| 【発明の名称】 |
魚釣用スピニングリール |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 明
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| 【要約】 |
【課題】ロータの逆転遊度の少ない制動装置を備えつつ、ロータ高速逆回転時においても確実にロータの逆転に制動をかけることができる魚釣用スピニングリールの提供を目的としている。
【解決手段】本発明は、一方向クラッチ20を介してロータ8の回転軸に制動体31を連結し、ロータの逆回転時にのみ制動体とロータとが一体的に回転するように構成するとともに、リール本体に設けられた操作レバー5の操作によって制動体の回転に制動力を付与してロータの回転を制御する制動装置を備えた魚釣用スピニングリールにおいて、制動装置が、制動体に作用する制動力を一方向クラッチを介してロータに伝達する第1の状態と、制動体とロータとを結合して制動体に作用する制動力を一方向クラッチを介すことなく直接にロータに伝達する第2の状態とを有し、ロータの回転力が所定の大きさを超えると、第1の状態から第2の状態に切り換わることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方向クラッチを介してロータの回転軸に制動体を連結し、ロータの逆回転時にのみ制動体とロータとが一体的に回転するように構成するとともに、リール本体に設けられた操作レバーの操作によって制動体の回転に制動力を付与してロータの回転を制御する制動装置を備えた魚釣用スピニングリールにおいて、前記制動装置は、制動体に作用する制動力を一方向クラッチを介してロータに伝達する第1の状態と、制動体とロータとを結合して制動体に作用する制動力を一方向クラッチを介すことなく直接にロータに伝達する第2の状態とを有し、ロータの回転力が所定の大きさを超えると、第1の状態から第2の状態に切り換わることを特徴とする魚釣用スピニングリール。 【請求項2】 前記第1の状態の時は転がり式一方向クラッチが作用し、前記第2の状態の時は、ラチェット式一方向クラッチが作用する構成であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は魚釣用スピニングリールに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、一方向クラッチを介してロータの回転軸に制動体を連結し、ロータの逆回転時にのみ制動体とロータとが一体的に回転するように構成するとともに、リール本体の脚部に設けられた操作レバーの牽引操作によって制動体の回転に制動力を付与して、魚種、魚のファイト状況等、魚釣り状況に応じてロータの回転を制御する制動装置を備えたスピニングリールが、実公平1−20858号公報および実公平8−3270号公報等において開示されている。 【0003】実公平1−20858号公報に開示されたスピニングリールは、ロータと一体回転する制動体の上面の一側に設けた係止爪をロータの内周の凹凸部(ラチェット歯)に係合させて、ロータ逆転時のみ回動する制動体を操作レバーで制動する構成となっている。 【0004】また、実公平8−3270号公報に開示されたスピニングリールは、ロータ回転軸筒と制動体との間に転がり式一方向クラッチを設け、ロータ逆回転時のみ回転する制動体を操作レバーで制動する構成となっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、実公平1−20858号公報に開示されたスピニングリールの場合、制動体自体の回転がアンバランスで、制動ムラが生じ易く、スムーズな釣糸の繰り出しが得られないとともに、ラチェット歯の角度分のガタツキの影響により、ロータ逆転時に瞬時に制動体を同方向に回転させることができず、魚に対して確実なアワセができないといった問題がある。 【0006】また、実公平8−3270号公報に開示されたスピニングリールの場合、大物の魚が掛かってロータが高速で逆回転すると、転がり式一方向クラッチの転がり部材が滑ってクラッチの楔作用が働かなくなり、安定してロータの逆転を制動できない。また、海水、砂、ゴミ、異物等が転がり式一方向クラッチ部内に侵入して付着し、正常に楔作用が働かなくなる場合がある。すなわち、耐久性、寿命等の点で大きな課題を残している。 【0007】本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ロータの逆転遊度の少ない制動装置を備えつつ、ロータ高速逆回転時においても確実にロータの逆転に制動をかけることができる魚釣用スピニングリールを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明は、一方向クラッチを介してロータの回転軸に制動体を連結し、ロータの逆回転時にのみ制動体とロータとが一体的に回転するように構成するとともに、リール本体に設けられた操作レバーの操作によって制動体の回転に制動力を付与してロータの回転を制御する制動装置を備えた魚釣用スピニングリールにおいて、前記制動装置が、制動体に作用する制動力を一方向クラッチを介してロータに伝達する第1の状態と、制動体とロータとを結合して制動体に作用する制動力を一方向クラッチを介すことなく直接にロータに伝達する第2の状態とを有し、ロータの回転力が所定の大きさを超えると、第1の状態から第2の状態に切り換わることを特徴とする。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。 【0010】図1に示すように、本実施形態の魚釣用スピニングリール1は、リール本体1aと、リール本体1aから延出する脚部1bと、脚部1bの端部に形成され且つ図示しない釣竿に取り付けられる竿取付部1cとを有している。リール本体1a内にはハンドル軸2が回転可能に支持されており、リール本体1aから突出するハンドル軸2の端部には図示しないハンドルが固定されている。 【0011】ハンドル軸2にはドライブギア3が取り付けられており、このドライブギア3には、ハンドル軸2に対して直交する方向に延在し且つ軸受け11を介して回転可能に支持されたピニオンギア13が噛合している。このピニオンギア13の先端部には、ベール6および釣糸案内装置15を備えたロータ8が一体的に取り付けられている。 【0012】また、ピニオンギア13の内部には、ハンドル軸2と直交する方向に摺動可能に支持されたスプール軸9が挿通されており、スプール軸9の先端部には釣糸が巻回されるスプール10が着脱可能に取付けられている。また、ドライブギア3には、オシレーティング機構19が係合している。このオシレーティング機構19は、ハンドル軸2がハンドルの回転操作によって回転された時、スプール軸9を軸方向に沿って往復駆動する。 【0013】このような構成では、ハンドルを回転操作してハンドル軸2を回転させると、オシレーティング機構19を介してスプール軸9に取り付けられたスプール10が前後に往復動するとともに、ドライブギア3およびピニオンギア13を介してロータ8が回転駆動する。したがって、スプール10には、釣糸案内装置15を介して、釣糸が均等に巻回される。 【0014】また、リール本体1aには、ロータ8の逆回転に制動力を付与する制動機構と、ロータ8の逆回転を防止する逆転防止機構とが設けられている。これらの機構は、支軸7を介して脚部1bに回動可能に取り付けられた操作レバー5によって操作される。操作レバー5の一端部には指が引掛けられる操作部5aが形成されている。また、リール本体1a内に位置する操作レバー5の他端部には、ビス12を介して押圧プレート14が取り付けられている。押圧プレート14の端部には、後述する制動機構のブレーキシュー17を押圧する押圧部14aが形成されている。 【0015】なお、後述するが、操作レバ−5が図1に示す初期位置からA方向に押し上げ操作されると、押圧部14aによってブレーキシュー17が押圧されて制動機構が働くとともに、操作レバー5が初期位置からB方向に押し下げ操作されると、逆転防止機構が働くようになっている。また、押圧プレート14とリール本体1aのブラケット18との間には、操作レバー5を初期位置に常時保持する引張りバネ16が設けられている。したがって、操作レバー5を支軸7を中心にA方向(時計回り)に押し上げ操作した後、その操作力を解除すると、バネ16の付勢力によって操作レバー5が初期位置に復帰される。 【0016】図2に拡大して示すように、ロータ8の逆回転に制動力を付与する制動機構は、一方向クラッチ20を介してピニオンギヤ13に取り付けられたブレーキロータ(制動体)31と、このブレーキロータ31の表面にビスを介して取り付け固定されたリング状の制動板(ブレーキディスク)33と、この制動板33を跨ぐように配され且つリール本体1aのフレーム1fに支持された圧接片35と、フレーム1fに移動可能に保持され且つ制動板33と圧接可能な方向に摺動する例えば木製のブレーキシュー17とを備えている。 【0017】一方向クラッチ20は、ピニオンギア13に対して回り止め嵌合された内輪21と、内輪21の外側に配された保持器27と、保持器27の外側に配された外輪25とを有している。保持器27は複数の転動部材27aを保持しており、各転動部材27aは保持器27に設けられたバネ部材によって楔領域方向に付勢されている。また、外輪25の内周面には、各転動部材27aがフリーに回転できるフリー回転領域と、各転動部材27aの回転を阻止する楔領域とが形成されている。このような構成の一方向クラッチ20は、ピニオンギア13とともに内輪21が正回転する(ロータ8が糸巻き取り方向に回転する)と、保持器27の転動部材27aが外輪25のフリー回転領域に位置され、内輪の21の回転力が外輪25に伝達されない。しかし、ピニオンギア13とともに内輪21が逆回転する(ロータ8が糸繰り出し方向に回転する)と、保持器27の転動部材27aが外輪25の楔領域に位置され、内輪21の回転力が外輪25に伝達される。 【0018】外輪25の外周には保持体29が圧入嵌合されている。また、保持体29の外周にはブレーキロータ31が回転不能に嵌合されている。具体的には、保持体29の外周面には、保持体29の周方向に沿って互いに所定の間隔で配置された複数の径方向突出部29a…が形成されており、突出部29a,29a間には、ブレーキロータ31からスプール軸9の軸方向に沿って延出する複数の延出部31aのそれぞれが嵌合している。すなわち、ブレーキロータ31は、突出部29aと延出部31aとの噛み合いによって保持体29に対して回転不能に嵌合されるとともに、保持体29に対して軸方向にのみ移動できるようになっている。 【0019】なお、ブレーキロータ31は、操作レバー5からブレーキシュー17を介して作用する押圧力が解除されると、図示しないバネの付勢力により保持体29に沿って軸方向に移動され、図1に示される初期位置に戻されるようになっている。 【0020】一方向クラッチ20を介したピニオンギア13とブレーキロータ31との以上のような連結構造によれば、ブレーキロータ31と保持体29は、ピニオンギア13が逆回転した時にのみ、一方向クラッチ20を介してピニオンギア13(したがってロータ8)と直結され、ロータ8と一体に回転する。 【0021】ブレーキロータ31の裏面の周縁部には、周方向に互いに所定の間隔で配置された複数(例えば8個)の係合突部40が突出形成されている。各係合突部40には、ロータ8が逆回転した時に後述する係合爪43aを係合突部40間の隙間に案内するテーパ面40aと、係合突部40間の隙間に位置した係合爪43aと当接するストッパ面40bとが形成されている。 【0022】一方、ロータ8には、回動部材43がピン42を介してブレーキロータ31側に向けて回動自在に支持されている。回動部材43の一端には、係合突部40間の隙間に係合可能な係合爪43aが屈曲形成されている。また、ロータ8には、ブレーキロータ31側に向けて、回動部材43の各方向への回動を規制する2つのボスが突出形成されている。また、回動部材43にはU字状に切り込まれた溝43bが形成されており、この溝43bには、保持体29に抱き付くように巻回保持されたリーフスプリング45の端部が固定されている。 【0023】ロータ8の逆転を防止する逆転防止機構は、操作レバー5の他端部もしくは押圧プレート14に突出形成された作動体50と、支軸52に回動可能に支持され且つ作動体50によって回動される制御カム54と、リール本体1aのフレーム1fに移動可能に保持され且つ制御カム54の回動によって制動板33に向けて移動される係止爪56と、制動板33の内周面に形成され且つ係止爪56と噛み合う複数の係止溝33aとから成る。制御カム54は、作動体50と当接する第1および第2の当接部54a,54bと、係止爪56と当接する第3の当接部54cとを有している。第1の当接部54aと第2の当接部54bとの間には作動体50が位置され、また、第3の当接部54cは係止爪56の端部から側方に突出する突出部56aと当接している。制御カム54は、制御カム54とブラケット18との間に設けられた振り分けバネ58によって回動方向に常時付勢されている。また、係止爪56は、支軸52に巻回保持されたバネ57によって、制動板33の係止溝33aと噛み合う方向に常時付勢されている。 【0024】前記構成では、操作レバー5が図1に示される初期位置に位置している場合、振り分けバネ58の付勢力(制御カム54に対しこれを図中反時計回りに回動させる方向に作用する)によって制御カム54の第1の当接部54aが作動体50に当接されるとともに、係止爪56の突出部56aと当接する第3の当接部54cがバネ57の付勢力に抗して係止爪56を制動板33から離間させた状態に保持する。また、操作レバー5が初期位置からB方向に押し下げ操作される(図4参照)と、作動体50が振り分けバネ58の付勢力に抗して制御カム54を図中時計回りに回動させる。この時、振り分けバネ58は、制御カム54の回動に伴って揺動するが、そのデットポイントを超えた時点で制御カム54に対しこれを時計回りに回動させる方向で付勢力を付与するようになる。したがって、その後、制御カム54は、作動体50によらず、振り分けバネ58の付勢力によって時計回りに回動することとなる。これにより、第1の当接部54aが作動体50から離間するとともに、第3の当接部54cに当接する係止爪56が制動板33に向けて移動される。そして、制動板33の係止溝33aに係止爪56が噛み合い、第2の当接部54bが作動体50と当接した時点で、制御カム54の回動が停止される。すなわち、係止溝33aと係止爪56との噛み合い状態が保持され、また、操作レバー5がB方向に押し下げられたロータ逆転防止位置に保持される。 【0025】次に、前記構成のスピニングリール1の動作について説明する。 【0026】まず、操作レバー5が図1に示す初期位置に保持された状態で、ハンドルを介してピニオンギア13を正回転させると、ピニオンギア13に取り付けられたロータ8も一体で正回転する(糸巻き取り方向に回転する)。しかしながら、この時、ブレーキロータ31は、一方向クラッチ20の前記連結作用により回転しない。また、ロータ8に支持されこれとともに正回転する回動部材43は、リーフスプリング45の作用によって逆回転方向に力を受け、ピン42を中心に回動してその一端部がロータ8の前記ボスに当て付いて、係合爪43aがブレーキロータ31の係合突部40から離間するように内側に退避される。したがって、回動部材43は、ブレーキロータ31に何等規制されることなく、ロータ8とともに自由に正回転する。よって、この状態で、操作レバー5をA方向に押し上げ操作して、ブレーキシュー17と圧接片35との間で制動板33を挟圧しても(この場合、ブレーキロータ31はブレーキシュー17による押圧力によって図3に示すように保持体29に沿って軸方向に移動する)、ロータ8には制動力が全く作用しない。 【0027】また、操作レバー5が初期位置に保持された状態で、ピニオンギア13が逆回転されると、ピニオンギア13に取り付けられたロータ8も一体で逆回転する(糸繰り出し方向に回転する)。この時、ブレーキロータ31も一方向クラッチ20の前記連結作用によりロータ8とともに逆回転する。したがって、この状態で、操作レバー5をA方向に押し上げ操作することにより、ブレーキシュー17と圧接片35との間で制動板33を挟圧し、ブレーキロータ31の回転に制動をかける(図3参照)と、ブレーキロータ31と直結状態で一体に回転するロータ8にも一方向クラッチ20を介して操作レバー5の回動量に応じた制動力がタイムラグを生じることなく作用する。この場合、一方向クラッチ20の外輪25の楔領域には、ブレーキロータ31に付与される制動力とロータ8の回転力とが互いに反対方向に作用するが、これらの力が一方向クラッチ20の許容荷重範囲内であれば、ロータ8とブレーキロータ31は互いに対して回転しない。つまり、制動時でもロータ8とブレーキロータ31とが一体に回転する。したがって、ロータ8と一体に回転する回動部材43の係合爪43aはブレーキロータ31と噛み合わず、ロータ8の回転力(例えば魚が引く力)は全て一方向クラッチ20により受けられる。しかし、外輪25の楔領域に作用する力(ロータ8の回転力およびブレーキロータ31に作用する制動力)が一方向クラッチ20の許容荷重を超えると、一方向クラッチ20が滑り、ブレーキロータ31に対してロータ8が回転し始める。これにより、ロータ8と一体で逆回転している回動部材43は、リーフスプリング45の作用によって正回転方向に力を受け、ピン42を中心に回動してその一端部がロータ8の前記ボスに当て付いて、係合爪43aがブレーキロータ31の係合突部40間に突出するようになる。その結果、ロータ8とブレーキロータ31とが噛み合い、これらが一体となって逆回転する。したがって、その後、ブレーキロータ31に作用する制動力は、一方向クラッチ20を介することなく、直接にロータ8に作用し、ロータ8の回転力(例えば魚が引く力)は全てブレーキロータ31により受けられる。 【0028】一方、図4に示すように、操作レバー5をB方向に押し下げ操作すると、前述したように、作動体50を介して制御カム54が図中時計回りに回動される。これにより、第3の当接部54cに当接する係止爪56が制動板33に向けて移動され、制動板33の係止溝33aに係止爪56が噛み合ってブレーキロータ31の回転が阻止される。したがって、この状態で、ハンドルを介してピニオンギア13を逆回転させようとしても、一方向クラッチ20を介してピニオンギア13に直結されたブレーキロータ31の回転が阻止されているため、ピニオンギア13したがってロータ8は逆回転しない。無論、この状態でピニオンギア13を正回転させれば、一方向クラッチ20を介したブレーキロータ31とピニオンギア13との直結状態が解除されるため、ロータ8は正回転することができる。 【0029】なお、操作レバー5を初期位置に戻すと、作動体50および振り分けバネ58によって制御カム54が図中反時計回りに回動され、制御カム54の第3の当接部54cと当接する係止爪56がバネ57の付勢力に抗して初期位置に戻される(図1参照)。これにより、制動板33の係止溝33aと係止爪56との噛み合いが外れ、ブレーキロータ31の回転が可能となる。 【0030】以上説明したように、本実施形態のスピニングリール1では、ロータ8の逆回転に制動をかける場合、魚の引き等に伴うロータ8の回転力が一方向クラッチ20の許容荷重範囲内であれば、ブレーキロータ31に付与される制動力が楔作用による逆転遊度の小さい転がり式一方向クラッチ20を介してロータ8に作用し、ロータ8の回転力が一方向クラッチ20の許容荷重を超えると、ブレーキロータ31に付与される制動力が一方向クラッチ20を介することなく直接にロータ8に作用するようになっている。すなわち、本実施形態では、許容荷重は大きいが制動力の伝達に若干の遅れが生じるブレーキロータ31とロータ8との噛み合い伝達機構(回動部材43の係合爪43aとブレーキロータ31の係合突部40との噛み合いによる力伝達機構)と、許容荷重は小さいが制動力の伝達をリニアに行なうことができる一方向クラッチ20による力伝達機構とを有機的に結合させ、一方の機構の欠点とするところを他方の機構で補うといった制動力伝達構成を採用している。 【0031】したがって、ロータ8の回転力が小さい場合には、この力が一方向クラッチ20によって受けられるとともに制動力が一方向クラッチ20を介してロータ8にリニアに伝達され、また、大物の魚が掛かる等してロータ8が高速で逆転し、一方向クラッチ20の転動部材27aが滑った場合には、ブレーキロータ31とロータ8とが噛み合い、確実にロータ8の逆回転にブレーキロータ31が追従して一体回転される(したがって、ブレーキロータ31に付与される制動力がロータ8に直接に作用する)とともに、一方向クラッチに20にかかっていたロータ回転力がブレーキロータ31によってそのまま受けられて、一方向クラッチ20の破損が防止される。これにより、咄嗟のロータ高速逆回転時においても安定したロータ逆転制動が可能となり、実釣時のトラブルを防止できる。すなわち、十分な許容荷重を確保しつつ、制動力の伝達の応答性を良好にすることができる。 【0032】また、このような構成において、転がり式一方向クラッチ20の転動部材27aの滑りは、係合爪43aが係合突部40と噛み合うまでの最小量(係合爪43aの逆転許容範囲内の最小)に抑えられるため、転動部材27aおよび外輪25の損傷・摩耗を極力防止でき、楔作用の性能維持および寿命向上を図ることができる。 【0033】また、本実施形態のスピニングリール1によれば、ロータ8に正回転のみならず逆回転をも許容する第1の状態(初期状態)と、ロータ8に制動力を調節しつつ付与し得る第2の状態(図3参照)と、ロータ8の逆回転を防止する第3の状態(図4参照)とを1つの操作レバー5によって切換えることができる。したがって、前記3 つの状態間での切換操作を容易且つ迅速に行なうことができ、実釣時の状況変化に迅速に対応することができる。そのため、魚との微妙なやりとりを確実に行なうことができ、掛かった魚をバラシたり、瞬時に釣糸が切られるといった事態を回避することができる。また、操作レバー5以外の操作手段を操作する必要がないため、操作性に優れ、また、操作レバー5以外に操作手段を設ける必要がないため、リール全体をコンパクトに構成でき、携帯性に優れている。また、これにより、外観デザインの自由度も増し、良好な外観に設計し得る。 【0034】また、本実施形態のスピニングリール1によれば、操作レバー5の切換え操作によって前記第1の状態と第3の状態とが保持される。したがって、操作力の加減によって前記2の状態が切換わって、意図しないロータ動作が行なわれることを防止できる。 【0035】また、本実施形態の逆転防止機構では、係止爪56と噛み合う複数の係止溝33aが制動板33の外周面ではなく内周面に形成されている。したがって、係止爪56等の駆動要素がリール本体1aの内側に配設されることとなり、リール全体を径方向に大型化することなくコンパクトにすることが可能となる。 【0036】また、本実施形態のスピニングリール1では、ブレーキロータ31が、突出部29aと延出部31aとの噛み合いによって保持体29に対して回転不能に嵌合されるとともに、 保持体29に対して軸方向にのみ移動できるようになっている。本実施形態のように、ブレーキロータ31(制動板33)の周辺部にブレーキシュー17を介して制動力が作用する構成では、ブレーキシュー17からの押圧力によってブレーキロータ31がスプール軸9の軸方向に対して角度を持って移動されることとなり、その場合には、スプール軸9に偏荷重が作用して、ロータの8の正回転動作が重くなる等の不具合が生じる。しかし、保持体29に対してブレーキロータ31が軸方向にのみ移動できるように構成すれば、ブレーキシュー17からの押圧力を軸方向で逃がすことができるため、前述したような不具合を解消できる。 【0037】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の魚釣用スピニングリールによれば、ロータの逆転遊度の少ない制動装置を備えつつ、ロータ高速逆回転時においても確実にロータの逆転に制動をかけることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002495 【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−187794 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月13日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−366710 |
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