| 【発明の名称】 |
釣り糸用ガイド部材およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】江南 俊夫
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| 【要約】 |
【課題】しかけ投げ込み時のコントロール性、しかけ巻き上げ時のガイド部材の磨耗、変形の問題を解決し、塩水環境下でも耐候性の高い長寿命で低摩擦性能を有する釣り糸用ガイド部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】液状又は粒状の熱硬化性樹脂製成形材料樹脂を成形し、得られた成形物を真空又は不活性雰囲気下で500 ℃以上で炭素化焼成することにより、ガラス状カーボン製釣り糸用ガイド部材とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 釣り具において釣り糸を案内するガイド部材がガラス状カーボンで形成されていることを特徴とする釣り糸用ガイド部材。 【請求項2】 フラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする熱硬化性樹脂成形材料を用いて成形し、得られた成形物を真空又は不活性雰囲気下で500 ℃以上で炭素化焼成することを特徴とする釣り糸用ガイド部材の製造方法。 【請求項3】 フラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする樹脂に同一種類の硬化樹脂微粉末を添加混合した熱硬化性樹脂成形材料を用いて成形し、得られた成形物を真空又は不活性雰囲気下で500 ℃以上で炭素化焼成することを特徴とする釣り糸用ガイド部材の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、釣り竿やリールなどの釣り具において釣り糸を案内する釣り糸用ガイド部材に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、釣り糸用ガイド部材としては、特開平9−233977号公報において開示されているように、ステンレス、アルミニウム等の金属板をプレス加工することにより一体成形した金属フレームの環状保持枠内にSiC、ZrO2 等のセラミックス又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)等のガラス充填材入り樹脂などからなるガイドリングを内嵌状に保持させたものが用いられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】釣り糸のガイド部材は、これを取り付けて使用する釣り竿などの使用環境によってその使用部材が大きく区別される箇所である。つまり、ガイド部材は、釣り竿の重量、竿のしなり時の糸の挙動、しかけ投げ込み時のしかけの飛距離およびそのコントロール性能、釣り糸とのガイドとの低摩擦性、ガイドの低磨耗性など多くの性能が要求される。この性能は、お互いに影響しあう要素である。特に、コントロール性能の向上には、ガイド部材の形状、しかけ投げ込み時の摩擦により、釣り糸によじれなどが起こらないように、ガイド部材の低摩擦性能が必要となる。また、負荷が加わった場合の釣り糸の巻き上げ時は、ガイド部材の摺動面において高荷重、摩擦熱により局所的に高温となる。このような過酷な使用環境下では、樹脂製などのガイド部材は溶融して釣り糸がガイド部材に食い込んだりする問題があり、金属一体品でも高荷重で変形、磨耗などが生じる問題があった。また、ガイド部材は海水に接触する部分でもあり、塩水に対する耐候性を高める必要があった。 【0004】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、しかけ投げ込み時のコントロール性、しかけ巻き上げ時の磨耗、変形の問題を解決し、塩水環境下でも耐候性の高い長寿命で低摩擦性能を有するガイド部材を提供することが本発明の目的である。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、この目的を達成するものであって、釣り具において釣り糸を案内するガイド部材がガラス状カーボンで形成されていることを特徴とする釣り糸用ガイド部材、フラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする熱硬化性樹脂成形材料を用いて成形し、得られた成形物を真空又は不活性雰囲気下で500 ℃以上で炭素化焼成することを特徴とする釣り糸用ガイド部材の製造方法、フラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする樹脂に同一種類の硬化樹脂微粉末を添加混合した熱硬化性樹脂成形材料を用いて成形し、得られた成形物を真空又は不活性雰囲気下で500 ℃以上で炭素化焼成することを特徴とする釣り糸用ガイド部材の製造方法を要旨としている。望ましい態様としては、前記熱硬化性樹脂成形材料は、水分含有率1重量%以下、粒径50μm以下でディスクキュア法で測定した熱流動性が60〜160 mmである粒状フェノール樹脂の表層に、融点が30〜160 ℃の低表面張力物質が対フェノール樹脂組成比0.2 〜5 重量%被覆されてなる粒状フェノール樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂成形材料であり、前記硬化樹脂微粉末は、水分含有率1重量%以下、粒径50μm以下でディスクキュア法で測定した熱流動性が0 〜10mmである粒状フェノール樹脂である。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明のガイド部材は、釣り竿やリールなどの釣り具において釣り糸を挿通して釣り糸の位置を規制して案内するリング状のガイドリングやこのガイドリングを保持する保持枠をガイドリングと一体または別体として含めた部材やさらにリングや保持枠を釣り竿などに取り付けるための取付脚などを一体または別体として含めた部材などの各種の釣り糸用ガイド部材などであって、このガイド部材がガラス状カーボンで形成されている。以下、本発明のガラス状カーボンで形成されているガイド部材の製造方法について述べる。 【0007】炭素化焼成してガラス状カーボンとなる熱硬化性樹脂成形材料としては、フラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする樹脂を使用する。また、フェノール系樹脂、フラン系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂としては、通常市販されているもので特に限定はないが、無機フィラー、有機金属化合物フィラーなど、炭素化焼成後に炭素元素以外の不純物となる元素が含まれていると、得られるガラス状カーボンは機械的強度が大きく低下し、一般的に知られているガラス状カーボンの特性が得られないので、好ましくない。このため、フィラーとしては、前記樹脂に同一種類の硬化樹脂微粉末を添加混合した樹脂成形材料の炭素化焼成で炭素化収率の高いものが好ましい。ただし、カーボン繊維、カーボン粉末など炭素元素単体で構成されるフィラーの添加は可能である。 【0008】前記フェノール樹脂としては、水分含有率1重量%以下、粒径50μm以下でディスクキュア法で測定した熱流動性が60〜160 mmである粒状フェノール樹脂の表層に、融点が30〜160 ℃の低表面張力物質が対フェノール樹脂組成比0.2 〜5重量%被覆されてなる粒状フェノール樹脂を使用することが好ましい。 【0009】ここで、熱流動性とは、常温では固体であるが、加熱状態では負荷をかけたときに流動性を示す特性をいう(ただし、長時間の加熱による熱硬化の場合を除く)。この熱流動性を表す尺度として、ディスクキュア法で測定した160 ℃における所定荷重下の試料樹脂の流れ(直径の伸び:mm)で表す。低表面張力物質とは、潤滑性、離型性、非付着性等の特性を有する低表面張力物質(例えば、常温[25 ℃] で臨界表面張力が約35ダイン/cm 以下の物質) であって、融点が30〜160℃の常温で固体状の低融点化合物であることが望ましい。融点が30℃未満では、成形時に計量不良が起こる傾向にあり、融点が160 ℃を越えると、成形機のシリンダー内で潤滑性が乏しく、安定した成形性が得られない。 【0010】低表面張力物質の代表的な例としては、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、硬化ひまし油等の固形油脂類、ステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド、ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール、ステアリルメタクリレート等の高級脂肪族(メタ)アクリレート、パラフィンワックス等のワックス状炭化水素、パーフルオロオクタン酸等の含多価フッ素高級脂肪酸、含多価フッ素高級脂肪族スルホンアミド、含多価フッ素高級脂肪族沃化物、含多価フッ素高級脂肪族アルコール、含多価フッ素高級脂肪族(メタ)アクリレート、含多価フッ素高級脂肪族炭化水素、含多価フッ素芳香族化合物、含多価フッ素オリゴマー化合物、これらの誘導体、これらの一種以上の混合物、これらに重合触媒等の添加物を配合した組成物などが挙げられる。 【0011】この低表面張力物質を被覆したフェノール樹脂を用いると、フィラーを添加せずとも、樹脂の溶融、混練、成形を容易に行うことが可能であり、透明で、気泡のほとんど含まない良好なノンフィラーのフェノール成形品を得ることができる。また、その被覆量は、対フェノール樹脂組成比で0.2 〜5 重量%であることが望ましい。その被覆量が0.2 重量%未満では、成形の際に成形機のシリンダー内で閉塞が起こり、連続して成形を行うことが困難になることがあり、5重量%を越えると、成形性の向上効果が頭打ちとなり、透明な成形体が得られない。さらに、熱硬化処理時に溶融した低表面張力物質が成形体の変形、寸法ズレを起こす原因となりうるため、高精度なガラス状カーボンが得られない。この成形材料を使用した成形体は、炭素化焼成後に不純物となるフィラーを含まないため、得られるガラス状カーボンは機械的強度に優れたものとなる。 【0012】さらに、前記樹脂に添加混合することのできる同一種類の硬化樹脂微粉末としては、水分含有率1重量%以下、粒径50μm以下でディスクキュア法で測定した熱流動性が0〜10mmである粒状フェノール樹脂であることが望ましい。水分率が1重量%を越えると、成形時の寸法収縮、熱硬化時の寸法収縮が大きくなるので、好ましくない。カーボン繊維、カーボン粉末については、通常市販されているもので特に限定はない。 【0013】上記の熱硬化性樹脂成形材料を用いて、リング状のガイドリングやこのガイドリングを保持する保持枠をガイドリングと一体または別体として含めた部材やさらにこの保持枠を釣り竿などに取り付けるための取付脚などを一体または別体として含めた部材などの各種の釣り糸用ガイド部材を成形する。 【0014】熱硬化性樹脂成形材料の成形法としては、射出成形、プレス成形、注型成形等が挙げられ、特に大量生産性を考慮すると、射出成形法が好ましい。粒状のフラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする熱硬化性樹脂成形材料を用いる場合には、射出成形法、プレス成形法により成形することが望ましい。同様に、粒状のフラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする樹脂に同一種類の硬化樹脂微粉末を添加混合した熱硬化性樹脂成形材料を用いる場合にも、射出成形法、プレス成形法により成形することが望ましい。液状のフラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする熱硬化性樹脂成形材料を用いる場合には、金型に注型硬化成形することが望ましい。同様に、液状のフラン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂またはこれらの混合物を主成分とする樹脂に同一種類の硬化樹脂微粉末を添加混合した熱硬化性樹脂成形材料を用いる場合にも、金型に注型硬化成形することが望ましい。 【0015】得られた成形物は、真空中、又は不活性雰囲気下で500 ℃以上で炭素化焼成してガラス状カーボンで形成されたガイド部材とする。 【0016】 【実施例】以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。 【0017】実施例1熱硬化性樹脂成形材料として、水分率0.8 %、粒径5 〜30μmでディスクキュア法で測定した熱流動性が159 mmである粒状フェノール樹脂を用い、射出成形によりリング状のガイド部材を成形した後、窒素雰囲気下で1200℃で炭素化焼成してガラス状カーボン製釣り糸用ガイド部材を製造した。 【0018】実施例2熱硬化性樹脂成形材料として、水分率0.8 %、粒径5 〜30μmでディスクキュア法で測定した熱流動性が159 mmである粒状フェノール樹脂と、水分率0.5 %、粒径10μm以下でディスクキュア法で測定した熱流動性が0 mmである粒状フェノール樹脂微粉末との混合樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてガラス状カーボン製釣り糸用ガイド部材を製造した。 【0019】実施例3射出成形にかえて、プレス成形を行った以外は、実施例1と同様にしてガラス状カーボン製釣り糸用ガイド部材を製造した。 【0020】実施例4射出成形にかえて、プレス成形を行った以外は、実施例2と同様にしてガラス状カーボン製釣り糸用ガイド部材を製造した。 【0021】実施例5熱硬化性樹脂成形材料として、粒状フラン樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてガラス状カーボン製釣り糸用ガイド部材を製造した。 【0022】実施例6釣り糸ガイド部材用樹脂として、粒状フラン樹脂を用いた以外は、実施例2と同様にしてガラス状カーボン製釣り糸ガイド部材を製造した。 【0023】比較例1ナイロン6が70重量部、ガラス繊維が30重量部のコンパウンド樹脂を用いて射出成形し、樹脂製釣り糸用ガイド部材を作成した。 【0024】比較例2実施例1と同一形状のアルミニウム製釣り糸用ガイド部材を切削により作成した。 【0025】評価以上の実施例、比較例によって得られたリング状の各釣り糸用ガイド部材を糸巻き装置に順次装着し、各ガイド部材内に市販のナイロン釣り糸(ユニチカ(株)製、商品名SilverThread5号)を通し、ガイド部材のリング内周面に1kg重の力がかかるようにガイド部材の固定部を位置調整し、100m/秒なる速度で上述の釣り糸を巻き上げ、6000m巻き上げたときのリング内周面の磨耗度合いを磨耗痕から評価した。その磨耗特性評価の結果、実施例1−6で得られたガラス状カーボン製のガイド部材には、磨耗痕がなく、全く磨耗していないことが確認された。比較例1の樹脂製ガイド部材については、糸との接触部分で、溶融に伴う糸の食い込みが見られた。比較例2のアルミニウム製ガイド部材については、比較例1と比較して良好ではあったが、糸接触部分でへこみによる変形が見られた。 【0026】次に、各ガイド部材を80℃の生理食塩水に1000時間浸漬させ、塩水に対する耐候性を評価した。表面観察、重量測定の結果、実施例1ー6のガラス状カーボン製のガイド部材では、重量変動がなく、表面状態も良好であった。比較例1の樹脂製ガイド部材については、膨潤して、表面が白化した状態となった。比較例2のアルミニウム製ガイド部材については、重量変化はなかったが、表面が白化した状態となった。 【0027】また、上述のナイロン釣り糸と実施例1ー6のガラス状カーボン製ガイド部材の摩擦係数を測定すると、0.1以下となった。この低摩擦により、本発明のガイド部材に釣り糸が絡んでも、その釣り糸に張力が加わると、簡単に滑りが生じ、自動的に絡みが解消されるようにすることができる。また、摩擦が低いことに加わって磨耗が小さいことから、磨耗痕による釣り糸のみだれ及び拘束が回避されるため、釣り糸の投てきコントロール性能を高めることに寄与する。 【0028】 【発明の効果】以上、述べたように本発明によれば、ガラス状カーボンを使用することにより低摩擦、低磨耗性、塩水環境に対する耐候性に優れた性能を有する釣り糸ガイド部材およびその製造方法の提供が可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004503 【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月30日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】大島 道男
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| 【公開番号】 |
特開平11−215938 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月10日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−32287 |
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