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【発明の名称】 魚釣用リ―ルの糸止め装置
【発明者】 【氏名】蓑原 聖一

【要約】 【課題】糸止めをスプール後部の透孔に挿入する簡単な構成で抜け止め係止し、容易な組付け性と簡素な構造により、製造コストの軽減を図ること。

【解決手段】スプ−ル4の円筒状のスプール後部4gに透孔4nと皿溝4oが形成されて糸止め9の本体9bが挿入され、糸止め9は糸止め本体9bの弾性係止部9aとピン35で取り付け固定保持されている。糸止め9は、L字形の本体9bの一側に糸止め部9cが本体9bの両側に外側に開く弾性係止部9aが、本体9bの他側にU字状の切欠き9dが夫々形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一側に糸止め部(9c)を形成したL字形の糸止め本体(9b)の他側を係合保持する保持部(35,4r)をスプール後部(4g)の底部に形成し、前記糸止め本体(9b)の中間部の側部に外側に開く弾性係止部(9a)を形成し、前記スプール後部の透孔(4n)に前記糸止め本体(9b)を挿入後に前記弾性係止部(9a)の先端部をスプール後部(4g)の内周面に当接して該糸止め本体(9b)をスプール(4)に抜け止め係止したことを特徴とする魚釣用リールの糸止め装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚釣用リールにおける釣糸の端部を係止させる糸止め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】魚釣用リールの釣糸が巻回されるスプールの後部には、従来より一般的に糸止め部材が設けられ、釣糸の端部をスプールとの間に挟着係止する構成となっている。この糸止め部材は、一側に糸止め部を形成したL字形に形成され、スプール後部の円筒部に形成した透孔に挿入後、該糸止め部材の他端をスプール後部の底部にネジや止め輪等によって抜け止め固定しているので、糸止め部材の組み付け作業に手間を要すると共にネジや止め輪等の小物部品を紛失し易く、部品点数及び組み付け作業等の面より製造コストが高くなる等の課題が指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題点は、スプールに糸止め部材を装着固定する場合に組付け作業に手間を要すると共に糸止め部材を固定するネジや止め輪等の小物部品を紛失し易く、製造コストが高くなることである。
【0004】本発明の目的は前記欠点に鑑み、糸止め部材のスプールへの装着固定を容易として製造コストの低減を図る魚釣用リールの糸止め装置を提供することである。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を達成するために、一側に糸止め部を形成したL字形の糸止め本体の他側を係合保持する保持部をスプール後部の底部に形成し、前記糸止め本体の中間部の側部に外側に開く弾性係止部を形成し、前記スプール後部の透孔に前記糸止め本体を挿入後に前記弾性係止部の先端部をスプール後部の内周面に当接して該糸止め本体をスプールに抜け止め係止したことを要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図示の一実施例によって本発明を説明すると、図1は魚釣用スピニングリ−ルの要部断面側面図、図2はリ−ル本体の要部拡大断面側面図、図3はスプ−ルの拡大断面側面図、図4は制動部材と止め輪が装着されたスプ−ルの要部拡大正面図、図5はスプ−ル前部の斜視図、図6はスプ−ルの拡大断面側面図、図7はスプ−ルの正面図、図8はスプ−ル成形金型の断面側面図、図9は他の視点で見たスプ−ル成形金型の断面側面図、図10は糸止めが取り付けられたスプ−ルの後部の断面背面図、図11は糸止めが取り付けられたスプ−ルの後部の要部拡大断面背面図、図12は糸止めの斜視図である。
【0007】魚釣用スピニングリ−ルは、リ−ル本体1の両側に駆動歯車2の回動軸2aが図示しない軸受で軸支され、回動軸2aの中心多角形孔にハンドル10が固定されたハンドル軸11が左右交換自在に挿入嵌合されている。リ−ル本体1の前部には軸受12で回転軸筒3が回転自在に軸受されると共に前側に突出されている。軸受12より前側の回転軸筒3の外周にロ−タ−13が嵌合されてナット14で固定されている。回転軸筒3の基端は軸受部1aで回転自在に軸承され、基端の前側に一体的に形成されたピニオン3aに駆動歯車2が噛合されてロ−タ−13はハンドル10の回転に連動して回転されるように支持されている。前記回転軸筒3の中心孔には先端にスプ−ル4が取り付けられたスプ−ル軸5が前後往復動可能に摺動自在に挿入され、スプ−ル軸5の後端部5aには摺動子15が係止板16で取り付けられている。
【0008】前記リ−ル本体1内の回転軸筒3のピニオン3aより前側に連動歯車17と逆転防止爪車18が回転軸筒3に回り止め嵌合されている。リ−ル本体1内にはスプ−ル軸5と平行に摺動機構のトラバ−スカム軸19が軸受部1aとリ−ル本体1の後側に取り付けられた側板20で支承されている。トラバ−スカム軸19の先端には小歯車21が回り止め嵌合されて小歯車21は前記連動歯車17に噛合されている。前記トラバ−スカム軸19には前記摺動子15が嵌合されて摺動子15に設けた係合子22の爪がトラバ−スカム溝に係合されている。
【0009】スプ−ル4は、中心にスプ−ル軸5の先端小径部5bが嵌合される透孔4aと、スプ−ル4の前部4bと、前部4b外側のフランジ部4cと、前部4bに制動機構Aの制動部材Bの制動板23と制動板24と摩擦板25が収容される凹部4dと、中心後側の軸筒部4eと、釣糸が巻回されるスプ−ル胴部4fと、円筒状のスプ−ル後部4gとで形成されている。凹部4d内には制動板23の外周の凸部が係合される2条の凹部4hと、凹部4d内の前側内周の周方向に該内周より径方向外方に制動部材Bの抜け止め用止め輪6が係止される凹部からなる複数個の係止段部4iとが形成されている。スプ−ル軸5の先端小径部5bの外周には回り止め部5cと、小径部5bの先端にネジ部5dが形成されている。スプ−ル軸5の先端小径部5bの外周には制動部材Bの制動板23と制動板24と摩擦板25が嵌合され、制動板24は回り止め部5cに回り止めされている。スプ−ル軸5の先端小径部5bにスプ−ル4が嵌合される時、先端小径部5bの段部と軸筒部4eの間に摩擦板26と制動板27が挾み込まれている。
【0010】制動部材Bの抜け止め用止め輪6は図4のように外形が略六角形に形成されて止め輪6の突部6aが係止段部4iに係止されている。スプ−ル軸5の先端小径部5bの回り止め部5c外周には制動機構Aの押圧部材7の回り止め孔7aが回り止め嵌合され、発条28が挿入されている。スプ−ル軸5の先端小径部5bのネジ部5dには制動機構Aのツマミ29に取り付けられたナット30が螺合されている。押圧部材7はツマミ29に取り付けられて調節部材が構成されている。
【0011】スプ−ル4が製造される時は、図8、図9のように断面T字型の金型8、8′と上下の割り金型8″、8″が用意されて成形される。断面T字型の金型8には、スプ−ル4の前部4bが成形される台部8aと、前部のフランジ部4cが成形される凹部8bと、凹部4dが形成される凸部8cと、射出成形材料を注入する注入孔8dとが形成されている。更に断面T字型の金型8には、スプ−ル4の透孔4aが成形されるピン31の一端が中心に埋設され、凸部8c外周にスプ−ル4の凹部4hが成形されるピン32が埋設されている。又、凸部8c外周にスプ−ル4の制動板の抜け止め用止め輪6が係止される凹部からなる係止段部4iが成形されるピン33の一端が嵌合される溝8eが形成されている。
【0012】断面T字型の金型8′には、先端にスプ−ル4の軸筒部4eが成形される凹部8fを有する凸部8gが形成されている。更に凸部8gの先端にはスプ−ル4の透孔4aが成形されるピン31が嵌合される穴8hと、スプ−ル4の制動板の抜け止め用止め輪6が係止される係止段部4iが形成されるピン33が固定されている。 又、凸部8gには押し出しピン34が挿入される透孔8iが穿設されている。
【0013】上下の割り金型8″、8″の内周にはスプ−ル4のフランジ部4cが成形される凹部8jと、釣糸が巻回されるスプ−ル胴部4fが成形される凸部8kと、円筒状のスプ−ル後部4gが成形される凹部8mとが形成されている。
【0014】スプ−ル4が断面T字型の金型8、8′と上下の割り金型8″、8″で製造されると、図4から図7のようにスプ−ル4の前部4bと、前部4b外側のフランジ部4cと、前部4bに制動機構Aの制動部材Bが収容される凹部4dと、中心後側の軸筒部4eと、釣糸が巻回されるスプ−ル胴部4fと、円筒状のスプ−ル後部4gとが成形される。更に凹部4d内には制動板23の外周の凸部が係合される2条の凹部4hがピン32で成形され、凹部4d内の前側内周の周方向に該内周より径方向外方に制動部材Bの軸方向外方への抜け止めを行う止め輪6の突部6aを係止する複数個の係止段部4iがスプ−ル4の後部側からかつ凹部4d内の前側内周の周方向にピン33で複数一体に成形される。
【0015】前記説明ではスプ−ル4が金型8、8′、8″、8″で製造される場合であるが、切削加工で形成される時は、前記制動板23の外周の凸部が係合される2条の凹部4hはスプ−ル4の前部4bから孔明け加工で穿設され、前記止め輪6の突部6aが係止される複数個の係止段部4iはスプ−ル4の後部側から孔明け加工で穿設される。
【0016】前記のようにスプ−ル4の2条の凹部4hがスプ−ル前部4bから、スプ−ル4の複数個の係止段部4iがスプ−ル4の後部側から形成されると、従来の軸線方向の回り止め溝4sに対して直交する周溝4tが形成されることがないので、係止段部4iの形成が容易になる。更に従来の切削刃が回り止め溝4sに当たる度に衝撃を受けることがなく、凹部内周全周の周溝4tでスプ−ル前部4bのフランジ部4cの付け根部分の強度が弱くなることが解消されて強度が向上される。又、スプ−ル4の成形が容易になり、コストの低減が図れる。スプ−ル4の形状は他の形状であってもよい。
【0017】図1、図3、図10から図12の糸止め9の取付構造は、スプ−ル4の円筒状のスプ−ル後部4gに透孔4nと皿溝4oが形成されて糸止め9が挿入されて糸止め9の弾性係止部9aとピン35で取り付けられている。糸止め9はL字形の本体9bの一側に糸止め部9cが、本体9bの両側に外側に開く弾性係止部9aが、本体9bの他側にU字状の切欠き9dが夫々形成されている。
【0018】スプ−ル4が前記金型8、8′、8″、8″で製造される場合は、透孔4nと皿溝4oは金型8″に中型を取り付けて成形され、ピン35の穴4pは金型8′に図8のようにピン36を取り付けて成形される。
【0019】スプ−ル4に糸止め9が組み込まれる時は、本体9bが透孔4nに挿入されて切欠き9dがピン35に当てられると、弾性係止部9aが開いて弾性係止部9aの先端が円筒状のスプ−ル後部4gの内周面に当てられて抜け止めされる。この時糸止め部9cは皿溝4oの上に載せられ、図示しない糸が糸止めされる時は糸止め部9cと皿溝4oの間に挾み込まれる。このように糸止め9が構成されると、構造が簡素で取り付けが簡単であると共にコスト低減が可能となる。又、糸止め部9cと皿溝4oとの間に挾み込まれる釣糸は、弾性係止部9aの弾性作用により糸径の太いものでも容易に係止できる。
【0020】図13は糸止めの取付構造の変形例で、図13はスプ−ルの後部の要部拡大断面背面図である。
【0021】この変形例の場合は、スプ−ル4の円筒状のスプ−ル後部4gに透孔4nと皿溝4oが形成されると共に、スプ−ル後部4gの縦壁に透孔4nと同幅の孔4qが形成された保持部4rが形成されている。他の構成は前記実施例と略同一である。
【0022】
【発明の効果】本発明は前述のように、糸止め本体をスプール後部の透孔に挿入する簡単な作業で、糸止め本体の側部に形成した弾性係止部の先端の係止作用により、スプールに糸止め本体を抜け止め係止できるので、構造が簡素化されると共に組付け作業も容易であり、製造コストが軽減される。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成6年(1994)1月26日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−239436
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平11−841