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【発明の名称】 魚釣用スピニングリール
【発明者】 【氏名】山口 明

【氏名】堤 わたる

【要約】 【課題】リール全体の小型コンパクト化を図りながら、良好な釣糸巻取り性/放出性の維持が図れ、かつサミング等の操作性に優れた魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。

【解決手段】本発明の魚釣用スピニングリールは、竿取付け部2を有するリールボディ1に設けたハンドル3aによって連動回転するロータ20の支持アーム50の前部に釣糸案内部53cを有する支持部材52aを装着し、釣糸案内部53cを介してスプール10に釣糸を巻回するように構成されており、前記リールボディ1の竿取付け部2からスプール軸芯Sまでの距離(L)に対するスプール10の前鍔部10bの径(A)の割合(A/L)を、60〜150%としたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 竿取付け部を有するリールボディに設けたハンドルによって連動回転するロータの後部に径方向外方に突設した支持アームの前部に釣糸案内部を有する支持部材を装着し、前記釣糸案内部を介してスプールに釣糸を巻回する魚釣用スピニングリールにおいて、前記リールボディの竿取付け部からスプール軸芯までの距離(L)に対する前記スプールの前鍔部の径(A)の割合(A/L)を、60〜150%としたことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】 前記支持部材の基部を、前記ロータの支持アームの前部に挟着支持したことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項3】 前記スプールの後側筒部の径(B)に対する前記前鍔部の径(A)の割合(A/B)が95〜105%になるようにスプールを構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項4】 前記スプールの前鍔部の基部における釣糸巻回胴部の径を(C)とした場合、前記スプールの前鍔部の径(A)に対する釣糸巻回胴部の径(C)の割合(C/A)を、70〜90%としたことを特徴とする請求項3に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項5】 前記スプールの釣糸巻回胴部を、前記前鍔部から後側筒部に向かうにしたがい、順次小径となるテーパ状にしたことを特徴とする請求項4に記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣用スピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】魚釣用スピニングリールは、釣竿に装着する脚部(竿取付け部)を有するリールボディの前方に、ハンドルの巻き取り回転操作に連動回転するロータを回転自在に装着すると共に、ハンドルの巻き取り回転操作によって前後動するスプールを支持した構造となっている。前記ロータには、ロータの回転によってスプールの周りを回転する一対の支持アームが取り付けられており、この一対の支持アームの一方の前部には、釣糸案内装置を有するベール支持部材が反転可能に支持されている。
【0003】このように、スピニングリールは、前後動するスプールの周りを、釣糸案内部を備えたベール支持部材が回転することによって釣糸をスプールに巻回すると共に、ベール支持部材を起こすことにより簡単に釣糸放出できる形態であることから、手軽に釣り場で使用され、汎用性の面において、両軸受型リールよりも優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、スピニングリールは、上記した特徴を有している反面、糸巻き容量が少ないこと、釣糸巻取り時、放出時に糸癖、糸縒れが発生しやすいこと、及び巻き上げ効率が劣ること、等の課題がある。
【0005】さらに、スピニングリールは、従来からリールボディに対してスプールが比較的小さく形成されているのが現状であり、リールボディの脚部からスプールの前鍔部までの距離が遠くなっている。このため、従来のスピニングリールでは、釣竿と一緒に握持保持した手の指でスプールから放出される釣糸に直接抵抗を加えたり、あるいはスプール回転を制動する等の釣糸放出時のサミング操作を容易に行えない等の課題がある。
【0006】この発明は、リール全体の小型コンパクト化を図りながら、良好な釣糸巻取り性/放出性の維持が図れ、かつサミング等の操作性に優れた魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の魚釣用スピニングリールは、竿取付け部を有するリールボディに設けたハンドルによって連動回転するロータの後部に径方向外方に突設した支持アームの前部に釣糸案内部を有する支持部材を装着し、前記釣糸案内部を介してスプールに釣糸を巻回するように構成されており、前記リールボディの竿取付け部からスプール軸芯までの距離(L)に対する前記スプールの前鍔部の径(A)の割合(A/L)を、60〜150%としたことを特徴とする。
【0008】リールボディの竿取付け部からスプール軸芯までの距離(L)に対するスプールの前鍔部の径(A)の割合(A/L)が60〜150%となるようにリールボディおよびスプールを構成することで、リールボディのコンパクト化が図れると共に、スプールと竿取付け部との間の距離が短縮化され、放出時における釣糸又はスプールに対するサミング操作が容易に行える。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る魚釣用スピニングリールの実施の形態を示す側面図、図2は、その内部構造を示す図、そして、図3は、その正面図である。まず、魚釣用スピニングリールの全体的な構成について説明する。
【0010】魚釣用スピニングリールのリールボディ1は、釣竿に装着するための竿取付け部2、およびリールボディ1内に回転自在に支持されたハンドル軸3の端部に支持されたハンドル3aを備えている。ハンドル軸3には、内歯が形成された駆動ギヤ5が取り付けられており、この駆動ギヤ5には、ハンドル軸3と直交する方向に延出すると共に内部に空洞が形成されたロータピニオン(以下、ピニオンとする)7が噛合している。
【0011】ピニオン7内には、ハンドル軸3と直交する方向に延出し、先端にスプール10を取り付けたスプール軸11が軸方向に移動可能に挿通、支持されている。また、前記ピニオン7には、スプール軸を前後動させるオシレーティング機構が係合している。このオシレーティング機構は、スプール軸と平行に延出するウオームシャフト12と、このウオームシャフト12の溝12aに係合すると共に、スプール軸の基端部にビス止めして取り付けられた係合子15とを有している。ウオームシャフト12の端部にはピニオン7と噛合するギヤ16が取り付けられており、ウオームシャフト12が、ピニオン7及びギヤ16を介して回転駆動されることで、スプール軸11は溝12a内に案内される係合子15を介して前後動される。
【0012】前記ピニオン7はスプール側に向けて延出しており、その先端部において、ナット19を介してロータ20が取り付けられている。前記リールボディ1の前部は、その中央部がスプール10側に向けて突出しており、この突出部1aがロータ20の凹所20a内に配されている。ピニオン7は、図に示すように、リールボディ1内からリールボディの突出部1aを超えて延出しており、その歯部の前方において、前部軸受22および後部軸受23によって回転可能に支持されている。なお、各軸受22,23は、それぞれリールボディ1の突出部1aの先端、および突出部1aの基部に配置されており、後部軸受23はリールボディ内の空間部に突出しない構成となっている。また、前部軸受22は、後述する一方向クラッチのインナーレースを介してピニオン7の前端部を支持している。
【0013】前部軸受22および後部軸受23の間には、一方向クラッチ30が配置されている。この一方向クラッチは、後部軸受23の前端面から前部軸受22の内輪部内周にかけて延出するインナーレース31と、インナーレース上に配される転動部材32と、転動部材32を保持する保持器33と、リールボディ1の突出部1a内部に嵌合するアウターレース34とを備えている。前記保持器33には、レバー37が設けられており、リールボディ1の外部に突出して設けられた操作部材40の操作によって回動され、ピニオン7を逆転防止状態/フリー回転状態に保持する。
【0014】前記ロータ20の後部には、径方向外方に突設された一対の支持アーム50が設けられており、夫々の先端部には、ベール51の基端部を保持する支持部材52a,52bが回動自在に支持されている。一方の支持部材52aには、巻回される釣糸を案内する釣糸案内装置53が設けられている。この釣糸案内装置53は、支持部材52aと一体的に形成される外側部53aと、前記ベール51の端部を保持するベール保持部53bと、前記外側部53aとベール保持部53bとの間に支持された釣糸案内部(ラインローラ)53cとを備えている。釣糸は、放出時において、支持部材52a,52bが回動されてラインローラ53cから外れ、巻回時において、支持部材52a,52bが反転復帰することでベールによってピックアップされ、ラインローラ53cに案内される。
【0015】ここで、支持アーム50に対する各支持部材52a,52bの支持構造の好ましい例を図4及び図5を参照して説明する。図4は、図1のIV−IV線に沿った支持アーム部分の支持構造を示す断面図であり、図5は、その支持構造の変形例を示す図である。各支持部材52a,52bの支持構造は同一であるため、ここでは、支持部材52a側のみを図示してある。
【0016】支持アーム50の前部50aには、回動保持部50bが突出形成されており、この部分に支持部材52aの基部52dが回動可能に支持されている。基部52dには、図5の変形例に示すように、反転部材52fが係合しており、釣糸放出時にベールを起こした後、ハンドルの巻取り操作によって自動的にベールを反転復帰させるように構成されている。そして、このように回動可能に支持された支持部材52aの基部52dは、回動保持部50bに螺入されるビス50eを介してカバー50fで覆われる。すなわち、支持部材52aの基部52dは、支持アーム50の前部において、回動可能に挟着支持される構成となっている。
【0017】図5に示す変形例は、支持アーム50の前部50aに、図中、左右方向に延出する割溝50hを形成し、この割溝部分に支持部材52aの基部52dを配置して、予め基部に形成された孔を介してビス50eを前部50aに螺入したものである。前記した構成と同様、支持部材52aの基部52dは、ビス50eを介してカバー50fで覆われ、支持アーム50の前部において、回動可能に挟着支持される。
【0018】このように支持部材52aの基部52dを支持アーム50の前部に挟着支持することで、支持アーム部分を全体に薄型化することが可能となる。すなわち、従来の支持構造は、支持部材の基部を支持アームの表面部に載置し、これをビス止め等によって回動可能に支持する構成であったため、強度の面から充分に薄型化することはできなかったが、上記のように支持部材の基部を、支持アームの前部において挟着支持する構成としたことにより、この部分での薄型化が可能となって、ロータを必要以上に大型化することが無くなる。また、支持部材52aの基部52dをカバー50fで覆うことにより、その表面を滑らかにすることができ、糸がらみを効果的に防止することができる。
【0019】上述したスプール10は、実際に釣糸が巻回される巻回胴部10aと、巻回された釣糸の前側を規制する前鍔部10bと、釣糸の後側を規制すると共にロータ20を覆う後側筒部10cとを備えており、スプール軸11に、ドラグノブ57を介して取り付けられている。
【0020】以上のように構成されたスピニングリールは、図6に示すように、釣竿100に設けられたリールシート101に取り付けられる。そして、ハンドル3aを巻取り操作することで、ロータ20が図2に示した駆動ギヤ5およびピニオン7を介して回転駆動され、かつスプール10がピニオン7およびオシレーティング機構を介して前後動され、これにより、釣糸が釣糸案内部53cを介してスプール10の巻回胴部10aに均等に巻回される。
【0021】次に、上記したように構成されるスピニングリールの各構成部材の具体的な形態、並びにそのような形態によって構成されるスピニングリールの作用効果について説明する。
【0022】図7に示すように、リールボディ1及びスプール10は、リールボディの竿取付け部2(詳細には竿取付け部の中央部2a)からスプール軸芯Pまでの垂直方向の距離(L)に対するスプール10の前鍔部10bの径(A)の割合(A/L)が、60〜150%となるように構成されている。すなわち、従来型のスピニングリールと比較すると、竿取付け部2とスプール10との間隔が短く、かつスプール10の径が大型化された構成となっている。
【0023】スプール10およびリールボディ1を、このような寸法関係とすることで、大型スプールをリールボディと共にバランス良く結合することができ、リールボディ全体の大型化を防止しながら良好な釣糸巻取り、及び放出性能の維持が可能となる。また、スプール10とリールボディ1の竿取付け部2との距離が短いため、釣糸放出時のスプール10から螺旋状に放出される釣糸又はスプールへのサミング操作が容易に行えるようになり、魚釣操作性が一段と向上する。
【0024】なお、上記した割合(A/L)を60〜150%としたのは、60%よりも小さいと、従来のスピニングリールのように、握持保持した釣竿からスプールに巻回されている釣糸までの距離が遠くなってしまってサミング等の操作性に劣ったり、必要以上にリール全体が大型化するからであり、150%よりも大きくすると、釣竿取付け部2とスプール部分が近づき過ぎて、逆に操作し難くなってしまうからである。
【0025】また、上記した(A/L)の割合設定を容易にするために、支持部材52a,52bの支持アーム50に対する支持構造を図4及び図5に示すように構成することが好ましい。
【0026】上述したように、支持部材52a,52bの基部を、ロータの支持アーム50の前部に挟着支持する構造とすることにより、ロータのアーム部分における薄肉化が実現でき、ロータ20(スプール10)を釣竿取付け部2側に効率良く近づけることが可能となる。すなわち、支持アーム50の薄肉厚化により、スプール10及びロータ20を、竿取付け部側に極力シフトすることができるため、上記の(A/L)の割合を、容易に60〜150%の範囲にすることができる。
【0027】また、上記した構成に加えて、スプール10の形状を以下のように構成することが好ましい。すなわち、スプール10の後側筒部10cの径を(B)とした場合、その前鍔部の径(A)に対する比率(A/B)を95〜105%になるような形状とする。通常、スプールは、ロータの径が大きく構成されていることに伴い、その後側筒部の径も大きい形状となっているが、上記(A/B)の比率が95〜105%の範囲となるようにスプールを形成し、かつこのスプール内に収まるようにロータ20を構成することで、ロータ部分での大型化の防止が図れてスプール10及びロータ20を上方にシフトさせることができ、上記の(A/L)の割合を、容易に60〜150%の範囲にすることができる。また、スプール10の前鍔部10bが大口径化するため、糸巻き容量を多くすることができる。なお、上記(A/B)の比率を105%以下としたのは、これ以上になると前鍔部10bの径が大きくなり過ぎて釣糸放出性上好ましくないからである。
【0028】また、上記したようなスプール形状において、さらに、以下のように構成することが好ましい。すなわち、スプール10の前鍔部10bの基部における釣糸巻回胴部10aの径を(C)とした場合、スプールの前鍔部の径(A)に対する釣糸巻回胴部10bの径(C)の割合(C/A)を70〜90%にする。スプールをこのような割合となるように形成することで、釣糸巻回胴部10aの径が大きくなって釣糸の巻回径も大きくなるので、巻回された釣糸の糸癖が減少すると共に、放出性の向上及び迅速な巻取り操作が可能となる。なお(C/A)の割合を90%以下としたのは、これ以上になると、釣糸の巻回量が必要以上に少なくなるからである。
【0029】また、上記したようにスプールを形成した場合、その釣糸巻回胴部10bは、前鍔部10bから後側筒部10cに向かうにしたがい、順次小径となるテーパ状にすることが好ましい。このように、後方に向かうにしたがい、釣糸巻回胴部を小径化させることで、釣糸放出時の前鍔部前方からの釣糸の糸崩れによる不規則な放出が防止でき、トラブルのない円滑な釣糸放出操作が行える。
【0030】以上のようなスプール及びロータの関係に加え、さらに、リールボディを以下のように構成することが好ましい。すなわち、前記リールボディ1のロータ後端位置から、リールボディ最後方位置にかけての軸方向長さを(E)とした場合、この長さ(E)に対する前記スプール10の前鍔部10bの径(A)の比率(A/E)が115〜200%となるように、リールボディ1及び/又はスプール10を構成しておく。両者の比率をこのように設定しておくことで、リール全体を考慮した場合、スプール10、ロータ20、リールボディ1が全体的にバランスの取れた関係となり、取り扱いやすく、かつ小型でありながら、釣糸巻取り、放出が良好なスピニングリールとなる。
【0031】また、図2に示すように、ピニオン7のリールボディ1への支持は、その歯部の前方側において、前部軸受22と後部軸受23で行うことが好ましい。すなわち、従来のようにピニオン7を両端部で支持することなく、歯部の前方側で支持することにより、リールボディ1の内部空間を大きく取ることができ、オシレーティング機構のウオームシャフト12を効率良く収容することが可能となって、係合子15の移動ストロークを必要最小限の空間で可能な限り大きくすることができる。したがって、これに伴いリールボディ1の軸方向の長さ(E)を効率良く短くすることができ、上記した寸法設定(A/E)を容易に実現することが可能になる。
【0032】以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、スピニングリールを構成しているリールボディ、およびスプールの形状等が上述したような範囲に設定されていれば良く、それ以外の構成については、上述した実施の形態に限らず、種々変形することが可能である。
【0033】
【発明の効果】以上、本発明によれば、リール全体の小型コンパクト化を図りながら、良好な釣糸巻取り性/放出性の維持が図れ、かつサミング等の操作性に優れた魚釣用スピニングリールが提供される。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開平11−276030
【公開日】 平成11年(1999)10月12日
【出願番号】 特願平10−79311