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【発明の名称】 曝気装置
【発明者】 【氏名】遠藤 大輔

【要約】 【課題】従来の曝気装置は、通気口が小さく溶存酸素量がばらついてしまう、及び充填材ブロックを流下した水が装置の底部に衝突し気泡が発生してこの気泡が循環水に含まれ、養殖中の幼魚等に付着し、幼魚等が死んでしまう。また専用設備にすると高価となる。

【解決手段】市販の冷却塔装置の部材を転用し、少なくとも枠体と下部水槽(1)と落込み水槽(2)と下部水槽の上端面よりも低い置き台(1c)に置いた充填材ブロック(3)と架台(4)と循環水入口管(5)と電磁弁(6)を挿設した循環水出口管(7)と溢水管(8)と水位センサ(9)とからなるとともに、水位センサと電磁弁による開閉動作並びに溢水管によって、運転水位を流下水に気泡が巻き込まれないのに必要な最小水位L以上かつ下部水槽の上端面の高さ以下の範囲とし更に少なくとも充填材ブロックの下端面近傍が浸水していることを特徴とする曝気装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】充填材ブロック(3)を備えた市販の冷却塔装置からファン及びファン取付部材を除去しかつ除去した跡に蓋(10)をしてなる曝気装置(A)であって、前記曝気装置(A)は少なくとも、枠体と、周縁に側板立上り(1a)を設けた下部水槽(1)と、前記下部水槽の底部(1b)に凹状に形成された落込み水槽(2)と、前記底部(1b)に配されるとともに高さが前記側板立上り(1a)の上端面(1d)よりも低い置き台(1c)の上に載置される充填材ブロック(3)と、架台(4)と、循環水入口管(5)と、前記落込み水槽から導出されかつ電磁開閉弁(6)を挿設した循環水出口管(7)と、前記下部水槽用の溢水管(8)と、前記下部水槽用の水位センサ(9)とからなるとともに、前記水位センサ(9)による前記電磁開閉弁(6)の開閉動作と前記溢水管(8)からの溢水とによって、前記曝気装置(A)の運転時の下部水槽(1)の水位を、気泡が流下水に巻き込まれないために必要な最小水位L以上でかつ前記側板立上り(1a)の上端面(1d)の高さ以下の範囲とし、更に前記最小水位Lにおいて少なくとも充填材ブロック(3)の下端面(3b)近傍が浸水していることを特徴とする曝気装置。
【請求項2】最小水位Lを約120mmとしたことを特徴とする前記請求項1記載の曝気装置。
【請求項3】曝気装置(A)が充填材ブロック(3)の外側に設けたルーバー(11)をも含んでなることを特徴とする前記請求項1または2記載の曝気装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は幼魚等を成育する養殖池等における水中への気泡混入を防止できる簡易型の曝気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の幼魚等を成育する養殖池等の用水の曝気装置は図示を省略するが、FRP製タンクに通気口と循環水配管とを設け、前記タンクの内部に波型を賦形した充填材ブロックを設置し、充填材ブロックに循環水を流下させることによって流下水を曝気するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の曝気装置においては、1)FRP製タンクに設けられた通気口が小さいことにより通気が不足する等して溶存酸素量がばらついてしまう、2)充填材ブロックと接触して流下した循環水がFRP製タンクの底部に衝突しこのために気泡が発生し、この気泡が循環水に巻き込まれたまま養殖池等に運ばれ、この用水中の気泡が幼魚等に付着し、幼魚等が死んでしまう、3)専用の曝気装置を製作すれば高価となってしまう、という問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、請求項1の発明の曝気装置は充填材ブロックを備えた市販の冷却塔装置からファン及びファン取付部材を除去しかつ除去した跡に蓋をしてなる曝気装置であって、前記曝気装置は少なくとも、枠体と、周縁に側板立上りを設けた下部水槽と、前記下部水槽の底部に凹状に形成された落込み水槽と、前記底部に配されるとともに高さが前記側板立上りの上端面よりも低い置き台の上に載置される充填材ブロックと、架台と、循環水入口管と、前記落込み水槽から導出されかつ電磁開閉弁を挿設した循環水出口管と、前記下部水槽用の溢水管と、前記下部水槽用の水位センサとからなるとともに、前記水位センサによる前記電磁開閉弁の開閉動作と前記溢水管からの溢水とによって、前記曝気装置の運転時の下部水槽の水位を、気泡が流下水に巻き込まれないために必要な最小水位L以上でかつ前記側板立上りの上端面の高さ以下の範囲とし、更に前記最小水位Lにおいて少なくとも充填材ブロックの下端面近傍が浸水していることを特徴とする。即ち、簡易型でありかつ養殖池等の用水中に気泡が混入しないようにした曝気装置である。
【0005】ここで上記曝気装置の運転時の最小水位Lの値を約120mmとした曝気装置であってもよい。
【0006】更に上記曝気装置はルーバーが充填材ブロックの外側に設けてあってもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】図1を用いて本発明を詳細に説明する。図1は本発明の曝気装置の一実施を示す全体模式図である。図1の曝気装置Aにおいて、図示を省略しているが枠体があり、1は下部水槽、2は落込み水槽、3は充填材ブロック、4は架台、5は循環水入口管、6は電磁開閉弁、7は循環水出口管、8は下部水槽用の溢水管、9は下部水槽用の水位センサそして10はファン及びファン取付部材を除去した跡にした蓋であり、前記蓋10以外のものは充填材ブロック3を備えた市販の冷却塔用の部材およびその配管資材等を転用して組立てられている。
【0008】上記曝気装置Aにおいてルーバー11,11が示されているが、ルーバー11,11は必須のものではなくて、必要に応じて設ければよい。
【0009】曝気装置Aを詳細に説明する。図示を省略しているが枠体は市販の冷却塔用の枠体を転用すればよい。次に周縁に側板立上り1aを有する下部水槽1が架台4,4の上に載置されており、そのほぼ中央には凹状に落ち込んだ有底の落込み水槽2が形成されている。下部水槽1の側板立上り1aの高さは上端1dの位置である。市販の冷却塔では、冷却塔の幅や高さが異なっても下部水槽1の側板立上り1aの上端1dの高さはほとんど一定である。また、落込み水槽2の深さは側面からの配管導出スペースが必要であるため、通常、下部水槽1の側板立上り1aの長さより大きくしてある。
【0010】下部水槽1の底部1bに配した置き台1c,1cの上に充填材ブロック3,3が載置されるが、置き台1c,1cの上面、即ち充填材ブロック3,3の下端面3b,3bの位置は下部水槽1の側板立上り1aの上端1dより低い位置としている。
【0011】曝気装置Aの上側には循環水入口管5が配管され、この循環水は充填材ブロック3,3の上の散水層等を経て充填材ブロック3,3の上に流下していく。充填材ブロック3,3は通常の市販の冷却塔に使用される波型の充填材を重ね合わしたものでよく、流下水が外気と十分接触して曝気できるものであればよい。
【0012】落込み水槽5の側面から循環水出口管7が導出配管されており、循環水出口管7の途中にはオンオフ型の電磁弁6が設けられている。
【0013】図示していないが、上記循環水出口管7の終端が幼魚等を成育する養殖池等への給水管となり、上記循環水入口管5の始端が同じく養殖池等からの排水管となり、ポンプで循環される。
【0014】そして、下部水槽1には上向きに開口してその開口面より上位の溜まり水を素早くオーバーフローさせて逃がす溢水管8が設けてあり、開口面の高さは側板立上り1aの上端1dとほぼ面一としてある。溢水管8の他方の管端は前記電磁弁6の2次側回路へ接続してある。更に、下部水槽1には電極棒方式の水位センサ9が設けてある。
【0015】下部水槽1の運転水位を考えると、溢水管8によって水位を下部水槽1の側板立上り1aの上端1dの高さ以下に維持し、水位センサ9と電磁弁6との組合わせ動作によって、流下水に気泡が巻き込まれないのに必要な最小水位Lから前記側板立上り1aの上端面1dまでの範囲内に制御され、かつ、最小水位Lの場合であっても、少なくとも充填材ブロック3の下端面3b近傍が浸水するように、充填材ブロック3,3が設置されることが必要である。
【0016】実施例によれば、上記最小水位Lを約120mmとし、更に運転水位を前記最小水位L(約120mm)から下部水槽1の側板立上り1aの上端1dの高さにいたるまで変化させると、この間のすべての場合において、流下した循環水に気泡はほとんど発生せず、気泡が生じても下部水槽(1)と落込み水槽(2)とを沈下する際に気泡は放出されるなどして完全に消滅した。
【0017】ルーバー11,11は通常、流下水を曝気するのに十分な通気口を有しているから、必要な時のみ設ければよく、例えば夏場の遮光や防塵等のために設けてもよく、寒冷地の冬場にルーバー11,11が結氷して通気口を妨げる場合等はルーバー11,11を取り外した方がよい。
【0018】以上曝気装置Aの構成について説明したが、次に曝気装置Aの作用を説明する。曝気装置Aの運転状態において、上部の循環水入口管5からの流下水は充填材ブロック3,3を流下する際に、外気と直接に接触するか、又はルーバー1,1の通気口からの空気と接触して十分に曝気される。
【0019】曝気された流下水は、下部水槽1に向かうが、運転時の下部水槽1の溜まり水の水位は、溢水管8や水位センサ9と電磁弁6との組合わせ動作により最小水位L以上の水位となっており、仮に最小水位Lの場合であっても充填材ブロック3の下端面3b近傍がこの溜まり水に浸水するように充填材ブロック3,3が設置されているから、流下水は充填材ブロック3から空気中に離水することなく下部水槽1の溜まり水の水面に前記溜まり水を着水緩衝域として着水するから、気泡は巻き込まれにくくなり、気泡が生じたとしても流下水は最小水位L以上の深さの前記緩衝域を沈下移動する途中で気泡が放出され消滅するとともに、更に落込み水槽2の側面から導出される循環水出口管6の位置まで沈下移動する間に気泡は完全に放出され消滅する。従って、循環水出口管6には気泡は含まれることはなく、従ってその先にある養殖池などへ気泡を送り込むことがないから、養殖中の幼魚等に気泡が付着して幼魚等が死んでしまうなどの悪影響は一切生じることはない。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、充填材ブロックを備えた市販の冷却塔装置からファン及びファン取付部材を除去しかつ除去した跡に蓋をしたものを転用し、下部水槽に設けた水位センサにより、落込み水槽側面から導出の循環水出口管に設けた前記電磁開閉弁を開閉動作させることとと下部水槽に設けた溢水管から溢水させることによって、曝気装置の運転時の下部水槽の水位を流下水に気泡が巻き込まれないための最小水位以上でかつ前記側板立上りの上端面の高さ以下の範囲内とし、更に最小水位の時に少なくとも充填材ブロックの下端面近傍が浸水していることを特徴とする曝気装置を提供できるから、1)十分に曝気でき溶存酸素量を大きくすることができる、2)曝気装置を循環し流下した水に気泡が発生しにくくなり、気泡が生じても流下水のその後の曝気装置内の沈下移動の際に気泡が放出され消滅し循環水出口管に至る前に気泡を除去できるから気泡は養殖池に運ばれることはなく、従って幼魚等に気泡が付着せず幼魚等の成育に良好な状態が確保できる、3)市販の冷却塔用部材を転用してまかなえるから曝気装置の費用が安価となり設置作業も簡便化できる、という効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000006172
【氏名又は名称】三菱樹脂株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月30日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−276018
【公開日】 平成11年(1999)10月12日
【出願番号】 特願平10−83323