| 【発明の名称】 |
胎児回転補助具及び胎児回転方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 正
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| 【要約】 |
【課題】牛等の哺乳大動物の分娩時子宮捻転を簡単に整復し、胎児を安全に出産出来るようにすることを目的とする。
【解決手段】把手部3を有する回転軸2と、この回転軸2の先端に設けられる二股の肢挟部4と、この肢挟部4の先端に設けられる球状部4aからなる回転補助具1を設け、牛等の哺乳大動物の胎児Tが子宮Sで反転して子宮捻転を起こした時、産道Rから子宮S内に肢挟部4を挿入して、胎児Tの所定側の前肢または後肢に挟み込み、回転軸2を捻転方向と逆方向に回転させて整復し産道Rを正常な状態に確保する。また把手部13と回転軸12を着脱自在にしても良い。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 牛等の哺乳動物の分娩時反転を起こした胎児を子宮内で回転させて整復するための回転補助具であって、把手部を有する所定長さの回転軸と、この回転軸の先端に取付けられ且つ胎児の前肢または後肢を挟み込むことの出来る二股の肢挟部を備えたことを特徴とする胎児回転補助具。 【請求項2】 請求項1に記載の胎児回転補助具において、前記肢挟部の先端には、アール部が形成されることを特徴とする胎児回転補助具。 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の胎児回転補助具において、前記回転軸の長さは、少なくとも60cm以上であり、また少なくとも40kgf以上の重量物を回転させることが出来る強度を有することを特徴とする胎児回転補助具。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の胎児回転補助具において、前記把手部を筒型形状にして回転軸に対して着脱自在にし、この把手部を、回転軸に嵌合可能にするとともに、把手部を所定箇所に係止するため把手部と回転軸に係止部を設けることを特徴とする胎児回転補助具。 【請求項5】 牛等の哺乳動物の分娩時反転を起こした胎児を子宮内で回転させて整復するための胎児回転方法であって、産道を通して二股の肢挟部を備えた回転軸を子宮内に挿入し、回転軸先端の肢挟部に反転方向と同方向の前肢または逆方向の後肢を挟み込んだ後、把手部によって回転軸を反転方向と逆方向に回転させて整復することを特徴とする胎児回転方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば牛等の哺乳大動物が分娩時に子宮捻転を起こした場合、分娩不能となるので胎児回転補助具を使用して胎児を回転することによって同時に子宮の捻転を整復し分娩を容易にさせる技術に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、哺乳動物の難産として、胎児の過大、胎児の失位(異常姿勢)、胎児の奇形、産道狭小、子宮頸管狭搾、子宮捻転等があり、そのうち特に子宮内で胎児が反転して子宮捻転が起きると産道が捻れて狭まり、正常に出産するのが困難となる。この場合、子宮捻転が90度以内であれば産道の一部は確保されるものの、180度近くまで捻転すると産道は殆ど塞がってしまうといわれている。 【0003】このような胎児の反転によって子宮捻転が起きた場合は、例えば母体側を子宮捻転の方向と同じ方向に回転させて、胎児の自重を利用して整復したり、または整復出来ない場合には、帝王切開手術等によって胎児を取り出したりしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のように母体側を回転させようとすると、例えば牛の場合であれば母体の体重が400kg〜800kg程度まで達するため、多大な労力と広い場所を要する。また、帝王切開手術で取り出す場合は、高度の技術を必要として大掛かりとなり、また母体を傷つけるためあまり好ましくない。 【0005】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、牛等の哺乳大動物の分娩時子宮捻転による難産を簡単に整復し、胎児を安全に出産出来るようにすることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明は、請求項1において、牛等の哺乳動物の分娩時反転を起こした胎児を子宮内で回転させて整復するための回転補助具を設け、この回転補助具として、把手部を有する所定長さの回転軸と、この回転軸の先端に取付けられ且つ胎児の前肢または後肢を挟み込むことの出来る二股の肢挟部を設けた。 【0007】そして回転軸先端の肢挟部を産道を通して子宮内に挿入し、胎児の頭側が産道の出口側となる通常の頭位出産の場合は、肢挟部に所定側の前肢を挟み込んだ後、把手部を操作して回転軸を反転方向と逆方向に回転させる。また胎児の頭が産道の奥側にある尾位出産の場合は、肢挟部に所定側の後肢を挟み込んで同様に操作する。この際、請求項5のように、前肢または後肢に回転力を加えて体全体を回転させるためには、例えば子宮が右に捻れている場合は、肢挟部に右前肢または左後肢を挟み込んで左に回転させれば、右前肢が胸部または左後肢が下腹部に抱え込まれるような方向に捻られて胎児の体全体を円滑に回転させることが出来る。逆に子宮が左に捻れている場合は、肢挟部に逆方向の肢を挟み込んで右に回転させる。 【0008】また請求項2では、肢挟部の先端にアール部を形成するようにした。このように肢挟部の先端にアール部を形成すれば、肢挟部を先端側にして産道に挿入する際、母体または胎児を傷つけるような不具合を防止することが出来る。ここで、アール部は、軸の先端部を単純に丸めたような形状でも良く、または軸の先端部にやや大径の球状部を設けるような形状にしても良い。 【0009】また請求項3では、回転軸の長さを少なくとも60cm以上とし、また少なくとも40kgf以上の重量物を回転させることが出来る強度を持たせるようにした。そして回転軸の長さを上記長さにすれば、例えば術者の他に補助者を使って操作するような時に便利であり、また上記強度にすれば、特に牛等の比較的大型の哺乳動物の胎児に適用するのに好適である。 【0010】また請求項4では、把手部を筒型形状にして回転軸に対して着脱自在にし、この把手部を、回転軸に嵌合可能にするとともに、把手部を所定箇所に係止するため把手部と回転軸に係止部を設けるようにした。このように把手部と回転軸を着脱自在にすれば、特に回転軸側の軽量化が図られて、回転軸と肢挟部を産道を通して子宮内に挿入するような作業を容易に行えるようになる。また分割した時の取り扱いを容易にするため、把手部を回転軸に嵌合させ、係止部で係止して収容するようにすると便利である。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。ここで図1は本発明に係る胎児回転補助具の第1構成例の全体図、図2は同回転補助具の使用状態を説明する説明図、図3は子宮捻転を起こした胎児の説明図、図4は頭位出産の場合の肢挟部の挟み込み方向と回転方向の説明図、図5は尾位出産の場合の肢挟部の挟み込み方向と回転方向の説明図である。 【0012】本発明に係る胎児回転補助具1は、図3に示すように、牛等の比較的大型の哺乳動物の胎児Tが子宮Sで反転して産道Rが捻れたような子宮捻転の場合に、これを整復して正常出産出来るようにするための補助具として構成され、第1構成例では、図1に示すように、丸棒状の回転軸2と、この回転軸2の基端側に設けられる把手部3と、回転軸2の先端側に設けられる二股の肢挟部4を一体に設けている。 【0013】そして、二股の肢挟部4の先端にはそれぞれ球状部4aが設けられて先端にアールが形成され、またこの二股の肢挟部4の幅間隔は、牛等の胎児の肢を挟み込むことの出来るような幅間隔としている。 【0014】因みに、実施形態では、回転軸2の直径を約10mm、長さを約750mm、肢挟部4の間隔を約60mm、把手部3の直径を約15mm、長さを約260mmにし、すべてをステンレス鋼の中実丸棒から作製し一体化することで、40kg程度の胎児を取り扱っても強度的に充分で且つ取り扱い易いようにしている。 【0015】以上のような回転補助具1の操作要領等について説明する。図3に示すように、子宮S内の胎児Tが反転して子宮捻転を起こしている場合、産道Rも捻れて狭まり、そのままでは胎児Tが産道Rを通過することが出来ず正常な出産が困難である。また牛等の胎児Tの平均体重は約40kg程度もあり、これを産道Rから挿入した手で反転させることは殆ど不可能である。 【0016】そこで、本発明では、図2に示すように、母体を立たせた姿勢で、術者Pが回転補助具1の二股の肢挟部4を先端側にして産道Rから子宮S内に挿入し、胎児Tの反転方向の外側の前肢を肢挟部4に挟み込むとともに、回転軸2を肩の上に載せ、把手部3を術者Pの後方に向けて延出させる。そして、術者Pが肢挟部4と前肢の挟み込み状態を手で保持したまま、補助者が把手部3を持って補助具1を捻転方向と逆方向に回転させれば、胎児Tの体全体が回転して整復され産道Rが拡大する。その結果、自力で出産することが可能になったり、または摘出が容易になる。 【0017】またこの際、肢挟部4の先端の球状部4aによって、肢挟部4を産道Rから挿入する時に母体または胎児Tを傷つけるような虞れがなく安全である。また回転軸2の長さを600mm以上の長さにしているため、術者Pが肢挟部4を保持した状態で把手部3を術者Pの肩の後方に位置させることが出来、補助者の操作が楽に行える。 【0018】ここで、肢挟部4による肢の挟み込み要領は、胎児Tが頭側から出産する頭位出産の時であって、子宮捻転の方向が左である場合、図4に示すように、肢挟部4に左前肢を挟み込み、回転軸2を右に回転させれば、左前肢は胸部に抱え込まれるような方向に捻られて、胎児Tの体全体を円滑に右に回転させることが出来る。また、逆の左に回転させる場合は、肢挟部4に右前肢を挟み込んで左に回転させれば良い。 【0019】また、胎児Tが尾側から出産する尾位出産の時であって、子宮捻転の方向が左である場合、図5に示すように、肢挟部4に右後肢を挟み込み、回転軸2を右に回転させれば、右後肢は下腹部に抱え込まれる方向に捻られて、胎児Tの体全体を円滑に右に回転させることが出来る。 【0020】次に、本発明に係る回転補助具の第2構成例について、図6乃至図8に基づき説明する。ここで図6は胎児回転補助具の第2構成例の全体図、図7は同回転補助具の把手部と回転軸の着脱構造の説明図、図8は把手部と回転軸の係止構造の説明図である。 【0021】この回転補助具11は、回転軸12に対して把手部13が着脱自在にされており、また回転軸12と二股の肢挟部14は一体にされるとともに、この肢挟部14に近接する回転軸12には、取外した把手部13を係止しておく係止突起15が設けられている。 【0022】すなわち、把手部13は筒型のパイプ材から形成され、筒の内径は回転軸12を挿通せしめることの出来る径にされるとともに、図7に示すように、軸中間部には、直径方向に貫通する角穴hが設けられている。一方、回転軸12の一端側には、前記角穴hに嵌合自在な角柱部12kが形成され、この角柱部12kと角穴hによって把手部13と回転軸12が着脱自在にされるとともに、嵌合時には、把手部13の回転力を回転軸2に伝達出来るようにしている。 【0023】また、把手部13の一端側には、係止用の切込み溝13mを形成しており、把手部13を回転軸12に嵌合させた際、図8に示すように、切込み溝13mを係止突起15に係合させて収容するようにしている。そしてこのように回転軸2に一体に収容することで、把手部13の紛失等を防止するとともに、持ち運び等を便利にするようにしている。 【0024】以上のような回転補助具11は、回転軸12と肢挟部13の軽量化が図れるため、産道Rを通して子宮S内に肢挟部13を挿入するような操作時に特に取り扱いやすく、一人で楽に操作することが出来る。 【0025】尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは、本発明の技術的範囲に属する。例えば、二股の肢挟部4の先端の球状部4aは、軸端部を単に丸めてアール形状にしても良く、また材料はステンレス鋼以外の材料を使用しても良い。また適用される動物は、牛以外の子宮捻転を起こす大動物に適用出来る。 【0026】 【発明の効果】以上のように本発明に係る胎児回転補助具は、請求項1のように、牛等の哺乳動物の分娩時反転を起こした胎児を胎内で回転させて子宮捻転を整復するための回転補助具を設け、この回転補助具として、把手部を有する所定長さの回転軸の先端に、胎児の前肢または後肢を挟み込むことの出来る二股の肢挟部を設けたため、請求項5のように、この二股の肢挟部を産道を通して子宮内に挿入し、胎児の所定側の前肢または後肢を挟み込んで捻転方向の逆方向に回転させれば、正常な状態に戻すことが出来る。この際、請求項2のように、肢挟部の先端にアール部を形成すれば、肢挟部を先端側にして子宮内に挿入する際、母体または胎児を傷つけるような不具合を防止することが出来、また請求項3のように、回転軸の長さと強度を所定範囲に設定すれば、特に牛等の比較的大型の哺乳動物の胎児に適用するのに好適となる。また、請求項4のように把手部と回転軸を着脱自在にすれば、肢挟部を産道内に挿入する操作が楽に行え、取り扱いが容易となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598050834 【氏名又は名称】佐藤 正
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)4月1日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】片岡 修
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| 【公開番号】 |
特開平11−285326 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月19日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−105743 |
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