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【発明の名称】 軽量培地及びこれを用いた混合培地
【発明者】 【氏名】原田 典明

【要約】 【課題】軽量且つ撥水性が低減した低水分系の軽量培地及びその製造方法、並びにこの軽量培地を他の軽量天然資材と混合した混合培地を提供すること。

【解決手段】ヤシガラを含有する軽量培地である。土壌三相計にて測定したヤシガラの真比重dが、1.5g/cm3≦d≦3.0g/cm3である。この軽量培地には、肥料や炭化物を添加することができる。ヤシガラを含有する培地原料に、剪断応力及び/又は圧縮応力を加えて成型加工を施す軽量培地の製造方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヤシガラを含有して成る軽量培地であって、土壌三相計にて測定した上記ヤシガラの真比重d1が、1.5g/cm3≦d1≦3.0g/cm3であることを特徴とする軽量培地。
【請求項2】 土壌三相計にて測定した上記軽量培地全体の真比重d2が、1.5g/cm3≦d2≦3.5g/cm3であることを特徴とする請求項1記載の軽量培地。
【請求項3】 剪断応力及び/又は圧縮応力を加えることが可能な方法により成型加工されて成ることを特徴とする請求項1又は2記載の軽量培地。
【請求項4】 更に肥料及び/又は炭化物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の軽量培地。
【請求項5】 ヤシガラがコイアダストであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の軽量培地。
【請求項6】 軽量培地の含有水分率X1が、0重量%<X1≦20重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の軽量培地。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の軽量培地を製造するに当たり、ヤシガラを含有する培地原料に、剪断応力及び/又は圧縮応力を加えて成型加工を施すことを特徴とする軽量培地の製造方法。
【請求項8】 ヤシガラの土壌三相計にて測定した真比重d1が、1.5g/cm3≦d1≦3.0g/cm3であることを特徴とする請求項7記載の軽量培地の製造方法。
【請求項9】 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の軽量培地に用いられるヤシガラであって、土壌三相計にて測定した真比重d1が、1.5g/cm3≦d1≦3.0g/cm3であることを特徴とするヤシガラ。
【請求項10】 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の軽量培地に、焼成バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、炭化物及び乾燥殺菌土から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを混合して成ることを特徴とする混合培地。
【請求項11】 化学的に溶解度を調整し又は物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料を付加して成ることを特徴とする請求項10記載の混合培地。
【請求項12】 培地の全含有水分率X2が、0重量%<X2≦20重量%であることを特徴とする請求項10又は11記載の混合培地。
【請求項13】 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の軽量培地、又は請求項10〜12のいずれか1つの項に記載の混合培地を用いて植物の育苗及び/又は栽培を行うことを特徴とする栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水稲育苗用培地、園芸育苗用培地、芝生栽培用培地、養液栽培用培地、本圃栽培用培地及び土壌改良材等として用いられ、水稲、花卉、野菜、芝生、観賞用植物等を生育・栽培するのに好適な植物栽培用培地に係り、更に詳細には、軽量且つ撥水性が低減した低水分系の軽量培地及びその製造方法並びに混合培地に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、植物を栽培するために、沖積土、洪積土、火山性土、腐食土、火成土、砂、その他天然鉱物から成る土壌が用いられており、一般農家では、これらの土壌に肥料成分を混合し、独自の配合により自家製培土として使用していた。ところが、一般農家で土壌に肥料成分を混合すると、不均一な混合状態になり易く、また、手間がかかり労力を要するため、予め土壌と肥料成分とを造粒した粒状培土が使用されるようになった。
【0003】しかし、上述の如き培土及び粒状培土は、その真比重及び嵩比重の双方が大きいため重く、これらを用いる農作業はかなり重労働となるという問題があった。かかる問題に対し、近年では、培土の軽量化、作業性向上及び培土の物理化学性向上を図れる、ソイルレス(土、土壌の不使用)系の培地原料として、ピートモスやヤシガラ等の植物性繊維材料が好適に用いられるようになってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらソイルレス系培地原料は、従来の土や土壌と比較して軽量であるものの、乾燥した低水分の状態で単独又は混合して培地原料として使用すると、撥水性が発現し、吸水・保水特性が低下するという課題があった。従って、ソイルレス系培地原料では、予め含水処理を行って、撥水性が発現しないような含有水分率である水分率40〜60重量%に調整しなければならず、この結果、嵩比重が、土や土壌に比べれば小さいが、水分を含有しているため大きくならざるを得ず、十分な軽量化が実現されていなかった。
【0005】また、かかるソイルレス系培地原料を用いた培地では、上記含水処理により培地に水分が含まれているため、長期保管よる黴の発生や経時的な物理性・化学性の変化が極めて起こり易く、更に、これら培地原料に、化学的に溶解度を調整し又は物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料を混合してパッケージングすると、輸送・長期保管中に緩効性肥料の肥料成分が溶出してしまい、所期の緩効性機能を発揮できなくなるといった課題もあった。
【0006】本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量且つ撥水性が低減した低水分系の軽量培地及びその製造方法、並びにこの軽量培地を他の軽量天然資材と混合した混合培地を提供することにある。また、本発明の他の目的は、化学的に溶解度を調整し又は物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料と予め混合しても、長期保管が可能な培土資材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のヤシガラ系材料を用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明の軽量培地は、ヤシガラを含有して成る軽量培地であって、土壌三相計にて測定した上記ヤシガラの真比重d1が、1.5g/cm3≦d1≦3.0g/cm3であることを特徴とする。また、本発明の軽量培地の好適形態は、土壌三相計にて測定した上記軽量培地全体の真比重d2が、1.5g/cm3≦d2≦3.5g/cm3であることを特徴とする。更に、これらの軽量培地に、肥料及び/又は炭化物を含有させた成型加工物であってもよい。
【0009】また、本発明の軽量培地の製造方法は、上述の軽量培地を製造するに当たり、ヤシガラを含有する培地原料に、剪断応力及び/又は圧縮応力を加えて成型加工を施すことを特徴とする。
【0010】また、本発明の混合培地は、上述の軽量培地に、焼成バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、炭化物及び乾燥殺菌土から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを混合して成ることを特徴とするが、その好適形態は、更に化学的に溶解度を調整し又は物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料を付加して成ることを特徴とする。
【0011】更に、本発明の栽培方法は、上述の軽量培地又は混合培地を用いて植物の育苗及び/又は栽培を行うことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の軽量培地について詳細に説明する。上述の如く、本発明の軽量培地は、ヤシガラを含有する培地であるが、その含有量は代表的に10重量%以上であり、10重量%未満では培地全体の撥水性への影響は少ない。
【0013】ここで、主たる培地原料であるヤシガラは、ヤシの実の果皮から外果皮及び内果皮を除去し、取り出された中果皮に由来する繊維状物及び木質部分から得られ、中果皮全体に裁断粉砕等を施して繊維状物と木質部分との混合物としたものや、コイアダストと称される中果皮から更に有用成分(剛長繊維及び中短繊維)を除いた残りの細短繊維と木質部分との混合物を意味する。
【0014】かかる木質部分は、中果皮の繊維間を埋めるように構成している木質のようなものであり、特に、コイアダストは、有用成分である繊維の採取工程に伴って大量(中果皮全体の約60重量%)に発生するものであり、従来は廃棄されていたものである。なお、コイアダストは、上述のように繊維採取工程の不要成分として採取されるため、これを構成する細短繊維及び木質部分の中には若干の長中繊維が混在していることがある。
【0015】以下、コイアダストの製法を示す。
■ ヤシの実から、果汁、胚乳、内果皮部分を除いた外・中果皮を乾燥する。
■ 乾燥した外・中果皮を4〜6週間淡水に浸し、余分なタンニン、塩化物を除去する(アク抜き)とともにふやけさせる。
■ 柔らかくなった外・中果皮から、ロープ、マット及びマットレスに使用される剛長繊維・中短繊維を分離し、残滓として副生する細短繊維と木質部分を採取する。
■ 採取した細短繊維と木質部分は、水分を80〜90重量%含有しているが、脱水工程により40〜50重量%とし、次いで、天日又は熱風乾燥により水分率20重量%とする。
■ 更に、この乾燥品を薫蒸消毒・殺菌工程に供し、コンタミ(不純物)除去・粒度調整を行い、コイアダストを得る。
【0016】上述のように、ヤシの実の外・中果皮から、ロープ、マット及びマットレスに使用される剛長・中短繊維を除いた残滓がコイアダストであり、別名コイア、ピス等とも呼ばれ、従来は廃棄されていたものである。よって、本発明の軽量培地は、かかるコイアダストを積極的に使用するものであり、この観点によれば、本発明は廃棄物の有効利用につながるものである。
【0017】なお、コイアダストを採取するヤシの種類は、特に限定されるものではないが、スリランカ産のココヤシから良質の剛い繊維が採取され、このココヤシがロープ、マット及びマットレス等の繊維製品に好適に使用されるので、コイアダストの排出量も多い。このため、スリランカ産のココヤシのコイアダストは、品質及び安定供給の点で優れており、本発明において好適に用いられる。
【0018】また、上述のように、本発明の軽量培地では、培地中のヤシガラ部分の真比重d1は、土壌三相計で測定して1.5g/cm3≦d1≦3.0g/cm3であり、この値は本軽量培地を崩壊させてヤシガラ部分を選別・収集して測定した場合でも成立する。なお、この軽量培地全体の真比重d2は、1.5g/cm3≦d2≦3.5g/cm3になることがあるが、この場合も植物栽培用培地として好適である。
【0019】上述した真比重の制御は、代表的に上記ヤシガラ等の培地原料に、剪断応力及び/又は圧縮応力を加えて成型加工することにより行うことができるが、ヤシガラ部分の真比重が1.5g/cm3未満の場合には、撥水性が発現し、吸水・保水特性が悪化し、ヤシガラ部分の真比重が3.0g/cm3を超える場合には、培地全体としての重量が大きくなり過ぎるので、好ましくない。
【0020】なお、本発明者は、上述したヤシガラ等の培地原料について、土壌三相計によって測定可能な真比重を1.5g/cm3以上とすることにより、これを含有する培地が乾燥した低水分の状態であっても撥水性を発現しないことを知見したものであり、本発明はこの知見に基づくものである。
【0021】また、真比重の調整方法は、特に限定されるものではなく、上述のように、剪断応力及び/又は圧縮応力を加える等の物理的調整方法の他、肥料をはじめとする無機物や、ポリビニルアルコール等の親水性有機物をヤシガラに付着させる方法でもよい。但し、後述する無機物や有機物の付着は、灌水により付着物が流出して経時的安定性が低下するため、長期使用には向いていない。これに対し、上述した剪断応力及び/又は圧縮応力を加える等の物理的調整方法は経時的安定性に優れており、本発明ではかかる方法を好適に用いることができる。
【0022】なお、本発明の軽量培地の含有水分率X1は、化学的に溶解度を調整し又は物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料との混合時における肥料成分の品質安定性を向上し、更には嵩比重を小さくして軽量化をも図る観点から、0重量%<X1≦20重量%とすることが好ましい。含有水分率を完全に0重量%にすることは、空気中の湿気等により含有水分率が経時的に変化し易いため、工業的に困難である。一方、20重量%を超える場合には、後述する化学的に溶解度を調整し又は物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料と混合して保管すると、含有水分により肥料成分が経時的に溶解・溶出することがあり、好ましくない。
【0023】また、本発明の軽量培地は、育苗又は本圃の栽培培地として利用されるものであり、上述のようにヤシガラを含有するものであるが、培地中又は崩壊後のヤシガラ部分が上記真比重の範囲を逸脱せず、また、撥水性の発現抑制その他の特性に悪影響を及ぼさない限り、肥料及び/又は炭化物を添加することができ、このように栽培に必要な肥料や炭化物を予め添加しておけば、施肥・施用労力削減を図ることができる。更に、上述のような悪影響が無い限り、肥料以外にも結合材や保水材等の添加材を添加することも可能である。
【0024】ここで、添加可能な肥料は、特に限定されるものではなく、N(窒素)、P25(リン酸)、K2O(加里)のうち少なくとも一種の成分を含むものであればば十分であるが、これら以外にもCaO(酸化カルシウム)、MgO(酸化マグネシウム)、微量要素等の化合物を含んでいてもよい。具体的には、チッソ肥料、リン酸肥料、加里肥料、配合肥料、普通化成肥料、高度化成肥料、ニ成分複合化成肥料、緩効性チッソ入り化成肥料、被覆複合肥料、硝化制御剤入り化成肥料、固形肥料、ペースト肥料、液体肥料、微量要素肥料、石灰質肥料、苦土質肥料、ケイ酸質肥料、有機質肥料及び堆肥等が挙げられる。
【0025】また、物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料、即ち緩効性被覆肥料を添加して成型加工する場合は、造粒などにより被覆膜が破壊され、所定の機能を果たせなくなるため好ましくないが、化学的に溶解度を調整した緩効性肥料、即ち化学合成緩効性窒素肥料、ク溶性リン酸肥料及びク溶性加里肥料等を添加して成型加工することは可能である。例えば、化学合成緩効性窒素肥料としては、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)、アセトアルデヒド縮合尿素(CDU又はOMU)、ホルムアルデヒド加工尿素肥料、硫酸グアニル尿素、オキサミド等が挙げられ、ク溶性リン酸肥料としては、焼成リン肥、よう性リン肥、沈澱リン酸石灰、苦土過石(蛇紋過石)、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト等が挙げられ、更に、ク溶性加里肥料としては、塩基性のカリウム又はマグネシウム含有物及び微粉炭燃焼灰を混合して焼成したケイ酸加里肥料等が挙げられる。
【0026】一方、添加可能な炭化物としては、製紙工場におけるソーダパルプ製造の廃棄物から造られる黒灰、籾殻やヤシ殻の内果皮(内殻)から造られた活性炭、木材屑から造られた活性炭等が挙げられ、コスト面からは製紙工場のソーダパルプ製造の廃棄物から造られる黒灰が好適に用いられる。
【0027】また、結合材としては、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉及びタピオカ澱粉等の澱粉類、ベントナイト等のモンモリロナイト群の粘度鉱物、二水石膏や半水石膏(焼石膏)、アルギン酸ナトリウムや寒天等の海藻抽出物、アラビアガムやトラガントガム等の植物性樹脂粘着物、カルボキシメチルスターチやカルボキシメチルセルロース等の天然高分子誘導体、ポリビニルアルコールやポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子等を挙げることができ、水溶性の結合材が好ましい。
【0028】また、上記結合材の使用法としては、ヤシガラ等と混合して成型・造粒することを挙げることができるが、成型・造粒後などに成型体や粒状体の表面に塗布、噴霧等してもよい。但し、かかる結合材は本発明における必須の材料ではなく、多量に使用したり、培地全体へ混合使用したり、非水溶性の結合材を使用する場合などには、撥水性が発現するおそれがあるので、使用上十分注意を払う必要がある。
【0029】更に、保水材としては、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ロックウール等の鉱物類、ピートモス、樹皮、木材パルプ、もみ殻、おが屑、木炭等の草木類、及び吸水ポリマー等を挙げることができ、これらも本発明の効果を妨げない範囲で加えることができる。
【0030】更にまた、農薬活性成分を添加して成型加工してもよいし、成型加工した軽量培地と農薬活性成分を混合してもよい。かかる農薬活性成分としては、殺虫剤、殺菌材、除草剤、抗ウィルス剤及び植物成長調整剤の外、殺ダニ剤、殺線虫剤等を挙げることができ、これらは固定又は液体のいずれであっても使用可能である。
【0031】上述した種々の添加材の添加量については、本発明の効果を妨げない範囲で、且つ本発明の培地を水に浸漬した場合のpH及びEC(電気伝導度)に相当の注意を払って決定することが好ましく、場合によっては、酸性やアルカリ性の材料を含むpH調整剤を添加してpHやECを制御してもよい。pH及びECの値は、栽培する対象植物によって異なるが、一般的に、pHで5〜8、ECは肥料未添加系で0.5mS/cm以下、肥料添加系で1.0〜2.0mS/cmとすることが好ましい。但し、土壌改良材的に希釈して使用することを意図して、高濃度の肥料を添加して成型加工したものについては、かかる範囲を大きく逸脱することがあるのは言うまでもない。
【0032】次に、本発明の軽量培地の製造方法について説明する。本軽量培地は、上述のようなヤシガラと、所要に応じて肥料その他の成分とを混合して培地原料を作成し、この培地原料に、剪断応力及び/又は圧縮応力を加えて成型加工を施すことによって、得られる。なお、上述のヤシガラ原料に剪断応力及び/又は圧縮応力を加えることなく粉状のまま乾燥し、これを培地としても、撥水性が発現し、吸水・保水特性が悪化するので、好ましくないことは言うまでもない。
【0033】ここで、ヤシガラは上述した通りであるが、上記真比重d1が1.5g/cm3≦d1≦3.0g/cm3であるヤシガラを培地原料として、又は培地原料に混合して、本発明の製造方法を行ってもよく、このような場合も本発明の範囲に含まれる。なお、培地原料としてのヤシガラの真比重が1.5g/cm3未満の場合には、得られる軽量培地に撥水性が発現し、吸水・保水特性が悪化することがあり、3.0g/cm3を超える場合には、培地原料としては重すぎるので好ましくない。
【0034】また、剪断応力及び/又は圧縮応力を加えることが可能な成型方法としては、得られる軽量培地の真比重を上記範囲に制御できる方法であれば、特に限定されるものではなく、各種成型方法、造粒方法を適用できる。ここで、成型方法としては、ロールプレス法やタブレッティング法などを好ましく実施することができる。
【0035】造粒の方法としては、押出造粒法、圧縮造粒法、転動造粒法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法、攪拌造粒法及びコーティング造粒法等が挙げられる。これらの中でも、剪断応力及び/又は圧縮応力を加えることができる方法として、押出造粒法と圧縮・粉砕造粒法が好ましく、押出造粒方式としては、例えば、スクリュー型である前押出式、横押出式、真空押出式及び前処理兼用式、ロール型であるディスクダイ式やリングダイ式、ブレード型であるバスケット式やオシレーティング式、自己成形型であるギヤー式やシリンダー式、ラム型である連続式や断続式等が挙げられ、いずれも好適に適用できる。なお、剪断応力及び/又は圧縮応力の値は、適用する造粒法などに応じて適宜変更することができるが、代表的にロール型のディスクダイ式造粒法では、100〜600kg/cm2であり、好ましくは200〜400kg/cm2である。また、圧縮・粉砕造粒方式としては、上記圧縮成型法にて成型した成型体を粉砕して粒状化する方法が好適に実施できる。
【0036】上述の成型・造粒によって得られる軽量培地の形状も特に限定されるものではなく、粒状、ブリケット状、タブレット状、マット状及びサイコロ状等のいずれであってもよいが、他の資材と混合使用する場合には、粒径が2〜10mmの粒状又は小粒のブリケット状等とすることが好ましい。特に、本発明に係る粒状等の軽量培地は、培地や肥料及び種子等をホッパーで育苗箱に連続的に充填して行く自動播種施肥装置に用いるのに好適であり、ホッパーでの残存率(所謂ブリッジによる詰まり)が粉状の培地に比し著しく低いので、かかる播種施肥装置における培地の充填効率を向上することができる。
【0037】また、本発明の製造方法においては、ヤシガラと肥料その他の成分を混合した培地原料の含有水分率は特に限定されるものではないが、最終製品として、即ち軽量培地の含有水分率X1を、最終的に0重量%<X1≦20重量%とすることが好ましい。この理由は、上述したように、得られる軽量培地の嵩比重を小さくして軽量化を図るためであり、また、上記緩効性肥料と混合して保管した場合における肥料成分の経時的溶解・溶出を回避するためである。なお、上述した軽量培地の含有水分率は、成型加工時の加水量の調整及び/又は成型加工後の乾燥により調整することができる。
【0038】次に、本発明の混合培地について説明すると、本混合培地は、本発明の軽量培地に、焼成バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、炭化物又は乾燥殺菌土及びこれらの任意の組み合わせを混合したものであり、また、化学的に溶解度を調整し、又は物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料を混合することも可能である。
【0039】ここで、化学的に溶解度を調整した緩効性肥料としては、上述の如く、化学合成緩効性窒素肥料、ク溶性リン酸肥料及びク溶性加里肥料等を挙げることができ、具体的には、化学合成緩効性窒素肥料としては、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)、アセトアルデヒド縮合尿素(CDU又はOMU)、ホルムアルデヒド加工尿素肥料、硫酸グアニル尿素及びオキサミド等を例示でき、ク溶性リン酸肥料としては、焼成リン肥、よう性リン肥、沈澱リン酸石灰、苦土過石(蛇紋過石)、フッ素アパタイト及びヒドロキシアパタイト等が挙げられ、ク溶性加里肥料としては、塩基性のカリウム又はマグネシウム含有物及び微粉炭燃焼灰を混合して焼成したケイ酸加里肥料等が挙げられる。一方、物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料としては、窒素肥料をポリオレフィン系樹脂又は硫黄その他の被覆原料で被覆した被覆窒素肥料、カリ質肥料をポリオレフィン系樹脂又は硫黄その他の被覆肥料で被覆した被覆カリ肥料、化成肥料又は液状複合肥料をポリオレフィン系樹脂又は硫黄その他の被覆原料で被覆した被覆複合肥料等が挙げられる。
【0040】また、本発明の効果を妨げない範囲で、本発明の軽量培地と農薬活性成分から成る材料を混合した混合培地とすることも可能である。この際、農薬活性成分から成る材料としては、殺虫剤、殺菌材、除草剤、抗ウィルス剤及び植物成長調整剤の外、殺ダニ剤、殺線虫剤等を挙げることができ、これらの性状は固定又は液体のいずれであってもよい。また、これらの農薬活性成分の放出を時限制限するようにして成る時限放出型被覆農薬粒剤を、本発明の軽量培地に混合して混合培地を得てもよい。
【0041】なお、軽量培地の場合と同様に、上述した種々の添加材の添加量については、本発明の効果を妨げない範囲で、且つこの混合培地を水に浸漬した場合のpH及びEC(電気伝導度)に相当の注意を払って決定することが好ましい。pH及びECの値は、栽培する対象植物によって異なるが、一般的に、pHで5〜8、ECは肥料未添加系で0.5mS/cm以下、肥料添加系で1.0〜2.0mS/cmとすることが好ましい。
【0042】また、本発明の軽量培地との共通性から、例えば、含有水分率X2は、軽量培地と同様の理由から0重量%<X2≦20重量%とすることが好ましい。なお、本発明の軽量培地は、それ自体で極めて有用なものであり、必ずしも混合培地として使用する必要がないのは勿論である。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各例において、最大容水量その他の特性は以下のようにして求めた。
【0044】(最大容水量)撥水性及び保水性の指標として用いた最大容水量は、ヒルガード法に従い、最大容水量測定容器にサンプルを投入し、底面から吸水させ24時間放置する。吸水された水分の重量と乾土との重量を測定し、次式(吸水された水分の重量)/(乾土の重量)×100より算出した。但し、撥水性を正確に評価すべく、底面からの吸水のみ行い、上面からの灌水は行わないことにした。
【0045】(大起理科工業(株)製の土壌三相計(型式;DIK−3520)による、三相分布及び真比重の測定)
■サンプルを三相分布測定用100ml試料円筒(大起理化工業(株)製、型式;DIK−1801)に充填し、撥水性のあるものについては、上部から灌水しながら攪拌して強制的に吸水させておく。
■砂柱法キット(大起理化工業(株)製、型式;DIK−3520)に、サンプルを充填した100ml試料円筒をセットし、十分に灌水させた後、水位をPF=1.5(石英砂上面からの水位;31.6cm下位)に調節する。
■100ml試料円筒に蓋をし、PF=1.5の状態で24時間以上放置する。
■土壌三相計(大起理化工業(株)製、型式;DIK−1120)に試料円筒をセットし、サンプルの実容積(V)を測定する。
■更に天秤にて全重量(W)を測定し、オーブンに入れ105℃で24時間以上乾燥させ、乾燥前後の重量差から水分重量(M)を算出する。
■下記の計算式により、a)気相率 b)固相率 c)液相率 d)真比重を算出した。
a)気相率(A=Va) ;空気容量Va=100−Vb)固相率(Sν=Vs);固相容量Vs=(W−V)/(d−1)
c)液相率(Mν=Vl);水分容量Vl=V−Vsd)真比重(d) ;d=(W−M)/(V−Vl)
但し、Vl:水分容量、Vl=M【0046】(カビ発生有無)サンプル200mlをシャーレに取り、更に、非滅菌のピートモスを微量加え、30℃−50%RHの恒温恒湿槽に3カ月間保管し、カビの発生有無を確認する。なお、非滅菌のピートモスの添加は、ピートモスに混在する菌の添加を目的として行った。
【0047】(被覆尿素肥料(LPコート)添加時の肥料成分溶出率)50L用ポリ袋に充填されたLPコート100号(くみあい40被覆尿素LPコート100、保証成分;窒素全量40%、チッソ(株)製)入り培地を、常温暗所に放置する。3カ月経過後、各培地中からLPコートを全て取り出し、これを乳鉢ですりつぶす。メスフラスコに全て移し入れ、純水を加えて定容にし、その定量を取り出してPDAB法により、当該溶液中の尿素濃度を定量する。得られた定量値から肥料成分溶出量を算出し、当初含まれていた肥料成分量で除することにより、肥料成分溶出率を算出する。
【0048】1.軽量培地の造粒(実施例1)200Lのヤシガラ中果皮粉砕品(含有水分率;40重量%、φ4mmパス、スリランカ産ヤシガラ)と、肥料成分としての、150gの硫酸アンモニア(新日鐵化学(株)製、保証成分 窒素;21%)と、200gの重焼リン(小野田化学工業(株)製、保証成分 ク溶性リン酸;46%)と、60gの硫酸加里(チッソ旭肥料(株)製、保証成分 加里;50%)とを、内部容量が400Lの羽根付きコンクリートミキサーに投入し、10rpmの回転速度で10分間混合した。得られた混合物を前押出造粒機(スクリーンメッシュ径;φ3mm)にて造粒し、90℃の熱風乾燥機にて含有水分率が5重量%になるように乾燥した後、篩いにより2〜4mmの軽量培地Aを約50L得た。
【0049】(実施例2〜4)造粒・乾燥後の含有水分率がそれぞれ10重量%(実施例2)、20重量%(実施例3)及び30重量%(実施例4)となるように乾燥した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、2〜4mmの軽量培地B(実施例2)、C(実施例3)及びD(実施例4)をそれぞれ約50Lずつ得た。
【0050】(実施例5)ヤシガラ中果皮粉砕品の代わりにコイアダスト(スリランカ産)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、2〜4mmの軽量培地Eを約50L得た。
【0051】(実施例6〜8)造粒・乾燥後の含有水分率がそれぞれ10重量%(実施例6)、20重量%(実施例7)及び30重量%(実施例8)となるように乾燥した以外は、実施例5と同様の操作を繰り返し、2〜4mmの軽量培地F(実施例6)、G(実施例7)及びH(実施例8)をそれぞれ約50Lずつ得た。
【0052】(実施例9)ヤシガラ中果皮粉砕品の替わりに、コイアダストと炭の混合物(重量比=3:1)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、2〜4mmの軽量培地Iを約50L得た。
【0053】(実施例10〜12)造粒・乾燥後の含有水分率がそれぞれ10重量%(実施例10)、20重量%(実施例11)及び30重量%(実施例12)となるように乾燥した以外は、実施例5と同様の操作を繰り返し、2〜4mmの軽量培地J(実施例10)、K(実施例11)及びL(実施例12)をそれぞれ50Lずつ得た。
【0054】(比較例1)200Lのヤシガラ中果皮粉砕品(含有水分率;40重量%、φ4mmパス、スリランカ産ヤシガラ)と、肥料成分としての、150gの硫酸アンモニア(新日鐵化学(株)製、保証成分 窒素;21%)と、200gの重焼リン(小野田化学工業(株)製、保証成分 ク溶性リン酸;46%)と、60gの硫酸加里(チッソ旭肥料(株)製、保証成分 加里;50%)とを、内部容量が400Lの羽根付きコンクリートミキサーに投入し、10rpmの回転速度で10分間混合した。得られた混合物を90℃の熱風乾燥機にて含有水分率が10重量%になるように乾燥し、乾燥培地Iを得た。
【0055】(比較例2)乾燥を行わなかった以外は比較例1と同様の操作を繰り返し、培地Jを得た。
【0056】(比較例3)ヤシガラ中果皮粉砕品の代わりにコイアダスト(スリランカ産)を用いた以外は、比較例1と同様の操作を繰り返し、培地Kを得た。
【0057】(比較例4)乾燥を行わなかった以外は比較例3と同様の操作を繰り返し、培地Lを得た。
【0058】(比較例5)ヤシガラ中果皮粉砕品の代わりにピートモス(VAPO社製)を用いた以外は、比較例1と同様の操作を繰り返し、培地Mを得た。
【0059】2.軽量培地の物理的特性実施例1〜12で得られた軽量培地、比較例1〜5で得られた培地、及び比較例6としての水稲育苗用粒状培土(クレハ粒状培土)につき、上述した特性を評価し、得られた結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】表1から明らかなように、実施例1〜12の軽量培地は、比較例1〜6の粉状培地と比較しても同等程度軽さと三相分布を有し、低水分の場合でも最大容水量の変化がほとんど無く、撥水性も認められなかった。また、実施例の軽量培地は、水稲育苗用粒状培土と比較してかなり軽量であり、同様な方法で成型加工して得られた粒状ピートモスと比較しても、撥水性が無く吸水特性に優れていた。
【0062】3.カビ発生テスト及び被覆尿素肥料(LPコート)添加時の肥料成分溶出率(実施例13)40Lの軽量培地Aに、1kgのLPコート100号(くみあい40被覆尿素LPコート100、保証成分;窒素全量40%、チッソ(株)製)を加えて均一に混合し、50L用ポリ袋に充填し、カビ発生テスト及び肥料成分溶出率の測定を行った。得られた結果を表2に示す。
【0063】(実施例14)20Lの軽量培地Aと20Lの焼成バーミキュライト(含有水分率;5重量%以下)に、1kgのLPコート100号を加えた以外は、実施例13と同様の操作を繰り返し、得られた結果を表2に示した。
【0064】(実施例15、17、19、21、23、25、27及び29並びに比較例7及び9)軽量培地Aの代わりに、それぞれ軽量培地B(実施例15)、C(実施例17)、E(実施例19)、F(実施例21)、G(実施例23)、I(実施例25)、J(実施例27)及びK(実施例29)、並びに培地M(比較例7)及びP(比較例9)を用いた以外は、実施例13と同様の操作を繰り返し、得られた結果を表2に示す。
【0065】(実施例16、18、20、22、24、26、28及び30並びに比較例8及び10)軽量培地Aの代わりに、それぞれ軽量培地B(実施例16)、C(実施例18)、E(実施例20)、F(実施例22)、G(実施例24)、I(実施例26)、J(実施例28)及びK(実施例30)、培地J(比較例8)及びL(比較例10)を用いた以外は、実施例14と同様の操作を繰り返し、得られた結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】表2から明らかなように、実施例13〜30においては、培地含有水分率が20重量%以下に抑えられているため、比較例7〜10のようにカビが発生することがなく、また、緩効性被覆肥料を添加しても肥料成分が大幅に溶出することもなかった。
【0068】なお、上述の実施例に準じて肥料成分を調整した軽量培地及び混合培地を用いて、小松菜、白菜及び水稲の育苗、並びに芝生の栽培を実施したところ、各々の生育に適した慣行培土と比較しても、発芽・生育状態については有意差が無く、良好であった。
【0069】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば、特定のヤシガラ系材料を用いることとしたため、軽量且つ撥水性が低減した低水分系の軽量培地及びその製造方法、並びにこの軽量培地を他の軽量天然資材と混合した混合培地を提供することができる。また、化学的に溶解度を調整し又は物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料と予め混合しても、長期保管が可能な培地資材を提供することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000002071
【氏名又は名称】チッソ株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
【公開番号】 特開平11−239416
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−108462