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【発明の名称】 動物飼育ケージ搭載装置
【発明者】 【氏名】平松 正造

【要約】 【課題】動物の種類によってケージの大きさが変わるから、従来では夫々のケージの大きさに合わせて、別々の動物飼育ケージ搭載装置を準備していた。この為、不使用のケージ搭載装置の収納に広い場所を要するという問題がある。そこで、飼育動物に変更が生じた場合に対応でき、収納に広い場所を取らない動物飼育ケージ搭載装置を提供することを目的とする。

【解決手段】複数の動物飼育ケージ3がラック2の各棚段2aに載置され、該ケージ3の各々に空気排出用の配管を接続して使用するものである。配管は空気排出用枝管5と空気排出用集合管4を含む枠組構造体で構成されている。枝管5は各ケージ3の空気排出ロの個々に着脱自在に接続される。集合管4は各枝管5を集合させる。枠組構造体(配管)がラック2に対して係合・離脱自在に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の動物飼育ケージがラックの各棚段に載置され、該動物飼育ケージの各々に空気排出用及び/または供給用の配管を接続して使用する動物飼育ケージ搭載装置であって、前記配管は、前記各ケージの空気排出口及び/または供給口の個々に着脱自在に接続される空気排出用及び/または供給用枝管と、該各枝管を集合させる空気排出用及び/または供給用集合管を含む枠組構造体で構成され、該枠組構造体が上記ラックに対して係合・離脱自在に構成されていることを特徴とする動物飼育ケージ搭載装置。
【請求項2】 前記ラックが棚段可変式である請求項1に記載の動物飼育ケージ搭載装置。
【請求項3】 前記枠組構造体における集合管が、ラックの棚段に沿って水平方向に配設される水平集合管と、該水平集合管に接続して垂直方向に配設される垂直集合管よりなる請求項1または2に記載の動物飼育ケージ搭載装置。
【請求項4】 前記水平集合管がラックの棚段構成に対応して組み立てられている請求項3に記載の動物飼育ケージ搭載装置。
【請求項5】 前記垂直集合管及び/または水平集合管が伸縮自在である請求項3または4に記載の動物飼育ケージ搭載装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の動物飼育ケージを設置するケージ搭載装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】実験動物等を飼育する最も一般的な方法は、外気に連通されている非気密型の動物飼育ケージに1匹或いは複数匹の動物を収容し、該ケージをラックに載置して行われている。該ラックは複数の棚段を有し、上記ケージを複数個載置できる様になっている。そして実験動物の飼育管理に際しては、この様なラックを設置している動物飼育室全体をわずかに陽圧として室外から害虫や菌が進入するのを防ぎつつ、上記ケージ内の空気を飼育室内の全空気と共に吸引し、この吸引された空気をエアフィルター等に通して不浄物質を除去し、清浄された空気を飼育室外に排出している。
【0003】しかし上記の様に動物飼育室の全体を換気する方法では、各ケージ内雰囲気を個別管理することができない上、あるケージ内の動物から放散される浮遊細菌やウイルス、更には悪臭物質等の不浄物質によって他のケージ内の動物が汚染されるという問題があり、また研究者自身がこれらの不浄物質によって汚染されたり、飼育室内の悪臭を辛抱しなければならないという問題がある。加えて上記方法では夫々のケージに収納した動物の種類や実験の種類に応じて環境を所望条件に変更乃至設定することができないという問題があり、この様な問題を解決するものとして、ケージを気密型にすると共に、個々のケージ毎に空気の排気管を設けた装置が提案されている。
【0004】例えば特開昭63−94930に示される装置は、ラックの背面側に気密室を設け、該気密室と各ケージを背面板を介して密着させ、この背面板の孔を通してケージ内の汚染空気を気密室に吸入し、次に該気密室から延びるダクトから、動物飼育室天井に設けられた総排気ダクトを経て、上記汚染空気を室外へ排気するというものである。尚上記ケージ内への空気の供給は、ケージの上面や前面に設けられた孔を通して行われる。
【0005】また各ケージに排気管を接続して該排気管をラック毎に集合し、集められた汚染空気をHEPAフィルターによって清浄化してから排出するという装置も提案されている。この場合は空気の排出がラック毎に独立しているから、上記の様な総排気ダクトの位置に左右されず、自由な位置にラックを設置することができる。また上記排気方法に換えて上記装置を利用または改良して、給気方式とするものも提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】飼育動物の種類や必要収納匹数(実験における各群構成匹数)によってケージの大きさが変わるから、最も単純には動物の種類に応じてケージを取り替えることが考えられるが、ケージの大きさが変わるとこれに伴って循環空気量が変わる為、同じ配管を用いた場合では適切な空気循環を行うことができないという問題が生じる。またこの場合は大きいケージサイズに合わせて棚段や配管を設定しておく必要があるため、小さいケージを用いる場合に、配設するケージ数が少なくなって少数の動物しか飼育できないという問題がある。
【0007】そこで夫々のケージの大きさに合わせ、専用ラック及び専用給排気管の両方を一体的に備えた専用装置、例えばマウス用のケージ搭載装置,ラット用のケージ搭載装置という様に、別々の動物飼育ケージ搭載装置が用いられている。
【0008】しかしこの場合は、ケージ搭載装置全体を複数種準備しなければならないだけでなく、当該動物に適した装置を用いて実験を行っている場合は、その間(相当長い期間に渡ることが多い)、使用していない方の動物飼育ケージ搭載装置を別の広い場所に保管・収納しなければならないという無駄を生じる。
【0009】そこで本発明はこの様な問題に鑑みてなされたものであり、飼育動物の変更に簡単に対応でき、且つ多くのケージを配設でき、保管・収納に広い場所を取らない動物飼育ケージ搭載装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る動物飼育ケージ搭載装置は、複数の動物飼育ケージがラックの各棚段に載置され、該動物飼育ケージの各々に空気排出用及び/または供給用の配管を接続して使用するものであって、前記配管が、前記各ケージの空気排出口及び/または供給口の個々に着脱自在に接続される空気排出用及び/または供給用枝管と、該各枝管を集合させる空気排出用及び/または供給用集合管を含む枠組構造体で構成され、該枠組構造体が上記ラックに対して係合・離脱自在に構成されていることを要旨とする。
【0011】上述の様に本発明においては、係合・離脱自在の配管(枠組構造体)であるから、必要な循環空気量に適した空気容量の配管に適宜交換することができ、これによって1つのラックで様々な種類の動物に対応できる。即ち動物の種類が変わった際には、配管及びケージを取り替えて対応し、ラックは同じものを用いる。そしてラックから取り外した配管やケージは軽く且つ薄いものであるから、保管・収納に広い場所を必要としない。
【0012】この際、上記枝管がフレキシブルチューブとなっていることが好ましく、こうしておけばケージと配管の位置関係が多少ずれたとしても、ケージと枝管の取付けが容易である。
【0013】また本発明においては、前記ラックが棚段可変式であることが好ましい。ラックの棚段に大きいケージを載置する場合はもとより、小さいケージを載置する場合にも、棚段をケージの大きさに合わせて変更することで、上下の隙間が小さくなる様に棚段を配置することができ、従って必要なケージを無駄なくラックに搭載することができる。
【0014】更に本発明においては、前記枠組構造体における集合管が、ラックの棚段に沿って水平方向に配設される水平集合管と、該水平集合管に接続して垂直方向に配設される垂直集合管よりなることがより好ましい。また本発明においては、前記水平集合管がラックの棚段構成に対応して組み立てられていることがより望ましい。
【0015】加えて本発明においては、前記垂直集合管及び/または水平集合管が伸縮自在であることが一層好ましい。配管をラックに取付けているときには、前記集合管を伸ばして用い、取付けていないときには集合管を縮めてコンパクトに保管することができる。
【0016】
【発明の実施の形態及び実施例】
<実施例1>図1,2は本発明に係る動物飼育ケージ搭載装置の実施例1を示す図で、図1はマウス用ケージを搭載している場合を表し、図2はラット用ケージを搭載している場合を表している。図1,2における夫々の(a) は正面図、夫々の(b) は側面図である。
【0017】図1に示すマウス用の場合では、ラック2に棚段2aが5段設けられ、各棚段2aにマウス用ケージ3が7個載置されている。棚段2aはラック2の枠部2dに差し込み方式或いはネジ止め方式によって可変式に取付けられ、段数を適宜変更できるようになっている。尚図では最上段の棚段2aのみにケージ3の載置を示し、その他の棚段2aに配設されるケージ3を省略している。
【0018】配管は空気排出用集合管4と空気排出用枝管5からなり、マウス用ケージ3に適した空気容量となっている。上記集合管4は、各棚段2aに対応して水平方向に位置する水平集合管4bと、垂直方向に位置する垂直集合管4aからなり、複数の上記水平集合管4bが上記垂直集合管4aに夫々接続し、枠組構造体を構成している。尚枠組構造体は上記集合管4の他に適切なアングル材等を組み合わせて構成することもできる。この配管はラック2背面側の配管取付ベース2bにフック(図示せず)によって係合・離脱自在に取付られ、上記垂直集合管4aの下流側端がブロアー6に着脱自在に接続され、また上記水平集合管4bに接続された複数の上記枝管5がケージ3に着脱自在に接続(例えばワンタッチ継手による接続)される。上記垂直集合管4aと上記ブロアー6の接続部分には空気量調整バルブ11が設けられ、配管から吸引する空気量を調整できるようになっている。また上記ブロアー6には差圧計12が設けられている。尚ラック2の足部分には移動可能である様にキャスター7が取付けられている。
【0019】図2に示すラット用の場合では、ラックの棚段2aが4段となっており、これらの各棚段2aにラット用ケージ8が5個載置される。尚図1と同様に図2では最上段のみにケージ8を図示し、他の棚段2aに載置されるケージ8を省略している。
【0020】配管は空気排出用集合管9と空気排出用枝管10からなり、ラット用ケージ8に適した空気容量(マウス用の配管より太め)となっている。上記と同様に集合管9は、各棚段2aに対応して水平方向に位置する水平集合管9bと、垂直方向に配設される垂直集合管9aからなり、該垂直集合管9aに複数の上記水平集合管9bが夫々接続されて、枠組構造体を構成している。また上記水平集合管9bに上記枝管10が複数接続されている。この配管はラック2の取付ベース2bにフック(図示せず)によって係合・離脱自在に取付けられる。上記枝管10は各ケージ8に着脱自在に接続(例えばワンタッチ継手による接続)され、また垂直集合管9aの下流側端がブロアー6に着脱自在に接続されている。尚図1と同じ構成部分については同一の符号を付して重複説明を避ける。
【0021】これら図1,2に示す動物飼育ケージ搭載装置を作動させてケージ3,8内の空気を吸引排気するときは、まずケージ3,8内の空気を枝管5,10から吸い込み、水平集合管4b,9b、垂直集合管4a,9aを経て上記ブロアー6へ導き、該ブロアー6のHEPAフィルターによって細菌や悪臭物質等の不浄物質を除去して排出する。尚、水平集合管4b,9bの断面積を枝管5,10の断面積の5倍以上とすることによって、各枝管毎の吸引風速むらをなくすことができる(「やさしい局排設計教室」沼野雄志著 中央労働災害防止協会 第172 〜173 頁参照)。ケージ3,8内への空気の供給は、前述と同様にケージ3,8の上面や前面に設けられた孔部から行われる。
【0022】次に本実施例1に係る動物飼育ケージ搭載装置の使用態様について説明する。例えばマウスを飼育する場合には、図1に示す配置になるように棚段2aを枠部2dに取付け、マウス用ケージ3を該棚段2aに載置し、マウス用の配管(集合管4及び枝管5)を上記フックに引掛ける様にしてラック2に取付け、枝管5をケージ3に夫々接続する。また集合管4の下流端をブロアー6に接続する。そしてこの様に設置したケージ搭載装置を用いてマウスの飼育を行う。
【0023】次にラットの飼育に変更する場合は、上記マウス用の配管(集合管4及び枝管5)をケージ3やブロアー6及びラック2から取り外し、図2に示す配置になるように、棚段2aを枠部2dに付け換え、ラット用ケージ8を載置する。ラット用の配管(集合管9及び枝管10)を上記フックに引掛ける様にしてラック2に取付け、枝管10をケージ8に夫々接続し、集合管9の下流端をブロアー6に接続する。そしてこのケージ搭載装置を用いてラットを飼育する。
【0024】この様に本発明においてはラック2と配管([集合管4及び枝管5]そして[集合管9及び枝管10])が係合・離脱自在であるから、必要とされる空気容量の配管に適宜取り替え可能であり、1つのラック2によって様々な動物に対応できる。そして不使用時に収納するものとしては配管及びケージ3,8のみであり、装置全体を収納しないから、広い収納場所を必要としない。例えば配管の収納に際しては、動物室の壁面付近の小さな隙間に立てかけておくようにしても良い。取り外された配管は、正面から見ればラックと同様の大きさであるかの如くであるが、側面から見れば薄いものであるから、この様なコンパクトな収納が可能である。更に伸縮自在の集合管4,9を用いた場合は、収納時に該集合管4,9を縮めておくことで一層コンパクトにでき、より小さな場所に収納できる。
【0025】また上記枝管5,10をフレキシブルチューブとすれば、ケージ3,8の載置位置が多少ずれても、ケージ3,8と枝管5,10を柔軟に対応させて容易に着脱することができる。
【0026】<実施例2>図3,4は本発明に係る動物飼育ケージ搭載装置の実施例2を示す図であり、図3はマウス用ケージを搭載している場合を表し、図4はラット用ケージを搭載している場合を表している。図3,4における夫々の(a) は正面図、夫々の(b)は側面図である。
【0027】前記実施例1では、垂直集合管4a,9aが1本のものを示したが、本実施例2では、垂直集合管14a,19aがケージ搭載装置の左右に2本設けられている。そして各棚段2aに対応して位置する水平集合管14b,19bの左右端に、上記各垂直集合管14a,19aが夫々接続される。前記実施例1と同様に、集合管4,9は上記垂直集合管14a,19aと上記水平集合管14b,19bから構成され、枠組構造体となっており、該集合管4,9(枠組構造体)と枝管5,10から配管が構成されている。また上記水平集合管14b,19bには枝管5,10が複数接続されており、該枝管5,10はケージ3,8に適応した所に位置し、該ケージ3,8に着脱自在に接続される。
【0028】また前記実施例1では、ラック2への配管の取付のために取付ベース2bを設けたが、本実施例2では、ラック2の棚段2aに直接配管を取り付ける構成となっている。この配管の取付はフック(図示せず)によって複数箇所で係合・離脱自在に取り付けられる。
【0029】尚図1,2と同じ構成部分については同一の符号を付して重複説明を避ける。また図3,4においても図1,2と同様に、最上段の棚段2aのみにケージ3,8の載置を示し、その他の棚段2aに配設されるケージ3,8を省略している。
【0030】本実施例2においても前述と同様に、必要とされる空気容量の配管に適宜取り替え可能であり、1つのラック2によって様々な動物に対応できる。また不使用時に収納するものとしては配管及びケージ3,8のみであり、広い収納場所を必要としない。
【0031】更に本実施例2の場合は、垂直集合管14a,19aを2本設けたことにより、各枝管5,10からの吸気をより一層均等に行うことができ、加えて集合管の枠組構造体としての強度も向上し、より好ましい。
【0032】本発明は上記実施例1,2に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。例えば前記実施例1,2においては、ケージ3,8内の空気を排気する場合を示したが、空気の流れを上述とは逆にして、空気供給用としても良い。
【0033】また上記実施例1,2では、ブロアー6を1つの動物飼育ケージ搭載装置毎に設けたものを示したが、これに限るものではなく、複数の動物飼育ケージ搭載装置から夫々配管を延ばし、1つのブロアーに接続するようにしても良い。
【0034】図1〜4では垂直集合管4a,9a,14a,19aの上端からブロアー6に接続するようにしたが、垂直集合管4a,9a,14a,19aの下端から接続するようにしても良い。更に図3,4に示す様な2本の垂直集合管14a,19aを有するものの場合は、左側の垂直集合管14a,19aからブロアー6に接続することもできる。加えて垂直集合管の上端や下端からに限らず、途中からブロアーに接続することも可能である。従って動物飼育ケージ搭載装置とブロアーとの設置位置の自由度が増す。また垂直集合管を3本以上設けたものであっても良い。
【0035】
【発明の効果】本発明においては、動物飼育ケージ搭載装置の棚段及び配管をラックの枠に適宜着け換えることができ、従って1つのラックで種々の飼育動物に対応でき、しかも小動物を飼育する場合においても無駄なスペースを作らず、多くの動物を飼育できる。そして使用していない動物飼育ケージ搭載装置についてはその配管及びケージを保管・収納するだけであるから、収納場所が小さくて済む。
【出願人】 【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
【出願日】 平成9年(1997)7月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
【公開番号】 特開平11−18605
【公開日】 平成11年(1999)1月26日
【出願番号】 特願平9−175818