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【発明の名称】 スピニングリールの釣り糸案内機構
【発明者】 【氏名】荒武 清一

【氏名】川辺 雄三

【氏名】森瀬 泰生

【氏名】平山 広和

【要約】 【課題】ラインローラが固定軸カバー側に付勢されても、固定軸カバーに接触しないようにする。

【解決手段】スピニングリールの釣り糸案内機構8は、釣り糸Lをスプール4に案内するための機構であって、固定軸20と、固定軸カバー21と、ラインローラ23とを備えている。固定軸20はベール支持部材7に一端が固定されている。固定軸カバー21は固定軸20の他端にベール支持部材7と間隔を隔てて固定されている。ラインローラ23は、ベール支持部材7と固定軸カバー21との間で固定軸20に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に釣り糸をスプールに案内する。ラインローラ23の周面には、固定軸カバー側21が大径となるように形成された鍔状の糸案内面34dが形成され、釣り糸は、糸巻取操作時にラインローラに23案内されて糸案内面側34dに寄せられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ロータの1対のロータアームの先端のそれぞれに回動自在に配置された2つのベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するためのスピニングリールの釣り糸案内機構であって、前記一方のベール支持部材に一端が固定された固定軸と、前記固定軸の他端に前記ベール支持部材と間隔を隔てて設けられた固定軸カバーと、前記ベール支持部材と固定軸カバーとの間で前記固定軸に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に前記釣り糸を前記スプールに案内するラインローラと、前記ラインローラの周面に前記固定軸カバー側が大径となるように形成された鍔状の糸案内部と、釣り糸巻取操作時に前記ラインローラに案内される釣り糸を前記糸案内部側に寄せる付勢手段とを有し、前記付勢手段により前記糸案内部側に釣り糸を寄せることにより前記釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを発生させるための逆よれ発生手段と、を備えたスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項2】ロータの1対のロータアームの先端のそれぞれに回動自在に配置された2つのベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するためのスピニングリールの釣り糸案内機構であって、前記一方のベール支持部材に一端が固定された固定軸と、前記固定軸の他端に前記ベール支持部材と間隔を隔てて設けられた固定軸カバーと、前記ベール支持部材と固定軸カバーとの間で前記固定軸に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に前記釣り糸を前記スプールに案内するラインローラと、前記ラインローラの周面に前記固定軸カバー側が大径となるように形成された鍔状の糸案内部と、釣り糸巻取操作時に前記ラインローラに案内される釣り糸を前記糸案内部側に寄せる付勢手段とを有し、前記ラインローラの小径側の周面及び/又は前記糸案内部に前記釣り糸を接触させることで接触した前記釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを発生させるための逆よれ発生手段と、を備えたスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項3】ロータの1対のロータアームの先端のそれぞれに回動自在に配置された2つのベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するためのスピニングリールの釣り糸案内機構であって、前記一方のベール支持部材に一端が固定された固定軸と、前記固定軸の他端に前記ベール支持部材と間隔を隔てて設けられた固定軸カバーと、前記ベール支持部材と固定軸カバーとの間で前記固定軸に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に前記釣り糸を前記スプールに案内するラインローラと、前記ラインローラの周面に前記固定軸カバー側が大径となるように形成された鍔状の糸案内部と、釣り糸巻取操作時に前記ラインローラに案内される釣り糸を前記糸案内部側に寄せる付勢手段と、前記糸案内部に隣接して前記ラインローラの周面に形成され前記糸案内部側が大径の傾斜面とを有し、前記傾斜面の大径側の端部で前記釣り糸が前記ラインローラに接触する位置を位置決めし小径側の端部で前記スプールに向けて離脱する位置を位置決めして前記釣り糸を斜めに配置することで前記ラインローラに接触した前記釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを発生させるための逆よれ発生手段と、を備えたスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項4】前記傾斜面の長さは前記ラインローラの最大長さの1%から40%である、請求項3に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項5】前記傾斜面の傾斜角度は0.5度から10度である、請求項3又は4に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項6】ロータの1対のロータアームの先端のそれぞれに回動自在に配置された2つのベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するためのスピニングリールの釣り糸案内機構であって、前記一方のベール支持部材に一端が固定された固定軸と、前記固定軸の他端に前記ベール支持部材と間隔を隔てて設けられた固定軸カバーと、前記ベール支持部材と固定軸カバーとの間で前記固定軸に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に前記釣り糸を前記スプールに案内するラインローラと、釣り糸巻取操作時に前記ラインローラに案内される釣り糸を位置を位置決めする第1位置決め手段と、前記ラインローラから前記スプール向けて離脱する釣り糸を位置決めする第2位置決め手段と、前記ラインローラに案内される釣り糸を前記第1位置決め手段側に付勢する付勢手段とを有し、前記第2位置決め手段を前記第1位置決め手段に対して前記固定軸方向で前記ベール支持部材側に配置することによって前記ラインローラに接触する釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを発生させるための逆よれ発生手段と、を備えたスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項7】前記第1位置決め手段は、前記ラインローラの周面に前記固定軸カバー側が大径となるように形成された鍔状の糸案内部である、請求項6に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項8】前記第2位置決め手段は、前記ラインローラの周面上の変曲点である、請求項6又は7に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項9】前記付勢手段は、前記ラインローラに掛け渡される釣り糸と前記固定軸の軸芯に平行な直線とで形成される平面内において前記釣り糸と前記直線とのなす角度が鋭角になるように前記一方のベール支持部材に固定された前記固定軸を含む、請求項1から8のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項10】前記付勢手段は、他端側が一端側に比べて前記スプールに近接するように前記一方のベール支持部材に固定された前記固定軸を含む、請求項9に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項11】前記糸案内部は、前記固定軸に交差するリング状の壁面で構成される、請求項1から10のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項12】前記糸案内部は、前記固定軸に対して垂直な壁面で構成される、請求項11に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項13】前記糸案内部は、内周側隅部から外周側隅部に向かって前記固定軸カバー側に傾斜した壁面で構成される、請求項11に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項14】前記壁面の内周側隅部と外周側隅部との前記固定軸の軸方向に沿う方向の距離は、前記ラインローラの最大長さの1%から15%の範囲である、請求項13に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項15】前記壁面の高さは、前記ラインローラの最大外径の1%から15%の範囲である、請求項11から14のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項16】前記壁面の外周側隅部は、断面が円弧状に面取りされている、請求項8から12のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項17】前記糸案内部は、前記円弧の半径は0.1mmから0.5mmの範囲である、請求項16に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【請求項18】前記壁面の内周側隅部は、断面が角状に形成されている、請求項11から17のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣り糸案内機構、特に、ロータの1対のロータアームの先端に回動自在に配置されたベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するためのスピニングリールの釣り糸案内機構に関する。
【0002】
【従来の技術】スピニングリールには釣り糸をスプールに案内する釣り糸案内機構が、スプールとともに回転しかつ糸開放姿勢と糸巻取り姿勢との間で揺動するベール支持部材の先端に設けられている。この釣り糸案内機構は、ベール支持部材の先端にその一端が固定された固定軸と、固定軸の他端に固定されベールの一端が取り付けられた固定軸カバーと、固定軸カバーとベール支持部材との間で固定軸に回転自在に支持されたラインローラとを備えている。この釣り糸案内機構では、糸放出時にはベールを糸開放姿勢に揺動させ、スプールの先端側から釣り糸を繰り出す。また、釣り糸をスプールに巻き取る際に、ベールを糸巻取り姿勢側に揺動させハンドルを回すと、釣り糸はベールに誘導されてラインローラの外周面に接触し、ラインローラに案内されて釣り糸の方向が変えられスプール外周に巻き取られる。
【0003】スピニングリールでは、糸放出時には釣り糸が螺旋状になってスプールの先端から繰り出されるので、この際に釣り糸に糸よれが発生する。釣り糸をスプールに巻き取る際には、スプールの軸方向からベール及びラインローラで案内されてスプールの円周方向に釣り糸が巻き取られるので、繰り出し時とは逆の糸よれが釣り糸に生じる。たとえば、前方からみて時計回りに釣り糸を巻き取るスピニングリールの場合、釣り糸をスプールに巻き取ると釣り糸に巻取方向上流側から見て反時計回りに糸よれが生じる。通常、スピニングリールでは、スプールから繰り出された釣り糸に糸よれが生じないように、スプールに糸よれした状態で釣り糸が巻き付けられている。ここで、繰り出し時と巻取時で同じ大きさの糸よれが逆方向に生じるようになっていれば、スプールに巻き取られた釣り糸には糸よれは残らない。
【0004】ところが、釣り糸がラインローラで案内されている間に、ラインローラと釣り糸との接触に伴って釣り糸に余分な糸よれが生じることがある。具体的には、ラインローラとの接触抵抗で釣り糸に加わる力の大きさや方向が変動し、釣り糸に予期しない捩れ力や曲げ力が加わって、前記したような余分な糸よれが生じる。その結果、スプールに巻き取られた釣り糸に糸よれが残り、釣り糸のスムーズな繰り出しが行い難くなったり、仕掛けを正確な方向に投げ出すことができなくなったりする問題が発生する。
【0005】特開平8−23834号公報及び特開平8−23836号公報には、この問題を解決するための技術が開示されている。これらの公報に記載されたスピニングリールには、ラインローラをロータの糸巻取回転方向(ラインローラの先端側)へ順次拡径するテーパ状に成形するとともにラインローラのベール支持部材側またはベール支持部材に糸案内部を設けた釣り糸案内機構が開示されている。この釣り糸案内機構では、釣り糸をベール支持部材側に付勢するようにラインローラを配置し、糸案内部に釣り糸を接触させて軸方向への移動を規制しつつスプールに釣り糸を案内している。これにより、ラインローラでの釣り糸の軸方向の振れを抑え、ラインローラとベール支持部材との間の糸噛みを防止している。また、ラインローラをロータの糸巻取回転方向へ順次拡径するテーパ状に成形することで釣り糸とラインローラの大径側と小径側とで摩擦力の差を生じさせ釣り糸に繰り出し時と逆方向の糸よれを発生させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の釣り糸案内機構では、ベール支持部材側に釣り糸を付勢して糸案内部に釣り糸を接触させて案内しているので、釣り糸の振れが抑制され糸噛みは減少する。しかし、ベール支持部材側にある糸案内部に釣り糸が接触すると、繰り出し時と同方向の糸よれが生じ、繰り出し時と逆方向の糸よれを精度よく発生させることができない。
【0007】また、ロータの糸巻取回転方向(ラインローラの先端側)へ順次拡径するテーパ状に成形されたラインローラの周面において大径側の摩擦力が小径側より大きいことを利用して繰り出し時と逆方向の糸よれを発生させているので、精度よく糸よれを発生しにくい。本発明の課題は、ラインローラを通過する釣り糸に糸繰り出し時と逆方向の糸よれを精度よく発生できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、ロータの1対のロータアームの先端のそれぞれに回動自在に配置された2つのベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するための機構であって、固定軸と、固定軸カバーと、ラインローラと、逆よれ発生手段とを備えている。固定軸は、一方のベール支持部材に一端が固定されている。固定軸カバーは、固定軸の他端にベール支持部材と間隔を隔てて設けられている。ラインローラは、ベール支持部材と固定軸カバーとの間で固定軸に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に釣り糸をスプールに案内する。逆よれ発生手段は、ラインローラの周面に固定軸カバー側が大径となるように形成された鍔状の糸案内部と、釣り糸巻取操作時にラインローラに案内される釣り糸を糸案内部側に寄せる付勢手段とを有し、付勢手段により糸案内部側に釣り糸を寄せることにより釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを発生させるための手段である。
【0009】この釣り糸案内機構では、釣り糸巻取操作時には、釣り糸はロータの回転によりラインローラに案内されて方向が変えられスプール外周に巻き取られる。このとき釣り糸は、付勢手段により糸案内部側に寄せられるので、ラインローラの周面に入ってくる位置よりベール支持部材側でスプールに向かって出て行く。そして、ラインローラに案内されるときに鍔状の糸案内部に釣り糸が接触する。このようにスプールに向かう位置がラインローラの周面上でベール支持部材側にずれることで、糸繰り出し時と逆方向の糸よれが発生する。また、鍔状の糸案内部に釣り糸が接触すると、ラインローラの回転による糸案内部の回転により糸案内部に接触した釣り糸に放出時と逆方向の糸よれが生じる。ここでは、固定軸カバー側が大径の糸案内部側に釣り糸が寄せられるので、釣り糸をラインローラの周面で常に第1ベール支持部材側にずらせて安定した糸よれを精度よく発生させることができる。
【0010】発明2に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、ロータの1対のロータアームの先端のそれぞれに回動自在に配置された2つのベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するための機構であって、固定軸と、固定軸カバーと、ラインローラと、逆よれ発生手段とを備えている。固定軸は、一方のベール支持部材に一端が固定されている。固定軸カバーは、固定軸の他端にベール支持部材と間隔を隔てて設けられている。ラインローラは、ベール支持部材と固定軸カバーとの間で固定軸に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に釣り糸をスプールに案内する。逆よれ発生手段は、ラインローラの周面に固定軸カバー側が大径となるように形成された鍔状の糸案内部と、釣り糸巻取操作時にラインローラに案内される釣り糸を糸案内部側に寄せる付勢手段とを有し、糸案内部及び/又はラインローラの周面に釣り糸を接触させることで接触した釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを発生させるための手段である。
【0011】この釣り糸案内機構では、釣り糸巻取操作時には、釣り糸はロータの回転によりラインローラに案内されて方向が変えられスプール外周に巻き取られる。このとき釣り糸は、付勢手段により糸案内部側に寄せられるので、ラインローラの周面に入ってくる位置よりベール支持部材側でスプールに向かって出て行く。そして、ラインローラに接触するときに鍔状の糸案内部に釣り糸が接触する。このようにスプールに向かう位置がラインローラの周面上でベール支持部材側にずれることで、糸繰り出し時と逆方向の糸よれが発生する。また、鍔状の糸案内部に釣り糸が接触すると、ラインローラの回転による糸案内部の回転により糸案内部に接触した釣り糸に放出時と逆方向の糸よれが生じる。ここでは、固定軸カバー側が大径の糸案内部側に釣り糸が寄せられるので、釣り糸をラインローラの周面で常にベール支持部材側にずらせて安定した糸よれを発生させることができる。しかも、固定軸カバー側が大径となるように糸案内部が鍔状に形成されているので、糸案内部に釣り糸が仮に接触しても同方向の糸よれが発生する。このため、発生する糸よれの方向を常に糸繰り出し時と逆方向にすることができ、逆方向の糸よれを精度よく発生させることができる。
【0012】発明3に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、ロータの1対のロータアームの先端のそれぞれに回動自在に配置された2つのベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するための機構であって、固定軸と、固定軸カバーと、ラインローラと、逆よれ発生手段とを備えている。固定軸は、一方のベール支持部材に一端が固定されている。固定軸カバーは、固定軸の他端にベール支持部材と間隔を隔てて設けられている。ラインローラは、ベール支持部材と固定軸カバーとの間で固定軸に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に釣り糸をスプールに案内する。逆よれ発生手段は、ラインローラの周面に固定軸カバー側が大径となるように形成された鍔状の糸案内部と、釣り糸巻取操作時にラインローラに案内される釣り糸を糸案内部側に寄せる付勢手段と、糸案内部に隣接してラインローラの周面に形成され糸案内部側が大径の傾斜面とを有し、傾斜面の大径側の端部で釣り糸がラインローラに接触する位置を位置決めし小径側の端部でスプールに向けて離脱する位置を位置決めして釣り糸を傾斜面に沿って斜めに配置することでラインローラに接触した釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを発生させるための手段である。
【0013】この釣り糸案内機構では、釣り糸巻取操作時には、釣り糸はロータの回転によりラインローラに案内されて方向が変えられスプール外周に巻き取られる。このとき釣り糸は、付勢手段により糸案内部側に寄せられかつ傾斜面が設けられているので、ラインローラの傾斜面において大径側の端部で位置決めされ周面に入り、小径側の端部まで斜めに配置され小径側の端部で位置決めされてスプールに向かって離脱する。このようにスプールに向かう位置がラインローラの周面上で固定軸カバー側からベール支持部材側にずれることで、糸繰り出し時と逆方向の糸よれが発生する。また、鍔状の糸案内部に釣り糸が接触しても、ラインローラの回転による糸案内部の回転により糸案内部に接触した釣り糸に放出時と逆方向の糸よれが生じる。ここでは、固定軸カバー側が大径の糸案内部側に釣り糸が寄せられかつ釣り糸がラインローラに接触する位置とラインローラから離脱する位置とが傾斜面により位置決めされるので、釣り糸をラインローラの周面で常に固定軸カバー側にずらせて安定した糸よれを発生させることができる。しかも、固定軸カバー側が大径となるように糸案内部が鍔状に形成されているので、仮に糸案内部に釣り糸が接触しても同方向の糸よれが発生する。このため、発生する糸よれの方向を常に糸繰り出し時と逆方向にすることができ、逆方向の糸よれを精度よく発生させることができる。
【0014】発明4に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明3に記載の機構において、傾斜面の長さはラインローラの最大長さの1%から40%である。この場合には、傾斜面に斜めに配置される釣り糸に対して糸径に応じた最適な糸よれを発生させることができる。発明5に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明3又は4に記載の機構において、傾斜面の傾斜角度は0.5度から10度である。この場合には、傾斜面の両端で釣り糸の位置決めを精度よく行える。
【0015】発明6に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、ロータの1対のロータアームの先端のそれぞれに回動自在に配置された2つのベール支持部材の一方に装着され釣り糸をスプールに案内するための機構であって、固定軸と、固定軸カバーと、ラインローラと、逆よれ発生手段とを備えている。固定軸は、一方のベール支持部材に一端が固定されている。固定軸カバーは、固定軸の他端にベール支持部材と間隔を隔てて設けられている。ラインローラは、ベール支持部材と固定軸カバーとの間で固定軸に回転自在に支持され、釣り糸巻取操作時に釣り糸をスプールに案内する。逆よれ発生手段は、釣り糸巻取操作時にラインローラに案内される釣り糸を位置を位置決めする第1位置決め手段と、ラインローラからスプール向けて離脱する釣り糸を位置決めする第2位置決め手段と、ラインローラに案内される釣り糸を第1位置決め手段側に付勢する付勢手段とを有し、第2位置決め手段を第1位置決め手段に対して固定軸方向でベール支持部材側に配置することによってラインローラに接触する釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを発生させるための手段である。
【0016】この釣り糸案内機構では、釣り糸巻取操作時には、釣り糸はロータの回転によりラインローラに案内されて方向が変えられスプール外周に巻き取られる。このときラインローラに案内される釣り糸は、付勢手段により付勢されて第1位置決め手段側に寄せられる。そして、スプールに向けて離脱するときには第2位置決め手段によりベール支持部材側で位置決めされその間ラインローラ上を斜めに移動する。このようにスプールに向かう位置がラインローラの周面上で固定軸カバー側から第1ベール支持部材側にずれることで、糸繰り出し時と逆方向の糸よれが発生する。ここでは、釣り糸がラインローラに接触する位置とラインローラから離脱する位置とが位置決めされるので、釣り糸をラインローラの周面で常に固定軸カバー側にずらせて安定した糸よれを発生させることができる。このため、発生する糸よれの方向を常に糸繰り出し時と逆方向にすることができ、逆方向の糸よれを精度よく発生させることができる。
【0017】発明7に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明6に記載の機構において、第1位置決め手段は、ラインローラの周面に固定軸カバー側が大径となるように形成された鍔状の糸案内部である。この場合には、固定軸カバ側での釣り糸の位置決めを確実に行える。発明8に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明6又は7に記載の機構において、第2位置決め手段は、ラインローラの周面上の変曲点である。この場合には、簡素の構成で釣り糸を位置決めできるとともに、釣り糸がベール支持部材側で壁面等に接触しないので、釣り糸に糸放出時と同方向の糸よれが発生しない。
【0018】発明9に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明1から8のいずれかに記載の機構において、付勢手段は、ラインローラに掛け渡される釣り糸と固定軸の軸芯に平行な直線とで形成される平面内において釣り糸と直線とのなす角度が鋭角になるように一方のベール支持部材に固定された固定軸を含む。この場合には、固定軸がラインローラに掛け渡される釣り糸と直線とのなす角度が鋭角になるように一方のベール支持部材に固定されているので、ラインローラを通る釣り糸に張力が作用すると、釣り糸に固定軸カバー側へ寄せられ糸案内部に接触する。ここでは、固定軸の一方のベール支持部材への取付姿勢を設定するだけで釣り糸を固定軸カバー側に簡単に寄せることができる。
【0019】発明10に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明9に記載の機構において、付勢手段は、他端側が一端側に比べてスプールに近接するように一方のベール支持部材に固定されたした固定軸を含む。この場合には、他端側がスプールに近接するように固定軸が配置されているので、釣り糸を固定軸カバー側により寄せることができる。
【0020】発明11に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明1から10のいずれかに記載の機構において、糸案内部は、固定軸に交差するリング状の壁面で構成される。この場合には、糸案内部がリング状の壁面で構成されるので、糸案内部の構造が簡素になり、糸案内部を簡単に形成できる。発明12に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明11に記載の機構において、糸案内部は、固定軸に対して垂直な壁面で構成される。この場合には、付勢力に対する糸案内部と釣り糸との摩擦力が大きくなり、わずかな接触距離で所望の糸よれを発生させることができる。
【0021】発明13に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明11に係る機構において、糸案内部は、内周側隅部から外周側隅部に向かって固定軸カバー側に傾斜した壁面で構成される。この場合には、傾斜した壁面で糸案内部が構成されるので、釣り糸が糸案内部に接触する位置とスプール側で離脱する位置での位相差が生じ、糸よれのばらつきが少なくなり逆方向の糸よれがより安定して発生する。
【0022】発明14に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明13に記載の機構において、壁面の内周側隅部と外周側隅部との固定軸の軸方向に沿う方向の距離は、ラインローラの最大長さの1%から15%の範囲である。この場合には、発生する糸よれをロータ1回転あたりに適宜の範囲に設定できる。発明15に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明11から14のいずれかに記載の機構において、壁面の高さは、ラインローラの最大外径の1%から15%の範囲である。この場合には、壁面との接触による摩擦力が適宜の範囲に設定され、壁面での過大な糸よれが生じにくくなる。
【0023】発明16に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明11から15のいずれかに記載の機構において、壁面の外周側隅部は、断面が円弧状に面取りされている。この場合には、釣り糸が外周側隅部に接触しても引っかかりにくくなり、余分が糸よれが発生しにくくなる。発明17に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、発明16に記載の機構において、糸案内部は、円弧の半径は0.1mmから0.5mmの範囲である。この場合には、円弧の半径が適宜の範囲に設定されるので釣り糸が円弧に接触しても余分な糸よれがより発生しにくくなる。
【0024】発明18に係るスピニングリールの釣り糸発生機構は、発明11から17のいずれかに記載の機構において、壁面の内周側隅部は断面が角状に形成されている。この場合には、付勢力が変動しても内周側隅部での釣り糸の接触位置の変動が少なくなり、逆方向の糸よれの変動をより抑えることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】実施形態1図1及び図2に示す本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1を有するリール本体2と、リール本体2の前部に回転自在に支持されたロータ3と、ロータ3の前部に配置され釣り糸Lが巻き付けられるスプール4とを備えている。
【0026】リール本体2の上部には、スピニングリールを釣り竿に取り付けるための取付部2aが形成されている。また、リール本体2の内部には、ロータ3を回転させるためのロータ駆動機構や、スプール4を回転軸芯に沿って前後方向に移動させてスプール4に釣り糸を均一に巻取るためのオシレーティング機構等が設けられている。
【0027】ロータ3は回転軸に沿って前方に延びる第1アーム部5及び第2アーム部6を有しており、この両アーム部5、6は互いに対向して配置されている。第1アーム部5の先端の内側面には、第1ベール支持部材7が揺動自在に装着されている。第1ベール支持部材7の先端には、釣り糸をスプール4に案内するための釣り糸案内機構8が装着されている。また、第2アーム部6の先端の内側面には第2ベール支持部材9が揺動自在に装着されている。釣り糸案内機構8と第2ベール支持部材9との間にはベール10が設けられている。
【0028】〔釣り糸案内機構の構造〕次に図2〜図4により釣り糸案内機構8をより詳細に説明する。釣り糸案内機構8は、第1ベール支持部材7に一端が固定された固定軸20と、固定軸20と一体で形成された固定軸カバー21と、ころがり軸受22と、概略筒状のラインローラ23とを有している。
【0029】固定軸20は先端(固定軸カバー21側)が大径の鍔部20aを有しており、基端が第1ベール支持部材7の先端に形成された釣り糸誘導部材25に固定ネジ26により固定されている。固定軸20は、図4に示すように、釣り竿のガイドからラインローラ23に掛け渡される釣り糸Lと固定軸20の軸芯に平行な直線Fとで形成される平面内において釣り糸Lと直線Fとのなす角度αが鋭角(α<90度)になるように釣り糸誘導部材25に固定されている。また、図2に示すように、先端側が基端側に比べて前記スプール4に近接するように固定されている。このような姿勢に固定軸20を固定することで、糸巻取操作時に釣り糸Lに張力が作用すると、ラインローラ23に掛け渡された釣り糸Lは、固定軸カバー21側へ寄せられる。釣り糸誘導部材25は第1ベール支持部材7の先端に円筒盤状に突出して一体形成されている。
【0030】固定軸カバー21と釣り糸誘導部材25とは同様な概略形状を有している。固定軸カバー21には、中心に固定軸20の鍔部20aに係止される係止孔21aが形成されている。この係止孔21aに挿通された固定軸20によって固定軸カバー21は、釣り糸誘導部材25と間隔を隔てて対向して固定されている。ころがり軸受22は、釣り糸誘導部材25と固定軸カバー21と間で固定軸20に嵌められ、ラインローラ23を固定軸21に対して回転自在に支持する。ころがり軸受22の内輪22aには、釣り糸誘導部材25側にフランジ状の軸受支持部材27の一端が当接し、固定軸カバー21側にスペーサ28の一端が当接している。軸受支持部材27の他端は、釣り糸誘導部材25の端面に形成された凹部25aに当接している。スペーサ28の他端は、固定軸カバー21の端面21bに当接している。これにより内輪22aが軸方向に位置決めされている。
【0031】ラインローラ23は、ころがり軸受22に固定軸カバー21方向に移動不能に嵌め込まれている。ラインローラ23は、ころがり軸受22の外輪22bに固定軸カバー21方向に移動不能に嵌め込まれ、固定軸20側が大径となる段部31を外周面に有する樹脂製の第1筒状部材32と、第1筒状部材32の外周に嵌め込まれ、段部31に係合する段部33を内周面にする黄銅(真鍮)製の第2筒状部材34とを有している。第1筒状部材32は、ころがり軸受22の外輪22bの釣り糸誘導部材25側の端面に係止するように内方に突出する係止部35を内周面に有している。これにより、ラインローラ23は、固定軸カバー21方向に移動不能になっており、固定軸カバー21との間に僅かな隙間が常に形成されるようになっている。
【0032】第2筒状部材34の外周面には、図5に示すように、釣り糸誘導部材25側(図5左側)から順に平行面34a,テーパ面34b,第1傾斜面34c,糸案内面34d,第2傾斜面34eが連続して形成されている。平行面34aと第2傾斜面34eの最大径部(図5の右端)とはほぼ同一外径であり、第1傾斜面34cの外径は平行面34a及び第2傾斜面34eの外径より小さい。テーパ面34bは、平行面34aと第1傾斜面34cとを滑らかにつなぐように形成されており、そのテーパ角度は、たとえば5度から10度の範囲が好ましい。第1傾斜面34cは、図5右側に向けて径が小さくなるように傾斜している。その傾斜角度は、0度から15度の範囲が好ましい。第2傾斜面34eは、図5右側に向けて径が大きくなるように傾斜している。その傾斜角度は、0度から5度の範囲が好ましい。
【0033】糸案内面34dは、第2筒状部材34の固定軸カバー21側にわずかに傾斜する鍔状に形成されており、糸巻取操作時に固定軸カバー21側に寄せられた釣り糸Lが接触する。糸案内面34dの高さHは、たとえば1.3mmであり、ラインローラ23の最大外径Dは、たとえば11.9mmである。高さHは、最大外径Dの1%〜15%の範囲が好ましい。このような範囲に糸案内面34dの高さHを設定すると、糸案内面34dと釣り糸Lとの摩擦力が小さくなり糸案内面34dに釣り糸Lが接触しても過大な糸よれが生じにくくなる。
【0034】また、糸案内面34dの軸方向長さBは、たとえば0.6mmであり、ラインローラ23の全長Sは、たとえば5mmである。軸方向長さBは全長Sの1%〜15%の範囲が好ましい。この場合には、釣り糸Lに長さBの位相を持たせ、釣り糸Lが糸案内面34dに接触する位置と離脱する位置とを決定することができ、釣り糸Lにばらつきが少なく安定した逆方向の糸よれを生じさせることができる。
【0035】糸案内面34dと第2傾斜面34eとの境界部分、つまり糸案内面34dの外周側端部は断面が円弧状にアール面取りされている。この円弧の半径Rは、0.1〜0.5mmの範囲が好ましい。このように外周側端部をアール面取りすると、外周側に接触した釣り糸Lに滑りやすくなり、この部分で糸よれが生じにくくなる。
【0036】また、糸案内面34dと第1傾斜面34cとの境界部分、つまりの内周側端部は断面が角状に形成されている。このように内周側端部をアール面取りせずに角状に形成すると、釣り糸が糸案内面34dの内周側端部に沿いやすくなり、第1傾斜面34cとの接触による糸よれが精度よく生じるようになる。ラインローラ23の釣り糸誘導部材25側の端面と、軸受支持部材27の鍔部との間にはジュラコン(樹脂)製のスラスト受けリング36が配置されている。スラスト受けリング36は、ラインローラ23が釣り糸誘導部材25と直接接触するのを防止している。
【0037】〔釣り糸の案内動作〕ハンドル1によりロータ3を回転させると、釣り糸Lはベール10及びラインローラ23に案内されてスプール4に巻取られる。このとき、釣り糸Lはラインローラ23の糸案内面34dスプール4に案内される。なお、釣り糸Lの通過に伴ってラインローラ23はころがり軸受22の作用で軽く回転するので、釣り糸Lには大きな抵抗力がかからずスムーズに通過することができる。図2に示すように、スプール4に巻き取られた釣り糸Lの量が変わって外周径が違ってきても、糸案内面34dにより常に一定のポイントからスプール4に釣り糸Lが導かれる。その結果、釣り糸Lに生じるよれの量が安定し、釣り糸Lの繰り出し時と巻き取り時とでよれに違いが生じて、釣り糸Lに余分なよれが残ることが少なくなる。
【0038】上記動作の際に、釣り糸Lは、ベール10から釣り糸誘導部材25あるいは固定軸カバー21のテーパー状周面44、45に沿って誘導されて、ラインローラ23の周面へと送り込まれる。そして、釣り糸Lに加わる力によって、釣り糸Lが糸案内面32dに寄せられ、その反作用によりラインローラ23が固定軸カバー21側に付勢される。しかし、ラインローラ23の第1筒状部材32の内周面が係止部35により固定軸カバー21方向に移動不能になっており、かつ第1筒状部材32と第2筒状部材34とが段差31,33により同じく固定軸カバー21方向に移動不能になっているので、固定軸カバー21側にラインローラ23が付勢されても、固定軸カバー21に接触しにくい。
【0039】また、釣り糸Lは、固定軸カバー21側に寄せられているので、ラインローラ23の周面に接触する位置より第1ベール支持部材7側でスプール4に向かって離脱する。そしてラインローラ23に接触するときに鍔状の案内面34dに釣り糸が接触する。このようにスプール4に向かう位置がラインローラ23の周面上で第1ベール支持部材7側にずれることで、糸繰り出し時と逆方向の糸よれが発生する。また、糸案内面34dに釣り糸が接触すると、ラインローラ23の回転による糸案内面34dの回転により糸案内面34dに接触した釣り糸に放出時と逆方向の糸よれが生じる。しかし、糸案内面34dの内周側端部が角状に形成されているので、釣り糸Lが内周側端部に沿いやすくなり、第1傾斜面34cでの糸よれの精度が向上する。
【0040】ここでは、釣り糸Lを固定軸カバー21側に寄せているので、ラインローラ23に案内される釣り糸Lをラインローラ23の周面で常に固定軸カバー21側から第1ベール支持部材7側にずらせて安定した糸よれを発生させることができる。しかも、固定軸カバー21側が大径となるように糸案内面34dが鍔状に形成されているので、糸案内面34dに釣り糸Lが接触しても同方向の糸よれが発生する。このため、発生する糸よれの方向を常に糸繰り出し時と逆方向にすることができ、逆方向の糸よれを精度よく発生させることができる。
実施形態2この実施形態2では、図7に示すように、ラインローラ23の第2筒状部材34の外周面に、釣り糸誘導部材25側(図7左側)から順に平行面34a,テーパ面34b,円弧面34i,第1傾斜面37,糸案内面34d,第2傾斜面34eが連続して形成されている。
【0041】平行面34aと第2傾斜面34eの最大径部(図7の右端)とはほぼ同一外径であり、円弧面34iの外径は平行面34a及び第2傾斜面34eの外径より小さい。テーパ面34bは、平行面34aと円弧面34iとを滑らかにつなぐように形成されており、そのテーパ角度は、たとえば5度から10度の範囲が好ましい。円弧面34iは、その輪郭がたとえば第1傾斜面37との境界部分の径方向外方を中心とする半径100mmから500mmの円弧になるように形成されている。
【0042】第1傾斜面37は、図7右側に向けて径が大きくなるように傾斜している。その傾斜角度βは、0.5度から10度の範囲が好ましい。第1傾斜面37の長さは、全長Sの1%から40%の範囲が好ましい。この第1傾斜面37は、図6に示すように、大径側の端部37aで釣り糸がラインローラ23に接触する位置を位置決めし、小径側の端部37bでラインローラ23からスプール4に向けて離脱する位置を位置決めして釣り糸Lを第1傾斜面37上で第1ベール支持部材7側にずらせて斜めに配置するために設けられている。このように釣り糸Lを第1傾斜面37上で所定の間隔で第1ベール支持部材7側にずらせて斜めに配置することで回転するラインローラ23に接触した釣り糸に糸放出時と逆方向のよれを精度よく発生させることができる。
【0043】糸案内面34dは、実施形態1と同様に形成されており糸巻取操作時に固定軸カバー21側に寄せられた釣り糸Lが接触する。糸案内面34dの高さや幅方向長さやラインローラ23の最大外径は、実施形態1と同様である。第1傾斜面37の小径側端部37a及び大径側端部37bは、それぞれ断面が角状に形成されている。このように端部37a,37bをアール面取りせずに角状に形成すると、図6に示すように、ラインローラ23に接触する釣り糸Lが端部37bで軸方向にずれにくくなり精度よく位置決めされるとともに、ラインローラ23から離脱してスプール4に向かう釣り糸が端部37aで軸方向にずれにくくなり精度よく位置決めされる。このため、第1傾斜面37に沿って巻かれた釣り糸の位相が所定の値に定まり、第2傾斜面37に斜めに配置された釣り糸に逆方向の糸よれがより精度よく発生する。
【0044】このような構成の釣り糸案内機構8では、釣り糸巻取操作時には、釣り糸はロータ3の回転によりラインローラ23に案内されて方向が変えられスプール4外周に巻き取られる。このとき釣り糸は、糸案内面34d側に寄せられかつ第1傾斜面37が設けられているので、第1傾斜面37において大径側の端部37bで位置決めされ周面に接触し、小径側の端部37aまで斜めに配置され小径側の端部37aで位置決めされてスプール4に向かって出て離脱する。このようにスプール4に向かう位置がラインローラ23の周面上で第1ベール支持部材7側に斜めにずれることで、糸繰り出し時と逆方向の糸よれが発生する。
【0045】ここでは、固定軸カバー21側が大径の糸案内面34d側に釣り糸が寄せられかつラインローラ23に接触する位置とラインローラから離脱する位置とが第1傾斜面37により位置決めされるので、釣り糸をラインローラ23の周面で常に第1ベール支持部材7側にずらせて安定した糸よれを発生させることができる。このため、発生する糸よれの方向を常に糸繰り出し時と逆方向にすることができ、逆方向の糸よれを精度よく発生させることができる。
【0046】〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態1では、ラインローラ23の周面に平行面34a,テーパ面34b,第1傾斜面34c,糸案内面34d,第2傾斜面34eを連続して形成したが、糸案内面34dがあれば、他は部分どのような形態でもよい。たとえば、図8では、第1平行面34f、小径の第2平行面34g、糸案内面34d及び大径の第3平行面34hを連続して形成している。ここでは、大径の第1,第3平行面34f,34hの外径はほぼ同一寸法であり、糸案内面34dの各形状は、前記実施形態1と同様である。このような形態であっても前記実施形態1と同様な効果が得られる。
【0047】(b) 前記実施形態2では、ラインローラ23の周面に平行面34a,テーパ面34b,円弧面34i,第1傾斜面37,糸案内面34d,第2傾斜面34eを連続して形成したが、第1傾斜面37及び糸案内面34dがあれば、他は部分どのような形態でもよい。たとえば、図9では、第1平行面34f、小径の第2平行面34g、傾斜面37、糸案内面34d及び大径の第3平行面34hを連続して形成している。ここでは、大径の第1,第3平行面34f,34hの外径はほぼ同一寸法であり、傾斜面37及び糸案内面34dの各形状は、前記実施形態2と同様である。このような形態であっても前記実施形態2と同様な効果が得られる。
【0048】(c) 前記実施形態1,2では、糸案内面34dを傾斜させたが、糸案内面は、ラインローラ23の軸芯に対して垂直な壁面であってもよい。
(d) 前記実施形態では、糸案内面34dの内周側端部を角状に形成し、主に糸案内面34dと第1傾斜面34cとの境界部分で糸よれを発生させるようにしたが、ここをアール面取りして第1傾斜面34cで主に糸よれを発生させるようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】本発明に係るスピニングリールの釣り糸案内機構では、固定軸カバー側が大径の糸案内部側にラインローラに案内される釣り糸が寄せられるので、釣り糸をラインローラの周面で常にベール支持部材側にずらせて安定した糸よれを発生させることができる。しかも、固定軸カバー側が大径となるように糸案内部が鍔状に形成されているので、糸案内部に釣り糸が接触しても同方向の糸よれが発生する。このため、発生する糸よれの方向を常に糸繰り出し時と逆方向にすることができ、逆方向の糸よれを精度よく発生させることができる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成9年(1997)12月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開平11−196721
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平9−359531