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【発明の名称】 釣 針
【発明者】 【氏名】中川 明紀

【要約】 【課題】スプリットリングへの挿入・抜取りを容易化し、スプリットリングの隙間発生を防止してルアーの動きのバランスを悪化させないようにし、湾曲加工時の折損を防止し、加工の手間も少なくした釣針を提供すること。

【解決手段】本体軸部1と、この本体軸部1の先端側に一連に形成された針先曲成部2と、前記本体軸部1の後端に形成された取付用環状部3とを有する釣針において、前記取付用環状部3の一部に本体軸部1より肉厚の薄い薄肉部4を具備させた。上記薄肉部4は釣針を構成する線材の肉部を一部切断除去して形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体軸部と、この本体軸部の先端側に一連に形成された針先曲成部と、前記本体軸部の後端に形成された取付用環状部とを有する釣針において、前記取付用環状部の一部に本体軸部より肉厚の薄い薄肉部を具備させたことを特徴とする釣針。
【請求項2】 前項記載の薄肉部は釣針を構成する線材の肉部を一部切断除去して形成したことを特徴とする請求項1記載の釣針。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルアーフィッシング用等に使用される釣針に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ルアーフィッシングは、図5の(A)に示すように、小魚等の形態に似せて作成した擬似餌即ちルアー10に釣針11を取り付けて水中を当該小魚等の動作に似せて移動させ、魚を誘い食いつかせて釣り上げるという魚釣り方法である。この魚釣り方法で使用されるルアー10は、その頭部を釣糸12に結び付け、腹部や尾部に釣針11を連結して使用され、ルアー10に食いつかんとして接近する魚を上記釣針11に引っかけて釣り上げるものである。釣針11としては、図5の(A)に示す3本針のものや1本針、2本針、4本針のものなどがある。
【0003】上記ルアー10の釣針取付部には、係止孔10aが形成され、釣針11側には取付用環状部11aが形成されており、両者をスプリットリング13で連結するようにしている。このスプリットリング13は、図5の(B)に示すように、鋼線等の線材を輪状に巻き付けもので、1回巻きでは強度がなく、通常、2回巻きとされ、錆付き防止のためにステンレス製のものが多用されている。釣針11の取付けに当っては、スプリットリング13の一端13aを拡開して釣針11の取付用環状部11aを挿入し、スプリットリング13の線の中を2回まわして他端13bまで潜らせることによりスプリットリング13の輪の中に入れて輪の中で自由に移動できる状態に係止させるものである。ルアー10の係止孔10aにスプリットリング13を入れる場合も同様である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、釣針11の取付用環状部11aは、図5の(C)に示すように、本体軸部11bの後端を環状に湾曲させて形成している。図5の(C)は1本針の場合を示しているが、2本針、3本針、4本針などの複数本針の場合でも同様である。従って、従来の釣針11の取付用環状部11aは、どこでも本体軸部11bと同一直径の太さとなっており、スプリットリング13の輪内への挿入時及びスプリットリング13の輪内からの抜取り時(釣針交換時)、スプリットリング13を釣針11の本体軸部11bの径以上に大きく拡開変形させる必要があるため、取付け・取外し作業が容易でない上、図5の(D)に示すように、スプリットリング13の巻線ピッチ間に隙間gができ、ルアー10の係止孔10aの内周面及び釣針11の取付用環状部11aの内周面との接触点が広がり、ルアー10に対するスプリットリング13の動き並びにスプリットリング13に対する釣針11の自由な動きを妨げ、この結果、水中でのルアー10の動き(泳ぎ)のバランスが悪化し、ルアーフィッシングの釣果を低下させる一因ともなる。太い釣針11ほどこの傾向は顕著である。
【0005】なお、従来、釣針11の本体軸部11bの後端を回転させて線材の外周面を図6の(A)(B)のように先端が少し細くなるようにテーパー状に研削加工し、このテーパー状の研削加工部11cを図6の(C)のように環状に湾曲して取付用環状部11aを形成したものがあるが、これは、釣針11の全体の寸法を決めて線材を切断し、その後、その線材を回転させてテーパー状に研削加工するものであるため、一度にあまり多く削ると熱をもち、線材が硬くなり環状に湾曲加工する際に湾曲部分が折損する事故が発生する。これを回避するために、太い線材になると、5回程度に分けて研削加工しており、加工に手間がかかっていた。
【0006】そこで、本発明の目的は、スプリットリングへの挿入・抜取りを容易化し、スプリットリングの隙間発生を防止してルアーの動きのバランスを悪化させないようにし、湾曲加工時の折損を防止し、加工の手間も少なくした釣針を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、本体軸部と、この本体軸部の先端側に一連に形成された針先曲成部と、前記本体軸部の後端に形成された取付用環状部とを有する釣針において、前記取付用環状部の一部に本体軸部より肉厚の薄い薄肉部を具備させたものである。
【0008】前記薄肉部を具備させたことによって、釣針の取付用環状部をスプリットリングに挿入する際、スプリットリングの拡開量が減少し、隙間の発生を防止して釣針の動き並びにルアーの動きのバランスを良好に保持させることができる。また、スプリットリングへの釣針の挿入作業及び抜取り作業も容易となる。さらに、スプリットリングを介さず釣針をルアーやピン等に直接取り付ける場合でも、取付用環状部の端部を少し開いた状態に製作しておき、ルアーやピンに取り付けた後、ペンチやプライヤー等で閉じる際、前記薄肉部の存在により、小さな閉合力で容易に閉じることができ、従って、釣針の交換時の取付け・取外し作業を容易化できる。
【0009】また、前記薄肉部は釣針を構成する線材の肉部を一部切断除去して形成する。これにより、薄肉部の加工時間を殆ど瞬間的にまで短縮できると共に、加工時の発熱を防止し、この発熱に伴う加工硬化を回避でき、取付用環状部の巻曲げ加工時の折損事故を防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明すると次の通りである。図1の(A)(B)は本発明の第1実施例を示す釣針の正面図であって、1は丸棒状の鋼線やステンレス線等の線材を用いて略直線状に構成される本体軸部、2は本体軸部1の先端側に一連に湾曲形成され、かつ、先端を尖鋭に加工された針先曲成部、3は本体軸部1の後端に湾曲形成された取付用環状部、4は取付用環状部3の一部に形成された薄肉部を示している。
【0011】本体軸部1の後端に形成される取付用環状部3の湾曲加工方向は、図2の(A)(B)(C)(D)の4通りがある。図2の(A)(B)は、針先曲成部2と同一面内で取付用環状部3を形成し、(A)と(B)では巻き込み方向を逆としたものである。また、図2の(C)(D)は、針先曲成部2と直交する面内で取付用環状部3を形成し、(C)と(D)では巻き込み方向を逆としたものである。
【0012】上記4通りのいずれの場合も、取付用環状部3の一部に薄肉部4を形成する。薄肉部4は本体軸部1の肉厚(径)より薄くするもので、線材の片面を断面の略半分程度まで切断除去し、略半円状断面とする。この切断除去加工は、自動釣針加工機の工程の中に組込んで自動的に実施するもので、例えば、プレスカット等で瞬間的に切断除去して形成し、加工発熱を防止し、この発熱に伴う加工硬化を回避して、取付用環状部3の巻曲げ加工時の折損事故を防止する。
【0013】上記薄肉部4の形成方向は、取付用環状部3の穴の貫通方向に平行に形成し、これによって、取付用環状部3の径方向の肉厚を一部薄くし、この薄肉部4を利用してスプリットリング5に挿入する。
【0014】取付用環状部3にスプリットリング5を挿入する場合、両者の輪の向きを直交させ、スプリットリング5の螺旋巻きの一端を拡開させて取付用環状部3に跨らせる必要がある。このとき、取付用環状部3の径方向の肉厚を一部薄くしてあることにより、スプリットリング5の拡開量を少なくでき、わずかに拡開変形させるだけで釣針をスプリットリング5に取り付けることができ、作業が容易となるのである。図1の(A)(B)において、薄肉部4を形成しなかった場合を鎖線で表示し、薄肉部4を形成した場合(実線)と形成しなかった場合(鎖線)との比較を容易にしている。
【0015】上記薄肉部4は、本体軸部1を構成する線材の肉厚の略半分程度の半円状断面とし、取付用環状部3の穴の貫通方向に対して幅を具備させ、強度上に問題がないようにすることは勿論である。
【0016】薄肉部4の形状は、図3の(A)に示すような段差部の境界を曲面で構成した扁平面形状や、図3の(B)に示すような傾斜面形状等とする。また、薄肉部4の形成位置は、図3の(C)(D)に示すように先端部としたり、図3の(E)(F)に示すように中央部としたり、図3の(G)(H)に示すように巻き始め部とし、或いは、これ以外の任意の位置に形成することができる。薄肉部4を先端部以外の位置に形成する場合には、円弧状に凹入させて形成するのが応力集中を防止する上で望ましい。
【0017】上記実施例は、1本針の場合を例示したが、図4の(A)(B)に示すように、3本針の他、2本針や4本針などの複数本の針にも適用でき、その場合、上記してきた実施例のものを主針6とし、副針7を必要本数だけ本体軸部1に添え付けて本体軸部1の部分でろう付け等により接合固着するものである。この場合、副針7としては、取付用環状部3のない本体軸部1と針先曲成部2とだけからなる2本の針を使用するのである。図4の(A)(B)は、主針6に形成される取付環状部3の巻曲げ方向を相互に逆にした場合を例示している。
【0018】また、スプリットリング5を使用せず、ルアーやピン等に直接取り付ける場合には、図4の(C)に示すように、取付用環状部3の先端部を少し開いた状態のものを製品として製作し、この開いた部分を利用して取付用環状部3をルアーやピン等の取付孔に挿入し、ペンチやプライヤー等の工具により閉合させるもので、この場合にも、薄肉部4を取付用環状部3の中央部等に形成しておくと、閉合操作を容易にできる。
【0019】上記した実施例は、いずれも、薄肉部4を形成するに当って、取付用環状部3の径方向の肉厚を薄くした場合を例示しているが、これと直交する方向、即ち、取付用環状部3の穴の貫通方向の肉厚を薄く形成してもよい。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、本体軸部の後端に形成された取付用環状部の一部に本体軸部より肉厚の薄い薄肉部を具備させたことによって、釣針の取付用環状部をスプリットリングに挿入する際、スプリットリングの拡開量が減少し、隙間の発生を防止して釣針の動き並びにルアーの動きのバランスを良好に保持させることができる。また、スプリットリングへの釣針の挿入作業及び抜取り作業も容易となる。さらに、スプリットリングを介さず釣針をルアーに直接取り付ける場合でも、取付用環状部の端部を少し開いた状態に製作しておき、ルアーやピンに取り付けた後、ペンチやプライヤー等で閉じる際、前記薄肉部の存在により、小さな閉合力で容易に閉じることができ、従って、釣針の交換時の取付け・取外し作業を容易化できる。
【0021】また、上記薄肉部は、釣針を構成する線材の肉部を一部切断除去して形成することにより、薄肉部の加工時間を殆ど瞬間的にまで短縮できると共に、加工時の発熱を防止し、この発熱に伴う加工硬化を回避でき、取付用環状部の巻曲げ加工時の折損事故を防止できる。
【出願人】 【識別番号】392013316
【氏名又は名称】株式会社カツイチ
【出願日】 平成9年(1997)11月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
【公開番号】 特開平11−146745
【公開日】 平成11年(1999)6月2日
【出願番号】 特願平9−317283