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【発明の名称】 緑化された擁壁等の人工構造物及び緑化方法
【発明者】 【氏名】小林 知義

【要約】 【課題】広い面積の側面に植物を簡便に植生して容易に緑化することができる擁壁等の人工構造物及び緑化方法を提供する。

【解決手段】擁壁1等の側面1bに接着された無機骨材5で多孔質の凹凸面5aが形成され、この凹凸面5aに定着された土壌基盤材6に植物7が植生されてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 擁壁等の側面に接着された無機骨材で多孔質の凹凸面が形成され、この凹凸面に定着された土壌基盤材に植物が植生されてなる緑化された擁壁等の人工構造物。
【請求項2】 擁壁等の側面に接着剤を塗布して、この接着剤が未硬化のうちに無機骨材を接着することにより多孔質の凹凸面を形成し、この凹凸面に植物養生用の土壌基盤材を散布して、この土壌基盤材が定着した後に植物を植生する擁壁等の緑化方法。
【請求項3】 前記側面が、コンクリート擁壁の側壁面であることを特徴とする請求項1または2に記載の緑化された擁壁等の人工構造物及び緑化方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート擁壁、ブロックやモルタル壁等の側面に植物を植生して簡便に緑化する擁壁等の人工構造物及び緑化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近時、居住環境の緑化を促進するために、既存の人工構造物にも植物を植生して緑化が図られている。例えば、道路の側部や崖等の傾斜面に設けられたコンクリート擁壁を緑化する場合、この擁壁の一側面に植栽ブロックまたはコンクリート桝を取り付けた後、これに植生土壌を充填してから植物を植生するようにしている。植栽ブロックは、複数本を用いて側面に枠部を形成するものであり、コンクリート桝は、予め周縁に枠部を一体形成している。これらは、枠部の各所にネジ挿通孔を設けていて、取り付けに際しネジ挿通孔に対向するコンクリート擁壁の側面にネジ孔を穿設しておき、枠部のネジ挿通孔からネジ孔にボルトのネジ部を螺入することにより、植栽ブロックもしくはコンクリート桝を強固に固着する。そして、コンクリート擁壁の側面に形成された枠部内に植生土壌を充填し、これが定着した後に苔類の菌やシダ類の種等を直接植え付けるようにしている。このように、コンクリート擁壁の側面に植物が植生されると、適宜の散水や降雨によって成長し、擁壁全体が漸次緑化されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の緑化方法は、コンクリートの側面に対し予め製作された植栽ブロックやコンクリート桝を取り付けるので、固いコンクリートに多数の穴開けを行ったうえ、この場所まで重量物を持ち運んで固定しなければならず、重労働を伴う大変な作業となっていた。また、このようにコンクリート擁壁の側面に単体の植栽ブロックやコンクリート桝を取り付けてから植物を植生するために、設置範囲に限界があり広い面積の擁壁等には施工し難いという欠点もあった。さらに、これら植栽ブロックやコンクリート桝は、工場で製作して販売されるものを使用するため、コンクリート擁壁等の緑化コストとしては高価なものとなっていた。本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、広い面積の側面に植物を簡便に植生して容易に緑化することができる擁壁等の人工構造物及び緑化方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のうち請求項1に記載の発明は、擁壁等の側面に接着された無機骨材で多孔質の凹凸面が形成され、この凹凸面に定着された土壌基盤材に植物が植生されてなる緑化された擁壁等の人工構造物を特徴とするものである。また、請求項2に記載の発明は、擁壁等の側面に接着剤を塗布して、この接着剤が未硬化のうちに無機骨材を接着することにより多孔質の凹凸面を形成し、この凹凸面に植物養生用の土壌基盤材を散布して、この土壌基盤材が定着した後に植物を植生する擁壁等の緑化方法を特徴とするものである。また、請求項3に記載の発明は、前記側面が、コンクリート擁壁の側壁面であることを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図示例を参照しながら説明する。図1〜図4は、本発明に係る擁壁等の人工構造物に植物を植生して緑化する作業工程を示す説明図である。この人工構造物は、道路や敷地の土留めに設けられるコンクリート擁壁1であって、この擁壁1の一側面に苔類、セダム類およびシダ類を植生することにより、緑化が図られるものである。コンクリート擁壁1は、予め地中2に築いた基礎コンクリートの上に生コンクリートを打ち込むか、コンクリートブロックを積み重ねる等により、ほぼ垂直のコンクリート壁を形成する。このようにして築かれたコンクリート擁壁1は、上下方向に一定の幅を有した横長の立壁であり、後側面1aに山土3等を盛ることにより土留めをなし、前側面1bはコンクリートのままかあるいはモルタル仕上げが施される。
【0006】次に、このコンクリート擁壁1における偏平な前側面1bに植物7を植生する。まず最初に、この前側面1bに接着剤を塗布しておく。この接着剤としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を用い、図1に示したコンクリート擁壁1の前側面1bのほぼ全面に均一に塗布する。つぎに、この接着剤層4が未だ硬化しない間に無機骨材5を接着する。この無機骨材5には、軽石、ゼオライトおよびパーライト等を適当な大きさの粒状としたり、ALC板(発泡コンクリート板)を砕いて得た粉末等を用い、これを接着剤層4に吹き付けて固着する。これらの無機骨材5は、大きさの異なる無数の粒が主体となっているので、偏平な前側面1bに接着されると、図2に示す如く多孔質の凹凸面(ポーラス面)5aが形成される。
【0007】続いて、この凹凸面5aに土壌基盤材6を吹き付けて定着させる。この土壌基盤材6としては、植物7を成育させるために好適な肥料、保水材および養生材等をミックスしたもので、ポーラス面5aのほぼ全体に均等に吹き付ける。この吹き付け後、図3に示すように、土壌基盤材6が落下しない状態になるまで定着を待つ。この後、土壌基盤材6に植物7を植生する。この植物7は、苔類、セダム類およびシダ類等であり、これらの菌、種、芽を直植えする。なお、このような直接の植え付けでなく、予め椰子殻マットや不織布等に前記菌、種、芽等を植生したものを、現場に持ち運ん土壌基盤材6上に取り付けるようにしてもよい。これにより、苔類が繁殖しあるいは植物7が成育して繁茂すると、図4に示す如く地面2aに立設された偏平なコンクリート擁壁1の一側面全体が植物7で緑化される。よって、道路の斜面や建物の壁面をなすコンクリートの人工構造物が自然に近い環境に改善されるものである。
【0008】次に、本発明の他の実施の形態について説明する。図5は、人工構造物の概要構成を示す側面図、図6は、同人工構造物を一部断面で示す斜視図である。本例の人工構造物は、崖崩れし易い場所等に築かれるコンクリート擁壁であって、埋込用ブロック11を多数用いることにより、傾斜面10bを有したコンクリート擁壁10が形成されようになっている。なお、この埋込用ブロック11は、略方形の表面側11aに凹所11bが設けられる一方、裏面側11cに埋設部11dが一体的に突設されている。そして、この埋設部11dを土中3に埋設した状態で各表面側11aを揃え、複数の埋込用ブロック11でなるほぼ面一な傾斜面10bとする。つぎに、このコンクリート擁壁1の傾斜面10bに植物を植生して緑化する。
【0009】この植物の植生は、前記実施の形態と同様の作業工程により行う。すなわち、表面側11aの凹所11bの全体に接着剤を塗布し、この接着剤層4が未硬化の間に無機骨材5を接着して多孔質の凹凸面を形成する。そして、この凹凸面に土壌基盤材6を吹き付け、定着を待ってから前述の苔類、セダム類およびシダ類の菌、種、芽を直植えする。これにより、各埋込用ブロック11に植え付けた植物7が成育して繁茂すると、崖崩れ等を防護するコンクリート擁壁10の傾斜面10bが植物7で緑化される。よって、山間部の谷あいや崖等の傾斜面をなすコンクリートの人工構造物が自然に適合した環境に改善される。なお、上記実施の形態では、コンクリート擁壁を植物7で緑化する場合について説明したが、建築物の壁面や屋根瓦、さらに、敷地の境界に設けられる塀等にも前述の方法により植物を植生して簡便に緑化することができる。
【0010】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求項1に記載の発明は、擁壁等の側面に無機骨材からなる多孔質の凹凸面に土壌基盤材を定着させ、これに植物を植生するので、擁壁等の緑化が極めて簡便となり、広い面積にも容易に施工できる効果がある。また、従来のように植栽ブロックやコンクリート桝等を使用しないことから、緑化コストが廉価になる利点もある。また、請求項2に記載の発明は、擁壁等の側面に無機骨材を接着して多孔質の凹凸面を形成し、この凹凸面に散布した土壌基盤材の定着後に植物を植生するので、従来の如く予め製作した植栽ブロックやコンクリート桝を取り付けてから植生土壌を充填して植物を植生する場合のような重労働を伴う作業がなくなる。また、側面を特別に加工する必要がなく容易に作業が行えるので、工期も大幅に短縮される利点がある。また、請求項3に記載の発明は、側面がコンクリート壁の側壁面であることから、道路の斜面や建物の壁面といったコンクリートの人工構造物を自然に近い環境に改善できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】391037892
【氏名又は名称】大日化成株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄 (外1名)
【公開番号】 特開平11−196665
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−14777