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【発明の名称】 両軸受リール
【発明者】 【氏名】片桐 尚久

【氏名】北山 剛史

【要約】 【課題】スプールの釣糸繰り出し方向の回転に対してドラグ力の他に、安全且つスムースに、しかも簡単に制動力を与え得るレバードラグ式及びスタードラグ式の両軸受リールを提供する。

【解決手段】レバードラグ式の両軸受リールA、又は、スタードラグ式の両軸受リールBの前記左右側枠1,2のいずれか一方に、スプール4の回転に制動力を与えると共に、その制動力の強弱を調節し、且つその制動力がスプール4に対してその釣糸繰り出し回転に作用し、釣糸巻き取り回転には作用しないようにしたブレーキ装置10を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右側枠間に支承されたスプールシャフトにスプールが軸承され、該スプールの回転がハンドルからドラグ機構を介して伝達される両軸受リールであって、その回転伝達が、スプールシャフトに対して遊転可能なスプールと一体回転する摩擦板と、ハンドルの回転がメインギア及びピニオンギアを介して伝達されるクラッチ板とのいずれか一方がスプールシャフトの軸方向にスライドすることで前記摩擦板とクラッチ板とが接触し、その接触する際の摩擦係合力で行われ、その摩擦係合力の調節をドラグレバーの回動によりカム機構を介して行われるレバードラグ式の両軸受リール、若しくは、ハンドルの回転を摩擦係合力でメインギアへ伝える多板式のドラグ機構を介してメインギアからピニオンギアへ、そのピニオンギアからクラッチ機構を介してスプールと一体回転するスプールシャフトに伝達されて行われ、その摩擦係合力の調節がドラグつまみの回動により行われるスタードラグ式の両軸受リールにおいて、前記左右側枠のいずれか一方にスプールの回転に制動力を与えると共に、その制動力の強弱を調節し、且つその制動力がスプールに対してその釣糸繰り出し回転に作用し、釣糸巻き取り回転には作用しないようにしたブレーキ装置が備えられ、該ブレーキ装置は、スプールの同軸線、若しくは、該軸線と偏心した部位に配設され、スプール、若しくは、スプールシャフトの回転が伝達される回転板と、その回転板への回転伝達経路のいずれかに配設され、スプールの釣糸繰り出し回転では回転板へ回転を伝達し、釣糸巻き取り回転では回転板への回転伝達を切り離す逆止め機構と、前記回転板に対して接離可能、且つ常時回転板から離反する方向に付勢された接触体を有し、その接触体の接離を操作する操作部とで構成されていることを特徴とする両軸受けリール。
【請求項2】 上記回転板がスプールと同軸線に配設されたブレーキ装置であり、前記回転板をスプール、若しくは、スプールシャフトに遊転可能に配設し、その回転板の回転が、前記スプール、若しくは、スプールシャフトとの間に介在された逆止め機構を介して行われることを特徴とする請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】 上記回転板がスプールの軸線と偏心して配設されたブレーキ装置であり、前記回転板を側枠内に回転可能に支持された軸に支承し、その回転板の回転が、スプール、若しくは、スプールシャフトから、少なくともスプール、若しくはスプールシャフトと一体回転する第1歯車と前記軸に遊転可能に支承された第2歯車とを有する歯車列と、該第2歯車と軸との間に介在された逆止め機構とを介して行われることを特徴とする請求項1に記載の両軸受けリール。
【請求項4】 上記接触体は、側枠に回転板の側面に向けて軸方にスライド可能に貫通取り付けされると共に、常時回転板とは離反する方向に付勢されたスライド軸と、該スライド軸のスプール側に突出する端部に前記スライド軸を押動することにより回転板に当接するように配設されたブレーキシューとでなることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の両軸受リール。
【請求項5】 上記ブレーキ装置がハンドル取り付け側とは反対側の側枠に備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の両軸受リール【請求項6】 上記逆止め機構がワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれかに記載の両軸受リール。
【請求項7】 上記両軸受リールがレバードラグ式の両軸受リールであり、上記カム機構が、側枠の外側と、スプールシャフトと一体回転すると共に、該スプールシャフトに対して着脱可能に固定されたドラグレバーとの間に着脱可能に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載の両軸受リール。
【請求項8】 上記カム機構が、側枠の外側に着脱可能、且つ、スプールシャフトと同軸線上に配設されたカム板と、該カム板と正対して常時カム板の斜面に当接すると共に、ドラグレバーと一体回転するカムとでなることを特徴とする請求項7に記載の両軸受リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両軸受リールに関し、詳しくはレバードラグ式及びスタードラグ式の両軸受リールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ドラグ機構の摩擦係合力によりハンドルの回転をスプールに伝達すると共に、レバーやつまみによってねらう魚種及び釣竿の強さと使用する釣糸の強さに応じてドラグ機構の摩擦係合力の強弱を調節するようにしたレバードラグ式及びスタードラグ式の両軸受リールは今日周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記摩擦係合力(以下ドラグ力と称する)の調節は実釣前に行われ、しかもその調節は実釣中の糸切れなどを生じさせないように、ねらう魚の引きの強さ及び釣竿の強さそして使用する釣糸の強さに応じて相当正確に行われている。ところが、このようなドラグ力の正確な調節は、非常に面倒であり、しかも技術も要するので、ベテランでも相当時間を要するし、初心者では非常に困難である。また、正確にドラグ力を調節したとしても、掛かった魚の引きが想像以上に強く、釣糸が勢いよく繰り出されてしまうときには、釣糸の強さ以上のドラグ力を必要とする場合がある。上記したよう場合には、釣糸の強さ以上のドラグ力を使用すれば、当然釣糸は切れてしまうことになるので、スプールに巻かれた釣糸の外周面を指で押えるいわゆるサミングで釣糸の引き出しを抑制している。しかしながら、勢いよく繰り出される釣糸によって回転するスプールをサミングするとなると、指と回転する釣糸の外周面との間に摩擦が生じて、やけどや指を切ってしまうなどの可能性がある。また、カム機構を用いてドラグ力の調整を行うレバードラグ式の両軸受リールでは、カム板の斜面の高低差を利用して例えばスプールシャフトをスライドさせて上記したようにクラッチ板と摩擦板とを接触させることで所望のドラグ特性を発生させるようになっている。このドラグ特性はカム板の斜面の高低差によって決まるが、通常ドラグ機構は両軸受リールに内蔵されており、その機種毎に自ずとドラグ特性が限定される。すなわち、使用者はねらう魚種によって所望のドラグ特性を有する両軸受リールを選択しているのが現状である。
【0004】そこで本発明の目的は、スプールの釣糸繰り出し方向の回転に対してドラグ力の他に、安全且つスムースに、しかも簡単に制動力を与え得るレバードラグ式及びスタードラグ式の両軸受リールを提供することにある。更に他の目的とするところは、上記した目的に加えて簡単にドラグ特性を変更し得るレバードラグ式の両軸受リールを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために本発明は以下の技術的手段を講じた。
(請求項1)左右側枠間に支承されたスプールシャフトにスプールが軸承され、該スプールの回転がハンドルからドラグ機構を介して伝達されるレバードラグ式、若しくはスタードラグ式の両軸受リールにおいて、前記左右側枠のいずれか一方にスプールの回転に制動力を与えると共に、その制動力の強弱を調節し、且つその制動力がスプールに対してその釣糸繰り出し回転に作用し、釣糸巻き取り回転には作用しないようにしたブレーキ装置を備え、該ブレーキ装置を、スプールの同軸線、若しくは、該軸線と偏心した部位に配設され、スプール、若しくは、スプールシャフトの回転が伝達される回転板と、その回転板への回転伝達経路のいずれかに配設され、スプールの釣糸繰り出し回転では回転板へ回転を伝達し、釣糸巻き取り回転では回転板への回転伝達を切り離す逆止め機構と、前記回転板に対して接離可能、且つ常時回転板から離反する方向に付勢された接触体を有しその接触体の接離を操作する操作部とで構成した。
(請求項2)上記回転板がスプールと同軸線に配設されたブレーキ装置であり、前記回転板をスプール、若しくは、スプールシャフトに遊転可能に配設し、その回転板の回転を、前記スプール、若しくは、スプールシャフトとの間に介在された逆止め機構を介して行うようにした。
(請求項3)上記回転板がスプールの軸線と偏心して配設されたブレーキ装置であり、前記回転板を側枠内に回転可能に支持された軸に支承し、その回転板の回転を、スプール、若しくは、スプールシャフトから、少なくともスプール、若しくはスプールシャフトと一体回転する第1歯車と前記軸に遊転可能に支承された第2歯車とを有する歯車列と、該第2歯車と軸との間に介在された逆止め機構とを介して行うようにした。
(請求項4)上記接触体を、側枠に回転板の側面に向けて軸方にスライド可能に貫通取り付けされると共に、常時回転板とは離反する方向に付勢されたスライド軸と、該スライド軸のスプール側に突出する端部に前記スライド軸を押動することにより回転板に当接するように配設されたブレーキシューとで構成した。
(請求項5)上記ブレーキ装置をハンドル取り付け側とは反対側の側枠に備えた。
(請求項6)上記逆止め機構をワンウェイクラッチにした。
(請求項7)上記両軸受リールがレバードラグ式の両軸受リールであり、上記カム機構を、側枠の外側と、スプールシャフトと一体回転すると共に、該スプールシャフトに対して着脱可能に固定されたドラグレバーとの間に着脱可能に配設した。
(請求項8)上記カム機構を、側枠の外側に着脱可能、且つ、スプールシャフトと同軸線上に配設されたカム板と、該カム板と正対して常時カム板の斜面に当接すると共に、ドラグレバーと一体回転するカムとで構成した。
【0006】上記した技術的手段によれば下記の作用を奏する。
(請求項1乃至請求項3)回転するスプールにブレーキ装置によってドラグ力による制動力以外の制動力が与えられると共に、制動力の強弱が調節される。上記制動力は、操作部の押動操作により接触体が回転板に接触して発生すると共に、その制動力が逆止め機構を介して最終的にスプールに伝達され、その制動力は操作部の押動量を調節することにより強弱調節される。上記接触体は、常時回転板から離反するように付勢されているから、操作部から手を離せば付勢力によって接触体が回転板から離反してブレーキ装置の制動が解除される。回転板は、スプールの釣糸繰り出し回転ではスプールと一体回転し、スプールの釣糸巻き取り回転ではスプールとの回転が切り離されるから、スプールの釣糸繰り出し回転にブレーキ装置の制動力が作用し、スプールの釣糸巻き取り回転にはブレーキ装置の制動力が作用しない。
(請求項4)スライド軸を付勢力に抗して押動すると、スライド軸は回転板に向かってスライドし、そのスライドに伴ってブレーキシューが回転板の側板に圧接する。この押動の押動力の程度によって回転板に対するブレーキシューの接触圧力が調節される。スライド軸から手を離せば、付勢力によってスライド軸が回転板から離間する方向へスライドし、そのスライドに伴ってブレーキシューが回転板から離間する。
(請求項5)ブレーキ装置はハンドルを操作する手とは逆の手で操作される。
(請求項6)逆止め機構がワンウェイクラッチという1つのユニットで構成される。
(請求項7)上記両軸受リールがレバードラグ式の両軸受リールにおいては、ドラグレバーを外すことでカム機構が着脱される。
(請求項8)上記カム機構は、ドラグレバーを回動するとカムがその回動に伴ってスプールシャフトに遊嵌挿されたカム板の斜面を摺動する。そして、カムの摺動によりドラグレバーがスプールシャフトが軸方向にスライドする。また、ドラグレバーを外すことでカム板が着脱される。
【0007】
【発明の効果】上記構成によれば本発明は下記の利点を有する。
(請求項1乃至請求項4)回転するスプールに側枠に設けられたブレーキ装置によってドラグ力による制動力以外の制動力が与えられるから、ドラグ力の調節が比較的アバウトでもブレーキ装置の操作によって、スプールに所望の制動力を与えることができるし、しかもそのブレーキ装置の制動力が強弱調節可能であるから、魚の引きに合わせてその強弱を通常のドラグ機構とは別に自らの手で簡単に行える上、設定したドラグ力以上の力が釣糸に加わって釣糸が繰り出されても、ブレーキ装置の操作によって繰り出し方向に回転するスプールやスプールに巻かれた釣糸に直接手を触れなくてもスプールの回転に制動力を与えることができるし、また、スプールをフリー回転させて仕掛けを海中に落とし込む場合でも、仕掛けの落下スピードとスプールの回転スピードが合わなくなったときに発生するバッククラッシュを、ブレーキ装置の操作によってスプールの回転に制動力を与えることで仕掛けの落下スピードとスプールの回転スピードを合わせて防止できるから操作する手には全く危険が無い。しかも、スプールの釣糸巻き取り回転にはブレーキ装置の制動力が作用しないことから、制動した状態での釣糸巻き取りにブレーキ装置の制動力の抵抗が全くないため、掛かった魚の巻き取りをブレーキ装置の制動力をかけながら行えば、その魚が突然走り出しても即座に対応し得る状態でスムーズな釣糸巻き取りができる。更に、仕掛けが根がかりした場合、従来ではレバーを回動させてドラグ機構のドラグ力を強めるか、手でスプールを押さえて釣糸が繰り出されないようにして釣竿ごと引っ張って釣糸を切り、仕掛けを装着した後に再びドラグ力を調整しているが、ブレーキ装置の操作でスプールの回転を押さえることによって前記ドラグ機構を操作することはないから、ドラグ力の初期設定値は保持される。したがって新たにドラグ力の調整をする必要が無いため、釣の再開を迅速に行うことができるし、しかも船釣においては、波や潮流の影響により船が根がかりした釣糸を引っ張る方向に移動した場合、釣人が仕掛けの方向すなわち船外方向に引っ張られるようになるが、このときブレーキ装置におけるスプールの制動を解除することによって釣糸が繰り出されるから、釣人が引っ張られて船外に落下してしまったり、釣竿が船外へ落下してしまったりするなどの危険は回避される。
(請求項5)その上、ブレーキ装置はハンドルを操作する手とは逆の手で操作されるから、リール操作や竿さばきには何ら支障がない。
(請求項6)しかも、逆止め機構がワンウェイクラッチという1つのユニットであるから、ブレーキ装置を構成するのに非常に簡単である上、故障したときにも単なるワンウェイクラッチの交換でこと足りる。
(請求項7)上記両軸受リールがレバードラグ式の両軸受リールにおいては、ドラグレバーを外すことでカム機構が着脱されるから、ねらう魚に応じて様々なドラグ特性の異なるドラグ機構と簡単に交換できる。したがって、上記した効果に加えて従来のようにねらう魚毎に両軸受リールを選択するということが無く、1台の両軸受リールで幅広い魚種に対応できる。
(請求項8)その上、ドラグレバーを外すことでカム板を着脱するようにすれば、カム板だけを交換すればよいということになるから、交換作業がより簡単になるし、しかもカム板だけを交換部品として用意すればよい。よって、上記目的を達成したレバードラグ式及びスタードラグ式の両軸受リールを提供することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1乃至図6は第1の実施の形態のレバードラグ式の両軸受リールAを示し、図7は第2の実施の形態のスタードラグ式の両軸受リールBを示している。上記レバードラグ式の両軸受リールAは、図1に示す通り、左右側枠1,2間に支承されたスプールシャフト3に遊転可能に軸承されたスプール4の回転が、ハンドル5からメインギア6及びピニオンギア7に、そしてピニオンギア7の回転をドラグ機構8の摩擦係合力(以下ドラグ力と称する。)を介して伝達して行われ、前記ドラグ力の強弱調節をドラグレバー9の回動によって行うようになっている。上記ドラグレバー9の通常使用範囲Wの回動が図4に示すように両軸受リールAの上下方向の中心線Cから前側に設定されており、両軸受リールAを釣竿に取り付けてその釣竿を持って構えたときに最も操作しやすいようになっている。そのためクォードランド9Aを両軸受リールAの上下方向の中心線Cから周方向時計周りにずらしている。符号1A,2Aは、釣竿が魚の引きによってのされないように肩に掛けたショルダーハーネスを引掛けるハーネスフックであり、実釣中にショルダーハーネスがハンドルを回転させる手に障害にならないように使用者側よりに位置させている。また、左側枠1の側面には、スプール4の回転に制動力を与えるブレーキ装置10が配設されており、このブレーキ装置10の操作により、従来行っていたスプールやスプールに巻かれた釣糸に直接手を触れてスプールの回転に制動を与えるサミングをしなくても、回転するスプールに制動力を与えることが可能になっている。
【0009】上記ブレーキ装置10は、左側枠1に側面に貫通固着された操作部10Aと、スプール4の側板から軸方向に突出した筒4Aに遊転可能に嵌合された回転板10Bと、該回転板10Bと筒4Aとの間に介在されると共に、回転板と一体回転するワンウェイクラッチ10Cとで構成されている。
【0010】操作部10Aは、左側枠1の側面に貫通固着された筒体101Aにスライド可能に貫通されたスライド軸102Aのスプール4側に突出する端部に円盤103Aを固定すると共に、その先端面に円盤103Aと同径のブレーキシュー104Aを貼り着ける一方、他方の端部にスライド軸102Aよりも大径とする押しボタン105Aを一体に設け、該押しボタン105Aと前記筒体101Aとに亘ってスプリング106Aを配設してスライド軸102Aを常時スプール4から離反する方向に付勢し、押しボタン105Aを押動することにより上記回転板10Bに圧接させて制動力を発生させるようになっている。筒体101Aは、略凸状に形成され、大径側の内径を押しボタン105Aの径よりも大径とすると共に、小径側の内径をスライド軸102Aほぼ同径の内径とし、大径側の内周と小径側の内周との間に段部108Aが形成されている。上記筒体101Aは、左側枠1の下側やや手前(釣竿に取り付けた場合の使用者より)よりに小径側をスプール4方向に向けて配設されている。また、筒体101Aは、リールを持つ手における指載せ部として機能すると共に、その周面の上側に凹設された凹部107Aに指を載せるようにしてある。上記円盤103Aは、筒体101Aの小径側の外径よりも大径とし、スプリング106Aの付勢力によって回転板10Bから離反する方向にスライドしようとするスライド軸102Aの抜け止めをしている。上記ブレーキシュー104Aは、ゴムや合成樹脂などの弾性を有する素材を用いて形成されている。上記押しボタンは105Aは、筒体101Aにおける大径側の内側に出没可能に収容されている。上記スプリング106Aは、押しボタン105Aの端部と、上記筒体10A内に前記押しボタン105Aの端部と段部108Aとの間に圧縮させて配設されており、押しボタン105Aの押動により収縮して付勢力を発生するようにしている。
【0011】尚、本実施の形態では上記操作部の操作が、軸方向に押動される押しボタンのスライドにより直接スライド軸が軸方向にスライドするようにしているが、例えば指の上下動をスライド軸を軸方向のスライドに変換するようにしてもよい。(図示せず)【0012】回転板10Bは、スプール4の側板の外径より若干小径とし、その中心に上記ワンウェイクラッチ10Cを収容する収容筒101Bが一体形成されている。上記収容筒101Bの左側枠1側方向の端部内周には環状凸部102Bが周設されており、ワンウェイクラッチ10Cの抜け止めをしている。
【0013】上記ワンウェイクラッチ10Cは、スプール4の釣糸繰り出し回転を回転板10Bに伝達し、スプール4の釣糸巻き取り回転を回転板10Bに伝達しないようにされている。
【0014】このように構成されたブレーキ装置10によれば図3に示すように、押しボタン105Aをスプリング106Aの付勢力に抗して押動操作すると、スライド軸102Aがスライドすると共に、そのスライドに伴ってブレーキシュー104Aが回転板10Bに近づいて接触して制動力が付与される。また、押しボタン105Aから手を離せば、スプリング106Aの付勢力によって押しボタン105Aが回転板10Bから離反する方向へスライドするから、そのスライドに伴ってスライド軸102Aがスライドしてブレーキシュー104Aが回転板から離反してブレーキ装置10の制動力が解除される。また、上記制動力の強弱は押しボタン105Aの押動によるスライド距離で調節される。回転板10Bは上記したように、ワンウェイクラッチ10Cによってスプール4の釣糸繰り出し回転(図2において実線の矢印で示す)が伝達され、スプール4の釣糸巻き取り回転(図2において仮想線の矢印で示す)が伝達されないようになっているので、スプールに作用するブレーキ装置10の制動力は、スプール4の釣糸繰り出し回転のみに作用する。
【0015】上記ドラグ機構8は、スプール4の側板と正対すると共に、ピニオンギア7に同軸、且つ、一体回転するように配設されたクラッチ板8Aと、前記クラッチ板8Aと正対するスプール4の側板の側面に配設された摩擦板8Bとで構成されている。ドラグ機構8のドラグ力の強弱調節は上記ドラグレバー9の回動により作動するカム機構11によって、クラッチ板8Aと摩擦板8Bとの接触圧力を強弱するようにしてある。
【0016】上記カム機構11は、ドラグレバー9と右側枠2の外側との間に配設されている。このカム機構11を詳述すると、図4乃至図6に示すように右側枠2の外側に着脱可能に配設されると共に、スプールシャフト3に遊嵌挿されたカム板11Aと、該カム板11Aと正対して常時前記カム板11Aの斜面に当接すると共に、ドラグレバー9と一体回転するカム11Bとで構成されている。上記カム板11Aは、周方向に沿って数カ所(図面では3個所)の貫通孔11C……11Cが形成された円盤11Dの中心に上記スプールシャフト3の径よりも大径とする筒体11Eが形成され、その筒体11Eにおけるドラグレバー9と対向する面に、筒体11Eの周方向に沿うカム斜面11Fが形成されている。カム板11Aは、該カム板11Aにおける円盤11Dの外周とほぼ同型に形成された右枠体2の凹部2Bに嵌合すると共に、上記貫通孔11C・・・11Cから枠体にビス11G・・・11Gによりビス止めして固定する。また、上記ビス11G…11Gをドライバーを用いて外すことでカム板11Aを枠体から取り外すことができると共に、図6に示すように例えばカム斜面の角度が異なるカム板11A’と交換することができるカム11Bは、ドラグレバー9におけるカム板11Aと正対する位置に形成された凹部9Bに小判係合により嵌合されて前記ドラグレバー9と一体回転するようになっている。また、上記カム11Bにおけるカム板11Aのカム斜面11Fに正対する位置に、該斜面に当接する突起11Hが配設されている。このようにしたカム11Bとドラグレバー9は、図4に示すようにスプールシャフト3の先部と抜き差し可能に小判係合され、ドラグレバー9の外側からプリセットノブ12をスプールシャフト3に前記ドラグレバー9を挟むように螺合締め付けして固定される。また、上記プリセットノブ12をスプールシャフト3から外すことでドラグレバー9をスプールシャフト3から引き抜くことができる。
【0017】カム板11Aの取り付け方法は、上記したビス止めの他に例えばカム板における円盤を多角形の板とし、その板が嵌合される側枠の凹部を前記板と同型に形成し、その凹部に板を嵌合するだけでもよい。(図示せず)
このようにすれば、ドラグレバーの回動に伴うカムの回転力がカムにおける突起を介してカム板に作用してもカム板は多角形同士の嵌合であるから回転はしないし、カム板が前記突起と側枠に挟持されるようになるから、ドラグレバーを外さない限り落下の心配も無い。また、ドラグレバーを取り外した際のカム板の落下防止をするためには、例えばカム板における円盤若しくは側枠の凹部にマグネットを配し、そのマグネットと相対する円盤若しくは側枠の凹部に金属板など配することで磁力によって両者を着けてもよい。
【0018】上記構成のカム機構11によれば、例えばドラグレバー9をドラグ力強方向(図5において右側)に回動すると、その回動に伴って回動するカム11Bにおける突起11Hがカム板11Aのカム斜面11Fに沿って上る。すると、スプールシャフト3の軸方向に沿う突起11Hの高さ位置がドラグレバー9の回動前よりも高くなるから、その高低差の距離だけドラグレバー9が軸方向へ移動すると共に、スプールシャフト3を引っ張る。そして引っ張られたスプールシャフト3が、該シャフトの左側枠側の先部と、スプール4を支持する軸受4Eとの間に配設された皿ばね4Fを介してスプール4をクラッチ板8A方向へ移動させることで、スプール4に配設された摩擦板8Bとクラッチ板8Aとの接触圧力が上昇する。また、ドラグレバー9をドラグ力弱方向(図5において右側)に回動すると、上記した逆に作動してスプール4に配設された摩擦板8Bとクラッチ板8Aとの接触圧力が減少する。上記ドラグレバー9の軸方向への移動のとき、ドラグレバー9の側面と、クォードラント9Aの周縁に引掛るようにされているドラグレバー9のガイド部9Cの凸片9Dとが、これらの間に位置するクォードラント9Aに接触しないように、ドラグレバー9の側面及び凸片9Dとクォードラント9Aとの間隔をドラグレバー9の移動量以上に形成している。
【0019】尚、上記したプリセットノブ12は、締め付け若しくは緩めることでスプールシャフト3を若干スライドさせてドラグ力の微調整を行うものであり、今日周知のものである。また、上記皿ばね4Fは、スプール4の軸方向へのがたつきを防止するためのもので、常時スプール4をクラッチ板4F方向へ付勢している。
【0020】上記したブレーキ装置10は、図7に示すようにスタードラグ式の両軸受リールBにも配設可能である。上記両軸受リールBは、ハンドル5の回転をドラグ力でメインギア6へ伝える多板式のドラグ機構8’を介してメインギア6からピニオンギア7へ、そのピニオンギア7からクラッチ機構13を介してスプール4と一体回転するスプールシャフト3に伝達されて行われ、そのドラグ力の調節がドラグつまみ9’の回動により行われる今日周知の形態をなしているため詳述はしない。このような両軸受リールBの左側枠に上述した両軸受リールAにおけるブレーキ装置10を同様に配設することで、スプール4に制動力を与えることができるから第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。尚、上記した第1の実施の形態と重複する部分の説明は、同符号を付すことで説明は省略する。
【0021】また、両軸受リールA,Bにおけるリール脚の取り付け構造を図8及び図9に示すような構造にしてもよい。その構造は、左側枠1から一体形成されたスプールの周りを囲むハウジング1Bに所望の数の貫通孔1Cを設けると共に、その貫通孔1Cの内周にハウジング1B内側よりの内径を大径として段部1Dを形成し、その貫通孔1Cに、該孔の長さよりも長く、ハウジング1B内側から前記段部1Dに引掛け可能な段付きのスリーブ14を嵌合し、そのスリーブ14の下端にリール脚15を位置させ、ビス16をリール脚15の下面からスリーブ14に螺合締め付けることにより、リール脚15を両軸受リールに固定するようになっている。この構成にしたことによれば、ビス16を外すことでリール脚15の交換ができると共に、貫通孔1Cよりも長いスリーブ14にビス16が螺合されるため、そのビス16のかかり長さが多く取れるからリール脚15を確実に固定できるという効果がある。尚、上記したリール脚15の取り付け構造は、本実施の形態で説明した両軸受リールに限定されるものではない。
【0022】上述した実施の形態におけるブレーキ装置10は、その回転板10Bがいずれもスプールと同軸線に配設した形態を示しているが、この形態に限るものではなく、図10及び図11に示すようなブレーキ装置20でもよい。尚、上述した実施の形態と重複する部分についてはその説明を省略する。
【0023】上記ブレーキ装置20を詳述すると、左側枠1内に、スプール4の軸線と平行状にして回転可能に支持した軸21に、該軸と一体回転状に支承された回転板22と、その回転板22とスプールシャフト3との間に配設されて前記回転板22にスプールシャフト3の回転を伝達する歯車列23と、スプールシャフト3の回転を回転板に対して伝達及びその回転を切り離すワンウェイクラッチ10Cと、上述したブレーキ装置10と同様の操作部とで構成されている。上記歯車列23は、スプールシャフト3と一体回転するように支承された第1歯車231と、前記軸21に遊転可能に支承された第2歯車232と、それらの間に支承されて第1歯車231の回転を第2歯車232に伝達するた第3歯車233とで構成されている。ご迷惑おかけしましてまことに申し訳有ませんでした。上記ワンウェイクラッチ10Cは、上述したブレーキ装置10に用いられたものと同様のものであり、第2歯車232と軸21との間に介在されると共に、該歯車と一体回転状にされ、スプールシャフト3の釣糸巻取り回転では軸21と一体回転し、釣糸繰り出し回転では軸21の周りを遊転するようになっている。
【0024】このようにしたブレーキ装置20によれば、スプールシャフト3の釣糸巻取り回転が回転が歯車列23からワンウェイクラッチ10Cを経て回転板22に伝達され、釣糸繰り出し回転がワンウェイクラッチ10Cにより回転板22への回転が切り離されるから、上述したブレーキ装置10と同様の作用効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】早川 政名 (外2名)
【公開番号】 特開平11−215940
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−61294