| 【発明の名称】 |
水性抗菌剤分散液 |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 正孝
【氏名】吉丸 正哲
【氏名】池 哲治
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩を含有する分散液を、一旦、凍結した後に再融解しても、ケーキング、凝集、相分離がなく、凍結前の分散液の性質を失わない、簡便に製造できる分散液が求められていた。
【解決手段】2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩に、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングルコール、プロピレングリコールなどの多価アルコールを含有させることによって、標記目的を達成できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2−メルカプトピリジン−N−オキシドの金属塩を含有する水性抗菌剤分散液において、凝集防止剤として多価アルコールを含有することを特徴とする、凍結後再融解しても凍結前の分散液の性質を失わない低温貯蔵安定性に優れた水性抗菌剤分散液。 【請求項2】 多価アルコールの含有量が、分散液に対し、3重量%以上8重量%以下である請求項1記載の水性抗菌剤分散液。 【請求項3】 多価アルコールが、グリセリンである請求項2記載の水性抗菌剤分散液。 【請求項4】 多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、およびそれらの混合物である請求項2記載の水性抗菌剤分散液。 【請求項5】 2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩の金属が亜鉛である請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4記載の水性抗菌剤分散液。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、凍結した2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩の水性抗菌剤分散液を、再融解しても凍結前の分散液の性質を失わない低温貯蔵安定性に優れた水性抗菌剤分散液に関する。 【0002】 【従来の技術】2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩は殺菌剤として有用で、特に亜鉛塩(以下「ZPT」と称する)はシャンプーやリンスなどに抗フケ剤として広く用いられている。 【0003】従来、市販のZPT水性分散液は、一般に常温では安定であるが、凍結後、再融解を行うと凝集を起こして粒状物が発生したり、または粘度が著しく変化するなどの欠点があった。そのため、ZPT水性分散液を運搬あるいは保存する際には少なくとも5℃以上で取り扱いをしなければならなかった。 【0004】特に、冬季あるいは寒冷地に運搬するとき、または冬季あるいは寒冷地において保存するときに、時として氷点下になることからZPT水性分散液が凍結することがあった。その後、凍結した分散液を使用するために常温下において再融解しても、分散液に凝集が生じたり、容器の下部に沈降したり、粒状物が発生したり、粘度が著しく上がり容器から内容物が出てこなかったりするなど分散液として使用できるものではなくなってしまうことがあった。 【0005】上記のように、一旦、凍結した分散液が常温下において再融解しても、凍結前の性質を失う状態となった場合、相分離して再分散することによる以外、解決方法はなく、経済的な損失は多大なものがあった。 【0006】一般に、ZPTは水に難溶であり毛髪処理剤の基剤中には懸濁状固体すなわち水性分散液の形で配合されるが、効果の発現・製品外観の透明性・液中での安定化などの観点から、ZPTを微粒子化したり、アニオン性高分子化合物、非イオン性高分子化合物、両性高分子化合物などを添加することが試みられてきた(特公昭61−35186号公報、特開昭60−16973号公報、特開昭61−151110号公報、特開昭61−151111号公報、特開昭62−63号公報参照)。ところが、こうして調製される分散液は保存中に容器の底に沈降固化し、また比較的安定な分散液でも塩類の混入あるいは凍結により凝集して分離するという欠点があった。 【0007】これを解決する方法として、特開昭60−139613号公報には、ポリグリコール/ポリアミン縮合樹脂、またはポリグリコール/ポリアミン/アルキルまたはアルキレンアミン縮合樹脂を添加する方法が開示されている。同明細書の実施例1および実施例2によれば、2−メルカプトピリジン−N−オキシド亜鉛塩にポリコートH(ヘンケル社製)を添加すれば凍結後再融解しても凝集しないと記載されている。 【0008】しかしこの方法は、2−メルカプトピリジン−N−オキシド亜鉛塩に対してポリコートHを同量重量以上用いており、ポリコートHを多量必要とし経済的に有利な方法とはいえず、しかもポリコートHを多量使用しているので、粘度が高く取り取り扱いが不便であり、しかもシャンプーやリンスなどに用いる場合にシャンプーやリンス中の他の添加剤との相溶性をも考慮しなければならず必ずしも良い方法とはいえない。また、2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩濃度として30%程度の分散液であり、市販品のZPT濃度50%と比較すると輸送面でも有利な方法とはいえない。さらに、樹脂の添加量が少ない場合には、凍結後再融解した場合に効果がないか、不十分である。 【0009】また、特表平7−506603号公報には、樹脂および坦体を含有するプラスチゾルおよび殺生物剤を混合しこれを高温に加熱したのち冷却して貯蔵安定性の優れた分散体を得ている。 【0010】また、特表平8−503458号公報には、殺生物剤と坦体とを混合して濃縮液を形成させ、これと樹脂を高い温度まで加熱したあと冷却して貯蔵安定性に優れた混合物を得ている。 【0011】しかしながら、これらの方法は、いずれも一旦高温に加熱したのちに冷却をしなければならないので、分散体や混合物を得るための製造工程が煩雑である。しかも、樹脂と坦体の二種類を用いるので経済的に有利な方法とはいえない。また、凍結後再融解時での安定性もいまだ不十分である。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】そこで、2−メルカプトピリジン−N−オキシドの金属塩の水性分散液において、凍結後再融解して使用する場合であっても、上記に示したような分散液の性質を失なわない低温貯蔵安定性に優れ、且つ、簡便な方法によって製造することができる分散液が求められていた。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩の水性抗菌剤分散液に、多価アルコールを常温で添加して攪拌するという簡単な操作のみにより製造された分散液が、約−5℃〜約−30℃で凍結しても再融解を行えば凝集が生じたり、容器の下部に沈降したり、粒状物が発生したり、粘度が著しく上がり容器から内容物が出てこなかったりすることがない、分散液の凍結前の性質を失わない低温貯蔵安定性に優れた2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩の水性分散液が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。 【0014】本発明は、(1):2−メルカプトピリジン−N−オキシドの金属塩を含有する水性抗菌剤分散液において、凝集防止剤として多価アルコールを含有することを特徴とする、凍結後再融解しても凍結前の分散液の性質を失わない低温貯蔵安定性に優れた水性抗菌剤分散液、(2):多価アルコールの含有量が、分散液に対し、3重量%以上8重量%以下である(1)記載の水性抗菌剤分散液、(3):多価アルコールがグリセリンである(2)記載の水性抗菌剤分散液、(4):多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、およびそれらの混合物である(2)記載の水性抗菌剤分散液、(5):2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩の金属が亜鉛である(1)、(2)、(3)、または(4)記載の水性抗菌剤分散液、に関する。 【0015】 【発明の実施の形態】 【0016】本発明に使用する多価アルコールは、2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩含量が、分散液に対して、20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%である水性抗菌剤分散液に、分散液に対して、3重量%以上8重量%以下、好ましくは4重量%以上8重量%以下を添加すればよい。 【0017】水性抗菌剤分散液の調製は、2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩の水性抗菌剤分散液中に多価アルコールを常温で添加するか、あるいは多価アルコールに2−メルカプトピリジン−N−オキシド金属塩の水性抗菌剤分散液を常温で加えて、プロペラ撹拌装置やホモミクサーなどの一般的な撹拌混合装置を用いて数時間撹拌混合すればよい。 【0018】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0019】実施例1市販品A(ZPT濃度が約50%の物)200gにグリセリン10.0gを添加し常温で撹拌装置を用いて撹拌混合し水性抗菌剤分散液を得た。 【0020】実施例2市販品A(ZPT濃度が約50%の物)200gにプロピレングリコール10.0gを添加し常温で撹拌装置を用いて撹拌混合し水性抗菌剤分散液を得た。 【0021】比較例1市販品A(ZPT濃度が約50%の物)200gにヘンケル社製のポリコート−H(商品名)2.0gを添加し常温で撹拌装置を用いて撹拌混合し水性抗菌剤分散液を得た。 【0022】比較例2市販品A(ZPT濃度が約50%の物)200gにヘンケル社製のポリコート−H(商品名)10.0gを添加し常温で撹拌装置を用いて撹拌したが、攪拌途中で粘度が極端に高くなり攪拌混合できなかった。 【0023】試験例1実施例1と実施例2の分散液、比較例1の分散液、および市販品Aと市販品Bの分散液各々50gを、各々50mlのポリ瓶に入れてふたをして密封し、次の二つの条件で凍結後再融解を行った。 【0024】条件1:初期温度5℃から始めて、7時間かけて温度を下げていき−10℃まで冷却を行った。次に−10℃で15時間放置した。この時、分散液は凍結していた。次にこれを7時間かけて5℃まで昇温して再融解した。 【0025】条件2:−20℃の恒温槽に24時間放置した。この時、分散液は凍結していた。次にこれを常温で再融解した。 【0026】そして、次の項目について調べた。 (1)ケーキング:ポリ瓶内に固まって流れにくい内容物があるかどうか調べた。 (2)凝集:再融解物をガラス版上に載せて、粒状物の有無を調べた。 (3)相分離:ポリ瓶内で相分離しているか調べた。 【0027】条件1による結果を表1に、条件2による結果を表2に、示した。 【0028】 【表1】
【0029】 【表2】
【0030】表1と表2に示した試験結果から、本発明の分散液は、凍結後再融解しても、ケーキング、凝集、および相分離を起こさず、低温貯蔵安定性に優れたすぐれた性質を示すことが明らかとなった。 【0031】 【発明の効果】本発明により得られる水性抗菌剤分散液は、寒冷地や冬季などに輸送を行った際、または寒冷地や冬季などに保存した場合に、たとえ凍結しても再融解すれば相分離、凝集、沈降、粒状物発生などを起こさず、凍結前の分散液の性質を失わない低温貯蔵安定性に優れた特性を持つ非常に有利な特徴を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】396020464 【氏名又は名称】吉富ファインケミカル株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)5月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】高宮城 勝
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| 【公開番号】 |
特開平11−29402 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−134937 |
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