| 【発明の名称】 |
真珠養殖のための挿核施術方法及び挿核施術用具 |
| 【発明者】 |
【氏名】松下 努
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| 【要約】 |
【課題】真珠母貝に対して挿核施術のために与える傷を最小の範囲に止めることにより、母貝の死亡率を低下させ、また母貝の治癒期間を短縮させ、さらに、母貝からの脱核の発生率を低下させて、真珠養殖の生産性を向上させることができる、真珠養殖のための挿核施術方法、及びこの挿核施術方法の実施に使用する挿核施術用具を提供する。
【解決手段】本発明による挿核施術方法は、真珠母貝の、ピース及び核を移植する挿核部の真上又は近傍の位置に、レーザメス、電気メス又は超音波メスにより切開部を形成するステップ、及び、この切開部から、核及びピースを挿核部に移植するステップ、を含むことを特徴とするものである。また、本発明による挿核施術用具は、切開部の周辺を映し出すための内視鏡、及び、切開部を形成するためのレーザメス、電気メス又は超音波メス、を備えたことを特徴とするものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 真珠養殖のための挿核施術方法であって、真珠母貝の、ピース及び核を移植する挿核部の真上又は近傍の位置に、レーザメス、電気メス、又は超音波メスにより、切開部を形成するステップ、及び、この切開部から、ピース及び核を挿核部に移植するステップ、を含むことを特徴とする真珠養殖のための挿核施術方法。 【請求項2】 真珠養殖のための挿核施術方法であって、内部に真珠を形成している母貝の、真珠が在る部分の真上又は近傍の位置に、レーザメス、電気メス、又は超音波メスにより、切開部を形成するステップ、この切開部から真珠を取り出すステップ、及び、前記切開部から、新たに、ピース及び核を挿核部に移植するステップ、を含むことを特徴とする真珠養殖のための挿核施術方法。 【請求項3】 請求項1又は2の真珠養殖のための挿核施術方法の実施に使用するための挿核施術用具であって、切開部の周辺を映し出すための内視鏡、及び、切開部を形成するためのレーザメス、電気メス、又は超音波メス、を備えたことを特徴とする真珠養殖のための挿核施術用具。 【請求項4】 請求項3の挿核施術用具において、さらに、ピース又は核を外部から挿核部に移植するためにピース又は核を保持する保持部、を備えたことを特徴とする真珠養殖のための挿核施術用具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、真珠養殖用の挿核施術方法、及びこの挿核施術の実施に使用する挿核施術用具に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、母貝の肉の外側にある、真珠質を分泌する働きを持つ外套膜という組織の一部を切り取って成る切片(ピース)を、母貝の体内(生殖巣)に移植し、その際、ピースと一緒に真円の核を入れ、母貝により、この核の周りに真珠層を取り巻かせる、という真珠養殖が行われている。従来より、真珠養殖においては、前記のピースと核を母貝体内に入れる挿核施術は、最も重要な工程とされている。というのは、この挿核施術の技術内容如何により、出来上がった真珠のキズの有無などの品質や、母貝の生存度合などからくる生産歩留まり、などが大きく異なってくるからである。 【0003】従来の真珠養殖においては、この挿核施術は、例えば、愛媛県の例では、毎年2月頃から5月頃まで行われている。この挿核施術の従来のやり方を図3に基づいて説明すると、次の通りである。まず、開口器で貝殻を少し開け、くさびを差し込んで隙間を作る。次に、へらで内蔵部分を露出させ、表面を金属メスで少し切って切開部4を形成する。なお、この切開部4は、ピースと核を移植する挿核部3からある程度の距離だけ離れた場所に、形成するようにする。次に、この切開部4から生殖巣の中の挿核部3へ向かって、金属メス1を使用して、トンネル状の導入路5を形成する。そして、まずピースを、前記切開部4から挿入して、前記導入路5の中を移動させて、挿核部3に移植する。次に、同様に、核を、前記切開部4から前記導入路5の中を移動させて、挿核部3に移植する。なお、このとき、前記の移植されたピースと核とは、必ず密着するようにしておく。 【0004】また、この従来の挿核施術において、前記の切開部4を挿核部3から離れた場所に形成し、両者の間を結ぶための導入路5を形成し、前記の切開部4からわざわざ導入路5を介して挿核部3に移植するようにしているのは、次のような理由によっている。すなわち、母貝の傷をなるべく小さくするという観点からは、挿核部3の真上から切開しそこから移植するのが合理的であるが、その場合は、挿核部と切開部が近いために、母貝が核を異物と判断して外部に吐き出してしまう脱核(又は落核)が生じやすくなる。これに対して、挿入部3から離れた場所に切開部4を形成しておけば、挿核部3に核を移植した後に、母貝が核を吐き出そうとしても、核が外部に出るための切開部3が離れた場所にあるので、脱核(落核)が生じるのをある程度防ぐことができる。以上の理由による。なお、図3において、6は貝柱である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】以上に説明したように、従来の挿核施術では、核の脱核(落核)を防ぐために、母貝の挿核部3からかなり離れた場所にまず切開部4を形成し、ピースと核を、この切開部4からトンネル状の導入路5を通して挿核部3に移植するようにしている。しかしながら、このような従来の方法によると、真珠母貝の内部にトンネル状の導入路5という比較的長い傷を余分に形成することになるため、母貝に大きな傷を与えることになり、養殖の過程で母貝が死んでしまうことが少なくない。 【0006】また、このように大きな傷を母貝に形成するため、この母貝の傷が治癒するまでに少なくとも数週間以上の長い期間を必要としていた。そのため、前記の治癒期間だけ養殖の生産性がゼロとなり、養殖の生産効率が悪くなってしまう。また、前記の比較的長い治癒期間内に次々と脱核が発生してしまうため、歩留まりが悪くなる要因ともなっていた。 【0007】また、前述のように、トンネル状の長い導入路5を形成する関係で、面積の大きい切開部4や挿核部3を形成すると母貝が死んでしまう。そのため、切開部4や挿核部3の大きさも自ずと限定されてしまうので、大きな核を挿入できない(大きな真珠が養殖できない)という問題もあった。 【0008】また、従来の挿核施術では、切開部4と挿核部3とが距離的に離れているため、挿核部3においてピースと核とを密着させるために、高度な技能を必要としていた。そのため、このような技能を有する職人を養成する必要があり、そのために多大なコストを必要としていた。また、このような技能が無い者が挿核施術を行った場合は、挿核部3においてピースと核が分離してしまったり、母貝が死亡したりして、生産歩留まりの低下を招いていた。また、同じ理由から、ピースと核との密着が不十分なために、変形玉や白玉などの不良品の出現率が上がってしまうという不都合がしばしば生じていた。 【0009】本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたもので、真珠母貝に対して挿核施術のために与える傷を最小の範囲に止めることにより、母貝の死亡率を低下させ、また母貝の治癒期間を短縮させ、更に、母貝からの脱核の発生率を低下させて、真珠養殖の生産性を向上させると共に、ピースと核とを確実に密着させて変形玉や白玉などの不良品の出現率を抑えることができる、真珠養殖のための挿核施術方法を提供することを目的とする。 【0010】また、本発明は、レーザメスや電気メスを使用することにより、切開部から挿核部までの距離を最小とすると共に母貝へのダメージを少なくすることにより、従来よりも大きな切開部及び挿核部を形成できるようにして、従来よりも大きな核を移植して従来よりも大きな養殖真珠を生産できるようにし、真珠養殖の付加価値を高めることができると共に、挿核施術のための技術を簡素化、容易化して、養殖真珠の品質向上を図り、施術者のための長期の熟練を不要とすることができる、挿核施術方法を提供することを目的とする。 【0011】また、本発明は、このような挿核施術方法を実施するために使用する挿核施術用具を提供することをも目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決するための本発明による真珠養殖のための挿核施術方法は、真珠母貝の表面の、ピース及び核を移植する挿核部の真上又は近傍の位置に、レーザメス、電気メス、又は超音波メスにより、切開部を形成するステップ、及び、この切開部から、ピース及び核を挿核部に移植するステップ、を含むことを特徴とするものである。 【0013】また、本発明による真珠養殖のための挿核施術方法は、内部に真珠を形成している母貝の表面の、真珠が在る部分の真上又は近傍の位置に、レーザメス、電気メス、又は超音波メスにより、切開部を形成するステップ、この切開部から真珠を取り出すステップ、及び、前記切開部から、新たに、ピース及び核を挿核部に移植するステップ、を含むことを特徴とするものである。 【0014】なお、超音波メスは、超音波をエネルギー源にして動物の体などを切除・摘出するものである。超音波メスによる場合は、電気メスによる場合と比較して、細胞組織の損傷が少なく、切開と同時に周辺組織のタンパク質が凝固し血管をふさぐため出血が大幅に抑えられる(止血効果が高い)上に、電気メスのように組織の一部が熱により炭化するという問題もない、と言われている(1997年8月18日付け日経産業新聞の記事「オリンパスが超音波メス」を参照)。 【0015】また、本発明による真珠養殖のための挿核施術方法の実施に使用するための挿核施術用具は、切開部の周辺を映し出すための内視鏡、及び、切開部を形成するためのレーザメス、電気メス、又は超音波メス、を備えたことを特徴とするものである。 【0016】また、この真珠養殖のための挿核施術用具においては、さらに、ピース又は核を外部から挿核部に移植するためにピース又は核を保持する保持部を備えるのがよい。 【0017】 【発明の実施の形態】 実施形態1.以下、本発明の実施形態1による真珠養殖のための挿核施術方法を、図1に基づいて説明する。本実施形態では、施術者は、まず、開口器で母貝の貝殻を少し開けて、くさびを差し込んで隙間を作る。次に、この隙間からへらで母貝の内蔵部分を露出させ、表面をレーザメスで切開する。 【0018】ここで、レーザメスで切開する場所は、ピースと核を挿入する挿核部の真上かその近傍の場所とする。なお、このレーザメスは、従来の人体や動物の手術用のレーザメスなどをそのまま使用することができる。次に、ピースを前記切開部14から入れて、挿核部13に移植する。さらに、核を前記切開部14から入れて、前記ピースと密着するように、挿核部13に移植する。 【0019】以上のように、本実施形態では、図1に示すように、レーザメスにより、母貝の内蔵部分の表面に形成される切開部13は、挿核部13の真上かその近傍の場所となっている。このように、本実施形態では、前記切開部14を形成するためにレーザメスを使用しているので、切開部14からの出血がほとんど抑えられる。また、レーザメスで切断するため、傷口が包着してふさがるのが極めて早い。したがって、切開部14を挿核部13の真上か近傍の位置に形成しても、そのために脱核を発生する恐れはほとんど無い。よって、本実施形態では、挿核部13の真上か近傍の場所に、切開部14を形成するようにしている(従来の傷口が包着までの期間が長いため。その長い期間内に脱核が次々と発生するため、それらの脱核を防ぐために切開部を挿核部からわざわざ離れた場所に形成するようにしていた)。 【0020】また、本実施形態によれば、前記レーザメスにより切開部14を形成するようにしているので、切開部14の傷口が包着するまでの治癒期間が1日から数日間内と大幅に短縮されるようになる。その結果、従来は母貝の治癒期間内に多発していた脱核の発生が、大幅に減少するようになる。また、養殖生産に寄与しない治癒期間が短縮されるので、養殖の生産性も大幅に向上されるようになる。 【0021】また、本実施形態では、従来のように切開部14と挿核部13との間に導入路15を介在させることなく、挿核部13の真上又は近傍に切開部14を形成するようにしている。したがって、施術者は、従来のように、挿核部3と距離的に離れた切開部4からピース及び核を挿入する必要がないので、挿核部14にピースと核を密着して入れる作業が大幅に容易化、簡素化されるようになる。よって、挿核施術の失敗が減り、歩留まりが大幅に向上するようになる。また、その結果、挿核施術を行うことが経験が少ない技能の低い人でも可能になり、人材研修のための人件費コストを大幅に低下させられるようになる。 【0022】なお、上記の実施形態では、切開部を形成するためにレーザメスを使用するようにしているが、前記のレーザメスに代えて、電気メスを使用するようにしても、前記の実施形態1とほぼ同様な効果を得ることができる。なおここで、電気メスとは、高周波電流を用いた切開用メスのことである。電気メスを使用した場合は、前記レーザメスとほぼ同様のメリットを得ることができるが、電気メスは、その製造コストがレーザメスよりも大幅に低い点で、産業上の利用により適していると言える。 【0023】実施形態2.次に、本発明の実施形態2による挿核施術方法を説明する。前記の実施形態1は、未だ真珠を内部に有していない母貝に、ピース及び核を挿入するための方法について述べたものであるが、この実施形態2では、既に内部に真珠を有している母貝について、その真珠を取り出すと共に、その取り出した後に、母貝の前記真珠が有った場所(挿核部)に、ピース及び核を移植する場合、を扱うものである。 【0024】本実施形態による挿核施術方法は、次のとおりである。まず、内部に真珠を形成している母貝の表面の、真珠が在る部分の真上又は近傍の位置に、レーザメスにより、切開部を形成する。そして、この切開部から、真珠を取り出す。次に、前記切開部から、新たに、ピース及び核を挿核部に移植する。 【0025】従来より、既に内部に真珠を有している母貝についてその真珠を取り出す場合は、真珠の真上又は近傍の位置に、金属製メスで切開部を形成し、そこから真珠を取り出し、その後、この切開部から、新たに、ピース及び核を挿核部に移植するようにしていた。しかしながら、従来は、前記の切開部の形成を金属製メスを使用して行っていたため、母貝に大きな傷を与えて母貝を衰弱させて死亡させてしまうことが少なくなかった。また、従来は金属製メスを使用していたため、切開された傷口が包着するまでの治癒期間が長くかかり、その期間に脱核がしばしば発生してしまうという問題があった。 【0026】このような従来の方法に対して、本実施形態では、レーザメスにより切開部を形成するようにしているので、切開される部分が必要最小限に抑えられ、母貝のダメージが少なくなるので、母貝の死亡率が大幅に減少するようになる。また、切開された部分の包着するまでの治癒期間が短くなるので、脱核の発生率が大幅に低下するようになる。 【0027】なお、本実施形態2では、前記切開部を形成するためにレーザメスを使用するようにしているが、前記レーザメスに代えて、電気メスを使用しても、ほぼ同様な効果を得ることができる。 【0028】実施形態3.次に、実施形態1又は2による挿核施術方法を実施するために使用する挿核施術用具を、図2に基づいて説明する。図2において、21は対物レンズ、22はこの対物レンズ21で補足された映像を伝送するためのイメージファイバ、23はこのイメージファイバ22からの映像を施術者の眼前に届けるための接眼レンズ、27は前記対物レンズ21が映像を補足できるように観察対象物に対して光を供給するための光源ユニット、27aはこの光源ユニット27を制御するための制御用ボタン、28はこの光源ユニット27からの光を対象物に伝送するための光源供給用ファイバである。本実施形態においては、以上に述べた対物レンズ21、イメージファイバ22、及び接眼レンズ23などにより、施術者が母貝の貝殻内の内蔵表面を観察するための内視鏡が構成されている。 【0029】また図2において、24はレーザメス用のレーザ光を発振するレーザ発振器、24aはこのレーザ発振器24を制御するための制御用ボタン、25はこのレーザ光発振器24からのレーザ光を伝送するためのレーザファイバ、26はこのレーザファイバ25からのレーザ光を放射するためのプローブである。本実施形態では、上述したレーザ光発振器24、レーザファイバ25、及びプローブ26などにより、レーザメスが構成されている。なお、本実施形態では図示していないが、前記レーザ発振器24から発振されるレーザ光(ガスレーザなど)は透明であるため、そのの照射位置を確認するために、レーザ光とは別の有色のガイド光を照射させるようにするのが望ましい。 【0030】また図2において、29はピース吸着部で、ピース(外套膜の切片)を吸引しながら保持するためのものである。このピース吸着部29は、ピース吸着駆動部30により、管31を介して、ピースを吸引する。また、32は核吸着部で、核を吸引しながら保持するためのものである。この核吸着部32は、核吸着駆動部33により、管34を介して、核を吸引する。また、30aは前記ピース吸着駆動部を制御するための制御用ボタン、33aは前記核吸着駆動部33を制御するための制御用ボタンである。 【0031】次に、本実施形態3の動作を説明する。施術者は、まず、図2に示す挿核施術用具のピース吸着部29と核吸着部32に、それぞれ、ピース及び核を吸着させる。その後、開口器により母貝の貝殻を少し開けて、前記の挿核施術用具(図2参照)の先端部(対物端)を貝殻内部に差し込む。そして、前記制御ボタン27を制御して光源を供給しながら、前記内視鏡からの映像を目視する。さらに、この映像を目視しながら、前記制御用ボタン24aを操作して、レーザ発振器24からレーザ光を発振させる。このとき、施術者は、内視鏡からの映像を見ながら、前記プローブと母貝の内蔵表面との距離に対応して、前記制御用ボタン24aを操作して、発振されるレーザ光の出力の大きさを調整する。施術者は、前記レーザ光を、挿核部の真上かその近傍の位置に照射して、必要最小限の範囲だけを切開する。次に、この切開した部分から、前記ピース吸着部29を入れて、前記制御用ボタン30aを操作して、挿核部13の上にピースを対向させて、吸引を解除する。これにより、ピースが、挿核部内に移植される。次に、前記切開部から、前記核吸着部32を入れて、前記制御用ボタン33aを操作して、挿核部13の上に核対向させて、吸引を解除する。これにより、核が、前記ピースと密着した状態で、挿核部13内に移植される。 【0032】以上のように、本実施形態では、母貝の貝殻内部の観察、挿核部13の真上又は近傍部分の切開、及び、切開部14から挿核部13へのピース及び核の移植を、図2に示す挿核施術用具のみで一連に行うことができる。よって、本実施形態によれば、挿核施術が極めて効率化されると共に、容易化されるようになる。したがって、従来のように長年の熟練をした職人によらなくても、挿核施術を高精度に行えるようになるので、生産の歩留まりが向上すると共に、養殖真珠の品質も向上するようになる。 【0033】なお、本実施形態においては、前記ピース吸着部29と核吸着部32を、内視鏡及びレーザメスと一体的に構成するようにしているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、前記ピース吸着部29と核吸着部32を、内視鏡及びレーザメスと別体に構成するようにしてもよい。また、ピース及び核の移植のみは従来と同様に手作業で行うようにしてもよい。また、本実施形態においては、前記対物レンズ21からの映像をLCD(液晶表示装置)などのディスプレイに拡大して表示させ、施術者は、このディスプレイの表示を見ながら、作業を行うようにしてもよい。 【0034】以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明において、「真珠母貝」は、アコヤガイなどの2枚貝だけを意味するものではなく、アワビなどの1枚貝や巻貝など、およそ真珠養殖に使用できる貝を全て含むものである。 【0035】 【発明の効果】以上のように、本発明の挿核施術方法によれば、レーザメス、電気メス又は超音波メスにより、母貝の内蔵部分の表面を切開し、その切開部から挿核部へ直接にピース及び核の移植を行うようにしている。このように、本発明の挿核施術方法では、レーザメス、電気メス又は超音波メスを使用して、母貝の内蔵表面を切開するようにしているので、従来のような金属メスを使用して切開する場合に比べて、傷口が最小に止まり、出血がほとんど無く、傷口が包着するまでの治癒期間が大幅に短縮されるようになる。したがって、レーザメスなどで切開する場合は、前記のように包着までの治癒期間が極端に短くなるため、従来のように長い治癒期間の間に脱核が次々と発生するということがなくなる。よって、従来よりも、脱核の発生が大幅に抑えられるようになり、生産歩留まりが大幅に上昇するようになる。 【0036】また、本発明の挿核施術方法によれば、前述のように、レーザメス、電気メス又は超音波メスによる切開の場合は傷口の包着までの治癒期間が極端に短くなるために脱核の恐れがほとんど無くなる。その結果、従来のように、多発する脱核を防ぐために切開部を挿核部から離れた位置にわざわざ形成する必要がなくなる。そのため、従来のように、切開部と挿核部との間にトンネル状の導入路を形成する必要がなくなる。よって、従来の方法において母貝へ大きなダメージを与えていた導入路を形成する必要が無くなるので、母貝のダメージを大幅に低減させられるようになる。また、レーザメスなどを使用して切開する場合は、切開部からの出血がほとんど抑えられると共に、切開した傷口が包着してふさがるまでの期間が、金属製メスを使用する場合に比べて格段に早くなる。よって、本発明の挿核施術方法による場合は、挿核施術を原因とする母貝の死亡率を、従来に比べて大幅に低減させられるようになる。 【0037】また、本発明の挿核施術方法によれば、レーザメス、電気メス又は超音波メスにより切開部を形成するようにしているので、切開部の切傷の包着までの治癒期間がレーザメスなどによるときは1日から数日間内となり、従来と比較して治癒期間が大幅に短縮されるようになる。その結果、養殖の生産性に寄与しない治癒期間が短縮されることになり、養殖の生産性が大幅に向上するようになる。 【0038】また、本発明の挿核施術方法では、従来のように切開部と挿核部との間に導入路を介在させることなく、挿核部の真上又は近傍にレーザメス、電気メス又は超音波メスにより切開部を形成するようにしている。したがって、施術者は、従来のように挿核部と距離的に離れた切開部からピース及び核を移動させて移植する必要がなくなるので、挿核部にピース及び核を移植する作業が大幅に容易化、簡素化されることになる。その結果、挿核施術の失敗により母貝が死亡することが減少して、歩留まりが大きく向上するようになる。また、経験が少なく技能の低い人でも挿核施術を行えるようになるので、挿核施術のための人材養成を簡素化でき、人件費コストを低減させられるようになる。また、本発明によれば、技能の乏しい施術者でも、ピースと核とをより確実に密着させられるようになるので、変形玉や白玉などの不良品の発生率を大幅に抑えることが可能になる。 【0039】さらに、本発明の挿核施術方法では、レーザメス、電気メス又は超音波メスにより、挿核部の真上又は近傍に切開部を形成するようにしているので、従来の挿核部から離れた場所に切開部を形成する場合に比べて、切開部をより大きく形成することが可能になる。したがって、従来よりも大きく形成した切開部から従来よりも大きな核を移植することが可能になる。よって、従来よりも直径の大きな養殖真珠を生産することが可能になり、真珠養殖の付加価値がより高められるようになる。 【0040】また、本発明の挿核施術用具によれば、母貝の貝殻内部の観察、及び、挿核部の真上又は近傍部分の切開を、一連に行うことができるので、挿核施術が極めて効率化、容易化されるようになる。よって、従来のように長年の熟練を経た職人によらなくても、挿核施術を高精度に行うことができるようになるので、真珠養殖生産の歩留まりが向上し、品質も向上するようになる。 【0041】また、本発明の挿核施術用具によれば、母貝の貝殻内部の観察、挿核部の真上又は近傍部分の切開、及び、切開部から挿核部へのピース及び核の移植を、一連に行うことができるので、挿核施術がさらに効率化、容易化される。よって、従来のように長年の熟練をした職人によらなくても、挿核施術を高精度に行えるようになる。よって、挿核施術の失敗が減少し、生産の歩留まりが向上する。また、養殖真珠の品質も向上するようになる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】397061105 【氏名又は名称】グレイス・インターナショナル有限会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月1日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鯨田 雅信
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| 【公開番号】 |
特開平11−103713 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月20日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−286159 |
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