| 【発明の名称】 |
プラスチック製水槽 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮内 雅弘
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| 【要約】 |
【課題】汚れが少なくかつ傷つきにくいプラスチック製水槽を提供する。
【解決手段】光半導体を含む表面層でプラスチック製水槽表面を被覆する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明熱可塑性樹脂からなり、光半導体を含む表面層で被覆されたプラスチック製水槽。 【請求項2】 上記光半導体を含む表面層が、アナターゼ型酸化チタンおよびシリコーン系樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のプラスチック製水槽。 【請求項3】 上記透明熱可塑性樹脂がアクリル樹脂もしくはポリカーボネート樹脂である請求項1記載のプラスチック製水槽。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は汚れが少なくかつ傷つきにくいプラスチック製水槽に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、環境意識の高まりや趣味の多様化、精神的休息目的、はたまたインテリアなど様々な理由で、魚や水草を家庭で育てる趣味を持つ人が増えている。またこれらの趣味を持つ人の増加に相乗して各地の水族館がリニューアルしたり、巨大水族館の新設が相次いでいる。 【0003】これらの動きに特徴的なことは、従来の人の中に水がある状況から、水の中に人がいるという状況への変化である。その最も顕著な変化は水槽に現れている。従来水槽というとガラス製の立方体形の単純なものであった。ところが近年の水槽は、軽量化とデザインの自由度からプラスチック製水槽に急激に変わってきている。プラスチック製であれば、これまで難しかった曲面形状や接着、様々な加工が自由に施せるので、光と組み合わせた水のオブジェ風に水槽をデザインできるなど、より水の中に人がいるという状況を創造することが可能なのである。 【0004】現在この水槽に用いられる透明プラスチックといえば、透明性、外観の美麗さからアクリル樹脂が多く用いられているが、特に耐衝撃性を必要とされる部位にはポリカーボネート樹脂が用いられている。この水槽は、常に鑑賞者の目にさらされている部品であり、かつ商品イメージ、特に好感度に大きな影響を与える外観上重要な部品であるため、その美麗さが求められる部品なのである。また水槽の中の魚や水草にとっては、外界からの刺激を遮断するための重要な部品である。 【0005】現在これらプラスチック製水槽の気になる点として数多く指摘を受けていることは汚れやすい、傷つきやすいということである。水槽であるため常に水に接しており、水垢の他に魚の糞や餌、はたまた水草などで水槽の表面は汚れやすい状況にある。そこで汚れ除去のため清掃作業が欠かすことができないが、作業が大変であるばかりか、掃除によって水槽表面に傷が付くため次第に外観上の美麗さが失われてしまい問題である。 【0006】最近では清掃時の傷つき防止のため、表面硬化処理を施した水槽が検討されているが、汚れ防止には効果がなく未だ開発途上なのである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は汚れが少なくかつ傷つきにくいプラスチック製水槽を提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討の結果、光半導体を含む表面層で水槽表面を被覆することによって光触媒作用により前記課題が同時に解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、透明熱可塑性樹脂からなり、光半導体を含む表面層で被覆されたプラスチック製水槽である。また該光半導体を含む表面層がアナターゼ型酸化チタン及びシリコーン系樹脂からなることを特徴とする前述のプラスチック製水槽である。 【0009】また該透明熱可塑性樹脂がアクリル樹脂もしくはポリカーボネート樹脂である前述のプラスチック製水槽である。以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いられる透明熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂板が挙げられるが、特に透明性に優れたアクリル樹脂、耐衝撃性や難燃性に優れたポリカーボネート樹脂が好ましい。 【0010】これら透明熱可塑性樹脂には必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、離型剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、アンチブロッキング剤、光拡散剤、着色剤、無機フィラー、ガラス繊維、架橋剤、可塑剤、有機架橋体などの各種添加剤を配合させていてもよい。本発明で用いられる光半導体としては、例えば酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化鉄、三酸化ビスマスなどの金属酸化物が挙げられる。この中でも酸化チタンが化学的に安定で特に好ましい。また酸化チタンにはアナターゼ型とルチル型の2種があり、いずれの型を用いても構わないが、アナターゼ型酸化チタンはゾルの形で容易に入手できるので好ましい。 【0011】本発明ではこの光半導体が汚れ防止上重要な役割をもつ。つまりこれら光半導体の光触媒作用によってプラスチック製水槽表面に活性酸素の薄膜をつくることが汚れ防止の機構で、この活性酸素膜がプラスチック製水槽表面に付着しようとする汚れを分解し、表面を清浄に保つ効果があるのである。本発明の光半導体を含む表面層は、前述のアナターゼ型酸化チタン及びシリコーン系樹脂からなるものが好ましく、例えば、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン、等のテトラアルコキシシラン、それらの加水分解物であるシラノール又は平均分子量4,000以下のポリシロキサンと、アナターゼ型酸化チタンゾルとの混合物を水槽表面に塗布し、必要に応じて加水分解させてシラノールを形成した後、加熱してシラノールを脱水縮重合に付すことにより作成することができる。 【0012】水槽表面への被覆方法としては、いわゆるディッピングやスプレーコート、ロールコート、スピンコート、フローコートなどが挙げられ、いずれを用いても構わない。前述の混合物を加熱する際の温度は塗布する水槽の使用材質、つまり透明熱可塑性樹脂によって異なるが、透明熱可塑性樹脂のガラス転移温度−10℃以下で行わなければ透明熱可塑性樹脂が熱変形してしまい問題である。均一な表面層を形成するためにはより高温が必要だが、低温で長時間加熱することでも形成可能である。 【0013】光半導体を含む表面層は水槽表面に形成され、そのときの層厚みは0.1〜100μmが好ましい。これは0.1μm未満の層厚みは形成困難であり、逆に100μmを越える厚みでは強度低下を引き起こすためである。本発明でいうプラスチック製水槽とは、家庭用の小型水槽、店装ディスプレー用の水槽といった比較的小型のものから、水族館などに設置されている大型の水槽や公共施設等に設置されている水槽などを挙げることができる。 【0014】これら水槽のうち比較的小型のものは、一般的に透明熱可塑性樹脂を射出成形することによって作製される。この時、水槽への表面層の被覆は後加工によって被覆処理を施しても良いし、射出成形と同時に被覆処理を施してもよい。またあらかじめ板状に成形された透明熱可塑性樹脂板から熱成形や切削、接着加工等によって水槽を作製しても良い。このときも水槽への表面層の被覆は、作製した水槽に後加工で被覆処理を施しても良いし、あらかじめ透明熱可塑性樹脂板に表面層の被覆処理を施した後、水槽を前述の方法で作製しても良い。 【0015】一方水族館のような場所で使われる大型の水槽の場合は、あらかじめ成形された板厚が厚い透明熱可塑性樹脂板に、あらかじめ表面層の被覆処理を施しておき、水族館で組み立て及び接着加工を行い水槽を作製するのが作業性上良い。水槽の形状に制限はなく、表面層を施された水槽を後加工によって切削、接着加工してもよいし、印刷や各種表面加工がなされていてもよい。またデザインも自由で平面でも曲面でもかまわない。 【0016】 【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を用いて本発明の効果をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。なお実施例、比較例中の傷付防止性能はJIS K 7204に準拠してサンプルを摩耗輪によって摩耗した後、摩耗されたサンプルをJIS K 7105に準拠してヘーズ(曇価)を測定することによって評価した。 【0017】このとき摩耗輪はJIS R 6210に準じたGC150Hの摩耗輪を用い、試験荷重500g、試験回転速度60rpm、試験回転数100回転で摩耗した。またヘーズ(曇価)は摩耗によるサンプルの曇り具合を評価する値で、全光線透過率に対する拡散光線率の割合を示しており、ヘーズの値が高いほど曇っている、つまり削れやすい傷つきやすいことを意味する。その値が10%を越えると傷が目立つ。 【0018】 【実施例1】アナターゼ型酸化チタンゾル(石原産業製 商品名;STS−11)とコロイダルシリカゾル(日産化学製 商品名;スノーテックスO)を混合し、スプレーコート法により板厚10mmのアクリル樹脂板(旭化成工業製 商品名;デラグラス)の両面に塗布し、80℃の温度で4時間加熱硬化させることによって酸化チタンとシリコーン系樹脂からなる表面層で被覆されたアクリル樹脂板を得た。この表面層が被覆されたアクリル樹脂板から切削及び接着加工によって家庭用の小型水槽を得た。 【0019】この水槽を被覆している光半導体を含む表面層の厚みは、光学顕微鏡による観察の結果、両面ともに約4μmであった。このようにして得られた水槽から切り出したサンプルについて、前述の方法で傷付防止性能を評価したところヘーズ値は約5%と低く、傷が付きにくくなっていることが確認された。 【0020】また、この得られたプラスチック製水槽で魚を飼育したところ、100日間掃除していなくても水槽の外観はほとんど変わらず、汚れが少ないことが実際に確認された。 【0021】 【比較例1】表面層を設けずに実施例1と同じ板厚10mmのアクリル樹脂板(旭化成工業製 商品名;デラグラス)そのものを切削及び接着加工することによって実施例1同様の家庭用小型水槽を得、実施例1と同様の評価を行った。その結果、この水槽から切り出したサンプルについて、実施例1同様の方法で傷付防止性能を評価したところヘーズ値は約35%と非常に高く、摩耗輪によって激しく傷が付き、透明性が失われていることが確認された。 【0022】また、このプラスチック製水槽で実施例1同様実際に魚を飼育したところ、30日経たないうちに水槽内面が餌や糞で汚れてくることが確認された。 【0023】 【発明の効果】本発明により汚れが少なくかつ傷が付きにくいプラスチック製水槽を提供することができ、今後更にプラスチック製水槽の需要増加が期待できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月29日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−42028 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)2月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−203323 |
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