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【発明の名称】 キノコの栽培に使用された廃培地の処理方法及びそれにより得られた培地材料
【発明者】 【氏名】近藤 壽英

【要約】 【課題】キノコの大規模栽培において大量に発生する廃培地の有効利用を図り、最終的に肥料や飼料として処理される量を低減することにより、廃培地がスムーズに処理できるようにする。

【解決手段】キノコの栽培において使用された廃培地1000kgを真空釜に入れ、内部温度約90℃で90分間加熱し殺菌を行った。廃培地に含まれていた水分が蒸発して500kgの培地材料が得られた。培地材料を温風乾燥機により8時間乾燥させ、含水率を10%とした。再生した培地材料と新しい培地材料を重量比で1:1の割合で混合し、適量の新鮮な水を新たに加え、混練して含水率50%の培地を得た。この培地をポットに入れ、キノコ栽培用の培地として使用した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キノコの栽培に使用された廃培地に含まれるキノコの菌や雑菌を加熱により殺菌し、水分を蒸発させて含水率を所定値まで下げるようにしたことを特徴とする、キノコの栽培に使用された廃培地の処理方法。
【請求項2】 キノコの栽培に使用された廃培地を真空釜によって加熱して廃培地に含まれるキノコの菌や雑菌を殺菌し、水分を蒸発させて含水率を所定値まで下げるようにしたことを特徴とする、キノコの栽培に使用された廃培地の処理方法。
【請求項3】 請求項1または2記載の廃培地の処理方法により得られた培地材料を単独で、または新しい培地材料と混合し、キノコ栽培用の培地として使用することを特徴とする、キノコの栽培に使用された廃培地の処理方法。
【請求項4】 請求項1または2記載の廃培地の処理方法により得られたことを特徴とする、培地材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キノコの栽培に使用された廃培地の処理方法及びそれにより得られた培地材料に関するものである。更に詳しくは、キノコの栽培を終了した後の培地(廃培地)を再度または繰り返し培地として使用できるようにした廃培地の処理方法及びそれにより得られた培地材料に関する。
【0002】
【従来技術】えのき茸やしめじ等、キノコの生産においては、ポット内に培地を入れ、この培地にキノコの菌を植えて栽培する方法が広く採用されている。この培地は、コーンコブ(とうもろこしの芯を砕いて粒状にしたもの)、おがくず、米ぬか、おから等を適宜割合で配合したもので、キノコの栽培が終了した後の廃培地は肥料や飼料として利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したような従来の方法には、次のような課題があった。すなわち、キノコの大規模栽培が行われると、廃培地が大量に発生する。この大量の廃培地は、近年においては肥料や飼料として使われるだけでは処理しきれないようになっており、また、廃培地を肥料や飼料に加工するにも多大な手間と費用がかるために、むしろ産業廃棄物として取り扱われるようになってきた。
【0004】本発明は上記課題を解消するもので、キノコの大規模栽培において大量に発生する廃培地を、再度または繰り返し培地として使用できるようにして有効利用を図り、最終的に肥料や飼料として処理される量を低減することにより、廃培地がスムーズに処理できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。第1の発明にあっては、キノコの栽培に使用された廃培地に含まれるキノコの菌や雑菌を加熱により殺菌し、水分を蒸発させて含水率を所定値まで下げるようにしたことを特徴とする、キノコの栽培に使用された廃培地の処理方法である。
【0006】第2の発明にあっては、キノコの栽培に使用された廃培地を真空釜によって加熱して、廃培地に含まれるキノコの菌や雑菌を殺菌し、水分を蒸発させて含水率を所定値まで下げるようにしたことを特徴とする、キノコの栽培に使用された廃培地の処理方法である。
【0007】第3の発明にあっては、第1または第2の発明に係る廃培地の処理方法により得られた培地材料を単独で、または新しい培地材料と混合し、キノコ栽培用の培地として使用することを特徴とする、キノコの栽培に使用された廃培地の処理方法である。
【0008】第4の発明にあっては、第1または第2の発明に係る廃培地の処理方法により得られたことを特徴とする、培地材料である。
【0009】本発明の「加熱」を行う手段としては、真空釜や温風乾燥機等の加熱機を使用する手段の他、天日乾燥のように特に機械を使わない手段も含まれる。
【0010】上記したような、コーンコブ、おがくず、米ぬか、おから等を適宜割合で配合した培地材料は、当初は材料そのままの水分を含んでおり、その含水率は10%程度である。この材料で培地をつくる場合は、これに水を加え、含水率を50〜80%とし、更に混練して培地としている。
【0011】すなわち、本発明の処理方法の対象となる廃培地の含水率も50〜80%であるが、再度または繰り返し培地として使用するには、一度乾燥しすぎない程度の含水率、例えば10%程度までに戻し、これに新たに新鮮な水を加え、混練するのが望ましい。従って、本発明に係る処理方法では、通常は、真空釜等を使用して廃培地を加熱することにより、あるいは更に天日乾燥、温風乾燥等を併用することにより、含水率を10%程度に下げるようにしているが、含水率はこの値に限定するものではなく、適宜調整されるものである。
【0012】(作用)本発明に係る処理方法によれば、廃培地を真空釜等を使用して所要時間加熱することにより、あるいは更に天日乾燥、温風乾燥等を併用することにより、廃培地に含まれるキノコの菌や雑菌が殺菌される。また、培地に含まれる水分が蒸発し、含水率が、例えば10%程度まで下げられる。これにより、廃培地は、水を加えて混練する前の培地材料の状態に戻り、再度新鮮な水を加えて混練することにより、培地としての使用が可能となる。
【0013】また、再生した培地材料は、単独で、または新しい培地材料と混合し、キノコ栽培用の培地として使用することができるので、キノコの大規模栽培において大量に発生する廃培地を再度または繰り返し培地として有効に利用することが可能になる。従って、最終的に肥料や飼料として処理される量を低減でき、廃培地の処理をスムーズに行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る廃培地の処理方法を詳細に説明する。
【0015】
【実施例1】キノコの栽培において使用された廃培地1000kgを釜に入れ、釜の内部温度約90℃で三時間加熱した。これにより、廃培地に含まれていた水分が蒸発し、500kgの培地材料が得られた。この培地材料を、更に温風乾燥機により8時間乾燥させた。培地材料の含水率は、最終的には10%になった。また、廃培地にはキノコの菌が測定不能な程含まれていたが、加熱後はほとんど認められなかった。
【0016】再生した上記培地材料に、新しい培地材料を重量比で1:1の割合で混合し、適量の新鮮な水を新たに加え、更に混練して含水率50%の培地を得た(なお、再生した培地材料単独で培地をつくった後、新しい培地と所要割合で混合することもできる)。この培地をポットに入れ、キノコの菌を植えて、最初に栽培したときと同様の条件でキノコの栽培を行ったところ、同等の品質のキノコをほぼ同量収穫することができた。この結果により、本発明に係る処理方法によって、キノコの栽培に使用された廃培地が再度培地として使用できることがわかった。
【0017】
【実施例2】キノコの栽培において使用された廃培地1000kgを真空釜に入れ、真空釜の内部温度約90℃で90分間加熱した。これにより、廃培地に含まれていた水分が蒸発し、500kgの培地材料が得られた。この培地材料を、更に温風乾燥機により8時間乾燥させた。培地材料の含水率は、最終的には10%になった。また、廃培地にはキノコの菌が測定不能な程含まれていたが、加熱後はほとんど認められなかった。そして、できた培地材料に適量の新鮮な水を新たに加え、更に混練して含水率80%の培地を得た。
【0018】この再生した培地をポットに入れ、キノコの菌を植えて、最初に栽培したときと同様の条件でキノコの栽培を行ったところ、同等の品質のキノコをほぼ同量収穫することができた。この結果により、本発明に係る処理方法によって、キノコの栽培に使用された廃培地が、上記実施例1のように処理後に新しい培地と混ぜなくても、再度培地として使用できることがわかった。更に、真空釜を使用することによって、より短い時間で上記実施例1と同等の培地材料が得られることがわかった。
【0019】
【実施例3】上記実施例2で再生し、キノコの栽培において使用された廃培地1000kgを真空釜に入れ、真空釜の内部温度約90℃で90分間加熱した。これにより、廃培地に含まれていた水分が蒸発し、500kgの培地材料が得られた。この培地材料を、更に温風乾燥機により8時間乾燥させた。培地材料の含水率は、最終的には10%になった。また、廃培地にはキノコの菌が測定不能な程含まれていたが、加熱後はほとんど認められなかった。そして、できた培地材料に適量の新鮮な水を新たに加え、更に混練して含水率80%の培地を得た。
【0020】この再再生した培地をポットに入れ、キノコの菌を植えて、最初に栽培したときと同様の条件でキノコの栽培を行ったところ、同等の品質のキノコをほぼ同量収穫することができた。この結果により、本発明に係る処理方法によって、キノコの栽培に使用された廃培地が、二度以上繰り返し使用できることがわかった。
【0021】なお、本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。
【0022】
【発明の効果】本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明に係る処理方法によれば、廃培地を真空釜等を使用して所要時間加熱することにより、あるいは更に天日乾燥、温風乾燥等を併用することにより、廃培地に含まれるキノコの菌や雑菌が殺菌される。また、培地に含まれる水分が蒸発し、含水率が、例えば10%程度まで下げられる。これにより、廃培地は、水を加えて混練する前の培地材料の状態に戻り、再度新鮮な水を加えて混練することにより、培地としての使用が可能となる。
【0023】(b)再生した培地材料は、単独で、または新しい培地材料と混合し、キノコ栽培用の培地として使用することができるので、キノコの大規模栽培において大量に発生する廃培地を再度または繰り返し培地として有効に利用することが可能になる。従って、最終的に肥料や飼料として処理される量を低減でき、廃培地の処理をスムーズに行うことができる。
【出願人】 【識別番号】596052706
【氏名又は名称】近藤 壽英
【識別番号】395000979
【氏名又は名称】白津 宜介
【識別番号】598055389
【氏名又は名称】吉田 宏
【出願日】 平成10年(1998)4月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 克彦
【公開番号】 特開平11−299348
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−115484