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【発明の名称】 釣用スピニングリールのラインローラ装置及びそれを備えた釣用スピニングリール
【発明者】 【氏名】大森 正樹

【氏名】井上 喜市

【要約】 【課題】本発明は、スプールS上の巻糸外径が変動してもラインローラの支軸と釣糸の走行線Tが常に直交に近い状態が得れるようなラインローラー装置を備えた釣用スピニングリールを提供することを目的とする。

【解決手段】ベールアーム1の先端に設けられ釣り糸9を案内するための釣用リールのラインローラ装置であって、該ラインローラ装置に備わったラインローラ3の外周に設けられた釣糸案内溝4の位置が、スプールSから垂直にラインローラ3に架け渡される釣糸9の仮想走行線Tと一致し得るように、スプールSの巻糸外径の変化に応じてラインローラー3がその軸方向に移動するラインローラ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベールアームの先端に設けられ釣糸を案内するための釣用リールのラインローラ装置であって、該ラインローラ装置に備わったラインローラが、その軸方向に移動の自由度が与えられていることを特徴とするラインローラ装置。
【請求項2】 ベールアームの先端に設けられ釣糸を案内するための釣用リールのラインローラ装置であって、該ラインローラ装置に備わったラインローラの外周に設けられた釣糸案内溝の位置が、スプールから垂直にラインローラに架け渡される釣糸の仮想走行線と一致し得るように、スプールの巻糸外径の変化に応じてラインローラがその軸方向に移動することを特徴とするラインローラ装置。
【請求項3】 ベールアームの先端に設けられ釣糸を案内するための釣用リールのラインローラ装置であって、該ラインーローラ装置が、ベールアームに取り付けられた基部と該基部に回転自在に軸支されたラインローラと該ラインーローラの脱出を防止するための押さえ部とよりなり、ラインローラが軸方向に移動可能となっていることを特徴とするラインローラ装置。
【請求項4】 基部と押え部とが、ラインローラの両端部を各々、陥入し得る各陥入凹部を有していることを特徴とする請求項3記載のラインローラ装置。
【請求項5】 ラインローラの支軸方向の移動に際して、ラインローラの両端部が基部と押え部の両陥入凹部から脱出しない構成となっていることを特徴とする請求項4記載のラインローラ装置。
【請求項6】 ラインローラの軸方向の最大移動長が、釣用スピニングリールのスプールにおける巻糸最大増加厚長に等しいことを特徴とする請求項3記載のラインローラ装置。
【請求項7】 ラインローラに設けられた釣糸案内溝の形が左右対称に形成されていることを特徴とする請求項3記載のラインローラ装置。
【請求項8】 上記請求項1〜7記載のいずれか1項のラインローラ装置を備えた釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣用スピニングリールの糸巻装置に関し、更に詳しくは、スプールに釣糸を巻き付ける際に、ラインローラと釣糸の接触点で発生する釣糸の捩れや表面損傷を防ぐ機能を有するラインローラ装置及びそれを備えた釣用スピニングリールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、釣用スピニングリールを使って釣糸を巻き取る場合、釣糸はラインローラを介して巻き取られる。その際、釣糸はスプールの糸巻径の変化と共に、ラインローラ表面をその軸方向に不規則に移動しつつ走行するので、ラインローラと釣糸の接触点で釣糸自体に捩れや摩擦禍或いは不用な撚りが入る。そこで、これを解決するための技術的手段として、ラインローラを回転自在とし、同時に糸道安定確保のための特殊な溝を設け、その溝内に釣糸が常に位置するようにしたものが開発された。また、スプールの糸巻径が変化することによる、ラインローラ表面上での釣糸の走行角度の変化に対抗して、走行角度にラインローラの案内溝線が一致するようにラインローラの軸芯を搖動回転させるものも開発された。
【0003】ところで、釣用スピニングリールのラインローラは、ベールアームに取付けられ、スプール周りを回転しながら釣糸を巻き付けるものである。そしてラインローラとスプール支持軸との距離はベールアーム機構上、一定であり変動するものではない。
【0004】このような従来型の釣用スピニングリールにおいては、釣糸を巻き上げると、巻き始めから巻き終わりにかけて釣糸のスプール上での巻糸外径が次第に大きくなっていく。巻糸外径が変動すると、図8に模式的に示すように、ラインローラ3とスプールS間にある釣糸7の走行線Tと、ラインローラ支軸6との交差角度Kは当然異なってくる。つまり、巻始め時の釣糸7の走行線T1とラインローラ支軸6との交差角度K1に対して、巻終わり時の釣糸7の走行線T2とラインローラ支軸6との交差角度K2は大きくなるのである。
【0005】ところで、ラインローラ上での、釣糸7の走行線Tとラインローラ支軸6との交差角度Kは直交(即ち垂直)するのが最も好ましい。何故なら直交していない場合は、ラインローラ3の回転によって釣糸7がその表面に擦れることにより不用な撚りが加わるからである。上記したように、従来型の釣用スピニングリールではその機構上、釣糸7の走行線Tとラインローラ支軸6を常に直交した状態には保てない。例えば先述したように、糸誘導用の案内溝を設けるなどの手段を用いても、釣糸7は案内溝内に落ち着いて走行することはない。
【0006】また例えば先述したように、ラインローラ支軸6を揺動させて、ラインローラ支軸6と釣糸6の走行線Tを直交した状態に保つという手段を用いても、理論上では問題が解決されるように考えられるが、必ずしも実用的ではない。つまり、巻き取りの際は、ラインローラ上での釣糸7には常に張力が加わっており、ラインローラ3を押圧している。そこで一旦、ラインローラ支軸6が揺動し傾いた場合には、そのままの状態が維持される現象が発生し、理想的な角度に常にコントロールされるとは限らないのである。また、構造上も複雑になり故障の多くなる原因となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、釣用スピニングリールにおける従来のラインローラ装置には解決すべき幾つかの問題点が存在する。本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。すなわち本発明は、スプール上の巻糸外径が変動しても、ラインローラの支軸と釣糸の走行線が常に直交に近い状態が得れるようなラインローラ装置及びそれを備えた釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明にあっては、ラインローラの外周に設けられた釣糸案内溝が、釣糸の走行線Tと常に一致し得るようなラインローラ装置とした。
【0009】つまり、本発明は、(1)、ベールアームの先端に設けられ釣糸を案内するための釣用リールのラインローラ装置であって、該ラインローラ装置に備わったラインローラが、その軸方向に移動の自由度が与えられているラインローラ装置に存する。
【0010】そして、(2)、ベールアームの先端に設けられ釣糸を案内するための釣用リールのラインローラ装置であって、該ラインローラ装置に備わったラインローラの外周に設けられた釣糸案内溝の位置が、スプールから垂直にラインローラに架け渡される釣糸の仮想走行線と一致し得るように、スプールの巻糸外径の変化に応じてラインローラがその軸方向に移動するラインローラ装置に存する。
【0011】そしてまた、(3)、ベールアームの先端に設けられ釣糸を案内するための釣用リールのラインローラ装置であって、該ラインーローラ装置が、ベールアームに取り付けられた基部と該基部に回転自在に軸支されたラインローラと該ラインーローラの脱出を防止するための押さえ部とよりなり、ラインローラが軸方向に移動可能となっているラインローラ装置に存する。
【0012】そしてまた、(4)、基部と押え部とが、ラインローラの両端部を各々、陥入し得る各陥入凹部を有している上記(3)のラインローラ装置に存する。
【0013】そしてまた、(5)、ラインローラの支軸方向の移動に際して、ラインローラの両端部が基部と押え部の両陥入凹部から脱出しない構成となっている上記(4)のラインローラ装置に存する。
【0014】そしてまた、(6)、ラインローラの軸方向の最大移動長が、釣用スピニングリールのスプールにおける巻糸最大増加厚長に等しい上記(3)のラインローラ装置に存する。
【0015】そしてまた、(7)、ラインローラに設けられた釣糸案内溝の形が左右対称に形成されている上記(3)のラインローラ装置に存する。
【0016】そしてまた、(8)、上記(1)〜(7)のいずれか1のラインローラ装置を備えた釣用スピニングリールに存する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施例を図面にもとづき、その作用と併せて詳細に説明する。図1は、本発明に係る釣用スピニングリールのベールアーム1を含むラインローラ装置の拡大図である。このラインローラ装置は、ロータの外周に対向して取り付けられる一対の各ベールアーム1の先端に取り付けられる。
【0018】そしてベールアーム1の上端から他方のベールアーム上端にベール8が架け渡される。釣糸を投出する場合は、ベール8を矢印A方向に回動させて、釣糸をスプール軸方向に自由解放する。反対に釣糸を巻取る場合は、ベール8を図の状態に戻してハンドルによりロータを回転させる。釣糸はラインローラ3を介して案内され、オシレートするスプールに巻き付けられることとなる。
【0019】図2、図3、及び図4に示すように、この実施の形態において、本発明のラインローラ装置は、ベールアーム上端側面に形成された基部2と、該基部2に回転自在に軸支されるラインローラ3と、該ラインローラ3の脱出を防止するための押え部5とで構成される。また、基部2と押え部5は、ラインローラ3の両端部を各々、回転自在に陥入し得る陥入凹部21、51を有している。且つ、押え部5の陥入凹部51の底部中心には、ラインローラの支軸6が押え部5と一体的に形成され、その先端にはネジ穴が設けられる。
【0020】陥入凹部21、51は、ラインローラ3が左右いずれか一方に最大限に移動しても、他方の陥入凹部21、51から脱出しない深さを有する。このように陥入凹部21、51からラインローラ3が脱出しないことで間隙部への釣糸7の落込みやゴミ等の雑物の侵入を防止できる。
【0021】ラインローラ3には、その外周に釣糸案内溝4が設けられ、この案内溝4は、例えば、左右対称の断面V字状である曲面を有する。この左右対称の断面V字状の釣糸案内溝4は、後述するように、ラインローラ3の傾斜面42を釣糸7が左右に均等に押圧する機能を持つ。また、中心部には、ラインローラの支軸6を挿入するための貫通穴3Aが設けられる。その貫通穴3Aにラインローラの支軸6が挿入され、その支軸6の先端と押え部5が例えばネジピン等よって固定される。
【0022】このような構造は、軸方向に移動するラインローラ3を組み込むのに極めて簡単で都合が良い。ラインローラの支軸6は、ラインローラ長よりも長く形成され、ラインローラ3を挿入した際の一定の間隙部を確保する。その間隙部の間隙長は、ラインローラ3の移動可能な範囲に相当することが理解できよう。
【0023】さて、上記実施の形態のラインローラ装置において、今、釣糸7を巻き上げるとする。ラインローラ3の現在位置が、釣糸7の理想的な走行線に合致していない場合を想定する。今、図5に示すように、スプールに釣糸7がまだ少なく巻かれている段階にあり、釣糸7とラインローラの支軸6とが斜交する状態であるとする。従って、釣糸7はラインローラ3の釣糸案内溝の底部41に完全に嵌まり込んではいない。
【0024】この状態で巻き上げを開始すると、釣糸案内溝の底部41から外れている釣糸7は、釣糸案内溝の傾斜面42を押すように作用する(矢印参照)。ところで、釣糸7とラインローラの支軸6とが直交する状態では、このように傾斜面42を押すような力が発生しないため力学的に安定した状態である。しかし、図5の場合は、釣糸7とラインローラの支軸6とが直交する安定した状態ではないので、直交した安定な状態になるように、ラインローラ3はその押された方向(矢印参照)に移動する。いわゆるラインローラ装置の修正作用が働くのである。
【0025】この修正作用による移動により、釣糸7は釣糸案内溝の底部41にぼぼ平行に嵌まり込んだ状態となる。この後、更に釣糸7がスプールに巻き込まれていくが、スプールにおける巻糸外径が増加するにつれて釣糸7は斜め方向になり、釣糸案内溝の底部41から外れようとする。しかし、その都度、上述したように、ラインローラ装置の修正作用が働く。
【0026】このように、釣糸7には、巻糸外径が増加するにつれて、常にラインローラ3による自らの修正作用が働らき、釣糸案内溝の底部41に平行に安定的に嵌まり込んで走行することになる(図7参照)。そのため、従来の欠点である釣糸7のラインローラ表面における捩れや摩擦禍、あるいは不用な撚りが加わる等の種々の問題が解消されるのである。もっとも、修正作用の働く時は、僅かながらも捩れが生じるが、その際の捩れは極めて少なく問題となることはない。このように釣糸案内溝4の位置が、スプールから垂直にラインローラ間に架け渡される釣糸7の仮想走行線(この状態が力学的に安定で理想的である)と一致し得るように、スプールの巻糸外径の変化に応じてラインローラ3がその軸方向に移動するのである。
【0027】上記のような修正機能は、釣糸7を巻き込む時にのみ働くのではなく、釣糸7の張力変動による走行状態の乱れが発生した時や、ドラグ機能が働きスプールが回転して釣糸7が解放される際にも同様に機能する。
【0028】以上、本発明についてその詳細を説明したが、本発明のラインローラ装置は、今日使用されている如何なる釣用スピニングリールにも使用可能で極めて汎用性が高く、しかも実用性に優れてたものである。本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で他の変形、組合せが可能であることは言うまでもない。
【0029】例えば、釣糸案内溝の断面形状は釣糸による分力を受けるべく傾斜面を有していれば良い。また基部と押え部の形状や構造等もその機能を有していれば良く、基部とベールアームとは別体でも同体でもよい。また、支軸も押え部でなく基部に設けてもよい。なお、特許請求の範囲に記載された請求項3を限定する請求項は、それぞれ少なくとも一つ以上を選択的に採用して請求項3に加える限定事項とすることも可能であり、装置としても十分に機能することができる。
【0030】
【発明の効果】ラインローラが、その支軸方向に移動自在に構成されているので、スプールの巻糸外径の変化に応じて、その支軸方向に自在に移動する。ラインローラの外周に設けられた釣糸案内溝の底部位置と、スプールとラインローラ間に架け渡される釣糸の走行線とが常にほぼ一致し、釣糸が捩れたり、表面が摩擦により損傷を受けたり、不用な撚りが入るようなことがない。
【0031】ラインローラ装置において、基部と押え部とが、ラインローラの両端部を各々、陥入し得る陥入凹部を有し、ラインローラの両端部が基部と押え部の両陥入凹部から脱出しない構成となっている場合は、ラインローラが左右いずれか一方に最大限に移動しても他方の陥入凹部から脱出しない。そのため、間隙部への釣糸の落込みやゴミ等の雑物の侵入を防止でき、扱いに便利で耐久性に富ものである。
【出願人】 【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
【公開番号】 特開平11−178487
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−364808