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【発明の名称】 藻類増殖方法
【発明者】 【氏名】鷲見 育亮

【要約】 【課題】藻類の増殖率を高くする増殖方法を提供する。

【解決手段】藻類の培養液6を水槽5内に収納する第1段階と、前記培養液6に対し光源12にて光を照射する第2段階とを備え、前記第1段階に於て、前記藻類の初期濃度を1cc当たり2000万個以下に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 藻類の培養液を水槽内に収納する第1段階と、前記培養液に対し光源にて光を照射する第2段階とを備え、前記第1段階に於て、前記藻類の初期濃度を1cc当たり2000万個以下に設けることを特徴とする藻類増殖方法。
【請求項2】 藻類の培養液を水槽内に収納する第1段階と、前記培養液に対し光源にて光を照射する第2段階と、照射後の培養液を複数個に分割し希釈する第3段階と、希釈された培養液に対し前記光源にて光を照射する第4段階とを備えたことを特徴とする藻類増殖方法。
【請求項3】 前記藻類はクロレラであることを特徴とする請求項1又は請求項2の藻類増殖方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は藻類を培養し、増殖する藻類増殖方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の方法は例えば、本出願人により特願平9−258566号にて出願されている。この出願によると、藻類の培養液を水槽内に収納し、培養液に対し、光源にて光を照射し、藻類の増殖を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この方法に従い、藻類の増殖特性を図10に示す。図10に於て、横軸は、増殖を開始してからの経過日であり、縦軸は藻類(例えばクロレラ)の濃度(×104個/cc)を示す。実験条件は図2に於ける、G−1とG−2とG−3に示す様に、光源として、複数の発光ダイオード(660nmの発光色を呈す)をパネルに並べた。また、培養液への栄養源(栄養塩基)として、図3に示す3通りの物を使用した。
【0004】図10から判る様に、7日後の増殖率はG−1が2.0倍、G−2が2.0倍G−3が1.4倍と、大変低い。この様に増殖率が低い事が従来方法の欠点である。故に本発明はこの様な従来の欠点を考慮して、藻類の増殖率を高くする増殖方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために第1の本発明は、藻類の培養液を水槽内に収納する第1段階と、培養液に対し光源にて光を照射する第2段階とを備え、第1段階に於て、藻類の初期濃度を1ccあたり2000万個以下に設けるものである。
【0006】第2の本発明は、藻類の培養液を水槽内に収納する第1段階と、培養液に対し光源にて光を照射する第2段階と、照射後の培養液を複数個に分割し希釈する第3段階と、希釈された培養液に対し光源にて光を照射する第4段階とを備えるものである。
【0007】望ましくは、藻類はクロレラであるものとする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態1に係る藻類増殖方法を、まず図1の増殖装置に従い説明する。図1に於て、ケーシング1は例えば金属板から成り、略箱体に形成されている。ケーシング1の下部に吸気口2が設けられ、上部に排気口3が設けられ、ケーシング1の内部にファン4が設けられている。例えばファン4の出力を調節する事により、吸気口2とファン4と排気口3から吐出される外気量を調節し、ケーシング1内の温度を略一定に維持している。
【0009】水槽5は例えば三角フラスコから成り、容積5リットルのものであり、例えば4リットルの培養液(藻類が入っている)6が収納される。水槽5内に、管7が挿入され、管7の先端は培養液6内に入っている。管7の他端はチューブ8と、フィルタ9と、フィルタ10を介してポンプ11に接続されている。そしてポンプ11を運転する事により、空気中の二酸化炭素を培養液6内に供給している。
【0010】光源12は例えば、縦190mm、横145mmの基板に320個の発光ダイオードを配置した面状パネルである。高輝度赤色(発光波長660nm)を放射する320個の発光ダイオードを配置した第1面状パネルを準備した。そして青色(発光波長450nm)を放射する320個の発光ダイオードを配置した第2面状パネルを準備した。
【0011】またケーシング1は、藻類(クロレラ等)に余計な光が当らない様に暗室とした。培養液6を入れた水槽5に対して効率よく、かつ均等な強度で照射するために、水槽5(三角フラスコ)の傾斜に沿って、光源12を配置している。これらの部品により、増殖装置13が構成されている。
【0012】次に本発明の実施の形態1に係る増殖方法を図1ないし図4に従い説明する。図2は本発明の実施一覧表、図3は本発明の栄養塩成分表、図4は形態1に於ける藻類の増殖特性を示す。
【0013】実験番号A−1につき、培養液6は、滅菌海水にNaNO3、チアミンなど所定の成分を含んだ培地と、NaHCO3と水とを各々所定分量混合し、ナンノクロロプシス(クロレラの供試藻)を初期濃度250万個/ccの割合で混合したものである。
【0014】実験番号A−2とA−3につき、培養液6は、各々、ナンノクロロプシスを各々初期濃度206万個/cc、496万個/ccを混合したものであり、その他の成分はA−1のものと同じである。この様に、本発明の特徴は、第1段階として、藻類の初期濃度を1cc当たり2000万個/cc以下に設ける事である。従来方法では初期濃度が2116万個/ccであった。
【0015】そして図1と図2のAに示す様に第1段階は、藻類の培養液6を水槽5内に収納する。ポンプ11から水槽5内に供給される空気量(通気量)は2.7リットル/min(分)、又は3.0リットル/min(分)とする。
【0016】また、実験番号A−1とA−2とA−3につき、水槽5は容積5リットルの三角フラスコ(図1を参照)を用いた。そして、ケーシング1内の空気は21℃になる様に、かつ培養液6の温度は20〜21℃になる様に温度制御した。
【0017】次に第2段階は、培養液6に対して、光源12にて光を照射する。実験番号A−1とA−2については、光源12は前述の第1面状パネル(発光波長660nm)と第2面状パネル(発光波長450nm)を同時に連続して照射するものである。番号A−1とA−2の違いは、供給する空気量(通気量)が2.7リットル/minと3.0リットル/minの違いのみである。また番号A−3につき光源12は、前述の第1面状パネル(発光波長660nm)のみを用いる。
【0018】また栄養源として、F培養液(図2と図3を参照)を用い、栄養源は増殖の初日と、4日目に与えた(培養液6が1リットルに対し栄養源を1ccに投与)。番号A−1とA−2については13日間、番号A−3については9日間増殖実験を行なった。
【0019】以上の実験条件の下に、藻類の増殖結果を図4に示す。図4から判る様に、7日後のA−1とA−2とA−3の各増殖率は8.0倍、10.8倍、9.2倍であり、従来方法の増殖率2.0倍に比べて、極めて高い率である事が判る。
【0020】次に本発明の実施の形態2に係る増殖方法を図1、図2、図3、図5に従い説明する。実験番号B−1とB−2は、実験番号A−3と殆んど同一であるが、藻類の初期濃度のみ異なる。即ちB−1の初期濃度は734万個/ccであり、B−2の濃度は1382万個/ccである。
【0021】そして、7日後のB−1とB−2の各増殖率は7.7倍と3.5倍である。即ち、藻類の初期濃度が少ない程、増殖率が高い事が判った。更に、初期濃度が2000万個/ccを越すと、増殖率が1.4〜2倍となり、極端に低下する事が判った(図10を参照)。
【0022】次に本発明の実施の形態3に係る増殖方法を図1、図2、図3、図6に従い説明する。図2から判る様に、実験番号C−1はA−3と同一実験条件である。実験番号C−2は、2個の第1面状パネル(発光波長660nm)を水槽5(三角フラスコ)の別々の側面近傍に配置したものである。
【0023】そして7日後のC−1とC−2の各増殖率は7.6倍と、9.9倍であり、それ程大差はないので、光源12として1個の第1面状パネルで十分であると、判断した。
【0024】次に本発明の実施の形態4に係る増殖方法を図1、図2、図3、図7に従い説明する。実験番号D−1、D−2、D−3、D−4の栄養源は各々、F培養液とA液とイオンカルチャーと大型水槽用である。そして光源12は螢光灯を用いている。
【0025】図7から判る様に、7日後のD−1とD−2とD−3とD−4の各増殖率は、6.4倍、5.6倍、6.4倍、5.6倍である。その結果、栄養源の相違による増殖率の差は少ない事が判った。
【0026】以上の図4ないし図7から判った事をまとめる。第1に、藻類の初期濃度が2000万個/cc以下の場合は、藻類の増殖率が高い(図4〜図7より)。第2に、第1面状パネル(660nm)のみ用いた方が、第1面状パネルと第2面状パネル(660nm+450nm)を用いた場合より、増殖率が高い。第3に初期濃度が少ない程、増殖率が高い(図5)。第4に、第1面状パネル(660nm)が1個でも2個でも、増殖率は大差ない(図6)。第5に、各種栄養源の相違による増殖率の差は少ない。
【0027】次に、本発明の実施の形態5に係る増殖方法を図1と図2と図3と図8に従い説明する。実験番号E−1につき、第1段階は、培養液6の中に藻類を混合する(初期濃度は240万個/cc)。そして、藻類の培養液6を水槽5内に収納する。
【0028】次に第2段階は、培養液6に対し、光源12にて光を照射する。光源12は螢光灯を用いる。そして第3段階は、増殖2日後に、光を照射した培養液6を複数個(例えば2個)に分割し、別々の三角フラスコ(第1フラスコと第2フラスコと呼ぶが図示せず)に移し変える。
【0029】次に、第1フラスコ内の培養液を約2倍に希釈し、約4リットルの培養液中に藻類が220万個/ccが存在する。同様に、第2フラスコ内の培養液を約2倍に希釈し約4リットルの培養液中に藻類を約220万個/cc混合する。
【0030】第4段階は、上記希釈された培養液に対し光源12にて再び光を照射し、藻類を増殖する。その結果、図8に示す様に番号E−1につき、初期濃度240万個/ccのものが、7日後に第1フラスコ内に於て750万個/ccに増殖する。同様にして、第2フラスコ内に於て、約750万個/ccの藻類が増殖する。その結果、7日後の増殖率は6.3倍となる。
【0031】同様に、番号E−2につき、光源12は面状パネル(発光波長567nm)であるが、初期濃度200万個/ccのものが7日後に、880万個/cc(2個のフラスコ内にある)に増殖し、増殖率は8.8倍となる。
【0032】次に本発明の実施の形態6に係る増殖方法を図1と図2と図3と図9に従い説明する。第1段階は、培養液6の中に藻類を混合する。番号F−1とF−2とF−3は各々初期濃度が280万個/cc、280万個/cc、240万個/ccである。
【0033】次に第2段階は、培養液6に対して、光源12にて光を照射する。番号F−1とF−2とF−3につき、光源12は各々、螢光灯と、面状パネル(発光波長567nm)と、面状パネル(発光波長660nm)である。
【0034】そして第3段階は、増殖2日後に、光を照射した培養液6を分割し、例えば第1フラスコと第2フラスコ(共に図示せず)に移し変える。次に、第1フラスコ内の培養液と、第2フラスコ内の培養液を各々、約2倍に希釈する。
【0035】第4段階は、上記希釈された培養液に対し光源12にて再び光を照射し、藻類を増殖する。その結果、図9に示す様に、番号F−1につき、初期濃度が280万個/ccのものが、5日後に、第1フラスコ内に於て、980万個/ccに増殖する。同様にして、第2フラスコ内に於て、約980万個/ccの藻類が増殖する。その結果、5日後の増殖率は7倍となる。同様に、番号F−2とF−3のものは、5日後の増殖率は6.8倍、7.9倍となる。
【0036】
【発明の効果】上述の様に請求項1の本発明は、藻類の培養液を水槽内に収納する第1段階と培養液に対し光源にて光を照射する第2段階を備える。そして、第1段階に於て藻類の初期濃度を1cc当たり2000万個以下に設ける事により、7日後の藻類の増殖率を8〜10倍に高める事が出来る。何故、この様に高い増殖率が得られるかは理論的に解明されていないが、図4ないし図7に示す様に、実験的に証明される。
【0037】請求項2の本発明は、藻類の培養液を水槽内に収納する第1段階と、培養液に光を照射する第2段階とを備える。更に、照射後の培養液を複数個に分割し希釈する第3段階を設ける。第3段階に於て、培養液を希釈するので藻類の濃度は初期よりも小さい。そして第4段階にて、複数個の培養液に光を照射する事により複数個の培養液中で増殖された藻類の数は増える。その結果、藻類の高い増殖率が得られる。
【0038】請求項3の本発明は、藻類はクロレラである事である。図3ないし図9に示す様に、クロレラの増殖率は高い。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【識別番号】000214892
【氏名又は名称】鳥取三洋電機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安富 耕二 (外1名)
【公開番号】 特開平11−262336
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−65619