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【発明の名称】 海洋移動体および海洋移動体管理システム
【発明者】 【氏名】青山 明宏

【要約】 【課題】水質の悪化を避けつつ他の海域への移動を自動的に、かつ効率良く行うことができる海洋移動体およびその移動管理システムを提供する。

【解決手段】魚の病気等の影響を避けるために、一定時間が経過すると(ステップS24)、養殖用生け簀2に連結された養殖用移動ブイ3の移動を行うために、そのとき水質を検出し(ステップS20)、水質がどの方向から変化するかを推定して水質が悪化していない方向への養殖海域を決定し(ステップS26)、その方向への移動を行うように推進装置27を駆動する処理を行う(ステップS28、ステップS30)。これにより、水質の悪い海域への移動を避けつつ、次の養殖海域へ養殖用移動ブイ3を自動的に行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 海洋移動体の自己位置を検出する位置検出手段と、水質を検出する水質検出手段と、海洋移動体を移動させる推進手段と、水質検出手段の出力に基づいて海洋の水質がどの方向から変化するかを推定し、推定結果に応じて海洋移動体の移動する海域を設定し、その海域に移動するように位置検出手段によって検出された海洋移動体の位置情報に基づいて推進手段の動作を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする海洋移動体。
【請求項2】 前記海洋移動体は、養殖用移動ブイであることを特徴とする請求項1記載の海洋移動体。
【請求項3】 前記位置検出手段は、GPS衛星からの測位用電波を受信して海洋移動体の現在位置を測定するGPS装置を含むものであり、GPS装置は、GPSアンテアを備え、GPSアンテアは、密封された容器の中に収納されて海洋に浮び、かつ常にアンテナ部が上方を向く構造であることを特徴とする請求項1記載の海洋移動体。
【請求項4】 養殖用移動ブイを配置可能な海域における船舶の航行情報を設定する航行情報設定手段を備え、前記制御手段は、航行情報設定手段により設定された船舶の航行情報に基づき、養殖用移動ブイが船舶の航行海域に入らないように、推進手段の動作を制御することを特徴とする請求項1記載の海洋移動体。
【請求項5】 前記海洋移動体は、養殖用の生け簀の隅に配置された複数の養殖用移動ブイであり、前記制御手段は、養殖用移動ブイ同士が所定距離以内に近付いたら、離すように、推進手段の動作を制御することを特徴とする請求項1記載の海洋移動体。
【請求項6】 海洋を移動可能な複数の海洋移動体からの信号を管理装置で受信してそれぞれの海洋移動体の位置を管理する海洋移動体管理システムであって、前記海洋移動体は、海洋移動体の自己位置を検出する位置検出手段と、水質を検出する水質検出手段と、位置検出手段によって検出された海洋移動体の位置情報および水質検出手段によって検出された水質情報を外部に送信する送信手段と、海洋移動体を移動させる推進手段と、外部からの指令を受信し、その指令に基づいて推進手段の動作を制御する制御手段と、を備え、前記管理装置は、海洋移動体から送信される位置情報を受信する受信手段と、受信手段により受信した海洋移動体の位置情報および水質情報に基づいて、海洋移動体の位置を探索するとともに、海洋の水質がどの方向から変化するかを推定し、推定結果に応じて海洋移動体の移動する海域を設定し、その海域に移動するように海洋移動体の位置情報に基づいて推進手段の動作を制御する制御信号を送信する指令手段と、を備えていることを特徴とする海洋移動体管理システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海洋移動体および海洋移動体管理システムに係り、詳しくは例えばGPS衛星からの測位用電波を受信して海洋移動体の自己位置を検出するとともに、海洋の水質を検出し、水質がどの方向から変化するかを推定し、推定結果に応じて海洋移動体の移動する海域を設定して移動させることできる海洋移動体(例えば、養殖用ブイ)、およびその海洋移動体の位置をコントロールする海洋移動体管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、海洋に配置される移動ブイには、例えば、はえ縄用移動ブイ、養殖用移動ブイ等がある。従来のこの種の移動ブイにおいて、その位置を外部に知らせる方法としては、例えば簡単なものでは標識を用いたもの、光を用いたもの、多少高度になると、電波等の発信機を用いたもの、あるいはGPS衛星を利用したもの等がある。GPS衛星信号を利用した移動ブイとしては、例えば特開平6−135375号公報に記載もの、あるいは特開平6−194479号公報に記載の救難ブイなどが知られている。養殖用移動ブイは養殖網等に係留されて海洋における養殖網(養殖用の生け簀)の配置位置を知らせる機能があり、養殖網は所定の養殖範囲内にとどめておく必要がある。ここで、GPS(Global Potioning System)は、GPS衛星から発信する信号(測位用電波)を受信し、陸上、海上および空中において、自分の位置(経度、緯度、高度)を測定することを目的としたシステムである。このようなGPS衛星からの測位用電波を受信して走行を支援するためのものには、例えばカーナビゲーション装置等従来多くのものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の海洋に配置される移動ブイにあっては、以下のような問題点があった。
(1)養殖用移動ブイ等では、その位置をしらせるためにGPS受信装置を用いたものがあるが、これは位置を確認するのみであった。GPS受信情報を活用して養殖用移動ブイ等の移動を積極的に行うものはなかった。なお、上記特開平6−135375号公報に記載の移動ブイ、特開平6−194479号公報に記載の救難ブイは、モータ駆動のスクリュウを備えているが、これらはブイ自身を推進するものではなく、GPS信号による位置を送信するアンテアの向きを最適にするためブイの傾き姿勢を変えるだけのものである。
(2)はまち等の魚の養殖では、いわゆる赤潮あるいは潮の流れの少ない湾内での魚の病気等の影響を避けるために、一定時間の中で生け簀の移動を行う必要があるが、従来は赤潮等の水質を検出して自動的に悪影響を避けるものはなく、どの方向に移動させれば良いのか分からなかった。
【0004】(3)また、赤潮の被害を受ける前に、一定時間の中で生け簀の移動を行うこともしているが、従来はどの方向から水質が悪化するかの情報が無く、単に移動させるのみであり、移動した先の水質が悪いと、移動に伴って水質が悪化した状態(例えば、赤潮)の影響をまともに受けるという欠点があった。
(4)養殖用移動ブイが自ら推進装置を持って移動し、その位置と水質情報を基地局に知らせるもの従来なかった。
(5)水質の悪化した海域から養殖用移動ブイを移動させるには、従来、漁業に従事している人が人手に頼って水質を検査し、検査結果に応じて養殖用移動ブイを他の海域に養殖用移動ブイを移動させる等しかなく、効率が悪かった。
【0005】そこで本発明は、水質の悪化を避けつつ他の海域への移動を自動的に、かつ効率良く行うことができる海洋移動体およびその移動管理システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の海洋移動体は、海洋移動体の自己位置を検出する位置検出手段と、水質を検出する水質検出手段と、海洋移動体を移動させる推進手段と、水質検出手段の出力に基づいて海洋の水質がどの方向から変化するかを推定し、推定結果に応じて海洋移動体の移動する海域を設定し、その海域に移動するように位置検出手段によって検出された海洋移動体の位置情報に基づいて推進手段の動作を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】また、好ましい態様として、例えば請求項1に従属する請求項2記載のように、前記海洋移動体は、養殖用移動ブイであるようにしてもよい。
【0008】例えば請求項1に従属する請求項3記載のように、前記位置検出手段は、GPS衛星からの測位用電波を受信して海洋移動体の現在位置を測定するGPS装置を含むものであり、GPS装置は、GPSアンテアを備え、GPSアンテアは、密封された容器の中に収納されて海洋に浮び、かつ常にアンテナ部が上方を向く構造であるようにしてもよい。
【0009】例えば請求項1に従属する請求項4記載のように、養殖用移動ブイを配置可能な海域における船舶の航行情報を設定する航行情報設定手段を備え、前記制御手段は、航行情報設定手段により設定された船舶の航行情報に基づき、養殖用移動ブイが船舶の航行海域に入らないように、推進手段の動作を制御するようにしてもよい。
【0010】例えば請求項1に従属する請求項5記載のように、前記海洋移動体は、養殖用の生け簀の隅に配置された複数の養殖用移動ブイであり、前記制御手段は、養殖用移動ブイ同士が所定距離以内に近付いたら、離すように、推進手段の動作を制御するようにしてもよい。
【0011】請求項6記載の海洋移動体管理システムは、海洋を移動可能な複数の海洋移動体からの信号を管理装置で受信してそれぞれの海洋移動体の位置を管理する海洋移動体管理システムであって、前記海洋移動体は、海洋移動体の自己位置を検出する位置検出手段と、水質を検出する水質検出手段と、位置検出手段によって検出された海洋移動体の位置情報および水質検出手段によって検出された水質情報を外部に送信する送信手段と、海洋移動体を移動させる推進手段と、外部からの指令を受信し、その指令に基づいて推進手段の動作を制御する制御手段と、を備え、前記管理装置は、海洋移動体から送信される位置情報を受信する受信手段と、受信手段により受信した海洋移動体の位置情報および水質情報に基づいて、海洋移動体の位置を探索するとともに、海洋の水質がどの方向から変化するかを推定し、推定結果に応じて海洋移動体の移動する海域を設定し、その海域に移動するように海洋移動体の位置情報に基づいて推進手段の動作を制御する制御信号を送信する指令手段と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を養殖用移動ブイおよび養殖用移動ブイ管理システムに適用した一実施例として図面を参照して説明する。A.システムの全体構成図1は本発明に係る養殖用移動ブイ管理システムの一実施例のブロック図であり、海洋移動体が養殖用移動ブイの例である。図1において、1は管理センタ、2は養殖用生け簀である。管理センタ1は養殖用生け簀2の配置される湾内に近い海岸沿いに配置され、養殖用生け簀2の管理に必要な業務を行う。養殖用生け簀2は、はまち等の魚を養殖するもので、管理センタ1に近い湾内に設置され、図2に示すように、養殖用生け簀2の隅には海洋移動体としての養殖用移動ブイ3が設置されている。なお、養殖用生け簀2における養殖用移動ブイ3同士の間には生け簀本体4の上部を海面に浮せるための浮きブイ5が多数配置されている。また、管理センタ1には養殖用生け簀2の養殖用移動ブイ3の移動監視、水質監視等の処理を行う管理装置11が配置されている。
【0013】養殖用移動ブイ3には生け簀本体4が連結されており、生け簀本体4内にはまち等の養殖魚が養殖されている。養殖用移動ブイ3は、自走的に、生け簀本体4を湾内に移動させることが可能になっている。養殖用移動ブイ3はブイ本体21、帆22、GPSアンテナ23、通信アンテナ24、風速・風方計25、水質センサ26、推進装置27、重り部28、重り支持部29およびブイ制御装置30を備えている。
【0014】ブイ本体21は海上に浮遊可能な構造に形成され、内部にブイ制御装置30を収納している。帆22は帆回動装置31によって向きを自在に変えられるようになっている。推進装置27は電気モータによって駆動されるスクリュウを有し、ブイ本体21を推進して海上を移動させる。なお、推進装置27には舵も付いており、ブイ本体21の移動方向を制御可能である。重り部28はブイ本体21の低部にあってバランスを保つ機能を有し、重り支持部29は重り部28をブイ本体21に固定する。帆22および推進装置26は、推進手段を構成する。風速・風向計25は、養殖用移動ブイ3の受ける風速および風向きを検出する。水質センサ26(水質検出手段)は湾内における海水の水質を検出する。水質センサ26としては、例えば酸素濃度測定器、窒素含有量測定器、有機物(COD)含有量測定器、水素イオン濃度測定器、温度測定器等から選択して用いる。
【0015】GPSアンテナ23はGPS衛星から送られてくる約1.5MHzの右旋円偏波信号を受信するために、例えばテフロン基板を用いたほぼ半球状の指向性を有するマイクロストリップパッチアンテナが使用され、ブイ本体21の上部に取り付けられている。この場合、GPSアンテナ23はアンテナ本体部と、アンテナ本体部を収納している密封容器とからなり、密封容器はブイ本体21の上部に固定されている。そして、密封容器の中にアンテナ本体部をフローティングした構成になっており、例えばジャイロコンパスのように360°どの方向に密封容器が回転しても、常にアンテナ本体部が上方を向く(すなわち、GPS衛星の存在する空を向く)ようになっている。これにより、ブイ本体21が海面の波で揺れても、アンテナ本体部は常に空の方を向き、GPS衛星から送られてくる信号を容易に受信することができる。
【0016】養殖用移動ブイ3はGPS衛星からの測位用電波を受信して自己位置(すなわち、ブイの現在位置)を検出し、その検出位置の情報やその他の情報(詳細は後述)を無線電波による信号(無線信号)を介して管理センタ1に送信するようになっている。管理センタ1は養殖用移動ブイ3からブイの位置情報等を含む無線信号を受信して養殖用移動ブイ3の現在位置を画面に表示可能な前述した管理装置11を備えるとともに、無線信号を受信するための通信アンテナ32を備えている。管理装置11は、例えば漁業組合の係員によって操作され、係員は養殖用移動ブイ3の現在位置を地図上で監視する等の処理を行う。
【0017】B.ブイ制御装置の構成次に、養殖用移動ブイ3におけるブイ制御装置30の構成について図3を参照して説明する。図3において、ブイ制御装置30はGPS受信装置41、送信回路42、制御回路43、電源回路44および筐体45を含んで構成される。GPS受信装置41はGPSアンテナ23を介して複数のGPS衛星からの測位用電波を受信して復調し、復調信号に基づいて養殖用移動ブイ3の現在位置情報(例えば、緯度、経度、高度を含む三次元の測位情報)を算出し、算出した現在位置情報を制御回路43に出力する。
【0018】GPS(Global Potioning System)は、人工衛星を利用した全世界的な電波測位システムで、24個の衛星が6つの軌道面にそれぞれ4個ずつ配置されることにより、原理的には各衛星からの電波を受信し、その到達時間から衛星と受信地点との距離を算出し、最終的に受信点の三次元測位(緯度、経度、高度)を求めることができるものである。この場合、GPSアンテナ23およびGPS受信装置41は位置検出手段を構成する。
【0019】制御回路43(制御手段)は養殖用移動ブイ3の位置制御等を行うもので、制御回路43には風速・風向計25および水質センサ26からの検出信号が入力されている。制御回路43はGPS受信装置41によって検出された位置情報に、当該養殖用移動ブイ3を識別するID番号を加えたブイ位置情報を送信回路42に出力したり、風速・風向計25からの検出信号に基づいて海流の流れを予測演算するとともに、水質センサ26からの検出信号に基づいて湾内の水質の悪化を判断したり、さらには推進装置27の駆動制御、帆回動装置31の回動制御を行ったりする。制御回路43は、例えばCPU、ROM、RAMを含むマイクロコンピュータによって構成される。帆回動装置31は帆22の回動(向き)を変化させるもので、ギア装置等のメカニカルな構造を有し、制御回路43からの制御信号に基づいて帆22の向きを変える。また、帆22の向きは帆回動装置31におけるギア装置等のメカニカルな構造から分かり、帆22の向きは制御回路43で把握可能になっている。
【0020】送信回路42(送信手段)は制御回路43の出力に基づいてGPS受信装置41によって検出された位置情報に当該養殖用移動ブイ3を識別するID番号を加えたブイ位置情報および水質情報を電波による無線信号で通信アンテナ24を介して管理装置11に送信する。通信アンテナ24は所定周波数の無線信号に対応した垂直アンテアが使用される。電源回路44は養殖用移動ブイ3の各部に必要な電源を供給するもので、バッテリー47を内蔵している。バッテリー47は着脱可能で所定容量を有している。電源回路44はバッテリー47への供給電源の安定化処理、電圧変換処理等を施して各部に供給する。
【0021】C.管理装置の構成次に、管理装置11の構成について図4を参照して説明する。図4において、管理装置11はGPSアンテナ51、GPS受信装置52、受信装置53、前述した通信アンテナ32、スイッチ入力部55、制御部56、ROM57、RAM58、ディスプレイ装置59、音声出力装置60およびCD−ROMドライバー61を含んで構成される。GPSアンテ51はGPS衛星から送られてくる約1.5MHzの右旋円偏波信号を受信するために、例えばテフロン基板を用いたほぼ半球状の指向性を有するマイクロストリップパッチアンテナが使用され、管理センタ1の屋外に取り付けられている。GPS受信装置52はGPSアンテナ51を介して複数のGPS衛星からの測位用電波を受信して復調し、復調信号に基づいて管理センタ1の現在位置情報(例えば、緯度、経度、高度を含む三次元の測位情報)を算出し、算出した現在位置情報を制御部55に出力する。
【0022】受信装置53は通信アンテナ32を介して養殖用移動ブイ3から送られてくる養殖用移動ブイ3の現在位置情報を含む無線信号を受信し、受信した養殖用移動ブイ3からの情報を制御部56に出力する。制御部56はGPS受信装置52より出力された管理センタ1の現在位置および受信装置53を介して受信した養殖用移動ブイ3の現在位置をCD−ROMドライバー61を介してCD−ROM62から読み出した海図データに対応してディスプレイ装置59の画面上に表示する制御を行うとともに、スイッチ入力部55からのスイッチ操作信号に基づいて必要な処理(例えば、養殖用移動ブイ3の探索範囲の設定、養殖用移動ブイ3のID番号と位置情報との関連設定等)を行ったり、ディスプレイ装置59の画面情報を変更(例えば、画面の拡大や表示エリアの変更等)する制御を行う他、必要な音声合成処理(例えば、養殖用移動ブイ3が所定の海域から外れたとき、「○○ブイが海域から外れました」という音声合成音を生成する等)を行い音声出力装置63に出力する。制御部56はCPUを含むマイクロコンピュータによって構成され、ROM59に格納されている制御プログラムに従って上記制御を行う。
【0023】スイッチ入力部55は設定操作(例えば、養殖用移動ブイ3の監視範囲の設定、養殖用移動ブイ3ののID番号と位置情報との関連設定等)を行うための操作キーと、ディスプレイ装置59の画面上に表示された監視海図情報を変更したり、監視対象数(例えば、養殖用移動ブイ3の数)の変更等を行うための変更キー、その他の電源キー等を含んで構成されている。なお、養殖用移動ブイ3が移動するであろう移動可能なエリア(例えば、水質の悪化を避けて移動することもあるので、かなり広範囲な湾内のエリア)は予めCD−ROMドライバー61によって駆動されるCD−ROM62に格納されており、格納されている移動可能エリア上の地点は、例えば座標によって指定可能になっている。
【0024】ROM57は制御部56によって行われる養殖用移動ブイ3の監視制御のためのプログラムや必要なデータを予め格納している。RAM58はワークエリア、スイッチ入力部55より入力され一時的に記憶しなければならない情報を格納するメモリエリア、およびスイッチ入力部55の操作により指定された養殖用移動ブイ3の監視範囲の設定情報等を一時的に格納するメモリエリアを有している。ディスプレイ装置59は液晶表示装置(例えば、カラーのLCD)によって構成され、制御部56で演算処理された探索位置情報と、CD−ROMドライバー61を介してCD−ROM62より読み出された監視海図情報とを重ね合せて画面に表示する。音声出力装置60は制御部56によって音声合成された信号や効果音に基づいて音を出力するもので、例えばスピーカからなる。
【0025】D.動作説明次に、作用を説明する。図5は、養殖用移動ブイ3の制御プログラムを示すフローチャートである。本プログラムは養殖用移動ブイ3の電源がオンすると、実行される。電源がオンすると、まずステップS10で初期設定を行う。初期設定ではイニシャルリセット、制御回路43の初期設定、内部で使用するフラグのクリア等の所定のイニシャライズ処理が行われる。なお、養殖用生け簀2に対しては、少なくとも初期設定を終了した段階で養殖用移動ブ3を装着するが、望ましくはGPSの位置情報の受信が正常で、かつ管理センタ1における管理装置31の画面に当該養殖用移動ブイ3からの位置情報が表示されて、正常に動作していることを確認した後に養殖用生け簀2に養殖用移動ブイ3を装着するのが良い。
【0026】次いで、ステップS12で複数個のGPS衛星から送信される位置情報を含むGPS信号(GPS電波)を受信し、受信したGPS信号に基づいて養殖用移動ブイ3の位置を求める位置計算処理を行う。次いで、ステップS14で位置計算の結果から養殖用移動ブイ3の位置情報(つまり、GPS衛星を使用した測位結果に基づく現在位置情報、以下同様)を送信する。このとき、送信回路24により養殖用移動ブイ3の現在位置に当該養殖用移動ブイ3を識別するID番号を加えて無線信号により通信アンテナ24を介して管理センタ1に送信する。これにより、管理センタ1の管理装置11では養殖用移動ブイ3の現在位置をID番号と共にディスプレイ装置59の海図上に表示することになる。
【0027】なお、送信回路24による送信処理では電源回路44から送信回路24に電源が供給されるが、消費電力の低減を図るために、例えば養殖用移動ブイ3が所定の海域内の予定したポイントに留っている間は、位置情報の送信を停止すべく送信回路24を作動させず、予定したポイントから外れそうな場合に、間欠的に送信回路24に電源を供給して動作させ、位置情報の送信を行うようにしてもよい。また、例えば送信回路24をスリープモードの低消費電力にしておき、位置情報の送信を行うときのみ送信モードにして情報の送信が可能なようにしてもよい。
【0028】次いで、ステップS16で風速・風向計25の信号を入力し、養殖用移動ブイ3の受ける風速および風向きを検出する。次いで、ステップS18で養殖用移動ブイ3の受けている風速および風向き情報に基づいて海流の流れを計算する。これにより、養殖用移動ブイ3がどちらの方向に流される傾向にあるかが分かる。このように、本ルーチンの実行でステップS18を通過する度に、風速および風向き情報から逐次海流の流れを計算し、後述のように推進装置26を駆動して海域を移動させる際に予め計算しておいた海流の流れを利用する。次いで、ステップS20で水質センサ26の信号を入力して養殖用移動ブイ3が留っている海域の水質を検出し、ステップS24で水質の検出結果に基づいて水質の変化を推定(例えば、赤潮の発生を推定)するとともに、水質の情報を無線信号により通信アンテナ24を介して管理センタ1に送信する。これにより、養殖用移動ブイ3の現在位置付近における海水の水質の変化が分かるとともに、水質の変化状態が管理センタ1の管理装置11のディスプレイ装置59に表示される。
【0029】次いで、ステップS24で養殖用生け簀2を設置してから一定時間が経過したか否かを判別する。これは、はまち等の魚の養殖では、赤潮あるいは潮の流れの少ない湾内での魚の病気等の影響を避けるために、一定時間の中で生け簀の移動を行う必要があるから、その一定時間の経過を判断するものである。一定時間が経過していなければ、ステップS12に戻って処理ループを繰り返す。ステップS12〜ステップS24のループを繰り返すことにより、養殖用移動ブイ3は湾内の所定の海域内に留り、はまち等の魚の養殖が生け簀本体4の中行われる。なお、このとき養殖用移動ブイ3が今回設定した養殖海域を外れた場合(養殖海域の範囲は緯度、経度で分かるから、養殖用移動ブイ3の現在位置の経度、緯度が設定された養殖海域の範囲外になったかどうかを判断できる)には、設定した養殖海域に戻すように推進装置26を駆動する処理を行ってもよい。
【0030】一定時間が経過すると、ステップS26に進んで水質の変化を考慮して海域の移動方向を決定する。この場合、赤潮あるいは潮の流れの少ない湾内での魚の病気等の影響を避けるため、水質が悪化していない方向の海域(以下、次の養殖海域という)を選定し、その方向への移動を決定する。次いで、ステップS28で決定した移動方向に養殖用移動ブイ3を進めるように推進装置27を駆動する処理を行う。これにより、推進装置27が駆動されて養殖用移動ブイ3が次の養殖海域の方向に向って移動を開始する。このとき、推進装置27の舵も制御され、養殖用移動ブイ3の移動方向が制御される。また、このとき帆回動装置31を作動させる処理も行い、養殖用移動ブイ3が受ける風速、風向きを判断して、養殖用移動ブイ3が次の養殖海域に向う方向に帆22を回動させる。すなわち、風の向きを考慮して帆22の向きを調整する。
【0031】さらに、前述したように、本ルーチンの実行でステップS18を通過する度に、風速および風向き情報から逐次海流の流れが計算され、推進装置27を駆動して次の養殖海域に移動させる際には予め計算しておいた海流の流れを利用するので、極めて効率良く次の養殖海域に移動させる方向を察知することができ、最短時間で養殖用移動ブイ3を次の養殖海域に移動させることができる。ステップS28を経ると、続くステップS30で次の養殖海域に移動が完了したか否かを判別し、移動が完了していなければステップS28に戻って処理を繰り返し、移動が完了すると、ステップS12に戻って処理を繰り返す。
【0032】このように本実施例では、魚の病気等の影響を避けるために、一定時間が経過すると、養殖用生け簀2の移動を行うために、そのとき水質を検出し、水質がどの方向から変化するかを推定して水質が悪化していない方向への養殖海域を決定し、その方向への移動を行うように推進装置27を駆動する処理が行われる。したがって、以下の効果を得ることができる。
(1)GPS受信情報を活用して養殖用移動ブイ3を推進して養殖用生け簀2の移動を自動的に行うことができる。
(2)従来は赤潮等の水質を検出して自動的に悪影響を避けるものはなく、どの方向に移動させれば良いのか分からなかったが、これに対して本実施例では、水質を検出することで、水質の悪化していない方向の養殖海域を決定して移動させることができ、養殖用魚への悪影響を確実に避けることができる。
【0033】(3)養殖用移動ブイ3の位置と水質情報を管理装置11に知らせることができ、管理装置11において養殖に関する有益な情報を得ることができる。
(4)従来は水質の悪化した海域から養殖用移動ブイを移動させるには、漁業に従事している人が人手に頼って水質を検査し、検査結果に応じて養殖用移動ブイを他の海域に養殖用移動ブイを移動させることで、手間がかかり効率が悪かったが、これに対して本実施例では、水質の良い海域に養殖用移動ブイ3を移動させて養殖用生け簀2による養殖を効率良く行うことができる【0034】(5)風速および風向き情報から逐次海流の流れを計算し、推進装置27を駆動して次の養殖海域に養殖用移動ブイ3を移動させる際には予め計算しておいた海流の流れ情報を利用しているので、極めて効率良く次の養殖海域に養殖用移動ブイ3を移動させることができる。したがって、最短時間で養殖用移動ブイ3を次の養殖海域に移動させることができ、養殖用移動ブイ3に連結された養殖用生け簀2を移動させることができる。
(6)GPS受信装置41を用いた養殖用移動ブイ3であっても、従来と異なり、GPSアンテナ23が波による揺れを受けても密封容器の中にアンテナ本体部をフローティングした構成になっているので、壊れにくくすることができる。また、GPSアンテナ23が海面の波で揺れても、アンテナ本体部は常に空の方を向き、GPS衛星から送られてくる信号を容易に受信することができる。
【0035】E.第2実施例次に、本発明の第2実施例について説明する。図6はブイ制御装置70の構成を示す図である。図6に示す第2実施例のブイ制御装置70では、制御回路73、送受信回路74および通信アンテナ75の構成が第1実施例と異なる。送受信回路74(送信手段)は制御回路73の出力に基づいてGPS受信装置41によって検出された位置情報に当該養殖用移動ブイ3を識別するID番号を加えたブイ位置情報を電波による無線信号で通信アンテナ75を介して管理センタ1に送信するとともに、管理センタ1から養殖用移動ブイ3を移動させる指令である移動信号を受信する。
【0036】制御回路73(制御手段)はGPS受信装置41によって検出された位置情報に、当該養殖用移動ブイ3を識別するID番号を加えたブイ位置情報を送受信回路74に出力するとともに、風速・風向計25からの検出信号に基づいて海流の流れを予測演算したり、水質センサ26からの検出信号に基づいて湾内の水質の悪化を判断したり、さらには推進装置26の駆動制御、帆回動装置46の回動制御を行ったりする他、送受信回路74により受信した管理センタ1からの移動信号に基づいて養殖用移動ブイ3を次の養殖海域に移動させるように推進装置26の駆動制御および帆回動装置32の回動制御を行う。
【0037】図7は管理センタ1に配置されている管理装置61の構成を示す図である。図6に示す第2実施例の管理装置61では、通信アンテナ62、制御部81および送受信装置84の構成が第1実施例と異なる。送受信装置84(受信手段)は通信アンテナ62を介して養殖用移動ブイ3から送られてくる養殖用移動ブイ3の現在位置情報および水質情報を含む無線信号を受信し、受信した養殖用移動ブイ3からの情報を制御部56に出力するとともに、養殖用移動ブイ3を次の養殖海域に移動させる移動信号を送信する。制御部81は第1実施例と同様の演算処理の他に、送受信装置84を介して受信した養殖用移動ブイ3の現在位置情報および水質情報に基づいて養殖用移動ブイ3を次の養殖海域に移動させる移動信号を生成し送受信装置84に出力する。制御部81および送受信装置84は全体として指令手段を構成する。
【0038】図8は第2実施例の養殖用移動ブイ3の制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートでは、第1実施例と同様の処理を行うステップがあり、それらのステップには第1実施例と同一ステップ番号を付して重複説明を省略する。異なる処理を行うステップには、第1実施例と相違するステップ番号を付して説明する。第2実施例の制御プログラムでは、ステップS10〜ステップS18までの処理は第1実施例と同様であり、ステップS50で海流の流れ情報を無線信号により通信アンテナ75を介して管理センタ1に送信する。これにより、管理センタ1の管理装置61では養殖用移動ブイ3が浮んでいる所の海流の流れをID番号と共にディスプレイ装置59の海図上に表示することになる。次いで、ステップS20で水質センサ26の信号を入力し、ステップS22で水質の検出結果に基づいて水質の変化を推定(例えば、赤潮の発生を推定)するとともに、水質の情報を無線信号により通信アンテナ24を介して管理センタ1に送信する。これにより、養殖用移動ブイ3の現在位置付近における海水の水質の変化が管理センタ1で分かるとともに、水質の変化状態が管理装置11のディスプレイ装置59に表示される。次いで、ステップS52で帆22と推進装置27の状態を同様に管理センタ1に送信する。これにより、管理センタ1の管理装置61では養殖用移動ブイ3の現在の推進駆動状況を把握することになる。
【0039】次いで、ステップS54で管理センタ1の管理装置61からの移動信号を受信したか否かを判別し、受信していなければ、ステップS12に戻って処理ループを繰り返す。この処理ループを繰り返しているときは、養殖用生け簀2は現在の海域に留っていることになる。一方、管理センタ1の管理装置61からの移動信号を受信すると、ステップS56に進んで決定された養殖海域(次の養殖海域は後述のように管理装置61によって決定)に養殖用移動ブイ3を移動させるような推進駆動処理を行い、ステップS12に戻る。これにより、推進装置27が駆動されて養殖用移動ブイ3が次の養殖海域の方向に向って移動を開始する。そして、次の養殖海域に完全に養殖用移動ブイ3が移動を完了するまで、移動信号は継続して出力され、最終的に養殖用移動ブイ3が次の養殖海域に移動を完了する。
【0040】図9は第2実施例における管理センタ1の管理装置61の制御プログラムを示すフローチャートである。図9のフローチャートでは、まずステップS100で初期設定を行う。初期設定ではイニシャルリセット、制御部81の初期設定、内部で使用するフラグのクリア等の所定のイニシャライズ処理が行われる。次いで、ステップS102で養殖用移動ブイ3の養殖海域を設定する。これにより、養殖用移動ブイ3に連結された養殖用生け簀2で魚を養殖する場合の最も適切な海域が指定(例えば、海図上に座標等でエリアを指定)される。
【0041】次いで、ステップS104で複数個のGPS衛星から送信される位置情報を含むGPS信号(GPS電波)を受信し、受信したGPS信号に基づいて管理センタ1の位置を求める位置計算処理を行う。次いで、ステップS106で養殖用移動ブイ3からの位置情報(現在位置と共に当該養殖用移動ブイ3を識別するID番号も含む)を受信する。これにより、管理センタ1の管理装置31では養殖用移動ブイ3の現在位置をID番号と共にディスプレイ装置59の海図上に表示することになる(ステップS114参照)。
【0042】次いで、ステップS108で外部記憶データ(例えば、CD−ROM62に記憶されている海図情報)を検索し、ステップS110で所定の海域の海図情報をディスプレイ装置59の海図上に表示する。次いで、ステップS112で海図上に管理センタ1の現在位置を表示するとともに、ステップS114で養殖用移動ブイ3の現在位置をID番号と共にディスプレイ装置59の海図上に表示する。これにより、管理センタ1の係員はディスプレイ装置59の海図画面から設定した養殖海域に対して管理センタ1および養殖用移動ブイ3の位置を把握することになる。
【0043】次いで、ステップS116で湾内での魚の病気等の影響を避けるべく、一定時間が経過した時点で生け簀の移動を行う必要のために、養殖用生け簀2を設置してから一定時間が経過したか否かを判別する。一定時間が経過していなければ、ステップS104に戻って処理ループを繰り返す。ステップS104〜ステップS116のループを繰り返すことにより、養殖用移動ブイ3は湾内の所定の海域内に留り、はまち等の魚の養殖が生け簀本体4の中で行われる。一定時間が経過すると、ステップS116に進んで水質の変化を考慮して海域の移動方向を決定する。この場合、赤潮あるいは潮の流れの少ない湾内での魚の病気等の影響を避けるため、水質が悪化していない方向の海域(すなわち、次の養殖海域)を選定し、その方向への移動を決定する。次いで、ステップS120で決定した移動方向に養殖用移動ブイ3を進めるような移動信号を管理センタ1の管理装置61から養殖用移動ブイ3に送信し、ステップS104に戻る。養殖用移動ブイ3では移動信号を受信すると、推進装置27が駆動されて養殖用移動ブイ3が移動を開始し、次の養殖海域の方向に進む。ステップS104〜ステップS120のループを繰り返すことにより、養殖用移動ブイ3は次の養殖海域に移動を完了する。
【0044】このように第2実施例では、魚の病気等の影響を避けるために、一定時間が経過すると、養殖用生け簀2の移動を行うために、そのときの水質の検出結果を管理装置11で把握し、水質がどの方向から変化するかを推定して水質が悪化していない方向への養殖海域を決定し、その方向への移動を行うように移動信号を養殖用移動ブイ3に出力して推進装置27を駆動する処理が行われる。したがって、第1実施例と同様の効果を得ることができる他、特に管理センタ1の方で遠隔的に細かい操作を行ったり、状況判断を行うことができ、便利である。
【0045】F.第3実施例次に、本発明の第3実施例について説明する。図10は第3実施例における管理センタ1の管理装置(図示略)の制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートでは、第2実施例と同様の処理を行うステップがあり、それらのステップには第2実施例と同一ステップ番号を付して重複説明を省略する。異なる処理を行うステップには、第2実施例と相違するステップ番号を付して説明する。第3実施例の制御プログラムでは、ステップS100、ステップS102を経ると、次いで、ステップS150で湾内の航行情報を設定する。これは、湾内も一般船舶等が航行するので、その航行情報を予め設定しておいて、航行海域に養殖用生け簀2が入らないようにするためである。
【0046】ステップS150を経ると、ステップS104〜ステップS116までの処理を実行する(第2実施例と同様)。ステップS116でNOのときは、ステップS152に進み、水質の変化を考慮して次の養殖海域の移動方向を決定するとともに、さらに、予め入力して設定されている航行情報に基づいて次の養殖海域の移動方向を決定する。これにより、湾内を航行する一般船舶等の航行海域に養殖用生け簀2が入らないような方向に移動させることが可能になる。次いで、ステップS120では決定した移動方向に養殖用移動ブイ3を進めるような移動信号を管理センタ1の管理装置61から養殖用移動ブイ3に送信し、ステップS104に戻る。養殖用移動ブイ3では移動信号を受信すると、推進装置27が駆動されて養殖用移動ブイ3が移動を開始し、次の養殖海域の方向に進む。ステップS104〜ステップS120のループを繰り返すことにより、養殖用移動ブイ3は次の養殖海域に移動を完了する。
【0047】このように第3実施例では、湾内を航行する一般船舶等の航行海域に養殖用生け簀2が入らないような方向に養殖用移動ブイ3を移動させることができ、一般船舶等の湾内の航行に妨げのないようにすることができる。したがって、航行の安全を確保できる。なお、航行海域の設定はいつでも変更が可能であるので、常に最新の航行情報に基づいて養殖用移動ブイ3を移動させることが可能である。第3実施例では管理装置が航行情報設定手段を構成する。なお、管理装置が航行情報を設定するのではなく、養殖用移動ブイ3に航行情報を設定する機能を持たせるようにしてもよい。例えば、養殖用移動ブイ3の制御回路に航行情報を記憶(例えば、内部のメモリに格納)させて制御させる。制御回路は航行情報設定手段を構成する。
【0048】G.変形例・海洋移動体は養殖用移動ブイ3であり、養殖用移動ブイ3の制御回路(制御手段)は複数の養殖用移動ブイ3同士が所定距離以内に近付いたら、離すように、推進装置27(推進手段)の動作を制御するようにしてもよい。そのようにすると、養殖用移動ブイ3同士が、例えば波によって近付き過ぎるような影響を無くし、養殖用生け簀4の形が変るような不具合を防ぐことができる。・養殖用移動ブイを介して水質センサからの信号を管理装置で受信するが、その受信した信号に基づいて海域の水質の履歴データを作成してもよく、その履歴データに基づいて養殖を行うようにしてもよい。
【0049】本発明の実施の形態は、上記のような実施の形態に限らず、以下に述べるような各種の変形実施が可能である。
(a)本発明の適用に関して、海洋移動体は養殖用移動ブイに限るものではなく、例えばはえ縄用移動ブイに適用してもよい。その場合には、はえ縄用移動ブイ(海洋移動体)は水質の悪化を避けて水質の良い海域に自動的に移動することができる。
(b)上記実施例では、水質センサ26をはえ縄用移動ブイに取り付けているが、はえ縄を有しない監視用移動ブイにも取り付けてもよい。これらの監視用移動ブイは、はえ縄用移動ブイの上流に配置し、上流の水質を監視して水質情報を送信することで、下流のはえ縄の早期緊急退避を可能にすることができる。
【0050】
【発明の効果】請求項1記載の発明による海洋移動体によれば、海洋の水質がどの方向から変化するかを推定し、推定結果に応じて海洋移動体(例えば、養殖用移動ブイ)の移動する海域を設定し、その海域に移動するように位置検出手段によって検出された海洋移動体の位置情報に基づいて推進手段の動作を制御しているので、以下の効果を得ることができる。位置検出手段の情報(例えば、GPS受信情報)を活用して、水質の影響を受けない海域への海洋移動体の移動を自動的に行うことができる。従来は水質の悪化した海域から海洋移動体(例えば、養殖用移動ブイ)を移動させるには、漁業に従事している人が人手に頼って水質を検査し、検査結果に応じて海洋移動体を他の海域に移動させるべく手間がかかり効率が悪かったが、これに対して本発明では、水質の良い海域に海洋移動体を移動させることができ、例えば、海洋移動体に連結された養殖用生け簀による養殖を効率良く行うことができる。
【0051】請求項2記載の発明によれば、海洋移動体を養殖用移動ブイに適用することにより、養殖用移動ブイは魚の病気等の影響を避けるために、一定時間が経過すると移動させるが、そのとき海域の水質を検出し、水質がどの方向から変化するかを推定して水質が悪化していない方向への養殖海域を決定し、その方向への移動を行うようことにより、水質の悪化していない方向の養殖海域に養殖用移動ブイを確実に移動させることができ、養殖用魚への悪影響を確実に避けることができる。
【0052】請求項3記載の発明によれば、GPS装置を使用した機器に本発明を適用することで、近時普及しているGPS装置の高精度の情報を利用することができ、養殖海域への移動制御を高精度で行うことができる。また、GPSアンテアを密封された容器の中に収納して海洋に浮かぶようにし、かつ常にアンテナ部が上方を向く構造にすることにより、GPSアンテナが波による揺れを受けても密封容器の中にアンテナ本体部をフローティングした構成になっているので、壊れにくくすることができる。また、GPSアンテナが海面の波で揺れても、アンテナ本体部は常に空の方を向き、GPS衛星から送られてくる信号を容易に受信することができる。
【0053】請求項4記載の発明によれば、養殖用移動ブイを配置可能な海域における船舶の航行情報を設定する航行情報設定手段を備えて、養殖用移動ブイが船舶の航行海域に入らないようにすることにより、養殖用移動ブイの移動に際して一般船舶等の湾内の航行に妨げのないようにすることができ、航行の安全を確保できる。
【0054】請求項5記載の発明によれば、海洋移動体は養殖用の生け簀の隅に配置された複数の養殖用移動ブイであり、養殖用移動ブイ同士が所定距離以内に近付いたら、離すように制御することにより、養殖用移動ブイ同士が、例えば波によって近付き過ぎるような影響を無くし、養殖用生け簀の形が変るような不具合を防ぐことができる。
【0055】請求項6記載の発明による海洋移動体管理システムによれば、管理装置が海洋移動体の位置情報および水質情報に基づいて海洋移動体の位置を探索し、海洋の水質がどの方向から変化するかを推定し、推定結果に応じて海洋移動体の移動する海域を設定し、その海域に移動するように海洋移動体の位置情報に基づいて推進手段の動作を制御する制御信号を送信する指令を出力することにより、管理装置により海洋移動体(例えば、養殖用移動ブイ)を遠隔的に制御して養殖海域への移動を効率良く行うことができる。また、海洋移動体の位置と水質情報を管理装置に知らせることにより、管理装置において養殖に関する有益な情報を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジャトコ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
【公開番号】 特開平11−18615
【公開日】 平成11年(1999)1月26日
【出願番号】 特願平9−181362