トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 魚釣用スピニングリール
【発明者】 【氏名】堤 わたる

【要約】 【課題】スプールに巻回された釣糸の最前端部における糸崩れの際先端の釣糸が環状で崩れても、環状釣糸が乗り越ないので、仕掛け投擲時の釣糸に崩れた釣糸が絡み付くことを防止できる。

【解決手段】スプール3がオシレートストロークの最後端に位置するときにスプールに巻回される釣糸4の前端部が位置するスプール外周面とスプールの後方側に設けられたフランジの外周面との間の距離をtとし、釣糸の前端部におけるスプール直径をDとし、Dに加える定数t’をt/2≦t’となるようにし、スプール直径Dの一方側端部を位置Oとし、位置Oを中心としてD+t’の仮想直線の先端部が円弧状の仮想軌跡VLを描いたとき、スプールの釣糸巻回胴部31の前端31aが前記仮想軌跡の外側に位置するように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リール本体に回転可能に装着されたロータと、リール本体にスプール軸を介して支持され、手動ハンドルの操作によるロータの回転で釣糸が巻回されるスプールと、前記スプール軸の後部に摺動子を取付け、該摺動子を有するオシレート機構によってハンドルの回転を前後動に変換して前記スプールを前後動させると共に、アームレバーとこれに対向配置した保持部材とからなるラインローラ支持部材を介してロータに取付けられ、釣糸の巻取操作時に釣糸をスプールに平行巻取案内するラインローラとを備えた魚釣用スピニングリールにおいて、スプールに巻回される釣糸が位置するスプール外周面とスプールの後方側に設けられたフランジの外周面との間の距離をtとし、前記スプールがオシレートストロークの最後端に位置するときに、前記ラインローラによって案内される釣糸の前端部におけるスプール直径をDとし、前記Dに加える定数t’をt/2≦t’となるようにし、前記スプール直径Dの一方側端部を位置Oとし、前記位置Oを中心としてD+t’の仮想直線の先端部が円弧状の仮想軌跡を描いたとき、スプールの釣糸巻回胴部の前端が前記仮想軌跡の外側に位置するように延出されていることを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】前記スピニングリールにおいて、スプールに前鍔を無くしたことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は魚釣用スピニングリールのスプールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】魚釣用スピニングリールに支持されたスプールには、通常巻回釣糸の糸崩れを防止する目的で、釣糸放出方向(前方側)端部に鍔部(前鍔)を設けたものがある。ところで、このような前鍔を設けた場合には、釣糸放出時に糸と擦れてしまい釣糸放出時の抵抗となり、仕掛けの飛距離を低減してしまうものとなっていた。このような欠点を解消すべく実開平3―27967号公報においては、スプールの釣糸巻回胴部を前方側へ向けて漸次大径となるようなテーパー状に形成して当該前鍔を無くすことで釣糸の放出抵抗の軽減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記実開平3―27967号の構成の場合には、前鍔が存在しないので、図7に示すように、スプールSに巻回された釣糸の放出時(図7(a))に、スプールSの先端側の巻回釣糸がループ状のまま崩れてスプール最前端を越えてしまう(図7(b))場合がある。この結果、図7(c)に示すように、崩れ落ちたループが仕掛け投擲時に放出されている釣糸に絡み付き、スプール巻回保持されている釣糸を引きずり出してバックラッシュ現象を誘発させてしまうといった不都合が残っている。
【0004】本発明は前記従来技術の課題に着目して提案されたもので、釣糸の放出抵抗を可能な限り減少させて仕掛けの飛距離の向上を図りながらも、釣糸の放出時に巻回釣糸がループ状のまま崩れて投擲時に放出されている釣糸に絡み付いてバックラッシュ現象の発生を有効に防止することのできるスプールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、リール本体に回転可能に装着されたロータと、リール本体にスプール軸を介して支持され、手動ハンドルの操作によるロータの回転で釣糸が巻回されるスプールと、前記スプール軸の後部に摺動子を取付け、該摺動子を有するオシレート機構によってハンドルの回転を前後動に変換して前記スプールを前後動させると共に、アームレバーとこれに対向配置した保持部材とからなるラインローラ支持部材を介してロータに取付けられ、釣糸の巻取操作時に釣糸をスプールに平行巻取案内するラインローラとを備えた魚釣用スピニングリールにおいて、スプールに巻回される釣糸が位置するスプール外周面とスプールの後方側に設けられたフランジの外周面との間の距離をtとし、前記スプールがオシレートストロークの最後端に位置するときに、前記ラインローラによってスプールに巻回案内される釣糸の前端部におけるスプール直径をDとし、前記Dに加える定数t’をt/2≦t’となるようにし、前記スプール直径Dの一方側端部を位置Oとし、前記位置Oを中心としてD+t’の仮想直線の先端部が円弧状の仮想軌跡を描いたとき、スプールの釣糸巻回胴部の前端が前記仮想軌跡の外側に位置するように延出するように構成することを特徴とする。
【0006】前記リールにおいて、スプールに前鍔をなくしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0008】第1の実施の形態におけるスピニングリールは、釣糸巻取機構や釣糸のスプールへの案内機構などは、基本的に従来から広く知られたスピニングリールと同様であり、図1に示すように、リール本体1の前部にはハンドルHの操作により回転するロータ2と、その内側にスプール3を有する。ロータ2には対称位置に一対の支持アーム21が先端側に向けて突出形成されており、この支持アーム21にはベール支持部材を介してベール23が反転自在に取り付けられている。また、支持アーム21の一方には、釣糸をスプール3の釣糸巻回胴部に案内するラインローラ25が設けられている。スプール軸の後部に摺動子を取付け、該摺動子を有するオシレート機構29によってハンドルHの回転を前後動に変換して前記スプール3を前後動させる。
【0009】本実施の形態におけるスプール3は、図1および図2に示すように、前方(釣糸放出方向側)に向けて漸次小径となるテーパー状をした釣糸巻回胴部31を有している。釣糸巻回胴部31の後方側には、該釣糸巻回胴部31の外径より大径の後部フランジ33が形成されている。
【0010】(1)スプール3の釣糸巻回胴部31後端と、スプール3の後方側に設けられたフランジ33の外周端部との間の距離をtとし、(2)ラインローラ25によって案内され、スプール3がオシレート最後端に位置するときに、スプール3に巻回される釣糸4の前端部におけるスプール3の直径をDとし、(3)前記スプール3の直径Dに加える定数t’をt/2≦t’となるようにする。(4)前記スプール3の直径Dの一方側端部を位置Oとする。
【0011】この場合、釣糸4のこぼれの原因の1ループの釣糸の直径はD+t’となり、前記位置Oを中心として円弧を描いた先端の軌跡Lは2点鎖線で示される。
【0012】このことから、釣糸巻回胴部31に巻回されているこぼれの原因の1ループの釣糸がスプール3の先端からこぼれ落ちないようにするために、スプールの釣糸巻回胴部31の少なくとも一部(例えば最前端31a)を前記軌跡の外側に位置させるように、スプール3を形成しておく。これによりループ状の糸がスプール前方に落ちるのを防止することができ、バックラッシュの発生を防止することができる。また、本構成によれば、スプールの前端側に前鍔を形成しておく必要がないので、仕掛けの投擲時の抵抗が軽減される。
【0013】次に、第2の実施の形態におけるスプールを図3を参照して説明する。前記第1の実施の形態におけるスプール3のテーパー角度は緩やかに設定していたが、第2の実施の形態におけるスプール5の釣糸巻回胴部51のテーパー角度は急になるように設定されている。この場合には、スプール5の釣糸巻回胴部51の前端に逆テーパー状の前鍔51aを形成しておき、この前鍔51aの位置を1ループの釣糸の直径であるD+t’が位置Oを中心として円弧を描いたときの先端の軌跡Lの外側に位置するように構成しておくものである。なお、図中における参照番号53は後部フランジである。
【0014】次に、第3の実施の形態におけるスプールを図4を参照して説明する。本実施の形態におけるスプール6は所謂ストレートタイプと呼ばれるもので、釣糸巻回胴部61が前端から後端まで同じ直径に構成されているものである。このスプール6において、釣糸巻回胴部61に巻回されているこぼれの原因の1ループの釣糸がスプール6の先端からこぼれ落ちないようにするために、スプール6の釣糸巻回胴部61の少なくとも一部(例えば最前端61a)を1ループの釣糸の直径であるD+t’が位置Oを中心として円弧を描いたときの先端の軌跡Lの外側に位置させるように構成しておく。
【0015】次に、第4の実施の形態におけるスプールを図5を参照して説明する。本実施の形態におけるスプール7は所謂逆テーパータイプと呼ばれるもので、釣糸巻回胴部71が後端から前側に向けて径が漸次大きくなるように構成されているものである。このスプール7において、釣糸巻回胴部71に巻回されているこぼれの原因の1ループの釣糸がスプール7の先端からこぼれ落ちないようにするために、スプール7の釣糸巻回胴部71の少なくとも一部(例えば最前端71a)を1ループの釣糸の直径であるD+t’が位置Oを中心として円弧を描いたときの先端の軌跡Lの外側に位置させるように構成しておく。
【0016】
【発明の効果】前記したように、本発明の魚釣用スピニングリールによれば、スプールに巻回された釣糸の最前端部における糸崩れの際に、先端の釣糸が環状で崩れても、該環状釣糸が乗り越えないので、仕掛け投擲時の釣糸に崩れた釣糸が絡み付くことを防止できる。
【0017】また、本発明によれば、スプールに前鍔を設けなくても、有効にバックラッシュを防止でき、釣糸の放出抵抗を軽減でき、投擲時に仕掛けの飛距離を伸ばすことができる。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月2日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−103733
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−286110