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【発明の名称】 釣竿用ラインガイド
【発明者】 【氏名】大村 ▲りゅう▼一

【要約】 【課題】糸抜け案内斜面を有するラインガイドにおいてこの斜面の傾斜を緩くするとボディの全長が増して重量増加になってしまう。

【解決手段】ライン通し部27と竿体取付部29を有したボディ23と、ライン通し部の孔31の前端部に内嵌されたガイドリング25とを備え、ライン通し部の周壁のうち前端部39より後側の部分に前上がりの糸抜け案内斜面41が設けられたラインガイドにおいて、糸抜け案内斜面の傾斜を緩くしてその前端41aを上記周壁の前端部外周面に連続させ、この連続の位置は、周壁の中心軸より稍反竿体取付部側へ寄ったところにした。従って、ボディに絡みついたライン37の糸抜けは、最初糸抜け案内斜面を滑り、次いで周壁の外周面を滑って抜けて行く。従って、糸抜け案内斜面の傾斜を緩くしてもボディの全長は長くならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】互いに略平行な向きで前後方向へ延びるライン通し孔及び竿通し孔が形成されたボディと、上記ライン通し孔の前端部に内嵌されたガイドリングとを備え、竿通し孔の前端はライン通し孔の前端より後退した位置にあり、ライン通し孔の周壁部のうち前端部より後側の部分には前方へ行くに従って竿通し孔から離れるように傾斜した糸抜け案内斜面が設けられ、この糸抜け案内斜面の前端は上記周壁部の前端部外周面における反竿通し孔側の頂部より竿通し孔側へ寄ったところに位置し、上記外周面のうち糸抜け案内斜面の前端から上記頂部に至るまでの範囲はこの頂部に近づくにつれて左右幅が狭くなる形にしたことを特徴とする釣竿用ラインガイド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣竿用ラインガイドに係り、特に、ガイドリングを保持したボディに糸抜け案内斜面が設けられたタイプのラインガイドに関するものであり、小型軽量でありながら糸絡み解除効果に優れた釣竿用ラインガイドを提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】竿体(ブランク)に外付けされるタイプのラインガイドにあっては、ラインが絡みついてもこれにテンションを与えることによってその状態が自動的に解除される機能、所謂糸抜け機能が要求される。この機能を果たす手段の一つとして、ラインガイドのボディ(フレーム状に形成されたものを含む)に糸抜け案内斜面を設けることが行われている。
【0003】図4に、そのような糸抜け案内斜面を備えた従来のラインガイドの一例1を示す。このラインガイド1は、前後方向へ互いに平行に延びる竿通し孔3及びライン通し孔5が形成された合成樹脂製のボディ7を有しており、これら2つの通し孔3と5は横断面が円形になっていて、ライン通し孔5の前端部にガイドリング9が装着されている。そして、ライン通し孔5の周壁部11のうち前端部から後側の部分はライン通し孔5の軸と斜交する平面で切除されたごとき糸抜け案内斜面13になっており、この糸抜け案内斜面13は前方へ行くに従って竿通し孔3から離れるように前上がりに傾斜している。従って、このボディ7にラインが巻きつくように絡みついた場合、ラインにテンションを与えると、その巻きついた部分が糸抜け案内斜面13を滑ってボディ7から外れて行く、即ち、ラインの絡みつきが自動的に解除される。
【0004】ところで、このような機能を果たす糸抜け案内斜面13にあっては、その傾斜αが緩いほどラインの滑り抵抗が小さくて済むため、それだけ糸抜けし易いことになる。しかしながら、この糸抜け案内斜面13の傾斜αを緩くすると、二点鎖線で示すように、ボディ7の全長Lが長くなって、その分、サイズや重量が増すと共に、竿体への取付部が長くなる(L1になる)ために竿体の撓み性能を殺してしまうという問題を招く。
【0005】そこで、本発明者らは、先に、糸抜け案内斜面13を長くしても竿体の撓み性能を殺すことの無いラインガイドを開発した(特開平9−107850号公報参照)。図4に示す別のラインガイド15は上記公報に記載されたラインガイドを示すものである。(このラインガイド15の各部については前記ラインガイド1における同様の部位に付した符号と同じ符号を付してある。)
【0006】このラインガイド15の糸抜け案内斜面13の傾斜α1は前記ラインガイド1の糸抜け案内斜面13の傾斜αより緩やかであり、従って、ライン通し孔5の前後長、換言すれば周壁部11の前後方向における長さはラインガイド1におけるそれよりは長くなっている。しかしながら、このラインガイド15においては、竿通し孔3の前端をライン通し孔5の前端より距離b後退したところに位置させることで、竿通し孔3の前後長をラインガイド1における竿通し孔3の前後長Lと同じ長さに維持している。従って、糸抜け案内斜面13の傾斜を所望の角度に設定できる上に、竿通し孔3の長さは竿体への取付強度などを勘案した必要最小限の長さにして竿の撓み性能の低下を防ぐことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】既知の通り、釣竿用ラインガイドにあってはできるだけ軽量であることが要求される。この点について、前記したラインガイド15を見てみると、竿の撓み性能を殺さないことはできても、糸抜け案内斜面13の傾斜を緩くすればするほど、結局はボディ7の前後長が増してしまうので、重量の増加は避けられないという問題があった。釣竿におけるラインガイドの重量増加は持ち重り感を増大させる一番の原因になるので、微小な重量増加と言えども無視することはできない。特に、穂先等に装着されるラインガイドにおける重量の増加は竿のアクション等を阻害する直接的な原因になってしまう。
【0008】本発明は上記した従来の問題点に鑑みて為されたものであり、糸抜け案内斜面の距離を長くとらないでもこの斜面の傾斜を緩やかにすることができ、あるいは糸抜け案内斜面の傾斜を変えないでボディの前後長を縮めることができ、しかも、これらいずれの場合でも竿の撓み性能を殺さないで済み、小型軽量でありながら糸絡み解除効果に優れた釣竿用ラインガイドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明釣竿用ラインガイドは、互いに略平行な向きで前後方向へ延びるライン通し孔及び竿通し孔が形成されたボディと、上記ライン通し孔の前端部に内嵌されたガイドリングとを備え、竿通し孔の前端はライン通し孔の前端より後退した位置にあり、ライン通し孔の周壁部のうち前端部より後側の部分には前方へ行くに従って竿通し孔から離れるように傾斜した糸抜け案内斜面が設けられ、この糸抜け案内斜面の前端は上記周壁部の前端部外周面における反竿通し孔側の頂部より竿通し孔側へ寄ったところに位置し、上記外周面のうち糸抜け案内斜面の前端から上記頂部に至るまでの範囲はこの頂部に近づくにつれて左右幅が狭くなる形にしたものである。
【0010】このような構造のラインガイドによれば、ボディに絡みついたラインの糸抜け案内は、最初、糸抜け案内斜面を滑ることで行われ、この糸抜け案内斜面の前端に来たところからは、ライン通し孔の周壁部のうち左右幅が狭くなる形にされている部分の表面を滑ることで完遂される。即ち、本発明ラインガイドにあっては、絡みついたラインをボディの頂部まで案内するための案内面の一部として、ボディの外周面を利用しているので、その分、本来の糸抜け案内面としての前後方向に延びる部分の寸法を短くすることができる。
【0011】しかして、糸抜け案内斜面の寸法を長くとらないでもこの斜面の傾斜を緩やかにすることができ、又は、糸抜け案内斜面の傾斜を変えないでボディの前後長を縮めることができ、しかも、これらいずれの場合でも、ライン通し孔の前後長に拘らず竿通し孔の前後長を任意に設定することができるので、竿の撓み性能を殺す虞は無い。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態に係るラインガイド21を図面に従って説明する。このラインガイド21は、合成樹脂製のボディ23と、このボディ23に取り付けられたガイドリング25とから構成されている。ボディ23は、基本的に円筒形をしたライン通し部27と、同じく円筒形をした竿体取付部29とが一体に形成されたものであって、これらライン通し部27と竿体取付部29は各軸が互いに平行に延び且つそれぞれの周壁の一部を共有する部位で連続している。
【0013】ガイドリング25は、セラミックなどの硬質な材料により円環形を為すように形成され、ライン通し部27の孔であるライン通し孔31の前端部に内嵌された状態でボディ23に接着されている。
【0014】ボディ23は、竿体取付部29の孔である竿通し孔33に竿体35が挿通されることで竿体35の所要の位置に取り付けられ、ライン通し孔31及びガイドリング25にはリールから引き出されたライン37が通される。竿体取付部29の軸方向における長さはライン通し部27の同方向における長さより短く、竿体取付部29の前端(図1における左上方へ向かう方向が前側、即ち、竿先側である)はライン通し部27の前端よりある程度後退したところに位置している。このようにすることで、竿体35の撓み性能をできるだけ殺さないようにしている。
【0015】ライン通し部27の具体的形状は、円筒から一部を切り取ったような形になっている。即ち、ライン通し部27において完全な円筒形をしているのはガイドリング25が取り付けられた前端部39だけであって、ここから後側においては竿体取付部29と反対側の略半分を斜めに切り取ったような形をしており、それにより、ライン通し孔31の前端部以外の部分は、前方へ行くにつれて竿体取付部29から離れて行くように傾斜した略半楕円形の大きな口31aになっている。
【0016】この口31aの左右両側縁部を輪郭とする平面が糸抜け案内斜面41になっている。そして、この糸抜け案内斜面41の前端41aは、図2を見て分るように、ライン通し部27の中心軸X−Xより多少反竿体取付部29側へ寄った位置にあって、ライン通し部27の前端部39の外周面の頂部39a(竿体取付部29とは反対側の頂部)よりもかなり離れたところに位置する。
【0017】従って、この糸抜け案内斜面41の傾斜度は、その前端を上記頂部39aまで延ばした構造と較べて、かなり緩くなっている。即ち、図4に示した従来のラインガイド1における糸抜け案内斜面13の前端は周壁部11の前端頂部11aに達しているので、周壁部11の前後長が同じである場合は、従来のラインガイド1における糸抜け案内斜面13よりもこの実施の形態に示すラインガイド21における糸抜け案内斜面41の方が傾斜がかなり緩くなる。
【0018】ライン通し部27の前端部39の後面39bは軸X−Xと略直交する面になっている。そして、この前端部39の外周面のうち糸抜け案内斜面41の前端41aが連続する位置から頂部39aまでの部分は、頂部39aに近づくにつれて左右幅が小さくなる。即ち、この外周面は軸方向から見て円形をしており、且つ、糸抜け案内斜面41の前端41aが連続する位置はこの外周面の中心軸X−Xよりも多少頂部39a側にあるからである。ラインガイド21は以上のように構成されている。
【0019】このように構成されたラインガイド21における糸抜けは次のように行われる(図1参照)。ライン37の絡みつきは、多くの場合、図1に実線で示すように起こり、その一部は糸抜け案内斜面41上に位置している。このように糸絡みが起きた場合は、仕掛けを投げるときのように竿を軽く振るか又はライン37を前方へ適度に引っ張ってライン37にテンションを与えると、ボディ23に絡みついている部分は、同図に二点鎖線で示す状態と一点鎖線で示す状態をこの順序で経てボディ23から外れて行く。即ち、ライン37のうち糸抜け案内斜面41上に載っている部分は、最初、この糸抜け案内斜面41を滑って前端41aまで移動し、ここからは、ライン通し部27の前端部39の外周面を頂部39a側へ向けて滑ってその絡みつきの輪を小さくして行き、一点鎖線で示す状態を経てボディ23から外れる。
【0020】このように、ラインガイド21にあっては、絡みついたライン37をボディ23の頂部39aまで案内するための案内面の一部として、ボディ23における略上下方向へ延びる面を利用しているので、その分、上記案内面としての前後方向に延びる部分の寸法を短くすることができ、従って、ボディ23の全長を大幅に縮めることができる。
【0021】この効果は、図4に示すところによって容易に確認できる。例えば、このラインガイド21の糸抜け案内斜面41の傾斜をラインガイド15の糸抜け案内斜面13の傾斜α1と同じにしても、ラインガイド21の前後方向における全長はラインガイド1の全長Lと略同じ長さに維持できる。換言すれば、ラインガイド1に対しては、全長を変えずに糸抜け案内斜面の傾斜を緩くすることができる。しかも、これらいずれの場合でも、竿体取付部29の前後長はその前端をライン通し部27の前端より距離b後退したところに位置させることで必要最小限の長さに抑えることができるので、竿の撓み性能を殺すことも無い。
【0022】以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても本発明に含まれる。例えば、実施の形態においては、ライン通し孔の周壁と竿体通し孔の周壁をいずれも円筒形にしたが、本発明を実施する上で、これら周壁の基本的形状が特に制約されることは無い。これと同様、ライン通し部の外周面における糸抜け案内斜面から頂部までの部分の正面形状についても、これを円弧面に限る必要は無く、頂部に近づくにつれて左右幅が小さくなる形状であればどのような形状であっても差し支えない。
【0023】また、糸抜け案内斜面を滑って来たラインがライン通し孔の周壁部の外周面にスムーズに乗り移ることができるようにするために、この外周面と糸抜け案内斜面の前端とが連続する部分を、側方から見て湾曲した形状とすることは効果的であり、場合によっては、糸抜け案内斜面そのものをゆるやかに湾曲した形状にすることも考えられる。
【0024】更に、本発明を実施するに当たっては、ライン通し孔の周壁即ちライン通し部の前端部を前倒れに傾斜した形にして、一層糸抜けし易くすることも考えられる。この場合、ガイドリングとしては長円形又は楕円形のものを用いると良い。尚、本発明は、ボディが合成樹脂製のものに限らず、竿体に外付けされるタイプの各種の釣竿用ラインガイドとして広く適用することができる。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明釣竿用ラインガイドにあっては、ボディに絡みついたラインの糸抜け案内は、最初、糸抜け案内斜面を滑ることで行われ、この糸抜け案内斜面の前端に来たところからは、ライン通し孔の周壁部のうち左右幅が狭くなる形にされている部分の表面を滑ることで完遂される。即ち、本発明ラインガイドにあっては、絡みついたラインをボディの頂部まで案内するための案内面の一部として、ボディの外周面を利用しているので、その分、本来の案内面としての前後方向に延びる部分の寸法を短くすることができる。
【0026】従って、糸抜け案内斜面の寸法を長くとらないでもこの斜面の傾斜を緩やかにすることができ、又は、糸抜け案内斜面の傾斜を変えないでボディの前後長を縮めることができ、しかも、これらいずれの場合でも、ライン通し孔の前後長に拘らず竿通し孔の前後長を任意に設定することができるので、竿の撓み性能を殺す虞は無い。しかして、小型軽量でありながら糸絡み解除効果に優れた釣竿用ラインガイドを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000237385
【氏名又は名称】富士工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司 (外1名)
【公開番号】 特開平11−239434
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−63958