| 【発明の名称】 |
帆立貝養殖用係止具 |
| 【発明者】 |
【氏名】川嶋 隆廣
【氏名】高橋 和宏
【氏名】山瀬 知良
【氏名】佐藤 義一
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| 【要約】 |
【課題】軸部1の差込み方向先端側に一対の係止片2が差込み方向と反対側に傾斜するように一体成形されている帆立貝養殖用係止具において、破断強度が比較的大きな構造の係止具を提供する。
【解決手段】軸部1および係止片2の対向面に位相段差8,9を設ける等して、一対の係止片2が押し広げられたときに軸部1に捻り応力が発生するようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸部(1)の差込み方向先端側に一対の係止片(2)が差込み方向と反対側に傾斜するように一体成形されている帆立貝養殖用係止具において、前記軸部(1)および係止片(2)の対向面に位相段差(8)(9)が設けられていることを特徴とする帆立貝養殖用係止具。 【請求項2】 軸部(1)の差込み方向先端側に一対の係止片(2)が差込み方向と反対側に傾斜するように一体成形されている帆立貝養殖用係止具において、前記一対の係止片(2)が押し広げられたときに前記軸部(1)に捻り応力が発生する形状が、前記係止片(2)に賦形されていることを特徴とする帆立貝養殖用係止具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、帆立貝の養殖に際して、帆立貝をロープに耳吊りするために用いられる帆立貝養殖用の係止具に関するものである。 【0002】 【従来の技術】帆立貝の養殖は、帆立貝の稚貝をロープに耳吊りし、ロープを海中に吊り下げることによって行なわれており、耳吊りは、稚貝の耳部に孔を開け、この孔およびロープに係止具を差し通すことによって行なわれている。 【0003】係止具は、以下のようなものである。 【0004】すなわち、図9および図10に示すように先ず、棒状の軸部51が設けられており、この軸部51の差込み方向先端側に一対の係止片52が差込み方向と反対側に傾斜するように一体成形されており、軸部51の後端側に、軸部51より大径の係止部53が一体成形されている。 【0005】また軸部51の係止片52と対向する部分に、軸部51の周面を斜めにカットした形状の係止片格納部54が設けられており、当該係止具を稚貝の耳部に設けた孔に差し込むときに、係止片52が孔の周縁部によって相対に押圧されると、係止片52が弾性変形して、この係止片格納部54に丁度収められるようになっている。図11がこの状態を示している。 【0006】このように係止片52を係止片格納部54に収めるのは、稚貝の耳部に設ける孔の大きさを極力小さくして、稚貝の成長を阻害しないためである。 【0007】すなわち、稚貝の耳部に孔を設けるには、自動または手動の穿孔機で超硬合金の錐を用いて穿孔するが、錐の径が大きくなるほど稚貝の受ける衝撃も大きくなり、穿孔によって受ける稚貝のストレスが増大して、海中に吊り下げた後も稚貝の成長の度合いに良くない影響が出る。したがって稚貝が受けるストレスを減少させるには穿孔時の錐径を小さくすることが有効であるが、錐径を小さくするには係止具の径を小さくしなければならず、係止具の径を小さくすると、係止具の破断強度が低下する不都合となって現れる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の点に鑑み、破断強度が比較的大きな構造の帆立貝養殖用係止具を提供することを目的とし、また破断強度を従来と同じとした場合に係止具の径を小さくすることが可能な帆立貝養殖用係止具を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の請求項1による係止具は、軸部の差込み方向先端側に一対の係止片が差込み方向と反対側に傾斜するように一体成形されている帆立貝養殖用係止具において、前記軸部および係止片の対向面に位相段差が設けられていることにした。 【0010】また本発明の請求項2による帆立貝養殖用係止具は、軸部の差込み方向先端側に一対の係止片が差込み方向と反対側に傾斜するように一体成形されている帆立貝養殖用係止具において、前記一対の係止片が押し広げられたときに前記軸部に捻り応力が発生する形状が、前記係止片に賦形されていることにした。 【0011】上記構成を備えた本発明の請求項1による係止具のように、軸部および係止片の対向面に位相段差が設けられていると、係止片が偏厚みを備えていることになり、貝が係止片から抜け出る方向に相対移動して係止片にこれを押し広げる方向の負荷が作用すると、係止片の厚さの厚い部分がこの負荷を受け、これに厚さの薄い部分が追随する形となり、これに伴って係止片近傍の軸部に捻り応力が発生する。したがって従来において負荷の全てが軸部を引っ張る引っ張り負荷であったのに対して、本発明によれば、その一部が捻り負荷に変換されて、この分、引っ張り負荷が減少するために、これに応じて軸部の破断強度を向上させることが可能となる。また従来に対して強度を同じに設定すれば、係止具の径寸法を小さくすることが可能となる。請求項2による係止具においても同様である。 【0012】本発明の係止具は、樹脂を材料として成形されるのが好適である。樹脂の種類は特に限定されないが、ポリアミド(ナイロン)樹脂等が特に適している。 【0013】 【発明の実施の形態】つぎに本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。 【0014】図1は、当該実施形態に係る係止具の正面を示しており、図2にその要部が拡大して示されている。図3は図2におけるA−A線拡大端面図である。 【0015】当該実施形態に係る係止具は先ず、棒状であって細長い円柱形の軸部1を備えており、この軸部1の差込み方向先端側に、所定の幅wを備えた舌片状の一対の係止片2が差込み方向と反対側に傾斜するように一体成形されており、軸部1の後端側に、軸部1より大径の円柱形の係止部3が一体成形されている。一対の係止片2は180度対称位置に設けられている。 【0016】図1(A)において、軸部1と係止部3の間にはテーパ状の係止壁4のみが設けられていて、よってこの係止具が二枚開け用に成形されているが、係止具が一枚開け用である場合には、同図(B)に示すように、軸部1と係止部3の間にネック部5とテーパ状の係止壁4とが設けられる。ネック部5は軸部1より小径の円柱形に形成されているが、軸部1の端部周面に二面幅状の面取りを施したものであっても良い。 【0017】軸部1の係止片2と対向する部分に、軸部1の周面を斜めに平たくカットした形状の係止片格納部6が設けられており、当該係止具を稚貝の耳部に設けた孔に差し込むときに、係止片2が孔の周縁部によって相対に押圧されると、係止片2が弾性変形して、この係止片格納部6に丁度収められるようになっている。係止片格納部6は係止片2に対応して一対が180度対称位置に設けられており、またこの一対の係止片格納部6を設けた部分において、軸部1の太さが先端方向に向けて徐々に細くなっており、最も細くなった先端部分に係止片2が設けられている。また係止片2の更に先端側に、挿入部7が先端に向けて徐々に細くなるように設けられている。 【0018】係止片2は、上記したように一対が対称的に設けられており、更に以下のように形成されている。 【0019】すなわち図3に示すように、差込み方向後端側に傾斜したこの係止片2の係止片格納部6と対向する部分(内面)の幅方向中央に、所定の高さh1 を備えた段差8が設けられている。この段差8によって図上左右に仕切られた面2aと面2bとは互いに平行とされており、この二面に対して段差面が直交している。また係止片2の外面2cは係止片2の全幅に亙って略円弧形に形成されている。段差8は係止片2の長さ方向に延びており、係止片2の基端部から先端部にかけて高さh1 が徐々に減じられている。 【0020】図3において、図上上側の係止片2の段差8はその段差面が図上右を向いており、反対に図上下側の係止片2の段差8はその段差面が図上左を向いている。したがって上下一対の段差8は軸対称構造をなしており、上下一対の係止片2は全体としても軸対称構造をなしている。 【0021】係止片2に段差8が設けられていることに対応して、係止片格納部6にもそれぞれこの段差8と噛み合う形状の段差9が設けられている。 【0022】すなわち平坦状の係止片格納部6の幅方向中央に、所定の高さh2 を備えた段差9が設けられており、この段差9によって図上左右に仕切られた面6aと面6bとが互いに平行とされており、この二面に対して段差面が直交している。段差9は軸部1の長さ方向に延びており、先端側から後端側にかけて高さh2 が徐々に減じられている。 【0023】この係止片格納部6に設けられた段差9の高さh2 は、係止片2に設けられた段差8の高さh1 と同じに設定されており、またこれらの高さh1 ,h2 は、軸部1の直径Dの15分の1ないし10分の1に設定されている。また位相段差の比率としては、軸中央から1:1.2ないし1:1.6に設定されている。 【0024】図3において、図上上側の係止片格納部部6に設けられた段差9はその段差面が図上左を向いており、反対に図上下側の係止片格納部6に設けられた段差9はその段差面が図上右を向いている。したがって上下一対の段差9は軸対称構造をなしており、この段差9を設けた軸部1も軸対称構造をなしている。 【0025】当該係止具は、所定の合成樹脂により全ての部分が一体に成形されており、特に係止片2が所定の係止強度をもって弾性変形するように成形されている。また係止片2が係止片格納部6に格納される方向に弾性変形すると、図4に示すように段差8,9同士が互いに噛み合うとともに、係止片2の略全部が係止片格納部6の形成による凹み内(軸部の円形断面内)に収められる。 【0026】上記構成を備えた係止具は、帆立貝の稚貝の耳部に予め設けられた孔とロープとに、その先端側から差し通されて、稚貝をロープに耳吊りするために用いられる。耳吊りの態様は、図5に示すように係止片2と係止部3の間に稚貝10が二つ吊され、この二つの稚貝10の間にロープ11が配置される。係止具はロープ11に対しては、その撚りの中を貫通する。また図上左側の稚貝10が係止片2によって抜け止めされ、図上右側の稚貝10が係止部3によって抜け止めされることになる。 【0027】上記構成の係止具は、以下の特徴を有している。 【0028】すなわち、軸部1の係止片格納部6および係止片2の対向面に上記のような形状を備えた位相段差8,9が設けられているために、係止片2が偏厚みを備えており、貝が係止片2から抜け出る方向に相対移動して係止片2にこれを押し広げる方向の負荷が作用すると、係止片2の厚さの厚い部分がこの負荷を受け、これに厚さの薄い部分が追随する形となり、これに伴って係止片2近傍の軸部1に捻り応力が発生する。したがって従来において負荷の全てが軸部1を引っ張る引っ張り負荷であったのに対して、当該構成によれば、その一部が捻り負荷に変換されて、この分、引っ張り負荷が減少するために、これに応じて軸部1の破断強度を向上させることができる。また従来に対して強度を同じに設定すれば、係止具の径寸法を小さくすることができる。 【0029】軸部1に捻り応力を発生させるためには、上記したように位相段差8,9を設ける他に様々なものが考えられる。例えば、成形型の型割りにおけるアンダーカット部の発生を厭わなければ、以下のようなものであっても良い。 【0030】図6に示すように、軸対称に設けられた一対の係止片2の内面にそれぞれ、幅方向に傾斜したテーパ面12を形成する。またこれに対応して軸部1の係止片格納部6にも、同じ方向に傾斜したテーパ面13形成する。テーパ面12,13は係止片2または係止片格納部6の全幅に亙って形成されている。 【0031】また図7または図8に示すように、軸対称に設けられた一対の係止片2の内面にそれぞれ、幅方向に傾斜したテーパ面12を形成する。またこれに対応して軸部1の係止片格納部6にも、同じ方向に傾斜したテーパ面13形成する。テーパ面12,13は係止片2または係止片格納部6の幅の略半分に亙って形成されている。図7では、係止片2に設定される偏厚みの薄い方の内面にテーパ面12が形成されており、図8では反対に、係止片2に設定される偏厚みの厚い方の内面にテーパ面12が形成されている。 【0032】 【発明の効果】本発明は、以下の効果を奏する。 【0033】すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1による係止具においては、軸部および係止片の対向面に位相段差が設けられているために、係止片が偏厚みを備えており、貝が係止片から抜け出る方向に相対移動して係止片にこれを押し広げる方向の負荷が作用すると、係止片の厚さの厚い部分がこの負荷を受け、これに厚さの薄い部分が追随する形となり、これに伴って係止片近傍の軸部に捻り応力が発生する。したがって従来において負荷の全てが軸部を引っ張る引っ張り負荷であったのに対して、本発明によれば、その一部が捻り負荷に変換されて、この分、引っ張り負荷が減少するために、これに応じて軸部の破断強度を向上させることができる。また従来に対して強度を同じに設定すれば、係止具の径寸法を小さくすることができる。また請求項2による係止具においても同様の作用効果を得ることができ、これによれば設計の自由度が広がる利点がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000101879 【氏名又は名称】イーグル工業株式会社 【識別番号】592022062 【氏名又は名称】かねひろ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】野本 陽一
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| 【公開番号】 |
特開平11−262341 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月28日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−85085 |
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