| 【発明の名称】 |
人工水草およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】越智 成次
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| 【要約】 |
【課題】水棲生物の効率的な定着や呼び戻しによる環境改善の目的で河川や魚礁に設置される人工水草において、水流に対する抵抗が少なく、耐久性、施工性にすぐれ、安価に設置できる人工水草を提供する。
【解決手段】ダブルラッセル機により、ラッセル編組織からなる表裏の網目状編地(1)を幅5〜50mmのポリオレフィンフラットヤーン(5)を連結糸(7)として連結して表裏の網目状編地(1)の間隔が100〜2000mmである三次元網目構造体(6)を形成し、その連結糸(7)の中間部をカットして、網目状編地(1)に長さが50〜1000mmのポリオレフィンフラットヤーン(5)を係止した人工水草(10)で、この人工水草(10)の網目状編地(1)を根茎部として水底に沿って係留し、ポリオレフィンフラットヤーン(5)を葉部として水中に浮遊させて使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ラッセル編組織からなる四角または六角形状の網目の一辺の長さが20〜100mmである網目状編地において、鎖編組織に幅が5〜50mm、長さが100mm以上のポリオレフィンフラットヤーンを係止してなることを特徴とする人工水草。 【請求項2】 ダブルラッセル機により、ラッセル編組織からなる四角または六角形状の網目の1辺の長さが20〜100mmである表裏の網目状編地を幅5〜50mmのポリオレフィンフラットヤーンを連結糸として連結して表裏の網目状編地の間隔が100〜2000mmである三次元網目構造体を形成し、その連結糸の中間部をカットして得られることを特徴とする人工水草の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、人工水草に関し、さらに詳しくは、天然の水草や藻類の着床や繁茂が容易であり、さらに魚介類の産卵や棲息に好適な人工水草に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、河川や湖沼あるいは海域の沿岸の開発に伴い堤防の法面がコンクリートで被覆されるなどして、その結果水草や藻類が枯渇したり、小動物や魚介類も棲息が不可能となり自然が破壊されるなど環境の悪化が問題となっている。また、これらの沿岸における魚介類の枯渇、減少は水産資源確保の上からも大きな問題になっており、これらの問題を解消する手段として各種の人工魚礁や人工草葉が注目されている。 【0003】従来、水草や藻類を付着させる人工漁礁としてはコンクリートブロック等が利用されてきた。しかしながら、コンクリートブロック等の人工漁礁では、水草や藻類が付着するまでには長時間を要し、さらに水草や藻類が生育した後に小動物や魚介類が棲息を始めて環境が元に復活するまでには長期間を要するという欠点があった。一方、人工草葉としては、例えばラッセル経編地にプラスチックテープヤーンをパイル糸として編み込んだ経編地(特開平4−57946号公報)が開示されている。このラッセル経編地にパイル糸として係合可能なパイル長さは20〜30mm前後が限度であり、水草や藻類の着生や繁茂、魚介類の産卵や棲息に十分な長さの草葉とはなり得ない。また、ネット状編地の網目にプラスチックテープヤーンをパイル糸として編み込んだ経編地からなる人工漁礁(特開平4−53433号公報)が開示されているが、これはパイル糸の長さが不十分であることや、ラッセル編地部分が柔軟性に欠け水流に対して抵抗が大きく、人工水草や人工漁礁として十分な効果は得られない。 【0004】また、水中養殖場表面材として、基布にプラスチックテープヤーンなどからなるパイル糸をタフテイングしたタフテッドパイル布帛からなる水中養殖場表面材(特開平5−344830号公報)も開示されているが、基布およびパイル糸の密度が高く、水流に対して抵抗が大きく、パイル糸が抜けて流失してしまうなどの問題があった。あるいはまた、浮上性のプラスチックひも状体を支持杭等に取り付けて河川の流れにそって浮遊状態にした人工水草(特開平7−171589号公報)が開示されているが、ひも状体の浮遊状態において密度が不均一で、その効果は不十分であり、さらに、ひも状体を水中に取り付けるために多数束ねたり、折り曲げたりして抜け防止するなど、取り扱い上の不便性があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み、人工水草に水中微生物が容易に付着し、ついで水草類や藻類などの水生植物の群体が生育し、生育した水生植物の間で魚貝類の産卵や生育が効率良く行われることが可能な人工水草を見いだし、かつこの人工水草が、水流に対する抵抗値も小さく、耐久性にすぐれ、施工性がよく、安価に設置できるものであることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を考慮してなされたもので、ラッセル編組織からなる四角または六角形状の網目の1辺の長さが20〜100mmである網目状編地において、鎖編組織に幅が5〜50mm、長さが100mm以上のポリオレフィンフラットヤーンを係止してなることを特徴とする人工水草を提供することにより、上記課題を解消する。 【0007】また、ダブルラッセル機により、ラッセル編組織からなる四角または六角形状の網目の1辺の長さが20〜100mmである表裏の網目状編地を幅5〜50mmのポリオレフィンフラットヤーンを連結糸として連結して表裏の網目状編地の間隔が100〜2000mmである三次元網目構造体を形成し、その連結糸の中間部をカットして得られることを特徴とする人工水草の製造方法を提供することにより、上記課題を解消する。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は、本発明においてラッセル編により形成される網目状編地(1)を示している。(イ)は鎖編組織(2)同士を鎖糸(3)および挿入糸(4)で短く結節し四角形状を形成した網目状編地(1)、(ロ)は鎖編組織(2)同士を鎖糸(3)および挿入糸(4)で長く結節して六角形状を形成した網目状編地(1)、(ハ)は鎖編組織(2)を鎖糸(3)および挿入糸(4)が交流し四角形状を形成した無結節の網目状編地(1)である。本発明においては、(ハ)鎖編組織(2)を鎖糸(3)および挿入糸(4)が交流し四角形状を形成した無結節の網目状編地(1)が好ましい。 【0009】上記無結節の網目状編地(1)を編成する方法としては、隣り合った二条の鎖編組織(2)間を鎖糸(3)および挿入糸(4)が往き戻りすることにより交流し、交流した鎖糸(3)および挿入糸(4)が結節を形成することなく所定長さを保持して一辺を形成することにより、鎖編組織(2)からなる二辺と鎖糸(3)および挿入糸(4)からなる二辺とから四辺を構成するものである。鎖糸(3)は緯方向の強力を与えるために一条の鎖編組織に対して複数本用いてもよく、挿入糸(4)は経方向の強力を与えるために一条の鎖編組織に対して複数本用いてもよい。また、鎖編組織は並行に編成する数条の鎖編組織からなるテープ状であっても差し支えない。 【0010】図2は、本発明の人工水草(10)の一部を拡大して示した図である。網目状編地はラッセル編組織であって、隣接する鎖編組織(2)を鎖糸(3)および挿入糸(4)が交流し四角形状を形成した無結節の網目状編地(1)である。 【0011】上記網目状編地(1)は、網目の一辺の長さ(a)または(b)が20〜100mmであることが好ましく、30〜70mmがさらに好ましい。網目の一辺の長さが20mm未満では、後述するように網目状編地(1)を根部として水底に係留した場合に、水流に対して抵抗が大きくなるとともに、水中の浮遊物が絡み付くなどの問題があり、また、経済的でない。100mmを超えると、根部としての強度が不十分であるとともに水草としての密度が小さくなり効果が劣る。 【0012】上記網目状編地(1)を形成する糸条としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる長繊維が好ましく、特に根部として水中に静置するためには比重が1より大きく、耐候性にすぐれ、圧縮弾性性能にすぐれたナイロンが好ましい。 【0013】上記糸条の形態としては、マルチフィラメント、モノフィラメント、フラットヤーン、スプリットヤーン等いずれも採用可能であるが、柔軟性があり編成効率にすぐれたマルチフィラメントが特に好適に使用される。 【0014】上記糸条の太さとしては、総繊度が100〜5000デニールが好ましく、500〜2000デニールがさらに好ましい。総繊度が100デニール未満では強度が不十分で水流に対して耐久性が劣り、5000デニールを超えると柔軟性が失われ編成効率が劣るので好ましくない。 【0015】上記網目状編地(1)にポリオレフィンフラットヤーン(5)を係止して、網目状編地(1)は根茎部を形成し、ポリオレフィンフラットヤーン(5)は葉部を形成して人工水草(10)として使用されるものである。 【0016】ポリオレフィンフラットヤーン(5)は網目状編地(1)の鎖編組織(2)に編み込んで係止されるが、ポリオレフィンフラットヤーン(5)を編み込む頻度は、鎖編組織(2)上において、組織点および/または鎖編組織(2)上の任意の点において編み込みは可能であり、人工水草(10)の使用目的により適宜選択される。 【0017】ポリオレフィンフラットヤーン(5)としては、幅が5〜50mm、好ましくは10〜30mmであることが重要である。幅が5mm未満では、人工水草(10)の葉部として使用される際に、水中微生物が容易に付着し、ついで水草類や藻類などの水生植物の群体が生育し、生育した水生植物の間で魚貝類の産卵や生育が効率良く行われることが困難となり、50mmを超えると、水流に対する抵抗が大きく好ましくない。 【0018】ポリオレフィンフラットヤーン(5)の長さは100mm以上、好ましくは300〜1000mmであることが重要である。長さが100mm未満では、葉部の長さが不十分で魚礁としての効果に劣り、2000mmを超えると編成効率が低下して好ましくない。 【0019】上記ポリオレフィンフラットヤーン(5)のポリオレフィンとしては、とくに限定されるものではないが、延伸効果があり高強力のポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが好適に用いられる。ポリオレフィンフラットヤーンの形状としてはとしては、合成樹脂製フィルムをスリットして得られるフラットヤーンや、フラットヤーンを割繊して得られるスプリットヤーンなどを包含するものである。 【0020】上記ポリオレフィンフラットヤーン(5)を形成する方法は、特に限定されるものではなく、原料ポリオレフィンを用いて形成したフィルムをスリットし延伸したフラットヤーンを形成する。上記フラットヤーンを形成する方法は、押出機にてTダイ法またはインフレーション法にてフィルムを成形し、スリットした後延伸し、次いで熱処理してフラットヤーンを形成する。延伸はポリオレフィンの融点以下、軟化点以上の温度下で行われる。延伸倍率は好ましくは3〜15倍、より好ましくは5〜10倍である。こうしたフラットヤーンの厚みは20〜50μmで、フラットヤーン繊度としては500〜5000デニールが好ましい。 【0021】本実施例の人工水草(10)は、ダブルラッセル機により編成することができる。すなわち、図3に示すように、網目状構造をなす表裏の網目状編地(1)と、この表裏の網目状編地(1)をポリオレフィンフラットヤーン(5)を連結糸(7)として用いて連結して三次元網目構造体(6)を形成し、その連結糸(7)の中間部をカットして得ることができる。連結糸(7)を編み込む頻度は、鎖編組織(2)上において、組織点および/または鎖編組織(2)上の任意の点において編み込みは可能であり、人工水草(10)の使用目的により適宜選択される。 【0022】上記人工水草(10)は、図4に示すように、網目状編地(1)を根茎部として水底に沿って係留して用いる。係留方法はとくに限定されるものではないが、網目状編地(1)の網目の1辺を支持杭(9)で係留するか、あるいは他の係留物にロープ等で係留しても差し支えない。網目状編地(1)を水底に沿って係留しないで、網目状編地(1)の一部が水中に浮遊すると、網目に水中の浮遊物が絡み付くなどの問題が生じるので好ましくない。このように網目状編地(1)を水底に係留することにより、網目状編地(1)の鎖編組織(2)に係止されたポリオレフィンフラットヤーン(5)は、比重が1よりも小さいので水中に浮遊して水底の水草や海底のコンブのようにゆらめいて魚礁として好適に作用するものである。 【0023】本発明の網目状編地(1)およびポリオレフィンフラットヤーン(5)には、水質浄化作用を有するセラミック系浄化材を配合することが好ましい。セラミック系浄化材は珪素とアルミニウムを主成分とし、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する酸化物系の天然鉱石を粒径10μm以下に微粉砕し、1000℃以上の温度域で焼結処理したものである。 【0024】本発明に用いられる熱可塑性樹脂には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、顔料、無機充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、核剤等の通常用いられる添加剤を配合してもよい。 【0025】 【実施例】ダブルラッセル機(カールマイヤ製14G)を使用し、表裏の網目状編地(1)はナイロン240d/48fを用いて表裏とも各2枚の筬で鎖編組織(2)を鎖糸(3)および挿入糸(4)が往き戻りして交流して一辺が50mmの4角形状の網目を有する編地を編成し、連結糸(7)としては、幅35mm、繊度1000dのポリプロピレンフラットヤーン(5)を用いて表裏の網目状編地(1)の組織点の100%および鎖編組織(2)の組織点の中間点を連結して三次元網目構造体(6)を得た。表裏の網目状編地(1)の間隔は1000mmであった。 【0026】次に、センターカット機(カールマイヤ製)を使用し、連結糸(7)の中間部を網目状編地(1)に平行にセンターカット(両断)して、表裏の網目状編地(1)の鎖編組織(2)にそれぞれ500mmのポリオレフィンフラットヤーン(5)を係止した人工水草(10)を得た。 【0027】このようにして得られた人工水草(10)を、網目状編地(1)を根茎部として水底に沿って配置し、網目状編地(1)の鎖編組織(2)に支持杭(9)を打ち込んで水底に固定し、ポリオレフィンフラットヤーン(5)を葉部として水中に浮遊状態にして使用したところ、水草類や藻類などの水生植物の群体が順調に生育し効果的なことが確認できた。 【0028】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明は所定形状の網目状編地の網目に、所定形状のポリオレフィンフラットヤーンを編み込んだ網目状編地からなる人工水草であって、耐久性み富み施工性がよく安価に設置できるもので、擬似的水草としても水流に対する抵抗が少なく水深にも対応できる長さの葉部を有しているから、人工水草に水中微生物が容易に付着し、ついで水草類や藻類などの水生植物の群体が生育し、生育した水生植物の間で魚貝類の産卵や生育が効率良く行われという充分な効果が認められる人工水草となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000234122 【氏名又は名称】萩原工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月18日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−262342 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月28日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−68317 |
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