用及び/又は環境保全用薬剤を含んだ生分解性ポリマー溶融液又は溶解液を散布すれば、生分解性ポリマー被膜の形成後、ポリマーが分解するにつれて、有効成分が徐々に放出されるので、比較的少量の有効成分からポリマー分解期間に応じた長期間の持続効果を得ることができる。 【0034】本発明の散布方法により、必要に応じて農業用及び/又は環境保全用薬剤を含む生分解性ポリマーの被膜(あるいは被膜に近い状態のもの)が形成され、その後ポリマーが分解されるまでの間に、散布域の植物はすべて消失する。そして、ポリマーが分解され被膜が崩壊するころに、特定植物の種子を蒔くことにより、特定植物のみの育成が可能となる。 【0035】また、生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液を散布するに際して、上記農業用及び/又は環境保全用薬剤の代わりに、あるいは上記農業用及び/又は環境保全用薬剤とともに、特定植物の種子を溶融液又は溶解液に含ませて散布しても良い。形成されたポリマー被膜が分解・崩壊するころに、特定植物のみの育成が可能となる。 【0036】本発明においては、生分解性ポリマーの溶融液又は溶解液を得るに際して、可塑剤を添加することもできる。このような可塑剤としては、特に限定されるものではなく、用いる生分解性ポリマーの可塑化効果に優れるものを適宜選択すればよい。例えば、生分解性ポリマーとしてポリ乳酸を用いる場合には、ポリ乳酸と相溶性が良い可塑剤を用いることができる。例えば、フタル酸系のジエチルフタレート、ジメチルフタレート、アジピン酸系のジエチルアジペート、ジメチルアジペート、トリエチレングリコールジアジペート、エチルフタリルエチルグリコール、トリアセチン等、または特表平9−501456号公報に記載の可塑剤、エーテルエステル系可塑剤RS1000(商品名、旭電化工業社製)等を単独で、又は2種以上を複合して用いると良い。また、可塑剤の添加量も、生分解性ポリマーの種類や散布の形態(温度等)に応じて、適宜定めることができる。 【0037】本発明によれば、溶融状態又は溶解状態の生分解性ポリマーを目的域に散布するだけでよいので、従来の農業用マルチに比べて、敷設の省力化がもたらされる。そして、形成された生分解性ポリマー被膜は自然環境中で分解されるので、従来のように使用後の回収撤去作業が不要であると共に、廃棄物処理の問題もない。本発明において、生分解性ポリマーとしては生分解性脂肪族ポリエステルが好適であり、特にポリ乳酸が好適である。 【0038】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 [実施例1]島津製作所製のポリ乳酸「ラクティ」(重量平均分子量20万、融点175℃:200℃で溶融混練可能)100重量部に、カーボンブラック(東海カーボン社製)0.5重量部を210℃で溶融混練し、ペレットを得た。そのペレットを230℃で溶融し、熱したノズルから、(株)島津製作所三条工場内の空き地に300g/m2 程度噴霧し、黒色のマルチを施したような土壌被覆を行った。半年後、被覆地にはほとんど雑草が生えていなかった。一年後、被覆面はポリ乳酸の分解に伴って不均一な土壌表面に戻った。二年後には、雑草が生えていた。 【0039】[実施例2]非結晶性のポリ乳酸(L体70%、D体30%、重量平均分子量13万、融点なし)100重量部に、可塑剤RS1000(旭電化工業社製)50重量部を加えて、150℃で10分間溶融混練した後、室温に冷却し、ゲル状の混合物を得た。一旦、ゲル状混合物とすることにより、溶融時の粘度を下げることができる。このゲル状混合物を120℃にて溶融し、120℃のノズルから、空き地に280g/m2 程度噴霧した。均一な被覆状態が約半年間維持された。 【0040】[実施例3]実施例2で用いた非結晶性のポリ乳酸100重量部に、可塑剤RS1000を900重量部加えて、130℃で10分間溶融混練し、常温で液体の混合物を得た。この液状混合物は常温でも散布可能であったが、さらに粘度を下げるため、50℃にてノズルから、空き地に280g/m2 程度噴霧した。均一な被覆状態が約3か月間維持された。 【0041】[実施例4]ダイセル化学工業社製の生分解性プラスチック「プラクセル H−7(融点60℃)」を120℃で溶融し、空き地に300g/m2 程度噴霧した。均一な被覆状態が約10か月間維持された。 【0042】上記実施例1〜4いずれの場合においても、必要に応じて、農業用及び/又は環境保全用薬剤成分を混合して、ポリマーと同時散布して、薬剤成分を徐放させることができる。 【0043】 【発明の効果】本発明によれば、上述のように、従来の農業用マルチに比べて、敷設の省力化がもたらされ、使用後の回収撤去作業が不要となると共に、廃棄物処理の問題もない。 【0044】本発明によれば、生分解性ポリマーを溶融状態又は溶解状態で散布することによって、生分解性ポリマーを農業用又は環境保全用資材として利用することができる。具体的には、長期にわたり雑草の生えることを防止する、保温・乾燥防止等の目的に用いることのできる、環境にやさしい農業用又は環境保全用資材となる。 【0045】また、農業用及び/又は環境保全用薬剤成分を必要に応じて混合散布することにより、薬剤成分を徐放させることができ、動物の忌避効果、殺虫効果、殺菌効果、除草効果、肥料効果、植物成長調整効果、土壌改良効果等の種々の効果を長期にわたり付与することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 正広
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| 【公開番号】 |
特開平11−92304 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月6日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−273755 |
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