| 【発明の名称】 |
スピニングリール |
| 【発明者】 |
【氏名】川辺 雄三
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| 【要約】 |
【課題】キャスティングの際のスプールの前後位置の調整を、たらし長さに影響を与えることなく簡単に行えるようにする。
【解決手段】スピニングリールは、リール本体2と、ロータ3と、スプール軸20と、スプール4と、ロータ駆動機構5と、オシレーティング機構6と、スプール保持機構17とを備えている。ロータは、リール本体に回転自在に装着され釣り糸を巻き取るためものである。スプール軸は、前後移動自在にリール本体に装着され先端がロータから突出している。スプールは、スプール軸に装着されている。ロータ駆動機構は、ハンドルの回転に連動してロータを回転させる。オシレーティング機構は、ロータの回転に連動してスプール軸を前後に往復駆動する。スプール保持機構は、スプールを往復駆動機構の動作と別にスプール軸に前進位置と後退位置とに移動自在に保持する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】釣り竿の軸方向に沿った軸回りに釣り糸を巻き取るスピニングリールであって、ハンドルを有し前記釣り竿に装着可能なリール本体と、前記リール本体に回転自在に装着され前記釣り糸を巻き取るためのロータと、前後移動自在に前記リール本体に装着され先端が前記ロータから突出したスプール軸と、前記スプール軸に装着されるスプールと、前記ハンドルの回転に連動して前記ロータを回転させるロータ駆動機構と、前記ロータの回転に連動して前記スプール軸を前後に往復駆動する往復駆動機構と、前記スプールを前記往復駆動機構の動作と別にスプール軸に前進位置と後退位置とに移動自在に保持するスプール保持機構と、を備えたスピニングリール。 【請求項2】前記スプールは外周に釣り糸を巻き付け可能な糸巻筒体を有し、前記スプール保持機構は、前記スプール軸の先端に装着され前記糸巻筒体を軸方向に移動自在に支持する支持筒体と、前記前進位置と後退位置とで前記糸巻筒体を前記支持筒体に保持及び保持解除可能な筒体保持手段とを有する、請求項1に記載のスピニングリール。 【請求項3】前記支持筒体は、前記スプール軸の先端に回動不能に固定されている、請求項2に記載のスピニングリール。 【請求項4】前記糸巻筒体は前記支持筒体に前記スプール軸周りに回動かつ前後移動自在に装着され、前記筒体保持手段は、前記糸巻筒体及び支持筒体とのいずれか一方の筒体の他方の筒体との対向面に周方向に移動不能に設けられ前記他方の筒体に接触可能な保持部材と、前記両筒体の相対回転により前記保持部材が強く接触して前記糸巻筒体を前記支持筒体で保持し得るように前記他方の筒体に設けられた接触部と、前記両筒体の相対回転により前記保持部材による保持が解除され前記糸巻筒体を前記支持筒体に対して移動し得るように前記他方の筒体に設けられた逃げ部と、前記糸巻筒体及び支持筒体のいずれか一方に前記前進位置において周方向に形成された第1周溝部と、前記第1周溝部から軸方向に沿って後退位置まで延びる軸溝部と、前記軸溝部から周方向に前記第1周溝部と対向して形成された第2周溝部とを有するガイド溝と、前記糸巻筒体及び支持筒体のいずれか他方に前記ガイド溝に係合するように装着されたガイド部材とを有し、前記第1周溝部及び第2周溝部の端部に前記ガイド部材が配置されると前記保持部材が前記接触部に強く接触して前記糸巻筒体が支持筒体に移動不能に保持され、前記軸溝部に前記ガイド部材が配置されると前記保持部材が前記逃げ部に配置されて保持解除され前記糸巻筒体が支持筒体に対して移動可能になる、請求項2又は3に記載のスピニングリール。 【請求項5】前記ガイド部材は、前記ガイド溝に先端が係合する軸部材である、請求項4に記載のスピニングリール。 【請求項6】前記スプールは、前記糸巻筒体と支持筒体とが相対移動すると発音する発音機構をさらに有する、請求項2から5のいずれかに記載のスピニングリール。 【請求項7】前記往復駆動機構は、前記ロータが20回転以上回転したときに前記スプールを1ストローク前後進させる、請求項2から6のいずれかに記載のスピニングリール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、釣り用リール、特に、釣り竿の軸方向に沿った軸回りに釣り糸を巻き取るスピニングリールに関する。 【0002】 【従来の技術】スピニングリール等の釣り用リールには、釣り糸を巻き付けるためにリール本体にスプールが装着されている。スピニングリールのスプールは、釣り竿の軸方向に沿って配置された前側が後側より小径の円錐台形状の糸巻胴部を有している。スプールの両側方にはロータアームが配置されており、ロータアームの先端にはスプールに釣糸を案内するためのベールアームが装着されている。 【0003】このようなスピニングリールでは、巻取時には、ハンドルを回すとロータが回転しベールアームがスプールの周りを回転して釣り糸を糸巻胴部に巻き付ける。繰り出し時には、ベールアームを開放姿勢することで釣り糸が糸巻胴部から前方に向けて放出される。遠投用のスピニングリールを用いて砂浜から遠いポイントに仕掛けを飛ばすキャスティングを行うときには、投げる前にハンドルを回転させてスプールを往復ストロークの最前方に位置させることがある。このようにスプールを最前方に位置させると、スプールから放出される釣糸とロータアームとの干渉を最小限に抑えることができ、仕掛けを遠くのポイントに飛ばしやすい。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】一般にキャスティングを行う場合には、釣り竿の先端から仕掛けまでの距離、つまりたらし長さを最適な長さにする必要がある。たらし長さが最適な長さより短かったり長かったりすると、仕掛けの飛距離が短くなることがある。しかし、前記従来のスピニングリールでは、ハンドルによりスプールを移動させると、ロータアームが回転し、釣り糸が巻き取られたり繰り出されたりする。このため、スプールをハンドルの回転により最前方に位置させるとたらし長さが変動し、たらし長さを最適な長さに調整するのが困難である。また、ハンドル1回転当たりのスプールの移動距離が小さいスピニングリール、つまり釣り糸をスプールに密に巻き付可能なスピニングリールでは、スプールを最前方に移動させるためにはハンドルを多く回転させなければならず、スプールの移動に手間がかかる。 【0005】本発明の課題は、スピニングリールにおいて、キャスティングの際のスプールの前後位置の調整を、たらし長さに影響を与えることなく簡単に行えるようにすることにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニングリールは、釣り竿の軸方向に沿った軸回りに釣り糸を巻き取るリールであって、リール本体と、ロータと、スプール軸と、スプールと、ロータ駆動機構と、往駆動機構と、スプール保持機構とを備えている。リール本体は、ハンドルを有し釣り竿に装着可能なものである。ロータは、リール本体に回転自在に装着され釣り糸を巻き取るためものである。スプール軸は、前後移動自在にリール本体に装着され先端がロータから突出している。スプールは、スプール軸に装着されている。ロータ駆動機構は、ハンドルの回転に連動してロータを回転させる。往復駆動機構は、ロータの回転に連動してスプール軸を前後に往復駆動する。スプール保持機構は、スプールを往復駆動機構の動作と別にスプール軸に前進位置と後退位置とに移動自在に保持する。 【0007】このスピニングリールでは、キャスティングを行う場合には、後退位置に配置されたスプールの保持を解除してスプールを前進位置に移動させスプール軸に再度保持させる。この状態で釣り竿を振って仕掛けを投げる。そしてキャスティングが終わると保持を解除してスプールを後退位置に後退させてスプール軸に再度保持させる。ここでは、ロータを回転させることなくスプールを前進位置に配置できるので、キャスティングの際のスプールの前後位置の調整を、たらし長さに影響を与えることなく簡単に行うことができる。 【0008】発明2に係るスピニングリールは、発明1に記載のリールにおいて、スプールは外周に釣り糸を巻き付け可能な糸巻筒体を有し、スプール保持機構は、スプール軸の先端に装着され糸巻筒体を軸方向に移動自在に支持する支持筒体と、前進位置と後退位置とで糸巻筒体を支持筒体に保持及び保持解除可能な筒体保持手段とを有する。この場合には、キャスティング時に保持を解除して糸巻筒体を支持筒体に対して前進位置に移動させ再度糸巻筒体を支持筒体に保持させる。そして、キャスティングが終わると、糸巻筒体を支持筒体に対して後退位置に移動させ再度糸巻筒体を支持筒体に保持させる。ここでは、通常のスプールを二重構造にし一方でスプールを他方でスプール保持機構をそれぞれ構成することで、簡素な構成でスプールの前後移動構造を実現できる。 【0009】発明3に係るスピニングリールは、発明2に記載のリールにおいて、支持筒体は、スプール軸の先端に回動不能に固定されている。この場合には、支持筒体がスプール軸の先端に固定されているので、スプールの支持構造が簡素になる。発明4に係るスピニングリールは、発明2又は3に記載のリールにおいて、糸巻筒体は支持筒体にスプール軸周りに回動かつ前後移動自在に装着され、筒体保持手段は、糸巻筒体及び支持筒体とのいずれか一方の筒体の他方の筒体との対向面に周方向に移動不能に設けられ他方の筒体に接触可能な保持部材と、両筒体の相対回転により保持部材が強く接触して糸巻筒体を支持筒体で保持し得るように他方の筒体に設けられた接触部と、両筒体の相対回転により保持部材による保持が解除され糸巻筒体を支持筒体に対して移動し得るように他方の筒体に設けられた逃げ部と、糸巻筒体及び支持筒体のいずれか一方に前進位置において周方向に形成された第1周溝部と第1周溝部から軸方向に沿って後退位置まで延びる軸溝部と軸溝部から周方向に第1周溝部と対向して形成された第2周溝部とを有するガイド溝と、糸巻筒体及び支持筒体のいずれか他方にガイド溝に係合するように装着されたガイド部材とを有し、第1周溝部及び第2周溝部の端部にガイド部材が配置されると保持部材が接触部に強く接触して糸巻筒体が支持筒体に移動不能に保持され、軸溝部にガイド部材が配置されると保持部材が逃げ部に配置され糸巻筒体が支持筒体に対して移動可能になる。 【0010】この場合には、保持部材が接触部に強く接触して糸巻筒体が支持筒体に保持された状態から糸巻筒体を支持筒体に対して回動させると、保持部材が接触部から逃げ部に配置され保持が解除される。この解除状態では、ガイド部材がガイド溝に周方向及び軸方向に案内されて糸巻筒体が前進又は後退可能になる。糸巻筒体が前進位置又は後退位置に到達すると、逆方向に糸巻筒体を回動させることで保持部材が接触部に強く接触し、糸巻筒体が支持筒体に再度保持される。ここでは、回動動作により保持及び保持解除を行いかつガイド溝とガイド部材により糸巻筒体を支持筒体に対して常に同じ軌跡で移動させることで、糸巻筒体の保持及び解除並びに前後移動を簡単な操作で行える。 【0011】発明5に係るスピニングリールは、発明4に記載のリールにおいて、ガイド部材は、ガイド溝に先端が係合する軸部材である。この場合には、ガイド部材の構成が簡素である。発明6に係るスピニングリールは、発明2から5のいずれかに記載のリールにおいて、スプールは、糸巻筒体と支持筒体とが相対移動すると発音する発音機構をさらに有している。この場合には、糸巻筒体が支持筒体に対して相対移動すると発音するので、他の操作との違いを釣り人が簡単に認識できる。 【0012】発明7に係るスピニングリールは、発明2から6のいずれかに記載のリールにおいて、往復駆動機構は、ロータが20回転以上回転したときにスプールを1ストローク前後進させる。この場合には、支持筒体に釣り糸を密に巻きつけることができるので、長い釣り糸をスプールに効率良く巻き付けることができる。しかも、ハンドルを回さずにスプールを前進位置に配置できるので、スプールの前進位置への配置が容易である。 【0013】 【発明の実施の形態】 〔全体構成及びリール本体の構成〕図1〜図3において、本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は釣り糸をその外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動可能に配置されている。 【0014】リール本体2は、ロータ3やスプール4を支持する筐体部10と、筐体部10の両側面に着脱自在にネジ止めされた1対の蓋体部11a,11bと、筐体部10から上方に延びる竿取付部12とを有している。筐体部10はたとえばアルミニウム合金製の薄肉部分と厚肉部分とが混在した部材であり、両側に開口部10a,10bを有している。筐体部10の内部には、ロータ3を回転させるためのロータ駆動機構5と、スプール4を前後移動させて均一に釣り糸を巻き取るためのオシレーティング機構6と、オシレーティング機構6と別に前後移動自在にスプール4をスプール軸20に保持及び解除するスプール保持機構17とが設けられている。 【0015】蓋体部11a,11bは、たとえばマグネシウム合金製の薄肉の部材であり、筐体部10の開口部10a,10bをそれぞれをカバーする。蓋体部11a,11bは、たとえばマグネシウム合金が持つチクソトロピ性を利用したチクソモールディング法によりマグネシウム合金を射出成形して製造される。なお、耐食性を確保するためにマグネシウム合金の表面はクロメート処理されている。一方の蓋体部11a(図3下側)には、ハンドル1が先端に固定されたハンドル軸7を支持する側方に突出する筒状のハンドル支持部8が設けられている。ハンドル支持部8の両端には軸受9,9が配置されており、軸受9,9によりハンドル軸7はハンドル支持部8に回転自在に支持されている。 【0016】竿取付部12は、筐体部10から上方に斜め前方に延びる部材であり、筐体部10と一体でほぼT字型に形成されている。竿取付部12の上部には、竿取付面12aが形成されている。ロータ駆動機構5は、ハンドル軸7の基端にハンドル軸7と一体で形成されたマスターギア13と、マスターギア13に噛み合うピニオンギア14とを有している。ピニオンギア14は筒状に形成されており、その前部14aはロータ3の中心部を貫通してスプール4側に延びている。そして、その先端にはネジ部が形成されている。ピニオンギア14は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受15,16を介してリール本体2の筐体部10に回転自在に支持されている。 〔オシレーティング機構の構成〕オシレーティング機構6は、スプール4の中心部を先端で固定したスプール軸20を前後方向に往復移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、ロータ3が75回転したときにスプール4を1ストローク前進及び後退させる。したがって、ロータ3が37.5回転すると後退端から前進端又は前進端から後退端まで1ストロークの半分だけスプール4が移動する。オシレーティング機構6は、スプール軸20の上方に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、螺軸21の先端に装着された減速機構23とを有している。 【0017】螺軸21は、スプール軸20と平行に配置されており、先端部がロータ3の内部で筐体部10に回転自在に支持されている。また、螺軸21の外周部には螺旋状の溝21aが形成されており、後端には平坦部20aが形成されている。螺軸21の溝21aは、たとえば螺軸21が10回転するとスライダ22が1ストローク前後進するように形成されている。 【0018】スライダ22はスプール軸20の後端の平坦部20aに軸方向移動不能及び回転不能に固定されている。スライダ22は、螺軸21の上方及び下方に平行に配置されたガイド軸24a,24bにより軸方向に案内される。減速機構23は、スプール4に釣り糸を密に巻き付けるためにピニオンギア14の回転を減速して螺軸21に伝達する機構である。減速機構23は、図8に示すように、第1減速部23aと第2減速部23bとを有している。第1減速部23aは、スプール軸20の図8奥側にスプール軸20と平行に配置された第1減速軸90と、第1減速軸90に回転不能に設けられた中間ギア91と、第1減速軸90の中間ギア91より前側に設けられた第1ウォームギア92と、第1ウォームギア92に噛み合う第1ウォームホイール93とを有している。第1減速軸90は、リール本体1の筐体部10に回転自在に装着されている。中間ギア91は、ピニオンギア14に噛み合っている。第1ウォームホイール93は、後述する第2減速軸94に回転不能に設けられている。 【0019】第2減速部23bは、第1減速軸90と直交するようにスプール軸20の上方に配置されリール本体1の筐体部10に回転自在に支持された第2減速軸94と、第1ウォームホイール93より図8手前側で第2減速軸94に回転不能に設けられた第2ウォームギア95と、第2ウォームギア95に噛み合う第2ウォームホイール96とを有している。第2ウォームホイール96は、螺軸21の先端に回転不能に設けられている。 【0020】このような構成の減速機構23では、2つの減速部23a,23bにより2段階でピニオンギア14の回転を減速して螺軸21に伝達する。ここでは、たとえばピニオンギア14が7.5回転、つまりロータ3が7.5回転すると螺軸21が1回転するように減速機構23の減速比が設定されている。したがって、螺軸21の溝21aの形状と減速機構23の減速比とからロータが、たとえは75回転するとスプール4が1ストローク分前進及び後退し、スプール4に釣り糸を密に巻き付けることができる。なお、スプール4の1ストロークに対してロータ3が20回転以上回転するようにオシレーティング機構6を構成すればスプール4に釣り糸を密に巻き付けることができ、釣り糸をスプール4に効率良く巻き付けできる。 〔ロータの構成〕ロータ3は、図1及び図4に示すように、円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とを有している。円筒部30と両ロータアーム31,32とは一体成形されている。円筒部30の前部には前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボス33aが形成されている。このボス33aの貫通孔をピニオンギア14の前部14a及びスプール軸20が貫通している。前壁33の前方側にはナット34が配置されており、このナット34がピニオンギア14の先端のネジ部に螺合している。ナット34の内周部には、ナット34をスプール軸20に対して回転自在に支持するための軸受35が配置されている。 【0021】また、円筒部30の内部にはロータ3の逆転防止機構37が配置されている。逆転防止機構37は、ローラ型のワンウェイクラッチ(図示せず)と、ワンウェイクラッチを作動状態及び非作動状態に切り換える操作機構38とを有している。ワンウェイクラッチは、外輪が筐体部10に固定され、内輪がピニオンギア14に固定されている。操作機構38は、筐体部10の下部に配置された操作レバー39を有しており、操作レバー39を揺動させることでワンウェイクラッチが2つの状態に切り換られ、作動状態のときにロータ3が逆転不能になり、非作動状態のときロータ3が逆転可能になる。 【0022】ロータ3の前壁33には、前方に開口を有する筒状の糸噛み防止部材36が設けられている。この糸噛み防止部材36は、外周先端部に段部36aを有しており、スプール4に巻き付けられた釣り糸がロータ3との間の隙間から入ってスプール軸20に噛み込むのを防止するために設けられている。 〔ベールアームの構成〕図1〜図3に示すように、第1及び第2ロータアーム31,32の先端にはベールアーム40が開閉自在に装着されている。ベールアーム40は、第1及び第2ロータアーム31,32の先端の内周側にそれぞれ揺動自在に装着された第1及び第2ベール支持部材41a,41bと、釣り糸案内機構42と、釣り糸案内機構42及び第2ベール支持部材41bに両端が固定されたベール46とを有している。第1ベール支持部材41aは、2つの軸受40aにより第1ロータアーム31に回転自在に支持されている。釣り糸案内機構42は、釣り糸をスプール4に案内するためものであり、第1ベール支持部材41aの先端に装着されている。ここで、第2ベール支持部材41bを、例えば、他の部分より比重の大きい材質で構成し、第1ベール支持部材41a及び釣り糸案内機構42に起因する回転時のアンバランスを解消するためのバランサとして機能させている。これにより、ベールアーム40を含むロータ3全体は、動的バランスが釣り合ったものになる。 【0023】また、各ベール支持部材41a,41bをロータアーム31,32の内周側に装着することにより、ベールアーム40の回転半径が小さくなり、釣り竿も持つ手に当たりにくくなる。したがって、竿取付部12を短くしてスプール4と釣り竿を近づけることができ、全体として小型化が可能になる。ここで、両ベール支持部材41a,41bは、一本の揺動軸Mを中心に揺動自在である。そして、揺動軸Mと第1ロータアーム31の第1ベール支持部材取付面とが交差する点を揺動中心C1とし、揺動軸Mと第2ロータアーム32の第2ベール支持部材取付面とが交差する点を揺動中心C2とした場合、揺動中心C2は揺動中心C1より前方に位置している。すなわち、揺動軸Mは、スプール軸20と直交する軸に対して後方に傾いている。また、各ベール支持部材41a,41bは、それらの揺動面が揺動軸Mに対して直交するように配置されている。 【0024】釣り糸案内機構42は、図2及び図3に示すように、第1ベール支持部材41aに一端が固定された固定軸(図示せず)と、固定軸と一体で形成された固定軸カバー44と、概略筒状のラインローラ45とを有している。固定軸43は、固定軸カバー44と一体で切削加工により製作された部材である。固定軸43は、基端が固定軸カバー44から延びており、先端が第1ベール支持部材41aの先端に固定されている。固定軸カバー44は頂点が中心からずれた略円錐形状であり、その頂点は、固定軸の軸芯を基準にしてリールの後方向でかつスプール4の径方向外方を向いている。この円錐の頂点付近の稜線部にベール46が稜線部と滑らかに接合されている。このベール46と固定軸カバー44との接合部は、円錐の頂点より釣り糸案内側に偏倚している。ラインローラ45は、固定軸に軸受を介して回転自在に支持されている。ベール46は、固定軸カバー44と第2ベール支持部材41bとに挿入固定されている。ベール46は、スプール4の周方向外方に湾曲して配置され、釣り糸を固定軸カバー44を介してラインローラ45に導く。ここで、固定軸カバー44及びベール46のラインローラ側部分46a(図2)の釣り糸案内側接触部46b(図1)とスプール4上での釣り糸接触部との距離Rがベール46からラインローラ45に向かうに従って短くなるように、固定軸カバー44及びベール46は構成されている。 〔スプール及びスプール保持機構の構成〕スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸20の先端にスプール保持機構17を介して固定されている。スプール保持機構17は、図4に示すように、スプール軸20の先端に固定された支持筒体25を有し、スプール4は、支持筒体25の外周側に前後移動可能に装着され外周に釣り糸を巻き付け可能な糸巻筒体26を有している。この糸巻筒体26をキャスティング時に支持筒体25から前進させることでロータアーム31,32への釣り糸の干渉を少なくすることができる。 【0025】支持筒体25は、有底筒状の部材であり、スプール軸20の先端に回転不能に装着された円板部材27と、円板部材27の外周部に固定された筒状部材28とを有している。円板部材27の中心部には、スプール軸20に回転不能に装着されたボス部29が形成されている。円板部材27の径方向の中間部には、段差部27aが形成されている。 【0026】筒状部材28は、先端が円板部材27の外周側面にビス止めされ、後端がロータ3の円筒部30の後部まで延びている。図5に示すように、筒状部材28の下部周面(図7の上部周面)には軸方向に沿って延びる保持溝50が形成され、保持溝50の上方には保持溝50から周方向に間隔を隔てて配置されたコ字状のガイド溝51が形成されている。保持溝50には、弾性樹脂製の保持部材52が装着されている。 【0027】保持部材52は、保持溝50により周方向に回動不能かつ軸方向(前後方向)に移動自在に設けられている。保持部材52の先端は、通常の保持状態では、図6に2点鎖線で示すように、糸巻筒体26の後端部内周面(接触面54)に圧接して弾性変形している。これにより糸巻筒体26が支持筒体25に相対回転することなく保持される。 【0028】ガイド溝51は、図5及び図6に示すように、後退位置において周方向に形成された第1周溝部51aと、第1周溝部51aから軸方向に沿って後退位置から前進位置まで延びる軸溝部51bと、軸溝部51bから前進位置で周方向に第1周溝部51aと対向して形成された第2周溝部51cとを有している。第1周溝部51a及び第2周溝部51cは図6に示すように、A点(C点)からB点(D点)まで角度αだけ糸巻筒体26が回転するように形成されている。また、軸溝部51bは、B点からC点まで糸巻筒体26が前進し得るように形成されている。 【0029】このガイド溝51に、図6に示すように、棒状のガイド部材53の先端が係合している。ガイド部材53は、糸巻筒体26の後端部に形成された後述する後フランジ部61に先端側が内周側に突出するようにねじ込み固定されており、支持筒体25に対して糸巻筒体26が回動及び軸方向に移動するとき、糸巻筒体26を一定の軌跡で案内するために設けられている。 【0030】糸巻筒体26は、支持筒体25の外周側に回転自在かつ軸方向移動自在に装着されている。また、糸巻筒体26は、後述する保持部材52により支持筒体25に回転かつ移動不能に保持される。糸巻筒体26は、外周に釣り糸が巻き付けられる先細りテーパ筒状の糸巻胴部60と、糸巻胴部60の後部にそれより大径に一体で形成された後フランジ部61と、糸巻胴部60の前部に固定された大径の前フランジ部62とを有している。糸巻胴部60はロータ3の円筒部30の外周側まで延びており、通常のスピニングリールより胴長さが長くなっている。また、両フランジ部61,62のフランジ高さは、通常のスピニングリールより低くなっている。これにより、糸放出時の抵抗が少なくなり、細い釣り糸を糸巻胴部60に巻き付けても釣り糸がよれにくくなっている。 【0031】糸巻胴部60は、内側部材70と、内側部材70の外周側に同芯に重ねて装着された薄肉の外側部材71とを有している。内側部材70は、たとえば、1.0mm〜1.5mm程度のアルミニウム合金製の先細り筒状の部材である。なお、この内側部材70を蓋体部11a,11bと同様にマグネシウム合金製にしてもよい。また、内側部材70の後部に後フランジ部61が一体で形成されている。内側部材70の外周面には、内外周を貫通する多数の丸孔74が形成されている。丸孔74は、スプール4の軽量化を図るために形成されており、位相をずらして周方向及び軸方向に間隔を隔てて配置されている。 【0032】外側部材71は、周面に多数の貫通孔75を有するたとえばステンレス製の金網を先細り筒状に成形して得られた部材である。外側部材71は、先端に内側に折れ曲がる係止部71aを有し、後端に外側に折れ曲がる鍔部71bを有している。この係止部71aが内側部材70の先端に係止される。また鍔部71bは後フランジ部61に螺合するネジリング76により糸巻胴部60と後フランジ部61との段差部に固定されている。 【0033】このようにスプール4の糸巻胴部60を厚肉の内側部材70と金網を成形した薄肉の外側部材71とで構成することで、糸巻形状を貫通孔をあけていない場合とほとんど同じにすることができるとともに、多数の貫通孔75により滑り止め効果も期待できる。後フランジ部61には、内周部にリング状の接触面54が形成されている。この接触面54に保持部材52の先端が強く接触する。図6に示すように、接触面54において、ガイド部材53がガイド溝51の軸溝部51bに位置したときに保持部材52の先端に接触する位置には、偏芯円弧により形成された逃げ面55が形成されている。この逃げ面55に保持部材52が配置されると、図6に実線で示すように、保持部材52の先端が逃げ面55に緩く接触し、糸巻筒体26が支持筒体25に対して軸方向に移動自在になる。それ以外の接触面54に保持部材52が配置されると、接触面54に保持部材52の先端が強く接触して糸巻筒体26が支持筒体25に保持される。 【0034】また、後フランジ部61には、前述したようにガイド部材53がねじ込まれている。このねじ込み位置は、前述したようにガイド部材53がガイド溝51の軸溝部51bに位置したときに保持部材52の先端が逃げ面55に配置される位置である。さらに、図5及び図6に示すように、支持筒体25に対して糸巻筒体26が移動したときに発音する発音機構80が、支持筒体25と糸巻筒体26との間に装着されている。発音機構80は、糸巻筒体26の後フランジ部61の内周面に径方向に移動自在に装着された音出しピン81と、音出しピン81に対向して支持筒体25の筒状部材28の外周面に形成された多数の音出し孔82と、音出しピン81を支持筒体25側に付勢する音出しバネ83とを有している。音出しピン81は、先端が球状のきのこ形の軸状部材である。音出し孔82は、図5に示すように、音出しピン81に係合するように周方向及び径方向にコ字状に形成された球面孔であり、音出しバネ83に付勢された音出しピン81を音出し孔82で筒状部材28に衝突させるために形成されている。この音出しピン81の筒状部材28への衝突により糸巻筒体26が回動及び軸方向に移動すると発音する。 【0035】前フランジ部62は、底無し皿状の部材であり、内側部材70の前側周縁部とで外側部材71の係止部71aを挟んで固定している。前フランジ部62は、内側部材70に螺合するスプールリングカラー79により内側部材70との間で挟持され内側部材70に固定されている。内側部材70の前側内周部には雌ネジ部70aが形成されており、この雌ネジ部70aにスプールリングカラー79が螺合している。スプールリングカラー79は鍔付フランジ形状である。スプールリングカラー79の内周側にはスプールナット78が配置されている。スプールナット78は、スプール軸20の先端に螺合しており、スプール4の円板部材27をスプール軸20に固定している。 〔リールの操作及び動作〕このスピニングリールでは、キャスティング時には、スプール4の糸巻筒体26を後退位置から前進位置に移動させ、ロータアーム31,32に釣り糸が干渉しにくくする。具体的には、まず図5及び図6に示すA点からB点に糸巻筒体26を回転させ、保持部材52を接触面54から逃げ面55に位置させ糸巻筒体26の保持を解除する。この回転時には、ガイド部材53が第1周溝部51aをA点からB点まで移動する。また、発音機構80の音出しピン81が音出し孔82への衝突を繰り返し発音する。この保持解除状態で糸巻筒体26をB点からC点に前進させる。この移動時にはガイド部材53が軸溝部51bをB点からC点まで移動する。また、発音機構80の音出しピン81が音出し孔82への衝突を繰り返し発音する。そして最後に糸巻筒体26をC点からD点まで角度α回転させ、保持部材52を逃げ面55から接触面54に位置させ糸巻筒体26を支持筒体25に保持させる。これによりスプールの前進操作が完了する。このようなスプールの前進操作によりロータ3を回転させることなくスプール4の糸巻筒体26を前進位置に配置できるので、投げ釣りの際のスプール4の前後位置の調整を、たらし長さに影響を与えることなく簡単に行うことができる。 【0036】続いて、ベール46を糸巻取側から糸開放側に倒す。これにより第1及び第2ベール支持部材41a,41bは、揺動軸Mを中心として同方向に回転する。このとき、第1及び第2ベール支持部材41a,41bは、第1及び第2ロータアーム31,32の内周側に配置され、かつ揺動軸Mがスプール軸20に対して後方に傾いているので、第1ベール支持部材41a及びその先端のラインローラ45は、糸巻取姿勢時の位置よりもさらに内周側に移動する。このため、キャスティング時に繰り出された釣り糸が第1ベール支持部材41aやラインローラ45に絡みにくくなる。キャスティングが終わると、前進操作と逆の操作手順でスプール4の糸巻筒体26を前進位置から後退位置に戻す。 【0037】釣り糸巻取時には、ベール46を糸巻取姿勢に倒す。これは、ハンドル1を糸巻取方向に回転させると図示しないカムとバネの働きにより自動的に行われる。ハンドル1を糸巻取方向に回転させると、この回転力はハンドル軸7及びマスターギア13を介してピニオンギア14に伝達される。このピニオンギア14に伝達された回転力は、ピニオンギア14前部を介してロータ3に伝達され、ロータ3が糸巻取方向に回転する。また、ピニオンギア14に伝達された回転力は減速機構23を介して螺軸21に伝達されスプール4を前後進させる。 【0038】そして、ベール46が糸巻取姿勢に倒れてロータ3が回転するとともにスプール4が前後進すると、ベール46の後部(釣り糸案内側接触部)に接触した釣り糸は、ベール46により固定軸カバー44に案内される。固定軸カバー44に案内された釣り糸は、ラインローラ45に案内され、さらに、ラインローラ45で釣り糸の方向が変えられスプール4の糸巻胴部60の外周にすこしずつずれながら密に巻き取られる。 【0039】この糸巻胴部60は、軽量化を図るために内側部材70と外側部材71とに貫通孔が形成されているが、外側部材71が金網で形成されているので、釣り糸を傷つけたり糸巻形状をくずすことがない。また、2つの部材でスプール4を構成することで、デザイン的にも新しさを演出することができる。さらに、内側部材70に丸孔74が形成されているので、スプール4に巻かれた釣り糸の下巻部分にも空気が触れるため釣り糸が濡れても乾燥しやくなる。このため、環境に優しい生分解性を有する釣り糸を使用しても釣り糸が劣化しにくくなる。 【0040】この固定軸カバー44及びベール46のラインローラ側部分46aの釣り糸案内側接触部とスプール4上の釣り糸接触部との距離Rがベール46からラインローラ45に向かうに従って短くなるように、ベール46及び固定軸カバー44が構成されているので、スプール4との距離の増減変動がなくなり、釣り糸が引っ掛かりにくくなる。このため、釣り糸をベール46からラインローラ45にスムーズに案内することができる。 〔他の実施形態〕 (a) スプール保持機構17の前進位置及び後退位置での保持及び保持解除の構成は前記実施形態のように回転により行う構成に限定されるものではなく、たとえば、バネにより付勢されたピンによる軸方向への移動だけで保持及び保持解除する構成や、ネジにより糸巻筒体に支持筒体を保持及び保持解除する構成等の種々の変形が可能である。 【0041】(b) 前記実施形態では、通常のスプールをスプールとスプール保持機構との二重構造にしてスプールを前後に移動させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえばスプール軸を通常のスプール軸とその先端で前後に移動するスプール保持機構との二重構造にしてスプールを移動させる等の他の構成でもよい。 【0042】 【発明の効果】本発明によれば、ロータを回転させることなくスプールを前進位置に配置できるので、キャスティングの際のスプールの前後位置の調整を、たらし長さに影響を与えることなく簡単に行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002439 【氏名又は名称】株式会社シマノ
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月30日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−127740 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−299177 |
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