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【発明の名称】 25−水酸化ビタミンD3 24−水酸化酵素遺伝子導入動物
【発明者】 【氏名】春日 久男

【氏名】井坂 正身

【氏名】松岡 邦夫

【要約】 【課題】高カルシウム血症、低カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、骨減少症などの骨疾患、糸球体腎炎、糸球体硬化症、慢性腎炎、腎不全などの腎臓疾患、悪性腫瘍、乾癬症あるいはそれらの合併症などの病態モデル動物として利用することができ、これらの病態機序の解明および疾患の治療方法の検討、ならびに治療薬のスクリーニングを行うことが可能な遺伝子転移動物非ヒト哺乳を提供する。

【解決手段】25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が転移された非ヒト哺乳動物を作出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部。
【請求項2】非ヒト哺乳動物が、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウスまたはラットである請求項1記載の動物またはその生体の一部。
【請求項3】非ヒト哺乳動物がラットである請求項1記載の動物またはその生体の一部。
【請求項4】外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を含有し、哺乳動物において該遺伝子を発現し得るベクター。
【請求項5】外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、該被験物質のビタミンD3代謝異常に起因する疾患の改善効果を検定することを特徴とする、ビタミンD3代謝異常に起因する疾患の予防・治療のために用いられる物質のスクリーニング方法。
【請求項6】ビタミンD3代謝異常に起因する疾患が、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌である請求項5記載のスクリーニング方法。
【請求項7】ビタミンD3代謝異常に起因する疾患が、腎疾患または骨疾患である請求項5記載のスクリーニング方法。
【請求項8】請求項5記載の方法によりビタミンD3代謝異常に起因する疾患の改善効果を有すると判定される物質を含有してなるビタミンD3代謝異常に起因する疾患の予防・治療用医薬。
【請求項9】ビタミンD3代謝異常に起因する疾患が、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌である請求項8記載の医薬。
【請求項10】ビタミンD3代謝異常に起因する疾患が、腎疾患または骨疾患である請求項8記載の医薬。
【請求項11】外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部の、ビタミンD3代謝異常に起因する疾患の予防・治療のために用いられる物質をスクリーニングするための用途。
【請求項12】卵胞刺激ホルモン約20ないし50IU/個体を投与した後に黄体形成ホルモン約0ないし10IU/個体を投与した雌ラットを雄ラットと交配させて得られる受精卵に、外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを導入し、該受精卵を雌ラットに着床させることを特徴とする請求項3記載のラットまたはその生体の一部の作製方法。
【請求項13】黄体形成ホルモン放出ホルモンまたはその類縁体を投与した後、雄ラットと交配させた雌の偽妊娠ラットに、外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを導入した受精卵を着床させることを特徴とする請求項3記載のラットまたはその生体の一部の作製方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子導入動物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】遺伝子導入動物は、動物またはこの動物の先祖の胚芽ラインの中へ初期(通常、単細胞)発育段階において導入された遺伝子を有する。ワグナー(Wagner)等(1981、プロシーデイングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(ProNAS,USA)、第78巻、第5016頁)およびスチユワート(Stewart)等(1982、サイエンス(Science)、第217巻、第1046頁)は、ヒトグロビン遺伝子を含有する遺伝子導入マウスを記載している。コンスタンチーニ(Constantini)等(1981、ネイチャー(Nature)、第294巻、第92頁)およびレーシ(Lacy)等(1983、セル(Cell)、第34巻、第343頁)は、ウサギグロビン遺伝子を含有する遺伝子導入マウスを記載している。マックナイト(McKnight)等(1983、セル、第34巻、第335頁)はトランスフェリン遺伝子を含有する遺伝子導入マウスを記載している。ブリンスター(Brinstar)等(1983、ネイチャー、第306巻、第332頁)は、機能的に導入された免疫グロブリン遺伝子を含有する遺伝子導入マウスを記載している。骨疾患に関与する主な遺伝子導入マウスにはつぎの報告がある。ルイス(Lewis, D.B.)等(1993、プロシーデイングス オブ ナショナル アカデミー オブサイエンス、第90巻、第11618頁)はマウスlck-IL4遺伝子導入マウスを記載しており、このマウスにおいて、オステオカルシン量は有意に少なく、骨粗鬆症様の症状が見られたことを報告した。
【0003】一方、腎疾患に関与する主な遺伝子導入マウスにはつぎの報告がある。土井(Doi,T.)等(1988、アメリカン ジャーナル オブ パソロジー(Am. J. Pathol.)、第131巻、第398頁)はウシ成長ホルモン遺伝子導入マウスを記載しており、このマウスにおいて、7週齡でびまん性メサンギウム硬化症、30週齡以上では糸球体硬化が進行し、尿毒症で死亡したことを報告した。ドレスラー(Dressler, G. R.)等(1993、ネイチャー(Nature)、第362巻、第65頁)はPax-2遺伝子導入マウスを記載しており、このマウスにおいて、腎臓での遺伝子発現を確認し、糸球体萎縮、蛋白尿などのネフローゼに類似した症状が見られることを報告した。また、ローデン(Lowden,D.A.)等(1993、ジャーナル オブ ラボラトリー クリニカル メディスン(J. Lab. Clin. Med.)、第124巻、第386頁)はTGF-α遺伝子導入マウスを記載しており、このマウスにおいて、腎臓での遺伝子発現を確認し、腎嚢胞形成および糸球体肥大の症状が見られることを報告した。しかし、骨疾患あるいは腎疾患のモデルとなりうる外来性遺伝子導入ラットは現在知られていない。
【0004】ビタミンDは自然界にD2およびD3の2つのタイプが存在し、D2は側鎖22位に二重結合、24位にメチル基を持ち、植物に存在するが、動物においてはD3が存在することが知られている。ヒトの皮膚で生成された7-ヒドロコレステロール(プロビタミンD3)では、UV290-320nmの紫外線によってB環の9位と10位が開裂する光開裂反応が起こり、プレビタミンD3が生成される。さらにそれが体温により異性化し、ビタミンD3を生成する。このビタミンD3では、B環が開裂して二重結合が一つおきに3個並ぶ構造を示している。ビタミンD3はビタミンD結合タンパクと結合して、肝臓に輸送され、肝細胞のミトコンドリアに存在する25-水酸化酵素により側鎖25位が水酸化され、25-水酸化ビタミンD3となり、続いて腎臓に輸送され、PTHなどの血中カルシウム代謝調節ホルモンやカルシウム濃度に依存して近位尿細管で1α位、23位、24 位、26位がそれぞれ水酸化され、1α,25-水酸化ビタミンD3、23,25-水酸化ビタミンD3、24,25-水酸化ビタミンD3、26,25-水酸化ビタミンD3になる。そのうち生物活性の高いものは1α,25-水酸化ビタミンD3であり、血中カルシウムおよびリン濃度を上昇させ、骨芽細胞に対してオステオポンチンおよびオステオカルシンの発現を促進、プロテオグリカンの産生を抑制、反対に細胞膜産生リン脂質の産生を上昇させ、その結果、骨芽細胞の石灰化を促進することなどの骨代謝機能がある。24,25-水酸化ビタミンD3の機能としては、破骨細胞の形成を抑制し、オステオカルシン遺伝子の発現を促進することが知られ、ビタミンD欠乏ラットにおいて石灰化を促進することも報告されているが、その作用は近位尿細管に存在する25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素(ビタミンD324-水酸化酵素あるいは1α,25-水酸化ビタミンD3水酸化酵素とも呼ばれている)の機能によるものである。また最近の研究では、この酵素が24位以外にも26位を水酸化することも知られている。ビタミンD代謝の重要な疾患として知られているものには、ビタミンD依存症II型、くる病および骨軟化症などがある。これらの疾患は石灰化障害による骨形成不全、骨の変形の状態を示し、骨端線閉鎖以前に石灰化障害が生じるとくる病になり、閉鎖以後に生じれば骨軟化症になる。その他、上記疾患との合併症としてまたは単独で腎不全を含む腎臓疾患、二次性副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症になる可能性がある。
【0005】大山(Ohyama)等(1989、フェブス レターズ(FEBS Lett.)、第255巻、第405頁)は、ビタミンDを投与して抽出したラット腎臓ミトコンドリアを材料にして、ビタミンD324-水酸化酵素の精製に成功し、続いて大山ら(Ohyama)等(1991、フェブス レターズ(FEBS Lett.)、第278巻、第195頁)は、ビタミンD324-水酸化酵素抗体によるクローンのスクリーニングによって、cDNAを単離した。ビタミンD324-水酸化酵素cDNAは、全長3.2K塩基、そのうち514個のアミノ酸を翻訳する1542bpの読み取り枠(一般にopen reading frameと呼ばれる)を有し、分子量59,000のタンパクを生成することが知られている。その生成されたタンパクのN末端より35個のアミノ酸が切断されて479個のアミノ酸からなる成熟した分子量約55,000のタンパクになることが明らかになった。さらに462番目のアミノ酸システインがヘム第5位に結合することからミトコンドリア型タンパクP-450の特徴を有することも明らかになり、COS細胞での発現実験により、タンパクとして発現することが確認された。一方、ヒトビタミンD324-水酸化酵素cDNAは、チェン(Chen)等(1993、プロシーデイングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス、第90巻、第4543頁)により得られ、マウスのそれは、伊藤(Itoh)等(1995、バイオケミカ エ バイオフィジカ アクタ(Biochemica et BiophysicaActa)、第1264巻、第26頁)により得られ、モルモットのそれは、大山(Ohyama)等(1996、日本骨代謝学会雑誌、第14巻、第112頁)により得られた。ラット、ヒト、マウスおよびモルモットの同酵素のアミノ酸配列は互いに約80-95%の相同性を有することが明らかになっている。
【0006】その生体における機能についても解析が行われ、新木(Shinki)等(1992、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第267巻、第13757頁)は、1α,25-水酸化ビタミンD3によりビタミンD324-水酸化酵素が誘導されることをノーザン解析から明らかにした。また、その際1α,25-水酸化ビタミンD3は腎臓よりも小腸において反応が早く、その程度も高いことが明らかになった。さらに25-水酸化ビタミンD3および1α,25-水酸化ビタミンD3の反応性を調べた結果、Km値の差から1α,25-水酸化ビタミンD3の方がビタミンD324-水酸化酵素の基質特異性が高いと推論した。またベッケン(Becken, M.J.)等(1996、バイオケミストリー(Biochemistry)、第35巻、第8465頁)は、25-水酸化ビタミンD3代謝についてSpodoptera frugiperda(Sf2l)細胞による実験で調べ、23位、24 位の両触媒作用のあることを示唆した。さらに、ビタミンD325-水酸化酵素は、舛本(Masumoto)等(1988、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第263巻、第14256頁)によりラット肝臓ミトコンドリアから単離され、この遺伝子機能に関する知見も得られているが、現在のところ、ビタミンD31α-水酸化酵素の単離精製や遺伝子クローニングは成功に至っていない。ビタミンD324-水酸化酵素の遺伝子発現は、5´上流域の-150〜-136に存在するビタミンD3応答配列(一般にVDREと略される)VDRE-1に、1α,25水酸化ビタミンD3が結合したビタミンD3受容体(一般にVDRと略される)とレチノイドX受容体(一般にRXRと略される)とのヘテロダイマーが結合することにより、調節を受けている。このビタミンD3応答配列は、AGGTCAの6塩基から構成されるモチーフの3塩基のギャップをはさんだ繰り返し構造(一般にタンデムリピート呼ばれる)からなり、他に甲状腺ホルモンの応答配列(一般にTREと略される)、レチノイン酸の応答配列(一般にRAREと略される)との類似性が指摘されている。さらに、ケリー(Kerry,D.M.)等(1996、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、第271巻、第29715頁)は、当該遺伝子において、5´上流域に存在する3個のビタミンD3応答配列のうち-150〜-136に存在するVDRE-1が、-249〜-232に存在するVDRE-2よりも1α,25-水酸化ビタミンD3に対して感受性が高く、両者の協働作用により、その活性を高めており、1α,25-水酸化ビタミンD3に対する反応を調節していることを示唆した。1α,25-水酸化ビタミンD3により促進的に発現調節を受けている主要遺伝子としては、アルカリフォスファターゼ、アルドラーゼサブユニットB、グリセルアルデハイド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヒートショックタンパク-70、カルビンジン-D28Kおよび9K、オステオカルシン、オステオポンチン、オステオネクチン、フィブロネクチン、インターロイキンI-6、Matrix-gla-タンパク、メタロチオネイン、NADH-DHサブユニットIIIおよびIV、インテグリンαVβ3、トランスフォーミング グロース ファクターβ、ナーブグロースファクター、c-FMS、c-fos、c-KI-RAS、ビタミンD3レセプター、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素、プロテインカイネースC、プロラクチン、プラズマメンブレンカルシウムポンプ、EGF受容体、腫瘍ネクローシスファクターα、1α,25-水酸化ビタミンD3受容体などがあり、抑制的に調節を受けている主要遺伝子としては、NADH-DHサブユニットI、カルシトニン、コラーゲンタイプI、γインターフェロン、コロニースティムレイティングファクター、c-myb、25-水酸化ビタミンD31α水酸化酵素、脂肪酸結合タンパク、インターロイキンIIおよびIII、CD-23、トランスフェリン受容体、チトクロームB、フェレドキシン、副甲状腺ホルモン(一般にPTHと略される)、プレ-プロ-PTH、PTH関連タンパク、プロテインカイネースインヒビターなどがある。ビタミンD324-水酸化酵素やオステオカルおよびオステオポンチン調節領域には、ビタミンD3応答配列があり、1α,25-水酸化ビタミンD3により発現調節をうけていることが知られているが、上記の遺伝子すべてがビタミンD3応答配列を介した調節を受けているものであるどうかは明らかにされていない。ビタミンD欠乏ラットに1α,25-水酸化ビタミンD3を投与すると、ビタミンD324-水酸化酵素が誘導されるが、腎臓と小腸では、その濃度および反応時間に差異が見られ、反応性は小腸の方が高いことがわかった。副甲状腺ホルモンおよび1α,25-水酸化ビタミンD3を同時に投与すると、ビタミンD3 24-水酸化酵素の誘導は抑制されることが明らかになった。また、同酵素が腎臓ではproximal tubeに発現していることがわかった。ロイ(Roy)等(1996、エンドクリノロジー(Endocrinology)、第137巻、第2938頁)は、小腸において1α,25-水酸化ビタミンD3で誘導される同酵素が小嚢腺円柱上皮および絨毛に発現していることを示した。
【0007】ビタミンDにおいては、遺伝子賦活化による反応(一般にビタミンDのgenomicactionと呼ばれる)およびそれ以外の反応(一般にビタミンDのnon-genomic actionと呼ばれる)が知られ、その生理作用は異なることが示唆されている。ビタミンDのnon-genomic actionについては、腸カルシウムの吸収促進や細胞内増加を数分の単位で起こす現象が示されている。ヒト血漿中のビタミンD代謝物は、測定条件等により異なるが、ビタミンD3で血漿中の正常範囲は1-5ng/ml、半減期1日;25-水酸化ビタミンD3で10-40ng/ml、半減期10-20日;24-水酸化ビタミンD3で1-4ng/ml、半減期14-21日;1α,25-水酸化ビタミンD3で20-70pg/ml、半減期数時間ということが知られている。25-水酸化ビタミンD3は肝臓で生成され、代謝調節を受けることが少なく、ビタミンD摂取や日光による体内生成に依存しているので、栄養学的にビタミンD欠乏の指標となる。一方、1α,25-水酸化ビタミンD3は、血中カルシウム濃度および副甲状腺ホルモン濃度により調節を受けて腎臓で代謝され、一定の濃度に保たれている。血漿中の低濃度は、ビタミンD依存症II型、くる病、骨軟化症、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、骨粗鬆症などの疾患で見られ、二次性副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症などの疾患や妊娠では、血漿中濃度は上昇していることが知られており、疾患診断の指標となることが知られている。栄養学的にビタミンDの欠乏には、ビタミンD2、ビタミンD3を含む食品や製剤を摂取することにより効果をあげることができるが、ビタミンD抵抗性くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、腎性異栄養症、乾癬および抗てんかん剤により発症するくる病には、活性型ビタミンD製剤の投与が必要とされている。また、活性型ビタミンD誘導体合成も行われ、多くの誘導体が合成されているが、これに伴って細胞における生物作用の研究および臨床における作用の研究についても発展をとげ、ビタミンD製剤が上記疾患の治療薬として用いられ、さらに治療薬の候補になっている誘導体も数多く知られている。特にブイヨン(Bouillon)等(1995、エンドクリン レビュウ(Endocrine Reviews)、第16巻、第200頁)の報告のように、構造活性相関の研究もよく行われている。細胞における生物作用の研究および臨床における作用の研究についても進歩し、その結果、ビタミンD製剤が上記疾患の治療薬として用いられ、治療薬の候補になっている誘導体も数多い。そのなかで24-フッ素化ビタミンD3は詳細に研究され、24,24-ジフルオロ-25-水酸化ビタミンD3の生物作用は、24,25-水酸化ビタミンD3のそれと差異のあるものでないことが明らかになり、1α,25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素の機能はより詳細に研究されるようになった。ベックマン(Beckman)等(1996、バイオケミストリー(Biochemistry)、第35巻、第8465頁)は、この酵素の多触媒作用についてin vitro代謝実験で明らかにした。25-水酸化ビタミンD3は、25-水酸化-24-オキソビタミンD3に代謝され、24-オキソ-23,25-水酸化ビタミンD3を経て、23-水酸化-24,25,26,27-テトラノルビタミンD3に生成されるとの結果から、この酵素が24位の水酸化のみならず多触媒作用を有することを示した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子の機能を解明すること、特に、骨疾患におけるビタミンD3代謝およびその作用の解明は、骨疾患(たとえば、一次性および二次性骨粗鬆症、くる病、骨軟化症、低カルシュウム血症など)、腎疾患(たとえば糸球体腎炎、IgA腎症、膜性腎症、糸球体硬化症、ネフローゼ、腎不全など)の治療上重要な課題である。さらに腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌の改善効果を検定することを特徴とする、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌の機序解明上重要な課題である。本発明のうち遺伝子導入動物は、ビタミンD324-水酸化酵素の機能の解明、ビタミンD3代謝研究、骨疾患における予防・治療方法の検討、遺伝子高発現細胞の供給、ビタミンD受容体のリガンド結合研究、ビタミンD受容体をはじめとする核内受容体の標的遺伝子制御機構などを解明することを目的として利用するのに、最適な動物を提供するものである。本発明の遺伝子導入動物の作出により、ビタミンD324-水酸化酵素の過剰発現が、主に腎臓のビタミンD3代謝不均衡を促進し、活性化型ビタミンD3を調節する遺伝子機能の不活性化、低下を介して腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌の改善効果を検定することを特徴とする、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌あるいはそれらの合併症のメカニズムを解明した。しかしながら、このような目的に供しうる骨疾患あるいは腎疾患の病態モデルとして充分に有効な外来性遺伝子導入動物(特に遺伝子導入ラット)は、現在のところ知られていない。従って、病態モデルとなるような外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する遺伝子導入動物の作製に成功すれば、ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子の機能の解明、特に、骨疾患におけるビタミンD3代謝およびその作用の解明が可能となり、さらに、骨疾患における予防・治療方法の検討、遺伝子高発現細胞の供給、ビタミンD受容体のリガンド結合研究、ビタミンD受容体をはじめとする核内受容体の標的遺伝子制御機構の解明なども可能になると考えられる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物の作製に初めて成功し、この遺伝子導入動物が意外にも腎疾患を発症すること、さらに、ビタミンD324-水酸化酵素の過剰発現が主に腎臓のビタミンD3代謝不均衡を促進し、活性化型ビタミンD3を調節する遺伝子の機能の不活性化ないし低下を介して、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌の改善効果を検定することを特徴とする、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌あるいはそれらの合併症を発症することを見出し、これらに基づいて本発明を完成した。すなわち、本発明は(1)外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部;
(2)非ヒト哺乳動物が、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウスまたはラットである前記(1)記載の動物またはその生体の一部;
(3)非ヒト哺乳動物がラットである前記(1)記載の動物またはその生体の一部;
(4)外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を含有し、哺乳動物において該遺伝子を発現し得るベクター;
(5)外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部に被験物質を適用し、該被験物質のビタミンD3代謝異常に起因する疾患の改善効果を検定することを特徴とする、ビタミンD3代謝異常に起因する疾患の予防・治療のために用いられる物質のスクリーニング方法;
(6)ビタミンD3代謝異常に起因する疾患が、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌である前記(5)記載のスクリーニング方法;
(7)ビタミンD3代謝異常に起因する疾患が、腎疾患または骨疾患である前記(5)記載のスクリーニング方法;
(8)前記(5)記載の方法によりビタミンD3代謝異常に起因する疾患の改善効果を有すると判定される物質を含有してなるビタミンD3代謝異常に起因する疾患の予防・治療用医薬;
(9)ビタミンD3代謝異常に起因する疾患が、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌である前記(8)記載の医薬;
(10)ビタミンD3代謝異常に起因する疾患が、腎疾患または骨疾患である前記(8)記載の医薬;
(11)外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部の、ビタミンD3代謝異常に起因する疾患の予防・治療のために用いられる物質をスクリーニングするための用途;および(12)卵胞刺激ホルモン約20ないし50IU/個体を投与した後に黄体形成ホルモン約0ないし10IU/個体を投与した雌ラットを雄ラットと交配させて得られる受精卵に、外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを導入し、該受精卵を雌ラットに着床させることを特徴とする前記(3)記載のラットまたはその生体の一部の作製方法などを提供するものである。
【0010】本発明の遺伝子導入動物は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)において、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などの遺伝子導入方法によって、目的とする外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を目的とする細胞に導入することにより作出される。また、該遺伝子導入方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とする遺伝子を導入し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これらの細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法によって融合させることにより遺伝子導入動物を作出することもできる。また、このようにして作製された遺伝子導入動物の生体の一部(例えば、外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する細胞、組織、臓器など、あるいはこれらに由来する細胞または組織を培養し、必要に応じ、継代したものなど)も、本発明の「外来性25−水酸化ビタミンD34−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物の生体の一部」として、本発明の「外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物」と同様な目的に用いることが出来る。
【0011】本発明で対象とし得る「非ヒト哺乳動物」としては、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなどが挙げられる。好ましくは、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウスまたはラットであり、なかでも齧歯目(Rodentia)が好ましく、とりわけラット(Wistar,SDなど)、特にWistar系統のラットが疾患モデル動物として最も好ましい対象動物である。他に鳥類動物として、ニワトリなども本発明で対象する「非ヒト哺乳動物」と同様な目的に用いることが出来る。本発明で対象とし得る「哺乳動物」としては、上記の「非ヒト哺乳動物」の他にヒトなどが挙げられる。対象となる非ヒト哺乳動物に導入する外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子としては、例えば以下のものなどが挙げられる。ラットのビタミンD324-水酸化酵素は、大山(Ohyama)等(1989、プロシーデイングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス、第86巻、第8977頁)により初めて単離されている。該酵素は分子量約55000のタンパクで、ミトコンドリア型のP450であり、大山(Ohyama)等は、ビタミンD324-水酸化酵素の抗体を用いたアッセイで、最終的に3.2kbpの大きさの相補DNA(cDNAと略される)を取得することに成功している。この遺伝子の構造および機能としては、翻訳後にアミノ酸末端(一般にN末端と略される)35個のアミノ酸からなるプロペプチド部分が切断され、479個のアミノ酸からなる成熟したタンパク質が生成することが知られている。また、本タンパク質の462番目のシステインが、ヘムの第5結合部位に配位することからP450タンパク質の特徴を備えていることも明らかにされており、得られたcDNAをCOS細胞で発現させると、ビタミンD324-水酸化酵素活性が生じることから、機能においてもビタミンD324-水酸化酵素のcDNAであることが確認されている。上記したラットのビタミンD324-水酸化酵素cDNA以外にも、ヒトのビタミンD324-水酸化酵素cDNA(チェン(Chen)等、1993、プロシーデイングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス、第90巻、第4543頁)、マウスのビタミンD324-水酸化酵素cDNA(伊藤(Itoh)等、1995、バイオケミカ エ バイオフィジカ アクタ(Biochemica et Biophysica Acta)、第1264巻、第26頁)、モルモットのビタミンD324-水酸化酵素cDNA(大山(Ohyama)等、1996、日本骨代謝学会雑誌、第14巻、第112頁)などのDNA配列が公知であり、何れの動物種のビタミンD324-水酸化酵素cDNAを、対象の非ヒト哺乳動物に導入する外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子として用いてもよい。本発明の外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子の変異遺伝子としては、元の外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子のDNA配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生じた遺伝子が挙げられる。より具体的には、該塩基の付加、欠損、他の塩基への置換の結果、25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素を構成するアミノ酸配列において、1ないし5個(好ましくは1または2個)のアミノ酸に置換、付加または欠損が生じるように変異させることが好ましく、元の25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素の機能を失わない変異であれば何れの変異であってもよい。
【0012】本発明における外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子は、導入または発現の対象とする非ヒト哺乳動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよい。該遺伝子を対象動物に導入させるにあたっては、当該遺伝子を対象となる動物の細胞で発現させうるプロモーターの下流に連結した遺伝子コンストラクト(例、ベクターなど)として用いるのが一般に有利である。具体的には、ヒトの25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子を導入させる場合、ヒト25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子と相同性が高い25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子を有する各種哺乳動物(ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど(好ましくはラットなど))に由来し、ヒトの25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子を発現させうる各種プロモーターの下流に、該遺伝子を連結したベクターを、対象となる非ヒト哺乳動物の受精卵(例えばラット受精卵)へマイクロインジェクションすることによって、目的とするヒト25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子を高発現する遺伝子導入非ヒト哺乳動物を作出できる。25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウイルスなどのレトロウイルス、ワクシニアウイルスまたはバキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられ、特に大腸菌由来のプラスミドが好ましい。
【0013】25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子の遺伝子発現調節を行うプロモーターとしては、たとえばウィルス(サイトメガロウィルス、モロニー白血病ウィルス、JCウィルス、乳癌ウィルスなど)に由来する遺伝子のプロモーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)および鳥類(ニワトリなど)に由来する遺伝子(例えば、アルブミン、エンドセリン、オステオカルシン、筋クレアチンキナーゼ、コラーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存タンパクキナーゼβIサブユニット、心房ナトリウム利尿性因子、ドーパミンβ-水酸化酵素、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、平滑筋αアクチン、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF-1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク、血清アミロイドPコンポーネント、レニンなど)のプロモーターなどが挙げられるが、好ましくは全身で高発現することが可能なモロニー白血病ウィルスプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモーターなどを用いることができる。ヒト、ラット、マウスなどで骨特異的に発現させるには、骨で発現することの知られているオステオカルシン遺伝子、エステロジェン受容体遺伝子のプロモーターなどが有効である。
【0014】上記ベクターは、遺伝子導入哺乳動物において、目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する配列(ポリA、一般にターミネターと呼ばれる)を有していることが好ましく、例えば、ウィルス由来、各種哺乳動物および鳥類由来の各遺伝子の配列を用いて遺伝子発現を操作することが出来る。好ましくは、シミアンウィルスのSV40ターミネターなどが用いられる。その他、目的の遺伝子をさらに高発現させる目的で、各遺伝子のスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核遺伝子のイントロンの一部を、プロモーター領域の5´上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3´下流 に連結することも目的により可能である。
【0015】ビタミンD324-水酸化酵素の翻訳領域は、各種哺乳動物(ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)の肝臓、腎臓、線維芽細胞などに由来するDNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーに由来するゲノムDNAの全てあるいは一部を原料として用い、あるいは肝臓、腎臓、線維芽細胞に由来するRNAから公知の方法により調製された相補DNAを原料として用いて、取得することが出来る。また、外来性25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子は、患者の線維芽細胞に由来するRNAから公知の方法により調製された相補DNAを原料として用いることもできる。また、上記の細胞あるいは組織より得られたビタミンD324-水酸化酵素の翻訳領域を用いて、点突然変異誘発法などにより変異した翻訳領域を作製することもできる。これらは何れも遺伝子導入動物に利用可能な材料である。以上の翻訳領域は、導入動物において発現しうる遺伝子コンストラクト(例、ベクターなど)として前記のプロモーターの下流(好ましくは、転写終結部位の上流)に連結させる通常の遺伝子工学的手法により、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を組み込んだDNAを作製することができる。
【0016】受精卵細胞段階における25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子の導入は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。遺伝子導入後の作出動物の胚芽細胞において、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が存在することは、作出動物の後代の動物全てが、その胚芽細胞および体細胞のすべてに25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が存在することを意味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞のすべてに25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を有する。
【0017】導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することにより、すべての子孫が該遺伝子を安定に保持し、また、該遺伝子を過剰に有することを確認して、通常の飼育環境で繁殖継代することができる。遺伝子導入対象動物が有する内在性の遺伝子とは異なる遺伝子(好ましくは、イントロンを保持しない遺伝子)である外来性の25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を、対象非ヒト哺乳動物(好ましくはラットなど、特に好ましくは Wistar 系統のラットなど)またはその先祖の受精卵に導入する際に用いられる受精卵は、同種の雄非ヒト哺乳動物(好ましくは雄ラットなど、特に好ましくは Wistar 系統の雄ラットなど)と雌非ヒト哺乳動物(好ましくは雌ラットなど、特に好ましくは Wistar 系統の雌ラットなど)を交配させることによって得られる。受精卵は自然交配によっても得られるが、雌非ヒト哺乳動物(好ましくは雌ラットなど、特に好ましくは Wistar 系統の雌ラットなど)の性周期を人工的に調節した後、雄非ヒト哺乳動物(好ましくは雌ラットなど、特に好ましくは Wistar 系統の雌ラットなど)と交配させる方法が好ましい。雌非ヒト哺乳動物の性周期を人工的に調節する方法としては、例えば初めに卵胞刺激ホルモン(妊馬血清性性腺刺激ホルモン、一般にPMSGと略する)、次いで黄体形成ホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、一般に hCGと略する)を、例えば腹腔注射などにより投与する方法が好ましいが、好ましいホルモンの投与量、投与間隔は非ヒト哺乳動物の種類によりそれぞれ異なる。また、Wister 系統のラットを用いる場合は、約12時間明期条件(例えば7:00−19:00)で約1週間飼育した8週齢以上のものが好ましい。非ヒト哺乳動物が雌ラット(好ましくは Wistar系統の雌ラット)の場合、通常、卵胞刺激ホルモン投与後、約48時間後に黄体形成ホルモンを投与し、雄ラットと交配させることにより受精卵を得る方法が好ましく、卵胞刺激ホルモンの投与量は約20〜約50IU/個体、好ましくは約30IU/個体、黄体形成ホルモンの投与量は約0〜約10IU/個体、好ましくは約5IU/個体である。得られた受精卵に、前述の方法により外来性25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が導入された後、雌非ヒト哺乳動物に人工的に移植・着床され、外来性遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物が得られる。また、黄体形成ホルモン放出ホルモン(一般にLHRHと略する)あるいはその類縁体を投与後、雄ヒト哺乳動物と交配させることにより、受精能を誘起された偽妊娠雌非ヒト哺乳動物に、得られた受精卵を人工的に移植・着床させる方法も好ましい。LHRHあるいはその類縁体の投与量、ならびにその投与後に雄非ヒト哺乳動物と交配させる時期は、非ヒト哺乳動物の種類によりそれぞれ異なる。非ヒト哺乳動物が雌ラット(好ましくは Wistar 系統の雌ラット)の場合は、通常、LHRHあるいはその類縁体(例えば[3,5-Dil-Tyr5]-LH-RH, [Gln8]-LH-RH, [D-Ala6]-LH-RH, [des-Gly10]-LH-RH,[D-His(Bzl)6]-LH-RHおよびそれらの Ethylamideなど)を投与した後、約4日目に雄ラットと交配させることが好ましく、LHRHあるいはその類縁体の投与量は、通常、約10〜60μg/個体、好ましくは約40μg/個体である。また、上記した雌非ヒト哺乳動物の性周期を人工的に調節して受精卵を取得するする方法と受精能を誘起された偽妊娠雌非ヒト哺乳動物に、得られた受精卵を人工的に移植・着床させる方法とを組み合わせて用いることが好ましい。
【0018】本発明の25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が導入された非ヒト哺乳動物は、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が高発現させられており、内在性の25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子の機能を促進することにより、最終的に高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、骨減少症などの骨疾患および糸球体腎炎、慢性腎炎、腎不全などの腎臓疾患、さらに関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌となることがあり、それらの病態モデル動物として利用することができる。たとえば、本発明のマウスおよびラットなどを用いて、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、骨減少症などの骨疾患および糸球体腎炎、慢性腎炎、腎不全などの腎臓疾患、さらに関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌などの病態機序の解明、これら疾患の予防・治療方法の検討、これら疾患の予防・治療薬研究開発を目的とした候補化合物のスクリーニングを行うことが可能である。また、例えば、本発明の25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が導入された非ヒト哺乳動物の利用可能性として、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子高発現マウスが、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、骨減少症などの骨疾患および糸球体腎炎、慢性腎炎、腎不全などの腎臓疾患、さらに腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌などにおける病態機序を解明する実験モデルとなることも挙げられる。その場合、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素の生体内機能が解明されることになり、さらに核内レセプターであるビタミンDレセプターの遺伝子調節機構を解明する実験モデルとしての利用も期待される。
【0019】以上の本発明の遺伝子導入哺乳動物を、組織培養のための細胞源として使用することも可能である。また、たとえば、本発明の遺伝子導入マウスの組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、あるいは遺伝子により発現されたタンパク組織を分析することにより、核内レセプターの複雑な作用の転写因子との関連性について解析することもできる。あるいは、遺伝子を有する組織の細胞を、標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、たとえば骨芽細胞および破骨細胞のような骨組織由来細胞などの一般に培養が困難な組織に由来する細胞の機能を研究することもできる。さらに、その細胞を用いることにより、たとえば細胞の機能を高めるような薬剤の選択も可能である。また、高発現細胞株があれば、そこから、ビタミンD324-水酸化酵素を大量に単離精製すること、ならびにその抗体を作製することも可能とある。
【0020】本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌などの予防・治療薬のスクリーニング試験に利用可能なモデルである。なかでも、本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、腎機能障害を有することより、腎疾患の予防・治療薬のスクリーニング試験に利用可能なモデルである。また、本遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、骨量減少の症状を有することから、例えばビタミンD3製剤など骨粗鬆症予防・治療薬のスクリーニング試験に利用可能なモデルである。従来用いられている骨疾患モデル(ラット、マウスなど)には以下のような種差に関連する問題点が存在しているが、本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物は、このような種差に関連する問題点も克服されており、このような観点からも有効な動物であると考えられる。
(1)ラットでは、加齢による骨量変化はヒトと同様ピークがみられる。
(2)ラットでは、骨含有成分量の加齢による変化が、よく調べられている。
(3)骨形成および骨吸収の生化学的マーカーであるアルカリフォスファターゼや酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(一般にはTRAPと略される)は、マウスに比べてラットでは有意差が検出されやすい。さらに骨形態計測等骨形態は、マウスに比べてラットの方が研究しやすい。
(4)現在までの骨疾患の基礎研究および治療薬開発のスクリーニングにおいては、マウスよりもラットを使用している例が大多数である。
【0021】さらに腎疾患モデルとしては、以下の観点から有効性が高い。
(1)腎摘出マウス、ラットがよく利用されており、腎機能の低下を起こすモデルではあるが、腎疾患の病態を反映しているとは言いがたいので、一部の治療薬開発のスクリーニングや評価にしか用いることが出来ないのに対し、本発明の遺伝子導入ラットでは、ヒトの腎疾患と同様の進行を示す。
(2)本発明の遺伝子導入ラットは幼若期に高タンパク尿が検出され、その量は週齡とともに上昇の傾向にある。腎疾患の病態および生化学的マーカーとの関係も反映されている。
(3)本発明の遺伝子導入ラットの体重増加および繁殖性は正常ラットと差異が見られず、利用しやすい。
(4)糸球体腎炎、IgA腎症のモデルは存在していないが、本発明の遺伝子導入動物の病理像はそれに近似している。
(5)高脂血症モデルラットSHC系統および肥満モデルラットWistar Fatty系統等においてもタンパク尿の増加が見られ、これらの既存モデルは25〜30週齡程度で死亡する。しかし、本発明の遺伝子導入ラットは腎疾患の重篤化したモデルとしても利用が可能であり、老齢まで生存可能である。
(6)本発明の遺伝子導入ラットは幼若期に腎疾患の病態を示し、週齡とともに進行し、骨粗鬆症様の骨疾患を示すので、腎疾患および骨疾患の合併症患者のモデルとしての有効性が高い。
【0022】本発明の外来性25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素遺伝子またはその変異遺伝子を組み込んだDNAを有する非ヒト哺乳動物またはその生体の一部は、被験物質に適用することによって、該被験物質のビタミンD3代謝異常に起因する疾患の改善を検定することにより、ビタミンD3代謝異常に起因する疾患の予防・治療のために用いる物質(薬物)をスクリーニングするための実験モデルとしても有用である。該「ビタミンD3代謝異常に起因する疾患」としては、例えば腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌など(好ましくは、腎疾患または骨疾患など)があげられる。例えば、被験化合物としては、公知の合成化合物、ペプチド、蛋白質などの他に、例えば温血哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)の組織抽出物、細胞培養上清などが用いられる。例えば、該組織抽出物、細胞培養上清またはその精製物などを本発明の遺伝子導入非ヒト哺乳動物に投与し、またはその生体の一部(例、細胞、組織、臓器など)に添加ないし接触し、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌などの改善作用ないし効果を検定することによって、該疾患の予防・治療用薬物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)をスクリーニングすることが出来る。また、本発明のスクリーニング方法により腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌などの改善効果を有すると判定される物質(25−水酸化ビタミンD324−水酸化酵素阻害剤など)は、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌などの予防・治療のために有用であり、これを用い、公知の製剤手段に従って、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌などの疾患の予防・治療用医薬を調製することが可能である。本発明の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕後述の実施例2で行われたPCR(ポリメラーゼチェインリアクション)法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:2〕後述の実施例2で行われたPCR(ポリメラーゼチェインリアクション)法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕後述の実施例3で行われたPCR(ポリメラーゼチェインリアクション)法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕後述の実施例3で行われたPCR(ポリメラーゼチェインリアクション)法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕後述の実施例4で行われたPCR(ポリメラーゼチェインリアクション)法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:6〕後述の実施例4で行われたPCR(ポリメラーゼチェインリアクション)法に用いられたプライマーの塩基配列を示す。
【0023】
【発明の実施の形態】本願明細書において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-IUBCommision on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を次に挙げる。
DNA :デオキシリボ核酸RNA :リボ核酸A :アデニンT :チミンG :グアニンC :シトシン【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
【0025】実施例11)モロニー白血病ウイルスの遺伝子制御領域の下流に25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を有するプラスミドpMLV-LTR-VitaminD324-Hydroxylaseの構築モロニー白血病ウィルスプロモーター(MLV-LTR)は、ゴフ(Goff)等(1980、セル(Cell)、第22巻、第777頁)に記載されているプラスミドpYJ1由来のプラスミドpIRAO1を利用した。ターミネター(SV40)は、岡山(Okayama)等(1983、モレキュラー アンド セルラー バイオロジー(Mol. Cell. Biol.)、第3巻、第280頁);岡山(Okayama)等(1982、モレキュラー アンド セルラー バイオロジー(Mol. Cell. Biol. )、第2巻、第161頁)に記載されているプラスミドpcVD1由来のプラスミドpIRA01に含まれるターミネーターを使用した。ラット25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素cDNA発現用ベクターは以下のように構築した。大山ら(Ohyama)等(1991、フェブス レターズ(FEBS Lett.)、第278巻、第195頁)に記載のpUC19-24-hydroxylase(昭和大学歯学部須田立雄教授、広島大学理学部大山義彦助教授より分譲)を制限酵素EcoRIおよびScaIで切断して、ラット25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素cDNAを含む3.2kbpの断片を得た。この断片をPmacIで切断して得られるpUC19-24-hydroxylase由来のEcoRI-PmacI断片(2.1kbp)100ngを、仔牛小腸アルカリフォスファターゼ(宝酒造株式会社製)で処理し、5′端の脱リン酸化を行った。次に市販のpBluescript II KS(+)のLacZに挿入されたマルチクローニングサイトを制限酵素SmaIおよびEcoRIで切断し、pBluescript II KS(+)由来のSmaI-EcoRI断片(2.9kbp)を得た。pUC19-24-hydroxylase由来のEcoRI-PmacI断片(2.1kbp)とpBluescript II KS(+)由来のSmaI-EcoRI断片(2.9kbp)とをタカラライゲーションキット(宝酒造株式会社製)を用いて16℃、60分処理して結合させ、この反応液を用い大腸菌JM109(ニッポンジーン株式会社製)を形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株(Escherichia coli JM109/pBluescript II KS(+)-24-hydroxylase)からプラスミドDNAを回収し、制限酵素切断を行い、pUC19-24-hydroxylase由来のEcoRI-PmacI断片が、pBluescript II KS(+)由来のSmaI-EcoRI断片内に正方向に結合されていることを確認し、プラスミドpBluescript II KS(+)-24-hydroxylase(5.0kbp)を得た。この遺伝子コンストラクトを多重制限酵素切断によって検査したところ、検出しうる転位を含まなかった。次にpBluescript II KS(+)-24-hydroxylaseを制限酵素EcoRIおよびBamHIで切断してラット25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素cDNAを含有するEcoRI-BamHI断片を取得した。一方、MLV-LTR含有ベクターであるpIRA01をEcoRIおよびBglIIで切断してMLV-LTRを含有するEcoRI-BglII断片を取得した。その後上記のラット25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素cDNA(pUC19-24-hydroxylase由来)を含有するEcoRI-BamHI断片とMLV-LTRを含有するEcoRI-BglII断片とをタカラライゲーションキット(宝酒造株式会社製)を用いて16℃、60分処理して結合させ、この反応液を用い大腸菌JM109(ニッポンジーン社製)を形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株(Escherichia coli JM109/pMLV-LTR-VitaminD324-hydroxylase)からプラスミドDNAを回収し、制限酵素切断を行い、pBluescript IIKS(+)-24-hydroxylase由来のEcoRI-BamHI断片がpIRA01由来のEcoRI-BglII断片内に正方向に結合されていることを確認し、プラスミドpMLV-LTR-VitaminD324-hydroxylase(6.2kbp)を得た。この遺伝子コンストラクトを多重制限酵素切断によって検査したところ、検出しうる転位を含まなかった。このプラスミド構築図を図1に示す。
【0026】2)モロニー白血病ウイルスの遺伝子制御領域の下流に25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が結合した遺伝子融合体を含有する遺伝子導入ラットの作出採卵用として雌ラットWistar 系統は8週齢で購入し、7:00〜19:00の12時間明期条件で1週間飼育した9週齢の動物を用い、まず1日目11:00に卵胞刺激ホルモン(妊馬血清性性腺刺激ホルモン)(30IU/個体)を腹腔内に注射して同様の条件で飼育し、3 日目11:00に黄体形成ホルモン(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)(5 IU/個体)を腹腔内に注射し、雄ラットWistar 系統10週齢以降の個体と17:00 に1:1で同居、交配させた。 4日目9:00に交配させた雌ラットの膣栓確認を行い、13:30から膣栓確認した個体を屠殺後、採卵を開始した。受精卵で前核形成卵を選択した。14:30から上記プラスミドpMLV-LTR-VitaminD324-HydroxylaseをClaIによって切断し、10μg〜100μg/mlの濃度に調製し、その1〜2μlを顕微鏡下で観察しながら受精した単細胞期のWistar系統ラット卵の雄前核へ注入した。HER培地で培養し、5日目13:30に2細胞胚を確認してからワグナー(Wagner)ら(l98l、プロシーデイングス オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス、第78巻、第5016頁)に記載された方法に従って、偽妊娠の雌Wistar系統ラットの卵管に移植し、着床させた。偽妊娠の雌Wistar系統ラット(11週齢以降)は、0日目13:00性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Luteinizing Hormone-Releasing Hormone)あるいはその類縁体を皮下注射(40μg/個体)し、4日目17:00に、精管結紮した雄Zucker lean系統あるいはWistar系統ラット12週以降の個体と1:1で同居、交配させた。5日目9:00に、交配させた雌ラットの膣栓確認を行い、上記の目的で使用した。
【0027】実施例225-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットの遺伝子解析3週齢に達した出産仔の尾から採取したDNAを用いて、ポリメラーゼチェインリアクション法により試験した。すなわち、ラットビタミンD324-水酸化酵素cDNA中の21マーのプライマー1(5′−AGGCTGTGCTGCTAATGTCAA−3′:配列番号1)、およびラットビタミンD324-水酸化酵素cDNA中の21マーのプライマー2(5′−AAGAGTGGGGGTCAGAGTTCG−3′:配列番号2)を用いて、ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)を行った。尾DNA調製物1μlを滅菌水で50倍に希釈したものを基質に用いて、まず94℃3分間1回、続いて94℃30秒→65℃1分→72℃1分のサイクルを25回反復し、反応物を1.0%アガロースGTG(FMCバイオプロダクト社製)ゲルを通して電気泳動し、783bpの大きさのDNAバンドが見られるラットを選別した。合計141個体の産仔ラットを解析した結果、PCR陽性個体は6個体であった。そのうち1個体は死亡個体であった。これらPCR陽性5個体について、さらに、尾DNA調製物を用いて、(1)ラットビタミンD324-水酸化酵素遺伝子配列を含む600bpのジコキシゲニン−DNAプローブ(リボプローブ法により標識)あるいは(2)ラットビタミンD324-水酸化酵素cDNAを制限酵素XbaIおよびKpnIで切断した940bp断片を32P-dCTPでランダムプライム法により標識したプローブを用いて、サザンハイブリダイゼーション法により分析した。それぞれの場合、尾からのDNAをPstI/BamHIにより切断し、32P標識された断片をプローブとして試験した。分析用のDNAは、ホーガンら(1986、マニピユレーティング ザ マウス エンブリオ(コールド スプリング ハーバー ラボラトリー))に記載された方法により、尾の約1cm断片からDNAを抽出した。得られた核酸ペレットを70%エタノール中で1回洗浄、乾燥し、そして200μlの10mMトリス(pH 8.0)、1mM EDTAに再懸濁させた。さらに、これら5匹のPCR陽性および擬陽性個体DNAのそれぞれ10μgを制限酵素XhoIおよびClaIで完全に切断し、1.0%アガロースGTGゲルを通して電気泳動を行い、かつサザン(Southern)(1975、ジヤーナル モレキユラー バイオロジー、第98巻、第503頁)に記載された方法でナイロンフイルターへ移した。リボプローブを用いた場合、このフィルターをプローブとして一晩ハイブリダイゼーションを行い、その後2xSSC、0.1%SDSにて室温で2回洗浄し、次に0.1xSSC、0.1%SDSにて68℃で2回洗浄した。このサザンハイブリダイゼーション法の結果、検定した5匹中4匹において1.8kbpの位置にシグナルがみられたので、4匹の作出ラットが注入されたビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を保持していたことを示した。一方、ランダムプライム法により標識したプローブを用いる場合は、尾DNA調製物を用いて、DNAそれぞれ10μgを制限酵素NsiIあるいはCla Iで完全に切断し、1.0%アガロースGTGゲルを通して電気泳動を行い、上記と同様にナイロンフイルターへ移した。このフィルターを4xSSC、50%ホルムアミド、5xDenhart液、50μg/mlサケ精子DNAおよび0.2%SDSプレハイブリダイゼーション液により65℃で2時間処理後、プローブと一晩ハイブリダイゼーションを行い、その後1xSSC、0.1%SDS溶液にて室温で15分間、4回洗浄し、次に0.1xSSC、0.1%SDSにて68℃で15分間、4回洗浄した。このサザンハイブリダイゼーション法の結果、検定した5匹中1匹において3.0kbpの位置にシグナルが見られたので、1匹の作出ラットが注入されたビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を保持していたことを示した。以上のサザン解析の結果から、合計5つの個体で25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入が確認された。以上の結果から遺伝子導入ラットは個体番号R9121-7(雄)、R12123-6(雌)、R12121-7(雌)、R11293-5(雌)およびR11293-9(雌)の5個体であることが確認された。また、R10175-9(雄)は、PCRのみにより遺伝子の導入が確認された。(表1および図2〜3参照)
【表1】

【0028】実施例31)ラットオステオカルシン遺伝子のプロモーターのクローニングラット染色体遺伝子の制御領域として、ラットオステオカルシン遺伝子のプロモーターは、リアン(Lian)等(1989、プロシーデイングス オブ ナショナル・アカデミー オブ サイエンス、第86巻、第1143頁)の塩基配列のデータをもとに、ラットオステオカルシン遺伝子ゲノムDNA中の24マーのプライマー3(5′−TGAGGACATTACTGACCGCTCCTT−3′:配列番号3)、およびラットオステオカルシン遺伝子ゲノムDNA中の24マーのプライマー4(5′−AGTTGCTGTGTGGGACTTGTCTGT−3′:配列番号4)を用いてPCR法により得た。この得られた断片をTA-CloningKit を用い、クローニングした。その塩基配列をABI社製DNAシークエンサーで常法により確認した。
【0029】2)ラット染色体遺伝子の制御領域の下流にラット25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を有するプラスミドpOsteocalcin-VitaminD3-24hydroxylaseの構築ターミネター(SV40)は、岡山(Okayama)等(1983、モレキュラー アンド セルラー バイオロジー(Mol. Cell. Biol.)、第3巻、第280頁);岡山(Okayama)等(1982、モレキュラー アンド セルラー バイオロジー(Mol. Cell. Biol. )、第2巻、第161頁)に記載されているプラスミドpcVD1由来のプラスミドpIRA01に含まれるターミネーターを使用した。ラットOsteocalcin遺伝子発現調節領域の挿入されたプラスミドpPCRII-Osteocalcin promoterを、HindIIIおよびXbaIで切断し、600bpの断片を得た。一方、pUC118をHindIIIおよびXbaIで切断し、上記の断片をタカラライゲーションキット(宝酒造株式会社製)を用いて16℃、60分処理して結合させ、この反応液を用い大腸菌JM109(ニッポンジーン社製)を形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株(Escherichia coli JM109/pUC118-Osteocalcin promoter)からプラスミドDNAを回収し、制限酵素切断を行い、600bpの断片がpUC118に結合されていることを確認し、プラスミドpUC118-Osteocalcin promoter(3.8kbp)を得た。次にそれを制限酵素ScaIおよびXhoIで切断し、2.0kbpのScaI-XhoI断片を回収した。実施例1で得られたプラスミドpMLV-LTR-VitaminD324-hydroxylase(6.2kbp)をClaIで切断し、3.2kbpのVitaminD324-hydroxylase cDNAを含む断片を回収した。pUC119をAccIで切断し、この断片を3.2kbpのVitaminD324-hydroxylase cDNAを含む断片とタカラライゲーションキット(宝酒造株式会社製)を用いて16℃、60分処理して結合させ、この反応液を用い大腸菌JM109(ニッポンジーン株式会社製)を形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株(Escherichiacoli JM109/pUC119-MLV-24-hydroxylase)からプラスミドDNAを回収し、制限酵素切断を行い、1500bpの断片がpUC119に結合されていることを確認し、プラスミドpUC119-MLV-24-hydroxylase(6.2kbp)を得た。その後、ScaIおよびXhoIで切断し、3.8kbpのScaI-XhoI断片を取得し、この断片と上記した2.0kbpのScaI-XhoI断片とをタカラライゲーションキット(宝酒造株式会社製)を用いて16℃、60分処理して結合させ、この反応液を用い大腸菌JM109(ニッポンジーン株式会社製)を形質転換し、アンピシリン耐性株を得た。この形質転換株(Escherichia coli JM109/pUC-Osteocalcin-VitaminD324-hydroxylase)からプラスミドDNAを回収し、制限酵素切断を行い、1500bpの断片が正方向にpUC119に結合されていることを確認し、プラスミドpUC-Osteocalcin-VitaminD324-hydroxylase( 5.8kbp)を得た(図4)。
【0030】実施例41)ラット染色体遺伝子の制御領域の下流に25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が結合した遺伝子融合体を含有する遺伝子導入ラットの作出Osteocalcinプロモーターの下流に25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を導入した該遺伝子の発現ベクターを、Wistar/crjラット受精卵78個に注入し、偽妊娠ラット5匹に移植した。その結果、17匹の産仔が得られたが、遺伝子導入は確認されなかった。上記プラスミドpUC-Osteocalcin-VitaminD324-hydroxylaseをHindIIIおよびScaIによって切断し、10μg〜100μg/mlの濃度に調製し、その1〜2μlを顕微鏡下で観察しながら受精した単細胞期のWistar系統ラット卵の雄前核へ注入した。次いで、注入した卵をワグナー(Wagner)ら(l98l、プロシーデイングス オブナショナル アカデミー オブ サイエンス、第78巻、第5016頁)により記載された方法に従って、偽妊娠の雌Wistar系統ラットの卵管に移植し、着床させた。これらの卵はWistar系統ラットの交配によって得たものである。Wistar系統ラットは市販品(日本クレア株式会社)を用い、養育雌ラットにおいて卵を孵化するまで発育させた。偽妊娠の雌Wistar系統ラット(11週齢以降)は、0日目13:00性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Luteinizing Hormone-Releasing Hormone、一般にLHRHと略される)あるいはその類縁体を皮下注射(40μg/個体)し、4日目17:00に、精管結紮した雄Zucker lean系統あるいはWistar系統ラット12週以降の個体と1:1で同居、交配させた。5日目9:00に、交配させた雌ラットの膣栓確認を行い、上記の目的で使用した。
【0031】2)ラット遺伝子を導入したラットの分析3週齢に達した出産仔の尾から採取したDNAを用いて、ポリメラーゼチェインリアクション法により試験した。すなわち、ラット25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素cDNA中の21マーのプライマー5(5′−CTGTCTTCTTTCAACCTGGAT−3′:配列番号5)、およびラット25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素cDNA中の21マーのプライマー6(5′−TTAGAGTTCTGTGGGGCATTC−3′:配列番号6)を用いて、ポリメラーゼチェインリアクション法を行った。尾DNA調製物1μlを滅菌水で50倍に希釈したものを基質に用いて、まず94℃3分間1回、続いて94℃30秒→65℃1分→72℃1分のサイクルを25回反復し、反応物を1.0%アガロースGTG(FMCバイオプロダクト社製)ゲルを通して電気泳動して、765bpの大きさのDNAバンドが見られるラットを選別した。合計137個体の産仔ラットを解析した結果、PCR陽性個体は1個体であった。分析用のDNAは、ホーガンら(1986、マニピユレーティング ザ マウス エンブリオ(コールド スプリング ハーバー ラボラトリー))に記載された方法により、尾の約1cm断片からDNAを抽出した。得られた核酸ペレットを70%エタノール中で1回洗浄、乾燥し、そして200μlの10mMトリス(pH 8.0)、1mM EDTAに再懸濁させた。以上の結果から、遺伝子導入ラットは個体番号R01163-1の1個体であることが確認された。injectionおよび遺伝子解析の結果は表2のとおりである。
【表2】

【0032】3)25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットの系統化遺伝子導入が確認された2系統のF1個体をPCRで解析した結果、1系統17匹中7匹で遺伝子導入が確認された。MLV-LTRの下流に導入した25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子を有するラットのF1後代取得を目的として、Wistar系統雌ラットと1:1交配を行った。その結果、遺伝子導入ラットR9121-7においては、F1個体12匹を取得し、PCRによる遺伝子検定の結果、そのうち8匹が遺伝子導入ラットであることを確認した。2回目の交配では、14匹の仔ラットを取得し、そのうち6匹が遺伝子導入ラットであることを確認した。遺伝子導入ラットR11293-5においては、仔ラットを14匹取得し、PCRによる遺伝子検定の結果、そのうち6匹が遺伝子導入ラットであった。遺伝子導入ラットR12123-6においては仔ラットを11匹取得し、PCRによる遺伝子検定の結果、そのうち4匹が遺伝子導入ラットであった。2回目の交配では、11匹の仔ラットを取得し、そのうち3匹が遺伝子導入ラットであった。遺伝子導入ラットR10175-9においては仔ラットを12匹1995年2月12日に取得し、PCRによる遺伝子検定の結果、そのうち1匹が遺伝子導入ラットであった。遺伝子導入ラットR01163-1においては仔ラットを5匹取得し、PCRによる遺伝子検定の結果、そのうち1匹が遺伝子導入ラットであった。遺伝子導入ラットR02205-1においては仔ラットを12匹取得したが、遺伝子導入ラットは得られなかった。以上の結果、R02205-1を除くすべての遺伝子導入ラットでF1遺伝子導入ラットが得られた。得られた多数コピー遺伝子導入ラットのなかで、体重が5週齢で39g、伸長した切歯を有する異常個体 (R11293-9)が確認されたが、5週齢で事故死した。遺伝子導入ラットR12121-7(雌)は、Wistar系統雄ラット1匹と2回交配を行い、1産目では12匹の仔ラットを取得した。同様にPCRによる遺伝子検定を行った結果、そのうち5匹が遺伝子導入ラットであった。2産目では4匹の仔ラットを取得した。上記と同様にPCRにより遺伝子検定を行った結果、そのうち2匹が遺伝子導入ラットであった。さらにこの2産目のR12121-7-2(雌)およびR12121-7-4(雄)の兄妹交配により、15匹の仔ラットを取得した。PCRにより遺伝子検定を行い、遺伝子導入の認められたDNA材料を用いて上記と同様にサザン解析を行った。その結果、得られたF1個体のバンドと比較してバンドの濃いものをホモ接合体として判定し、同レベル濃度のバンドのものをヘテロ接合体として判定した。さらにホモ接合体同士の交配を行い、その後代ラットについて同様にPCRにより遺伝子検定を行い、遺伝子の同定されない個体が存在しないことを確認してホモ接合体と最終的に判断した。その結果、ホモ接合体5匹、ヘテロ接合体7匹および非遺伝子導入ラット3匹であることが明らかになった。以上のように得られたホモ接合体は、R12121-7-2-1(雄)、R12121-7-2-3(雌)、R12121-7-2-5(雌)、R12121-7-2-11(雌)およびR12121-7-2-12(雄)であることが明らかになった。その系統図を図5に示す。
【0033】実施例525-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットの特徴1) 遺伝子導入ラットの血中ビタミンD3代謝物の定量遺伝子導入ラットのビタミンD3の各画分の定量を行い、当遺伝子発現程度を調べる目的でビタミンD欠乏ラットの作製を試みた。まず3週齢の離乳直後の遺伝子導入ラットおよび同腹ラットを用いて、それぞれビタミンDを除きCa 0.5%, P0.6% に修正したAIN-93G精製飼料(オリエンタル酵母製)および脱イオン水で1週間、アクリル製板で光遮蔽した動物室において飼育した。次にビタミンDを除きCa 0.03%, P 0.15% に修正したAIN-93G精製飼料(オリエンタル酵母製)および脱イオン水で4週間同じ環境条件で飼育し、8週齢の最終日にビタミンD定量用に2ml採血し、常法により血清を調製した。定量は日本ビタミン学会編著(1989、ビタミンハンドブック(3)(化学同人))等の成書に記載された方法に従って行った。ビタミンD欠乏低カルシウム食餌飼育中の各個体の体重測定は1週間ごとに行った。その結果、ビタミンD欠乏低カルシウム食餌飼育における8週齡のR9121-7F1雌遺伝子導入ラットの体重は135-167g、雌非遺伝子導入ラットの体重は139-157gであった。一方、正常食餌飼育において8週齡のR9121-7F1雌遺伝子導入ラットの体重は206-224g、雌非遺伝子導入ラットの体重は196gであった。ビタミンD3の各画分の定量結果は、ビタミンD欠乏低カルシウム食餌飼育において、血清中の1α,25-水酸化ビタミンD3、24,25-水酸化ビタミンD3および25-水酸化ビタミンD3の量は、遺伝子導入ラットと非遺伝子導入ラットとの間で明瞭な差異は見られず、ビタミンD欠乏低カルシウム食餌飼育による効果は見られなかった。一方、正常食餌飼育において、24,25-水酸化ビタミンD3量は、遺伝子導入ラット4例中3例が10.0ng/ml 以上の値であったのに対して、非遺伝子導入ラットは7-9ng/ml の値であった。25-水酸化ビタミンD3量は、調査個体が19-13ng/mlの範囲にあり、差異はみられなかった。1α,25-水酸化ビタミンD3量は、非遺伝子導入ラットで130pg/ml、89pg/ml であり、遺伝子導入ラットで54-11ng/mlであった(表3参照)。
【表3】

【0034】2)正常飼育した遺伝子導入ラットの血中ビタミンD3代謝物の定量25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットR02205-1、R12123-6、R12121-7、R01163-1およびR11293-5の雌5匹(F0個体20-40週齡)、R12121-7F1個体遺伝子導入ラット2匹および非遺伝子導入ラット2匹の血中ビタミンD代謝物の定量を行った。その結果遺伝子導入ラットの25-水酸化ビタミンD3量は、28-10ng/mlであった。24,25-水酸化ビタミンD3量は、遺伝子導入ラットR12123-6、R01163-1およびR11293-5が10.0ng/ml以上の値であったのに対して、他の2個体はそれより少ない値であった。R12121-7F1個体は、雌2匹が10.0ng/ml以上の値であったのに対して、雄2個体はそれより少ない値であった。1α,25-水酸化ビタミンD3量は、遺伝子導入ラットR02205-1、R12121-7およびF1非遺伝子導入個体R12121-7-3雄の何れもが100pg/m以上であり、24,25-水酸化ビタミンD3量の高いものは、1α,25-水酸化ビタミンD3量が少なかった。各血中ビタミンD3代謝物量は、遺伝子導入ラット個体間差異が大きかった(表4参照)。
【表4】

【0035】3)遺伝子導入ラットにおける異常個体の取得飼育したNo.12121-7のF1の遺伝子導入ラットのなかで、出生後、他の遺伝子導入ラットおよび同腹ラットに比較して、痩身、四肢の麻痺、屈伸障害、著しい歩行異常がみられる雌個体(個体番号12121-7-3)が取得された。15日齢での体重測定の結果、12gであり、他の雌遺伝子導入ラットは19-21g、同腹雌ラットは17-23gであり、著しく体重が少ない個体であった(図6参照)。この個体は、同腹ラットに比較して、骨、歯における形態学的異常所見は得られなかった。この個体は17日齢で死亡した。
【0036】4)25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットの体重変化遺伝子導入ラットR12121-7系統F2個体のヘテロ接合体およびホモ接合体の体重測定を18週齡まで行った。その結果、ホモ接合体およびヘテロ接合体においても、体重は週齡に従って増加する傾向を示した。6週齡以降は、それぞれ雄雌の差異が顕著に見られ、18週齡の体重は、ホモ接合体雄で450-500g、雌で300-350g、ヘテロ接合体雄で450-600g、雌で250-400gであった。調査したいずれの個体においても、異常は認められなかった(図7〜図8参照)。
【0037】5)25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットの尿解析尿中アルブミン量および尿中クレアチニン量を測定する目的で、遺伝子導入ラットの24時間尿をラット用採尿ケージを用いて経時的に採取した。尿中アルブミン量の測定には、市販のキット、A/G,Bテストワコー(和光純薬株式会社製)を用い、常法に従って比色定量を行った。尿中クレアチニン量の測定には、市販のキット、クレアチニンHAテストワコーHA7050(和光純薬株式会社製)を用い、常法に従って比色定量を行った。さらに各個体の測定値から尿中アルブミン量/尿中クレアチニン量比を算出した。その結果、尿中アルブミン量は、遺伝子導入ラットF0世代において、R12123-6雌が41週齡で129mg/日、44週齡で161mg/日、47週齡で214mg/日と高値を示し、さらに週齡を追うごとに増加した。他の遺伝子導入ラットは、7.5-37mg/日の値を示し、個体内における週齡による大きな差異は認められなかった。尿中クレアチニン量は、遺伝子導入ラットが9.3-24.7mg/日の値を示し、個体によりその値は異なるが、個体内における週齡による差異は認められなかった。各個体の尿中アルブミン量/尿中クレアチニン量比は、R12123-6雌が41週齡で13.6、44週齡で16.4、47週齡で21.7と高値を示し、さらに週齡を追うごとに増加した。他の遺伝子導入ラットは0.31-2.47の値を示した(表5参照)。
【表5】

尿中アルブミン量は、遺伝子導入ラットF1世代において、R12121-7-4雄が26週齡で372mg/日、29週齡で352mg/日、31週齡で311mg/日と高値を示し、他の遺伝子導入ラットF1世代R12123-6-3雄、R12123-6-9雄が19-28.6mg/日の値を示し、R12123-6-5雌は約11mg/日の値を示した。尿中クレアチニン量は、遺伝子導入ラットF1世代で7.8-26.2mg/日の値を示した。各個体の尿中アルブミン量/尿中クレアチニン量比は、R12121-7-4雄が26週齡で26.6、29週齡で21.5、31週齡で24.5と高値を示し、他の遺伝子導入ラットF1世代は、0.45-2.1の値を示した(表6参照)。
【表6】

尿中アルブミン量は、遺伝子導入ラットF2世代ホモ接合体R12121-7-12雄が、11週齡より110mg/日以上、R12121-7-1雄は30mg/日以上の値を示したが、他のホモ接合体雌3個体は4-10mg/日の値を示した。ヘテロ接合体R12121-7-13雄は11週齡より80mg/日以上、R12121-7-10雌は20mg/日前後の値を示したが、他のヘテロ接合体雄2個体は10-19mg/日、雌3個体は5-15mg/日の値を示した。対照ラットは雄5個体平均は12.3mg/日、雌5個体平均は7.7mg/日の値を示した。尿中クレアチニン量は,ホモ接合体において雄2個体は10-15mg/日、雌3個体は7-11mg/日の値を示した。ヘテロ接合体において雄3個体は8-16mg/日、雌4個体は5-10mg/日の値を示した。対照ラットは、雄5個体平均が13.5mg/日、雌5個体平均が9.2mg/日の値を示した。各個体の尿中アルブミン量/尿中クレアチニン量比は、ホモ接合体R12121-7-12雄は8.0以上、R12121-7-1雄は2.8以上であったが、他のホモ接合体雌3個体は0.5-1.3であった。ヘテロ接合体においてR12121-7-13雄は9.0以上、R12121-7-10雌は2.4以上であった。他のヘテロ接合体雄2個体は0.9-1.8、雌3個体は0.8-2.4であった。対照ラットは雄5個体平均は0.9、雌5個体平均は0.8であった(表7参照)。
【表7】






【0038】6)25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットの血液の生化学的解析血中生化学マーカーを測定する目的で、遺伝子導入ラットの採血を常法に従って行った。血中総コレステロール量(TCHO)の測定は市販のキット(富士フィルム株式会社製)を用いて比色定量を行った。血中総トリグリセリド量(TG)の測定は市販のキット(富士フィルム株式会社製)を用いて比色定量を行った。血中総グルコース量(GLU)の測定は市販のキット(富士フィルム株式会社製)を用いて比色定量を行った。血中カルシウム量(Ca)の測定は市販のキットカルシウムE-テストワコー(和光純薬株式会社製)を用いて比色定量を行った。血中リン量(P)の測定は市販のキットリン脂質C-テストワコー(和光純薬株式会社製)を用いて比色定量を行った。血中クレアチニン量(CREA)の測定には市販のキット(富士フィルム株式会社製)を用いて比色定量を行った。さらに、各個体の血中クレアチニン量および尿中クレアチニン量の測定値から尿中クレアチニン量x24時間尿量/血中クレアチニン量/体重x100/1440で各個体のクレアチニンクリアランス(ml/分/100g体重)(Ccr)を算出した。その結果、血中総コレステロール量は、遺伝子導入ラットF0世代においては、R12123-6雌が200mg/dl以上の高値を示した。他の遺伝子導入ラットは60-150mg/dlの値を示した。血中トリグリセリド量は、R12123-6で2265mg/dlであり、R11293-5およびR02205-1においても高値であった。血中グルコース量は、遺伝子導入ラットのなかで大きな差異がみられなかった。血中カルシウム量は、遺伝子導入ラットのなかで大きな差異がみられなかった。血中リン量は、R12123-6で752mg/dlの高値であった。クレアチニンクリアランスは、R09121-7で0.2ml/分/100g体重未満の低値であった。血中総コレステロール量は、遺伝子導入ラットF1世代においては、R12121-7-4雌が228mg/dlと高値を示した。他の遺伝子導入ラットは64-120mg/dlの値を示した。血中トリグリセリド量はR12121-7-4で331mg/dlの高値であった。血中グルコース量は遺伝子導入ラットのなかで大きな差異はみられなかった。血中カルシウム量は遺伝子導入ラットのなかで大きな差異はみられなかった。血中リン量はR12121-7-4で375mg/dlの高値であった。クレアチニンクリアランスは算定した個体については大きな差異はみられなかった。(表8参照)。
【表8】

血中総コレステロール量は、対照雄ラットの平均値71mg/dl、対照雌ラットの平均値84mg/dlに対して、遺伝子導入ラットF2世代R12121-7-12および-13雄は、24週齡で200mg/dl前後の高値を示した。血中トリグリセリド量は、対照雄ラットの平均値95.6mg/dl、対照雌ラットの平均値144mg/dlに対して、R12121-7-12および-13で400mg/dl以上の高値であった。血中グルコース量は、対照雄ラットの平均値122mg/dl、対照雌ラットの平均値124mg/dlに対して、遺伝子導入ラットは86-131mg/dlであり、大きな差異はみられなかった。血中カルシウム量は、対照雄ラットの平均値9.2mg/dl、対照雌ラットの平均値9.7mg/dlに対して、遺伝子導入ラットは8.8-10.1mg/dlであり、大きな差異はみられなかった。血中リン量は、対照雄ラットの平均値126mg/dl、対照雌ラットの平均値174mg/dlに対して、R12121-7-12および-13で300mg/dl以上の高値であった。クレアチニンクリアランスは、対照雄ラットの平均値0.376ml/分/100g体重、対照雌ラットの平均値0.366ml/分/100g体重に対して、R12121-7-4,-10,-1,-11,-12および-13が0.3未満の値を示した(表9参照)。
【表9】

同じ個体の27週齡では、血中総コレステロール量は、対照雄ラットの平均値62.4mg/dl、対照雌ラットの平均値70.6mg/dlに対して、R12121-7-12および-13は200mg/dl以上の高値を示した。血中トリグリセリド量は、対照雄ラットの平均値113mg/dl、対照雌ラットの平均値166mg/dlに対して、R12121-7-7,-1,-3,-12および-13が300mg/dl以上であった。血中グルコース量は、対照雄ラットの平均値149mg/dl、対照雌ラットの平均値117mg/dlに対して、遺伝子導入ラットは113-156mg/dlであり、大きな差異はみられなかった。血中カルシウム量は、対照雄ラットの平均値9.1mg/dl、対照雌ラットの平均値9.5mg/dlに対して、遺伝子導入ラットは8.2-10.2mg/dlであり、大きな差異はみられなかった。血中リン量は、対照雄ラットの平均値129mg/dl、対照雌ラットの平均値172mg/dlに対して、R12121-7-1,12および-13で300mg/dl以上の高値であった。クレアチニンクリアランスは、対照雄ラットの平均値0.365ml/分/100g体重、対照雌ラットの平均値0.442ml/分/100g体重に対して、R12121-7-10,-1,-7,-15,-11,-5および-12が0.3未満の値を示し、同一個体では週齡によりそれらの値は異なるが、異常値を示す個体はほぼ同じ個体であった(表10参照)。
【表10】

7)25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットの病理組織学的解析遺伝子導入ラットF2世代R12121-7-1(ホモ接合体、雄28週齡)および対照ラットを屠殺後、各個体より脳、心臓、肝臓、肺、腎臓、脾臓、精巣および大腿骨を常法により切り出し、それぞれを10%ホルマリン溶液に浸漬し、固定を行った。常法に従ってパラフィン包埋、続いてミクロトームにより切片を作製、ヘマトキシリンエオジン染色を行って標本を作製した。大腿骨は10% 蟻酸を使用し、3日間の脱灰処理を常法に従って行い、矢状面できりだし、他の臓器と同様に標本を作製した。作製した標本は光学顕微鏡下で観察を行った。その結果、大脳はR12121-7-1および対照ラットにおいて変化はみられなかった。小脳はR12121-7-1および対照ラットにおいて変化はみられなかった。肝臓は対照ラットにおいてグリソン鞘の細胞浸潤が観察された。これに対してR12121-7-1においてグリソン鞘の細胞浸潤、肝細胞の空胞化および散在性明細胞質変化が観察された。腎臓は対照ラットにおいて変化はみられなかった。これに対してR12121-7-1において糸球体硬化症、腎症、尿管単純過形成、尿細管上皮の好塩基化および尿円柱、尿細管の拡張および小円形細胞浸潤が観察された。肺は対照ラットにおいて変化はみられなかった。これに対してR12121-7-1において肺の小および中動脈の中膜および外膜の肥厚、肺胞組織球症、骨化生、肺動脈の石灰沈着および局所性の肺胞中隔の肥厚が観察された。心臓はR12121-7-1および対照ラットにおいて変化はみられなかった。脾臓は対照ラットにおいて髄外造血および色素沈着が観察された。これに対してR12121-7-1において髄外造血亢進および動脈肥厚が観察された。骨髄は対照ラットにおいて変化はみられなかった。これに対してR12121-7-1において造血亢進が観察された。精巣はR12121-7-1および対照ラットにおいて変化はみられなかった。
8)25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子トランスジェニックラットの臓器重量遺伝子導入ラットF4世代R12121-7-1(ホモ接合体、雄18週齡)および対照ラットを屠殺後、各個体より心臓、肝臓、肺、腎臓、脾臓を常法により切り出し、それぞれの重量測定を行った。その結果、心臓、肝臓、肺、脾臓の重量は対照ラットに比較して有意に高かった。腎臓の重量は対照ラットに比較して高い傾向がみられた。
9)25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子トランスジェニックラットの骨塩密度トランスジェニックラットF3世代R12121-7-1の(ホモ接合体、16週齡)および対照ラットを屠殺後、各個体より大腿骨、脛骨を切り出し、それぞれの骨塩密度を二重エネルギーX線吸収測定法(一般にはDXA法と略される)で測定した。その結果、雌雄トランスジェニックラットの脛骨近位端1/3部の骨塩密度はそれぞれの対照ラットに比べて有意な低下が認められた。さらに雄トランスジェニックラットの大腿骨遠位端1/3部の骨塩密度はそれぞれの対照ラットに比べて低下する傾向が認められた。10)25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子導入ラットの遺伝子発現解析分析用のRNAは、常法に従い、上記の遺伝子導入ラットF2世代R12121-7-1(ホモ接合体、雄28週齡)および対照ラットそれぞれの脳、心臓、肝臓、肺、腎臓、脾臓、精巣および大腿骨の一部からグアニジン中で組織破砕し、抽出した。得られた核酸ペレットを70%エタノール中で1回洗浄し、乾燥後、滅菌水に再懸濁させた。上記のプライマー5と6を用いてリバーストランスポリメラーゼチェインリアクション法(一般にRT-PCR法と呼ばれる)を行った。RNA調製物20μgを基質に用いて、まずリバーストランスクリプターゼで60℃30分間続いて94℃2分間処理した。Taqポリメラーゼを添加し、94℃1分→60℃1.5分の反応を40回反復した後、60℃7分間の処理を行い、反応物を1.0%アガロースGTG(FMCバイオプロダクト社製)ゲルに通して電気泳動した。対照ラットにおいては、解析した臓器すべてにおいてDNAバンドがみられなかった。これに対して、R12121-7-1においては、解析した臓器すべてにおいて400bpのDNAバンドが認められた(図9参照)。遺伝子導入ラットF2世代R12121-7-1(ホモ接合体、雄28週齡)の脳、心臓、肝臓、肺、腎臓、脾臓、精巣および大腿骨において、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子の発現がみられ、対照では、内在性の25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子の発現も検出限界以下であることが明らかになった。
【0039】
【発明の効果】本発明の25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が導入された非ヒト哺乳動物は、高カルシウム血症、低カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、骨減少症などの骨疾患、糸球体腎炎、糸球体硬化症、慢性腎炎、腎不全などの腎臓疾患、さらに関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌、あるいはそれらの合併症を発症することがあり、その病態モデル動物として利用することができる。たとえば、本発明のラットを用いて、これらの病態機序の解明および疾患の予防・治療方法の検討、ならびに治療薬のスクリーニングを行うことが可能である。本発明の遺伝子導入動物は、骨粗鬆症、骨軟化症などの骨疾患および腎炎、腎不全など腎疾患の病態モデルとして病態機能の解明モデル、上記疾患および上記疾患を含むビタミンD3代謝異常に起因する疾患の治療モデルおよび治療薬開発における候補化合物のスクリーニング、およびそれらのin vitro評価に使用する細胞供給に利用することができる。本発明により、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素の過剰発現が主に腎臓のビタミンD3代謝不均衡を促進し、活性化型ビタミンD3を調節する遺伝子の機能を不活性化、あるいは低下を介した骨疾患、腎疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌の改善効果を検定することを特徴とする、腎疾患、骨疾患、関節疾患、肺疾患、高脂血症、動脈硬化症、心疾患、糖尿病、肥満症、消化器疾患、感染症、アレルギー疾患、内分泌疾患、痴呆症または癌あるいはそれらの合併症が発症するメカニズムを解明した。特に腎不全において、ビタミンD3代謝異常、特にビタミンD324-水酸化酵素過剰発現によることが明らかになった。この事実は新知見である。本発明の25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子が導入された非ヒト哺乳動物は、25-水酸化ビタミンD324-水酸化酵素遺伝子高発現細胞の供給、核内受容体の標的遺伝子制御機構を解明する目的にも利用し得る。
【0040】
【配列表】
【配列番号:1】
配列の長さ:21配列の型:核酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNA配列AGGCTGTGCT GCTAATGTCA A 21【0041】
【配列番号:2】
配列の長さ:21配列の型:核酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNA配列AAGAGTGGGG GTCAGAGTTC G 21【0042】
【配列番号:3】
配列の長さ:24配列の型:核酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNA配列TGAGGACATT ACTGACCGCT CCTT 24【0043】
【配列番号:4】
配列の長さ:24配列の型:核酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNA配列AGTTGCTGTG TGGGACTTGT CTGT 24【0044】
【配列番号:5】
配列の長さ:21配列の型:核酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNA配列CTGTCTTCTT TCAACCTGGA T 21【0045】
【配列番号:6】
配列の長さ:21配列の型:核酸鎖の数:一本鎖トポロジー:直鎖状配列の種類:他の核酸 合成DNA配列TTAGAGTTCT GTGGGGCATT C 21【0046】
【出願人】 【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 忠夫 (外2名)
【公開番号】 特開平11−9140
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平10−117347