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【発明の名称】 中通し釣竿
【発明者】 【氏名】黒川 智弘

【氏名】鈴江 浩康

【要約】 【課題】中通し釣竿の釣糸案内部を形成するに際し、竿管本体の強度低下および糸抵抗や糸の傷付き、磨耗等を低減すると共に、大きくたわんでも破損しにくく、かつ塑性曲りを防止することが可能な中通し釣竿を提供する。

【解決手段】本発明の中通し釣竿は、弾性率20tonf/mm 2 未満の低弾性の強化繊維を軸長方向に引揃えたプリプレグ10と、前記軸長方向に引揃えた強化繊維よりも高弾性の強化繊維を周方向又は傾斜方向に引揃えたプリプレグ12とを備えた竿管本体を有しており、このプリプレグ12の強化繊維よりも低弾性の強化繊維を有するプリプレグ7によって、竿管本体内側に釣糸案内部を突出形成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弾性率20tonf/mm 2 未満の低弾性の強化繊維を軸長方向に引揃えたプリプレグと、前記軸長方向に引揃えた強化繊維よりも高弾性の強化繊維を周方向又は傾斜方向に引揃えたプリプレグとを備えた竿管本体を有しており、 前記周方向又は傾斜方向に引揃えたプリプレグの強化繊維よりも低弾性の強化繊維を有するプリプレグによって、前記竿管本体内側に釣糸案内部を突出形成したことを特徴とする中通し釣竿。
【請求項2】 弾性率20tonf/mm 2 未満の低弾性の強化繊維を軸長方向に引揃えたプリプレグと、前記軸長方向に引揃えた強化繊維よりも高弾性の強化繊維を周方向又は傾斜方向に引揃えたプリプレグとを備えた竿管本体の内側に釣糸案内部を突出形成した中通し釣竿であり、前記釣糸案内部に、耐磨耗性部を形成したことを特徴とする中通し釣竿。
【請求項3】 前記釣糸案内部は、その高さが前記竿管本体の肉厚の1.5倍〜3.5倍であることを特徴とする請求項2に記載の中通し釣竿。
【請求項4】 中通し釣竿の竿管本体を、合成樹脂を強化繊維で補強したプリプレグで形成すると共に、前記竿管内周面に、釣糸案内部を前記竿管本体の強化繊維よりも熱膨脹率の大きい強化繊維によるプリプレグで突出形成したことを特徴とする中通し釣竿。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣竿の竿管内側に釣糸を挿通案内する中通し釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、釣竿の竿管は、芯金に対して各種プリプレグを重合するように巻回し、その上にセロハンテープを巻回して安定させた後、これを加熱炉に導入して合成樹脂を熱硬化させ、その後、冷却して、脱芯、セロハンテープの剥離、研磨、塗装等の工程を経て作成される。この場合、竿管が中通し釣竿に用いられるものであると、芯金に対して各種プリプレグを巻回するに際し、竿管内周面に釣糸を案内するための釣糸案内部を形成する工程が加わる。
【0003】このような竿管に対して釣糸案内部を形成する方法として、例えば、実用新案登録公報第2533224号に開示されている技術が知られている。この公報に開示されている技術は、芯金に対して樹脂テープを螺旋状に巻回し、この上からプリプレグを巻回した後、最終的に樹脂テープを剥離することで、竿管本体の内周面に軸芯に向けて突出する突出部(釣糸案内部)を、竿管本体の素材で一体的に形成するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記構成によれば、釣糸案内部を、高強度繊維で形成された竿管本体と一体形成したものであるため、実釣時に釣竿がたわむことにより応力集中しやすく、竿管本体の強度低下を来たし、破損しやすい欠点がある。
【0005】また、釣糸案内部となる突出部の形態(構成材料、大きさ、形状等)に対しては、何等工夫されておらず、糸抵抗や糸の傷付き、磨耗等が大きいという問題が生じる。
【0006】さらに、通常、中通し竿の竿管は、できるだけ内径を大きくした状態で、たわみ性を向上し、かつ強度が維持される構成であることが好ましいが、上記の従来技術では、このような一定の強度を維持しつつ大きくたわむ特性とすることはできない。すなわち、一般的に引張弾性率が低い(低弾性)強化繊維によるプリプレグを用いることで、たわみ性の向上は図れるものの、逆に、塑性曲りや破損しやすくなってしまう、という問題が生じるが、上記した従来技術には、この塑性曲りや破損に関する問題を解決するための具体的な構成については何等提案されていない。
【0007】本発明の目的は、中通し釣竿において、釣糸案内部を形成するに際し、竿管本体の強度低下および糸抵抗や糸の傷付き、磨耗等を低減することにある。また、本発明は、そのような目的に加えて、大きくたわんでも破損しにくく、かつ塑性曲りを防止することが可能な中通し釣竿を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明の中通し釣竿は、弾性率20tonf/mm 2 未満の低弾性の強化繊維を軸長方向に引揃えたプリプレグと、前記軸長方向に引揃えた強化繊維よりも高弾性の強化繊維を周方向又は傾斜方向に引揃えたプリプレグとを備えており、前記周方向又は傾斜方向に引揃えたプリプレグの強化繊維よりも低弾性の強化繊維を有するプリプレグによって、竿管本体内側に釣糸案内部を突出形成したことを特徴としている。
【0009】また、本発明の中通し釣竿は、弾性率20tonf/mm 2 未満の低弾性の強化繊維を軸長方向に引揃えたプリプレグと、前記軸長方向に引揃えた強化繊維よりも高弾性の強化繊維を周方向又は傾斜方向に引揃えたプリプレグとを備えた竿管本体の内側に釣糸案内部を突出形成しており、前記釣糸案内部に、耐磨耗性部を形成したことを特徴としている。
【0010】また、本発明の中通し釣竿は、竿管本体を、合成樹脂を強化繊維で補強したプリプレグで形成すると共に、前記竿管内周面に釣糸案内部を、前記竿管本体の強化繊維よりも熱膨脹率の大きい強化繊維によるプリプレグで突出形成したことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1乃至図3は本発明の一実施の形態を示しており、図1は中通し釣竿に用いられる竿管を形成するプリプレグの配置構成例を、図2はプリプレグの巻回態様の一例を、そして、図3は形成された竿管の一部断面をそれぞれ示す。
【0012】竿管1は、強化繊維に合成樹脂を含浸した複数種類のプリプレグを芯金3に重合するように巻装し、これを加熱炉に導入して合成樹脂を熱硬化させ、その後、冷却、脱芯等の工程を経て作成される。この場合、各プリプレグは、強化繊維として弾性率が0.1tonf/mm 2 〜90tonf/mm 2 のカーボン、ボロン、ガラス、有機繊維などが使用され、含浸される合成樹脂として例えばエポキシ樹脂等が使用される。
【0013】以下、竿管全体の作成工程、および各プリプレグ、釣糸案内部の構成について詳細に説明する。最初に、竿管の内側に突出形成される釣糸案内部の一形成手段について説明する。まず、芯金3に対して、所定幅を有するテープ5を螺旋状に巻回し、芯金3に凹凸部を形成する。次に、凹部となった部分に極薄テープ6を巻回し、その極薄テープの上から、釣糸案内部を形成するためのプリプレグ7を巻回し、その上から、竿管を成形するための各種プリプレグを巻回する。そして、脱芯した後に、テープ5及び極薄テープ6を取り除くことによって、図3に示すように、竿管の内側に、上記プリプレグ7によって螺旋状の釣糸案内部7aが形成される。この場合、形成される釣糸案内部7aの高さや幅等については、テープ5の厚さ、巻幅によって調整される。また、釣糸案内部7aの表面形状についても、極薄テープ6の使用により、滑らかに仕上げることができる。なお、釣糸案内部7aの形成は、種々の手段を用いることができ、上記したような手段に限定されることはない。
【0014】竿管1は、強化繊維を軸長方向に引揃え、先端側と基端側でそれぞれ2プライされるように裁断された第1プリプレグ10、強化繊維を軸長方向に引揃えたプリプレグ12aに、強化繊維を周方向に引揃えたプリプレグ12bを裏打ちして構成され、先端側と基端側でそれぞれ3プライされるように裁断された第2プリプレグ12、そして、竿管の元部側を補強する補強用プリプレグ15によって構成される。この場合、補強用プリプレグ15は、強化繊維を軸長方向に引揃えた段付きの2枚の補助プリプレグ15a,15bからなる。各補助プリプレグ15aおよび15bは、それぞれ1プライずつ巻回される3つの巻回部17,18,19および20,21,22を有しており、各巻回部17〜22は、その軸長方向の長さが異なるように裁断されている。したがって、竿管の中間部から端部に向かって段階的に補強用プリプレグ15による補強層の肉厚が大きくなる。なお、この補強用プリプレグ15は、1枚のプリプレグによって構成されていても良いし、設けなくても良い。あるいは、補強層として別の構成(裁断形状、強化繊維の引揃方向等)の補強用プリプレグを用いても良い。
【0015】上記補強用プリプレグ15の基端側外周には、継合部形成用プリプレグ25が巻回される。このプリプレグ25は、強化繊維が軸長方向に引揃えられたプリプレグ25aに織布25bを裏打ちして構成されており、前後の竿管の継ぎ合わせ部分(厚肉部)を構成する。
【0016】上記第1プリプレグ10は、図2に示すように、第2プリプレグ12の内側に重合され、芯金3に対して第2プリプレグ12が1プライされた後、第2プリプレグ上に巻回される。したがって、形成される竿管の最内層は、プリプレグ12bによる周方向強化繊維層となる。また、補強用プリプレグ15は、各補助プリプレグ15a,15bを順に巻回するように構成されているが、両者を予め重合した状態で巻回しても良い。
【0017】上記した構成において、第1プリプレグ10の強化繊維には、低弾性のもの、具体的には、弾性率が20tonf/mm 2 未満、好ましくは10tonf/mm 2 以下、より好ましくは0.1tonf/mm 2 〜5tonf/mm 2 のものが用いられ、第2プリプレグ12および補強用プリプレグ15の強化繊維には、第1プリプレグ10の強化繊維の弾性率よりも高弾性のもの、具体的には弾性率が20tonf/mm 2 以上、好ましくは20tonf/mm 2 〜30tonf/mm 2 程度のものが用いられる。このように、低弾性の強化繊維によるプリプレグを用いることにより、屈曲量の大きいたわみ性の優れた軟調子の竿管にすることができ、かつ、これよりも高弾性の強化繊維によるプリプレグを用いることにより、軟調子の特性を得たまま、その強度の向上および塑性変形の防止を図ることが可能となる。したがって、竿管内径を適度に大きくして釣糸をスムーズに案内することができ、なおかつ、強度低下や塑性変形が無い状態で大きいたわみ特性が得られる竿管となる。
【0018】この場合、第1プリプレグ(低弾性強化繊維プリプレグ)10による肉厚は、たわみ特性が充分発揮できるように、第2プリプレグ(高弾性強化繊維プリプレグ)12の肉厚の25%以上、好ましくは40%、より好ましくは50%以上とするのが良い。ただし、低弾性強化繊維プリプレグ10の肉厚を、厚くし過ぎると、強度低下や塑性変形の問題が生じてくるため、85%以下に設定すると良い。なお、このような肉厚の関係は、竿管の少なくとも一部の領域で満足されていれば良い。図に示す構成では、第1プリプレグ10の肉厚は、0.03mm、第2プリプレグ12の肉厚は0.02mmに設定されており、先端側において第1プリプレグ10と第2プリプレグ12の肉厚は等しく設定されている。また、このような低弾性のプリプレグは、竿管の全長に配設するのではなく、大きいたわみが要求される先部の一部分のみに配設しても良い。
【0019】上記した構成において、強化繊維を周方向に引揃えたプリプレグ(周方向プリプレグ)12bに代えて、もしくは、さらに加えて強化繊維を傾斜方向に引揃えたプリプレグ(斜向プリプレグ)を用いても良い。周方向プリプレグ又は斜向プリプレグの両者を用いる場合は、その強化繊維として第1プリプレグより高弾性のものが用いられるが、両方のプリプレグを用いる場合は、周方向の強化繊維を相対的に高弾性材料にするのが良い。また、このような周方向プリプレグ(斜向プリプレグ)は、図に示した構成のように、最内層となる位置に配設するのが好ましい。
【0020】また、上記したような補強用プリプレグ15を外層側に配設すると共に、これを軸長方向に沿って階段状に裁断した構成としたことにより、竿管として調子の向上が図れると共に、方向性の向上(素材曲り等を防止する)が図れる。このような階段状に構成される補強プリプレグを用いる場合、各補助プリプレグ15aおよび15bの各1プライずつ巻回される3つの巻回部17,18,19および20,21,22は、調子の向上および方向性の向上がより達成できるように、長手方向の距離を基端側に行くにしたがって均等間隔で減少するように裁断しておくのが好ましい。
【0021】なお、上記した構成において、各プリプレグの巻回に際しては、種々の方法を用いることができ、例えば各プリプレグ同士を任意に予め張り付けておき、これを一体的に芯金3に巻回しても良い。また、プリプレグの構成や配置については一例を示したに過ぎず、種々変形することができる。
【0022】次に、竿管本体の内周面に形成される釣糸案内部の構成について詳細に説明する。図3に示す釣糸案内部7aを形成するためのプリプレグ7の強化繊維は、低弾性の材料のものが用いられ、上記した周方向プリプレグ又は斜向プリプレグの強化繊維の弾性率よりも低いものが用いられる。すなわち、図に示したように、最内層に周方向プリプレグ(斜向プリプレグ)が配設されるような構成の場合、プリプレグ7の強化繊維を上記プリプレグのそれよりも低弾性にすることで、竿管がたわんだときの釣糸案内部7aによる竿管本体への応力集中を緩和することができ、竿管本体の破損を防止することができる。
【0023】図に示した構成の場合、プリプレグ7の強化繊維は、16tonf/mm 2 以下、好ましくは0.1tonf/mm 2 〜10tonf/mm 2 のもの用いるのが良い。また、材料としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、耐炎化繊維、有機繊維を用いることができる。
【0024】実際に、釣糸案内部としてのプリプレグ7を構成する場合、ガラス繊維を束状にし、樹脂含浸量を20%〜70%、繊維比率を30%〜80%、断面積を0.01mm2 以上、撚り回数を100回/m以上とした構成にするのが好ましい。ガラス繊維は、伸び率が大きく(最大伸び率5%)、弾性率が低い(7.0tonf/mm 2 〜8.5tonf/mm 2 )ため、釣竿が大たわみしても、スパイラル状に巻回した釣糸案内部による影響が出にくく、したがって、上記したような、たわみやすいという竿管本体の特性を出しやすい。また、炭素繊維と比較すると、単位長さあたりの撚りを多くすることができるため、巻き付けの作業を行いやすい(撚りが少ないと巻き付け時に溝から外れやすい)という効果が得られる。さらに、束の断面形状が均一になりやすく(丸形状になりやすい)、スパイラル状になった釣糸案内部の断面形状が、通常のガイドリングのように丸みを帯びて、糸切れや磨耗、摩擦を抑制することができる。
【0025】以上、詳述した構成は、竿管本体の最内層に、周方向プリプレグ12bのような高弾性のものを配設する場合について説明したが、最内層にプリプレグ10のような低弾性のものを配設する場合、釣糸案内部を形成するプリプレグ7の強化繊維は、上記低弾性のものの曲り(たわみ)、伸び率に対応できるようなものを用いるのが好ましい。
【0026】以上のように構成された中通し釣竿用の竿管によれば、内径を大きくしてもたわみ性の向上および強度向上が図れ、かつたわみ時の釣糸案内部による竿管本体への応力集中を緩和して破損等を効果的に防止することができ、釣糸の案内性の向上が図れる。
【0027】次に、本発明の別の実施の形態を図4乃至図7を参照して説明する。ここで説明する実施の形態は、上記実施の形態のように、低弾性プリプレグおよびこれより高弾性のプリプレグを組み合わせることで、竿管のたわみ性および強度の向上を図り、さらに、釣糸案内部における釣糸の案内性および耐磨耗性の向上等を図ったものである。いずれの図面も、竿管本体30の内周面に形成された釣糸案内部の断面を示している。
【0028】図4に示すように、スパイラル状、もしくはリング状に形成される釣糸案内部40は、その突起高さhが、竿管本体30の肉厚t(0.15mm〜0.5mm) に対して1.5〜3.5倍、好ましくは2〜3倍となるように形成するのが良い。竿管本体30の肉厚tに対して、このような高さにすることで、竿管本体に釣糸が接しにくくなる。また、その幅wは、中に溜まった水が流出しやすくするため、突起高さhよりも大きくすることが好ましい。また、竿管本体(穂先側)の肉厚t/竿管外径を0.1以下にすることにより、軽量化を達成することができる。さらに、釣糸案内部40の全体の形状は、釣糸が摺動して当接しやすい頂部40aの領域が滑らかに傾斜したR状とするのが良い。なお、このような形状は、図1に示したような極薄テープ6を介在したり、上記したようなガラス繊維によるプリプレグを用いることで形成することが可能である。釣糸案内部を構成する部材としては、上記のようなプリプレグ以外にも、例えば樹脂のみで構成することが可能である。
【0029】釣糸案内部40をプリプレグによって形成する場合、その繊維比率が高ければ、摺動する釣糸に対して耐磨耗性は高くなるが、竿管本体との関係からすると、繊維比率が高過ぎることは好ましくない。すなわち、竿管が大きくたわんだ際、竿管本体30との間に肉厚差があり、部分的に剛性が異なるため、応力集中しやすく破損する、という問題が生じる。このため、図5に示すように、摺動する釣糸が最も当たりやすい部分、すなわち頂部41の領域の繊維比率を多くし、それ以外の中間部42や低部43の繊維比率を少なく構成するのが良い。具体的には、頂部の繊維比率を60乃至65%以上とし、本体側となる中間部42、低部43の繊維比率を20〜60%程度とし、その平均繊維比率を30〜60%程度にするのが良い。この構成において、強化繊維としては、耐磨耗性が高いカーボン繊維、ガラス繊維等を用いるのが良い。なお、このように繊維比率が変化する釣糸案内部40は、例えば、異なる強化繊維で積層したり、又は樹脂含浸量の異なるものを積層させることによって形成することができる。
【0030】図6に示す釣糸案内部50は、釣糸に大きい負荷が加わる巻取時に、釣糸が当接しやすい側51の樹脂含浸量を少なくし、反対側52の樹脂含浸量を多くした構成を示している。樹脂含浸量が少なければ、それだけ強化繊維の特性を出しやすく、耐磨耗性の向上が図れる。したがって、大きい負荷が加わる側の樹脂含浸量を少なくすることで、必要となる部分の耐磨耗性の向上が図れ、耐磨耗性のある釣糸案内部を効率良く形成することができる。この構成において、強化繊維としては、耐磨耗性が高いカーボン繊維、ガラス繊維等を用いるのが良い。なお、このような構成の釣糸案内部50は、例えば、テープ5の断面形状を変えることによって形成することができる。
【0031】図7に示す釣糸案内部60は、釣糸が当接しやすい頂部領域にある強化繊維62を太径とし、それ以外の部分の強化繊維63を細径にすると共に、その部分の樹脂含浸量を多くした構成を示している。強化繊維の径が太ければ、それだけ強化繊維による強度が向上するため、耐磨耗性の向上が図れる。したがって、頂部側に太径の強化繊維を配設することで、糸が当接しやすい部分の耐磨耗性を向上した構成とすることもできる。この構成において、太径の強化繊維62としては、耐磨耗性に優れたカーボン繊維、ガラス繊維等を用いるのが良く、細径の強化繊維63としては、竿管本体との密着性の向上を図ることから低弾性の材料を用いるのが良い。なお、このような構成の釣糸案内部60は、例えば、繊維径の異なる繊維を積層することによって形成することができる。
【0032】次に、釣糸案内部のさらに別の構成について説明する。上記のように、釣糸案内部はプリプレグによって形成することが可能であり、実際には、竿管の成形工程において、スパイラル状に巻回されたプリプレグが熱硬化することによって竿管内周面に一体的に形成される。
【0033】このような構成において、釣糸案内部を形成するプリプレグの強化繊維は、竿管本体の最内層となるプリプレグの強化繊維よりも、熱膨張率が大きい材料を用いるのが好ましい。このように構成することで、成形時における釣糸案内部の熱収縮が竿管本体側よりも大きくなるため、竿管本体を外側に押し拡げようとする内部応力を緩和することができ、竿管本体の破損を防止することができる。また、釣糸案内部が竿管の剛性を増大することを緩和(竿管の変形やしなりを阻害しない)して、しなり性の良い竿管にすることができる。すなわち、上記釣糸案内部を構成するプリプレグの強化繊維を、竿管成形時における焼成温度から常温に至る径方向の収縮量が、竿管本体側と同等か、又はそれ以上(ただし剥離しない程度)に構成する。
【0034】具体的には、竿管本体の最内層に、弾性率24tonf/mm 2 の強化繊維による周方向プリプレグを配設した場合、釣糸案内部を形成するプリプレグの強化繊維はガラス繊維や有機繊維を用いることが可能である。もちろん、この強化繊維の種類については、竿管本体の最内層を形成するプリプレグの種類に応じて適宜変更すれば良い。
【0035】以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した各プリプレグに用いられる強化繊維の具体的な弾性率および線膨脹係数や、プリプレグの肉厚、巻回数、樹脂含浸量、使用材量等に関しては、その竿管が用いられる部位(先端側、基端側等)や、釣竿の要求特性等に応じて種々変形することが可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、中通し釣竿における釣糸案内部を形成するに際し、竿管本体の強度低下および糸抵抗や糸の傷付き、磨耗等を低減することができる。また、このような構成の中通し釣竿を、大きくたわんでも破損しにくく、かつ塑性曲りしないように構成することができる。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開平11−178482
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−353696