| 【発明の名称】 |
生分解性ランナー止め |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 恒男
【氏名】小堀 忠司
【氏名】権田 貴司
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| 【要約】 |
【課題】生分解速度の制御が容易で、作業性及び土壌止め効果に優れた生分解性ランナー止めの提供。
【解決手段】本発明の生分解性ランナー止めは、脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、充填剤10〜150重量部及び離型剤0.1〜5.0重量部を含む生分解性組成物による棒状折曲体で構成され、その土壌差込み部分1の表面に、複数の係止部2が形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、充填剤10〜150重量部及び離型剤0.1〜5.0重量部を含む生分解性組成物による棒状折曲体からなることを特徴とする生分解性ランナー止め。 【請求項2】 棒状折曲体が、土壌差込み部分の表面に、複数の係止部を有する請求項1記載の生分解性ランナー止め。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族ポリエステル、充填剤及び離型剤を含む生分解性及び成形離型性に優れた組成物を用いて形成した、生分解性ランナー止めに関する。さらに詳しくは、生分解速度の制御が可能であり、さらに射出成形可能な生分解性組成物からなり、作業性に優れた生分解性ランナー止めに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、苺、西瓜、南瓜あるいはメロン等のランナーが地上に繁殖する植物では、ランナーを地表面に固定するランナー止めが使用されている。このランナー止めには、針金あるいは麦藁、紙材等が使用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】針金等の材質よりなるランナー止めは、使用後回収の必要があり、そのまま放置しておくと、次の作付けの妨げになるばかりでなく、このランナー止めが植物の生長に悪影響を与えるおそれもある。一方、麦藁や紙材よりなるランナー止めは、時間の経過とともに、自然界で分解するので、針金等の材質に比較して回収の必要性を生じないため作業性が向上し、植物等への影響も少なくてすむ。 【0004】しかしながら、麦藁や紙材等のランナー止めは、強度が劣るため、据えつけ中に形崩れを起こしやすく、その上、吸水、乾燥後硬くなるといった問題点があった。そのため、特に苺栽培の場合、吸水、乾燥後硬くなったランナー止めは苺のランナーを傷つけてしまい炭疽病の原因となっていた。本発明の課題は、上記従来の欠点を克服し、脂肪族ポリエステルより生分解速度の制御が容易で、作業性及び土壌止め効果に優れた生分解性ランナー止めを提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の生分解性ランナー止めは、脂肪族ポリエステル樹脂に充填剤及び離型剤を添加した生分解性組成物を射出成形法により棒状折曲体に成形し、さらにその土壌差込み部分の表面に、複数の係止部を形成している。本発明の生分解性ランナー止めを形成する棒状折曲体は、中空もしくは中実の棒状体を、両端間で折曲して形成し、その折曲部の内側がランナーの係止部となる。 【0006】通常、この折曲部は、棒状体の中央部で、V字状やU字状に折り曲げ形成されるが、一方の端部近傍でコ字状に折り曲げたり、あるいは複数回折り曲げて、例えばW字状に形成しても良い。また、この棒状折曲体の土壌差込み部分の表面に形成される係止部は、土壌に差し込んだ生分解性ランナー止めの抜け防止機能を有するもので、通常、等間隔に突状に形成する。なお、棒状折曲体の端部は、先端を細くして土壌に突き刺し易い形状とするのが好ましい。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の生分解性ランナー止めを図1、図2を用いて詳細に説明する。本発明の生分解性ランナー止めは、中空もしくは中実の生分解性組成物からなる棒状体を、図1の(a)〜(d)に示すような棒状折曲体に形成する。図1の(a)は生分解性ランナー止めをV字状に折曲した構成であり、これはランナーの径が比較的小さいものに適し、(b)はU字状に折曲した構成で比較的ランナーの径が大きなものに適している。 【0008】また、(c)は、一方の端部近傍でコ字状に折り曲げたもので、土壌差込み部が一つであるため差込み作業が容易になる。(d)は、W字状に折曲した構成であり、このタイプのものは、近接する二本のランナーを同時に固定することができる。なお、図1の(b)、(d)に示す生分解性ランナー止めは、土壌差込み部1の先端が先細に形成されている。本発明の生分解性ランナー止めは、上記形状に限定されるものではなく、ランナーの係止部となる折曲部を有する棒状体であれば、いかなる形状であっても良い。 【0009】図2(a)〜(c)は、生分解性ランナー止めの土壌差し込み部分1の表面に形成される係止部2を例示している。この係止部2は、棒状体を成形する際に、この部分が肉厚となるよう一体に形成してもよく、あるいは図2(b)に示すように、数か所部分的にかしめて凹部を形成し、隣接部が膨部となるように形成してもよい。このように係止部を形成することにより、生分解性ランナー止めが、土壌から抜けにくくなり、長期にわたってランナーを確実に保持することができる。また、棒状体及び係止部を中空に形成した場合には、全体の表面積を多くとることができ、生分解しやすい生分解性ランナー止めが得られる。なお、本発明の生分解性ランナー止めの断面形状は、円形状、楕円形状、多角形状等さまざまな形状を選択することができるが、これらのなかでは円形状のものが成形上好ましい。また、必要に応じて中空にしても良い。 【0010】本発明の生分解性ランナー止めの長さは、通常、5〜20cm、好ましくは8〜15cm、また、外径は、1〜6mmの棒状体に成形される。また、生分解性ランナー止めを中空棒状体とした場合は、通常、外径が、1〜6mm、内径が0.5〜3mm、厚さ0.5〜4.0mm、好ましくは、外径2〜6mm、内径1〜3mmであり、厚さが1〜3mmである。上記範囲外では扱いにくく作業性に劣る。 【0011】図3は、図2(a)で示した本発明のV字状の生分解性ランナー止めを、苺に使用した例を示している。V字状の生分解性ランナー止めは、苺のランナー3の必要箇所に、棒状折曲体の折曲部の内側を当接させて、端部を土壌に差し込んで使用する。この生分解性ランナー止めは、棒状折曲体の端部が細いため、差し込み作業が容易であり、また土壌に差し込んだ後は、係止部2の存在により抜けにくくなる。 【0012】本発明において使用可能な脂肪族ポリエステル系樹脂としては、分子中に芳香環を含まない公知のポリヒドロキシアルカノエート系樹脂あるいはポリアルキルアルカノエートが何ら制限なく用いられる。ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン系樹脂、あるいは3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシブチレート共重合体が挙げられる。3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシブチレート共重合体は、例えば水素細菌 Alcaligenes eutrophus等の微生物によって、産出された樹脂であり、具体的には「商品名:バイオポール」(日本モンサント社製)が例示される。3−ヒドロキシブチレートの共重合比は、実用面から5〜20%が好ましい。例えば、本発明に使用されるポリ乳酸系樹脂としては、グルコースの乳酸発酵により得られた乳酸を閉環反応によりラクチドとした後、開環重合する公知の方法によるもの、あるいは乳酸を直接脱水縮重合して得られるものである。ポリ乳酸系樹脂を構成する乳酸は不斉炭素を有するため、L−体、D−体及びDL−体の3種類の光学異性体が存在するが、それらのいずれでもよく、またそれらの混合物であってもよい。 【0013】しかし、物性面、耐熱性及び入手の容易さからL−体の含有率85%以上である方が好ましく、さらに好ましくは95%以上である。分子量は、特には制限がないが、分子量が高くなると強度は向上するものの、逆に溶融粘度が高くなり成形加工性が低下する。したがって、好ましくは、重量平均分子量で20,000〜1,000,000であるが、さらに好ましくは、重量平均分子量で50,000〜500,000である。重量平均分子量が20,000未満の場合は、実用的物性がほとんど発現されないので問題が生じる。 【0014】重量平均分子量が1,000,000を超える場合は、溶融粘度が高くなりすぎて成形が困難となる。また、乳酸とジカルボン酸とジグリコールとを脱水縮合した脂肪族ポリエステル及び/またはジカルボン酸とポリエーテルポリオールとを脱水縮合したポリエーテルポリエステルとの共重合体も本発明の効果を阻害しない範囲で添加しても構わない。 【0015】ジグリコール成分と脂肪族ジカルボン酸成分またはその誘導体成分を構成単位として含むポリアルキルアルカノエート系樹脂は、構造単位中に芳香族環を含まないものであれば何れのものでも使用可能である。ポリアルキルアルカノエート系樹脂の構成成分であるジグリコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサメチレングリコール等を挙げることができ、これらの中から適宜選択され、少なくとも1種が用いられる。 【0016】ポリアルキルアルカノエート系樹脂の構成成分である脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、それら誘導体、及びそれらの無水物を挙げることができ、これらの中から適宜選択され、少なくとも1種類が挙げられる。必要に応じてリンゴ酸、酒石酸、クレン酸等のオキシカルボン酸を加えてもよい。これらの中からそれぞれ1種類以上選択して縮合重合した樹脂も必要に応じて用いることができる。また、分子量は、高くなると強度は向上するが、逆に成形加工性が低下するので、数平均分子量が5,000〜300,000の範囲が好ましい。 【0017】ポリアルキルアルカノエート系樹脂の分子量を溶融流動性で示すと、温度190℃、荷重2.16kgfにおける溶融流動性は、好ましくは0.5〜50g/10分の範囲、更に好ましくは3.0〜30g/10分の範囲である。溶融流動性が0.5g/10分未満の場合は、溶融粘度が著しく高くなり成形が困難となる。溶融流動性が50g/10分を超える場合は、得られた生分解性ランナー止めを指で折曲げると折れてしまい、実用的物性がほとんど発現されないので問題が生じる。 【0018】ポリカプロラクトン系樹脂は、アルコール等の活性水素を開始剤として、ε−カプロラクトンを常温の開環重合で得たものを使用することができる。前記開始剤の官能数は特に制限がなく、2官能あるいは3官能のものが好ましく使用できる。分子量を溶融流動性で示すと、温度190℃、荷重2.16kgfにおける溶融流動性は、好ましくは0.5〜50g/10分の範囲、更に好ましくは3.0〜30g/10分の範囲である。 【0019】溶融流動性が0.5g/10分未満の場合は、溶融粘度が著しく高くなり成形が困難となる。溶融流動性が50g/10分を超える場合は、得られた生分解性ランナー止めは靱性が失われ、実用的物性がほとんど発現されないので問題を生じる。これら脂肪族ポリエステル系樹脂は、単独で用いても構わず、2種類以上を併用しても構わない。 【0020】本発明では、充填剤を添加することにより、生分解性ランナー止めの生分解性速度の向上及び成形サイクルを短縮することができ、また、製造コストを削減することができる。本発明において用いられる無機充填剤としては、従来公知のものを何等制限なく使用することができる。例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の金属より選ばれた1種の金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩またはケイ酸塩等を挙げることができる。これらの金属酸化物、水酸化物、炭酸塩または硫酸塩は特に限定されずに用いられる。 【0021】特に好適に使用される無機充填剤を具体的に例示すると、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム等の硫酸化物、含水ケイ酸マグネシウム(タルク)、含水ケイ酸アルミニウム(クレー)等のケイ酸塩等が挙げられる。好ましくは、酸化チタン、酸化ケイ素、含水ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸アルミニウム等である。これらの充填剤は、樹脂の結晶化を促進する効果を有するため成形サイクルを高めることができる。有機充填剤としては、小麦、玉蜀黍、米などの穀物、馬鈴薯、甘藷、タピオカなどの芋類の澱粉、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせてもよい。 【0022】上記充填剤は、粒子同士の凝集及び脂肪族ポリエステルとの親和性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、アセチレングリコールあるいはアセチレンアルコール等の表面改質剤を用いて、乾式法、湿式法あるいはインテグラルブレンド法により表面改質しても構わない。本発明に用いられる充填剤の平均粒径は、0.01〜10μmの範囲であり、好ましくは0.05〜5μmである。0.01μm未満では、脂肪族ポリエステル系樹脂中での充填剤の分散が悪く、10μmを超えると生分解性ランナー止めの靭性が低下するおそれもある。 【0023】充填剤の添加量は、脂肪族系ポリエステル系樹脂100重量部に対して無機物10〜150重量部であり、好ましくは30〜100重量部である。10重量部未満の場合は、生分解性速度を向上させる効果がほとんど認められないうえ、生分解性ランナー止めの生産コストを下げることが困難である。150重量部を超える場合は、生分解性ランナー止めの靭性が低くなり、ランナー止めとして要望される特性が失われるうえ、溶融粘度が高くなりランナー止めの成形が困難となる。 【0024】一方、離型剤としては、ベヘニン酸、ステアリン酸等の炭素数10〜21の脂肪族カルボン酸、ペンタエリスリトール−アジピン酸−ステアレート・複合エステル、ジペンタエリスリトール−アジピン酸−ステアリン酸・複合エステルの脂肪族エステル、25℃における粘度が10〜10,000csの範囲にあるアルキル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、高級脂肪酸アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸含有シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等の変性シリコーン、パラフィン、脂肪族アミドなどが挙げられる。離型剤の添加量は、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。添加量が0.1重量部未満の場合には充分な離型効果が得られず、5.0重量部を超えると添加剤が浮き出すブリード現象が起こり、外観及び機械的物性に悪影響を及ぼす。 【0025】本発明の生分解性組成物は、必要に応じてグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪族エステル、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート等の界面活性剤、リン系、フェニル系あるいは乳酸無機塩等の安定剤、顔料、その他の添加剤を添加することができる。本発明の生分解性組成物は、温度190℃、荷重2.16kgfにおける溶融流動性が0.5/10分〜50g/10分の範囲、好ましくは3g/10分〜30g/10分である。溶融流動性が0.5g/10分未満の場合は、溶融粘度が著しく高くなり成形が困難となる。溶融流動性が50g/10分を超える場合は、生分解性ランナー止めの靱性が低くなり、ランナー止めとして要望される特性が失われる。 【0026】 【実施例】[実施例1]脂肪族ポリエステル系樹脂としてのポリ乳酸系樹脂(商品名:ニラクティ9000、 島津製作所製)100重量部に対し、充填剤としての炭酸マグネシウム50重量部、及び離型剤としてのベヘニン酸0.5重量部、メチルスチリル変性シリコーン(商品名:KF-410、信越化学工業社製)0.5重量部を含む生分解性組成物を用い、射出成形にて図2(b)に示す苺用の生分解性ランナー止めを作製した。この生分解性ランナー止めを1アールに植えた苺のランナー止めに使用したところ、従前のランナー止めのような折り曲げ作業がいらず、土壌への差し込みも楽なため、手の疲労がなく作業効率が大幅に向上した。また、従前のランナー止めのようにランナーの生長による土壌からの浮き上がりもなかった。さらに、これらの生分解性ランナー止めは、苺のランナー止めに使用してから60日後には、生分解が進行して土中部分は自然消滅していた。 【0027】 【発明の効果】本発明の生分解性ランナー止めは、脂肪族ポリエステルに混合する充填剤の種類、量を適宜選択して、生分解性ランナー止めを使用する植物のライフを考慮した生分解速度とすることで、使用後の回収が不要であり、かつ作業性に優れ、土壌から抜けにくい形状を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000190116 【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月30日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山本 亮一 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−215925 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月10日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−18962 |
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