| 【発明の名称】 |
魚釣用電動リール |
| 【発明者】 |
【氏名】平原 俊之
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| 【要約】 |
【課題】密閉ケース内に充填材を充填することなく所望の電気機器や電子回路基板や素子を水分から保護でき、また密閉ケースと蓋との間の接合部の水密性が低下しても、接合部に付着した水滴がケース内部に吸引導入されることがない魚釣用電動リールを提供。
【解決手段】リール本体に固定された制御ケース3内には電子回路基板33が気密に内蔵されている。制御ケース3の裏ケース3Bには貫通孔3bが形成され、貫通孔には中空の連結部材36の一端が気密的に固定される。連結部材の他端は内容積が可変の伸縮性密閉容器36に気密的に接続され、制御ケースと密閉容器36との内部空間が連通する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リール本体と、釣糸を巻取るために該リール本体に回転可能に支持されたスプールと、該スプールを回転駆動するモータと、該モータを駆動するモータ駆動部と、該モータ駆動部にモータ駆動用の信号を出力する制御回路部と、釣糸の繰出し長さや巻取り速度を表示する表示部とを備えた釣用電動リールに於いて、該モータ、該モータ駆動部、該制御回路部及び該表示部の少なくとも1つは水密構造の密閉ケースに封入されると共に、該密閉ケースとは別に内部容積が可変の伸縮性密閉容器が設けられ、該密閉ケースは該伸縮性密閉容器と気密的に接続されて該密閉ケース内部と該伸縮性密閉容器内部とが流体的に連通していることを特徴とする魚釣用電動リール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は魚釣用電動リールに関し、特に電気機器や電子回路基板等に対する防水構造を備えた魚釣用電動リールに関する。 【0002】 【従来の技術】釣糸を巻取るスプールの回転をモータにより回転駆動させる魚釣用電動リールにおいては、電動リールが釣場の様な水がふりかかる環境での仕様を前提とした商品であることから、モータや、電力半導体の使用されているモータ駆動部、あるいはモータ駆動用の信号を作成する制御回路部等は水密な密閉ケースに封入する必要がある。そのため従来から魚釣用電動リールでは、モータを収納するモータケースや、制御回路部や釣糸の繰出し長さや巻取り速度を表示する表示部を収納する制御ケースを備え、またこれらを水密的に収納するための種々の防水構造が提案されている。 【0003】例えば、密閉ケースの内部にモータや電子回路部品等を組込むためには、密閉ケースに開口部を設け、開口部を介してこれら部品を組込んだ後に、別体の蓋等で開口部を塞ぎ、シール性を確保するためにゴム製のパッキンによりケースと蓋との接合部を密着させたり、また接着剤を塗布したり、あるいは超音波溶着法を用いて上記接合部の水密性を確保する方法がある。 【0004】しかしながら季節変化や朝夕の温度変化の繰り返し、あるいは使用中と不使用時の温度変化の繰り返し、あるいは使用時や持ち歩き時に加えられる振動、衝撃や使用時の日光の照射、あるいは使用中の水濡れ等々の外部環境の要因により、上記接合部が劣化して、水密性が低下する事がしばしばあった。この様な水密性の低下を来すと、例えばケースと蓋との接合部に水滴等が付着している場合、密閉ケース内部の温度が低下すると密閉ケース内部の空気に収縮が生じて内部圧力の低下を招き、接合部の水密性の低下によるわずかな隙間を通して付着している水滴が密閉ケース内部に吸引、導入されることとなり、その結果密閉ケースに内蔵されている電子回路部品や回路基板に水滴が付着して、電子回路部品のリード部あるいは回路基板のハンダ付け部や銅箔部が腐蝕したり、回路の正常動作に支障を来すおそれがあった。 【0005】そこで実公平7−53499号公報では、電気回路基板をケースに封入すると共にケース壁面と回路部品や基板との隙間に熱可塑性又は熱硬化性のかつ電気絶縁性を有する充填材を加圧充填して、たとえケース壁面や合わせ目等の亀裂からの水の侵入があっても、回路部品や基板に水が直接接触することを防止する構造を記載している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、該公報記載の防水構造によると、熱硬化性充填材の生産現場での取扱いが面倒であり、例えば、所要量毎に樹脂材料を保管用容器から取り出し、過熱し、加圧充填する必要があり、また熱硬化性材料は一度過熱されると残余の材料が再利用できないという不具合がある。また充填時にケース内に空気の泡ができ易く、また粘着性があるので、過充填等の時液ダレでケース本体や作業場が汚れやすくなるという問題がある。 【0007】また、一旦水の侵入による故障を招くとケース内部が充填材で満たされているために、ケース全体を破壊しなければ侵入の発生場所や回路の故障個所の特定ができず、また故障部品の交換修理も不能になる。即ち一度水の侵入事故が発生すると、ケース全体を交換する以外に修理ができず、コストがかさむこととなる。またケース内を充填材で満たしてしまうために、全体の重量もかさみ、軽量化への大きな障害となってしまうという問題があった。 【0008】そこで本発明は、密閉ケース内に充填材を充填することなく所望の電気機器や電子回路基板や素子を水分から保護でき、また密閉ケースと蓋との間の接合部の水密性が低下しても、接合部に付着した水滴がケース内部に吸引導入されることがない魚釣用電動リールを提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するため本発明は、リール本体1と、釣糸を巻取るために該リール本体1に回転可能に支持されたスプール2と、該スプールを回転駆動するモータ41と、該モータ41を駆動するモータ駆動部6と、該モータ駆動部6にモータ駆動用の信号を出力する制御回路部33と、釣糸の繰出し長さや巻取り速度を表示する表示部31とを備えた釣用電動リールに於いて、該モータ41、該モータ駆動部6、該制御回路部33及び該表示部31の少なくとも1つは水密構造の密閉ケース3、4、1a、5に封入されると共に、該密閉ケースとは別に内部容積が可変の伸縮性密閉容器37、49、53が設けられ、該密閉ケースは該伸縮性密閉容器と気密的に接続36、48、52されて該密閉ケース内部と該伸縮性密閉容器内部とが流体的に連通している魚釣用電動リールを提供している。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態による魚釣用電動リールについて図1乃至図9に基づき説明する。 【0011】図1及び図2は魚釣用電動リールの外観を示しており、リール本体1には釣糸を巻取るスプール2が回転可能に支持されており、制御ケース3がリール本体1の上部に固定されている。制御ケース3には釣糸の繰出し長や釣糸の巻上げ速度、棚位置等を表示する表示器31と、巻上げ速度の変更や棚位置の設定、船べり位置の設定等釣に関するデータを入力、変更するための押しボタンスイッチ群32A、32Bが付属して設けられている。また制御ケース3には、モータ駆動の制御や表示器31へのデータ作成演算処理や、押しボタンスイッチ32A、32Bからの入力受付けの処理等を担うマイクロコンピュータ(図示せず)が搭載された電子回路基板33(図3)が内蔵されている。またスプール2にはモータ41(図4)を内蔵したモータケース4を内蔵するための中空円筒部が形成されている。更にリール本体1の前側面には空洞部1a(図6)が形成され、空洞部1aの開口部は側蓋5により閉塞される。そして空洞部1a内にはモータ41を駆動するためのモータ駆動部6が配置されている。 【0012】次に制御ケース3について図1及び図3に基づき説明する。制御ケース3は操作側の表ケース3Aと裏面側の裏ケース3Bとに分割されている。そして図示せぬマイクロコンピュータを搭載した制御回路部である電子回路基板33が、表ケース3Aと裏ケース3Bとの間に固定されている。即ち電子回路基板33を制御ケース3Aに組込んだ後に、裏ケース3Bを表ケース3Aの開口部に合致させ、複数箇所においてビス34を用いて裏ケース3Bは表ケース3Aに固定される。また表ケース3Aと裏ケース3Bとの合わせ部分3cには、この部分での水密性を向上させるために耐水接着剤35が付着されている。 【0013】表ケース3Aには表示器31を透視するための窓部3aが形成され、窓部3aには透明樹脂板3Cが嵌合されている。また上記押しボタンスイッチ32A、32Bが表ケース3Aから突設されている。一方裏ケース3Bには貫通孔3bが形成されており、貫通孔3bには中空の連結部材36の一端部が気密的に接続されている。連結部材36の他端部には内部容積が可変のベローズ状の且つ袋状の伸縮性密閉容器37が気密的に接続されている。よって、密閉ケースを構成する制御ケース3の内部空間と密閉容器37とは連結部材36を介して気密的に連通している。 【0014】係る構成において、温度上昇により制御ケース3内の空気が膨張すると、その空気は連結部材36を介して密閉容器37に排出される。また温度低下により制御ケース3内の空気が収縮しても、密閉容器37内の空気が制御ケース3内に導入されるだけであり外部空間とは遮断状態にある。即ち制御ケース3内の隙間容積の温度変化に伴う増減は、伸縮自在の密閉容器37によって吸収されるので、温度変化にかかわらず制御ケース3内の圧力は常に外気圧に等しく調節される。従って、経年変化等により合わせ部分3aにおける耐水接着剤35のシール性が低下しているような場合にも、温度低下によって合わせ部分3a付近にある水分が負圧により制御ケース3内に導入されることがない。 【0015】次にモータケース4について図1及び図4、図5に基づき説明する。図4はモータケース4にモータ41が水密的に組込まれた状態を示す。モータケース4はモータケース本体4Aと、モータケース本体4Aの開口部を閉塞する蓋部4Bとにより構成され、蓋部4Bは3個の取付けネジ42によりモータケース本体4Aに固定されている。モータ41はネジ44によりモータケース本体4A内に固定されており、またモータ41の出力軸43は、モータケース本体4Aに形成された貫通孔4aを貫通してピニオン45を外嵌している。またシール性を確保するために、出力軸43と貫通孔4a間の隙間には軸シール部材46が配設されている。 【0016】蓋部4Bはモータ41の出力軸43の軸受を兼ねており、また蓋部4Bには、モータ41へ電力を供給する接続線47を貫通させるための貫通孔4bが形成されている。そして貫通孔4bと接続線47との隙間には水密性を得るために耐水、耐熱性の接着剤、例えばシリコンボンドが塗布されている。 【0017】蓋部4Bには更に別の貫通孔4cが形成されており、貫通孔4cはモータケース4の内部空間に連通している。貫通孔4cには耐水、耐熱性材料にて形成された中空の連結部材48の一端が嵌合されており、この一端と貫通孔4cとの隙間には耐水、耐熱性の接着剤例えばシリコンボンドが塗布されて水密性が確保されている。連結部材48の他端は内部容積が可変の伸縮性密閉容器49に嵌合接続されており、この他端と密閉容器49との接続部にも耐水、耐熱性の接着剤(シリコンボンド)が塗布され、水密性が確保されている。 【0018】以上の構造により、密閉ケースを構成するモータケース4の内部空間と密閉容器49の内部空間とは連結部材48により連通され、かつ外部空間からは遮断されている。モータ41が駆動されて過熱状態になると、モータケース4内の隙間の空気の容積が増大するが、この容積の増大分は連結部材48を通して伸縮自在の密閉容器49に移動する。逆にモータ41の温度が低下すると、モータケース4の隙間容積の空気の容積が減少するが、この容積の減少分の空気が連結部材48を通して密閉容器49から供給される。即ちモータケース4内の隙間容積の温度変化に伴う増減は伸縮自在の密閉容器49で吸収され、モータケース4内の圧力は常に外気圧に等しく調節されるので、例えば図5でモータシャフト43と軸シール部材46との隙間に付着した水滴は、モータ41が高温状態から低温状態に移行する場合でも、モータケース4内へ負圧吸引されることはない。 【0019】次にモータ駆動部6及びモータ駆動部6に対する水密構造について図2、図6乃至図9に基づき説明する。上述したように、リール本体1の前側面には空洞部1aが形成され、空洞部1aの開口部は側蓋5により閉塞される。そして空洞部1a内にはモータ41を駆動するためのモータ駆動部6が内蔵されている。空洞部1aの開口部付近には3個のネジ孔1bが螺設され、また側蓋5にはネジ孔1bに対応する3個の取付け孔5aが形成され、図示せぬ取付けネジを取付け孔5aを介してネジ孔1bと螺合することで側蓋5が空洞部1aの開口部を閉塞する。側蓋5をリール本体1の空洞部1aの開口部に取付ける時に、水密性を確保するために側蓋5のリール本体1への接面部には耐水、耐熱性の接着剤が塗布される。この空洞部1aと側蓋5とにより密閉ケースが構成される。側蓋5には更に、モータ駆動部6からモータ41へ電力を供給するための接続線51を導出させる貫通孔5bが形成され、貫通孔5bと接続線51との隙間には水密性を確保するために耐水、耐熱性の接着剤(シリコンボンド等)が塗布されている。 【0020】側蓋5には更に空洞部1aと連通する貫通孔5cが形成されており、貫通孔5cには中空の連結部材52の一端部が接続され、貫通孔5cと連結部材52の一端との隙間には水密性を確保するために耐水、耐熱性の接着剤が塗布されている。連結部材52の他端には内部空間が可変の伸縮性密閉容器53が接続され、水密性を確保するためにこの接続部にも耐水、耐熱性接着剤が塗布されている。 【0021】図7乃至図9はモータ駆動部6を示しており、モータ駆動時に発熱する性質の電子回路素子である電力半導体61、62、63、64が電子回路基板(プリント基板)65上に設けられている。なお、これら電力半導体と駆動回路を構成する図示せぬ他の電子素子とにより図示せぬ電子回路を構成している。電力半導体61等の一面側には、熱伝導性の高い材料にて形成された薄板状の部材である電気絶縁シート66が敷設されている。また電力半導体61〜64で生じた熱を電気絶縁シート66介して効率的に放散しまた電力半導体の温度上昇を抑えるために、電気絶縁シート66の上部は放熱板67で覆われている。 【0022】図9において、電力半導体62の脚リード62aが電子回路基板65のスルーホールランド(図示せず)を貫通して、ハンダ付け部62bにより電子回路基板65に固定取付けられている。電力半導体62には放熱導体部62cが付設され、放熱導体部62cと電気絶縁シート66と放熱板67とは互いに密着して取付けられている。そのため電力半導体62からの熱は効率良く放熱板67へと伝導し、放熱板67から熱が空洞部1a内の空間に放散される。 【0023】以上の構成により、モータ駆動時には空洞部1a内の温度が上昇し、空洞部1a内の空気の容積が膨張するが、膨張分の空気は連結部材52を通して密閉容器53に排出されるので、空洞部1aの内圧が外部より高くなることはない。又空洞部1aの温度が低下してその内圧が低下したときには、密閉容器53から空洞部1aに空気が戻される。そのため、たとえ側蓋5とリール本体1との接合部にある接着剤が経年変化等により亀裂や剥離が生じても、温度低下時における空気の体積変化に伴う水の吸引は発生せず、電子回路や素子の劣化や誤作動を防止することができる。 【0024】本発明は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲で記載した範囲で種々の変形が可能である。例えば、上述した実施の形態では、制御ケース3、モータケース4、リール本体1の空洞部1aと側蓋5により画成される密閉ケースのすべてに対して伸縮性密閉容器をそれぞれ気密的に連通接続したが、必要に応じていずれかの密閉ケースにのみ密閉容器を気密的に連通させるようにしてもよい。また上述した実施の形態では3個の密閉ケースを前提に説明したが、密閉ケースの数も限定されず、例えばモータ駆動部6とモータ41とを同一の密閉ケース内に配置するようにしてもよい。またそれぞれの密閉ケースを単一の伸縮性密閉容器と連通接続するようにしてもよい。 【0025】 【発明の効果】請求項1記載の魚釣用電動リールによれば、モータ又はモータ駆動部又は制御回路の少なくとも1つが水密構造の密閉ケースに封入され、この密閉ケース内部が内部容積が可変の伸縮性密閉容器に気密的に連通して設けられているので、密閉ケース内で温度変化に伴う内圧の変化が生じても、密閉ケース内の空気は伸縮性密閉容器に排出されるか、または該密閉容器内の空気が密閉ケースに戻されるだけであるので、密閉ケースに僅かな隙間がありそこに水分が付着しているような場合に、隙間からの水分の負圧吸引を防止でき、従って密閉ケース内部に充填材を充填することなく、密閉ケース内部にある電気機器や電子回路素子の劣化、誤作動等を有効に防止することができ、より耐久性の向上した魚釣用電動リールを提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006943 【氏名又は名称】リョービ株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月7日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北澤 一浩 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−137140 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月25日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−322140 |
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