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【発明の名称】 淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法
【発明者】 【氏名】立木 隆

【氏名】深海 浩

【要約】 【課題】資源の節約や環境保全と共に、コストダウンも図ることができる淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法を提供する。

【解決手段】容器内への培養基の充填、殺菌、該培養基への食用キノコの種菌の接種、培養、発芽、及び子実体の育成を順次行う食用キノコの栽培方法において、前記培養基が淡水産水草からなる。前記淡水産水草が、あらかじめ乾燥してから所定の大きさの細片に粉砕されている。前記淡水産水草に、あらかじめ養分添加物を所定の割合で添加、混合しておく。前記淡水産水草に、あらかじめオガ屑を所定の割合で添加、混合しておく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器内への培養基の充填、殺菌、該培養基への食用キノコの種菌の接種、培養、発芽、及び子実体の育成を順次行う食用キノコの栽培方法において、前記培養基が淡水産水草からなることを特徴とする淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法。
【請求項2】 前記淡水産水草が、あらかじめ乾燥してから所定の大きさの細片に粉砕されていることを特徴とする請求項1記載の淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法。
【請求項3】 前記淡水産水草に、あらかじめ養分添加物を所定の割合で添加、混合しておくことを特徴とする請求項1又は2記載の淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法。
【請求項4】 前記淡水産水草に、あらかじめオガ屑を所定の割合で添加、混合しておくことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法、より詳しくは、例えばササバモ等の淡水産水草を培養基として用いるヒラタケ(人工シメジ)やエノキタケ等の食用キノコの栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、例えばヒラタケやエノキタケ等の食用キノコは、榾木(原木)栽培の他、製材廃物のオガ屑と米糠との混合物を培養基として用いる菌床栽培で得られることが多い。この菌床栽培による生産量は年間十数万トンにまで達しつつあり、そのため使用するオガ屑が不足するようになった。その結果、近年では、オガ屑供給のために森林で樹木伐採が行われるようになっている。
【0003】また、例えば琵琶湖(滋賀県)等の淡水圏においては、その集水域における一般家庭生活や工業生産活動の高度化・多様化の急速な進展によって近辺河川の水質が劣化し、窒素やリン化合物ばかりでなく、広範囲に及ぶ多様な有機物質が湖水等へと流入するようになった。
【0004】これにより、湖水等の富栄養化傾向が強まり、その結果、水草等の水棲植物や植物プランクトンの異常増殖が頻繁に発生するようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようにして樹木伐採を行えば、環境が破壊されるという問題点がある。また、培養基として、オガ屑の他に米糠も必要であるので、コストダウンを図りにくいという問題点がある。
【0006】更に、淡水圏における水草等の異常増殖は、異臭の発生、有害物質の生成、漁獲量の低下等をもたらすことが多いという問題点がある。そこで、近年では、水草等の除去が湖水等の環境浄化の1つの手段として有望視されているが、大量の水草等の廃棄処理が困難であるという問題点がある。
【0007】この発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、資源の節約や環境保全と共に、コストダウンも図ることができる淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための手段とするところは、第1に、容器内への培養基の充填、殺菌、該培養基への食用キノコの種菌の接種、培養、発芽、及び子実体の育成を順次行う食用キノコの栽培方法において、前記培養基が淡水産水草からなることにある。
【0009】第2に、前記淡水産水草が、あらかじめ乾燥してから所定の大きさの細片に粉砕されていることにある。
【0010】第3に、前記淡水産水草に、あらかじめ養分添加物を所定の割合で添加、混合しておくことにある。
【0011】第4に、前記淡水産水草に、あらかじめオガ屑を所定の割合で添加、混合しておくことにある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態に係る淡水産水草を用いる食用キノコの栽培方法は、容器内への培養基の充填、殺菌、該培養基への食用キノコの種菌の接種、培養、発芽、及び子実体の育成を順次行うものであって、前記培養基が淡水産水草からなるものである。
【0013】前記淡水産水草とは、湖沼や河川等の淡水中に生える草や藻をいい、例えば、ササバモ、コカナダモ、オオカナダモ、クロモ、エビモ、ヤナギモ等が挙げられる。
【0014】前記食用キノコとは、食用に供される大形菌類の子実体をいい、例えば、ヒラタケ(人工シメジ)、エノキタケ、ナメコ、シイタケ、ブナシメジ、マイタケ等が挙げられる。また、その種菌としては、各種の市販品等を使用できる。
【0015】この栽培方法は、食用キノコのビン栽培や菌床栽培等に利用でき、前記容器としては、例えばガラスや耐熱性を有するプラスチック等からなる培養瓶、木箱、素焼きの植木鉢、ハイゼックス容器等が挙げられる。前記木箱等を使用する場合には、その内部にポリプロピレン等からなるプラスチックシート等を敷いておき、このプラスチックシート等で培養基を包むようにすればよい。いずれにしても、前記培養基を充填する容器や培養基を包むプラスチックシート等は、高温殺菌が可能なように、耐熱性を有する材質で構成しておくのが望ましい。
【0016】前記培養基としての淡水産水草は、採取したままの状態で使用することもできるが、必要に応じてあらかじめ乾燥してから数mm〜数十mm程度の大きさの細片に粉砕しておけば、取扱いが容易であると共に、前記容器内への充填量を多くできるという利点がある。
【0017】このような淡水産水草を培養基として用い、上記のように、その後の殺菌、種菌の接種、培養、発芽、及び子実体の育成を順次行えば、オガ屑を使用しないでも食用キノコを栽培できるという利点がある。しかも、栽培期間を短縮できると共に、収量も高いという利点がある。また、淡水産水草だけを培養基として栽培できるので、コストダウンを図ることもできるという利点がある。これは、淡水産水草に、食用キノコの子実体を生育及び/又は生育を促進させる物質が含まれているためだと考えられる。
【0018】なお、前記発芽や子実体の育成には従来公知の技術を利用でき、発芽させるには、例えばサジ又は菌かき機等で菌かきを行った後、13〜15℃で多湿の暗所に数日〜数週間静置等しておけばよい。また、子実体を育成するには、例えば13〜15℃、明暗12時間周期で200ルクス程度の光照射を数日〜数週間続行等すればよい。
【0019】ここで、淡水産水草に、あらかじめ米糠等の養分添加物を所定の割合で添加、混合しておけば、栽培期間をより短縮できると共に、収量もより高くできるという利点がある。なお、このような養分添加物としては、米糠の他、例えばフスマやコーンブラン(トウモロコシヌカ)等が挙げられる。
【0020】また、淡水産水草に、あらかじめオガ屑を所定の割合で添加、混合しておけば、容器内のこの淡水産水草同士の隙間にオガ屑が充填されるため、この隙間で子実体が生育するのを防止することができる。そのため、食用キノコをより効率良く栽培できるという利点がある。
【0021】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に詳細に説明するが、この発明は係る実施例に限定されるものではない。
【0022】〔前培養〕ヒラタケ菌(Pleurotus ostreatus )を試験管内の液体培地(グルコース5.0%,ポリペプトン3.0%,KH2PO40.3%)で前培養してペレット(菌塊)を得た。
【0023】〔培養基の調製〕図2に示すように、滋賀県の和邇(琵琶湖西岸)近辺の浅瀬で採取した草丈1m内外のササバモを20時間〜2日間程度、天日乾燥した後、2〜3mm程度の細片に粉砕して培養基とした。なお、この培養基の含水率を測定したところ、約65〜70%であった。次いで、この培養基約300gを300mLの広口試験瓶に充填した。
【0024】〔食用キノコの栽培〕培養基を充填した広口試験瓶をオートクレーブ中、2atm ,120℃で40分間殺菌した。次いで、あらかじめ前培養しておいた上記の種菌のペレットを培養基に接種した後、25℃で5週間培養した。その後、広口試験瓶の口まで水(水道水)を注ぎ、30分間放置した。水を捨てた後、広口試験瓶を13〜15℃の暗所に2週間静置しておくことによって発芽させた。次いで、13〜15℃、明暗12時間周期で約200ルクスの光を照射して子実体を育成した。
【0025】また、前記培養基に、あらかじめ5、10、18、25、又は32重量%の米糠を添加、混合したものについても上記と同様の操作を行った。
【0026】光照射を開始してから1週間後、子実体の重量を測定した。その結果を表1及び図4に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【比較例】培養基として上記のササバモの代わりにオガ屑を使用した以外は、実施例と同様の操作を行った。その結果を表1及び図4に示す。
【0029】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、前記培養基が淡水産水草からなるので、オガ屑を使用しないでも食用キノコを栽培できるという利点がある。そのた、資源の節約や環境保全を図ることができ、しかも栽培期間を短縮できると共に、収量も高いという利点がある。また、淡水産水草だけを培養基として栽培できるので、コストダウンを図ることもできるという利点がある。
【0030】請求項2の発明によれば、前記淡水産水草が、あらかじめ乾燥してから所定の大きさの細片に粉砕されているので、取扱いが容易であると共に、前記容器内への充填量を多くできるという利点がある。
【0031】請求項3の発明によれば、前記淡水産水草に、あらかじめ養分添加物を所定の割合で添加、混合しておくので、栽培期間をより短縮できると共に、収量もより高くできるという利点がある。
【0032】請求項4の発明によれば、前記淡水産水草に、あらかじめオガ屑を所定の割合で添加、混合しておくので、前記容器内の淡水産水草同士の隙間にオガ屑が充填される。そのため、この隙間で子実体が生育するのを防止でき、食用キノコをより効率良く栽培できるという利点がある。
【出願人】 【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
【出願日】 平成10年(1998)4月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
【公開番号】 特開平11−313539
【公開日】 平成11年(1999)11月16日
【出願番号】 特願平10−121407