| 【発明の名称】 |
海苔網 |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 勉
【氏名】増田 豊彦
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| 【要約】 |
【課題】網地の最外周または最外周と次外周部分および身網部分における海苔芽の付着性および成育性がすぐれると共に、屈曲疲労性および網地強力が高くて、特に波浪条件の厳しい場所で使用する場合の耐久性がすぐれ、しかも網地の乾燥性および汚れ付着防止性が良好な海苔網を提供する。
【解決手段】本発明の海苔網は、結節形態が蛙又結節の網地となるように仕上げた海苔網であって、最外周または最外周と次外周部分に、屈曲疲労性が100回以上、結節強度が4g/d以上、単糸繊度が50〜1000デニールの原糸を少なくとも50重量%含有する撚糸または混撚糸からなる網糸を用いたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 結節形態が蛙又結節の網地となるように仕上げた海苔網であって、最外周または最外周と次外周部分に、屈曲疲労性が100回以上、結節強度が4g/d以上、単糸繊度が50〜1000デニールの原糸を少なくとも50重量%含有する撚糸または混撚糸からなる網糸を用いたことを特徴とする海苔網。 【請求項2】 前記原糸のウイルヘルミ法で測定した水との接触角が70度以下であることを特徴とする請求項1に記載の海苔網。 【請求項3】 前記原糸がポリエーテルエステルアミドを0.2〜30重量%含有する合成樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の海苔網。 【請求項4】 前記原糸がポリエーテルエステルアミドを0.2〜30重量%含有するポリアミドからなることを特徴とするである請求項1〜3のいずれか1項に記載の海苔網。 【請求項5】 前記原糸の表面に、幅30μ以下の凹部が繊維軸方向に、繊維長1cm当たり5個以上形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の海苔網。 【請求項6】 前記網糸が前記原糸のみからなる撚糸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の海苔網。 【請求項7】 前記網糸が前記原糸50重量%以上と、単糸繊度50デニール以下のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維およびポリエチレン繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維50重量%以下とからなる混撚糸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の海苔網。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は海苔やモズクの養殖に使用する網地に関し,特に波浪条件の厳しい場所で使用する浮き流し式の海苔網に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の海苔網用の繊維としては、ポリビニルアルコール繊維が広く用いられている。すなわち、ポリビニルアルコール繊維は、海苔などの海草類の付着性がすぐれているため、特に網地の強度をさほど必要としない、有明海に代表されるような波浪条件の穏やかな湾内での使用は、ポリビニルアルコール繊維をステープル化し、撚糸にしたポリビニルアルコール繊維100%使いの網地が主体に使用されている。 【0003】しかし、波浪条件が厳しく、網地やロープに大きな力のかかる浮き流し式においては、ポリビニルアルコール繊維のみでは強度が不足するため、ポリビニルアルコール繊維より強度の高いポリアミド繊維やポリエステル繊維と、ポリビニルアルコール繊維とを交撚した交燃糸が使用されている。また、この場合には、強度の他に、網地の乾燥性や汚れ防止性などの必要性から、単糸繊度の大きい原糸を使用することが必要であり、この点からポリビニルアルコール繊維のモノフィラメント(ビニロンモノフィラメント)が使用されている。 【0004】しかるに、網糸に使用される繊維の全てを単糸繊度の大きいモノフィラメントにすると、汚れ防止性はさらによくなるが、乾燥性が進みすぎて海苔の芽焼けが発生し、芽落ちが起こるという問題があった。したがって、現行ではポリビニルアルコール繊維についてはモノフィラメントとして使用し、交撚する他の繊維については単糸繊度が6〜40デニール程度のマルチフィラメント糸として使用している。 【0005】しかしながら、ビニロンモノフィラメントは、引張強力は強いが、結節強力が弱く、特に屈曲疲労性に劣るものである。そこで、従来の海苔網では、網地の最外周部または再外周部と次外周部の網糸について、他の身網部分よりも原糸の使用量を多くし、網糸直径を大きくすることにより強度アップを図っているが、それでもなおビニロンモノフィラメントは素材的に脆いため、1〜2期(3〜6ケ月)の使用で単糸が切断してしまうという問題点があった。 【0006】また、屈曲疲労性のすぐれているポリアミド繊維やポリエステル繊維の網糸中への交撚率を増加させて、ビニロンモノフィラメントの使用量を減らすことによって、海苔網の耐久性向上を図ることも試みられているが、ポリアミド繊維やポリエステル繊維の交撚率を向上すると海苔芽の付着性が低下し、海苔の収量が大きく減少するという問題があった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。 【0008】したがって、本発明の目的は、網地の最外周または最外周と次外周部分および身網部分における海苔芽の付着性および成育性がすぐれると共に、屈曲疲労性および網地強力が高くて、特に波浪条件の厳しい場所で使用する場合の耐久性がすぐれ、しかも網地の乾燥性および汚れ付着防止性が良好な海苔網を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の海苔網は、結節形態が蛙又結節の網地となるように仕上げた海苔網であって、最外周または最外周と次外周部分に、屈曲疲労性が100回以上、結節強度が4g/d以上、単糸繊度が50〜1000デニールの原糸を少なくとも50重量%含有する撚糸または混撚糸からなる網糸を用いたことを特徴とする。 【0010】なお、本発明の海苔網においては、原糸のウイルヘルミ法で測定した水との接触角が70度以下であること、原糸がポリエーテルエステルアミドを0.2〜30重量%含有する合成樹脂、特にポリアミドからなること、原糸の表面に、幅30μ以下の凹部が繊維軸方向に、繊維長1cm当たり5個以上形成されていること、網糸が前記原糸のみからなる撚糸であること、および網糸が前記原糸50重量%以上と、単糸繊度50デニール以下のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維およびポリエチレン繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維50重量%以下とからなる混撚糸であることが好ましい条件であり、これらの条件を適用することによって、さらにすぐれた効果の取得を期待することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に本発明の海苔網について詳細に説明する。 【0012】まず、本発明の海苔網の構造を図面にしたがって説明する。 【0013】図1は、本発明の海苔網を耳糸ロープに取り付けた状態を示す概略説明図である。 【0014】本発明において、結節形態が蛙又結節の網地とは、通常の蛙又編網機などを用いて編網した網地を意味し、これはリング撚糸機などで撚糸した撚糸を原糸として用いて編網することにより得られるため、網地の生産性が高く、結節がずれないなどの特徴がある。 【0015】そして、この蛙又結節網は、図1に示したように、最外周の網糸aが耳糸ロープcに結節もしくはミシン縫いで固定され、水面に水平に保持されることによって、海苔網として使用される。また、耳糸ロープcは、海底にアンカーで固定され、潮の干満に対応していつでも張力が掛かった状態になるように浮子を介している。 【0016】したがって、耳糸ロープcは波の影響をあまり受けないが、耳糸ロープcに固定された海苔網は波の影響を受けて上下に揺れることになる。このために、耳糸ロープcに固定されている最外周の網糸aが最も曲げ疲労を受けやすく、次いで次外周の網糸bが曲げ疲労を受けやすいため、現行で使用されているビニロンモノフィラメントは1〜2シーズンの使用で切断することになる。そして、屈曲疲労性は繊維の単糸繊度を大きくすることによって多少改善できるが、繊維素材の影響が大きいため、ビニロンモノフィラメントは単糸繊度を大きくしてもあまり効果がない。 【0017】そこで、本発明の海苔網は、蛙又結節網の最外周または最外周と次外周部分に、屈曲疲労性が100回以上、結節強度が4g/d以上、単糸繊度が50〜1000デニールの原糸を少なくとも50重量%含有する撚糸または混撚糸からなる網糸を用いることによって、網地の耐久性を大幅に改善したことを特徴としている。 【0018】ここで、屈曲疲労性は特に繊維のヤング率に関係し、ヤング率が高い繊維は剛く、ヤング率が高くなるほど屈曲疲労性が劣る傾向となる。したがって、本発明の原糸素材としては、ヤング率の低いポリアミド繊維などが好ましい。 【0019】本発明でいう原糸の屈曲疲労性は、東洋精機製のMIT屈曲疲労試験機を用い、JIS P−8115に準じて測定した値である。すなわち、繊維1g/d当たり1gの荷重を加えた状態で、速度:180回/分、振れ角度:約270度(左右に各135度)、繊維を挟む折り曲げコマの左右の折り曲げ面の曲率半径:各々0.38±0.03mmの条件で、繊維が切断するまでの折り曲げ回数を測定して表したものである。 【0020】この屈曲疲労性試験方法は、網地が使用されている実用状態と類似しており、ビニロンモノフィラメントの場合は5〜10回程度で切断することになる。実際の網地使用では1〜2シーズン(3〜6ケ月程度)で切断することから、より耐久性を向上するためには、安全性を考慮して100回以上の屈曲に耐えることが好ましい。 【0021】また、本発明で使用する屈曲疲労性が100回以上の原糸の単糸繊度は、50〜1000デニール、特に200〜550デニールの範囲にあることが好ましい。単糸繊度が50デニールよりも小さい原糸の場合は、使用中に海水中に含まれる汚れが付着しやすいばかりか、網糸の乾燥性が悪くなり、単糸繊度が1000デニールを越える原糸の場合は、繊維が硬くなり、編網時に結節が締まりにくくなるため好ましくない。 【0022】なお、上記した屈曲疲労性の他に、原糸の結節強度が低い場合にも、網地破れが発生する。すなわち、屈曲疲労性が低いと原糸の部分的な切断を招き、この切断が進むと原糸が網糸から脱落し、序々に網糸全体の強力が低下して破れに至るが、原糸の結節強度が低い場合は、例えば網地を引っ掛けた場合などに即座に網地の破れを発生する原因を招くことになる。そして、蛙又結節網においては、原糸の引張強力よりも結節強力が重要な特性となる。 【0023】原糸の結節強度は、素材ポリマーの特性、原糸の製糸条件、および単糸繊度などによって異なるが、網地が破れにくい特性を備えるための原糸の結節強度としては、4g/d以上であることが必要である。通常のビニロンモノフィラメントの結節強度は1.5〜2g/dであり、ポリアミドモノフィラメント糸は4〜5g/dであることから、結節強度の点からもポリアミド繊維の使用がすぐれている。 【0024】本発明に用いられる原糸は、上記屈曲疲労性、単糸繊度および結節強度を満たすと共に、さらにウイルヘルミ法により測定した水との接触角が70度以下、特に60度以下であることが好ましい。この接触角の低い原糸は、吸湿性が高く、海苔胞子の付着性がすぐれるという特性を備えるからである。 【0025】本発明でいう水との接触角とは、単糸を液中に入れたり、液中から引き出す時に、表面張力(σ)によって単糸に働く力を(F)、繊維の直径を(d)、接触角を(θ)とした場合に、式F=πdσcosθにより導かれる値である。つまり、マイクロ天秤で単糸を液中に入れたり引き出す時の抵抗(F)を求めて、接触角(θ)を算出するウイルヘルミ法により導かれる値である。 【0026】ウイルヘルミ法接触角は、サンプル(単糸)を液中に入れる時の表面張力から求めた前進接触角と、液中から引き出す時の表面張力から求めた後退接触角があり、本発明の接触角は前進接触角で示すものである。また、接触角はプレートの表面にマイクロシリンダーで水滴(イオン交換水)を付着させて、エルマ光学(株)のゴニオメーターで角度を読み取る方法でも測定することができ、ウイルヘルミ法の前進接触角70度は、水滴法の65度に相当するが、特に単糸直径が小さい場合には水滴法では測定しにくいため、ウイルヘルミ法を用いることが好ましい。 【0027】原糸の接触角が70度より大きい場合は、例え原糸の表面に凹凸があったとしても、付着した海苔胞子などが脱落しやすい傾向となるため好ましくない。 【0028】かかる水との接触角が70度以下の原糸を得る方法としては、種々の方法が挙げられる。例えば特公平7−8188号公報に記載されるように、吸湿性を向上して接触角を低下させるような物質で後加工する方法や、例えば特公昭59−53007号公報および特開昭58−193633号公報に記載されるように、吸湿性の高い物質をポリマーの中に練り込んで一緒に紡糸する方法などにより得られた繊維を素材としてもよい。ただし、吸湿性の高い物質をポリマー中に練り込む際は、練り込まれる吸湿性の高い物質が着色していないこと、また練り込んだ後の繊維が着色していないことが必要である。繊維が着色していると、海苔などの胞子の付着作業時に付着状態を判定する際に胞子が見にくく、適度な数を付着させにくくくなるため好ましくない。 【0029】さらに、吸湿性の高いものを練り込む場合には、原糸の強力を低下しにくくするため、練り込まれる吸湿性の高い物質として少量の練り込み率で効果を発揮するものを選択することが望ましい。 【0030】少量の練り込み率で水との接触角を大きく低下させ、しかも紡糸時および紡糸後に着色しにくいものとしては、なかでもポリエーテルエステルアミドの使用が好ましい。 【0031】ポリエーテルエステルアミドとは、同一分子鎖内にエーテル結合、エステル結合およびアミノ結合を有するブロック共重合体であり、さらに詳しくはラクタム、アミノカルボン酸およびジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれる1種もしくは2種以上のポリアミド形成性成分(A)、およびジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコールから成るポリエーテルエステル形成性成分(B)を重縮合反応させて得られるブロック共重合体ポリマーである。 【0032】このポリエーテルエステルアミドの原糸形成ポリマーに対する練り込み率は0.2〜30重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である。 【0033】吸湿性の高いもの、例えばポリエーテルエステルアミドを練り込む原糸のベースポリマーとしては、紡糸後の強力が高いポリアミドが好ましく、特にナイロン6やナイロン66、ナイロン6とナイロン66を共重合した共重合体などが好ましく使用されるが、とりわけ原糸の強力が高く柔軟性を兼ね備える点で、ナイロン6の共重合比率を3〜10重量%としたナイロン6とナイロン66の共重合体の使用が最も好ましい。 【0034】本発明の原糸は、例えばポリエーテルエステルアミドをポリアミドに添加したマスターバッチを用い、エクストルーザー紡糸機でさらにポリアミドと一緒に練り込むことからなる公知の方法で得ることができるが、他の方法であってもかまわない。 【0035】本発明に用いられる原糸は、上記屈曲疲労性、単糸繊度、結節強度および水との接触角の各条件を満たすと共に、さらに表面に凹凸があるという条件を満たすことが好ましく、これによって海苔胞子の付着性を一層高めることができる。 【0036】すなわち、海苔胞子は5〜15μ程度の大きさであるため、原糸の表面に大きさが30μ以下の凹部、より好ましくは5〜10μ程度の凹部を多数形成することによって、この表面に付着した海苔胞子の脱落を防止して、その成育性を高めることが可能となるのである。 【0037】原糸表面に形成する凹部の形は、幅が均一であってもよいし、深さ方向や長さ方向で異なっていても構わない。凹部は繊維軸方向に連続して長いものでも良いし、短くても構わない。ただし、最も広い部分が30μ以下であることが重要であるこの凹部は繊維軸方向に、繊維長1cm当たり5個以上形成されていることが望ましく、互いに隣り合う凹部の間隔が小さいほどより好ましい効果が得られる。この凹部の数は電子顕微鏡で確認することができる。また、凹部の深さは特に規定するものでない。 【0038】原糸の表面に凹部を形成する方法としては、水または液体中に浸漬することによって簡単に溶出するようなものを原糸に練り込んおき、紡糸後に水または特定の液体に浸漬して溶出させる方法、例えばポリアミドモノフィラメントの場合に透明性を向上するための結晶抑制剤として通常用いているエチレンビスフタルアミドを添加しない方法などが挙げられ、特に限定するものではない。 【0039】これらの原糸は、蛙又結節網地の最外周または最外周と次外周の部分に使用される網糸の50重量%以上を占めることが重要である。すなわち、従来の海苔網では、屈曲疲労性が低いビニロンモノフィラメントの交撚率を50重量%以下程度におさえ、屈曲疲労性の高いポリアミドマルチフィラメントを50重量%以上用いていたため、網地の最外周および次外周部分における海苔の収量が少なかった。しかし、本発明の海苔網においては、上記の原糸を50重量%以上含む網糸を網地の最外周または最外周と次外周の部分に使用しているため、屈曲疲労性、海苔芽の付着性、結節強度が高いため、糸切れ、網地の破れを招くことがなく、網地の最外周または最外周と次外周の部分における海苔の収量も網地の他の部分、すなわち身網部分と同一である。 【0040】なお、上記原糸は、この原糸のみからなる撚糸で網糸を構成してもよいが、単糸繊度が50デニール以下の強度の高い原糸50重量%以下と交撚した交燃糸で網糸を構成することもでき、交燃糸を構成する単糸繊度が50デニール以下の強度の高い原糸としては、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維およびポリエチレン繊維から選ばれた少なくとも1種のマルチフィラメント、なかでも柔軟で強度の高いポリアミドマルチフィラメントが最も好ましいく使用される。 【0041】また、本発明の海苔網における身網部分は、海苔芽の付着性がすぐれたビニロンモノフィラメントおよび/またはビニロンマルチフィラメントが使用されるが、網糸強度、比重、乾燥性、および海苔芽の適度な付着性などを調節するために、この身網部分を形成する網糸に対し、上記原糸や、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維およびポリエチレン繊維から選ばれた少なくとも1種を交撚して用いてもよい。 【0042】かくして、最外周または最外周と次外周部分に、屈曲疲労性が100回以上、結節強度が4g/d以上、単糸繊度が50〜1000デニールの原糸を少なくとも50重量%含有する撚糸または混撚糸からなる網糸を用い、結節形態が蛙又結節の網地となるように仕上げた本発明の海苔網は、網地の最外周または最外周と次外周部分および身網部分におけるに海苔芽の付着性および成育性がすぐれると共に、屈曲疲労性および網地強力が高くて耐久性がすぐれ、しかも網地の乾燥性および汚れ付着防止性が良好であるというすぐれた特性を有するものであり、これらの特性を生かして、特に波浪条件の厳しい場所に設置する海苔やモズクなどの養殖用網として好ましく使用することができる。 【0043】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本実施例中の各評価特性は次の方法により測定した。 【0044】[網糸繊度]長さ1mの網糸の重量から求めた。 【0045】[網糸直径]中山電気工業(株)製の圧縮弾性試験機を用いて初加重100g/cm2 の条件で測定した[屈曲疲労性]東洋精機製のMIT屈曲疲労試験機を用い、JIS P−8115に準じて測定した。すなわち、繊維1g/d当たり1gの荷重を加えた状態で、速度:180回/分、振れ角度:約270度(左右に各135度)、繊維を挟む折り曲げコマの左右の折り曲げ面の曲率半径:各々0.38±0.03mmの条件で、繊維が切断するまでの折り曲げ回数を測定した。 【0046】[網糸強力]JIS−Ll034に準じて、蛙又結節部をサンブルの中央部分に含んだ状態で試験した。 【0047】[海苔芽の付着性]17℃の人工海水中に種貝を入れ、胞子が放出された状態で一定時間サンプルを浸漬し、顕微鏡で倍率100倍時に1視野に付着している胞子の数を数えて表した。 【0048】[網糸の汚れ]海水1リットル中にJIS Z−8901の試験用ダストに規定される11種のダスト50gを入れてよく撹拌し、この液中に網糸を1分間浸漬した後風乾し、スガ試験機(株)製のSMカラーコンピューターで明度(L値)を測定したもので、数値が大きいほど明度が高く、汚れにくいことを示す。 【0049】[乾燥後含水率]長さ1mに切った網脚を24時間水中に浸漬し、標準状態に温度湿度調節された雰囲気内でサンプルを取り出して垂直に吊り下げ、30分経過時の含水率で示した。含水率は次式で示す。含水率=湿潤後の重量−乾重量/乾重量×100(%)…含水率が高いほど乾燥時間が長いことを示す。 【0050】[実施例1]ナイロン6とナイロン66の共重合重量比が95:5のナイロン6/66共重合体に対し、ポリエーテルエステルアミドを4重量%含有させたポリマー素材からなり、水との接触角が67度、単糸繊度が440デニール、結節強度が5.1g/d、屈曲疲労回数が2274回、繊維表面の30μ以下の凹部が繊維軸方向に、繊維長1cm当たり100個以上であるモノフィラメント原糸9本と、450デニールで15フィラメント(単糸繊度30デニール)のナイロン6マルチフィラメント糸6本とを、リング撚糸機で下撚係数K=1700で下撚した後、下撚数の0.5の上撚比率で上撚を掛けることにより、3子撚の網糸を得た。この網糸を東洋工業(株)製の蛙又編網機を用いて、最外周および次外周部分に配し、身網部分としては450デニール、15フィラメントのナイロン6マルチフィラメント糸と、単糸繊度500デニールのビニロンモノフィラメント糸を用いて、目合30cmで編網し、60℃の湯中で定長で3分間セットした後風乾することにより、結節形態が蛙又結節の網地を製造した。 【0051】最外周および次外周部分における単糸繊度が440デニールのモノフィラメント原糸の交撚率は60.0重量%であった。この蛙又結節網について各種性能を評価した結果を表1に示す。 【0052】[実施例2]実施例1で使用した単糸繊度が440デニールから成るモノフィラメント原糸10本と、単糸繊度30デニールのナイロン6マルチフィラメント糸5本とを、実施例1と同様に撚糸した網糸を最外周および次外周部分に配し、身網部分としては450デニール、15フィラメントのナイロン6マルチフィラメント糸と、単糸繊度500デニールのビニロンモノフィラメント糸を用いて、実施例1と同様に編網、セット、風乾することにより、結節形態が蛙又結節の網地を製造した。 【0053】最外周および次外周部分における単糸繊度が440デニールのモノフィラメント原糸の交撚率は66.2重量%であった。この蛙又結節網について各種性能を評価した結果を表1に示す。 【0054】[実施例3]実施例1で使用した単糸繊度が440デニールから成るモノフィラメント原糸11本と、単糸繊度30デニールのナイロン6マルチフィラメント糸4本とを、実施例1と同様に撚糸した網糸を最外周および次外周部分に配し、身網部分としては450デニール、15フィラメントのナイロン6マルチフィラメント糸と、単糸繊度500デニールのビニロンモノフィラメント糸を用いて、実施例1と同様に編網、セット、風乾することにより、結節形態が蛙又結節の網地を製造した。 【0055】最外周および次外周部分における単糸繊度が440デニールのモノフィラメント原糸の交撚率は72.9重量%であった。この蛙又結節網について各種性能を評価した結果を表1に示す。 【0056】[実施例4]実施例1で使用した単糸繊度が440デニールから成るモノフィラメント糸8本と、単糸繊度30デニールのナイロン6マルチフィラメント糸3本とを、実施例1と同様に撚糸した網糸を最外周および次外周部分に配し、身網部分としては450デニール、15フィラメントのナイロン6マルチフィラメント糸と、単糸繊度500デニールのビニロンモノフィラメント糸を用いて、実施例1と同様に編網、セット、風乾することにより、結節形態が蛙又結節の網地を製造した。 【0057】最外周および次外周部分における単糸繊度が440デニールのモノフィラメント原糸の交撚率は72.3重量%であった。この蛙又結節網について各種性能を評価した結果を表1に示す。 【0058】[比較例1]単糸繊度が500デニール、結節強度が1.7g/d、屈曲疲労回数が8回のビニロンモノフィラメントを原糸として用い、このビニロンモノフィラメント6本と、実施例1で使用した単糸繊度が30デニールのナイロン6マルチフィラメント糸7本とを、実施例1と同様に撚糸した網糸を最外周および次外周部分に配し、身網部分としては450デニール、15フィラメントのナイロン6マルチフィラメント糸と、単糸繊度500デニールのビニロンモノフィラメント糸を用いて、実施例1と同様に編網、セット、風乾することにより、結節形態が蛙又結節の網地を製造した。 【0059】最外周および次外周部分における単糸繊度が500デニールのビニロンモノフィラメントの交撚率は48.8重量%であった。この蛙又結節網について各種性能を評価した結果を表1に示す。 【0060】[比較例2]比較例1で使用した単糸繊度が500デニールのビニロンモノフィラメント8本と、実施例1で使用した単糸繊度が30デニールのナイロン6マルチフィラメント糸3本とを、実施例1と同様に撚糸した網糸を最外周および次外周部分に配し、身網部分としては450デニール、15フィラメントのナイロン6マルチフィラメント糸と、単糸繊度500デニールのビニロンモノフィラメント糸を用いて、実施例1と同様に編網、セット、風乾することにより、結節形態が蛙又結節の網地を製造した。 【0061】最外周および次外周部分における単糸繊度が500デニールのビニロンモノフィラメントの交撚率は59.7重量%であった。この蛙又結節網について各種性能を評価した結果を表1に示す。 【0062】なお、実施例中、撚糸時の下撚係数Kは次式によって求めた。 【0063】 【数1】
T:10cm当たりの下撚数D:下撚時の合糸繊度【表1】
表1の結果から明らかなように、本発明の海苔網(実施例1〜4)は、ビニロンモノフィラメントを原糸として用いた撚糸を最外周および次外周部分に配した海苔網(比較例1、2)に比べて、網糸の屈曲疲労性が大幅にすぐれている。 【0064】なお、比較例1、2の海苔網においては、ビニロンモノフィラメントが切断する回数はビニロンモノフィラメント原糸の状態で試験した回数(10回以下)より多いが、これは原糸がナイロンマルチフィラメントとと交撚されているため、屈曲試験時に応力が分散してビニロンモノフィラメントにかかる応力が小さくなったためと考えられる。 【0065】また、実施例1〜4の海苔網は蛙又結節強力も高い。これは原糸の結節強度が高いためである。また水分率が小さく、乾燥しやすい。海苔芽の付着数については、実施例および比較例にあまり差がないが、実施例のものはL値が低くて汚れが付着しにくい。しかも、実施例4の海苔網は、比較例1、2の海苔網よりも繊度が小さく、網糸直径も小さいにもかかわらず、各特性が均衡してすぐれている。 【0066】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の海苔網は、網地の最外周または最外周と次外周部分および身網部分におけるに海苔芽の付着性および成育性がすぐれると共に、屈曲疲労性および網地強力が高くて耐久性がすぐれ、しかも網地の乾燥性および汚れ付着防止性が良好であるというすぐれた特性を有するものであり、これらの特性を生かして、特に波浪条件の厳しい場所に設置する海苔やモズクなどの養殖用網として好ましく使用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社 【識別番号】000219288 【氏名又は名称】東レ・モノフィラメント株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】香川 幹雄
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| 【公開番号】 |
特開平11−262338 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月28日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−66425 |
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