トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 魚釣用リールのスプール
【発明者】 【氏名】堤 わたる

【要約】 【課題】スプールの形状設計の自由度を保ちながらも、釣糸の放出性の向上及び良好な糸巻き状態を維持することのできる魚釣用リールのスプールを提供すること。

【解決手段】釣糸が巻回されるスプール1の釣糸巻回胴部13の外周面に、巻き始めの釣糸の結び目部分を略収容可能な深さの凹部である結び目収容周溝15を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 釣糸が巻回される釣糸巻回胴部の外周面に、巻き始めの釣糸の結び目部分を略収容可能な深さの凹部を形成し、該凹部内に釣糸を結び付ける釣糸係止部が設けられていることを特徴とする魚釣用リールのスプール。
【請求項2】 前記釣糸係止部が、係止突部で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リールのスプール。
【請求項3】 前記釣糸係止部が、釣糸が挿通可能な複数の貫通孔で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リールのスプール。
【請求項4】 前記凹部が、釣糸巻回胴部の軸方向に所定の間隔をおいて形成されている糸滑り防止用の周溝とは別の釣糸係止収容溝であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リールのスプール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は魚釣用リールのスプールに関る。
【0002】
【従来の技術】魚釣用リールの釣糸が巻回されるスプールの釣糸巻回胴部に巻き始めの釣糸を係止するための糸止部を形成したものが実開昭57−146876号、実開昭63−75170号、実開平7−7437号などで開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、実開昭57−146876号に開示されたものは、釣糸巻回胴部の後部に巻き始めの釣糸を巻回するための巻き始め巻回部を形成しておき、ここに巻き始めの釣糸を巻回させておく。そして、釣糸を後部鍔部の糸通し部を介して釣糸を巻回胴部に案内して巻回させるものである。しかし、この場合にはスプールの形状が複雑化するばかりでなく、全体の形状に制約が生じ、形状設計の自由度が損なわれるなどの課題を残していた。
【0004】次に、実開昭63−75170号に開示されたものは、釣糸巻回胴部に貫通孔を形成し、該貫通孔に挿通した釣糸の端部をスプール内側に形成した係止部に結び付けるものである。しかし、この場合には、前後動するスプールの内側にスペース及び係止部が必要となるため、内装部品やスプールの内部形状の制約が多くなる。しかも、スプールの内側で釣糸を結び付けるため、結び付け時にスプールをリール本体から外さなければならず、作業性が悪いといった課題を残していた。
【0005】また、実開平7−7437号に開示されたものは、繰り出し方向の釣糸の結び目部分を係止する係止段部を凹部によって形成し、この段部に釣糸の結び目部分を引っ掛けてスプールに釣糸を巻き始めるように構成している。この場合には、係止用の貫通孔を形成することなく釣糸をスプールの釣糸巻回胴部に係止できるので加工手間の簡素化により製作コストの低減できることが期待される。しかし、この係止段部は釣糸の結び目部分を引っ掛けて係止させることに主眼がおかれており、釣糸の結び目部分をスプールの釣糸巻回胴部外周面より突出しないようにして良好な糸巻き状態を維持したり、釣糸放出時の釣糸同志の引っ掛かりなどのトラブルを防止することへの配慮が欠けている。このため、釣糸の結び目部分が釣糸巻回胴部外周面より突出して釣糸放出時に釣糸同志の引っ掛かりによって釣糸が損傷、劣化し易いと共に放出性が悪く、更には良好な糸巻き状態を維持でき得ないなどの課題が残されている。
【0006】本発明は前記した従来技術の課題に着目して提案されたもので、スプールの形状設計の自由度を保ちながらも、釣糸の放出性の向上及び良好な糸巻き状態を維持することのできる魚釣用リールのスプールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するため、釣糸が巻回されるスプールの釣糸巻回胴部の外周面に、巻き始めの釣糸の結び目部分を略収容可能な深さの凹部を形成することを特徴とする。
【0008】また、本発明は、前記釣糸係止部が、係止突部で形成されていることを特徴とする。
【0009】また、本発明は、前記釣糸係止部が、釣糸が挿通可能な複数の貫通孔で形成されていることを特徴とする。
【0010】また、本発明は、前記凹部が、釣糸巻回胴部の軸方向に所定の間隔をおいて形成されている糸滑り防止用の周溝とは別の釣糸係止収容溝であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について詳細に説明するなお、以下の記載においては、第1の実施の形態を基本にして説明し、第2以降の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態で説明する部材や部位と同一の部材や部位については同一の参照番号を付与して説明する。
【0012】第1の実施の形態における魚釣用リールのスプールはスピニングリールに装着されるものを例にとって説明する。
【0013】図1は第1の実施の形態における魚釣用リールのスプールを装着したスピニングリールの全体を示した側面図であり、図2は本発明の第1の実施の形態におけるスプールを示した平面図、図3は図2におけるA−A断面図、図4は図3の拡大図である。
【0014】図1〜図4に示すように、第1の実施の形態におけるスプール1は、スピニングリール本体Bの前部に装着されるスプール1の前鍔10と後部スカート部11との間には後部に行くに従って漸次小径となるテーパー状に形成された釣糸巻回胴部13が形成されており、さらにこの釣糸巻回胴部13の外周面には軸方向に所定の間隔をおいて糸滑り防止周溝131が複数形成されている。
【0015】釣糸巻回胴部13の後側、すなわち後部スカート部11に近い部分の周面には、釣糸の結び目(結びコブ)TNを収容する結び目収容周溝15が全周域に亘って形成されている。この環状の結び目収容周溝15の深さ寸法は、釣糸Tの結び目TNの高さ(大きさ)によって決定されるものである。通常においては、当該スプールに巻回されるであろう最大太さの釣糸を基準にして(想定して)決定しておけば良い。
【0016】前記結び目収容周溝15の深さ寸法は、全周に亘って同じ深さを前提にして説明したが、本実施の形態においてはこれに限定されるものではなく、周方向に漸次深さを異なるようにしておいてもよく、また、結び目収容周溝15に同一あるいは異なる深さの凹部を複数形成しておくようにしておいてもよい。これらの場合には、スプール1の回転バランスを損なわせしめないような配慮が設計において要求されることはいうまでもない。
【0017】次に、第2の実施の形態を図5〜図7を参照して説明する。前記第1の実施の形態においては結び目収容周溝15を環状に、すなわち全周に亘って形成することとしたが、第2の実施の形態はこれに代えて、図5〜図7に示すように、結び目収容溝16を周方向の一部の領域に形成しておくものである。なお、図示の例においては結び目収容溝16を一つ形成しているが、この場合においては回転バランスを損なわないような配慮が要求される。また、この配慮としては、バランサを設けることなどの外、結び目収容溝16を複数設けておき、これらを周方向に均等に配置することも考えられる。
【0018】次に、第3の実施の形態を図8を参照して説明する。前記第1の実施の形態においては環状の結び目収容周溝15を釣糸巻回胴部13の後部スカート部11側に近接した位置に1本形成することとしたが、第3の実施の形態においては、図8に示すように、 結び目収容周溝15a,15bを2本形成しておくものである。図示の例においては結び目収容周溝15a,15bを2本としたがこれに限定されるものではなく、3本あるいはそれ以上であることを妨げるものではない。また、このように複数の結び目収容周溝を形成する場合においては、溝の深さ寸法を異なるものとしておいてもよい。また、特に図示しないが、第2の実施の形態の変形例として、図5〜図7で示した結び目収容溝16を軸方向に複数形成しておいてもよい。この場合にも周方向に結び目収容溝16を複数設けることとしておいてもよい。
【0019】次に、第4の実施の形態を図9を参照して説明する。前記第3の実施の形態においては、結び目収容周溝15a,15bを釣糸巻回胴部13の後部側に形成したが、第4の実施の形態においては、結び目収容溝15c,15dを前鍔10側に形成しておくものである。本実施の形態におけるスプール1の釣糸巻回胴部13は、前鍔10側に向けて漸次小径となるように構成されている。本実施の形態においても、結び目収容周溝の数は3本以上であることを妨げない。また、図5で示した第2の実施の形態における結び目収容溝16を前鍔10側に形成するものであってもよい。この場合においても、周方向あるいは軸方向に複数の結び目収容溝を形成するものであってもよい。
【0020】次に、第5の実施の形態を図10〜図11を参照して説明する。第5の実施の形態におけるスプールは、前記第1の実施の形態におけるスプール1の釣糸巻回胴部13の外周に形成された糸滑り防止用溝131を取り除いた外、結び目収容周溝15に径方向に2つの貫通孔21a,21bを穿設しておき、これらの貫通孔21a,21bの間に位置する隔壁部を釣糸を結び付ける係止部21cとする。すなわち、釣糸Tの先端をこの係止部21cに結び付ける。この場合においては、釣糸Tの結び目TNは結び目収容周溝15内に収容状態となって、釣糸巻回胴部13の外周面から突出しないようになっている。なお、この第5の実施の形態においても釣糸巻回胴部13の外周に形成された糸滑り防止用溝131を形成しておいても良いことは言うまでもない。
【0021】次に、第6の実施の形態について説明する。前記第5の実施の形態においては、結び目収容溝を環状溝としたが、第6の実施の形態においては、図13〜図15に示すように、釣糸巻回胴部13の釣糸Tの結び目部分に対応させる部分に結び目収容凹部31を形成しておき、さらに、この結び目収容凹部31に半径方向に向けて2つの貫通孔31a,31bを穿設して、両者の間に係止部31cを形成し、この係止部31cに釣糸を結び付けるものとする。
【0022】次に、第7の実施の形態について説明する。第7の実施の形態におけるスプールは、図16〜図18に示すように、釣糸巻回胴部13の所定位置に近接して2つの貫通孔41a,41bを穿設しておき、両貫通孔41a,41b間に係止部41cを形成しておく。そして、少なくとも一方の貫通孔41aの巻回胴部13の外周面側に該貫通孔41aと一体的に連通する凹部41dを形成しておく。係止部41cに釣糸Tを結び付けたときに、凹部41dに釣糸Tの結び目TNが収容されるようにする。
【0023】次に、第8の実施の形態について説明する。第8の実施の形態におけるスプールは、図19及び図20に示すように、釣糸巻回胴部13の外周面であって、後部スカート部11の近傍位置に、周方向に向けて延在する結び目収容凹部51を形成するとともに、この結び目収容凹部51の一側の壁面から周方向に向けて突出する係止凸部53を設けておき、この係止凸部53に釣糸Tを結び付けておくものである。このとき、釣糸Tの結び目TNは結び目収容凹部51内に収容された状態となる。なお、ここにおける係止凸部53は釣糸巻回胴部13を加工して一体となっているものを示したが、別体に形成したピンを固定させておくものであっても良い。
【0024】次に、第9の実施の形態について図21〜図23を参照して説明する。前記第8の実施の形態においては、釣糸Tを結び付ける係止凸部53を周方向に向けて延在するように設けたが、第9の実施の形態においては、例えば円形に結び目収容凹部61を形成しておき、釣糸Tを結び付ける係止凸部63を軸方向であって後部方向に向けて延在するように設けておくものである。なお、図21において参照番号65は係止凸部63を後部内側より嵌入するための加工作業用の挿通孔である。
【0025】次に、第10の実施の形態について説明する。前記各実施の形態においてはスピニングリールに適用するものを説明したが、第10の実施の形態は両軸受型リールに用いるスプールに関するものである。
【0026】図24〜図27に示すように、本発明の第10の実施形態におけるスプール8は、両軸受型リール本体Cの側板71,72間に回転自在に支持されている。なお、図示において参照番号75は、釣糸をスプール8に平行に巻回させるための釣糸案内装置、70は駆動伝達機構を介してスプール8を回転させるためのハンドルである。
【0027】スプール8の巻回胴部80外周面であって軸方向中央部には、釣糸の結び目を収容するための結び目収容凹部81が半径方向中心に向けて穿設されている。この結び目収容凹部81の大きさは特に限定されるものではなく、巻回される釣糸の太さや、結び方による結び目の大きさなどによって決定される。
【0028】結び目収容凹部81内の底面には半径方向外側に向けて係止凸部83が植設されている。この係止凸部83に釣糸の端部を結び付けておき、該係止凸部83と結び目収容凹部81との間に結び目部分が位置する。
【0029】なお、第10の実施の形態においては、結び目収容凹部81とこの中に配置される係止凸部83を1組設けるものを例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数設置しておくことを妨げるものではない。
【0030】
【発明の効果】前記したように、請求項1の発明によれば、簡単な構成で釣糸の結び目部分を凹部内に可及的に収容できて釣糸巻回胴部の外周面からの突出を防止できるので、釣糸放出時の糸同士の引っ掛かりがなくなり、釣糸の損傷、劣化が防止できると共に良好な釣糸放出性及び糸巻状態を得ることができる。
【0031】また、請求項2の発明によれば、結び目を収容する凹部内に係止突部が収容されるので、巻回胴部の外周面より結び目が突出することがなく、放出時の不具合の発生や糸巻状態を悪化させることがない。
【0032】また、請求項3の発明によれば、凹部に貫通孔を形成するだけの別部材を必要としない簡単な構成で釣糸巻回胴部外周面からの結び目部分の突出を防止でき、釣糸放出時の不具合の発生や糸巻状態を悪化させることがない。
【0033】また、請求項4の発明によれば、糸滑り防止用の周溝が形成された釣糸巻回胴部外周面に、該周溝の形成方向と同じ周方向に釣糸の結び目部分を略収容可能な凹部を形成する簡単な構成で、釣糸の結び目部分の突出を防止でき、釣糸放出時の不具合の発生や糸巻状態を悪化させることがない。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月10日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−75635
【公開日】 平成11年(1999)3月23日
【出願番号】 特願平9−262672