| 【発明の名称】 |
接木育苗法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 一彦
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| 【要約】 |
【課題】台木を準備する作業を簡単で早くし、活着に要する時間を短くし、徐々に湿度を戻す必要をなくし、出荷の荷数を少なくし、出荷を大量に行え、出荷後の植えかえ作業をなくし、保管・運送が簡単で大量に行え、しかも苗の品質もよい、低コストの接木育苗法を提供することにある。
【解決手段】接穂3を台木1に接合し、遮光した発泡スチロール容器8内に氷6aと濡らした新聞紙7aと接合した苗を入れる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗木の不必要な枝、葉及び芽を切り取った接穂を根の上方で切り取った根のない台木に接合し、遮光した断熱材容器内に蓄冷剤と保湿シ−トと接合した苗を入れ、低温高湿雰囲気の中で活着を行う果菜類の接木育苗法。 【請求項2】 温度が10℃〜20℃、湿度が70%以上の低温高湿雰囲気中で接穂と台木の活着を行う請求項1記載の果菜類の接木育苗法。 【請求項3】 糊剤を接合面に塗布して接穂と台木との活着を行う請求項1又は2記載の果菜類の接木育苗法。 【請求項4】 接穂の葉の数を2〜6葉にする請求項1〜3記載の果菜類の接木育苗法。 【請求項5】 上部がU字状の2枝に分かれている接穂を用いる請求項1〜4記載の果菜類の接木育苗法。 【請求項6】 接穂と台木の活着した苗を出荷する際、ペ−パ−ポットに植えた状態で出荷する請求項1〜5記載の果菜類の接木育苗法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】ナス、キュウリ、トマト、ピ−マンなどの果実を食用とする果菜類の育苗法において実生による育苗にくらべ優良で結実の早い接木育苗法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の接木育苗法では、まず接木を行う台木は、根の部分を生かして使うので、根の部分を囲む範囲で土とともに採取する。つぎに台木に切り込み、切り欠きあるいは切断を行い、接木を行う際接穂と接合する面を整える。同様に接穂の接木を行う部分の台木と接する面を整える。つぎに台木と接穂の接合する面を合わせ、接合部分を布やテ−プで巻きつけ固定する。つぎに接合した台木と接穂を温度25℃、湿度90%の高温高湿の下で活着させる。活着には、3〜7日を要する。活着後、すぐに苗を高温高湿雰囲気より取り出すと急激な湿度の変化により苗が痛んでしまうため、苗の雰囲気湿度を徐々に下げて外気の湿度と同等にする。外気湿度と苗の雰囲気湿度がほぼ同等になったら、活着雰囲気より苗を取り出す。販売先が主に個人の場合、取り出した苗はビニ−ルポットの中に植え、出荷する。出荷された苗は、ビニ−ルポットのまま植え、根がある程度まで生長すると植えかえる。しかし、従来の接木育苗法には、次のような問題点があった。台木を採取する際、根の部分を囲む範囲で土とともに採取するため、作業が大変であった。また、活着には3〜7日の長い時間がかかり、一度に多くの苗を活着させることはできず、徐々に湿度を下げる時間と手間もかかっていた。出荷の準備も時間がかかっていた。また、出荷した苗は、ある程度生長すると植え替えが必要なため作業が大変であった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は従来のこれらの問題を解消し、台木を準備する作業を簡単で早くし、活着に要する時間を短くし、徐々に湿度を戻す必要をなくし、出荷の荷数を少なくし、出荷を大量に行え、出荷後の植えかえ作業をなくし、保管、運送が簡単で大量に行え、しかも苗の品質もよい、低コストの接木育苗法を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】かかる課題を解決した本発明の構成は、1) 苗木の不必要な枝、葉及び芽を切り取った接穂を根の上方で切り取った根のない台木に接合し、遮光した断熱材容器内に蓄冷剤と保湿シ−トと接合した苗を入れ、低温高湿雰囲気の中で活着を行う果菜類の接木育苗法2) 温度が10℃〜20℃、湿度が70%以上の低温高湿雰囲気中で接穂と台木の活着を行う前記1)記載の果菜類の接木育苗法3) 糊剤を接合面に塗布して接穂と台木との活着を行う前記1)又は2)記載の果菜類の接木育苗法4) 接穂の葉の数を2〜6葉にする前記1)〜3)記載の果菜類の接木育苗法5) 上部がU字状の2枝に分かれている接穂を用いる前記1)〜4)記載の果菜類の接木育苗法6) 接穂と台木の活着した苗を出荷する際、ペ−パ−ポットに植えた状態で出荷する前記1)〜5)記載の果菜類の接木育苗法にある。 【0005】 【作用】本発明の接木育苗法では、台木を根の上方で切断し、根がないようにし、接穂と活着する面を合わせた苗を蓄冷剤により冷やされ、保湿シートにより高湿の状態に保たれ、採光する部分のないよう密閉された断熱材容器内に静置し、遮光と低温によって苗の枝、葉及び芽の生長を抑制する。よって、苗のもつ養分が枝、葉及び芽の生長に使われることなく、活着に使われる。このことによって活着に必要な期間は、高温又は採光中に比べ短くなる。さらに、苗の生長を抑制しているため、必要とする養分の量が高温高湿で活着する従来の生長が抑制されない場合に比べ少なく、活着雰囲気中より外気へ急に苗を取り出した場合、環境の変化に対して影響を受けにくく、そのため、苗へのダメ−ジは少ない。このことによって苗は従来より耐候性を持つ。また、根や土をなくし、生長を抑制している苗は、非常に小さい容積のため、断熱材容器で、一度に多くの量を活着させることができる。活着後、苗を多く売る場合は、あらかじめ、売る量の苗を断熱材容器に入れて活着させ、断熱材容器ごと出荷する。よって出荷の際の詰め替え作業等がなくなり、保管や運搬中の苗の生長が抑制され、苗の品質が保たれる。また、購入者は、断熱材容器から必要数の苗を取り出し、残りを断熱材容器で保管すればよい。このことによって出荷及び購入者(主に農家)の作業は軽減される。請求項3記載の発明では、糊を使って接穂と台木を接合する。糊を使うことで接合面の密着度が増し、切り口に空気が入らないので、活着のための養分が接穂と台木の間を行き来しやすくなる。請求項4記載の発明では、接穂の葉の数を2〜6葉とする。これにより、購入者の負担を小さくし、収穫のバラツキを小さくすることと、活着での接穂の生長を抑制した前記効果を両立させる。請求項5記載の発明では、上部がU字状に2枝に分かれている接穂を用いることにより、1本の苗に対する作業で2本分の収穫を得る。請求項6記載の発明では、苗を出荷する際、ペーパーポットに植えた状態で出荷する。購入者は、ペーパーポットごと苗を植える。ペーパーポットは紙でできているので土中で腐食し、苗の根がペーパーポットまで到達すると、ペーパーポットは簡単に破れる状態になっている。 【0006】 【発明の実施の形態】接木育苗法の果実としては、ナス科のナス、トマトやウリ科のスイカ、キュウリ、マクワウリなどがある。活着時に必要があれば活着させる部位に用いられる固定用の布やテ−プはビニ−ルチューブや収縮チューブでもよい。断根は、根を若干残してもよいし、茎の途中で切断してもよい。蓄冷剤としては、氷、ドライアイス、および、その他冷媒として用いるものを使用してもよい。保湿シートとしては、紙、布、わたが用いられる。ペーパーポットは、紙製でできた鉢型容器であり、土中で分解して根がはるようにできるのが望ましい。糊剤としては化学糊(PVAL成分の化学糊等)やでんぷん糊があり、条件に応じて決めるのが好ましい。 【0007】 【実施例】本発明の実施例について図面を参照して具体的に説明する。 実施例1(図1〜4参照) 図1〜4に示す実施例1は、葉が5枚の接穂となるように不必要な枝、葉、及び芽を切り取り、台木となる苗木を根の上方で根がないよう切り取り、遮光した断熱材容器内に蓄冷材と保湿シートを入れ、温度が10℃〜20℃、湿度が70%以上の低温高湿雰囲気中で活着させる接木育苗法の例である。図1は、実施例1の台木の根を切断した状態を示す説明図である。図2は、実施例1の台木と接穂を接合した状態を示す説明図である。図3は、実施例1の苗の活着部分を固定した状態を示す説明図である。図4は、実施例1の活着時の苗の状態を示す説明図である。図中、1はナスの台木、2は台木の根、3はトマトの接穂、4は活着部分を固定するための布、5は苗、6は活着時の発泡スチロール容器内を低温にするための蓄冷剤、6aは蓄冷材として用いた氷、7は活着時の発泡スチロール容器内を高湿にするための保湿シート、7aは保湿シートとして用いた濡らした新聞紙、8は断熱材容器として用いた発泡スチロール容器、8aは発泡スチロール容器の蓋部、8bは発泡スチロール容器の容器部、15は接穂と台木の活着させる接合面。本実施例1の接木育苗法について説明する。まず図1に示すように耐候性、耐苗性に優れた品種のナスの苗木を根2がないよう根2の上方で切断し、そこから所定の長さ上方で切り取り台木1にする。台木1の上方の切断面は、接穂3との接合面となるため切り込みを入れておく。次に収穫の多く、品質の優れた品種のトマトの不必要な枝、葉、芽を切り取り、所定の長さ下方で切り取り接穂3にする。接穂3の下方の切断面は、台木1との接合面となるため、台木1の切り込みに合わせて切り込む。次に図2に示すように、台木1と接穂3の接合面を合わせ1本の苗5とする。次に図3に示すように、台木1と接穂3の接合部に布4を巻き固定する。次に発泡スチロール容器の容器部8bの中に約0℃の蓄冷剤6を入れ、その上に濡らした新聞紙7aをひく、その上に前記苗5を置く、そして発泡スチロール容器8bの容器部の開口部に発泡スチロール容器の蓋部8aで蓋をする。発泡スチロール容器8内を蓄冷剤6は冷却し、濡らした新聞紙7aが湿度を高め、発泡スチロール容器の蓋部8aが遮光する。これにより発泡スチロール容器8内は、温度12℃、湿度70%以上の遮光された低温高湿雰囲気となり、遮光と低温によって苗5の枝、葉及び芽の生長を抑制する。よって苗5のもつ養分が枝、葉及び芽の生長に使われることなく、活着に使われる。このことによって活着に必要な期間は、従来より短くなり、2〜3日で済む。さらに、苗5の生長を抑制しているため、必要とする養分の量が高温高湿で活着する場合に比べ少なく、活着雰囲気中より外気へ急に苗5を取り出した場合、環境の変化に対して影響を受けにくく、そのため、苗5へのダメージは少ない。つまり、苗5は従来より耐候性を持つ。また、根や土をなくし、しかも生長を抑制している苗5は、非常に小さい容積のため、発泡スチロール容器8で一度に多くの量を活着させることができる。活着後、苗を多く売る場合(農家など)、あらかじめ、売る決まった量の苗5を発泡スチロール容器8に入れて活着させ、発泡スチロール容器8ごと出荷すれば、出荷時の詰め替え作業の必要がなく、しかも保管や運搬中の苗5の生長が抑制され、苗5の品質が保たれる。また、発泡スチロール容器8ごと苗5を購入すれば、購入者(農家など)は、発泡スチロール容器8から必要数の苗5を取り出し、残りを発泡スチロール容器8で保管すればよい。このことによって出荷時及び購入者(農家など)の作業は軽減される。 実施例2(図5〜7参照) 図5〜7に示す実施例2は、糊剤を使って接穂と台木を接合して活着を行い、出荷が主に個人向け又は小売り業者の場合、苗を出荷する際ペーパーポットに植えた状態で出荷する接木育苗法の例である。図5は、実施例2の糊剤を使った接合状態を示す説明図である。図6は、従来の主に個人向け、又は小売り業者への出荷状態を示す説明図である。図7は、実施例2の個人向け、又は小売り業者への出荷状態を示す説明図である。図中、9はビニ−ルポット、10はペーパーポット、11は出荷用の箱、14は糊。本実施例2の接木育苗法について説明する。本実施例2では、台木1と接穂3を活着させる際、台木1と接穂3の接合面15に糊14を塗布し、台木1と接穂3を接合する。台木1と接穂3の接合面15の、各々表面に存在する凹凸が糊14で埋められ、接合面15の密着度が増し、空気が切り口に入らないため、活着のための養分が接穂3と台木1の間を行き来しやすくなる。よって本実施例では、活着期間は約1日である。以上のように従来に比べ大幅に活着期間が短縮できる。また、出荷が主に個人向け又は、小売り業者の場合、苗5をペーパーポット10に植え出荷する。根がなく、葉、枝及び芽の生長が抑制されている苗5は、非常に容積を取らず図6、図7に示すように出荷の効率は、大幅に向上する。苗5を購入した個人等は、苗5をペーパーポット10ごと植える。ペーパーポット10は紙でできているため、土中で腐食し、苗5の根がペーパーポットまで到達すると、ペーパーポットは簡単に根の生長する力により破れる状態になっている。よって購入した個人等は、根の生長に合わせた植えかえの必要がない。また、1本の苗が従来より大幅に軽いため、購入しやすい手軽さもある。その他、符号、構成、使い方は実施例1と同じである。 実施例3(図8〜9参照) 図8〜9に示す実施例3は、接木を行う部分は1枝で、その上部がU字状の2枝に分かれている接穂を用いる接木育苗法である。図8は、実施例3の接穂と台木の接合状態を示す説明図である。図9は、接穂と台木の他の例を示す説明図である。図中、13は上部で2枝となっている接穂である。16は支枝である。本実施例3の接木育苗法について説明する。本実施例3では、苗木から不必要な枝、葉、芽を切り取って接穂を作る際、接木を行う部分は1枝で、その上部がU字状に2枝に分かれているように切り取る。購入者は、2本を植えるスペースの中央に本実施例3の苗5を植える。2つの支枝16が従来の2本分として育つため、2本分の収穫を得ることができるが、購入者の植え込み作業等は1本分で済むため、作業を軽減できる。その他、符号、構成、使い方は実施例1と同じである。図10は、活着時、台木と接穂を固定する他の例の説明図である。 【0008】 【発明の効果】本発明の接木育苗法によれば、台木の根の上方で根を切り取り、遮光した断熱材容器内に蓄冷剤と保湿シートを入れ、低温高湿雰囲気中で活着させることによって、活着に要する時間を短くし、活着雰囲気を活着後、徐々に湿度をもどす必要がなく、保管および出荷の荷数を少なくし、耐候性をもち、コストを大幅に低減し、購入後の作業、保管が容易で品質のよい接木育苗法を提供できる。さらに、活着時の接合面に糊剤を塗布することにより、さらに活着に要する時間を短縮することができる。さらに、接穂の接木する部分は1枝で、その上部がU字状の2枝に分かれていることにより、1本の苗で2本分の収穫を得ることができ、作業を軽減することができる。さらに、苗を出荷する際、ペーパーポットに植えて出荷することにより、苗の生長に合わせて植えかえる必要がなくなり、手軽に個人で購入できる軽さにできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596142546 【氏名又は名称】有限会社山口園芸
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月1日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】戸島 省四郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−313544 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−137561 |
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