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【発明の名称】 植物組織培養方法
【発明者】 【氏名】高橋 宣光

【要約】 【課題】組織培養植物の増殖から順化を効率的に行い、成苗を得るための培養方法を提供する。

【解決手段】開放端部が通気度1〜50sec/100ccのガス透過性を有する多孔膜で閉止された光透過性容器内で培地を用いる植物組織培養方法であって、培地として、バーミキュライトとセルロース繊維を含む混合物を用いることを特徴とする培養方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開放端部が通気度1〜50sec/100ccのガス透過性を有する多孔膜で閉止された光透過性容器内で、培地を用いる植物組織培養方法であって、培地としてバーミキュライトとセルロース繊維を含む混合物を用いることを特徴とする植物組織培養方法。
【請求項2】 培地が、平均粒径0.1mm〜10mmのバーミキュライトと、平均繊維長が0.01〜5mmのセルロース繊維を50:50〜95:5の重量比で含有することを特徴とする請求項1記載の培養方法。
【請求項3】 培地の密度が0.01g/cm3 〜2g/cm3 である請求項1又は2に記載の培養方法。
【請求項4】 培地がセルロース繊維と、バーミキュライトとを液体中で分散混合し、成型、乾燥したものであることを特徴とする請求項1〜3に記載の培養方法。
【請求項5】 培地が、セルロース繊維と、バーミキュライトとを乾燥状態で混合し、5kg/cm2 〜200kg/cm2 の圧縮強度で圧縮成型したものであることを特徴とする請求項1〜3に記載の培養方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも一部がガス透過性を有する多孔膜で閉止された光透過性容器内でバーミキュライトとセルロース繊維からなる混合物の成型体を植物組織培養培地として用い、増殖から順化、成苗まで連続した培養で苗を作ることができる植物組織培養方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高等植物の細胞培養や生長点培養においては、初代培養、継代培養を行い、早生分枝法、プロトコーム様体法、苗条原基法などにより小植物や多芽体を形成させ、次に苗化培養を行う。この苗化培養段階では、早生分枝、プロトコーム様体、苗条原基などから茎葉体を生長させ、次に不定根を分化させる。この苗化培養においては、培地が植物の生長、発根にとって重要な要素である。
【0003】このような植物培養においては、培地材として寒天が最も一般的に使われている。しかし、寒天を用いた場合は培地内に空気が入らない為発根が悪く、又、特殊な発根用寒天培地で発根を良くしても、出てきた根が水中根状を示し有効に働かず直接栽培用土に移植すると地上部が枯れてしまう問題点がある。このため、パーライトやバーミキュライト等の培地で順化させた後、露地あるいは温室内の土壌に移植する方法がとられているが、順化過程には通常1〜3ケ月の長期間を要し、又、順化期間中に活着が悪く培養苗が枯死したり苗質が水浸状のまま正常な形にならず、手間や歩留まりの点で問題点が多い。
【0004】一方、寒天のかわりにロックウールやパーライト、バーミキュライトを培地として使用することもある。しかし、ロックウールの場合は、栽培用土に移植する際ロックウール自体が分解せず残ってしまい、又、根から分離しようとすると、根を傷め活着率低下の原因となり、更に、培地支持体としては固すぎ根が伸長せず問題が残る。
【0005】また、パーライトやバーミキュライトの場合は粒状であるため植物体の固定が悪く、更に培養植物体との密着性が悪く生育にバラツキがおこり、又、ピンセットの先に粒子がつき操作性が悪く実用的に難がある。一方、これらを培養する容器としても、ガラス製、ポリカーボネート製等の容器が一般的に使われているが、これらの容器では植物体が徒長したり、根の成長も悪く直接外に出すことが不可能で増殖から順化、成苗までの連続した苗を作る事が不可能であった。したがって、増殖発根段階、順化段階と、別々2段階の培養が必要となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の様に従来技術では植物組織培養により成苗を得ようとする場合、培養体からの発根が悪く初期生育も悪く、活着率の低さにより歩留まりの点で問題点があり、また、これまで増殖発根段階、順化段階と、別々2段階の培養が必要で手間がかかり労力的に問題が多かった。本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は組織培養植物の増殖から順化を効率的に行い、成苗を得るための培養方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、少なくとも一部がガス透過性を有する多孔膜で閉止された光透過性容器内で、バーミキュライトとセルロース繊維からなる混合物の成型体を植物組織培養培地として用いる培養方法にある。さらに好ましくは、多孔膜のガス透過性が1〜50sec/100ccの多孔膜を用いた容器内で培養する方法にある。
【0008】筆者は鋭意検討した結果、上記培地とガス透過容器を用いることにより、操作性が良好で効率良く培養ができ、しかも発根と生育が良好で一回の培養で順化不要の健苗の作出が可能となることを見い出し発明の完成に至った。以下、本発明を詳しく説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の培養容器は、少なくとも一部がガス透過性を有する多孔膜で閉止された光透過性容器である。容器本体の形としては特に制限はなく、容器本体と蓋からなる形が一般的である。材質としても特に制限はなく例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどがあげられるが、好ましくは耐久性、耐熱性等に優れポリカーボネートが良い。大きさとしても特に制限はないが、手に持ちやすい程度がよい。この容器本体または蓋の一部に通気口が設けられており、ガス透過性を有する多孔膜を密着させ使用する。密着のさせ方としても特に制限はなく、多孔膜に粘着剤をつけ貼り付ける方法、多孔膜の上からキャップをはめ保持する方法、等があるが、キャップをはめ保持する方が多孔膜の取り替えが簡易で好ましい。またキャップの通気部分の大きさをかえることでガス透過量の調節も可能でより好ましい。通気口の面積としてはとくに制限はないが0.2〜4cm2 が使用上好ましい。
【0010】多孔膜はガス透過性(通気度)が1〜50sec/100cc、好ましくは1〜10sec/100ccである。更に好ましくは1〜5sec/100cc、である。通気度が低すぎるとガス透過が不足し生育、発根が悪く効果がでなく、通気度が高いと水蒸気の散逸が大きく乾燥し培養が不可能となる。更に、通気量を上げるため通気度の低い多孔膜で面積をふやすことも考えられるが、水蒸気の散逸量が面積に比例し大きくなるため乾燥が激しくなり培養不可能となり、1〜5sec/100ccの多孔膜が実用上好適である。
【0011】また平均孔径が1〜10μmであることが好ましく、更には0.1〜5μmが好適である。平均孔径が10μmを越えると、雑菌等の混入が懸念され好ましくない。又厚みは取り扱い上50〜500μmの範囲が好ましい。この多孔膜の素材としては滅菌処理条件に耐えうるものであれば良く、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ナイロン、セルロース、フッソ樹脂、ポリ4メチルペンテン1、などが挙げられる。さらにこれらの複合化したものも可能である。
【0012】これらの容器に以下の培地を組合せ使用する。使用する本発明の培地は、バーミキュライトとセルロース繊維からなる混合物を成型したものである。素材となるバーミキュライトの種類に特に制限は無く、焼成バーミキュライトであれば良く更に平均粒径0.1mm〜10mm更に好ましくは0.5〜5mmのものが用いられる。
【0013】また、このバーミキュライトをあらかじめ各種処理したものを用いても構わない。ここでいう各処理とは、加熱処理、冷却処理、精製処理、膨潤化処理、粉砕処理、造粒処理、含浸処理、コーティング処理等の化学的機械的処理を意味する。セルロースについては、平均繊維長が0.01〜5mmのものが好ましい。セルロースの種類に特に限定は無く、コットンリント、コットンリンター、針葉樹セルロース、広葉樹セルロース、靱皮セルロース、麻セルロース、再生セルロース、バクテリアセルロース等、そしてこれらの混合物が用いられる。
【0014】また、これらのセルロースをあらかじめ各処理したものを用いても構わない。ここでいう各処理とは、加熱処理、冷却処理、精製処理、非晶化処理、膨潤化処理、重合度低下処理、誘導体化処理、架橋処理、結晶型転換処理、溶解再生処理、粉砕処理、造粒処理、含浸処理、コーティング処理等の化学的、機械的処理を意味する。
【0015】これらの混合物を成型する方法としては、バーミキュライトとセルロース繊維を液体中で混合し、成型、脱液後乾燥する湿式成型法と、乾燥状態で混合物を圧縮成型する乾式圧縮成型法の2種がある。バーミキュライトとセルロース繊維の混合比としては、成型方法にもよるが重量比で50:50〜95:5、特に、65:35〜90:10が好ましい。
【0016】湿式成型の場合はセルロースの平均繊維長として0.1mm〜4mm、好ましくは0.5mm〜3mmのものが用いられる。またバーミキュライトの平均粒径については0.5mm〜5mmのものが好ましい。セルロース繊維長が短かすぎると乾燥した際、成型体が固くなり植物体が挿しずらくなり培地として好ましくない。又、セルロースの繊維長が長すぎると、バーミキュライトとセルロース繊維がからまず、均一に混合し成型することができなくなる傾向があり、培地としては好ましくない。
【0017】バーミキュライトの粒径が細かすぎると、培養液を保持する効果が減少し、また成型体が固くなり、植物体が挿しにくくなるため好ましい結果が得られない。バーミキュライトの粒径が大きすぎると、植物体を本培地の任意の位置に挿すことが難しく、操作性が悪くなり、好ましくない。セルロース繊維が5重量%以下では、バーミキュライトとセルロース繊維のからみあいが悪く成型上好ましくなく、50重量%以上であれば成型体が固くなり植物体が挿しずらくなり培地としてあまり好ましくない。
【0018】湿式成型物の場合、これらバーミキュライトとセルロースを液体中、好ましくは水中で混合し、その懸濁液を型枠等に入れた後に、液体を除去し、乾燥することにより、成型物が得られる。液体の除去法は、どの手法を用いてもよく、例えば自然落下法、遠心脱水法、吸引脱水法などが用いられる。
【0019】また、乾燥法も特に限定されるものではなく、例えば乾燥機による方法や、天日乾燥などが用いられる。液体としては、水、アルコール、アセトン等特に制限はないが、植物体への影響がない水が好ましい。この湿式成型体に培養液等の液体を加えることにより、セルロース繊維、バーミキュライト、そしてこれらが形作る構造部分に該液体が保持され、本成型体は柔らかくなり、植物体を挿すのに適した培地となる。
【0020】乾式圧縮成型の場合は、セルロースの平均繊維長として20μm〜500μm、好ましくは100μm〜400μmのものが用いられる。またバーミキュライトの平均粒径については0.5mm〜5mmのものが好ましい。セルロース繊維長が短かすぎると、培養液を添加した際成型体が固くなり、植物体が挿しずらくなり培地として好ましくない。又、セルロースの繊維長が長すぎると、バーミキュライトとセルロース繊維がからまず、均一な混合物が得にくくなり、成型化が難しくなる。
【0021】バーミキュライトの粒径が細かすぎると、培養液を保持する効果が減少し、また成型体が固くなり、植物体が挿しにくくなるため好ましい結果が得られない。バーミキュライトの粒径が大きすぎると、植物体を本培地の任意の位置に挿すことが難しく、操作性が悪くなり、好ましくない。圧縮強度に関しては5kg/cm2 〜200kg/cm2 が通常用いられる。
【0022】圧縮強度が低すぎると、成型体の強度が低くなり、圧縮強度が高すぎると成型体が固くなり植物体が挿しずらくなり培地として好ましくない。また、圧縮時の温度は特に限定はされないが、通常10℃〜200℃が用いられる。圧縮時の温度が高い方が成型体の密度が大きくなる傾向がみられるため、所望の密度を得る様に圧縮時の温度を設定すれば良い。
【0023】圧縮の時間についても特に限定的ではないが、通常10秒〜10分間圧縮を行えば、使用に適した強度と植物の挿しやすさをもった成型体が得られる。この圧縮成型体に培養液等の液体を加えることにより、バーミキュライトの積層構造部分が広がり、セルロース繊維、バーミキュライト、そしてこれらが形作る構造部分に該液体が保持され、本成型体はふくらみ、柔らかくなり、植物体を挿すのに適した培地となる。
【0024】これら成型体の密度としては、0.01〜2g/cm3 とするのが良く、湿式成型の場合には0.05g/cm3 〜1g/cm3 、好ましくは0.07g/c3 〜0.3g/cm3 、乾式圧縮成型の場合には0.5g/cm3 〜2g/cm3 、好ましくは0.5g/cm3 〜1.5g/cm3 になるように成型する。これより密度を高くすると、成型体が固くなり、植物体が挿しずらくまた発根も悪くなり、培地として好ましくなく、これより密度を低くすると保型性が保てず操作性の面で好ましくない。
【0025】また、本発明のバーミキュライトとセルロース繊維の混合成型による培地の効果を阻害しない程度に他成分を混合しても構わない。ここで言う他成分とは、有機物、有機塩、有機酸、有機アルカリ、有機高分子、無機物、無機塩、無機酸、無機アルカリ、無機高分子などを指し、中でもロックウール、パーライト、ピートモス、木粉、おがくず、腐葉土、キチン、キトサンなどが挙げられる。
【0026】これらの培地に、培養液を入れオートクレーブ等で滅菌処理してから培養体を植え込み培養する。ここで培養体とは、高等植物の細胞培養や生長点培養においては、初代培養、継代培養を行い、早生分枝法、プロトコーム様体法、苗条原基法などにより形成せられた小植物や多芽体を指している。培養液の使用量に関しては、適用する植物の種類に応じて異なり一義的に決定することは困難であるが、培地10g当たり20ml〜65mlが適当である。培養液量が多すぎると空気相が少なく過湿になり、発根が悪く植物体が水浸状となり生育にとって不適である。培養液量が少なすぎると十分に栄養分が植物体に吸収されず、生育不良となる。
【0027】培養液としては、特に制限はなく通常のMS培養液、ホワイト培養液、ヘラー培養液、ヴィシン&ヴェント培養液等が用いられる。さらに、植物の種類にあわせ培養液濃度をうすめたり燐酸や鉄等のある種の成分を添加したり、各種植物ホルモンを加えたものを用いても構わない。本発明の培地(支持体)を用いた場合は、一般には、寒天で用いる培養液濃度よりうすめた方が生育にとって良好となる。これは、液体培地であるため寒天より有効に培養液が利用されるため最適な濃度が低くてすむ為である。
【0028】なお、成型の際、培養液を加える手間を省くため培養液の成分をあらかじめ培地に加えておき成型しても構わない。ガス透過容器内でこの培地(支持体)を用いることで容器内ガス条件が良好となり、培養植物体からの発根が密閉容器内で使用する場合に比べ極めて良くなり、生育も良好となる。
【0029】また、容器内水蒸気も適度に透過していくので、過湿が防止され順化がスムーズに進み、直接栽培用土に移植できる苗の生産が可能となる。この結果、歩留まりの向上と、増殖と順化が1回ですむ手間の削減が可能となる、画期的な手法が提供される。更に、使用後も環境汚染がなくロックウールより優れている。
【0030】
【実施例】以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、多孔膜の通気度の測定はB型ガーレー式デンソーメーター(東洋精機製作所、JIS規格P8117に準拠)で行った。
【0031】[製造例1]
(培養培地の製造)木材パルプLBKP(平均繊維長1.2mm)1重量部を50重量部の水で解繊し、中国産焼成バーミキュライト(平均粒径2mm)5重量部を加えて混合した。この混合懸濁液を355μmのふるい上に移して、自然に脱水させながら高さを揃えるように成型し、ケーキ状の成型体を得た。かの成型体を十分脱水した後に90℃で乾燥し、5cm×5cm×2cmの大きさにカットした。この成型品の乾燥後の密度は0.13g/cm3 であった。
【0032】[製造例2]
(培養培地の製造)中国産焼成バーミキュライト(平均粒径2mm)9重量部と粉末状のセルロース繊維(平均繊維長300μm)1重量部を乾燥状態で混合し、この混合物を0.7g/cm2 になるように金型に入れ、圧縮強度50kg/cm2 、室温、1分間の条件でプレス成型した。この成型物を5cm×5cmの大きさにカットした。この成型品の密度は1g/cm3 であった。
【0033】[製造例3]
(培養容器の製造)図1から図5に示すように容器本体はポリカーボネート樹脂を用い、底部70mm×70mm、開口部は90mm×90mm、高さ120mm、厚さ1.5mmのものを射出成型法で成型した。
【0034】蓋は10φ(直径10mm)の通気口を有し、容器本体と密着できるように射出成型法で成型した。多孔膜を保持するキャップはポリプロピレン樹脂を用い、蓋の通気口に多孔膜を隙間なく保持でき且つキャップの上部には通気口を設け、蓋の通気口部に密着できるように射出成型法で成型した。これに多孔膜をセットし培養容器とした。
【0035】[実施例1]多孔膜E01008E(日本ポール社製、厚み:200μm、平均孔径:0.3μm、通気度:2sec/100cc、素材構成:ガラス繊維メッシュ/セルロースフィルター)を直径15mmの円形に打ち抜きキャップの内側からセットし培養容器とした。
【0036】[実施例2]多孔膜Hydrolon(日本ポール社製、厚み:160μm、平均孔径:1.2μm、通気度:7sec/100cc、素材構成:ナイロン)を直径15mmの円形に打ち抜きキャップの内側からセットし培養容器とした。
【0037】[実施例3]多孔膜BiodyneA(日本ポール社製、厚み:150μm、平均孔径:0.5μm、通気度:30sec/100c、素材構成:ナイロン)を直径15mmの円形に打ち抜きキャップの内側からセットし培養容器とした。
【0038】[比較例1]多孔膜のかわりに無孔のポリプロピレンフィルム(50μm)を直径15mmの円形に打ち抜きキャップの内側からセットし培養容器とした。
[比較例2]多孔膜HDCIIj006(日本ポール社製、厚み:200μm、平均孔径:0.6μm、通気度:70sec/100cc、素材構成:ガラス繊維メッシュ/セルロースフィルター)を直径15mmの円形に打ち抜きキャップの内側からセットし培養容器とした。
【0039】[試験例1]製造例1の培地8gを、製造例3の容器に実施例1の多孔膜をセットした培養容器に入れ、これに燐酸アンモニウム及び鉄分を増やしたMS培養液(MS基本培養液+NH4 2 PO4 =400mg/l+FeEDTA=33mg/l、9%サッカロース)45mlを入れ密封オートクレーブし培養培地とした。
【0040】実施例2〜3および比較例1〜2についても多孔膜種以外は全く同様に行った。この培養培地に、サツマイモ無菌培養苗1節(約1cm)を挿し25℃で1か月間培養した。苗の植えやすさ、および培養1か月後の生育調査(草丈、葉数、発根状態)を行った。更にその後、バーミキュライトを詰めたポットに移植し生育状況を2週間観察した。
【0041】比較例として、本発明品の替わりに、寒天(0.8%)を用いた例を併せて示した。その結果を〈第1表〉に示す。尚、発根については+++を発根大(極めて良好)とし、++を発根普通(良好)、+を発根小(悪い)、±を発根極小(更に悪い)とする4段階で示したが、試験植物が異なった場合には、同じ植物間での相対評価である。
【0042】
【表1】

【0043】製造例1の培地は挿しやすく操作性が良好で、更にこの培地と実施例1〜3の多孔膜を用いた培養容器内で培養した苗は、発根状態が良好でしっかりした苗ができ、移植後の生育も良好で優れていた。
[試験例2]製造例2の培地14gを、製造例3の容器に実施例1の多孔膜をセットした培養容器に入れ、これにMS培養液(MS基本培養法、3%サッカロース)45mlを入れ密封オートクレーブし培養培地とした。
【0044】実施例2〜3および比較例1〜2についても多孔膜種以外は全く同様に行った。これに、カーネーション無菌培養苗の先端節(約3cm)を挿し20℃で1か月間培養した。培養1か月後、生育調査(草丈、葉数、生体重、苗質、発根状態)を行った。更にその後、バーミキュライトを詰めたポットに移植し生育状況を2週間観察した。比較として、寒天(0.8%)およびロックウールを用いた。その結果を〈第2表〉に示す。
【0045】
【表2】

【0046】製造例2の培地は挿しやすく操作性が良好で、更にこの培地と実施例1〜3の多孔膜を用いた培養容器内で培養した苗は、発根状態が良好でしっかりした苗ができ、移植後の生育も良好で優れていた。
[試験例3]製造例1の培地8gを、製造例3の容器に実施例1の多孔膜をセットした培養容器に入れ、これにサッカロースを除いたMS培養液(MS基本培養液、0%サッカロース)45mlを入れ密封オートクレーブし培養培地とした。
【0047】実施例2〜3および比較例1〜2についても多孔膜種以外は全く同様に行った。これに、カーネーション無菌培養苗の先端節(約3cm)を挿し20℃で1か月間培養した。培養1か月後、生育調査(草丈、葉数、生体重、苗質、発根状態)を行った。更にその後、バーミキュライトを詰めたポットに移植し生育状況を2週間観察した。比較として、寒天(0.8%)およびロックウールを用いた。その結果を〈第3表〉に示す。
【0048】
【表3】

【0049】製造例2の培地は挿しやすく操作性が良好で、更にこの培地と実施例1〜3の多孔膜を用いた培養容器内で無糖培養しても発根状態が良好でしっかりした苗ができ、移植後の生育も良好で優れていた。
【0050】
【発明の効果】試験例の比較からも明かなように、本発明の資材を用いた場合、従来の寒天やロックウールを用いた場合に比べ生育や発根が良く、順化時に良好な活着率を示し歩留まりも向上し、極めて有利である。更に、これまで増殖発根段階、順化段階と別々2段階の培養が必要であったものが、1回ですむようになり労力的にも極めて有利となる。又糖がなくても生育が可能で極めて画期的手法である。又、環境汚染もなくロックウールに比べ極めて有利である。
【出願人】 【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
【公開番号】 特開平11−285324
【公開日】 平成11年(1999)10月19日
【出願番号】 特願平8−158323