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【発明の名称】 連作が可能な植物栽培方法
【発明者】 【氏名】橋本 成一

【要約】 【課題】通気性、排水性にすぐれ、植物の生育管理が容易な鉢植容器による植物栽培方法の提供。

【解決手段】鉢植容器による植物栽培方法は、壁面1に貫通孔2又はスリット3を設けてなるプラスチック又は生分解性熱可塑プラスチックから内鉢4に野菜、花などの植物を植え付けたのち、内鉢を、間隔を置いて、外鉢に装着し、さらに外鉢を地面から隔離した位置に配置して、植物を生育させることを特徴とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 壁面(1)に貫通孔(2)又はスリット(3)を設けてなる内鉢(4)に野菜、花などの植物(5)を植え付けたのち、該内鉢(4)を、間隔(d)を置いて、外鉢(6)に装着し、さらに該外鉢(6)を地面(7)から隔離した位置に配置して、前記植物(5)を生育させることを特徴とする鉢植容器による植物栽培方法【請求項2】 内鉢(4)が生分解性熱可塑プラスチックからなっていることを特徴とする請求項1に記載した鉢植容器による植物栽培方法
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ねぎ、トマト、西瓜、メロン、胡瓜などの野菜、ラン、桔梗、菊、などの花の栽培方法に係るもので、詳しくは前記野菜、花などの種子や苗を鉢植によって生育させる鉢植容器による植物栽培方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の鉢植栽培は、図7に示すように、植木鉢aに用土bを入れ植物cを植え付け、適宜に水や肥料を与えて、植物cを生育させるというやり方であったので次のような欠点があった。
■植物が必要とする量だけの水を補給することが理想的であるが、これは不可能であり、通常は、かなり余剰な水を与えることになる。従来の鉢では、余剰水のはけ口は、底部の排水口からの流出と上面からの蒸発だけであり、水はけがよくなく、余剰水が鉢の中央部に長時間停滞し、根腐れを起す。
■また、冬期には、寒冷な外温が鉢の外壁から直接内部へ伝導し、鉢内の地温を下げ、生育を阻害する。特に、鉢内に残存している余剰水があると、余剰水が凍り、根を凍死させる。夏期には、高い外温が鉢内に直接伝導し、鉢内に残存している余剰水があると、根を蒸れさせ、植物は枯死させる。
■植物の生育には、用土全体に空気がいきわたり、根が十分な呼吸作用を行えることが必要であるが、特に従来のプラスチック製の鉢では、水の補給回数の増加とともに、通気性がわるくなり、植物の生育をおくらせる。
【0003】野菜や花などをビニルハウス内で栽培する場合には、野菜や花などの種、苗などをビニルハウス内の土壌に直接播いたり、植え付けたりしているので、次のような欠点があった。
■収穫直前になって、水切りをしている小ネギなどの野菜やスイト−ピ−などの花が、集中豪雨などによって、ビニルハウス内に侵入してきた水又は外から地下水として、ビニルハウス内の土壌にしみ込んできた水分をたっぷりと吸収すると、収穫後に水を吸収しなくなり、市場に出しても、萎れてしまい、新鮮さを消失し、商品として出荷することができない。
■酸性雨が降る地方において、ビニルハウスなどで、植物に酸性雨が直接かからないように、注意していても、土中にしみ込んだ酸性雨がビニルハウス内の土壌に浸透し、植物の生育をわるくしたり、最悪の場合は枯死させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、従来の技術で記述した欠点を解消するためになされたもので、通気性、排水性にすぐれ、植物の生育管理が容易な鉢植容器による植物栽培方法の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の鉢植容器による植物栽培方法は、壁面に貫通孔又はスリットを設けてなるプラスチック又は生分解性熱可塑プラスチックからなる内鉢に野菜、花などの植物を植え付けたのち、前記内鉢を、間隔を置いて、外鉢に装着し、さらに前記外鉢を地面から隔離した位置に配置して、前記植物を生育させることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態の一例を図面を参照しながら説明するに、図1〜図6において、4は、壁面1に複数個の貫通孔2又はスリット3を設けてなる熱可塑性プラスチック又は生分解性熱可塑プラスチックを成型してなる内鉢で、例えば、図1に示すように、上部に段差部8を設け、底部には排水口9及びスペ−サ−として作用する複数個の突設部10を設けている。
【0007】トマト、メロンなどの植物5を栽培する場合には、それに適した用土11を内鉢4に入れて、種子を播くか又は苗を植え込む。ランなどの植物5を栽培する場合には、内鉢4に川藻を入れて、ランの苗を植え込む。ついで、図3に示すように、内鉢4の段差部8を内側で係止するための段差部12を有し、底部に排水口13を設けてなる熱可塑性プラスチックなどからなる外鉢6に、図4に示すように、内鉢4を、間隔dを置いて、装着する。
【0008】ついで、外鉢6を、図5に示すように、台14の上に載せたり、又は図6に示すように、例えば、ビニルハウス15内の床16の上に敷いた黒いビニルシ−ト17の上に配置して、地面7から隔離し、集中豪雨や酸性雨などによる地下水又はダイオキシンなどの有害物質で汚染された地下水が植物5に全く影響を与えないようにする。これらの外鉢6は、通常、ビニルハウス15の中に収納される。
【0009】植物によっては、連作ができない種類があり、収穫したのち、ある期間だけ土壌を寝かせなければならず、作物の回転率を悪くし、収益率に悪影響を与えていたが、図6に示すように、外鉢6をビニルハウス15内の床16の上に敷いた黒いビニルシ−ト17の上に配置し、地面7から隔離して栽培する場合には、例えば、第一作より、ビニルハウス15内の床16の上に敷いた黒いビニルシ−ト17の上に、例えば、トルコ桔梗の苗を植え込んだ外鉢6を配置して、生育させ、収穫した後には、収穫済みの外鉢6を直ちに片付け、その後に、新たなトルコ桔梗の苗を植え込んだ外鉢6を置換するというやり方を繰り返すことができるので、同一作物を連続して、栽培することができ、回転率がよくなり、高収益をあげることができる。しかも、床16上に敷き詰めた黒いビニルシ−ト17によって、雑草が枯死するので、人体に有害な除草薬を床16の土壌に散布する必要が全くないので、経済的であると同時に、除草薬による地下水の汚染が全くなく、このうような栽培方法を採用すると、除草薬による環境汚染を未然に防止することができる。なお、当然、異種作物を交互に連続して栽培することもできる。
【0010】植物5の苗の生育に合わせて、順次大きい鉢に植えかえていくが、従来は、苗を鉢から引き抜いたのち、大きい鉢に移植していた。このやり方では、苗を引き抜く際に、根を引きちぎり、苗を痛めてしまうという欠点があったが、本願の生分解性熱可塑プラスチックからなる内鉢4を使用すると、図6に示すように、植物5の苗が植わったままの内鉢4をそのまま、一回り大きい生分解性熱可塑プラスチックからなる内鉢4’に入れ、ついで内鉢4’を一回り大きい外鉢6’に装着していくことができるので、苗の根を全く痛めることがない上に、移植作業が非常に簡単になる。なお、最初の内鉢4を一回り大きい内鉢4’に移植する頃には、内鉢4はかなり分解された状態にあるが、内鉢4と外鉢6の間には、間隔dが存在しているので、分解状態の内鉢4を外鉢6から取り出すのは容易である。
【0011】内鉢4の壁面1の貫通孔2の直径又はスリット3の巾は、用土11が流出しない程度で、通常は1〜3mm程度である。植物5に水を与えた場合、余剰水が速やかに排出され、鉢内がすみやかに乾燥した状態になることが好ましいので、内鉢4が大きくなるにしたがって、貫通孔2の直径又はスリット3の巾は大きくなり、個数も多くなる。内鉢4の壁面1に貫通孔2だけ、又はスリット3だけを設けてもよく、又は両者を組み合わせて設けてもよい。
【0012】内鉢4と外鉢6の間隔dは、内鉢4の壁面1の貫通孔2又はスリット3から蒸発してくる水分の揮散通路となると同時に、内鉢4と外鉢6の間に存在する空気層が断熱層として働き、夏期の高温、冬期の冷温から植物5を保護する役目を果たし、通常、5〜10mm程度が適当である。
【0013】地面7と外鉢6との離隔は、ビニルハウスの外部から、地面7に浸透してきた余分な地下水を、故意に水切り状態にさせていた収穫直前の植物5が吸収してしまったために、商品として出荷できず、廃却処分にしなければならないという専業農家の経済的損失をなくすと同時に、人体に有害なダイオキシンなどを含有した汚染水を吸収した植物5を市場に出荷してしまうという危険性を防止するためである。
【0014】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているので、次のような効果を呈する。
■植物に過剰な水を与えても、余剰水は鉢の側壁部からも蒸発、揮散できるので、水はけがよく、根腐れが起らない。初心者でも失敗することがない。
■水はけがよいので、用土から水分が抜け出た後に、すみやかに空気が入り込み、通気性がよく、根が十分な呼吸作用を行うことができる。
■冬期の寒冷、夏期の高温から植物を保護できるので、凍死、根の蒸れによる枯死を防止できる。
■地面から隔離されているので、収穫直前の植物が、外部からビニルハウス内に侵入した地下水を吸収し、出荷不能になるという経済的損失を回避できる。
■ダイオキシンなど人体に有害な物質を含有している植物の出荷を防止できる。
■生分解性熱可塑プラスチックからなる内鉢を使用する場合には、大きい鉢への移植が容易である。
■水耕栽培と異り、用土を使用する栽培であるので、野菜は天然の風味を備えている。
■作物の回転率をあげることができる。
【出願人】 【識別番号】597029354
【氏名又は名称】橋本 成一
【出願日】 平成10年(1998)3月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 光則
【公開番号】 特開平11−262334
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−89527