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【発明の名称】 超音波式殺虫装置
【発明者】 【氏名】石原 由勝

【要約】 【課題】噴霧粒子の径を均一化させるとともに、粗大粒子の混在をなくして薬液のべたつき等の不都合をなくす。

【解決手段】超音波振動子15により霧化された微粒子の装置外への通り道27となるダクトケース13の内部に、その通り道27が千鳥状となるようにして複数枚の遮蔽板23〜25を配置した。これによれば、通り道27内を浮遊する粒子のうち、質量が大きい粗大粒子は途中で遮蔽板23〜25に衝突して液体状態となり、この遮蔽板23〜25を介して装置内に回収される。したがって、装置外へ出る粒子は均一で、しかも微粒子のみが噴霧される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 殺虫装置内の底部に取り付けられた超音波振動子の稼働により、前記殺虫装置内の薬液タンクから補充された薬液槽の液剤を微粒子化し、空間へ噴霧する装置において、前記微粒子化された前記液剤の装置外への通り道となるダクトケース内部に、前記通り道が千鳥状となるようにして複数枚の遮蔽板を配置したことを特徴とする超音波式殺虫装置。
【請求項2】 前記各遮蔽板は、前記ダクトケース内部で、平面視隙間なく、各々交互に反対側の内壁面から突出している状態にして取り付けられた請求項1記載の超音波式殺虫装置。
【請求項3】 前記各遮蔽板は、前記ダクトケースの内径に対して6分の5以上の突出長さを有したものである請求項1または請求項2記載の超音波式殺虫装置。
【請求項4】 前記各遮蔽板は、5〜10mmの間隔で上下方向に離れた状態にして取り付けられた請求項1〜3のいずれか1項記載の超音波式殺虫装置。
【請求項5】 前記各遮蔽板は、前記薬液槽の液面より50〜100mm離して取り付けられた請求項1〜4のいずれか1項記載の超音波式殺虫装置。
【請求項6】 前記各遮蔽板は、端部を下方にして10〜20度の角度で傾斜された状態にして前記ダクトケース内に取り付けられた請求項1〜5のいずれか1項記載の超音波式殺虫装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺虫用薬剤を室内に噴霧してゴキブリ等の害虫を駆除する超音波式殺虫装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、飲食店等においては、ゴキブリ等の害虫の駆除を、害虫駆除業者へ依頼し、定期的な薬剤散布等の消毒を行っている。ところで、このように害虫駆除業者に害虫の駆除を依頼する場合、都合の良い時間に気軽に駆除作業を行うことが難しく、このため、自ら害虫駆除を行うことができる超音波式殺虫装置が用いられている。この種の超音波式殺虫装置は、薬液が貯留された薬液タンクを有しており、この薬液タンク内の薬液を超音波振動子によって霧化させて外部へ噴霧させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種の超音波式殺虫装置にあっては、噴霧させた薬液の粒子の径が均一とならず、特に、薬液の粘性が高い場合、粗大粒子が混在してしまうことがあった。そして、このような粗大粒子が混在した薬液が噴霧されると、薬液が噴霧される殺虫装置の噴霧ノズルや店内の壁面、床面等に薬液が過剰に付着し、べたつき等を生じた。また、噴霧された薬液の粒子径が不均一なため、処理空間内の隅々まで薬液が到達せず、潜伏しているゴキブリ等に対する殺虫効果も十分に発揮できない問題があった。
【0004】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は薬液のべたつき等を生じさせることなく処理空間の隅々まで薬液を到達させることができ、尚且つ殺虫効果を十分に発揮することができる超音波式殺虫装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、次の技術手段を講じたことを特徴とする。すなわち、殺虫装置内の底部に取り付けられた超音波振動子の稼働により、前記殺虫装置内の薬液タンクから補充された薬液槽の液剤を微粒子化し、空間へ噴霧する装置において、前記微粒子化された前記液面の装置外への通り道となるダクトケース内部に、前記通り道が千鳥状となるようにして複数枚の遮蔽板を配置してなる構成とした。
【0006】この構成によれば、超音波振動子の稼働で生じた粒子は、直接装置外へ噴霧されることなく、各遮蔽板で形成された千鳥状の通り道内を浮遊しながら装置外へ吹き出される。また、通り道内を浮遊する粒子のうち、質量が大きい粗大粒子は途中で遮蔽板に衝突して液体状態となり、この遮蔽板を介して装置内に回収される。このため、装置外へ出る粒子は均一で、しかも微粒子のみが噴霧されることになる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではないものである。
【0008】図1及び図2は本発明の一実施形態として示す超音波式殺虫装置の概略構成を示す縦断側面図及び斜視図で、図3は図1のX−X線拡大断面図である。図1において、殺虫装置容器11(以下、単に「容器11」という)は、その内側における底の部分に薬液槽としての水槽12が設けられている。また、水槽12の上方には、ダクトケース13が上下方向に延ばされた状態にして取り付けられているとともに、このダクトケース13の直ぐ横に並んでタンク14が脱着自在に装着されている。
【0009】一方、ダクトケース13の下端における水槽12内の底の部分には、この底の部分を貫通して超音波振動子15が取り付けられている。この超音波振動子15と容器11との間にはシール用のゴムパッキン16が装着され、このゴムパッキン16で超音波振動子15と容器11との間が水密の状態に保たれている。
【0010】さらに詳述すると、タンク14は、その中に薬剤としての液性殺虫剤17を入れ、タンクキャップ18を下に向けて水槽12内に装着される。また、このタンク14は、水槽12内の液性殺虫剤17が減少するとタンクキャップ18を通して水槽12内に液性殺虫剤17を自動的に供給することができる構造になっている。超音波振動子15は、共振することにより水槽12内に貯えられている液性殺虫剤17を微粒子化させて霧状にする。
【0011】ダクトケース13は、略円筒状に形成されている。このダクトケース13は下側開口部が超音波振動子15の周囲を囲って水槽12内に浸けられた状態にして設置されている。一方、ダクトケース13の上部開口部は容器11の上面まで延ばされており、図2に示すように、その上部開口部には吹き出しノズル19が装着されている。この吹き出しノズル19は、その吹き出し口19aが斜めに形成されており、その傾斜方向へ薬液が噴霧されるようになっている。また、この吹き出しノズル19は、ダクトケース13に対して回動可能とされており、したがって、この吹き出しノズル19を回動させることにより、吹き出し口19aから吹き出される薬液の吹き出し方向を変えることができるようになっている。
【0012】さらに、ダクトケース13の側面には吸気口20が設けられているとともに、この吸気口20に連通して送風機21が取り付けられている。この送風機21は、ダクトケース13内で超音波振動子15により霧化された粒子を装置外に送り出すための風をダクトケース13内に供給するためのものである。なお、符号22はAC電源に接続されるコンセントで、このコンセント22を介して超音波振動子15及び送風機21に駆動用電流が供給される。
【0013】加えて、ダクトケース13の内部には、図3にも示すように、3つの遮蔽板23〜25が取り付けられている。この各遮蔽板23〜25は、図4に単品として示すように、ダクトケース13の内径と略等しい外径を有した円板で、かつ一部を切り欠いてなる切欠部26を有する半円板として形成されている。その切欠部26の大きさは、好ましくは、図4に示すように、切欠部26までの長さをdとすると、遮蔽板23〜25の最大外径D(これはダクトケース13の内径に略等しい)の6分の5以上の長さで設定される。
【0014】そして、この3つの遮蔽板23〜25は、各々交互に反対側のダクトケース13の内壁面から突出された状態にして、5〜10mmの間隔で切欠部26からなる端部を下方に10〜20゜の角度を有して取り付けられている。したがって、このようにして各遮蔽板23〜25が取り付けられているダクトケース13では、真上からダクトケース13内を覗き込んだとき、各遮蔽板23〜25で邪魔されて容器11の底面は見えない(図3参照)。つまり、ダクトケース13の内部にて、遮蔽板23〜25が平面視隙間なく各々交互に反対側の内壁面から突出している状態に取り付けられている。
【0015】また、このようにして各遮蔽板23〜25を設けたことにより、ダクトケース13内に作られる霧化された微粒子の装置外への通り道27は、どこをとっても千鳥状になる。さらに、最下位の遮蔽板25は、薬液槽、すなわち水槽12の液面から上方に50〜100mm離した位置に設置されている。
【0016】また、この超音波式殺虫装置には、その容器11の周面に、複数の設定ボタン28aを有する設定部28が設けられ、この設定部28にて、各種の設定を行うことができるようになっている。つまり、この設定部28によって、装置に内蔵された図示しないタイマーによる装置の稼動開始時刻や稼動時間等の設定を行うことができるようになっている。また、この設定部28の上方側には、液晶板等からなる表示部29が設けられており、この表示部29に、各種設定事項、つまり、設定部28によって設定された稼動開始時刻や稼動時間等が表示されるようになっている。
【0017】さらに、表示部19の上方側には、パイロットランプ30が設けられており、装置の稼動時に点灯し、装置が稼動中であることを知らせるようになっている。なお、このパイロットランプ30によってタンク14内の液性殺虫剤17の残量等を知らせるようにしても良い。なお、装置内には、図示しないブザー等の音声発生装置が設けられており、装置の稼動等を音声にて知らせるようになっている。また、このブザー等の音声発生装置によるアラーム機能は、超音波式殺虫装置の停止後の約1時間程度の所定時間持続するようになっており、装置の停止後所定時間内における入室禁止を促すようになっている。
【0018】このように、この超音波式殺虫装置は、稼動開始時間、稼動時間等を設定することができるので、装置の稼動を外出のタイミング等に合わせて適切な時間だけ無人にて行うことができる。また、パイロットランプ30及び音声発生装置によって稼動状態を確認することができるので、装置の稼動中に処理空間内へむやみに立ち入るようなことも避けることができる。
【0019】次に、本実施形態装置の動作を説明する。まず、コンセント22をAC電源に差し込み、図示せぬ電源スイッチをオンにすると、設定部28によって予め設定した設定条件(稼動開始時刻、稼動時間等)にて超音波式殺虫装置が作動する。つまり、タイマーによって、設定された稼動開始時刻になった時点から設定された稼動時間だけ装置が稼動される。なお、稼動開始時間、稼動時間の設定を行わず、装置の稼動を任意に行うこともできるのは勿論である。
【0020】装置が稼動すると、超音波振動子15が共振し、水槽12に貯えられている液性殺虫剤17がダクトケース13内で微粒子化されて霧状に舞い上げられる。この舞い上げられた微粒子は送風機21により生起された風に乗せられ、遮蔽板23〜25で作られた千鳥状をした通り道27を通って吹き出しノズル19から装置外へ吹き出される。
【0021】すなわち、薬剤が噴霧される。このとき、ダクトケース13内部の遮蔽板23〜25は、各々交互に反対側のダクトケース13の内壁面から突き出すよう、適当な間隔及び角度を有して取り付けられているので、質量の大きい粗大粒子は浮遊が不安定なことから途中で遮蔽板23〜25に衝突し、吹き出しノズル19まで到達できない。そして、遮蔽板23〜25に衝突した粗大粒子は液体状態となってダクトケース13の内面を介して回収される。すなわち、ここでは粗大粒子は除かれ、良好に浮遊している微粒子だけが吹き出しノズル19から装置外へ吹き出されることになる。
【0022】したがって、本実施形態装置によれば、ダクトケース13内に遮蔽板23〜25を設けて微粒子の通り道27を千鳥状にしたことによって、微粒子のみの略均一化された粒子が噴霧されることになる。これにより、吹き出しノズル(噴霧ノズル)19及び室内の壁面、床面等におけるべたつきを防止することができる。また、噴霧された薬液の粒子径が均一なため、処理空間内の隅々まで薬液が到達し、殺虫効果が極めて高くなる。なお、上記の例では、薬液として液性殺虫剤17を噴霧する場合について説明したが、この装置によって、水や他の薬液、消臭剤、殺菌剤等を霧化させることもできる。
【0023】(試験例1)霧化粒子の粒径について、本発明装置の場合と、ダクトケース13内に遮蔽板が取り付けられていないA装置と、例えば図5に示すようにダクトケース13内に遮蔽板31,32を直交するように取り付け、このダクトケース13内を真上から覗き込んだときに底部が見える部分33、すなわち一部に千鳥状とならない部分を有する構造としたB装置との場合を比較した結果は、表1の通りである。
【0024】
【表1】


※単位:μm【0025】表1から明らかなように、本発明装置はA装置,B装置と比較して微粒子のみを均一に噴霧することが可能なため、吹き出しノズル(噴霧ノズル)及び室内の壁面、床面等におけるべたつきを防止することができる。また、噴霧された薬液の粒子径が均一なため、処理空間内の隅々まで薬液を到達させることができる。
【0026】(試験例2)霧化粒子が室内に拡散する様子について、本発明装置の場合と、ダクトケース13内に遮蔽板が取り付けられていないA装置と、例えば図5に示すようにダクトケース13内に遮蔽板31,32を直交するように取り付け、このダクトケース13内を真上から覗き込んだときに底部が見える部分33、すなわち一部に千鳥状とならない部分を有する構造としたB装置との場合を比較した結果は、表2の通りである。
【0027】
【表2】


※表中の数値は各測定点の1cm2 当たりの粒子数 【0028】表2から明らかなように、本発明装置は、A装置,B装置と比較して霧化粒子を室内に均一に拡散させることができる。
【0029】(試験例3)室内に生息するチャバネゴキブリの殺虫効果について、本発明装置の場合と、ダクトケース13内に遮蔽板が取り付けられていないA装置と、例えば図5に示すようにダクトケース13内に遮蔽板31,32を直交するように取り付け、このダクトケース13内を真上から覗き込んだときに底部が見える部分33、すなわち一部に千鳥状とならない部分を有する構造としたB装置を比較した結果は、表3の通りである。
【0030】
【表3】


※表中の数値はチャバネゴキブリの殺虫率【0031】表3から明らかなように、本発明装置は、A装置,B装置と比較して室内に生息するチャバネゴキブリに対して高い殺虫効果が見られた。
【0032】なお、上記実施形態は、以下のように変更しても良く、その場合でも本実施形態と同様の作用・効果を得る。■遮蔽板23〜25の形状において、切欠部26までの長さdを、遮蔽板23〜25の直径Dの6分の5以上に設定した場合について説明したが、薬剤の通り道27が千鳥状になるものであれば、これ以外の設定であっても良い。■遮蔽板を3枚使用した構造を開示したが、枚数はダクトケース13の長さや形状等に合わせて設定される。■ゴキブリ(チャバネゴキブリ)退治に使用して殺虫効果が高い旨を説明したが、ゴキブリ退治に限ることなく、ダニ、ノミ等を退治する場合でも良く、広く一般の殺虫装置として使用できるものである。
【0033】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、装置外へ出る粒子は均一で、しかも微粒子のみが噴霧されることになるので、吹き出しノズル及び室内の壁面、床面等のべたつき等を防止することができる。また、噴霧された薬液の粒子径が均一なため、処理空間内の隅々まで薬液が到達し、例えばゴキブリ退治に使用するような場合でも殺虫効果が極めて高くなる、等の効果が期待できる。
【出願人】 【識別番号】390016056
【氏名又は名称】国際衛生株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外9名)
【公開番号】 特開平11−285341
【公開日】 平成11年(1999)10月19日
【出願番号】 特願平10−90469