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【発明の名称】 養殖貝類の耳吊り装置
【発明者】 【氏名】川嶋 隆広

【氏名】高橋 和宏

【氏名】竹本 泰久

【要約】 【課題】耳吊りする稚貝3の耳部3aを旨くロープ9の両側に配置することができ、もって穿孔の成功率を高めることが可能な養殖貝類の耳吊り装置を提供する。

【解決手段】稚貝3の耳部3aと胴部3bの接続箇所を山形の頂部に上方から合わせることにより稚貝3を斜めに立った状態に支持する支持突起15が、コンベヤ6A,6Bに設けた支持部7A,7Bの内部に設けられており、対をなす一方の支持部7Aに支持される稚貝3がコンベヤ6A,6Bの進行方向後方に向けて斜めに立てられるとともに他方の支持部7Bに支持される稚貝3がコンベヤ6A,6Bの進行方向前方に向けて斜めに立てられて、両稚貝3の耳部3aがロープ9の両側に配置されることにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロープ(9)および養殖貝類の稚貝(3)の耳部(3a)を並べて配置し、前記ロープ(9)および耳部(3a)に貫通孔(12)を形成するとともに前記貫通孔(12)に係止具(13)を刺し通す養殖貝類の耳吊り装置であって、稚貝(3)の耳部(3a)と胴部(3b)の接続箇所を山形の頂部に上方から合わせることにより稚貝(3)を斜めに立った状態に支持する支持突起(15)が、コンベヤ(6A)(6B)に設けた支持部(7A)(7B)の内部に設けられており、対をなす一方の支持部(7A)に支持される稚貝(3)がコンベヤ(6A)(6B)の進行方向後方に向けて斜めに立てられるとともに他方の支持部(7B)に支持される稚貝(3)がコンベヤ(6A)(6B)の進行方向前方に向けて斜めに立てられて、両稚貝(3)の耳部(3a)がロープ(9)の両側に配置されることを特徴とする養殖貝類の耳吊り装置。
【請求項2】 請求項1の養殖貝類の耳吊り装置において、貫通孔(12)の形成時および係止具(13)の刺通し時に、一方の支持部(7A)に支持された稚貝(3)の耳部(3a)を押圧してこの耳部(3a)をロープ(9)に押し付ける押圧部材(50)が穿孔部(10)側に設けられるとともに、同じく貫通孔(12)の形成時および係止具(13)の刺通し時に、他方の支持部(7B)に支持された稚貝(3)の耳部(3a)を反対側から押圧してこの耳部(3a)をロープ(9)に押し付ける押圧部材(38a)が係止具供給部(14)に設けられていることを特徴とする養殖貝類の耳吊り装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロープおよび養殖貝類の稚貝の耳部を並べて配置し、前記ロープおよび耳部に貫通孔を形成するとともに前記貫通孔に係止具を刺し通す養殖貝類の耳吊り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】公知のこの種の耳吊り装置においては、耳吊りする二つの稚貝をロープの両側に配置した状態で、この二つの稚貝の耳部およびロープに貫通孔を形成するとともに前記貫通孔に係止具を刺し通しているが、帆立の稚貝はその胴部が耳部より厚いために胴部同士が重なってしまい、耳部を旨くロープの両側に配置することができず、耳部を旨くロープに密着させることができない。したがって貫通孔の形成時に高速回転するドリルの振動を受けて耳部がぶれ、これを原因としてドリルによって耳部が破損し、旨く穿孔できないことがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の点に鑑み、耳吊りする稚貝の耳部を旨くロープの両側に配置することができ、耳部を旨くロープに密着させることができ、もって穿孔の成功率を高めることが可能な養殖貝類の耳吊り装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の請求項1による養殖貝類の耳吊り装置は、ロープおよび養殖貝類の稚貝の耳部を並べて配置し、前記ロープおよび耳部に貫通孔を形成するとともに前記貫通孔に係止具を刺し通す養殖貝類の耳吊り装置であって、稚貝の耳部と胴部の接続箇所を山形の頂部に上方から合わせることにより稚貝を斜めに立った状態に支持する支持突起が、コンベヤに設けた支持部の内部に設けられており、対をなす一方の支持部に支持される稚貝がコンベヤの進行方向後方に向けて斜めに立てられるとともに他方の支持部に支持される稚貝がコンベヤの進行方向前方に向けて斜めに立てられて、両稚貝の耳部がロープの両側に配置されることにした。
【0005】また本発明の請求項2による養殖貝類の耳吊り装置においては、上記した請求項1の養殖貝類の耳吊り装置において、貫通孔の形成時および係止具の刺通し時に、一方の支持部に支持された稚貝の耳部を押圧してこの耳部をロープに押し付ける押圧部材が穿孔部側に設けられるとともに、同じく貫通孔の形成時および係止具の刺通し時に、他方の支持部に支持された稚貝の耳部を反対側から押圧してこの耳部をロープに押し付ける押圧部材が係止具供給部に設けられていることにした。
【0006】上記構成を備えた本発明の請求項1による耳吊り装置においては、稚貝の耳部と胴部の接続箇所を山形の頂部に上方から合わせることにより稚貝を斜めに立った状態に支持する支持突起が、コンベヤに設けた支持部の内部に設けられているために、作業者は、稚貝を支持部にセットするとき稚貝をただこの支持突起の上に載せるだけで良い。またセット完了時には、対をなす一方の支持部に支持される稚貝がコンベヤの進行方向後方に向けて斜めに立てられるとともに他方の支持部に支持される稚貝がコンベヤの進行方向前方に向けて斜めに立てられて、両稚貝の耳部がロープの両側に配置される状態が実現されることになる。
【0007】またこれに加えて、上記構成を備えた本発明の請求項2による耳吊り装置においては、貫通孔の形成時および係止具の刺通し時に、一方の支持部に支持された稚貝の耳部を押圧してこの耳部をロープに押し付ける押圧部材が穿孔部側に設けられるとともに、同じく貫通孔の形成時および係止具の刺通し時に、他方の支持部に支持された稚貝の耳部を反対側から押圧してこの耳部をロープに押し付ける押圧部材が係止具供給部に設けられているために、両稚貝の耳部がロープの両側でそれぞれロープに密着する状態が実現されることになる。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
【0009】図1に示すように、当該実施形態に係る養殖貝類の耳吊り装置は、所要数のキャスタ2を備えた台座部1の上に先ず、これから耳吊りする多数の帆立貝の稚貝3を載せるテーブル状の貝ストッカ4を備えており、図2ないし図5に示すように、作業者の所定の作業位置Sから見て貝ストッカ4の手前側であって作業位置Sの正面を右から左へ横切るようにコンベヤ6A,6Bを備えた搬送部5が設けられており、コンベヤ6A,6Bの外周に、貝ストッカ4から移し替えられる稚貝3をそれぞれ立った状態に支持するポケット状の支持部7A,7Bが所要数一定間隔を開けて取り付けられている。コンベヤ6A,6Bは無限軌道帯を備えていて、モータ8により作業位置Sから見て左回りに間欠回転する。また作業位置Sの左隣に、支持部7A,7Bで支持された稚貝3の耳部3a(図8参照)およびこの耳部3aに並べられたロープ9にドリル11で貫通孔12(図8参照)を形成する穿孔部10が設けられており、この穿孔部10と対向してコンベヤ6A,6Bの反対側に、穿孔部10により形成された貫通孔12に係止具13を刺し通す係止具供給部14が設けられている。
【0010】図3および図4に示すように、搬送部5には、二本のコンベヤ6A,6Bが水平方向に平行に並べられており、図4および図5に示すように、一方のコンベヤ6Aに設けられた支持部7Aと他方のコンベヤ6Bに設けられた支持部7Bとが二つで一組の対をなしている。図3に示すように、作業位置Sから見て手前側のコンベヤ6Aは、この対をなす一方の支持部7Aが作業位置Sに位置した作業者の右手の正面に位置したところ(A点)で一旦停止しているとともに、作業位置Sから見て向こう側のコンベヤ6Bは、他方の支持部7Bが作業者の左手の正面に位置したところ(B点)で一旦停止しており、この状態で作業者が右手で貝ストッカ4上の稚貝3を一つ掴んで一方の支持部7Aに入れるとともに、左手で同じく貝ストッカ上4の稚貝3を一つ掴んで他方の支持部7Bに入れる。次いで数秒の所定時間が経過すると両コンベヤ6A,6Bが同時に自動回転し、両支持部7A,7Bが同時にドリル11の正面に到達したところ(C点)で両コンベヤ6A,6Bが同時に一旦停止する。AC間とBC間とでは搬送距離が作業者の凡そ肩幅分だけ異なっているが、手前側のコンベヤ6Aの方が回転速度が速く設定されていることにより両コンベヤ6A,6Bの搬送距離差が修正ないし調整され、これにより両支持部7A,7BがC点に同時に到着する。A点およびB点の位置はそれぞれ作業者の所望によりその体格等に合わせて任意に調整することができるようになっている。また稚貝3の耳部3aにおける貫通孔12の形成位置を調整すべく、穿孔部10および係止具供給部14の高さ位置はこれをそのままにして、コンベヤ6A,6Bの高さ位置を変更可能であるとともに、コンベヤ6A,6Bの回転速度と停止位置を変更可能となっている。コンベヤ6A,6Bの高さ位置の変更は、各コンベヤ6A,6Bの架台をモータ等の駆動源の作動により上下させることにより行なわれる。また両支持部7A,7BがC点に到着して停止したときには、次の一対の支持部7A,7Bが同じように作業者の正面で変位して停止し、作業としては次のサイクルが開始される。
【0011】図6および図7に示すように、各支持部7A,7Bの内部底面に、正面からこれを見て略山形ないし略三角形のブロック状を呈し、その頂部に上方から稚貝3の耳部3aと胴部3bとの接続箇所の谷部の角を合わせることにより稚貝3を斜めに立った状態に支持する支持突起15が設けられており、上記したように対をなす一方の支持部7Aに支持される稚貝3がコンベヤ6A,6Bの進行方向後方(図6における右側)に向けて斜め(約45度)に立てられるとともに、他方の支持部7Bに支持される稚貝3がコンベヤ6A,6Bの進行方向前方に向けて斜め(約45度)に立てられて、この二つの稚貝3の耳部3aが互いに約90度変位した状態でロープ9の両側に配置されるようになっている。したがって図7(A)(B)および(C)に示すように、作業者が稚貝3を掴んでこの支持突起15の上に載せるだけで、図6に示すようなセット完了状態を実現することができる。尚、貝ストッカ4の平面上に、図7(B)に示すような略棒状ないレール状を呈する案内部16を設けておくと、稚貝3をこれに沿ってスライドさせることにより稚貝3を簡単に斜めにセットすることができる。帆立貝の普遍的な形状からして、支持突起15の頂部のなす角度は135度前後が好適であり、稚貝3の胴部3bが載せられる側の底角のなす角度は20度前後が好適である。
【0012】また図5に示したように、各支持部7A,7Bに、支持部7A,7B内で立てられた状態の稚貝3の胴部3bを押圧して稚貝3をロープ9に向けて押し付けるアーム状の押圧部17が設けられており、この押圧部17は図示しない駆動源に制御されて回転軸18を中心に揺動する。尚、ロープ9は、モータ21で作動するロープ送りユニット20、モータ23で作動するロープ押えユニット22およびロープ押えを備えたロープ供給部19により、両コンベヤ6A,6Bの間にコンベヤ6A,6Bと平行に配置されており、コンベヤ6A,6Bの進行方向と同じ方向にサイクル毎に一定のピッチで手繰られる。ピッチはこれを無段階で調節することができるようになっている。
【0013】穿孔部10には、上記したように先端部を水平に向けたドリル11が設けられており、このドリル11が高速で回転しながら当該耳吊り装置の向う側(係止具供給部14側)に向けて移動して、稚貝3の耳部3aおよびロープ9に貫通孔12を形成する。貫通孔12の形成後は、装置の手前側に向けて復帰動し、最初の位置に戻る。上記したドリル11正面のC点において、一対の支持部7A,7Bに支持された一対の稚貝3は図8に示す姿勢および位置で停止しており、すなわちロープ9の両側に各稚貝3の耳部3aが積層状態で配置されており、各稚貝3の耳部3aの隅およびロープ9にドリル11によって貫通孔12が形成される。
【0014】図9または図10に示すように、係止具13は合成樹脂製のピンであって、略棒状を呈する係止具本体25の両端にそれぞれ稚貝係止部(抜止め部とも称する)26を一体に備えており、図上右側の一方の稚貝係止部26が貫通孔12に刺し通されることを予定して銛状に成形されており、図上左側の他方の稚貝係止部26は係止具本体25より大径の円柱形に成形されている。図9の係止具13は一枚開け用、図10の係止具13は二枚開け用であり、図9の一枚開け用の係止具13の係止具本体25の図上左端部には二面幅部27が設けられている。またこれらの係止具13は、図11に示すようにシート状のカートリッジ28として多数が纏めて係止具供給部14に装填されるものであり、カートリッジ28は多数の係止具13を平面的にかつ互いに平行に並べ、更に多数の係止具13を各係止具13の両端部に一体に繋ったランナ29をもって一連に接続したものとして成形されている。
【0015】図3に示すように、係止具供給部14には、多数のカートリッジ28を上下に積層した状態で収容する係止具ストッカ30と、係止具ストッカ30から一枚ずつ送り出されるカートリッジ28の係止具13を一本ずつランナ29から切断する切断部(図示せず)と、切断された個々の係止具13を受け取って移送するロータ(メインロータとも称する)31と、ロータ31から係止具13を受け取って刺通し位置に移送するサブロータ32と、二本の突出し部材34,35を備えた係止具突出し部33とが設けられている。
【0016】図12に示すように、ロータ31の外周面には、ピン状の係止具13を一本ずつ係合する送りピッチ凹部(凹ピッチとも称する)36が多数等配形成されており、ロータ31はモータ37の駆動によりこの送りピッチ凹部36毎に間欠回転する。サブロータ32には、係止具13を一本ずつ収容する貫通孔状の刺込み待機部38が四箇所等配形成されており、サブロータ32は図示の位置からモータ39の駆動によりこの刺込み待機部38毎(90度毎)に間欠回転する。四箇所の刺込み待機部38のうちD位置にある刺込み待機部38に対しては送りピッチ凹部36の一つと突出し部材34とが同一直線状に配置され、モータの駆動により棒状の突出し部材34がドリル11側に移動してくると、送りピッチ凹部36に係合していた係止具13がこの突出し部材34により突き出されて、刺込み待機部38に移される。またモータの駆動により棒状の突出し部材34がドリル11側に移動すると、同時に今一本の棒状の突出し部材35が同方向に移動し、E位置にある刺込み待機部38に収容されていた係止具13がこの突出し部材35により突き出されて、稚貝3の耳部3aおよびロープ9にドリル11で形成された貫通孔12に刺し通される。またこのとき、サブロータ32の各刺込み待機部38に軸方向にスライド自在に設けられた押圧部材である筒状のブッシュ部38aがモータ40の駆動によりドリル11側に移動し、図5における左側の稚貝3の耳部3aをドリル11側(図上右方向)に押圧し、耳部3aをロープ9に押し付ける。またこのとき、ドリル11側に別に設けられた押圧部材50が図示しない駆動源の駆動により係止具供給部14側に移動し、図5における右側の稚貝3の耳部3aを係止具供給部14側(図上左方向)に押圧し、耳部3aをロープ9に押し付ける。したがってこれによりロープ9の左右両側に一対の耳部3aが密着した状態で重ね合わされた積層状態が実現されるために、ドリル11で貫通孔12を形成するときに耳部3aがぶれにくく、ロープ9もぶれにくく、よって貫通孔12を円滑にかつ正確に形成することができるとともに、係止具13の刺通しもこれを円滑に行なうことができる。ドリル11側の押圧部材50は、ドリルブッシュであっても良いが、ドリル11の隣に平行に設けられ、ドリル11に対して平行に進退する専用の部材を設置するのが好適である。また係止具突出し部33に、係止具押出し力が設定値を越えるとロックが外れて突出し部材34,35がバネで戻るような係止具13の詰まりに対する安全装置を設けるのも好適である。
【0017】また穿孔後のドリル11の後退と係止具13の刺通しを互いに同期させる場合には、一般のカムによる同期機構に代えて、以下のような同期機構41を設けるのが好適である。
【0018】すなわち図13(A)および(B)に示すように、稚貝3およびロープ9に対して貫通孔12を形成すべくドリル11が前進するときに同時に前進して係止具供給部14のフック部42に係合し、同図(B)および(C)に示すように、ドリル11が後退するときに同時に後退して係止具供給部14の突出し部材35を稚貝3およびロープ9に向けて引き寄せるフック状の係合部材43を穿孔部10に設け、これを同期機構41とする。突出し部材35はスライダ44およびフック部42とともにガイド部材45に沿って移動し、復帰動は復帰バネ46等によってこれを行なう。このようにすれば、カム以外の簡単な機構によってドリル11の後退動作と係止具13の刺通しないし突出し部材35の前進動作を正確に同期させることができ、係止具13がドリル11を追いかけるようにしながら貫通孔12に円滑に刺し通される。
【0019】上記構成を備えた養殖貝類の耳吊り装置によって耳吊り作業を行なうに際しては、先ず係止具13のカートリッジ28およびロープ9をそれぞれ装填し、多数の稚貝3をテーブル状の貝ストッカ4上に載せて装置のスイッチを入れる。次いで作業者がA位置およびB位置にある一対の支持部7A,7Bにそれぞれ稚貝3を入れると、一対のコンベヤ6A,6Bが回転し、一対の支持部7A,7Bが同時にC位置に到達した時点でコンベヤ6A,6Bが一旦停止する。一方、ロープ供給部19が作動してロープ9が一対の稚貝3の間に供給され、これによりドリル11正面のC位置で、図8に示したような稚貝3の耳部3aとロープ9との三層構造が実現される。稚貝3は上記したように押圧部17、ブッシュ部38aおよび押圧部材50により、ぐらつくことなく支持されている。次いで穿孔部10が作動してドリル11が稚貝3の耳部3aおよびロープ9に同軸状の貫通孔12を形成し、次いで係止具供給部14が作動して貫通孔12に係止具13を刺し通し、ロープ9が1サイクル分手繰られて、爾後、作業者がフットペダル47を踏み続ける限り、これが繰り返される。したがって上記構成を備えた耳吊り装置によれば、以下の効果を得ることができる。
【0020】■ すなわち先ず第一に、作業者の所定の作業位置Sから見て貝ストッカ4の手前側であって作業位置Sの正面を右から左へ横切るように搬送部5のコンベヤ6A,6Bが配置されるとともに、貝ストッカ4から移し替えられる稚貝3を立った状態に支持する支持部7A,7Bがコンベヤ6A,6Bに設けられているために、作業者は稚貝3をセットするとき、すなわち貝ストッカ4上の稚貝3を支持部7A,7Bに移し替えるときに、両手をそれぞれ左右ではなく前後に動かすことになる。したがってこれにより疲労を軽減させることができる。尚、この効果は、両手を左右ではなく前後に動かした方が疲労が少ないという経験則上の知見に基づいている。
【0021】■ また、作業者の右手による作業と左手による作業とのコンベヤ6A,6Bによる搬送距離の差をコンベヤ6A,6Bの回転速度の差によって修正するようになっているために、1サイクルの作業で二個の稚貝3を同時に耳吊りすることができ、かつ作業者は稚貝3をセットするときに右手左手をそれぞれ真っ直ぐ前後に動かせば良い。したがってこの点からも作業者の疲労を一層軽減させることができる。
【0022】■ また、略山形ないし略三角形のブロック状を呈し、その頂部に上方から稚貝3の耳部3aと胴部3bとの接続箇所の谷部の角を合わせることにより稚貝3を斜めに立った状態に支持する支持突起15が支持部7A,7Bの内部にそれぞれ設けられているために、作業者は、稚貝3をセットするときに稚貝3をただこの支持突起15の上に載せるだけで良い。したがって稚貝3のセット作業を極めて容易なものとすることができる。またセット完了時には、対をなす一方の支持部7Aに支持される稚貝3がコンベヤ6A,6Bの進行方向後方に向けて斜めに立てられるとともに、他方の支持部7Bに支持される稚貝3がコンベヤ6A,6Bの進行方向前方に向けて斜めに立てられて、二つの稚貝3の耳部3aがロープ9の両側に配置される積層状態が実現される。したがってこのような状態で爾後の作業が行なわれるために、穿孔および係止具13の刺通し作業を円滑に行なうことができる。
【0023】■ また、支持部7A,7B内で立てられた状態の稚貝3の胴部3bを押圧して稚貝3をロープ9に向けて押し付けるアーム状の押圧部17が支持部7A,7Bにそれぞれ設けられているために、稚貝3がぐらつかない状態で穿孔および係止具の刺通し作業が行なわれる。したがって穿孔または係止具13の刺通しの成功率を高めることができる。
【0024】■ また、稚貝3の耳部3aにおける貫通孔12の形成位置を調整すべくコンベヤ6A,6Bの高さを変更可能であるとともにコンベヤ6A,6Bの回転速度と停止位置を変更可能であるために、耳部3aの任意の位置に貫通孔12を形成することが可能であって、二枚開けにも一枚開けにも対応することができる。
【0025】■ また、係合部材43を備えた同期機構41が設けられているために、カム以外の簡単な機構によってドリル11の後退動作と突出し部材35の前進動作を同期させることができる。したがって機構が比較的簡単で正確に作動し壊れにくい同期機構41を提供することができる。
【0026】■ 更にまた、係止具13を刺通し位置に移送するとともに貫通孔12の形成時および係止具13の刺通し時に稚貝3の耳部3aを押圧して耳部3aをロープ9に押し付けるサブロータ32のブッシュ部38aが係止具供給部14に設けられるとともに、同じく貫通孔12の形成時および係止具13の刺通し時に稚貝3の耳部3aを押圧して耳部3aをロープ9に押し付ける押圧部材50が穿孔部10に設けられているために、ロープ9の両側に一対の耳部3aがそれぞれ密着した状態で重ね合わされた積層状態が実現される。したがってドリル11で貫通孔12を形成するときに耳部3aがぶれにくく、ロープ9もぶれにくく、よって貫通孔12を円滑にかつ正確に形成することができるとともに、係止具13の刺通しもこれを円滑に行なうことができ、穿孔または係止具13の刺通しの成功率を一層高めることができる。
【0027】
【発明の効果】本発明は、以下の効果を奏する。
【0028】すなわち先ず、上記構成を備えた本発明の請求項1による養殖貝類の耳吊り装置においては、稚貝の耳部と胴部の接続箇所を山形の頂部に上方から合わせることにより稚貝を斜めに立った状態に支持する支持突起が、コンベヤに設けた支持部の内部に設けられているために、作業者は、稚貝を支持部にセットするとき稚貝をただこの支持突起の上に載せるだけで良い。したがって稚貝のセット作業を極めて容易なものとすることができる。またセット完了時には、対をなす一方の支持部に支持される稚貝がコンベヤの進行方向後方に向けて斜めに立てられるとともに他方の支持部に支持される稚貝がコンベヤの進行方向前方に向けて斜めに立てられて、両稚貝の耳部がロープの両側に配置される状態が実現される。したがってこのような状態で爾後の作業が行なわれるために、穿孔および係止具の刺通し作業を円滑に行なうことができ、穿孔または係止具の刺通しの成功率を高めることができる。
【0029】またこれに加えて、上記構成を備えた本発明の請求項2による耳吊り装置においては、貫通孔の形成時および係止具の刺通し時に、一方の支持部に支持された稚貝の耳部を押圧してこの耳部をロープに押し付ける押圧部材が穿孔部側に設けられるとともに、同じく貫通孔の形成時および係止具の刺通し時に、他方の支持部に支持された稚貝の耳部を反対側から押圧してこの耳部をロープに押し付ける押圧部材が係止具供給部に設けられているために、両稚貝の耳部がロープの両側でそれぞれロープに密着する状態が実現される。したがってドリルで貫通孔を形成するときに耳部がぶれにくく、ロープもぶれにくく、よって貫通孔を円滑にかつ正確に形成することができるとともに、係止具の刺通しもこれを円滑に行なうことができ、穿孔または係止具の刺通しの成功率を一層高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
【公開番号】 特開平11−308938
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−118034